11月15日(土)から21日(金)までの一週間、上記特集上映があり、以下の1本を観てきました。
『純白の夜』(1951年)
郁子(木暮実千代)は銀行員の夫 村松恒彦(河津清三郎)と評判のドラクロアのデッサンを見に銀座のある画廊へ立ち寄ったとき、楠(森雅之)に出逢った。彼は恒彦とは学習院時代の友人であったが、何よりも初めて見る郁子の美貌にうたれた。
それから彼は人妻である郁子に積極的にアプローチしはじめ、最初はそうした楠に反感を持っていた郁子も次第に彼に惹かれていく・・・。
周囲も羨むほどの仲睦まじい夫婦が、楠の出現と共に郁子の心が乱れ、楠と郁子のスキャンダルを知った恒彦の同僚 沢田に強姦され、最後は自殺に追い込まれてしまうという問題作。
三島由紀夫の3作目の長編小説(三島当時25歳、「婦人公論」における初の長期連載物)の映画化。
森雅之が出演しているから観てみたかったわけですが、郁子への熱い想いを単刀直入にぶつける役どころは彼のような二枚目役者だったとしても、演じるのがそう簡単ではなかったと想像します。
ふとさり気なく送る視線や表情がやはり素敵でしたねー。
楠の想いにぐらつき、次第に彼を愛すようになるブルジョワ夫人役の木暮が色気たっぷり。
(若き日のスチール写真は見てはいたものの、中年以降の妖艶なイメージしか知らなかっただけに、女優としての全盛期の彼女を実際に観ることができて良かったです。)
冒頭約10分が欠落しており、ドラクロアのデッサンを持った楠が村松家を去ろうとする玄関先のシーンから映画は始まっています(戦前の作品ならまだしも、50年代でも未完全の作品があるんですねぇ。。)。
郁子の妹役で津島恵子、その恋人役で佐田啓二も共演しています(が、彼ら二人の出演シーンも短く、主演3名のストーリーが濃密すぎて印象が薄くなっています)。
一週間のみの特集で、観たのが週末だったこともあってか、いつもより若い世代が目につきました(三島の魅力は永遠なのでしょうね)。
ちょうどこの後三島自身が出演している『憂国』の上映があり、そのときはロビーはかってない混みようでした。