garden6さんが投稿したクラフタル(東京/中目黒)の口コミ詳細

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クラフタル中目黒、代官山/フレンチ、イノベーティブ

1

  • 夜の点数:4.4

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2016/01 訪問

  • 夜の点数:4.4

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

発展途上にしては出来過ぎのイノベーティブ

中目黒駅から目黒川に沿って池尻方面に徒歩5,6分。

この辺りは特に10年程前、本当にお洒落で個性的なお店が集まっていてよく散策していました。

一例を挙げると、CMのロケに使われたこともある書店兼カフェのCOW BOOKS(カウブックス)、ゲランの香水とスペルが同じ美容室のMITSOUKO(ミツコ)や南青山へと拠点を移した和菓子店のHIGASHIYA man(ヒガシヤ マン)、長崎県が拠点の可愛くハイセンスな雑貨屋のNil style cafe(ニルスタイルカフェ)のほか、現在、ステーキなぐらがある場所にはJANUS(ヤヌス)という女性3人で立ち上げたクールなオリジナルブランドのアパレルショップがあり、かなりバリエーションに富んだラインナップで毎週訪れていました。

それが時とともにどんどんお店が入れ替わり、気が付けば何だか非常にありきたりな雰囲気になってしまったので、訪れる頻度は次第に減っていきました。

しかし、この界隈に久しぶりに心惹かれるお店ができていることを雑誌で知り、訪問してみることに。

しかもジャンルは本格的なフレンチ、しかもイノベーティブ料理とこれまでになかったお店です。

イノベーティブ料理は10年程前、東京で全盛を誇っていた頃に集中的に頂いた結果、やはりシンプルイズベスト、すなわち食材を下手な小細工なく従来の調理法で当たり前に頂くのが一番美味しいという結論に達してからはご無沙汰気味なのでありました。

シェフは2016年1月に32歳になられたばかり。

『ジョージアンクラブ』、『ジョエルロブション』という東京の名グランメゾンを経て渡仏、パリのネオビストロで研鑽を積まれ、帰国後は初台で話題のフレンチ『レストランアニス』のスーシェフを務めた新進気鋭の料理人です。

10年前にイノベーティブの第一線で活躍されていたシェフたちとはまた違った感覚で創られるお料理や如何に…。

期待に胸を膨らませてお邪魔しました。

お店は一見するとアパレル関係のお店しか入っていなさそうな白い建物の2階に位置します。

扉を開くと、正面右手に厨房とカウンター席が6席、左手には奥がソファーになったテーブル席、さらに進むと4名掛けのテーブル席が2卓があり、総数は24席。

ゆったりと食事を愉しむことができます。

店内は白とコンクリートグレーを基調としたインテリアに、ウッディなフローリングに椅子とテーブルで、無機質な中にどこか温かみを感じさせる造りになっています。

横長の窓からは目黒川沿いの桜の木を眺めることができ、春には美しく咲き乱れる桜の花を背景に、お料理に舌鼓を打つことができそうです。

この度頂いた1月のお料理は以下の通り。

・ホタテの木~クルミの香り~     
イノベーティブのスターターとしてはよく見かけるファーストサプライズ重視のお皿かと思いますが、お料理としても立派に成立している一皿でした。
帆立のチップスはまるで盛り付けられた木のお皿から削ぎとられたのかと見紛うほど、精巧な木質感を表現。
おが屑に見立てた胡桃パウダーやスモークチップのように削がれたフォアグラのテリーヌ、木の葉のような薄切りブラウンマッシュルーム…お皿の上で森が表現されています。
下には帆立のタルタルが忍ばされ、味・食感ともバランスの良い仕上がりに。

・カリフラワーとワカサギのサラダ
ワカサギ釣りをイメージされたとのことで、透明グラスに氷の如く乗せられたカリフラワーの極薄チュイール。
その上には粉雪状に仕上げたクリーミーなカリフラワーのムース、そしてグラスの中にはワカサギのフリットと柚子風味のカリフラワーのサラダが配されており、非常に芸術的な盛り付けです。
チュイールを破り、上からムースを落として、グラスの中で混ぜて頂きます。
クリーミーさ、冷たさ、食感、酸味、香りと3種のカリフラワーがそれぞれの良さをプラスし合いしながら、ごく普通のフリットを個性的なお料理にまとめあげていました。

・鹿のロースト
ボルシチをシェフなりに再構築されたお料理と言ってよいでしょう。
低温ローストした蝦夷鹿肉の下には美しくスライスされた色とりどりの根菜。
これまた美しくあしらわれたカシスやサワークリーム、ガーリックのソースがレアでジューシーな鹿肉、瑞々しい根菜にベストマッチ。
白スグリも良いアクセントになっています。
冷たく爽やかな口当たり・風味はボルシチとは全く異なり、単純比較はできませんが、個人的にはこちらのお皿の方が好みです。
また、パンペアリングがピロシキというのも心にくい演出。
しかもこのピロシキ、ミンチにした鹿肉にビーツ、セイヨウネズなどを加えてコク深く薫り高く焼き上げたもので、かなりの完成度。
ボルシチと同じ食材を用いていながら全くそれを感じさせないところにシェフの技量の幅広さが感じられました。

・鰤のロースト
脂の乗った厚い鰤のローストに鮮やかな赤紫の食用菊、紅芋と春菊のチップスがあしらわれています。
ここから放射状に緑色の春菊ソースと黄色の菊ソースが敷かれ、どことなく岡本太郎のデザインを連想してしまいました。
隙間に降りかけられている茶色のパウダーはカラスミ。
これがお料理全体を見事にまとめていました。
パンペアリングには長芋の甘酒蒸しパン。
日本のかす汁からも鰤と麹の相性の良さは折り紙付きですし、絶妙のペアリングでした。
鰤に菊、カラスミ、長芋、甘酒とくれば、和食を連想してしまいますが、これがまたしっかりとフレンチになっているのが凄いところ。

・仔牛のブランケット
最も想像と異なったのはこの一皿でした。
一言にクリーム煮とはいえど、中に入るのは仔牛肉に鱈の白子、塩漬け卵黄、いんげん、ゆり根、千代呂木、レモンのジャムなど多種多様。
この複雑な組み合わせを聞いただけでは容易に想像がつかないかと思われますが、最もアクセントとなっているのは塩漬け卵黄とレモンのジャムだと感じました。
円やかさ、爽やかさ、塩加減、食感…等々、様々な要素がこの一皿の中で混然一体となり、「美味しい」という単純明快な答えを出しています。
パンペアリングはバターライスの焼きリゾット。
熱々のスープに投入して頂きましたが、これまた、どこか懐かしくて幸せな味わいになりました。

・鴨胸肉のロースト
絶妙な火入れでローストされた鴨胸肉にオレンジのソース。
これはフレンチの王道的コンビネーションですが、その脇を西洋葱、焦がし白髪葱、九条葱ソースと3種の葱が固めています。
さらに、パンペアリングに蕎麦粉のお焼きと来れば、連想ゲームは一気に和食、鴨南蛮にシフトします。
きっとシェフなりに再構築された鴨南蛮なのでしょう、ジューシーな鴨胸肉と爽やかな葱の香りは和食では出会ったことのない重層感。
お焼きの中には鴨腿肉のコンフィやローストした蕎麦の実が忍ばされていて、コク・風味ともに充分。
しっかりと「フレンチ鴨南蛮」を堪能させていただきました。

・ブラックベリーのムース       
ブラックベリーのシフォン、メレンゲにパウダーが添えられた冷たいムース。
ふんわりとしたムースは見た目よりも随分軽く仕上がっており、お腹一杯となったこのタイミングではかなり嬉しい食感。
瑞々しいブルーベリーも良いアクセントに。

・タルトタタン        
一般的なタルトタタンではなく、極薄のパイ生地と極薄の紅玉林檎のスライスで構成されます。
タルトの周囲には林檎ジャムに紅茶風味のチョコレート、アイスクリームが絵画的に美しく盛り付けられていました。
アイスクリームがこれまたタルトタタンの風味で、甘くてコクがある大人の味わいでした。

・ハーブティー
美味しく頂きました。

以上、長々と書き連ねてしまいましたが、総じて、大満足のディナーでした。

久しぶりの本格的イノベーティブ、大当たりです。

サービスに関しては、女性スタッフの方が対応して下さいましたが、ワインセレクトやお料理に関する質問にも丁寧に的確にお答えいただき、卒なくスムーズでいて温かい接客態度には大変好感が持てました。

また、シェフも話しやすく気さくな方で、良い意味での初々しさを感じさせます。

あえてひとつだけ注文させて頂くとすれば、BGMでしょうか。

お店の雰囲気には明るいフランスの歌謡曲などよりも、ボーカルなしのもう少し幻想的な音楽の方がマッチするかと思われます。

しかし、いずれにせよ、オープンされて僅か数ヶ月というのに、これほどまでの完成度とは、今後が楽しみです。

シェフはまだまだ沢山引き出しがありそうですし、是非また何度も訪れてみたいと思うお店です。

2016/03/13 更新

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