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一切れの庄内浜の寒ブリと月の雫の塩
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メジマグロのタルタータと庄内麩
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米沢の雪菜とパルマの生ハム
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黒鯛の冷たいカッペリーニ
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夢にまで見た外観
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自家製フォカッチャ
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寒ダラとゆずをオーストラリアの黄色い香りのオリーブオイルでゆっくり煮て
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わんぱく卵とかぼちゃとハチミツ
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タラの白子とうるいのシンプルなスパゲッティ
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ヤナギガレイのグリルとかまいしキャビアのソース
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女ガニと板垣さんのブロッコリー、庄内米はえぬきリゾット
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米沢の雪菜とパルマの生ハム
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立川の鳩とゴボウのすんだスープ
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羽黒の仔羊のローストと糸かぼちゃのマリネ、タイムの結晶塩
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じゃがいものニョッキ、庄内町マッシュルームのフォンデューダと冬トリュフ
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お口直しのラフランスのシャーベット
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ドルチェ1皿目
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ドルチェ2皿目
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モンブラン うるしいんげん豆とキャラメルムース
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モンテルーナ月山 モッツァレラチーズ、りんごとティラミス 山くるみ、ヌガー
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ワイン鳥上
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蔵王ワイン
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月山地ビール
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エンブレム
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調味料
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店内に掲げた本日のメニュー
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飲み物
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予約のお客さんが続々来店
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食材提供の仲間たち
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お店の前にある彫刻像
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ようやくレストランレビューの700軒目を迎える事ができました。読者のみなさまに深く感謝申し上げます。
今回の新潟、山形を駆け足で回る旅行を決めたのは、ようやく、アル・ケッチャーノの予約が取れたからです。過去、自由になる日には、なかなか予約が取れず、まあ縁がなかったなあ、で済ましちゃうんですが。ここが食べログをしていると、粘るんですね。予約が取れるまでがんばっちゃう。イタリアンの料理人で世界で名前を知られている人のなかに、この奥田シェフが含まれている。そんな記事を読んでから、いつか絶対奥田シェフのお料理を食べたい、そう思っていました。
奥田シェフは、故郷である庄内のすばらしさを熱く語っています。風土が良質な、豊かな食材を提供してくれる。四季が明確で、寒暖の差が大きい。夏の日照時間が長い。月山、鳥海山、最上川の肥沃な土壌。山から流れる川が海を豊かにして、多種類多様な魚介を育てる。このような稀有な土地が庄内である。
こんなに寒い日になろうとは、予約したときには夢にも思いません。それがまたいい思い出にもなりましたが、お店に向かっているときは必死でした。酒田に着いたその日、酒田で映画おくりびとのロケ地を周り、名物のワンタンメンを食べて、それから羽越線に乗って鶴岡までやってきました。レンタカーの移動はあきらめざるを得ない、大雪になってしまいました。鶴岡駅前のホテルにチェックインして、フロントにはそのときお店の予約時間に間に合うように、タクシーを頼んでおきました。そうすれば、もう絶対お料理が食べられる。
定刻になってホテルを出発。タクシーの中から鶴岡の小さな商店街を見ていたら、あっ、ここにもおくりびとのロケ地がありました。運転手さんに言って、回ってもらいます。銭湯です。映画では重要なシーンで出てくる銭湯です。はっきりとデザインを覚えている銭湯の前にとめてもらい、うれしいひと時。
そして、いよいよアル・ケッチャーノとのご対面。写真で見た建物が、雪の中、灯りに囲まれて突然現れました。入り口から中に入れば、別世界が待っているはずです。さあ、行くぞ。一声こころでつぶやいて、同行のBさんと入り口のドアを開けて中に入りました。入り口では、女性のスタッフが待ってくれてました。入り口の壁には、奥田シェフが信頼を置いている食材の提供者の写真が貼ってあります。これだけの人がいればこそ、このシェフが思う存分腕をふるえるわけですね。
階段を少し登りテーブル席に案内されました。この日のディナー、最初の客になりました。調理するところが見えるオープンキッチンは、階段を少し下がった平面にあり、テーブル席からは、見下ろすようになります。
この日予約していたのは、3つのコースの中で一人8500円のコースです。ほかの二つは、3500円、5500円です。食前にビールで、口と胃を洗浄してすっきりイタリアンがいただけるように準備しました。食事には、赤ワイン。3種類いただきました。
さあ、始まりました。まあ、これでしたか。シェフが自慢の一品です。
☆一切れの庄内浜の寒ブリと月の雫の塩
シェフがこの料理ことを書いています。実際はブリではなくワラサ。ワラサは対馬海流にのって北上し、もともと甘みの強い魚が、庄内の由良沖に来る頃には酸味、苦味が加わるというのです。この辺が奥田シェフの面目躍如。そして、魚を食べるには、魚が棲んでいた海の塩が一番合う。で、月の雫という塩をオリジナルで作ってしまったのだとか。
沖縄の琉球ガラスで出来た黒に金色の銀河が光る宇宙皿でいただきます。このお皿もシェフが選んだ、と説明されます。もう、ここからシェフの世界にぐっと引き込まれます。こんなおいしいおさしみ、食べたことがありません。うああ、すごいことが起こりそうです。ほどんどのコースのイントロにこのスターターを使っているとか。分かりますよ。これが、奥田シェフワールドの入り口なんですね。
☆黒鯛の冷たいカッペリーニ
庄内浜であがった黒鯛が、ねっとりとしてうまい。大きな透明のガラス皿の中央にほんのちょっとだけ。種類を多くしていろんなものを味わってほしいという、シェフ独特の料理構成が見えてきます。このビジュアル・デザイン、どうですか。食べるのが、もったいない、と思いながら、あまりのうまさに、もっと食いて~~。この細い細いカッペリーニを持ってくるところが、さすがです。ここで
☆自家製フォカッチャ
が配られます。ローズマリー、塩、オリーブオイル、味。さっとワインを飲んで、次のお皿に備えました。
☆寒ダラとゆずをオーストラリアの黄色い香りのオリーブオイルでゆっくり煮て
この黄色いオリーブオイルは、オーストラリア産のキオエという名前だと、教えていただきました。これは、白い大きなお皿。つばのような部分にもゆずやパセリやバジリコが乗っていて華やか。寒鱈をこんな形でいただいたのは、もちろん初めて。オリーブオイルで煮る、ってすごいですね。繊細なうまみも感じて、これまた、もっとくれ~~のうまさでした。
☆わんぱく卵とかぼちゃとハチミツ
蜂蜜は、ゆりの花由来って教えていただきます。かぼちゃのうまいこと。お聞きしたら、蔵王産。何を聞いてもパッと答えが返ってくるんです。全員が知ってるんですよ。これって、ものすごいことだと思います。このアル・ケッチャーノが1つのファミリーなんだって感じました。わんぱく卵も、もちろん庄内鶴岡産。ガラスの器がおしゃれでした。センスがいいんだなあ。
☆メジマグロのタルタータと庄内麩
これがまたすごい。庄内麩ってどこにあるのかな、と思ったら、なんと土台に使っていました。その上にメジマグロのタルタータ、その上にあるのは小松菜なんですよ。その上ににんにくチップ。この組み合わせ、どうしてここに行き着くんでしょうか。こんなにおいしい小松菜、もちろん初めてです。土台を食べたかって?もちろん、いただきました。ぱりん、ぱりんでうまい。郷土のお麩をこうやって使うなんて。お麩だってうれしいし、晴れがましいし。
このあと、9皿続くんです。ひとつひとつ解説してると、また食べたくなるので、ここで個別の解説は止めますが。もうお分かりだと思います。もう徹底して庄内の食材のオンパレード。そして、そのどれもが、想像をはるかに超えるおいしさ。シェフによって何倍ものエネルギーを与えられて、うまさの本質を味わうことが出来ます。味付けは、見事なまでに、塩。こだわった塩。それとオリーブオイル。こんな種類のイタリアン、初めてです。こんなおいしいイタリアン、初めてです。
以下、お料理の名前を列記させていただきます。
☆タラの白子とうるいのシンプルなスパゲッティ
☆ヤナギガレイのグリルとかまいしキャビアのソース
☆女ガニと板垣さんのブロッコリー、庄内米はえぬきリゾット
☆米沢の雪菜とパルマの生ハム
☆立川の鳩とゴボウのすんだスープ
庄内のお肉色々をつめたラビオリと焼いたほうれん草
☆羽黒の仔羊のローストと糸かぼちゃのマリネ、タイムの結晶塩
羊まで、牧場の方とうまさを追求した品種を作り上げたそうです。この、徹底ぶり。
☆じゃがいものニョッキ、庄内町マッシュルームのフォンデューダと冬トリュフ
☆お口直しのラフランスのシャーベット
すごいでしょ。全部いただきました。夢のようです。フィナーレは、
☆お好きなDolce
・モンテルーナ月山 モッツァレラチーズ、りんご
・ティラミス 山くるみ、ヌガー
・モンブラン うるしいんげん豆
・キャラメルムース
☆お飲み物
手作りのドルチェがトレイに乗って運ばれてきました。二人で1つずつ選んだら、一人二つずつですって。きゃっほ~~、でしょ。こんなところも、くすぐるんですよ。ドルチェだけでも食べたい?そうでしょ、分かってます。
本当に寒かった旅行でしたが、苦労して行った甲斐がありました。あの小さな町鶴岡の中でも、町はずれにあるアル・ケッチャーノ。そこで奥田シェフのお料理が食べたくて全国から人が集まるんです。良く分かりました。お礼を申し上げてお店を後にしましたが、そりゃあ四季折々、年に4回行きたいです。そう思わせる、自然や季節や風土を感じることができるお料理が、あそこに行けば会うことが出来るのです。また、絶対戻ってきますよ。