レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2009/11訪問 2013/02/25
最高峰のモダンイタリアン My one and only salon
追記:
2010年10月は夢のようだったな。。特に、花開いたイタリア有資格ソムリエ、ムラッキーのマリアージュ。 ラヴィオリ コン ポルチーニのズッパに、マルバジーアディボーザ、平目のインサオールにニコリーニ・ムスカ。
やはり、こちらは、コース料理とグラスワインのマリアージュがやばい。
こういう世界を味わってしまうと、お決まりの少量多皿構成でやりつつ、グラスワインの選択はお客に任せるなんざ~、怠慢としか思えないですな。
追記:
8月はメインがハイライトだったな~。
馬肉ハラミ、赤々としているのに、火はしっかり通っていて。馬肉の旨味、キャラメリゼナッツの甘みと食感、赤キャベツの酸。これぞ、バランス!!
追記:
今月のサローネ。甘み酸味苦味バッチリキメキメ系の皿と王道の旨さのバランスが良好な月。
仔牛フィレ肉のアッフミカート(あの小さなカンパリゼリーが味わいの要)、エイのラビオリ(パプリカのソースにケッパーとピクルスの酸が幸せ)、太刀魚のティンバッロ(レジョナーレの安心感)、お得意のラグーの幸せミルキーシャラティエッリ、 乳飲み仔羊とあわせる辺りが流石。
テアトリーノ離陸後すぐ安定期に入れるこのグループの層の厚さには脱帽。
追記:
今月は、強烈だった。。
なんというか、シンプルなのに、変化に富み、かつ料理の風格の大きさのある料理。カジキ鮪のインヴォルティーノの食感、パッサテッリの尖った香り、スカンピのリッチな香り、カラメッレの愛らしさ、グアンチャーレのバランス感。
イルテアトリーノができたのに、この質が保てる(むしろ、上がってる)サローネ、尊敬です。
追記:
2月メニューは、サローネの苦しみの月だったな。12月、1月と続いた絶好調な状態からするとまさに、谷。
それに反して、3月は超絶。ほぼ毎月食べてるけど、今までの2年半の中で、自分はベストだと思う。
ブディーノのマジック、超王道レッジョナーレのピサレイ、いつもながらのクレアティーヴォ・ボッリート、ロートロリピエーノの純粋な旨さ、ハーバルな軽さの牛のインヴォルティーノ。ドルチェも安心の安定感。
今月のメニューこそがこの店の真骨頂。毎月こういう内容なら身も心も全て捧げます。
Salone2007、この世に誕生してくれて、本当にありがとう。
追記:
1月メニュー。かなりシチリアに傾倒した感じのレッジョナーレ。
ナスのスフォルマートの異国感、シチリア風カチョエペペの戸惑いそして納得、ワンスプーンとVinoのマジックマリアージュ(これは相当凄い。内藤さんもびっくり)、カジキマグロのインヴォルティーノの安心感、そこから鮮烈なサルサのウサギとサルシッチャのカネロニ、イベリコの煮込みも最後まで落ちることなく。シチリア系なのに、控えめにドルチェにだけ顔を出したオレンジの要素もハッピー。
ヒット数多し。は~幸せ。
*******
追記:
よく行っているので、たまにはさっくりレビューをば。色々食べてほんと大満足だけど、今月のヒットは下記2品かな~。
ミルクのトレネッテ トロペア産赤玉葱とペペローニクルスキ:これ凄いな~。野菜系中心なのに、このやわらか~いミルキートレネッテと、ガッツリアンチョビに赤たまねぎ等のさわやかさ。異常なバランスのとり方。
ラヴィオローネ 北海道産仔鹿のラグー:しっかりソースにメンタの香りと柿のほのかな甘みと酸味。お~、幸せですわ~。
相変わらずグラスワイン飲みまくりで、超幸せ。。。特に、今月のSalone安定感は、オープン以来でも郡を抜いているかも。ほんと、毎月毎月違うメニューで勝負して良くぞここまでレベルを上げてくるものですわ。
このリラックス感の中で楽しめる最上の食事。
追記:
4月のディナー行って来ました。まあ、1日なので、やや試行的なお皿もあったかな。ある意味、素のサローネを覗き見ることができるのが月初め。一回初旬に来て、もう一回後半に来ると、荒々しく尖っていた(でも、グランデな)料理が別の料理みたいに、まあるく進化していたり(でも、時に大人しくなってしまっていたり)するのが面白い。
今月は、兎のサルシッチャのクレスペッレとゴルゴンゾーラチーズのジェラートがやばい!完全にイタリアの星付きレストランの世界に連れて行かれた。。。。
ワインもすき放題飲みすぎ。。。。
どっかで見たことがある、証書が飾られている。。これはもしかして。。。
追記:
今月も、Salone2007行って参りました。こちらに伺う時はもうあまり細かいことは考えず、なすがままに、ワインも藤巻さんが持ってくるとびっきりのビオワインを出されるがまま、浴びるように飲むだけ。そんな幸せな空間。一応、メニューだけは下記の通り。
何でも、最近は時に予約の電話が1日100件を越すことがあるそうで。。。店が好調なのは嬉しいけど、混みすぎるのはちょっと。。。
山形牛サーロインのスピエディーノ (相変わらずいきなり幸せ)
天然平目と有機人参のインサラータ (人参の酸とオレンジの甘味と平目の塩分の妙)
鮮魚のヴァポーレ (定番中の定番。こちらが3皿目に来ている時点で今月のコースは期待大。)
鶉のズッパコアーダ (鶉と苺!!)
スカンピのクッキアイオ (一瞬の出来事、味わいの昇華)
空豆とペコリーノシチリアーノのラヴィオリ 猪のスーゴ (空豆とレンズ豆の幸せをスーゴががっつり纏め上げる)
グラミーニャ 乳のみ仔山羊のラグー (山羊、乳の香り!)
イベリコ豚の頬肉のコトレッタ(ワイン煮のカツレツ!?)
ホワイトチョコレートのムース(ホワイトチョコとババが幸せ)
追記:
実はこちらには月に何度も行っていたのだが、何となく書いていなかった。今日はサクッと書いてみようかな。
牛肉とメークインのペーストの串:香りの良いA5牛肉と良いアクセントのジャガイモのペースト。いきなりありえない、アミューズ。この店がいかに挑戦的かわかる。★4.5
ペペロナータと的鯛のテリーナ:可愛らしいテリーヌに、ラズベリー等のグラニテ、最高級アンチョビ、ケッパーペースト。テリーヌに三方向から別々の確度でアクセントを与えるこちら。鮮烈。★5.0
鮮魚のヴァポーレ:塩も水も使わずに黒鯛、蛸、ハマグリ等を蒸した際に出た濃厚な魚介スープと、オレンジを圧搾して作るオリーブオイルの合性が抜群。この店のスペシャリテでどのコースにも必ず入る。★5.0
ラザニエッテ アーティチョークと赤エビのソース:茹で加減の丁度良いお布団のようなラザニエッテと濃厚な赤海老のソースの合性は当然良いし、隠れた歯ごたえと風味を与えているピスタチオがたまらない。★4.5
秋の茸のブルスケッタ:ジロール、柿のマリネ、そして2年熟成のラルドのブルスケッタ。ジロールとラルドの香りがよい。若干マリネ具合を強くしても良いかな。★4.0
トレネッテ エトフェ鳩のラグー:鳩の血っぽい香りと濃厚かつ優しいソースと太目の麺であるトレネッテの合性は抜群。パンにソースをつけても美味しい!★4.5
鴨と洋梨のクッキアイオ:鴨、洋梨、パルミジャーノとルッコラペーストのワンスプーン。一瞬で全てが混ざり合い、衝撃の味わいが駆け抜け、消えていく。★5.0
猪のサルシッチャをはさんだ庄内豚のコトレッタ:要は豚のカツレツにイノシシのソーセージをほぐした物を挟んでいる一品。レモンとオレンジの皮とローズマリーをふんだんに使った香り豊かな塩がカツレツに強い香りと味わいのアクセントを与える。あっさりとしたカツにあっさりとした塩のアクセント、でもインパクトはしっかり。メインまで勢いが衰えることはない。★5.0
栗のドルチェ:ソルベやらペーストやらビスケットやらとにかく栗シリーズ。秋の味わい。★4.0
チーズも3種類食べたけど、名前を完全に失念。独特の香りの蜂蜜との合性が抜群。
右に左に揺さぶられて、もうなすがままのコース。必ず、驚きを与えてくれる幸せがある。
そして、サービスも、人の心にいつの間にか入り込んでしまう抜群の存在感を誇るマネージャーと洗練された空気の若手のサービスマンがいて、心地よい。
驚きのイタリア料理と人間力豊かなサービスをご堪能あれ。
2位
1回
2009/11訪問 2019/07/21
こんなところにあるんですね~。京味さん。
行きましたよ~、「京味」の十二か月を鞄に忍ばせて。
店内は、意外にカジュアル。職人さんわんさか。西さんは、良い年の重ね方をしているな、という感じ。
本日は今年最後のマツタケ尽くしだったみたい。名言、「丹波の以外はきのこ、言います」も飛び出して。
頂いた物は。。。
海鼠腸もち米、鮒寿司柚子釜(独特の甘み)、松葉ガニ(かに味噌と内子、外子が蟹肉の勢いを何倍にも高めている一品-初めて蟹に感動)マツタケ焼き物(柚子の香りブンブン)、白子、えび芋の揚げ物、鯛と伊勢えび(あまりの歯ごたえの強さに悶絶。ざくざく。初めて伊勢えびに感動)の御造り、鱧(素晴らしい香り)とマツタケの鍋吸い、マナガツオのみそ焼きとうずらの焼き物、マツタケも焼いて、蕪の炊き合わせ、マツタケのフライ(ウスターソース!)マツタケご飯、鮭ごはん、くずきり(今まで食べたナンバーワン葛きり。さらっさらの黒蜜と強い歯ごたえの葛)
よく和食だと、素材の力を引き出すとか何とか言うが、割烹系の食べ歩きを通じてはあまり意味がよく分からなかった。こちらに来てようやく意味が分かった気がする。引き出すというよりは、最上の素材のパワーを次から次にたたきつけてくる感じ。大波の連続。テンポもかなり速い。
細かい味わいの工夫という点で言えば、もっと上手なお店もあると思う。もっと驚ける店もある。そんなことはどうだってよいと。素材の凄さを感じろといわれている気がした。素材が凄いが故の圧倒的な土台の存在。
ちなみに、マツタケに関しては若干おとなしい印象。季節的なものもあるだろうし、今年の出来の問題かもしれない。
店のサービス等は結構ざっくりと。皿の出し方とかは結構無理やりだったりするし。
訪問後2週間経ってもちっとも薄れない幸せの記憶。
本日のお会計。49.3K。赤坂500円ふらふランチ99回分。。。
何があっても、また伺いたい。こういう店が本当の3つ星なんだろうな。
ちなみに同行の食べログの南の雄は、ワインバーにいくぞ、と。この後に行けるワインバーなんて1軒しかないけど。。。
3位
1回
2009/06訪問 2010/04/05
追記:
この店、お昼も夜と同じアラカルトが可能みたい。
バッカラとジャガイモのガレット:バッカラにアンチョビの塩分と旨みが加わり、その強い旨みや塩分を吸収する役目を果たすジャガイモのガレットの焼具合による食感追加が強烈!!!サマートリュフの香りなんて単なる下支え。すっげえええ!!食べた後、目を開けることができず、湧き上がる涙をこらえながらうめき声をあげることしかできない悶絶の一皿。暫く、悶絶した後に「ああーーーーーーもおおお!!」と叫んでしまう。快感とは痛みを極めて薄めたらできあがる感覚であることを食べることで感じてしまうのは、幸せなのか不幸なのか。
ぽんぽこ★5.0の皿を生み出せるこちら、半端じゃないお店。
ウサギ肉のタヤリン。タヤリンの儚い食感は一体何~。幸せすぎて泣きながらチビってしまう自分を許してください。★4.5.
常に正しい料理を出せるこちらのシェフはやはり天才。ただ、郷土料理系は、その味付けのポイントの置き方が相当なミクロ部分にあるため、食べ手を選ぶかも。イタリアンオタクを自認する変態は是非、レッジョナーレ系のお皿を。そんなヘンテコな自負がない方は、お気に入りの食材やパスタの一品を選べば、どの皿も間違いはなし!
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追記:
電話したらさっくり予約できたので、Cena Piemonteseを頂いた。
ストゥッキーノ(この食感とソースのバランス)、ヴィッテロトンナート(ツナソースが!)、なすのスフォルマート、カプネット(前回の方が火の入れ具合はすきだったけど、今回も美味しかった~。)、野菜のタヤリン(タヤリンの淡過ぎる存在感!)、パニッシャ、仔豚のアリスタ、セミフレッド、カフェで8500円。
本当に本当に本物。しかもどれも異様な安定感。イタリアの星付きをそのままいただける幸せ。綺麗過ぎるマダムの押しの強いサービスがまたなんとも言えず心地よい。
今度は何時行こうかな~。今度はアラカルトかな~。
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あら、こんな所にあったのですね、憧れのトラットリアトルナヴェント。3回の予約失敗(まあ、当日予約ばかり試みるからそうなってもしょうがない。。)の後、ようやくの成功。
店内は、若干暗めで、蝋燭などがうまい具合に配置されているのかいやに落ち着く空間。
やけに美人なマダムのエスコートされ、席に着くと、コックコートを着た若い男性が黒板に書いてある本日の料理の説明会。一気に色々説明してくれる。
面白いのは、いつもあるメニューと、黒板にあるメニューとではかなり値段に開きがあること。それだけものが違うのか何なのか。
まずは、パンが出される。(そういえば、イニーツィオ的なものはなかったな)。プチトマトとオレガノフォカッチャ。フォカッチャ、しっとりを通り越して、ぐっちゃり。粉がうまく焼きあがってないというか。味わい自体はかなりよいのだけど。タマネギのフォカッチャも焼き具合同様。北の方だと、フォカッチャは、こうなのか?後は、やや太目のセモリナ粉のグリッシーニ。いやにリッチなグリッシーニで面白い。
ホワイトアスパラと山菜のグリル:アスパラグリル、ジューシー感がしっかり出ている。また、ペペロナータ、タマネギ、山ウドグリル、コシアブラのフリット(というより天ぷらっぽいかな)等がそれぞれ、異なるタイミングで調理され、正しい火入れがなされたものが一気に供される。ある意味、こういう皿で、火入れのタイミングの違いをそれぞれ意識させられたのは初めて。だって、だいたい同時にやっちゃうでしょ。一品一品独立した印象の品々を、アンチョビソースが媒介となって共通項ができる。★4.5。料理に対するイメージを明確に持ち、それを実現できる料理人であることが予感される一品。
カプネット。ちりめんキャベツのオーブン焼き:サルシッチャをミンチにして、青野菜(何かはわからず)を加え、縮緬キャベツで包んだ物。ちりめんキャベツを焦がした香りと独特の食感(焦がしたことによって、もともと独特の食感の物が更に別物へと昇華)、そこにトピナンブールのピュレ。一口食べただけで、ガクガクと震えがとまらなくなり、完全に瞳孔が開いてしまって昇天。何これ?!?!?!香り、味わい(サルシッチャの塩分も大きなポイント、やや甘味のあるトピナンブールピュレと。後パルミッジャーノもあったかな。)、食感の三方向から怒涛の攻めを受けた感じ。久々の泣ける一品。こらえきれずに声が出てしまって、やや周囲が引いていた気がするけど、そんなの気にしてられない。。。思い出しただけでも、また涙が出てくる。。★5.0。
ゴルゴンゾーラニョッキなんてちゃらい物も頼んでみた。ゴルゴンゾーラは濃すぎず、うっすらとこってり感を感じさせる程度。クリーミーさも全てチーズ由来で変なクリーム等は入っていない印象。そこに適量の挽いた黒胡椒。ニョッキ自体も、もちろん変に食感豊かなものではないが、単にやわらかいものではなく、口の中で噛んだり伸ばしたりするときに柔らかな抵抗を感じる絶妙な程度。これが理想のニョッキなのね。こんなお皿の中に、風格さえ感じさせてくれるこちらのシェフは凄い。★4.5~5.0。
バスク豚のグリル。こりゃまた派手な一品。さすが5みなほんというか。厚さ2.5センチで巨大。肉自体はややサッパリ目だが、なにより脂のさっと溶けて素晴らしい。とはいえ、若干脂が多すぎて、味わい的にというよりは、脳みそが拒絶反応。★4.0
ドルチェのセミフレッドがこれまた素晴らしい!イタリアンのシェフは皆ドルチェに四苦八苦するのだと思ってたけど、そうでもないのね。空気感のあるセミフレッドのどことなくそっけない味わいと、種々のナッツの食感が合わさり素晴らしい。何となく、ラシエットブランシュのセミフレッドと同傾向。★4.5
お酒は1人しか飲まないので、基本的にグラスで。白赤3種ずつ、上はだいたい1.5みなほんで非常にお安く、量もしっかり。無難なグラスワインの品揃え。
接客も、美人過ぎるマダムがそつなく、かつ、女性マダムにいがちな頑張りすぎな感じも出さず、でも厳しく締めるとこは締める相当良好な接客。まあ、マダムの調子に合わせられない人は難しいのでしょう。自分も何度か怒られたし。あと、機嫌の良い悪いもありそうな予感。。。
今度は、絶対ピエモンテのコース、食べるんだ!!予約しなきゃ予約。
4位
1回
2009/09訪問 2009/09/05
京橋近辺に行ったときに、ちょっくら覗いてみるか~と訪問。
ちょうど2時くらい。そしたら、ありました!大量の生ケーキ。以前こちらにうかがった時には、ケーキは是非ともイートインしていただきたいとのコメントをいただいた。その時の説明方法が凄い。お寿司、持ち帰るのと、その場で食べるのとどっちがいいですか?だって!そりゃ、その場だ。
今日は、エベレスト、アラビックを注文。
店内で頂いてみる。すると、
なんだこれ!?!?!?!?!?
完全悶絶系。
エベレストは、生チーズのムースの上品な味わいから、レッドカラントの酸味が突然暴れ始め、それが薄切りのアーモンドと調和して凄すぎる!
アラビックは、コーヒー風味のチョコレートムースの中で、何層もコーヒーやクリームっぽい味わいが代わる代わる登場した上、クラスト状の物の歯ごたえで纏め上げられていて凄すぎる!
なんだ、ここのケーキ。。。こういうのを天才というのかね。。全ての素材が口の中でどのような役割を果たすのかが計算しつくされたケーキたち。全体的にガツンとフランスで食べるようなある意味無駄にどっしりとした重みがあるわけではないが、いわゆるつまらないさっぱり過ぎるスイーツというわけでもない。ほんとすげー。
ただ、面白いことに、チビチビ食べていたら、15分後には、全てのケーキがなにやらバランスを失いいまいち最初ほどの衝撃はなくなっていたかも。とにかく、こちら、イートインか、買ってすぐ食べないと駄目な気がする。。。
いや~、美味しかった。また行こうっと。
5位
1回
2009/08訪問 2008/08/31
以前に何度か訪れたことがあったが、故あって一人で再訪。
店内の内装は明るく、色々な絵が飾ってあったりして、何だかお金持ちの友人の家のダイニングに招待されたような気分になる。シェフとソムリエの方の雰囲気が似ていて何だか兄弟みたい。大満足の料理の詳細は以下の通り。
アミューズ:豚のリエットとリンゴのピュレをカリカリのパンと。豚のリエットの強い塩気をリンゴのピュレのやさしい甘みと酸味でふっと抜いてあげるという味わいのバランス。カリカリのパンの食感とあわせて幸せなスタート(注1)。
秋刀魚とジャガイモのサラダ:秋刀魚とジャガイモ??と思ったが、よく考えると、フランスでは青魚とじゃがいもなんて良く見る取り合わせのため、注文してみた。細かくつぶしたジャガイモの上にルッコラが敷かれ、その上に銀色の光沢を帯びた秋刀魚が敷き詰められた上、緑の枝豆が散らしてあって色合い的に美しい。秋刀魚の脂分と全体的に効いている酸のバランスが素晴らしい上、枝豆の青い香りとサクッとした食感が良いアクセントとなり、かなりの出来栄え。爽やかな出来上がりが夏にはぴったりの一品(注2)。
フォアグラと黒イチジクのポアレ:こいつぁーすごい。火入れの魔術がここに。塩をしっかり効かせたフォアグラは表面がカリッとして、黒いちじくの濃縮したあまーい味わいとの取り合わせが最高。ビネグレットをつめたソースの酸味のバランスもすごい。3みなほんの価値ありあり(注3)。
仔鳩のロースト:火入れの魔術師の技はここでも炸裂。胸肉部分の仕上がりにこちらの鳩料理の真骨頂がある。真っ赤な仕上がりで、一見火が通っていない。。。と唖然としてしまいそうな見た目だが、噛締めると火はちゃんと入っていて、えもいわれぬしっとりとした食感に酔いしれることになる。こちらの鳩を食べると、他で鳩を食べるのはかなり難しくなる。他ではほとんどの場合、火を入れすぎているのだ。低温で、ゆっくりと火を入れた鳩の凄みを堪能した。横には春巻き?が添えられていて、はとの内臓部位等を細かく切ったものが詰められていて面白い(注4)。
ココナッツのブランマンジェ、マンゴーソース:ブランマンジェはやや甘み抑え目。マンゴーソースの酸味が強く鮮烈(注5)。
総評として、この店の料理は相当レベルが高い。フォアグラ、鳩の火入れについては本当に感心するばかり。それ以外にも味わいのバランスのとり方が凄い。食材そのもののレベルよりも味わいをどんどん引き上げていくのがこちらのフレンチの真骨頂かもしれない。ワインをグラスの白赤程度の抑えたのもあり、値段も一人10みなほん程度。二人以上でくるときはコース、若しくは単品を2つに割ってくれる(大食漢でなければそのくらいの分量で丁度良いくらい)ので、もっとリーズナブルに食べられるかもしれない。味わいは、★4.5、コスパも考え合わせる最上級の評価をせざるを得ないお店だろう。
*********
注1:こちらの一品、かなり美味しいのだが、より衝撃度を上げるのであれば、リンゴのピュレの甘みまたは酸味を強くした方が良いだろう。それが狙いなのであれば問題ないのだが、今のままだと、リンゴのピュレが本文で書いたとおり、リエットの塩分により高められた味わいの緊張感を抜くという機能を果たしているに過ぎない。もっとぶつかるような強い甘みまたは酸があってもよいと思うが、まあアミューズだし、いいか。。
注2:秋刀魚の脂の乗り具合はまずまず。以前寿司屋めぐりをする前は感じたことがなかったが、高級寿司屋の秋刀魚と比べるとやや見劣りする。。。等とも思ったが、よく考えると土俵が違うものを比較するのは良くないと思うにいたる。こちらの一品は2みなほん程度で、2人でシェアすれば1品1みなほんになると言う代物。それを1カン1みなほんの銀座寿司と比べること自体ナンセンスだろう。
秋刀魚のマリネからは酸味よりも塩分を強めに感じる。酸味はむしろジャガイモの方でガツンと効かせてある(ジャガイモの中には細かく刻んだコルニション様のものが入っていて、こちらが酸を後押し)。この役割分担がすばらしい。枝豆の機能も本文に上げたとおりすばらしいが、ルッコラの味わいや香りが弱く、全体にかるーい苦味を与える程度にしか機能していない。本来であれば香りがもっと効いてくるはず。もう少しルッコラの質が上がれば言うことなしだが、やはり、コース6.8みなほん程度と出身のコートドールの半分以下の値段設定にしていることを考えるとやむをえないか。。
全体としてやや軽い味わいで、枝豆の香りも含めてやや日本的なニュアンスになってしまっているため、王道フレンチの一品ではない。
注3:フォアグラのカリッという食感は、更に細かく見ると、非常に細かい凹凸のカリカリ感であることがわかる。おそらく小麦粉をまぶしたフォアグラをバターで揚げるような状態にしてあるのだろう。このミクロのパン粉の衣のような食感が幸せ感を強める。フォアグラの塩分とソースの詰めた酸と濃縮した黒イチジクの甘みのバランスは凄すぎる。こういう料理を食べると、シェフはかなりの才能の持ち主であると認めざるを得ない。「フォアグラ」であるという以上に何の意味もない不味いフォアグラを供してしまっている世のフレンチシェフに食べさせてあげたいくらいだ。おそらく、フォアグラ自体はもっと高いものを使えばもっと美味しく仕上げることはできるだろうが、3みなほんと言う値段からするとここらが限界か。
注4:鳩については、以前、この赤みが視覚的にうけつけないと言っている友人もいた。食べると大丈夫なんだけどね、とは言っていたが。やはり、人間の先入観を取っ払うのは難しい。真っ赤なのに、低い温度で火が入っているというその矛盾を楽しむくらいの冒険心が必要かもしれない。以前は、内臓をそのままローストした状態で出していて、色々な食感を切り分けながら楽しめた。春巻きの具になっちゃうよりもそっちの方がいいんだけどな。。
注5:こちらの弱点はデザート。ブランマンジェは悪くないが、あまさ控えめのところに強い酸のソースをぶつけると酸味ばかりが勝ってしまう。デザートは以前食べたかぼちゃのクレームブリュレ(今はくるみのようだが。。)にしてもヌガーグラッセにしても地味。料理は上手だが、デザートが苦手というシェフも多い。フランス流の甘みがっつりのデザートが一品くらい置いてあったらいいのに。
まとめ:注では色々書いているが、大満足であるのには変わりがない。全体として以前よりも料理に日本的なニュアンスが香り始めているような気もするが、どうだろうか。。。
6位
1回
2009/03訪問 2009/03/16
食べログを開始してからはレビューはしていませんでしたが、今まで東京からえっちらおっちら、通った回数は20回程度か。。。Salone2007が現れるまではマイベストイタリアンでした。今でも、シンプル系イタリアンでは一番好きかな。アッカも好きだけど。
長らく訪問しづらい状況が何とか解消されたこともあり、ルンルンで訪問。以前は暴力的なまでの塩が両刃の剣だったナディアもだいぶだいぶ柔らかくなってきたな〰と思っていたところで訪問が止まっていたので、行く前から本当に楽しみだった。
有名なコロッケ屋の横を、少し不安になるくらい進むと、右側に古い民家から優しい光が漏れているのが見える。それが聖地ナディアだ。行くのがだいたい夜なので、いつも良く見えないのだが、自家製ハーブが育っている庭を横目に店内に入る。土間からそのまま土足で上がる罪悪感をなつかしく確かめながら入店。
店内は、古い民家を改造したものであるせいか、小さい頃住んでいた鎌倉を感じさせるとても落ち着く内装。
本日もまた、原さんのかわいらしい風貌からは想像できないような男前の料理が次々と登場した。
肉のパテ:かなり大ぶりな、ねっとりとしたラルド等様々な豚肉の部位により構成されたパテ。もふもふやわらかな食感とうまみ。こちらに添えられたにんじんなどの素朴なピクルスが柔らかく、バランスをつくりあげる。このように大きなピースにより料理が作られることが多いのが原料理の特徴。一つ一つのピースが大きいぶん、なんとはない空気感が口の中で生ずることになるため、濃縮したうまみのみを美味しいと思っていると、やや戸惑うというか。
サーモンのマリネ:ここでじゃないと絶対食べないような料理。肉厚のよくマリネされたサーモンにオリーブオイル、そして野生?と思うぐらい逞しいディル。それに、ざくざくした食感さえ感じる塩。それだけ。レモンすら加えないこちらの一品は、まずはたっぷり感のあるサーモンのうまみとオリーブオイルのコクが第一に感じられ、あとから急にザクザクした塩分により急速な締め上げがある。この急激な落差におもわず顔をしかめてしまうような幸せが体をかけめぐる。この落差を味わわせるために、レモンはあえて抜いてあるのだろう。強烈な茎の要素さえ感じられる元気いっぱいの自家製ディルもよいアクセント。シンプルな中に様々な計算が働いているサーモンマリネに脱帽。★4.5.
鶏レバーのリゾット:普段あまりリゾットは食べないのだが、同行者の願いもあり、本日はリゾットにすることに。リゾットは白ワイン由来か、やや酸味が強めのもの。なんちゃってリゾットではなく、当然生米から作っているため、米の力も十分。リゾットの中のポロねぎもやや酸味とのバランスを取る役割を果たしているが、レバーの異様なまでのコクとまったりとした食感が、鋭利な酸味を包み込み、こちらでも素晴らしいバランスが形成されている。時折砂肝やハツも登場し、こちらも歯ごたえとしては面白いが、やはりこのレバーと酸味のとりあわせがこちらの一品の真骨頂(でも、確かにレバーだけだったら飽きるかも。。)。★4.5.
ホロホロ鳥のロースト。こちらは基本的に肉はやきっぱか、煮込み。その単純な魅力で勝負するお店。パリっとした皮としっとりした胸肉(若干水分とび気味か。。)と対比されるようなここちよい脂をまとったもも肉部分。こちらにローストした玉ねぎ(?芽の部分まで食べられる)との合性が抜群。同行者に食べられてしまい、十分にたまねぎは堪能できなかったが、幸せ!★4.0~4.5.
ドルチェは、カッサータ。とにかく軽く、かつさくさくした食感の残るカッサータは、満腹中枢をも凌駕する。
ワインは(デザートワインも含めて)、一人グラスをいろいろひたすら7,8種類。贅沢に頼みまくりで、一人12みなほん。やすい。。。コルソが3.9みなほんの時点で信じ難いが、鎌倉であるがゆえに実現できる値段か。。
素材を最大限に生かして、、、等という陳腐な表現(にまったく見合っていない料理がほとんどの中、それ)がまさに体現されているのがこちらの料理。鎌倉の野菜、魚、そして元気な地物の肉のポテンシャルをイタリアンの技を使いながら高めていく皿の数々。地域の食材を生かしつつ、決して、残念なジャパニーズイタリアンには成り下がっていないこの店に出会えた自分はほんとうに幸せです。いつも幸せな時間をありがとうございます。
7位
1回
2009/08訪問 2009/08/16
どら焼き。
そんなに食べ歩いたわけでもありませんが、こちらのものは明らかに別格。すごいすごいと聞いてはいましたが、食べてみて本当によかった。
やや薄めの焼き色の一品。通常のどら焼きより若干太った感じの外観。
上質のカステラ以上に卵や蜂蜜の風味豊な厚めの生地。
豆の生命力がダイレクトに伝わってくるしっかりとした甘みの餡。
相当強い存在感をもつ生地と餡が主張をぶつけ合う感じ。どら焼きや大福など、生地と餡のどちらかの勝利に終わる場合がほとんどだが、こちらのものは、甲乙つけがたく、代わる代わる前に出てくる両者の存在を交互に確認しているうちに食べ終わってしまっている。
あーーーーーーー。幸せ。
店内には、こちらのどら焼きを英語やフランス語などで紹介した記事があったが、きっと外国人の方にもこちらのどら焼きの王道の美味しさは分かるだろう。
今度誰かにお土産であげよっと。
180円でこんな幸せが買えるなんて、考えられません。
「創業当初、菓子折のひとつひとつに入れていた「うさぎやは素人の菓子屋也」と始まる口上には、素人なるが故に材料は最上のものを選び、味を専一に、価格は廉価に、容器は廃物利用を心掛けと、営業方針を述べて居りますが現在もこれを守り営業致しております。」
とのお店からのメッセージ。高騰気味の洋菓子業界に是非参考にしてもらいたい姿勢だ。
8位
2回
2022/10訪問 2022/10/12
相変わらず全く増えないどころかどんどん減って行くメニュー。。でも、残っているのは完璧すぎて天国に飛べるくらい美味しいものばかり。シンプルな中の異様に奥深い世界を感じられる幸せ。旧ロットと新ロットのビゴール豚の生ハムの違いを堪能できた。濃縮した生ハムの旨味と香り。白身魚の赤ピーマン詰めの食感たるや。しっとりでも柔らかすぎずギリギリのテクスチャーを保ったツルツルの赤ピーマンの完璧さ。相変わらず希少な宝石のようなラタトゥイユ。こんなに背筋が伸びるスープがあるだろうかというスープドガルビュー。突き詰めすぎた世界の凄み。まあ色々あってできない品も多く、ラインアップが夕食を楽しむビストロとしてほとんど成立しなくなりかけててもこの店の凄さは否定することはできないわけだ。ちなみにブスカセ06が1万円って値段どうなってるのという話。
追記
大事なお客様と訪問。王様の宝石ラタトゥイユ、キャベクーのサラダ、肉のパテ。塩も火入れも何もかも決まりきった料理の数々。本日もこれ以上、上の世界なんてありっこない家庭料理の数々。。お客様も満足そうで良かったよかった。マディランは激シブだったけどね~。
追記
両親を連れて来訪。ラタトゥイユ、ビゴール豚の生ハム、ピキオ、ホワイトアスパラ(生ハムの骨から取ったスープと共に。このホワイトアスパラ、太すぎ。超ナッティー。個人的にはまだ上げることが出来る料理のような気がする)、スープドガルビューをいただく。
最後には、アルマニャックも50年代の物をいただき、フランス在住経験者の父も大満足。次はあの20年代のやつを。。。。
追記
ラタトゥイユ(相変わらず、宝石のような美しさ。若干普段よりさっぱりか)、セップダケの煮込み(異様なきのこのたっぷり感。若干塩は弱い気もするが、とにかくセップの魅力丸出し。水と生ハムのみで味付けしているとは思えないくらい深みがある)。
今さら言うまでもないが、これ以上の家庭料理には出会うことができないだろう。あまりの正しさに脱帽するばかり。同じ料理を作らせて、ここまで味わいのピントを合わせることができる料理職人は日本にはいないのでは?家庭料理というジャンルの中での最高峰という意味合いで★5.0.
コートドサンモン06(色合いはかなり薄め、グレープフルーツ、ライチの香り、味わいも若干水っぽいが、いかにも現地でがぶがぶやったら美味しそうな味わい)
オートセール05(色合いかなり濃い目、スミレ、茶系の東洋スパイス、プルーンの香り)
追記
ラタトゥイユ、肉のパテ、キャベクーとサラダ、ピキオの白身魚詰め、鴨の心臓を注文。相変わらず、どれもピントがあっていて素晴らしい。強いて感想を書くとすれば、やや鴨の心臓が小ぶりで、少しだけいつものジューシーな印象が弱かったこと(やや内臓くささがあり、瑞々しさに欠ける。こちらの方が癖があって好きと言う人もいる気はするが)、後、白ワイン→赤ワインと飲んでいる以上、順番として、肉のパテ→キャベクーサラダはおかしいと思ったことくらいかな。この順番だったせいで、白ワインは追加の必要ありでした(特にここのハウスワインとキャベクーの相性が抜群なので、追加せざるをえない!)。白、赤ワイン(馬鹿の一つ覚えでいつもオートセールを頼んでしまう。。04は、樽香の豊かさに比して、やや酸が前面に出ているので好き嫌いはあるかもしれないが、5000円であれば誰も文句は言えないだろう。)を二人でたらふく飲んで、一人8.8みなほん。安いな~。料理の完成度をこれだけ保ちながら、このコスパはやはり尋常ではない。感覚としては、一人15みなほんでも特段文句はないところ。
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夜の来訪。回数は数え切れず。この店程真っ当なビストロ料理を出すところはなかなかないだろう。出す料理は確かに、フランス南西部のランド地方の料理であり、またワインも南西部の物が多数あるなどややマニアック路線であるが、とにかく料理とワインがうまい!
異常なまでに丁寧に仕事がされている。その職人気質が原因でメニューが増えることはほとんどない。きっと相当程度高い完成度のものが出来ない限り人には出せないのだろう。実際10回以上来訪しているが、味にブレを感じたことは一度もない。
オリーブ、生ハム、フォアグラのパテ、グリーンサラダ、ラタトゥイユ、肉のパテ、いものグラタン、鴨の心臓、スープドガルビューが少しずつ出てくるコース。5000円程度で作ってもらった。
フォアグラのパテもかなり塩をしっかり効かせていて存在感満点。
グリーンサラダもしっかりと水がきってあり美味しい。
この店で一番感心するのはラタトゥイユ。ここまで凝縮感のあるラタトゥイユはなかなかない。野菜の周りに水分が一切出ておらず、うまみがぎゅっと詰まっている。へんに温泉卵をのっけたりとかそんな小細工は不要の王様のラタトゥイユ。
生ハムの骨から取ったスープドガルビューも滋味深い味わい。
ワインも、ジュランソンセックやらカオールやらマイナーの地域の廉価で美味しいワインが多数。
最後は、1988年産と1968年産のアルマニャックで〆た。
全ての料理が、シンプルながらも計算しつくされた味わい。まさに職人の世界。
後は1年にひとつくらい新メニューができるとうれしいかな。。
9位
1回
2012/10訪問 2012/10/30
概括:新生ビオディナミコは、想像を遥かに超える完成度。クッチーナレッジョナーレの安定感とヌオーヴァの軽やかさの心地よい同居。これを可能にしたのが、サローネグループナンバーワンの調理センスの持ち主の高見シェフ。サービスの大石氏の小回りのきく心地よいサービスとワインのマリアージュセンスのよさも注目。
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辻シェフの卒業にも不安は一切なかった。Salone2007に抜群の安定感をもたらした高見シェフが担当すると聞いていたから。
結果は予想を超える完成度。
横浜Saloneの供する攻めたクッチーナヌオーヴァとも辻シェフの穏やかなクッチーナレジョナーレとも違う、両要素を軽やかにあわせて自分のバランスに昇華させてしまったシェフに畏敬の念を抱きます。
中でもこの度は、フォッサのムースとモルタデッラのパテ、そしてコトレッタボロネーゼの出来が秀逸。
フォッサムースとモルタデッラのパテにはイチジクのジャムに鳥のブロードが加わり、渾然一体の輝きを放ったあと、すぐに儚く消えていく。もっと食べたい。。
コトレッタボロネーゼは、火入れの秀逸さにまず目を奪われる。コトレッタで肉質の良さと生ハムと揚げ物としての旨みをかみ締め、そして、ルッコラ、セミドライトマト、ジャガイモ等見知っているはずの素材が一々驚きをもたらすという今まであまりない体験。今まで5年間のサローネグループの料理の中で、最も秀逸なセコンドと思われる。
サービスの大石氏は、コック服を着ているのを見慣れすぎていたせいで、失礼ながらスーツを着ている姿に思わず何度も笑ってしまったが、以前はホールも担当していたとのことで、サービス面でも抜群の安定感。
加えて、お任せしたグラスワインのセレクトも外さない。料理の味わいや香りの記憶が細部までしっかりなされていて、そこに幅広くワインを当てていく感覚は実はクッチーナを担当していたことのある人間ならではのセンスなのかもしれない。全グラスワインに関して一点の曇りもない根拠の感じられるマリアージュがなされていた。
ここまで満足度の高い思いをしてしまうと、横浜に通う回数が減ってしまうような。。。そんな思いすら抱きながら、店を後にした。
次に伺うのが楽しみでしょうがない。
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10位
2回
2022/09訪問 2022/09/28
久方ぶりにビジネスランチ。あまり考えずに量のことのみを考えて3000円のセットを注文。10年以上も前の前回の記憶が素晴らしすぎて、色々この時点で注文を間違えていたことに後で気がつく。まずは前菜のセットのプレート。こういうのはそもそもあまり好みでないが、やはり一品一品の完成度がそこまで高くなくなんかチャラいジャパニーズイタリアンっぽい。ホタテと枝豆のトマトパスタも、トマトソースはそこそこちゃんとしていて全体的な味わい自体は悪くはないが、なんでこの二つが入っているのかの必然性は全くわからなかった。豚肩ロースは低温気味の焼き具合はそこそこ良いし、マスタードシード入りのマスタードソースも悪くないが無難。ドルチェプレートもなんかつまらない。エスプレッソだけは以前飲んだのと同じ感想で、クレマから想像する滑らかさより荒々しいテイストが印象的。
せめてシェフのおまかせにすべきだったと反省。以前レビューした懸念点が実現したものではなく、単なる自分の注文ミス(以前のじゅあん様のアレンジとまではいかないものの自分の希望を伝えるのと、あと、異様に忙しいランチタイムでなく夜に訪問する)であったことを願う。
La ciau del Tornaventoの片割れ、ラチャウにようやく行くことができた。
店内は、木の床とテーブルの感じのせいか、な~んとなく食堂的。そんな雰囲気が、サラリーマンや、某大学の関係者が多い客層とあっているような気がしないでもない。
じゅあんさんの入れ知恵で、現地風の味付けを所望。
コルソで出てきたものは以下のとおり。
うさぎのアルネイスゼリー寄せ(部位の食感などの違い、アンチョビ、やわらかい味わい。)サンダニエーレ産の生ハム(ピエモンテではこのようなものは出さないが、シェフのお好みとのこと)及び酢漬けトマトが多少面白いというか、普通のミニトマトだと思って食べてびっくり)★4.0~4.5.
ヴィッテロトンナート:ツナのみでなく、強い卵黄とアンチョビのニュアンス。仔牛は赤々と生感があり、また分厚くて非常にリッチ。ややソースが甘く感じるのはやや違和感ありだが、面白いことには変わりはないし、なんちゃってではなく、本物っぽさはしっかり感じられる郷土料理であるのが非常にうれしい。★4.0~4.5
ポルチーニスープ:ブリオッシュ、焼き色しっかりフォアグラ、深くかつ味わいは澄んだ印象のポルチーニスープ。そして、驚きのポーチドエッグ状?の鶉の卵。アクセント、一体感共にほぼ完璧。★5.0
ポルチーニの上に、黒トリュフがしっかりかかったほそ~いかつ硬めのタリオリーニ。どちらかというとサクサクするようなタリオリーニの食感も非常に繊細な印象を抱き、幸せ。★4.5
鴨肉と巨峰リゾット:こちらにもポルチーニ。見た目はリゾットというより、鴨肉のお皿か?というくらいしっかりと鴨が乗る。レア気味に仕上げた鴨の食感は素晴らしく、丁寧に作られたリゾもアルデンテ。ややボソっとした食感は残るけど。巨峰が強いアクセントとなり、渾然一体とした仕上がり。★4.5
仔羊すね肉。肉の棍棒みたい。。。。非常に濃い赤ワインソースで仕上げて、ローズマリーを強く効かせたシンプルかつインパクト大の一品。現地風の仕上がりだと濃すぎて拒絶反応を示す人はいるかもしれないな。。。★4.0.
実はVinoは、2本。Giacosa Fratelliのシャルドネ(リッチな果実味とバランスの良い樽の豊かさ)とドルチェット・ダルバ(生産者忘れ。。森の香りに野性味のある果実味、塩味に近いようなミネラル感もあり。)。信じ難いことに2本で1万円強のこれらのワイン。。兄弟分のトルナヴェントとは比べ物にならないワインのコストパフォーマンス!
プレドルチェは、白トリュフのハチミツが効いた、牛乳アイスに、バニラアイス。白トリュフの香りが乳脂肪に包まれる幸せ。★4.5
パンナコッタ、ヘーゼルナッツセミフレッド、チョコレートのタルト(フォンダンショコラなみの溶け具合)
等の盛り合わせ。あ~、もうお腹、限界!
エスプレッソ:知らないマシーン。。綺麗な仕上がりなのに味わいは荒々しい独特の味わい。
こちらも幸せな本物イタリアンでした。全体的に柔らかい仕上がりがシェフの目指す味わいなのかもしれないけれども、その中にある様々な要素の混じり方、アクセントのつけ方。幸せの時間。
そして、何故か、ホールで接客をするシェフは素晴らしい包容力とホスピタリティー。何度も伺っているけれどもほぼシェフに会ったことがないし、また、強烈なマダムのいるトルナヴェントとは全然違いますね。。
そして何よりもびっくりだったのが、これだけ食べてワインを2本あけて、一人11000円という値段!!!
これは一体どういう仕組みなのか。。。また超絶レストランを見つけちゃった。。。
懸念店は客層による料理への影響。これだけの実力を持っているならば、もっと強気に勝負をかけてもいいと思うけどな。自分主導で客層を変えていくというか。。まあ、自分は自分が楽しめればそれで幸せなんだけど。
とにかく、幸せ体験だったな~。
11月29日現在で、2009年には、529件のレストランを訪問し、レビューした。
正気の沙汰とは思えないが、本気の食べ歩きは続いている。
今年の後半に入り、寿司及び割烹熱は大分下がり、本業のイタリアンへの興味が強くなってきた。