レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2013/06訪問 2021/05/09
東舞鶴の市街から引揚記念公園の方面へ3㎞ほどのところ、舞鶴湾を見渡す丘の上にあるオーベルジュです。
このオーベルジュでは、ディナーは隣の棟のレストラン、「ほのぼの屋」でいただくんだが、朝食はオーベルジュ内のダイニングで提供されます。
朝食の時間、朝の散歩から戻ってダイニングに向かうと、ダイニング横のキッチンに料理長の糸井さんが朝食の準備をされている。なんだか贅沢な気分やなぁ…
席に着くと、正装のムシユーがジュースを入れてくださいました。ジュースのチョイスはトマトジュースを。北海道産の濃厚なジュースで、フルーツのような甘味があって実においしいですね。
バスケットにパンが盛られています。大量で選ぶのに困る。クロワッサンや角食、エピ、クルミパン、ロールパン、ベーグルなど。バターとともに地元産万願寺唐辛子のジャムも添えられています。
しばらくしてお料理が運ばれてきました。先ほどからキッチンで料理長が調理されていたお皿です。ソーセージとハムと、プレーンオムレツ。ケチャップが添えられています。
次に実に瑞々しいサラダが運ばれてきました。トマトは甘いしアスパラガスは芳醇。この自家製ドレッシングは大好きな味です。
挽きたてのコーヒーとともに、エッグスタンドに入ったフルーツが来ました。モモとバナナとパイナップルですね。ヨーグルトに漬け込まれています。これら、実に贅沢な品々。朝においしいものをいただくと、その日一日が幸せな気分になりますね。この日の宿泊は我々二人だけ、この二人のために料理長とムシユーがサービスしてくれるんだから、こんな贅沢な朝食はあり得ません。貴重な体験をさせてもらいました。
3位
1回
2013/08訪問 2020/12/31
大阪市営地下鉄・心斎橋駅の梅田方向寄りの出口から地上に上がり、御堂筋と長堀通の交差する新橋交差点から東へすぐのところ。長堀通と鰻谷通に挟まれたビルの地下1階にあるパキスタン料理のお店です。パキスタンの国旗があるからすぐにわかりますね。
地下に下りる階段はいささか殺風景。しかし扉を開けると、愛想のいいパキスタン人店主が迎えてくれます。
エキゾチック店内は30席足らずのテーブル席と、奥に少しばかりの小上がりがあり、異国情緒が溢れる雰囲気の中、大きな液晶テレビからはベタな日本の民放TV番組が流れています。
メニューを開くと、膨大な種類の料理の数々、しかも初めて見る料理ばかりで少々面食らうが、注文は迷うことなく「ビリヤニ」(1,000円)を。なんでもここのビリヤニは、評判によると日本一美味いとされているお店だからね。
それほど待つことなく運ばれてきました。お盆のようなステンレスの大きなお皿の上にワンプレート。炒めたお米が盛られ、一角には野菜と白いスープ状のものが器に入っています。
お米はまさしく長粒種のインディカ米。タイのジャスミンライスよりもさらに長細いが、これも香りの高い品種のバスマティ米のようです。「ビリヤニ」とはナツメグ、クミン、コショウ、クローブ、カルダモン等の多数のスパイスをギーと共に炊き込んだご飯。斑に炊き上がったのを敢えて混ぜずに彩を見せています。
ひと匙口に運ぶと、少しピリ辛で、それよりもスパイスの香味が際立っている。パラパラした口当たりだが、パサついている訳ではない…旨い。具はタンドリーチキンのようなスパイシーな鶏肉です。
添えられているコールスローのような野菜と一緒に食べると、さっぱりとした風味になってこれも旨い、白いスープ状のものはヨーグルトを主体にしたドレッシングのようだが、これをご飯に掛けたらもっとさっぱりして、箸が…いや、スプーンが進みます。
ランチのビリヤニセットは飲み物付。アイスのチャイお願いしました。このお店のお料理はもちろんハラール。食事中、新たに現れた男性二人組のお客さんはアルジェリアからのツーリストのようで、彼らムスリムにとってもこういうお店はありがたいでしょうね。
4位
2回
2024/02訪問 2024/02/04
近鉄・吉野線の下市口駅より天川方面に向かう奈良交通バスに乗って下市本町BSで降りてすぐのところ。国道309号線の、ひと筋東側の旧街道にある鮎鮨の老舗です。
といっても吉野の実店舗に伺ったわけではありません。あべのハルカスの地下食品売場でイベント出店された際の利用です。
ここは創業800年あまり。歌舞伎「義経千本桜」の三段目、「鮨屋」にでてくる「釣瓶鮨」そのもので、清盛や義経が跳梁跋扈していた時代から続く老舗中の老舗。日本最落とされる鮨屋です。
本来なら店頭には名物である焼き鮎と山椒の押鮨や穴子の棒鮨が並ぶところであるが、伺ったこの日は2月3日の節分。「福巻」(1,080円)と「上巻」(1,620円)が積み上げられていました。
普段からこういった風習にはあまり興味がないのだが、弥助さんが出店されているので話は別。せっかくなので「上巻」を1本購入。家に持ち帰っていただきます。
巻き寿司は紙箱入り。箱を開けると海苔のいい香りが立ちあがってきます。恵方巻は丸かぶりするものなんだが、中身の確認のため端っこをカットしてみます。
この「上巻」は干瓢、椎茸、三つ葉、玉子とともに、上巻きたる所以、海老と鰻も巻かれています。甘口な寿司飯は癒し系の味わいです。
干瓢や椎茸も味がよく滲みていて、鰻の香ばしさと合わさって極上の味わいを醸します。さすが、屈指の伝統を誇る「鮨屋」だけのことはあります。
これをいただくと、ベンガラ赤壁のひときわ立派な木造3階建ての建物が威容を誇る吉野の本店にもうかがってみたくなりました。
近鉄・吉野線の下市口駅より奈良交通バスに乗って下市本町BSで降りてすぐのところ。ちょうどいい時間のバスがなけりゃ、駅から直接歩いても20分はかかりません。吉野川に架かる千石橋を渡ってさらに南へ5分程、天川方面に向かうバスの走る国道309号線の、ひと筋東側の旧街道にある鮎鮨の老舗です。
昭和のまんま、時間が止まったかのようなひっそりとした街道筋に、ベンガラ赤壁のひときわ立派な木造3階建ての建物が威容を誇っているが、それもそのはず。ここは創業800年あまり、歌舞伎「義経千本桜」の三段目、「鮨屋」にでてくる「釣瓶鮨」そのもの。清盛や義経が跳梁跋扈していた時代から続く老舗中の老舗なんですね。
予約した時間よりかなり早めに着いてしまったので、玄関から入ってすぐの小部屋でしばし小休止、建物にも増してこのお部屋も調度も実にクラシックです。
しばらくしてから若女将と思しき方の案内で3階の広間に通されました。この広間、ざっと30畳はあろうかと思える広さで、奥にひと組の先客がいてはりました。
窓からは崖にしつらえた山庭が一望。こんな急斜面に手入れの行き届いたお庭を維持するのは大変そうです。
ここでいただくのは当然ながら鮎。鮎の懐石料理もあったんだが、予約時にお料理の内容を伺って「鮎の姿焼き定食」(4,095円)にしておきました。前菜は鶏の冷製、カラスミ、鮭のチーズ焼き、スカンポ(イタドリ)の炊いたん。カラスミはねっとりしていて上質のチーズのよう。スカンポ、これは珍味ですね。
鮎の塩焼き、この日は天川の天然鮎、やや小さめのものが2尾。北大路魯山人は「鮎は腸(はらわた)を食す物なり」と言ったらしいが、今まで食べてきた鮎の概念を吹き飛ばすぐらいの内臓の旨さ。天川の清流にある藻を餌としてきた天然鮎は、その腸の苦みの内側にある旨みが一気に広がってきます。
鮎の唐揚げ野菜あんかけ。これは低温で二度揚げしたのかな?骨までしっかり火が通っていて、頭からがぶりといただける。香ばしく揚がった鮎に中華風、というか普茶料理風の餡との相性がいいですね。塩気の強いしっかりした味付けは、このお料理の流れの中で変化球のひと品。
焚き合わせは里芋、オクラ、冬瓜等の冷製。薄味で上品な仕上がりです。
鮎寿司は「焼鮎ちりめん山椒鮨」です。本来の釣瓶鮨は一種の熟れ鮨だが、今はなかなか熟れ鮨が受け入れられないので、焼き鮎の箱鮨になっています。実はこのお店に来ようと思った動機がこのお鮨なんですね。阿倍野の近鉄百貨店に「弥助」のショップがあってそこで買ったお鮨が旨くて旨くて。ならばいちど本店に行ってみよう…っと思ったのが今回のきっかけです。しっかり熟成したお鮨は鮎の風味が鮓飯に移っていて、山椒の爽やかさと合わさって絶妙の旨みを醸しています。
お味噌汁もいい出汁が出ています。具はあんぺいかな?
最後に水菓子です。わらび餅が秀逸。食事の途中、若大将がいろいろお話しくださいました。大滝ダムの工事が鮎に及ぼした影響とか…ここの亭主は代々「弥助」を名跡されるので、この方は次代の「弥助」さんなんですね。
歌舞伎によって広く世間に知られた吉野のお鮨は、屋号としても全国に広がりました。食べログで「弥助」や「吉野」を検索してみたら出るわ出るわ…これらのお店のいわば総本山でいただいたお料理は、実に重みのあるものだと思います。
5位
1回
2013/04訪問 2018/08/21
阪堺電車の我孫子道駅と安立町駅のちょうど中間ぐらい、南海本線の住ノ江駅からもそう遠くないところ。安立商店街のアーケードの北端辺りから小路を少し東に入ったところにある四軒長屋の一角に、こんな場所に「らしからぬ」雰囲気のあるお店が現れます。
引き戸を開けるとすぐにカウンターと厨房。奥にテーブルが一組ほどの、合わせて十数席程の狭さながら、一部2階を抜いて吹き抜けを作るなど、解放感のある和モダンな雰囲気がいい感じです。カウンター内の割合広くとられた厨房に、若いイケメン店主が独りで実に手早く調理されています。
料理はすべてア・ラ・カルト。その日の仕入れによって多少変わるようです。先ずは5種類小皿料理の盛り合わせ(1,500円)をお願い、相方と取り分けることにしました。
和食器の大皿に、鯛とじゃがいもとアンチョビの重ね焼き、アジのタルタル仕立て、茶美豚のリエット、牛肉生ハムと焼きナス、野菜の甘酢グレッグの5種が並んでいて、お箸でいただきます。全体に軽めの仕上がりになっていて、ワインとの相性もいいですね。
次は春野菜のソテー(900円)です。本来は温泉卵が載るらしいのだが、今日は温泉卵ではなく目玉焼きとのこと。
半熟の目玉焼きならむしろこのほうがいいかも。
メゴチのロースト(1,300円)です。関西では「ガッチョ」と言ったほうが通りのいいお魚。淡白な身をここまで香ばしくローストすると、ガッチョとは思えない深みのある味わいです。こういったお魚はお箸のほうが食べやすいですね。
ホロホロ鳥のモモ肉マスタード風味(1,300円)です。柔らかく、かつジューシーに煮込まれています。自家製パンと一緒にいただくのがいいですね。
最後はデザートです。アイスクリームは今が旬のいちご。濃厚なガトーショコラは相方が相当気に入ったみたいです。コース料理ではなく何人かで取り分けるのにちょうどいいフランス料理は、ワインだけでなく、むしろ焼酎にもよく合いそうです。ランチ営業はされず、ひと品ひと品、丁寧に拵えているスタイルには共感しますね。
6位
1回
2013/09訪問 2013/10/05
絢爛なお料理と気の利いたホスピタリティと…@瀬の本高原(大分県)
初日・夕
由布院からは九州横断バスで1時間10分ほどの筋湯入口BSが最寄り。熊本空港からレンタカーなら「やまなみハイウェイ」を1時間半ほどのところ。九重の山裾に広がり、阿蘇の雄大な景色を一望できる瀬の本高原にある温泉リゾートホテルです。
9月も終盤になってようやく取れた夏休み。今回はちょっとリッチに「界阿蘇」でゆったり過ごすことにしました。この温泉リゾートでは12の客室すべてが離れ。そして全客室に源泉かけ流しの露天風呂がついていることます。宿泊費もそれなりに高いが、年に一回の贅沢、これぐらい許されるかな。
ここでの食事は本館レストランで頂きくことになります。和風モダンのアダルトな雰囲気のホールは、テーブル席が10卓ほどと、和室の個室が用意されています。案内されたのは窓際のテーブル席だが、最終の食事時間で予約したので眺望は楽しめません。
先ずは食前「酢」…柚子のお酢です。これで胃を覚醒させるんですね。お酢をいただきながらお酒をチョイス。料理の内容からは日本酒が合うかと思い、お酒は九州の吟醸酒3種が半合づつ組み合された「九州のきき酒セット」をお願いしました。銘柄は佐賀の純米大吟醸・東一、長崎の純米吟醸・六十餘洲、佐賀の純米吟醸・基峰鶴。
先附と八寸が同時に運ばれてきました。先附は阿蘇赤牛、自家製カッテージチーズ、さくら肉です。
八寸は鶏と干し葡萄の松風、甘海老の老酒漬け、鮭の幽庵焼、胡桃豆腐茶巾揚げ、花びら大根、からすみ白玉、巨峰の白和え。
椀替りとして、土瓶蒸しです。今まさに旬の松茸、車海老、甘鯛がお出汁の中で渾然一体。
造里は「八の幸・八の味」と題された、8種の素材をそれぞれ特徴的に手が加えられています。車海老は卵黄の味噌漬けと、桜肉トロは高菜・梅肉と、つぶ貝は山葵・塩昆布・おぼろ昆布。鯛は酢橘、塩と、関鯖は納豆醤油と、鮑は柚子ポン酢と、烏賊は赤柚子胡椒・アボカドオイル、勘八は酒盗正油。
揚げものは鶏と蓮根・フォアグラ東寺揚げ、蓋物は穴子けんちん蒸しです。
台のものは豊後黒毛和牛のしゃぶしゃぶを、山うに豆腐のたれ、高菜のちり酢でいただきます。牛肉だけでなく「あこう」も用意されていますね。山うにとは豆腐をトロトロになるまで味噌で漬け込んだ珍味、熊本・五木の名物。
〆の食事は熊本のお米の白ご飯。ライトな味わいです。辛子蓮根がうれしいですね。
甘味は5種の中からのチョイスになっています。スタッフの機転で涼しいラウンジに場所を変えていただくことができました。ワタシは淡雪チーズ木苺ソース、妻殿はほうじ茶のクリームブリュレです。
お料理は大分と熊本の境目に位置するこの地らしく、食材の宝庫、肥後と豊後の豊かな実りをあしらっています。どれも素材を活かしたお料理で、その味もさることながら、絢爛な盛り付けや器など、目でも楽しめます。
夕食の最後に、お夜食の焼き芋をいただきました。このお芋、テラスの焼き芋専用オーブンで焼いたもの。実に甘くてクリーミーな逸品でした。
二日目・朝
初日の朝食は、席に着くや運ばれてきた産山羽二重豆腐です。これはいわゆる汲み上げ豆腐ですね。飲み物は5種類、山吹色のジャージー牛乳、ジャージーヨーグルト、完熟トマトジュース、八種の野菜ジュース、温州みかんジュースからチョイスになっていて、私はトマトジュースを、妻殿はヨーグルトです。
朝らしい料理が並んだ丸いお盆が運ばれてきました。もろみ昆布、釜あげしらす、いかの塩辛、温泉卵です。
煮物は小芋、生麩、蕗とひろうすです。野菜サラダは大根が主役。ハリハリした食感がいいですね。
鯵の干物、しっかり塩気が効いていて、全然違う食材ながら、なんだかベーコンを食してるような感じになります。
肥後米と南関揚のお味噌汁です。ふわふわした南関揚は軽い口当たりです。
果物はテラスでいただきます。オレンジ、キウイ、パイナップルですね。
二日目・夕
今日も先ずは食前「酢」…リンゴのお酢です。お酒は昨日、九州のきき酒セットの中でいちばん気に入った佐賀の純米吟醸・基峰鶴お願いしたところ、目にも涼やかな錫の片口で出されました。
先附は玉子豆腐海鮮あん。イクラや雲丹が贅沢に盛られています。お出汁が磯臭さや玉子臭さを打ち消しています。
八寸は帆立みぞれ和え、鶏香煎、卵黄味噌漬け、黒豆松葉刺し、とこぶし旨煮、すずき南蛮、小芋八方煮、蛸やわらか煮がそれぞれ美しく並んでいます。
椀物は金目鯛の日の出蒸しです。ニンジンのジュレが日の出を表しているとのこと。色合いもさることながら、出汁の旨みが飛びぬけています。
造里は鯛のうす作り。今夜もお造りは変化球ですね。胡麻油と葱の白髪が織りなす風味がなんだか中華風。
カンテキ(七輪)が運ばれてきました。焼きものの黒鮑炭火焼です。このカンテキで鮑や野菜を焼いて、鮑の肝ソースでいただきます。アワビは肉厚で、軽く焼くとコリコリ、よく焼くとモチモチした食感の変化が楽しいですね。
温物は茄子と鶏そぼろの博多蒸し。ジューシーな茄子にトマトの爽やかさがワンポイント。
今度はカセットコンロが運ばれてきました。強肴の豊後牛のすき焼きです。鍋の中にはあらかじめ薄めの割り下の中に野菜が仕込まれています。これはユニークなすき焼きですね。関西風でも東京風でもない料理長オリジナルとのこと。卵はなんと温泉卵です。
甘味は5種の中からのチョイスになっています。ここでまたも場所を移動。今夜はさらに涼しい屋外のテラスでいただきます。鍋で火照った体に夜風は心地いいが、写真を撮るのには不向きですね。ワタシはフルーツ入り梅酒ゼリー。
妻殿は栗あんみつです。今夜も徹頭徹尾、初秋の味覚を存分にいただくことができました。
テラスでは満天の星空…無料で貸してくれるiPadの星座アプリで星座を確認するのもまた楽し。スタッフが程よい距離感で接してくれるので、心の芯までリフレッシュ。上げ膳据え膳の高級なお宿では味わえない解放された気分を演出してくれます。奮発して二泊したのは正解でした。
三日目・朝
嚆矢は豆乳湯葉です。濃厚この上ない。
丸盆で運ばれてきたのは昆布明太子、煮ひじき、さつま揚げ、海苔の佃煮です。
大根のサラダと南関揚のお味噌汁は昨日と同じ、椀物は揚げ出し豆腐です。
出し巻き玉子は上方風。甘くなくて出汁味が効いています。朝の出し巻きは特にうれしい…
鯖の干物は実に肥えています。今回の旅のコースは山ばかりだったので、この鯖はこの旅最大の魚でした。
朝からこんな質の高いお料理をしっかり食べれるっちゅうのは幸せなことなんだが、お昼になっても全然腹が減らん。そのせいでランチを物色する楽しみが失われました。これは贅沢な悩みですね。
7位
1回
2013/05訪問 2021/03/15
近鉄・大阪上本町駅より上町筋を南に3分ほど歩いたところ、上本町七丁目の交差点の南西側の「萬野ホルモン舗」さんの南隣にある、知る人ぞ知るフレンチのお店です。特に看板を出すわけではなくて目立たないが、なかなか予約の取れない人気店。今回は、会社の宴席で訪れることになりました。
店内は20席ほどの慎ましやかさで、他に半個室の6人席もあるらしいのだが、これは確認できていません。シャンデリアの煌めくフレンチらしいインテリアでやや暗めのセッティングで、今日では当たり前の完全禁煙です。
席に着いてしばらくしてプチ・サレが出されました。このたこ焼き、あるいは「キャベツ太郎」みたいなのはグリュイエールが混ぜ込まれたシュー生地を丸く焼いたので、チーズの風味とサクサクした食感を楽しみます。
お料理の最初、おそらくアミューズとしての扱いなのかな?グラスに入った赤ピーマンのババロワが出てきました。ババロワには蟹の身と、さらにコンソメのジュレが乗せられています。濃厚な海の風味とピーマンの野菜の風味が、この小さなグラスの中で闘っているようです。
オル・ドーブルはホタテのカルパッチョです。てっぺんには立派な和歌山産アシアカエビが載せられています。このエビは身がプリプリでミソも詰まっていていい。小さめのダイス切り根菜が食感に変化を加えています。
パンは自家製なのかな?アツアツの焼きたての全粒粉です。バターは北海道産の無塩バター、香川の藻塩を使った発酵バターの2種類。
スープはカップで出されます。じゃがいものクリームスープで、熱いタイプ。じゃがいもの風味はけっこう来てます。
アントレは最高級とされるフランス・シャラン産の仔鴨をつかったエギュイエット。ジューシーな肉質の鴨と濃厚なソースとの絡みが抜群の味わいを産み出しています。
デセールはオレンジのソルベとフォンダンショコラ。ショコラは外がパリッとしていて中はトロットロ。濃厚かつクリーミーです。ソルベに乗っかっているのはニンジンのチップです。
これで終わりかと思いきや、プチ・ガトーがありました。マシュマロ、生チョコ、生キャラメル、フィナンシェです。この塩味の生キャラメルにはやられました。これを目的にまた訪れたいと思わせる印象深い小品です。
このお店、こんな人気店になる前はちょくちょくお邪魔していました。確か2,000円ぐらいで実に満足度の高いランチを出してくれていたのだが、今でもされているのかな?今回久しぶりに訪れて、相変わらずいい仕事をしているのを実感しました。今度は個人的に訪問したいと思っています。
舞鶴の市街から舞鶴湾の東縁を引揚記念公園の方面へ3㎞ほどのところ、日本板硝子の大工場群の手前あたりの丘の上にあるフレンチレストランです。公共交通では東舞鶴駅から京都交通バスの田井・野原線で、さくらどおりマンション前BSで降りることになるのだが、これが1日にたった3本だけの恐ろしく不便な路線なので、ほとんど使えない。結局、相方と二人で暑い中を東舞鶴から歩いてきてお店の方々に呆れられました。特殊な主義主張のない方にはタクシーの利用をお勧めします。
案内看板に従って丘に登ると住宅街の突き当たりにかなり大きな建物が現れます。中央の通路を入ると右側がレストランで、左側は福祉施設になっている。この通路からはちょうど額縁の中の絵画のような舞鶴湾が現れて雰囲気を高めていますね。
レストランに入ると、吹き抜けの天井と、海側一面がガラス張りによる解放感の中、品よく配されたモダンアートがアクセント。広々としたホールは、ここで結婚式もできるそうです。案内された窓際の席からは暮れなずむ舞鶴湾と斜張橋の美しい眺めが…
今回、このレストランが運営するオーベルジュ、「おーべるじゅどぼの(AubergedeBono)」に宿泊するので、お料理は「シェフおまかせディナーコース」になります。ここのシェフは志摩観光ホテルで副料理長を務められた糸井和夫さんです。
先ずはオルドーブル、雲丹のチーズ焼きです。雲丹の殻ごとオーブン焼きにしてあります。ティースプーンで掬って口に含むっと、実に濃厚な風味が広がります。手で持っても痛くないように棘の先はきれいにカットしてありますね。
次はヒラメのフライです。スティック状にカットされたヒラメの身に実に細かいパン粉がコーティングされている。揚げものながら、レモンをたっぷり掛けてさっぱりといただけます。
手長海老のサラダです。火が入っているサラダはユニークですね。手長海老はフライソテーされています。
スープは伊勢海老のビスク、かなり大振りな身が沈んでいるが、旨みはスープに沁み出していてこの身自体には抜け殻に近い。それだけにスープは凝縮した旨みの塊、クリーミーで豊潤です。
ポワソンは…実はこれがために舞鶴までやってきた期待の一品、アワビのステーキです。ナイフを入れると、弾力は感じるもののスッと切れていく。口に含んだらバターの香りが広がるとともに、身はとろけていく。肝にこそ存在する磯の香りと、ハーブの爽やかさ、そして火を入れることによる旨みが三位一体となって、堪らんぐらいの旨さが醸されます。
メインディッシュは牛フィレ肉のポワレ。柔らかいお肉に押しの強いソースのバランスが素晴らしい。また、クレソンがこんなに美味しいとは…
本日のデザートは、バナナ・ココナッツのタルトとレアチーズケーキ、そして青リンゴのソルベです。いやあ…舞鶴って不思議な場所やなぁ。都会なのか田舎なのかようわからん場所で、こんないかしたフレンチがあるなんて…お料理は美味しいし、ギャルソニエが実に機転が利いてよく勉強されているし…このお店、実は障害を抱えた方がスタッフとして働く社会福祉施設なんですね。それゆえ、この値段で提供できるんでしょうが、単なる福祉だけを追求しているのではなく、ビジネスとして成り立たせているのが凄いところ。
難波から賢島まで近鉄電車で2時間30分、片や舞鶴までならバスで2時間10分とタクシーで10分ほどです。おそらく賢島の半分の値段でこのお料理が頂けると考えると…自ずと舞鶴に再訪してしまうんでしょうね。