3回
2025/02 訪問
ウェブ限定アルモニー+グラスシャンパン付き
カメリアの2回目。今回はディナーで利用した。前日までに椿山荘のホームページからレストランの予約に進む。時折ウェブ限定の特典もあるようだ。今回は偶然その機会に恵まれた。特典がなくても、東京都心で一流の仏蘭西料理を一流のサービスと空間で味わうなら、この店のコスト・パフォーマンスは飛び抜けて高い。コースに付いている乾杯のグラスも、本物のシャンパンだった。もちろん美味しい。前回はランチタイムで、テーブルの数も少し多め、東大の学内外の客で賑やかだったが、夜はぐっと落ち着いた雰囲気で、テーブルも数を減らしてゆったりとした配置になっている。
東京大学の伊藤国際学術研究センターは大正5年に建てられた煉瓦造りの書庫を改装した建物で、明るく清潔な空間の中に、煉瓦に染みこんだ知的な時間が重厚な雰囲気を醸し出している。
アルモニーはHarmonie。上質の食材を高度な技法で、音楽を奏でるように提供してくれる。サービスは隙がなく、かつ暖かい。気持ち良く食事をする環境を全員で創り出している。
本日のアミューズはポークのパテでシャンパンに良く合った。酢漬けの野菜もアクセントになり楽しい。コースの始まりの前奏曲としては申し分ない味わいだった。
続いて、帆立貝と鮪のハーブマリネ ビーツのラペ ノワゼット アンショア ビネグレット。小さく刻んだ帆立と鮪をハーブでマリネした上にビーツのラペと貝割れが載っていた。マリネのソースはノワゼット=ヘーゼルナッツとアンショア=アンチョビのビネグレット=ワインビネガードレッシング。このソースが奇蹟のように美味しい。これもシャンパンとの相性が素晴らしく、マリアージュとはこういうことかと納得させてくれる。
ここでグラスの赤ワインを注文。フランスはボルドーのシャトー・デ・トロワ・トゥール。テーブルで注いでくれたが、しっかりレッグが立ち、深い味わいだった。800円。
本日のスープはキャベツのポタージュ。優しくもしっかりした味わいで美味しかった。
メインは、国産牛サーロインのロティ 黒胡椒の効いた赤ワインソース 季節野菜とポムエクラゼ添え。ご覧の通り、完璧な火の通り。ロティは英語でロースト。フランスでは肉を美味しく焼くことの難しさから、肉を焼く技能が高い料理人をロティスールと呼ぶそうだ。この店には最高のロティスールがいると思う。焼いた肉は世界各地でずいぶん沢山食べてきたが、この国産牛サーロインのロティはその中でもトップクラスの美味しさだった。メートルが料理を運んで来た時、ソースの赤ワインは僕が飲んでいたボルドーを使っていると教えてくれた。言うまでもなく、赤ワインとの相性は素晴らしく、ここでも最高のマリアージュを体験できた。付け合わせの野菜も、適切な技法が使われた只者ではない野菜たちだった。
デザートは、苺とショコラブランのフロマージュムース ベリーソース バニラアイスを添えて。フロマージュムースとバニラアイスが中央に置かれ、その周りをベリーソースで丸く囲み、ベリーソースの上をブルーベリーや苺などのベリー類が惑星のように巡る宇宙的なデザイン。白い粉砂糖が天の川のようにも見える。気分は遠くにある二連星の太陽系を望遠鏡で観測する天文学者だ。太陽と惑星を同時に口に入れたら、素晴らしく美味しかった。もちろんコーヒーも高いレベルだった。
本当に満足したので、今後もディナーで再訪するつもり。明るいランチタイムも良いが、ディナーのクオリティの高さは特筆に値すると思う。
2025/02/17 更新
2024/11 訪問
誕生日を祝う
少し遅れたが今年の誕生日を東大構内にある椿山荘のカメリアで祝う。本日のメニューは、シャルマン+グラスシャンパン付き。5700円。先ずはシャンパンで乾杯。本日のアミューズ。温かいキッシュと西洋風漬物の取り合わせ。気分が上がる。サーモンの柑橘マリネ+庭園サラダ仕立て+西洋山葵のクリームソース。ソースが良い仕事をする。柑橘系の爽やかさに奥深さを演出していた。南瓜のポタージュ。深みのある味が印象的。スプーンが止まらない美味さ。ここでパンが出た。バゲット二きれ。真鯛のポワレ+根菜のソテ+エスカルゴバターと貝のジュのソース。このソースがとても美味しかった。今日はコースを通してハイレベルなソースを楽しめたが、「エスカルゴバターと貝のジュ」は特に洗練されており、真鯛と細かく刻んだ根菜を取り纏めて、素晴らしいシンフォニーを聴かせてくれた。忘れられない味となった。豚フィレ肉のロティ+茸デュクセルのヴィエノワーズ仕立て+マスタードソース。豚フィレ肉が、レンブラントの描く赤ん坊のほっぺたのようにピンク色で柔らかかった。一般にデュクセル (Duxelle) は、食用キノコ、タマネギまたはエシャロット、タイムやパセリ等のハーブ、黒胡椒を細かく刻んで混ぜ、バターでソテーしてペースト状に煮詰めたものを言うそうだが、この皿ではヴィエノワーズつまりウィーン風にパン粉を付けて香ばしく焼き上げた茸の風味が強いデュクセルで、これをピンクのほっぺたのような柔らかい豚肉に乗せてマスタードソースに絡めて口に入れると、豚フィレ肉のえも言われぬ味とテクスチュア、茸の香りを楽しめ、秋を実感した。全体を通して仏蘭西料理のマジカルな魅力を堪能できるコースだった。デザートは、栗のパイサンド+バニラアイス添え。パイ生地の美味さは特筆に値した。誕生日のメッセージも入っていた。有り難いことだ。珈琲はさすがの美味しさ。客層が良い。この辺に住んでるおばちゃんグループも来ているのだが、半分くらいは東大関係者と思われる。食事も美味かったし、サービスのレベルも高い。さすがの椿山荘ホテル品質である。満足して東大を後にした。
2024/12/02 更新
結婚記念日をカメリアの『Saison セゾン』のコースで祝いました。
①国産茸のコンソメスープ コンテチーズのグジェール
褐色の深い色調が美しいコンソメは、茸由来の旨味を丁寧に抽き出したことが一目で伝わる。液体自体の透明度が高く、雑味や濁りが感じられないため、色は濃くとも仕上げの技術の確かさが際立っていた。椎茸や舞茸の旨味が静かに層をつくり、秋の落ち着いた香りが立ち上る。添えられたコンテチーズのグジェールは、芳ばしさと軽やかな生地、熟成香の深みがスープと響き合い、ひと皿としての構成が端正に完結していた。コースの期待を静かに高める、品格ある序章となった。
②天然平目のマリネ キャビア添え マイヤーレモンのアクセント
透明感のある平目を中心に、エディブルフラワーと若い葉野菜が軽やかな立体感をつくり、視覚からして繊細な皿だった。マリネされた平目は繊維の方向が美しく、天然物らしい水分を適度に保っており、噛むほどに甘味が静かにほどけていく。周囲に配されたマイヤーレモンのジュレは、柔らかい酸に穏やかな香りの甘さを含み、平目の甘味や余韻を損なうことなく、輪郭をなめらかに整えていた。キャビアは塩味と香りで輪郭を添える役割に徹し、過剰な主張を避けた配置が秀逸。皿全体が「軽やかさと奥行き」を同時に備えており、マリネの温度も含めて、素材の最良の瞬間を捉えた一品だった。
③甘鯛のポワレ バターナッツカボチャ ハーブのブールブランソース
写真の通り、甘鯛の皮目はふっくらと立ち上がり、照りを湛えている。火入れが見事で、皮目の香ばしさと身の繊細なほぐれ具合が調和していた。バターナッツ南瓜の優しい甘味は、甘鯛の旨味と響き合い、皿に季節の温もりをもたらしている。ハーブの香りをまとわせたブールブランは、乳化が完璧で重さがなく、酸と香りが繊細に立ち上がる。甘味・酸味・香りが一つの線を描くようにまとまっていた。
④国産牛フィレ肉のロティ シャンピニョンとピスタチオのヴィエノワーズ ボルドー風赤ワインソース
肉の断面に鮮やかな赤が残り、表面には美しいキャラメリゼが施された完璧なロティである。中心温の均一さが火入れの精度を物語り、フィレ肉の柔らかな旨味を損なうことなく引き出していた。シャンピニョンとピスタチオのヴィエノワーズは、香りの深さとナッツの油分が重なり、肉の旨味に奥行きを与えている。ボルドー風赤ワインソースは艶やかで、過度な重さを排しながら果実味とタンニンを優雅に残し、肉との一体感を高めていた。肉・香りの衣・ソースが三位一体を成す構成は非常に完成度が高いと思う。
⑤記念日のデザート
心遣いが嬉しい、特別なデザート。
パン
コーヒー
素材の選択、クラシック技法の正確さ、ソースの品格、そしてサービスの温度管理に至るまで、ホテルが本来持つクラシック技術の精度が全皿に息づいていました。いつも感じるのですが、素材の扱いは端正で、ソースは品格と軽やかさを両立し、構成美に一貫した強さがあります。私にとっては、パーマネント・コレクションに入れたいレストランの一つです。