2回
2021/02 訪問
世界でいちばんシアワセな午餐
2021/02/06 更新
2016/03 訪問
進化する、偉大なるマンネリズム
久しぶりにいくと
「ああ毎月来なきゃなあ・・・」ってしみじみ思う。
東京で最高の午餐といえばここ。
あの場所で。あの内装で。あのテーブルで。
最初のお皿が運ばれてきた瞬間からはじまる田代ワールド。
じわっ~っとおいしい。頭がジーンとして何も考えられなくなる。
あ、まただ。。笑
思わずにこにこする。
食べると幸せになる。
変わらぬ料理、ではなく同じ名前のメニューが来るたびにおいしくなってる
すごさ。
プレデセールに出てきた「大根のソルベ」。シャリシャリした大根おろしに青汁と柑橘の
ソースが添えられて。
天才か!と思って、ああ、とっくに天才だったって思い返して。
この段階でこの奇想。
帰り道「生きててよかった」って思う。
いつまでもラブランシュの料理が食べられますように・・
以下前回まで。
田代シェフの本が出てたのでサインしてもらおうと持っていった 笑。
気持ちよく応じてくださって。
あのいつものメニューの文字で。
本を見て一通り予習(復習?)して行った料理は、、、
沁みた。
唸った。。
清くて軽くて濃くてしっかりした料理。
一生付き合える味だ。
田代さんの料理をずっと食べていたい。
…………
以下前回まで。
○年ほど前に初めてここに入った。
[冷たい玉ねぎのポタージュ]
ほとんどミルクと思えるさらさらしたスープには柔らかい塩気と玉ねぎのほのかな甘い香り。
すくうと底にはポアレしたフォアグラは沈む。
一緒に口に含むと、温かくて冷たくて。
ミルクの甘い香りと玉ねぎの甘い香り、フォアグラの脂肪の甘い香り。
とにかく飲み込んだ。電気が走った。もし今日ここに来なかったら、自分はこんなものを
知らずに死んでたんだ、と思ったら腹が立った。
[いわしとじゃがいものテリーヌ]
ある日いつものこの料理にデミタスに入ったスープが添えられた。いわしのスープだと
言う。テリーヌと一緒に口に含んでくださいとのこと。
完璧だと思ってた構成にまだ見ぬ先があった。すごいな田代さん。
[鮭の瞬間燻製にトリフのソース]
人生でベストの皿を10選べと言われたら、ラブランシュの皿が半分は入る。
鮭もそう。牡蠣もそう。ほたてもそう。蝦夷鹿のパイ包みもそう。
この店のディナーは、生きてるっていいなと思わせる力をくれるけど
この店のランチは頭がジーンとしびれて何も考えられなく瞬間を内包する、東京最高の
ランチだと思う。
[ブランマンジエ]
日本で一番先にこれを出したのはここだと言う人がいた。
ふつうは後追いがどんどん先輩を追い越して美味しくなるものだと思う。
ラブランシュのブラマンジエは最初から今までずっと先頭を走る。
はかない柔らかさと香り。添えられたキャラメルのアイスの驚く苦さ。
すごいなあ田代さん。
あと何回食べられるかなあ。
2021/02/06 更新
もうかれこれウン年も前にはじめてここでフランス料理のランチを食べた。
びっくりした。
この世にこんなに美味しいものがあったのかって。
冷たい玉ねぎのポタージュの時点で、もはや意識はぶっ飛んでいて遠い目をしてた(ヤバイ客)
あれから幾星霜。
ここには時折伺う。
行く度にここの「素晴らしく美味しい思い出」が思い出補正で美化されたものでなく、むしろ上書き更新されるものであることに気づく。
今回なんか軽く数年振りだもの。
予約の電話もちょっとドキドキしたよ。
お店に入ると
「ああ〜!やっぱりそうだ、お声でそうじゃないかと思ってました!」と岡部さん。
こんな声を覚えていてくださってありがとうございます(〃∇〃)
「どうされてたんですかぁ?あ!ここが潰れたと思ったんでしょう??(笑)」
キンキュー下で素直に笑えない冗談を。
でも田代シェフも岡部さんもお元気そうでホントに良かった。
店内はほどほどの入り。
なんか安心する。
さあ料理ですね。
カリフラワーよりカリフラワーなムースで目が覚めた。
ホントにクリアな味。
さっき作ったばかりじゃないと出ない風味。
菊芋の一口スープ、もう泣きたいほど美味しい。
ラ・ブランシュはこういうものがもうとてつもなく美味しい。
じゃがいもとイワシのテリーヌ。
添えられてるポタージュと合わせて口に含むとジワッと涙ぐむ。
あー、、、おいしい。。。
また知らないうちに口から声が漏れてた(笑)
美食ってこういうことだ。
フランス料理ってこういうことだ。
ヤリイカのファルス。
ガスパチョみたいなソースの野菜の風味。
これ今合わせたの?って位、野菜の小さな粒が生きてる。
あたしは最近このお料理の真価に気づいた(遅い)
若い頃は、うん、美味しいとしか感じなかった。
これ、「すごく美味しい」料理だったんだな(〃∇〃)
そういうことに気づけるなら、歳を取るのも悪くないもんだ。
お魚は天然というヒラメ。
スペシャリテのキャベツのソース。
ミキュイではないのだ。
昔からそうだったのかな。
何か思いがあってそうしてるのか。
わからないけど。
おいしいものはおいしい(〃∇〃)
鴨の皿のソースの糸引かんはかりに濃厚なのにとてもフレッシュな風味。
本当に田代シェフが毎日毎日キッチンに立って、その日の仕込みをしてるんだなあ。
デセールはブランマンジェ。
何回何十回食べても唸る。
染み込む。
無くなる。
溶ける。
泣ける。
なんたる美味。
初めてのフランス料理のランチっていう思い出補正は入る。
ここからあたしのフランス料理好きが始まったっていう思い入れも入る。
そりゃ仕方ない。
でもね。
それこそいろんなフランス料理を食べてきて、好きなお店や料理はある。
ディナーならその日の気分で食べたいものも変わる。
でもね。
何回食べてもいつ訪れてもラ・ブランシュのランチは世界でいちばんシアワセな午餐だ。
こればかりは譲れない。
いつかラ・ブランシュが無くなったら、あたしの中の何かも確実に終わる。
たまーにしか顔出さない分際で言うのもなんだが、それはとても大きな大きな喪失感であることを確信する。
セイシュンが終わるのだ。
だからずっとここにあってください。
がんばってください。