3回
2020/08 訪問
やっぱり時間が止まります(笑)
4年前の夏に下川を訪れた時、たまたま月曜日でしたので定休日でした。
そこで、この店の場所を教えてくれた同じ町内の喫茶店【コーヒーのアポロ】を訪れましたが、モレーナ店主の奥様が亡くなったという衝撃の事実を知りました。
奥様と私は同郷であり、
「門司港の風景はリスボンに似ていてとても好き」
と話してくれたことが昨日のように思い出されます。
ご主人は元気なのだろうか。
店舗ウェブサイトも閉鎖され、嫌な予感が頭をよぎります。
電話をして「この番号は使われていません」というのを聞くのが怖くて電話をすることもできません。
そこでツーリングで訪れて自分の目で確認することにしました。
サンル川に架かる橋に近づくと看板が見えました。
そして砂利道に入ると「OPEN」の看板が。
「ヤッター」
ヘルメットの中で自分の声が響き渡ります(笑)
畑もちゃんと手入れがされているのは元気な証です。
大病を患ったにもかかわらず、根性でリハビリをして現在に至っていることを知っていますので、以前のように何不自由なくという訳にはいかないでしょうが、手入れされた畑を見て安心しました。
店内に入ると先客はいますが、誰も食べていません。
おそらくご主人を慕ってやってくる常連なのでしょう。
現在食事メニューは2種類のカレーしかなく、オニオンと挽肉のカレーにしました。
出てきたカレーは、19年前に初めて訪れた時と同じ皿に盛られています。
そのカレーをパクリとひとくち頬張ると、
「あ~、やっぱりモレーナのカレーだ。旨いな~」
久しぶりに食べるカレーは美味しいです。
北インドのカレーですが、スパイスがドーンと来るカレーではなく、南インドのようなじわっとくるスパイス感が好きなのです。
世界中を旅し、インドも旅をした店主ご夫妻ですから、インドのカレーも詳しいのです。
カレー屋の店主がちょこちょこっとインドに行くのとは違い、じっくり旅したご主人ですから、インドは広くていろいろなカレーがあり、一括りにできないことを教えてくれました。
77歳になるご主人は、今年中に手記を2冊発行するそうで、亡くなられた奥様も登場するからと教えてくださいました。
そして衝撃の情報も教わりました。
富良野のフォルクローレグループ、「ド・テ・カボチャス」の創設期のメンバーで、上富良野で民宿【ノルテポトシ】を経営していたカルロスおっちゃんがガンで亡くなられたことです。
「内らの中では一番若かったんだけどね」
と話してくれたご主人は寂しそうでした。
でも手記が出るのは楽しみです。
ここを訪れると時間が止まります。
日暮れまでのんびりしたいのを振りきって、店を後にしました。
2020/08/15 更新
2011/11 訪問
この「まったり感」がいいのです
*****2011年11月再訪*****
約2年ぶりの再訪です。名寄に住んでいた頃はよく訪れていたのですが、今は年に一度訪れることができるかといったところですね。
この日はご主人にお会いすることができました。一昨年訪れた時は奥様しかいませんでしたので、かなり久しぶりにお会いしました。ご主人の容姿を見るととてもやせてスリムになっています。しかし足が不自由なようでどうしたのだろうと思っていたところ、昨年の2月に脳梗塞を患ったそうです。そして退院後は車椅子の生活がずっと続き、リハビリをやることによって歩けるまで回復したそうで、医者から奇跡的だといわれたそうです。
今年の春は、四つんばいで畑に野菜の種を植え、そうやって少しずつ体を動かすことによって立てるようになり、エンジン付きの草刈機で草刈をしながら、これもリハビリの一環ということでかなり頑張られた結果、不自由は残るものの歩けるようになったそうです。
メニューにバターティーがなかったのですが、お願いすると作ってくださいました。美味しいバターティーを飲みながらいろいろな話をすることができました。
久しぶりに「止まった時間」の中でゆったりすることができました。
*****2009年12月再訪*****
ここは私のカフェ巡りの原点となったカフェです。したがって思い入れも強いですから点数も最大限です(笑)
ここは知る人ぞ知る「チャーリー」がいたカフェなのです。
チャーリーというのは店主が飼っていた黒い犬の名前で、「ウッシー」の兄弟犬です。ウッシーといえば、はた万次郎氏の「ウッシーとの日々」という作品で、現在も販売されています。
1943年生まれの男性店主は30歳の時世界一周の旅に出かけ、あちこち周って最終的に定住したのがこの下川町なのです。店内にアルバムがありますから見るとその様子が伺えます。
インドも北から南まで旅をしていますので、インド料理にも詳しいです。インドは広い国ですから、土地が変われば料理も変わるのは当たり前です。日本国内でも「鍋」はその土地の味があるくらいですから。
右手だけでのカレーの食べ方もここで教わりました。特にチャパティを右手だけでのちぎり方などは、店主自ら紙で実演してくれました。
奥様も明るく気さくな方で、話がとても弾みます。奥様が作るデザートが見た目はシンプルなのですが、これまた凝ったもので美味しいですね。夏場にアイスクリームを食べる時などは、「ちょっと待ってね」と言いながら、店の傍にある畑に行って、ミントの葉っぱをちぎってアイスの上に載せてくれるという粋な演出もしてくれます。
今回私は1年ぶり、妻は3年ぶりに訪れました。店主は不在でしたが、奥様から
「あら、またこちらに転勤になったのですか?」
なんて聞かれたりして、楽しいひと時を過ごしました。久しぶりに食べるカレーは美味しく、懐かしい味でもありました。いつもは食後にチャイを飲むのですが、バターティーというのが気になって仕方がありません。これが飲みたいとリクエストすると、美味しいと言う人と、合わないと言う人に分かれるそうで 、さあどうしましょうということだったのですが、そうなると意地でも飲んでやるという気持ちになりました。実はテレビでモンゴル人がバターティーを飲んでいるのを見て、私も飲んでみたいと以前から思っていたのです。
牛乳を入れないのが西アジアのもので、入れるのがモンゴル式です。塩味とバターの風味でいけますね。もっとも一般受けはしない味だと思いますが(笑)
このカフェは、料理の味もさることながら、店主ご夫妻の人柄が魅力的なカフェなのです。今回もまったりとした時間を過ごせました。特に夕暮れ時などは、時間が止まっているのではないかと錯覚してしまう雰囲気がここにはあります。
小奇麗な店を好む方や、食べ物屋さんに犬や猫など考えられないという方には向かない店なので注意してください。
「チャーリー」は残念ながら2007年に亡くなり、「ウッシー」も今年亡くなったそうです。時の流れを現実として感じる部分ですね。
自宅兼店舗です
入り口です
一つ目の扉を開けると
店内はこんな感じ
奥がキッチンです
メニューです
メニューです
メニューです
チキンカレー(700円)
トマトとひき肉のカレー(800円)
焼きたてのチャパティ(200円)
バターティーシルクロード風
バターティーモンゴル風
夏場はここで野菜やハーブを栽培します
ウッシーとチャーリーの思い出
薪ストーブ傍でくつろぐ猫
今は亡きチャーリーのぬいぐるみ
元気だった頃のチャーリー(2001)
昨年の台風で飛ばされ、現在は仮設の看板です
アフガニスタン・ライス(2001年)
タイカレー(2003年)
プラムシャーベット(2004年)
自家製アイスクリーム(2004年)
2016/02/04 更新
「下川にもスープカレー店があるみたいです」
そう教えてくれたのは、名寄初のスープカレー店【ガルテン】(閉店)の店主で、2001年9月の事です。
下川町は小さな町で、メインストリートは国道239号に面した1km強の場所ですから、すぐに見つかるに違いないとモペットで出かけました。
まずは国道沿い、そして裏通りなど事細かに探しましたがそれらしい店はありません。
専門店ではなくカフェやレストランかもしれないと目先を変え、見つけたのが【喫茶アポロ】でした。
メニューをめくりましたが、スープカレーと思われるメニューはありません。
そこでスープみたいなカレーを提供している店を知りませんか? と質問したところ、それは【モレーナ】だと思うよという答えが店主や常連客から返ってきました。
そこで教わった道を進んでいくと、町外れのサンル川に架かる橋の奥にぽつんと一軒家があり、そこだったのです。
「あら、いらっしゃい」
屈託のない笑顔で迎えてくれた女性は、奥様の文ちゃんでした。
店主の栗さんは生憎不在でしたが、もう虜になってしまいました。
料理の味や接客だけではなく、この人達と仲良くなりたいという店との関係性を意識した初めての店でした。
当時自宅はここから20kmでしたので、月に2回は訪れていました。
アジアやヨーロッパを旅した店主の話を聞くのが楽しく、ソ連が侵攻する前のアフガニスタンで食べたメニューなど、現在は提供していないメニューがありました。
夕暮れの黄昏時などは時間が止まっているような錯覚に陥り、ぼんやり過ごすのが最高に楽しい店でした。
千歳に越して店まで220kmになり、おいそれと訪れることが出来なくなりました。
その後ご主人が脳梗塞を患ってリハビリ生活を送ったり、文ちゃんが癌で亡くなったり、いろいろなことが起こりました。
そして手記2冊を発行することを教わり、2021年に郵送で取り寄せました。
それを読むと、店で聞かせて頂いた話が詳しく書かれており、当時を思い出しました。
2022年に訪れた際、3冊目を執筆するという話を聞いて、ウェブサイトで発売されたことを知り、ツーリングの目的として訪れました。
「いやあ、コロナ禍で暇だったから3冊の本を書けただけなんだよ」
笑って話してくれた栗さんはお元気そうです。
店にはスタッフとして若い男性がいます。
23年前と同じくメニューボードからオニオンと挽肉のカレーを注文しました。
そのカレーをパクリと頬張ると、
「変わらない美味しさだねぇ~♪」
旅行中のインドで覚えたカレーなのです。
本場インドの家庭で食べられているのはナンではなくてチャパティーなのだと教えてくれたのも栗さんです。
店主の栗さんは昭和18年生まれで今年81歳です。
脳梗塞を患って車椅子生活になりましたが、懸命なリハビリで歩けるようになり、医者も驚いたそうです。
時間は止まりません。
過去の思い出は大切にしますが、それ以上に大切なのは未来です。
健康に留意され、いつまでもお元気でと願うばかりです。