4回
2020/08 訪問
中禅寺湖と男体山を望む、そばの香りと風景に癒される――奥日光「手打ちそば かつら」
いろは坂を登りきった中禅寺湖の湖畔。
その静かな水面を背景に、木の温もりを感じる小さな建物がひっそりと佇んでいる。
ここ「手打ちそば かつら」は、奥日光を代表するそば処のひとつ。店構えは素朴だが、足を踏み入れた瞬間に心を奪われるのは、窓の外に広がる中禅寺湖と男体山の絶景だ。
店は一階が手打ちスペースと注文カウンター、二階が客席になっており、まるで展望台のような構造。
大きな窓からは、まぶしいほどの光をたたえた湖面と、雄大な男体山が一望できる。
この景色を眺めながら食事をするだけでも、日光の旅が一段と豊かなものになる。
現在はコロナ禍以降の工夫として、セルフ受け取りスタイルを採用している。
一階で注文を済ませ、番号が呼ばれると、二階の料理用エレベーターに自分の料理が届くというユニークな仕組みだ。
扉を開けて湯気立つそばを受け取る瞬間には、ちょっとしたワクワク感さえある。
そんな小さな所作までも、この店の“今の形”として味わい深い。
この日は、そばがきセット(ゆば巻き付き)、ます塩焼きセット、そして定番の手打ちそばを注文した。
そばがきは「焼き」と「醤油だれ」の2種類が楽しめ、特に醤油だれに七味を少し加えた香ばしさが格別。
素朴ながら奥深い味わいに、自然と心がほどける。
添えられたゆば巻きはほんのり甘く、日光ならではの上品な逸品だった。
ます塩焼きは中禅寺湖の名物“ひめます”を使用。
皮はパリッと香ばしく、身はふっくらとした焼き上がり。
淡水魚とは思えないほど脂がのっており、地の恵みをそのまま味わうような満足感がある。
窓の外の湖を眺めながら食べる一口は、まさに“この場所でしか味わえない贅沢”だ。
そして何より印象的なのは、手打ちそばの完成度。
細めながらしっかりとしたコシがあり、口に含むとそばの香りがふわりと立ち上がる。
やや甘めのつゆは、出汁の旨みが柔らかく広がり、そばの風味を邪魔せず寄り添うような味わい。
不揃いな麺の太さに職人の手仕事を感じながら、一口一口を丁寧にすすりたくなる。
観光地のそばというと“雰囲気重視”の印象を持つ人も多いが、「手打ちそば かつら」はその固定観念を覆す。
中禅寺湖の絶景を背にしながらも、味は本格派。
手打ちへのこだわりと、地元の食材を生かした料理が見事に調和している。
食後には、男体山を望む窓辺でしばしぼんやりと湖を眺めた。
風が静かに吹き抜け、そばの香りと混ざり合う。
まるで時間がゆっくりと流れ出すような感覚。
「手打ちそば かつら」は、ただのランチスポットではない。
それは、日光の自然と職人の手仕事が織りなす、“心に残る一膳”を味わう場所だ。
中禅寺湖に来たなら、男体山の姿を眺めながら、この一杯を。
旅の記憶が、確かにひとつ深くなる。
2025/11/09 更新
2018/11 訪問
絶景と本物の味が楽しめる、ひっそり佇む名店。
日光・中禅寺湖のほとりに、静かに佇む一軒の蕎麦屋さん。
一見すると観光地の何気ない食事処かと思いきや…ここ、実はかなりすごいお店なんです。
まず特筆すべきは、店内から望む中禅寺湖の絶景。
2階の客席からは、窓いっぱいに広がる湖の景色が一望できて、まるで絵葉書のような眺め。
四季折々の自然を感じながら、ゆったり食事が楽しめる贅沢なロケーションです。
そして肝心のお蕎麦。
こちらは店内1階にそば打ちスペースがある本格手打ちそばのお店。
そばの香りと風味がしっかりしていて、のど越しもよく、文句なしの美味しさ。
「そばがき」も提供されていて、ちゃんと“蕎麦で勝負している”店だと実感できます。
さらにぜひ味わってほしいのが、中禅寺湖で獲れるマスの塩焼き。
ふっくらジューシーで、塩加減も絶妙。
お蕎麦と並んで、このお店の名物といえる逸品です。
駐車場はありませんが、徒歩圏内に比較的大きな無料駐車場があるので、車でのアクセスも問題なし。
観光地にありがちな“雰囲気だけ”のお店とはまったく違い、
本当に美味しいそばを、絶景と一緒にゆっくり味わえる貴重なお店。
日光・中禅寺湖に来たら、ぜひ立ち寄ってほしい一軒です。
2025/06/13 更新
2015/07 訪問
中禅寺湖の絶景と、香り高い手打ちそば。再訪したくなる理由がここにある。
美味しいそばが食べたくなって、ふと思い出したのがこちらのお店。
有名な「三たてそば 長畑庵」と迷った末に、今回は再び「かつら」さんへ。
■ 湖畔のロケーションと、ゆったりした時間
お店は「日光山輪王寺 別院 中禅寺(立木観音)」のすぐ近く。
観光地にありがちな寂れた雰囲気もありますが、2階の席からは中禅寺湖を一望できる最高のロケーション!
この日は日曜の午後。先客は2組ほど。
料理の提供には少し時間がかかりますが、目の前に広がる湖を眺めて待つ時間すら心地よく感じられる、そんな空間です。
■ そばの香り、ひめますのふっくら感。料理の満足度は高し!
料理は今回も、相変わらずの美味しさ。
特にそばは、しっかりとした風味とコシがあり、ひと口ごとにそば粉の香りが広がる本格派。
そばがきも丁寧に練られていて、口当たりなめらか。ゆばと合わせて食べるとまた格別。
そして今回いただいた「ひめます」も見事な仕上がり。
ふっくらとした身に香ばしい焼き加減。
中禅寺湖ならではの味わいを、しっかり楽しめました。
■ 参考メニュー
• そばがきセット(ゆば付き) … 約1,500円
• ニジマスの塩焼きセット(ゆば付き) … 約1,600円
• 一合そば … 735円
• 天ざるそば(マイタケ/エビ/わかさぎから選択) … 1,680円
観光地の食事に対して正直あまり期待していなかったのですが、良い意味で完全に裏切られました。
味もボリュームも、そして景色も、どれも満足度が高く、日光に来たらまた訪れたいと思える一軒。
「観光地でも、ちゃんと美味しいそばが食べたい」
そんな人にこそ、ぜひおすすめしたいお店です。
2025/06/13 更新
【要約】
奥日光・中禅寺湖畔に佇む「手打ちそば かつら」は、湖と男体山を望む絶景のそば処。木の温もり漂う二階席からの眺望はまるで展望台。メニューは手打ちそばを中心に、そばがきセット(ゆば巻き付き)やます塩焼きセットなど地元食材を生かした構成。そばは細めで香り高く、しなやかなコシとやや甘めのつゆが絶妙に調和。ひめますの塩焼きは外パリ中ふっくら、そばがきは香ばしく滋味深い。ドリンクは地酒やソフトドリンク中心で、平均価格は1,200〜2,000円台と観光地としては良心的。味・景色・雰囲気すべてに満足度が高く、日光旅の締めくくりにふさわしい一軒。
【本文】
東武日光駅からバスに揺られて約40分。
いろは坂を登りきると、目の前に中禅寺湖の青い水面と、堂々とそびえる男体山が広がる。
その湖畔に佇むのが「手打ちそば かつら」だ。
木の温もりを感じる和の建物は落ち着きがあり、湖畔の景色と静かな空気が旅の疲れを癒してくれる。
特に2階の窓際席は、男体山と中禅寺湖を一望できる特等席。
風景そのものがごちそうになる。
この店のそばは、見た目の美しさと香りの高さが際立っている。
細く繊細な麺をすすれば、しなやかなコシとともにそばの香りがふわりと鼻を抜ける。
日光の名水で打たれたそばは、口当たりがやさしく、それでいて芯のある味わい。
やや甘めのつゆとの相性も抜群で、食べ進めるほどに丁寧な手仕事を感じる一枚だ。
そしてもう一つの名物が、中禅寺湖の恵み「ひめますの塩焼き」。
淡水魚とは思えないほど脂がのり、ふっくらと焼き上げられた身はほろりとほどける。
香ばしい皮と柔らかな白身の対比が絶妙で、まさに中禅寺湖の自然を味わうようなひと皿。
タイミングが合えば、産卵前の大ぶりな個体に出会えることもあり、その味わいは格別だ。
店内は観光客で賑わいながらも落ち着いた雰囲気。
旅の途中で立ち寄る人もいれば、地元の常連がのんびり昼を楽しむ姿も見られる。
いずれも共通しているのは、湖畔の静けさを感じながら、一杯のそばに心を委ねていることだ。
「手打ちそば かつら」は、単なるランチスポットではない。
男体山の雄姿と中禅寺湖の穏やかな水面を眺めながら、自然と一体になって味わう“日光の時間”そのもの。
香り高い手打ちそば、湖の幸ひめます、そして澄んだ空気――そのすべてが心と体に沁み渡る。
旅の途中、風景とともに味わう一膳のそば。
ここ「かつら」で過ごすひとときは、きっと記憶に残る“日光の昼餉”になる。