先週、“近いうち解散”ですっかりかすんだ形になってしまったが女優の森光子さんがお亡くなりになった。
小さいころTVで時折見かけたり(3時のあなた!)とか、ジャニーズとの交友や放浪記の公演など晩年は週刊誌の中づり広告くらいでしか意識したことがなかったが齢90まで女優としての仕事を全うされたことはただのプロ意識とかではくくれない職業人としての凄味が感じられる気がする。
社会人になりたての頃、俳優の西村晃さんの家の近所に住んでいたことがあった。もちろん、こちらが一方的に存じ上げていた、というか気づいただけであったが。
真夏のとある日、炎天下駅までの道を歩いていると路傍で杖をついた老人がまんじりともせず立ちつくしていた。
?と思いつつも通り過ぎ、どこかで見たことある方だなと考えるとハタと気づいた。
「そうだ、黄門さまだ!」
当時すでに降板されていたが、イメージの強かった東野英治郎から水戸黄門の役を継ぎ、見事そのイメージが定着したとの覚えがあった。
その頃の西村さんは大病を患われた後で懸命に復帰を模索していた時期だったとも聞いた。
それから時折、杖をついて界隈を歩いている姿をお見かけした。ただそれは散歩とかのどかな話ではなくって病に侵され体力が回復しにくくなっている中でも懸命に復帰の糸口を探していたそのものの姿ではなかったのか、訃報に接したとき考えた。
ただ歩いているだけではない視線の険しさにちょっと驚いた、そんなこともあったりしたのだ。
自分はしがないサラリーマンである故、俳優と言う自らの才覚と努力だけで周りのひとの運命さえも取り込んでいく宿命みたいなものは想像するしかないのだが、名優と称された方々の訃報に接するたびに、あの道端で立ち尽くしていた西村晃さんの姿を思い出すのだ。
功成り名遂げ、その視線の先にあったものは一体…凡人には思いもつかないものなんだろうな。
森光子さんのご冥福をお祈りいたします。