『「離愁」 @新文芸坐』AI94さんの日記

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AI94 (女性・東京都) 認証済

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昨秋から嵌っている(いや、もうこれは一時的なものとは思えない)ロミー・シュナイダーの作品がかかるという情報を見つけ、それも彼女の代表作の一つ『離愁』となればもう行くしかないでしょう。

『離愁』(1973年)
1940年。ベルギーとフランスの国境近くに住むラジオの修理工ジュリアンは、ドイツ軍の侵攻から逃れるため妻子とともに村を離れるため列車に乗る。
妊娠中の妻と子どもは列車の客室に乗せ、自身は家畜車に乗る彼は、ある駅で列車に乗り込もうとする若いユダヤ人女性アンナと出会う。初めは言葉すら交わさない二人だったが、次第に惹かれ合うようになっていく・・・。

狭い貨車の中で寄り添いながら旅を続けていくうちに気持ちが高まっていく男女の姿をジャン・ルイ・トランティニャンとロミー・シュナイダーが見事に演じています。もぅそれは、スクリーンから男女二人の生身の肌の温もりを感じるほど!
戦時下という不自由な境遇、非常時にありながら、画面はフランスの美しい田園風景を映し出し、それが対比されるように描かれています。

ロミーはここでもトレードマークともいうべきひっつめ頭(髪を後ろで一つに束ねているヘアスタイル)で、とてもとても魅惑的です。
トランティニャンもラジオの修理工でありながらスーツを着ていて(避難するからこそきちんとした服装だったのではと想像)生真面目な一面が垣間見え素敵(甘ったるい二枚目ではないところがイイ!)。
二人の情感極まるラストシーンとその後の余韻を感じるだけでこの映画を観る価値は十分にあるだろうと思います。

こうやって彼女の作品を一つ一つ観て足跡を辿って行くことが楽しみになりますね。


GWにそろそろ入る週末でも観客は少なく、私的には残念に思いました。
(以前にも書きましたが、これだけの名作になると既に観ている人の方が多く、再度映画館まで足を運ぼうという人は少ないからなのかもしれません。)
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