2回
2021/11 訪問
石畳再開
十月末から再開したと言うから、まだ一週間である。実に久しぶりに石畳のカウンターに腰を下ろした。休業期間中シェフの腕は鈍るどころか、格段の進化を遂げていた。これだから才能溢れる若い料理人の店に通う楽しみは尽きることがない。サラダのお勧めを訊いたら、本日の鮮魚のカルパッチョだと言う。ドレッシングしたルッコラはそれだけでも美味しかったが、皿の周りに載せた緑のソースを付けると、別世界の光景が広がる。魚の鮮度が良く、ルッコラ・緑のソースと渾然一体にして口の中に入れると、ポルトフィーノの港で地中海を前に佇んでいた時間が呼び起こされた。緑のソースには魔法の力がある。二皿目は鮎のコンフィ、焼き茄子と野菜のヴィネグレットソース。鮎の旬は六月だが、この時期の子持ち鮎も私は大好物だ。京都系の和食店で良く戴いているが、イタリアンやフレンチの店でこのレベルの鮎が食べられるとは思ってもいなかった。驚きである。頭から全部食べられる。苦みも卵のプチプチした食感も上品で、白ワインとの相性も抜群である。とても美味しかった。最後は、蝦夷鹿のラグーのパスタ。赤ワインとの相性が良い。コロナがあっても、いつも通りジビエの季節がやって来たのだなあと感慨深かった。ワイン二杯、料理三皿で本当に満足したのだが、私の眼が自家製生チョコ四百円の表記に釘付けとなる。これは頼まない訳には行くまい。エスプレッソと共に戴く。クーベルチュールで作ったという生チョコは凄く美味しかった。付け合わせのドライフルーツとの相性も含めて、シェフのセンスの良さが光る作品だった。このクオリティの料理を食べて、ワインも飲んで、五千円でお釣りが来る。日本は素晴らしい国だと思う。
2021/11/07 更新
2020/09 訪問
食材の質の高さ
私にとっての大事な店のひとつ。席料なし。サービス料なし。メニューに出ている金額に10%の消費税のみという明朗会計。グラスワイン一杯、ビール一杯で帰っても良い。ジムの帰りにほぼ毎日立ち寄っているが、いつも満足して帰っている。ギネスはロンドンでも飲めるが、ここのギネスはアイルランドのダブリンで飲んだ味に近い。もちろん生です。ハウスワインの赤はモンテプルチアーノ500円! あり得ないコスパ。これで帰れば550円だが、この店でおつまみを食べないというのはもったいない。なぜなら超高級レストランを含む江戸川橋界隈の飲食店の中では、突出して食材の質が高いからだ。遅い食事にも関わらず、翌朝の体調がすこぶる良いという事実から、良いものを食べたという事を私は毎日確信している。調理法は余計な物を使わず素材の味わいを充分に引き出すシンプルなものだが、火の通し方など技術は高いと思う。とても安心できるレベルで、どれを注文しても間違いは無い。パスタはナポリタンを含めて、常にアルデンテ。期間限定で自家製の信州味噌を使った味噌ラーメン900円が提供される事があるが、よく出来た煮卵と野菜もたっぷり入って、近くにあるすみれ系列の味噌ラーメンより、私は好きである。遅くまで開いているし、早稲田、江戸川橋、音羽界隈に働く人や住んでいる人には、貴重な店になるはず。店の空間は落ち着いていて、バーマンやバーメイドの感じも良い。スタッフが少ないため、混み合うと料理や飲み物の提供に時間が掛かる事があるが、待つだけの価値はあるし、客の方もゆったりとした心持ちで訪れるのが良いバーでもある。良くテレビドラマで主人公の行きつけのバーとして登場するような店の雰囲気。長く続けば、地元に根付いた京都のサンボアみたいな店になれるかも知れない。コロナ対策も万全。
2020/09/17 更新
バーマン兼シェフとバーメイドが創り出す気の置けない、優しく癒やされる空間。それに加えて、提供される料理のクオリティの高さは特筆に値する。質の高い選りすぐりの食材から、若い職人気質のシェフがイタリアンをベースにした才気溢れる料理を創りだす。何を食べても美味いし、外れがない。コスト・パフォーマンスの高さも指摘しておきたい。この店の熱烈なファンだから当然の五点評価だが、どこまで伸びるか分からないシェフの才能はその価値を上方に更新し続けている。
2021/11/08 更新