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京都地野菜のオードヴル
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京都地野菜のオードヴル
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フォアグラと近江しゃものテリーヌ
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スズキのソテー、まつたけ、黒米リゾット
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タン元の赤ワイン煮
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シャラン鴨のロースト
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京都地野菜のオードヴル
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インカのめざめの冷製スープ
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京都地野菜のオードヴル
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ココナツミルクのブラマンジュ、キャラメル塩アイス
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ピザ生地のパン
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京都地野菜のオードヴル
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京都地野菜のオードヴル
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おつかれ。おめでとう。
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コーヒー
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凛として
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今週の地野菜
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とうとう500件目になりました。もうそれだけで、感無量です。始めた当初は、100件までいくのかなあ、なんて思っていましたから。こんな極私流レビューに対しても、ずっとあたたかいはげましをいただき、みなさまには深く感謝いたします。あなたのことです。
記念レビューのお店をどこにするか。決める前に決めたことがあります。それは、千葉からBさんを呼ぶこと。ここまで来れたのも、Aさん、Bさん、Cさんの協力の賜物です。3人の協力なしにはここまで出来なかったことです。感謝を込め、代表してBさんに大阪に駆けつけてもらいました。そして二人して京都に行き、今回お世話になる西洋厨房いとうに向かいました。場所は知恩院の前、東山三条です。
少し早起きしてたまき亭に立ち寄り、焼きたてでやけどするくらい熱いパンを食べてもらいました。この計画は成功でしたね。この顛末は後ほど報告します。そこから、京都に行き、地下鉄で三条京阪へ。そこから、暑い日差しの中ふたりで歩いてお店まで。15分くらいでした。
お店は想像したとおりの、全く地味な外観です。ここがフレンチのお店?って感じですが、そこが行列の今回お店を決めた理由です。今回は料理を楽しんでください、とあらかじめBさんに言ってました。京都・フレンチという語感からは、古い民家を使った素敵な雰囲気の中で、とか、豪華食材とシェフの技、なんて思うステレオタイプのイメージがあります。今回は、それも魅力ありますが、まじめなフレンチをいただこう、という気持ちでこのお店を指名させていただきました。
ふう、と息を継いでドアを開けます。ちょっと緊張してました。お店の中は想像以上に、こじんまりとしていました。
こんにちは。いらっしゃいませ。厨房で準備をしていたシェフのいとうさんが振り返って、ごあいさつされました。短髪で精悍な顔をされ、見るからに律儀、実直という言葉がピッタリのかたでした。電話で予約をしたときに、少し話をしてました。
今日は、よろしくお願いします。
厨房を囲むように作られた3辺からなるカウンター席。厨房と言っても、どうやら火を使う場所は奥に作られているようで、この場所は、シェフのパフォーマンスが見られる場所のようです。カウンターの1辺には何人腰掛けるのでしょうか。この日は、われわれのあとから2組3人が入ってきたので、ちょうどシェフを囲む形で3組が1辺ずつ使えてゆったり過ごせました。
しばし、おしぼりで手を拭きながらこれから始まるランチに思いを馳せます。シェフから飲み物を聞かれましたので、迷わずビールをお願いしました。何もなくてもビールですが、ここまで歩いてきてのどが渇いてます。陶器の冷えたグラスにビールをついで、乾杯!いままでの協力に感謝して。500回、おつかれさま。
今日のお料理はあらかじめ電話でオーダーを入れてあります。5000円のコースです。シェフらしいな、と思ったのは、お店に置いてあったランチメニューにしても、ぜんぜんかっこつけず、必要なことだけ書かれていて。そんなことに一生懸命にならずに、もっとやることが、と言っているような。
Bコース
京都地野菜を取り込んだオードヴル
本日のお魚料理
本日のお肉料理
デザート
エスプレッソetc
さて、シェフが調理開始しました。バーナーに火をつけて、とうもろこしを焼き始めました。ん?オードヴル?
違いました。メニューに書いてませんが、シェフにとっては当然のスープからのスタートでした。そのスープに入れるコーンの下拵えでした。
インカのめざめの冷たいスープ
インカのめざめは聞いたことがありましたが、食べるのは初めてです。とっても小さなじゃがいもで、小さいほど甘い希少種のじゃがいものことだそうです。果肉が濃黄色で栗のような甘さがある。
その通りの自然に甘いコクのある冷たいスープでした。そこに、風味と食感のために焼いたとうもろこしのつぶつぶを入れる。この味の料理は初めて食べましたが、このときほど素材の力強さを感じたことをありません。すばらしいスープです。それを、まあ、さりげなく、普通っぽく見せる器を選んで配膳する。らしい、実にシェフらしい。ここが、いいんです。
フォアグラと近江しゃもの胸肉ともも肉のテリーヌ、しゃもの内臓のゼリーとバルサミコソースで
これもシェフの実力が出てしまう料理です。シャモのパテですね。あわててワインをお願いしました。味の複雑さとしゃも肉のうまさがからみあって、これは食べ応えがありました。アクセントにバルサミコをもってくるんですか。なるほどねえ、たしかに、いいアクセントになります。ゼリーだけでもその味のハーモニーに圧倒されるのに、見た目とアクセントを兼ねたバルサミコソースに、もっとありませんか。
う~ん、これはいいお店に当たったもんだな、とこの時点で更に期待がふくらみます。いとうシェフは、料理の配膳のときには、使っている素材や料理のことを全部説明してくれるのですが、早口と声が小さいときがあるのとこっちが知識がないんで、よく分からないときもありました。とってもシャイな話し方に好感が持てます。やっぱり、このお店を選んだ眼に狂いはない。
シェフがいろんな野菜の下拵えを始めました。メニューにあるオードヴルですね。
京都地野菜を取り込んだオードヴル
これがメインと思うほどの華やかでボリュームのある1皿です。シェフの話では、これは京野菜ではない、京都の地野菜だ、と何回も念を押されてました。小規模に野菜を作っているところから入手しているということで、流通しているものを集めている野菜とはちがいます。ここが、違うんだなあ。野菜によって何箇所かに分けての入手とか。京都の材木屋さんが作っている路地野菜もあるそうですよ。
全部の野菜を教えていただきましたが、分かったのはこのくらい。2種類の万願寺とうがらし、かぼちゃ、ズッキーニ、なす、きゅうり、白なす、赤おくら、マクワウリ。プラス、砂肝のパテ、牛肉のたたき、トマトソース、レモンオイル。
形の凝った皿に、たっぷりの野菜。熱が入って調理されていたり、そのままだったり。これこそ味のワンダーランドでした。もうここまででごちそうさま、でもおかしくない、すばらしい1皿でした。野菜が違う。野菜がいきがいい。ソースが違う。
スズキの低温ソテー、はものミートソース添え、まつたけ、黒米のリゾット、サマートリュフのせ
この本日の魚料理も迫力でした。魚とは思えない味の膨らみをサポート隊の力を存分に借りてお客さんに提供する。このワザはどこで学んだのですか?スズキはぱりぱりに香ばしく焼き上げられているのに内部はじわっと膨らんで水分が魚本来の旨みを残している。この分野の料理にうとい行列ですが、この料理のすごさは分かります。何より、旨い。こんな旨い魚料理、過去に記憶がありません。一番の素材に培ったワザ。眼の前でさっさと手を動かしてどんどん次々に料理を出してくるシェフを、尊敬のまなざしで見てしまいます。
タン元の赤ワイン煮、3種類の芋、ナス、デーツ
この料理だけでしたね、想像した味の延長線上で、旨いなあと思ったのは。あとの料理は想像も出来ませんでしたから。タンのうまさを引き出す調理方法は、それは行列のやり方とは比べものにならない手のこんだものでしょうね。柔らかくするのと歯ごたえを残して肉のうまみを残すという二律背反のどこに着地点を置くのか。ど真ん中の正解だと思いました。
シャラン鴨のロースト、にんにくソース、サマートリュフ、デーツ
この鴨、めちゃめちゃうまい。濃厚な味、噛みこんだときの歯ごたえ、風味、ローストのこげ味、すべて満点だと思います。肉料理は、Bさんと別々なのをオーダーしましたが、こっちの鴨の取り合いでした。魚は1種類しか選べません。鴨の素材も違うんでしょうが、やはりローストの方法なんでしょうね。う~ん、またまた、目の前のシェフは只者でないのに気がつきます。シェフの経歴を全く存じませんが、すごい経歴をお持ちなんでしょうね。尊敬光線を発してお顔を見てしまいました。
デザートとコーヒー
キャラメル塩アイス、ココナツミルク・バニラのブラマンジェ、洋ナシコンポート
参りました。デザートまで完璧です。
値段のことを言いたくありませんが、こんなCPの高いフレンチとは思っていませんでした。安過ぎる。Bさんとふたりで、すばらしい料理ストーリーに酔いしれました。お料理中心で行く、が、今回の狙いだったのですが、予想以上の料理ドラマにすっかり興奮してしまいました。記念レビューが恥ずかしくなるほど、お料理のほうがずっとすばらしく、そのすばらしさをきっちり伝える自信がありません。そして、このお料理だからこそ、この空間が生きてくるんだと。この無駄や華美を排した空間こそ逆に料理に専念し、料理のすばらしさを純粋に感じ、感動できるんだとやっと分かりました。
いとうシェフ、西洋厨房いとう、に助けられて実力以上に内容のある500回記念レビューを書くことが出来ました。たいへんありがとうございました。
また次回から、第一歩。今度はゆっくりいきますよ。