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青豆豆腐といり番茶
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青豆豆腐;アップ
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生湯葉の椀物
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生湯葉の椀物;アップ
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ぐじの焼き物
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ぐじの焼き物;アップ
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ぐじの椀物、えんどう豆ご飯、漬物
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ぐじ椀物;アップ
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えんどう豆ご飯;アップ
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漬物;アップ
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外観
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京阪線河原町 4番出口を出て、通り向こうのマルイの方へ道を渡ります。
南へ直進、二つ目の角(ディリーヤマザキを通り越した角)を左折して細い道に入り少し歩いていった左側にお店があります。
(この細い道には風情のあるお店がたくさんあり歩くだけで楽しいですね。)
紺色の暖簾をくぐり引き戸を開けて入ると、L字型のカウンターに10席程度の小さなお店。
週末だったので19時に予約して伺いました。
席は半分程埋まっていて、入った瞬間からどこかほっこりと温かい雰囲気に包まれています。
差し出されたおしぼりで手を拭きながら、お茶をいただくことにしました。
スモーキーで深い味わいのお茶が、肌寒い日に冷えた体に染み入ります。
突き出しはお豆腐、てっぱい(“ぬた”のこと)、おからの3つから選びますが、一番気になっていたお豆腐にしました。
青豆豆腐: 角をまあるくえぐった青豆豆腐にたっぷりの葱とおろし生姜が付いてきました。
やや照明を落とした中でもしっかりと確認できるほのかに緑色のお豆腐は、ふるふるの柔らかさ。
食感とお味を確かめようとしても、ほぼ同時に口の中で溶けてしまうような。
じんわりと感じる温かさと、豆本来の甘味と青豆の爽やかさ。
そのままで十分美味しいですが、下に敷いてあるお醤油と合わせることにより、豆腐の甘さが際立ちます。
爽やかな葱と香り良い生姜を合わせるのも至極。
すーっと体の中に入っていく豆腐の余韻・・・。
お豆腐の温度は季節によって温・冷と変えているそうで、細やかな心配りが感じられます。
一通り今日出来るお料理の説明を受けますが、どれもとても魅力的で迷ってしまいます。
その中で気になったものをいただいてみることにしました。
生湯葉の椀物: こんもりと盛られた生湯葉に青菜、周りにはたっぷりとあんがはられていました。
「山葵を溶かしてお召し上がりください」との言葉に従うと、あんに薄緑色でぐるりと弧が描かれ、それを見るだけで美しいです。
しっかりとした食感の湯葉はお味もぎゅっと濃いです。
ゆるやかに横たわっているあんのお出汁はどこまでも優しく・・・。
魚介、椎茸、昆布・・・いくら味わってもどの味も尖っていません。
子供の頃、家族で日光に行った帰り、鬼怒川でいただいた湯葉が美味しく、それ以来湯葉が大好きになりましたが、こちらでいただいた湯葉はそのお味を想起させました。
湯葉の食感を楽しみながら温かいあんをいただく幸せ。
ぐじ焼き物: ぐじとは甘鯛のこと。
生憎その日はぐじの刺身は売り切れ、焼くのならできるとのこと。
頭の骨有り、骨無し、どちらでもできるとのことで、迷った挙句、骨無しの方をお願いしました。
運ばれてきたぐじの頭はかなり大きくてびっくり。
香ばしい香りに包まれながら、ふっくらとした身をいただきます。
上品な甘味の奥に、コクと脂の旨味が潜んでいます。
添えられたレモンを絞るとお味がきゅっと締まります。
火入れ加減、そして塩加減が絶妙・・・素材を生かす塩加減とはこういうこと。
ぐじ椀物: いただいた後の骨と皮からお椀にしていただけるということなのでお願いしました。
運ばれてきてから少し時間を置いてからの方が旨味が出るようで、ちょうど良い頃合を教えてくださいます。
蓋を開けた瞬間、あまりに綺麗で声を上げてしまいました。
ぐじから出た上品なお出汁が心ゆくまで楽しめます。
京料理のお出汁とは人を優しくさせるもの・・・そんな風に思います。
湯気と共に立ち上がる柚子の薫りに魅せられて。
えんどう豆ご飯: 椀物に合わせてお薦めいただいたお品。
お腹加減に合わせてよそってくださいます。
画像からはわかりませんが、ご飯茶わんの表と中の模様が違うところがとってもお洒落。
えんどう豆は柔らかく、それに合わせてごはんもふっくら柔らかめ。
柔らかめのご飯が好きな私にはぴったりでした。
そのままでいただいても美味しいよう、極々少量の塩味がつけてあります。
ほっこりと豆とご飯の甘味を楽しむ瞬間。
漬物: ご飯を頼むと付いてきたのは、花大根、山芋のわさび漬け、菜の花漬けの3種類。
綺麗な彩りで、いただく前からワクワクしてしまいます。
花大根(二十日大根)は甘味、山芋のわさび漬けはピリリと、菜の花漬けは菜の花の苦味さえも感じられました。
あまりに美味しく、それを告げると、錦市場にある打田という漬物屋のお品であることを教えてくださいました。
お漬物からいただく季節感に笑顔。
最後はお茶で締めます。
温かいお茶を何度も入れ直してくださる心遣いが嬉しいです。
スモーキーな独特の風味だったので伺うと、“いり番茶”というお茶だそうです。
ラプサン・スーチョンという中国茶にも似た煎った薫りが特徴的で、多少の苦味の後味はすっきり。
いただいたお料理の味と共に、このお茶の風味もずっと記憶に残ることでしょう。
素材の味を生かす火入れと塩加減は絶妙の一言。
旬の食材を生かす調理法でお料理を提供してくださいます。
複雑な装飾をそぎ落とした簡素な盛り付けこそが美しいと思わせてくれるようなお料理。
すべてではありませんが、半分でも提供していただけるお料理もあるそうで、お一人様にも嬉しいサービスです。
メニューにはお値段が記載されていないので、お勘定の際ちょっとドキドキしたのですが、予想していたよりお安くてホッ。
こちらを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれかと思います。
珍しい食材を多用し、手間をかけ、用意された懐石料理とは違います。
整然とお座敷に通され、テーブルにつき、お料理をいただくようなスタイルでもありません。
肩肘張らず、ふっと力を抜いて、気になったお料理を美味しいお酒と共にいただく・・・そんなお店です。
お隣同士の話が聞こえてくるようなカウンター席なので、見知らぬ者同士話しがはずんでしまうこともあるでしょう。
ご家族でやっていらっしゃる温かい姿勢がそのまま、さりげなく、細かい心遣いに通じている、そんな素敵なお店です。
席数に限りがあるため予約は必須(もしくは遅い時間なら空いているかもしれません)。
季節を変えて又訪れてみたいお店です。
隣席の方がいただいていたてっぱいがとても美味しそうだったので、いつかそれもいただいてみたいです。