magnolianさんのマイ★ベストレストラン 2011

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

「ところ変われば・・・」ではありませんが、去年からじんわりと来ていた
お店との距離感と関係の変化が今年は著しかったです。

距離がぐんと縮まり、関係が深くなり。
可愛がっていただいているのがすごく伝わってくるので、
私も大切にしようと強く願うようになりました。

10ではなくて8店舗である理由は二つ。
①食べログの趣旨とは反するのだと思いますが、やっぱりおうちごはんが一番好きだから
②まだ行っていないところがあるから

この二つの願いを込めて。

来年もよい関係で、美味しいものをいただけますように。
いつも、感謝感謝深謝です。

マイ★ベストレストラン

1位

京味 (新橋、内幸町、汐留 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2016/08訪問 2016/08/24

居心地のいい場所を求めて

以前、某有名ワインバーのご主人が行きつけにしているお店に伺う際は
必ずお着物を召されると聞いたことを今、ふと思い出しました。

一昨年前ほどより、私も京味さんへ伺う際は、可能な限り着物を着付けて伺うように
なりました。「着物着ないの?」と言われることもありますし、
伺った際に「あら、今日はお着物ではないのですね」と言われると
なんだか恥ずかしいような、嬉しいような、申し訳ないような
複雑な嬉しさがこみ上げます。

通い始めた頃は、気負いしていた自分がいて、格好つけたりしていたけれど
今は、ほぼ毎月、同じ席に座って黙々と楽しみながら食事をしています。

料理道をきわめて来た人の前で料理を論じたり、評価するのは無しだわと
思い、毎年レビューを重ねつつも「点数」をいじることはありません。

昔も今もこれからも、きっと「今の私」にあうお椀がスッと出てきて
身体が、心が温まり、悦び、笑顔になれる。

そういう「何か」を私もいつか創造できたらと思います。

70歳を過ぎてなお、新しい料理にチャレンジできるって素晴らしい。
本当に心から尊敬しています。

そうそう、先日、そこもまた私の大好きなお店のお鮨屋さんで
「最後の晩餐」の話になった際、珍しく大将と意見が合致しました。

それは、

「京味さんの芋茎の椀物を丼ぶり一杯!」

もう、想像しただけでたまらない。

ひと月に一度、着物選びにワクワクしながら、今月も来月も
仕事に精を出したいと思います。


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まったけの時期の夜はもの凄い数の人がこちらを訪れます。
いつもはご夫婦でいらっしゃる方も、この時期だけはご両親を連れていらしてたりして。

親孝行ですわね。

私は相変わらず。・・・沢山食べています。
そんな私だからか、普段の西さんの会話+「あっこ行った?」とか
食べ物とお店の話がいっぱい花開きます。

沢山、西さんとおしゃべりしよう!とか、そういうことはあまりなくて、
ただただ美味しいものを食して帰る、そんな感じ。

でも、とってもこれが楽しい時間で、いとおしく思えます。

秋になれば秋の物、冬になれば冬の物。その時々の味を当たり前のように
出してくださるお店って、今は本当に少なくなりました。

仰々しく能書きをいただくより、作り手の真剣なまなざしが目の前にあって、
食べ手の私たちが美味しいって顔しておなか一杯にして帰る。
それで十分。

この時期特有の「おなかすいたら電話ください」っていうのが
何より私は大好きです。


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いつも適当に次の予約をお願いしているのですが、
ふと私が話したことがきっかけで取った予約の日。

グラスビールで喉を潤したら、スっと椀物が一つ出てきました。
「おめでとうございます。」
「お祝いなんでね、白みそで」と西さん。
開けるとふわっと白みその良い香りの中に隠れている柔らかい鯛。
上品なお誕生日のお祝い。

事前に電話したの?と聞かれたけれど、そんなことも全くなく。

雲丹と出汁のジュレもきっと雲丹好きさんへのプレゼントだったのでしょう。
今月は其処此処で雲丹のプレゼントを頂いている雲丹好きさん。
お隣さんに気付かれないよう、こっそり大きく喜んでました。
御相伴あずかれる私も嬉しい限りです。

放っておいていただくのが好きなのですが、
最近はよく西さんとお話をします。
西さんとお話をしちゃうとね、色んな所にご挨拶しにいかなければ
ならなくなっちゃうw それが嬉しい難点。

ここでご縁を結んで、あっこにも繋げて広がるご縁。

一度敷居をまたいだその後は。
しゃっちょこばって高い料理を食べに来てるんだぞって気負いじゃなくて
ちょっとご飯食べさせてー位のくつろげる気持ちを持って
向き合っていきたくなるお店でもあります。


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地震の後の訪問は、足しげく通っているお鮨屋さんの「大将(呼ぶなというが呼んじゃう)」さんと。

以前にもご一緒させていただいていたのですが、今回はゆっくりと。
こっちのほうがやっぱりいいね。
雨でなければ次も一緒に行きたかったのですが、今回はなし。

互いの仕事の話や、これからの事とか、食事の事とか、話しながら聞きながらいただく
春の京味さんはとても素晴らしい物でした。

最後の最後に摩り下ろしたレンコンの中に雲丹を入れて揚げて餡を掛けて出してくださった
お椀がとても素晴らしくて。

作っている過程が間近に見えてしまったので3人とも会話もそこそこに
手元に集中してしまいました。

その手間と、ほんのちょっとの加減と、優しさがお皿にいきてくるのでしょうね。


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「出掛けに重い話をするやないか」

そんな出だしで始まったその夜。
珍しくお着物にて到着。
「あらま、奥さん。新橋色やないですか~」と、西さん。

そんなこんなで更ける夜。

芋茎の椀物、はも、早松。
早松の歯ごたえはすばらしく、鱧もふわふわ。

今回は、お隣に恵まれなかったけれど、珍しく西さんが一杯話してくださった。
お料理のこと、これからのこと。

どうして今、メディアにでるのか。

これからどうしていきたいのか。

どこに進むのか。

一番最後の客になった者の特権だったのかもしれない。

ふと気づくと、お弟子さんも手を止めて話を聞いていらした。


お料理以上に深い感動を味わえた一夜。
大切に心にしまっておきます。


♪~♪~♪~♪~♪

京味さんにごてぼんはんと通い始めてから1年が経とうとしています。
あれ?もう過ぎたのかしら・・・、あっという間です、時の移ろいは。

付き合って結構長いのに、京味歴はまだまだひよっこ。

互いに接待や親とや何やらで以前から別々に通っていたお店ではありましたが
二人で通うようになってから、西さんとの距離がぶわっと縮まった感じがします。
一緒に行く相手で西さんとの繋がりがだいぶ違う感じがするのは私だけかしら。

「京味」の命名は裏千家15代家元の千玄室氏。「京の味だから京味」なんて、
何とも簡単な命名だけど、洒落ているような感じがしちゃいます。
日によっては隣の方もその先の方も、店をお出になられた方も「ぬおぉっ」と
驚いてしまうような方がいらっしゃったりするのは、ここでは当たり前のこと。

そして、出されたお皿に毎度驚かされるのも、とっても当り前のこと。
帰る頃には京味色の幸せな美味しい薫りに抱かれて、心も身体もほんわかしています。

日本中の今の季節、今一番美味しい食材の一番美味しい物がまるで磁石に
引きつけられるかの如く、京味に届けられます。

先日伺った時には食せなかったのですが、私のお気に入りは芋茎の椀物。
何度お家で同じようなものを作ってもあの素朴で上品な味には近づけないの。
お気に入りはまだまだあって、水菓子にと出される葛きりと鮭ハラスご飯に海鼠腸ご飯。
お酒たっぷりの蟹の甲羅のお雑炊に、西さんから手渡しで頂ける鱲餅。
それから年明けのお雑煮や、松茸 鱧 鯛と、あげたらキリなく出てきます。

また、京味用に誂えられた器がまた料理にちょうど良く、可愛らしくもあり、艶やかでもあり、
料理を引き立てるというのはまさしくこのこと、と思えるものばかりです。

「簡単に料理する方法があったら私が知りたいくらいです」なんてジョークをさらっと言えるほど、
丁寧に作られた逸品を美味しいお酒と共に頂けるのは赤本の星獲得店舗が世界一位の
日本にあっても、指で簡単に数えられる位のお店の数しかないのではと思います。

伺う方はこぞって西さんとの会話を目指していたりしますが、
お弟子さんとのお話もとてもキッチュで楽しいもの。
そして彼らの指先は、西さんのジョークをふふんと軽く笑い飛ばせるくらいに
丁寧に皆で仕事をした証が光耀いています。

ここ数年はお弟子さんの出入りも殆どなく、いい連携が取れているので
西さんも安心していらっしゃる様子。まだまだ引退せずにずっと長く板場の華で
居て頂きたいなと思います。

通えば通うほど、凄さに圧倒されるお店。

そして、西さんから感じられるのはお店やお客様への無償の愛と、
無上の味の先にある大きな喜び。

このご縁は大切にせねばと誓うのでした。

一度訪れてみたいというだけで通う覚悟がないのであれば、紹介してもらうなかれ。
無理して訪れるお店ではないという事と、そうやって幅を広げることによって
常連さんが別の常連さんの予約を更に取りづらく、また、西さんを悩ませることに
なるのでしょうから。
ここに通う事は、決してステイタスではなく、心が求めるものであってほしいと思います。


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2位

俵屋旅館 (京都市役所前、烏丸御池、三条 / 料理旅館、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2013/03訪問 2013/03/02

どこからどこまでが『俵屋』なのか

3月宿泊はひな祭りの付近に。

今月はお食事がかなり秀逸。リラックスしながら食事できる内容としては
かなり満足できるレベル。

ヨモギの菱餅、マグロの稚魚のサシミ、山城の筍。

春っていいな~って思います。

なごりの雪に迎えられ訪れた俵屋で、私たち的に困ったことがまずありまして、
いつもの仲居さんではなく、別の方で二人ともドキドキ、、、
お食事中にご挨拶にいつもの仲居さんがお見えになった時に
無上の安心感が。

別の仲居さんにサーブされたお食事なのですが、
苦手なものが好きなものに変わっていたし、
お箸もちゃんと左になっていて、引継ぎがちゃんとなされていた
感じで安心しました。

初めてこちらを訪れて、「ここじゃないな」と思う方もいると思います。
でも、私たちは俵屋山を選んだ。

それは、毎日毎日の庭師さんの手入れ、お掃除に始まり
仲居さんの笑顔まで。

庭の枝先から仲居さんの笑顔までが『俵屋』なんだと気づいたとき、
ここが自分たちの定宿なんだと思えました。

京都に行こうと思ったら、俵屋に帰る。

自分たちがこの宿に、この宿が自分たちに合う限り、
伺うことになるのかなと思います。

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遅ればせながらの彼岸参りは、花見と共に。

今回はいつもと予定をガラッと変えました。いつもは昼過ぎに新幹線に飛び乗るのですが
昼下がりに乗ったことで夕方に行くお墓参りを翌日の朝一番に持っていきました。

今回は孔雀の間。大好きな泉の間の真上にあり、この時期には黄梅が見事なお部屋です。
「おかえりなさいませ」のお声を頂くと、なんだかホッとします。
夕飯ギリギリの時間に着いたので、お茶を一服いただいてすぐに花重さんに彼岸花をいただきに。
その間に用意をしていただいてのお夕飯。

ポメリーのハーフと大吟醸と共にいただくお食事。
たけのこ、春の鯛など、桜のしんじょなど、春らしいお食事。
粟麩の田楽、筍の土佐煮も素敵な柔らかなお味。
煮蛸は煮アワビに変わっていました。ありがとう。

デザートのグレープフルーツのゼリーは大きいのでもう(お腹に)入らないかも
と言いつつ、話をしながらペロリと食べてしまいました。

こんなに沢山頂いたら、朝は食べれないだろうと思っていたけれど、
早朝のお墓参り+散歩の後は、やっぱりお替りするほどのおなかの減りよう。

ただ、残念だったのは錦市場で買い物するはずのお店がお休みだったこと。

今回は2階のお部屋がご盛況で、結構声が漏れ聞こえていたけれど、
それで神経質になるわけでもないので、それはそれ。

桜が満開の時期はしょうがないってことですね。

でも、いつもは両サイドのお部屋を空けてくださるので静寂が広がります。

次の彼岸を心待ちに。


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今回は桂の間

1月のお夕飯ははじめが肝心。

吉と書かれた熨斗つきの升にお正月が溢れています。
(あっという間に食してしまったので、写真を撮り忘れてしまいました)

お食事のともは「栄勲」。あっという間に4合瓶をペロリ。
タコの吸盤が苦手な私には、吸盤なしのタコが並びました。

夕方と朝方に野鳩とにらめっこして、のんびりお風呂につかり、
朝はいつも通り逃げ帰るように飛び去るため、通常10時に出来上がる
お弁当を8時半に届けてもらい・・・。

段々と「今」の瞬間になじんでくる感じ。

次も次もその次も。きっと今の私になじんでいくのでしょう。


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贅沢月間の筈が。

前後にゴリ押しで入ってきた仕事のため、やむを得ず俵屋だけを残しました。
「この日だけ」とお願いすることはあまりないのですが、
「この日に」と、いろんな方に声を掛けていたのでとにかく、無事に行けてよかったです。

予約時に名前を告げ、ちょっとしたお祝いという事でとお話をすると
「お祝い時はくすだまかハーフワインのサービスが」と。
・・・なんだかキャッチーな感じになった言葉を聞いてしまったような
気がしたのですが、気を取り直して「じゃ、ハーフワインを」とお願いして
電話を切りました。

電話を切る前に一言だけ、「小さいころに泊まったお部屋が空いていれば」
と伝えてみました。

向かいの花重さんに当日、お墓参りに行くので俵屋さんに泊まりますと
電話をすると、俵屋さんと連絡を取り合っていてくださいました。

チェックインは15時頃、チェックアウトは10時頃でしょうか、
ただ、それはあくまでも「目安」です。
チェックインも事前に連絡をしておくと、着替えの為や荷物置きを
することができます。

チェックアウト後は必要であれば(その日中であれば)荷物を置くのは
いつまででもOK。

チェックイン時の心遣いは、1泊2日の時はとても助かります。
私も1時に着いて着替えをしてお墓参りを無事に済ませてきました。

夕方に戻ってからはこもりっきり。
お風呂に入ったり、掘りごたつでほっこりしたり、本を読んだり仕事をしたり。

私の思い出のお部屋は入口をくぐってすぐ右の「泉」というお部屋。
割と病弱だったので、夜中でも病院にすぐ駆け込めるように
いつもこの部屋に泊まっていました。
チェックインが重なる時間は少し騒がしいのですが、
あとは静寂が広がります。

お祝いのご膳は、お椀のしつらえがちょっと違います。
蓋が「貴」、お椀が「富」という漆の椀。
なんだか、ちょっとだけのお祝いに心が膨れます。
この時期は鴨が出てくるので、壬生菜と葱の鴨鍋とか
小なすと雲丹とか。いろいろ香り豊かなお食事が繰り広げられました。

鴨が出るだろうと予想をして用意をしていただいていたのは
CH.シュバルブランの'73。よきワインでした。
ちなみにBYOでも抜栓チャージはありません。
俵屋さんがお祝いにと用意してくださったのは、シャブリのハーフ。
ちびちびとしようと思っていたのに、あっという間になくなってしまいました。

俵屋の食事の醍醐味は、やはり朝食とお弁当なのではと思います。
帰りの新幹線で広げるお弁当は、余韻と名残を与えてくれます。

大きく期待をするのであれば、今はお外にいいお店が溢れているので
お食事なしで泊まれる旅館に泊まり、お外でご飯を食べてもいいのかも。

確かに賛否両論あるサービスやキャッチーになってしまったブランドというのは
訪れた人だれもが感じる部分でしょう。
キャッチーなブランドになってしまったのは、それはそれで、俵屋独自の次世代への
生き残りの形なのではと思いますし、上手くいかなけれな形を変えるのではと
思います。

頑なに昔の形を継承するのも、新たなニーズに応え形を変えていくのも
生き残りに必死なのには変わりありませんからね。

サービスは、今回担当してくださった中居さんは当たりだったし、
苦に思うことはなかったので、次回も同等レベルを望みます。

ちなみに、180センチ以上の身長のお方はお布団を付け足してくださるそう。
ベッドにはないサービスですね。

また来月のお墓参りの時に。


  • 蟹しんじょ
  • 貴
  • 富

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3位

ヴァンサン (六本木一丁目、六本木、麻布十番 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2011/08訪問 2012/01/17

ソースのJoの現在・過去・未来

『レストラン』なのです。

『レストラン ヴァンサン』

この意味は、訪問すればわかります。

お店の雰囲気を知り、味わい、帯同者と語らい、寸評する場である飲食店が多い中、
この『レストラン』は存在します。

誰しもが城さんが登場すると少し緊張し、おしゃべりし、味わう。
圧倒的に楽しいのです。

この『圧倒的に楽しい』場というのは、京味さんしかり、さいとうさんしかり
美味しくて楽しいのです。

何よりも、城さんが楽しそう。

小さい頃におめかしをして出かけたレストランの空気がまだ残っている場所。

流行に左右されたお店に疲れたらぜひどおぞ。

人参のムースとコンソメスープ、それにカラスミとフォアグラを
楽しい城さんのお話と共に。

ソースのJOは健在です。


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城さんがまだレカンにいらっしゃった頃は、レカン黄金時代でした。
あの頃は夜3回転させても、人がわんさとおしよせて、でもまだ
店側がイニシアチブをとっているような時代だったと記憶しています。

ン十年前、レカンの厨房からご挨拶に来られる城さんの目は厳しくて厳しくて。
汗をサッと拭いた顔、身体からみなぎるパワーはお顔を拝見するだけで、
のけぞるほどに威厳があったのを今でも強く覚えています。

私はレカンとアピシウスでフォーク&ナイフのお作法を学び
慣れるまではお粗相がひどく、フロアさんや両親に静かに叱られ
それこそ泣きながら、涙でしょっぱくなってしまったお料理を食べていました。

それでも、ソースのJOが操るお皿はどれも、何もわからない子供ですら
その一皿が素晴らしいものだと無意識に感動するほどでした。

その後、城さんにも変化があり、わたくしの生活にも変化があり。
ひょんなことから城さんと私達の知人が親しいことがわかりヴァンサンへ。

昔のお姿しか記憶にない私にとって、ヴァンサンへの階段は
一段一段下がると共に緊張が増すような感じ。
この十年以上前の記憶の重みを再認した瞬間、帯同者がドアをあけ・・・

でも、・・・あれ?
すでにいらしていた知人と話している城さんはなんだかアチコチ角がとれて、
丸くて優しいオーラを纏っていらっしゃる感じ。

黒髪交じりの白髪にまぶしい笑顔。来客を心から喜んでいるような
弾む声に、思い心が一気に軽くなり踊りだしました。

全員がそろい、お食事へ。

予約時に何も伝えていなかったのですが、お任せになっていたのだと思います。
会話と会話の間にスっと差し出されるお皿。

流行にはとらわれていない、城さん好みのお皿は愛らしい柄でお料理に
花を添えています。
スープの中に入っていたコンソメのジュレこそ塩味が強かったですが
それでも、肝嫌いの方がアワビの肝ソースを食べれたり、
仔羊嫌いの方が仔羊とフォアグラのソテーを美味しいと真っ先に
平らげるほどのソースマジックに、安心感を覚えました。

それに、カラスミ。これがとても素晴らしい味でした。
いろんなカラスミがありますが私はしっとりと水分が残っていて
ツブツブ感があるほうが好きなのですが、「これ、美味しいっ!」と
思わず声が漏れるほど。

薫りよし、舌触りよし、味わいよし。
こぞって、そのお皿だけ全員カラスミが最後まで取っていて、
ゆっくりゆっくりいただきました。

沢山の話を料理と共にいただけて、満腹すぎるほど。

帰りに思いがけず山ほどのお土産をいただき、本当にありがとうございました。

また、ぜひいらしてね、の言葉をいただいたとき、
なんだか自分の過去が洗われたような気がして、
思わず涙ぐんでしまいました。

今はお店ではなくお客のほうがイニシアチブを取る時代。
他所の店に行って「この間、どこそこでアレを食べたんだけどさ~」なんて
初対面で話している人も大勢いる中、良き時代に善き方から様々なことを
教わっていたこと、泣いても泣いても懲りずに迎え入れてくださっていたこと
これが宝なんだとその時思いました。

いろんなお店があるけれど、人生を共に歩んでくれるお店や人ってそう居ない。
今、二つ大切にしているお店があって、ヴァンサン(城さん)が三つ目。
また宝物が増えました。

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4位

SANKARA HOTEL&SPA 屋久島 (屋久島町その他 / その他)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2011/10訪問 2011/11/30

心に残る場所

屋久島についた途端、言ったセリフ。

「はア、一ヶ月、ほとんど雨ですな。 屋久島は月のうち、三十五日は雨という位 でございますからね。」
林芙美子著の「浮雲」の有名な一節ですが・・・。

頭一個分上から「フン!」って声が降ってくる程、滞在していた間の屋久島は快晴でした。
飛行機に乗った時から晴れなのはわかっていたのですが、ついつい言いたくなっちゃって。

スタッフの方による送迎があり、30分ほどかけてホテルへ。

2010年オープンではありますが、ホテルの建物は真新しいものではなく、
オーナーが既存のホテルを買い取って改築したもの。コテージ風のヴィラは
キッチン設備があり、以前は長期滞在用もしくは貸別荘のようなものだったのではと伺えます。

ウェルカムドリンク&ランチはフロント前のプールサイドにて。
10月も終わりなのに暑い位の陽気に、少し拍子抜けするほど。
ランチでいただいた地元野菜のパスタとカレーは、期待を上回る程よい塩加減の
優しい味。パスタは少しゆですぎのような気もしましたが、だれた気持ちと体には
ちょうどよかったです。

夜のお食事は2階のokasにて。ヴィラとスイートの別は夜のお食事の場所で
しているそう。
okasのお食事はフレンチキジュイーヌ。兵庫にある料理店をプロデュースしている
会社の系列なので、期待はずれな味ではなく、むしろほっとする味。
若手のかたが一生懸命作ってくださっているのを間近で見ながら楽しいお食事を
させていただきました。

少し残念だったのは、ワインが合わせきれなかったこと。
基本的にお店の方のアドバイスを受けながら自分たちの好きな範疇の
ワインを選ぶのですが、こちらはワインの数が少なく、安いものと高いものの差が
激しく、中間層のワインがほとんどなかったため、アドバイスに乗ったところ、
そのときの気持ちとはちょっとかけ離れているものを進められました。

もう少しワインのレパートリーがあるとうれしいですね。

2日目は朝早くからトレッキング。 4時に起きてキャアキャア騒いでいる私を横に
心配そうな顔をしている人がおりまして・・・。
トレッキング自体はとても楽しく、こんな晴れている日はほとんどない!と
ガイドさんも感動するほど、きれいな景色に出会いながら、ゆっくり体力に合わせ
戻ってきた・・・つもりでした。

タイの古式マッサージを受け、お食事に向かい、食べ始めた途端に
貧血が・・・。お料理は前日同様に良いお味でしたが、
極度の疲労と筋肉の硬直で立ち上がれなさそうだったため
お食事をデザート残してギブアップさせていただきました。

うなされた翌日の朝。テーブルにはケーキが。
お誕生日にあんなに頑張ったのは生まれて初めての経験でしたし
もう二度とないのかもしれません。
でも、心地よい空間で屋久島ライフを楽しみながら頑張って
仕事をしてくださっているスタッフの方々と接し、誕生日を祝っていただけたのは
とてもいい思い出です。

まだまだ体力が足りないのですが、もう一度、屋久島を訪れてみたいです。
その時はまた、こちらにお邪魔したいとすでにリクエスト済みです。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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5位

阿蘇のあか牛料理専門店 農家れすとらん 田子山 (内牧 / 焼肉、オーガニック、牛料理)

1回

  • 夜の点数: 3.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2013/10訪問 2012/11/27

この辺りではとても貴重な店

阿蘇の土地が土砂災害に遭ったのが今年の7月だったでしょうか。

あの辺り一帯でも、土地の低い場所、高い場所さまざまあり、
ちょっとした差で被害に遭わなかった場所も多くありました。

田子山さんの裏庭は、まさに被災した場所。被害直後に近くを通った時には
再開店するのだろうかと不安になるような様相でした。

秋ごろ、近くを通った際に再オープンを聞きつけ予約なしで伺ったところ
満席とのこと。

入れず食せず残念な気持ちがあったのですが、でもそれ以上に
被災から立ち上がったという事に感動しています。

ごはんは阿蘇でとれたおいしいお米。
お野菜はほぼ自家製。

そしてお肉は熊本、阿蘇の誇るあかうし。

噛めば噛むほど、お肉本来のうまみがあふれてきます。
あか牛を取り扱っているお店が少ない中、田子山さんはとても貴重な存在。

ヘドロ除去などに時間がかかっていましたが、ぜひずっとここで
頑張ってほしいです。


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中学校の裏手を少し走ったところ、パーマ屋さんの隣あたりにあるお店。
あれ?乙姫に入っちゃうんじゃないの?と思うほど
茶色い木の看板が周りに溶け込んで少しわかりづらくなっています。

2泊強烈なほどにお食事が不味いホテル?に泊まることになり
今日は夜遅いのでと宿泊先での食事を断り朝出たのはいいのですが
阿蘇(特に内牧周辺)はお店がとても少ないの。

ラーメン?から揚げ?あとは?と必死に阿蘇神社で考えて
食べログを見ることに。
野菜たべたいはずだったのに、田子山さんに予約。

農家レストランなのですが、実は焼肉がメイン。
当日予約で頂ける一番高い(それでも4千円位/人)のコースを頂くことに。

店内にも書いてありますが、お野菜はほぼ自家製。白和えもお漬物も
おばあちゃんが作ってくれたようなとても優しくて美味しい味。
お腹がすいていたので、すぐに無くなってしまいました。

メインのお肉はこの地方の特産である赤牛。
柔らかいのですが、赤みがとても噛んでいて美味しい。
いつもはしっかりお肉を焼く、焼き将軍が、この日はミディアムで
「よし」の掛け声を出してくれました。

ご飯のお替りは自由。お味噌汁もお願いすれば出してくださいます。

ポン酢、モンゴルの塩、塩コショウしかないのですが、
私は塩コショウか、九州醤油にコショウがおすすめです。

にんにくは皮ごと焼いて、中がホックリしたらいただいて、
他のお野菜もお肉と共にたくさんいただきます。

少し少ないかな?と思うくらいの量ですが、食べ終わると本当に
お腹がパンパン。「満足ぅ~」という声が思わず出ちゃいます。

「何よりもびっくりしたのは、(食事の)テーブルにマヨネーズが
でなかったこと」と言ったら、爆笑されてしまいました。

そのくらい、このあたりの方はマヨネーズが大好き。
どんなお店でも出てきますが、出てこなくてもおいしいこちらは
また行ったときにもよると思います。

1回転しかさせないようなので、席は結構ありますが要予約です。

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6位

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2013/06訪問 2011/10/14

幾度となく旅する毎に増す満足感

すごいいいよ~というお友達カップルに勧められた直後に
何気なく見た雑誌に載っていて、行こうかということに。

用事にむりくりこじつけで、「同じ北海道だから」ということで
予約を取ったのですが、結構次の用事までは遠かったです。

スイートを予約するとコンシェチェックになり、その横にある
ラウンジが24時間滞在中はフリーで使え、飲み物やケーキなども無料でいただけます。
もちろん、ウェルカムシャンパンもね。

最初の宿泊はジュニアスイート。こちらのお部屋は少し使い勝ってが悪かったです。
お勧めはサミットスイート。指定できるなら、ミドルサイズの(イギリスだったかしら)スイートを
用意していただくと、動線がよく、くつろげます。

朝は少し早くて6時過ぎくらいからブッフェが始まります。
こちらに泊まって、目の前のゴルフ場以外の場所でプレイする方にとってはベストな時間。
都内のブッフェスタイルモーニングより少し多めのメニューなので、目移りしている方を
多く見受けました。

いろいろなリクエストをして、応えていただく。当たり前のことではありますが、
それを「やってます!」というパフォーマンスに見えないところが心地よいです。

次の予約を帰ってからしたいとオファーすると、指定の場所に(東京ですと)営業さんが
来てくださって、予約と滞在時の内容(食事や身の回りの物、お願い事)などのアレンジを
してくださいます。
当日は、コンシェの方が時間の許す限り付きっ切りで対応してくださる。
お食事を終えても、お部屋まで案内してくださったり、その他もろもろ。

併設されているゴルフ場は1人でのプレーもできますので、
旦那さんはゴルフをして、奥方様はエステをするという見事な分業もできます。

伺った日の翌日はあいにくの天気でゴルフができなくなったりしたのですが、
そのかわりに素晴らしい出逢いがあって、こういう偶然っていいですねって
後日、お礼の電話をコンシェの方にしたところ、自分のことのように喜んでくださって。

東京の営業さんも、アチコチ館内を遊びまわっている私たちに挨拶をしようと
駆けずり回ってくださったり。
すごく一生懸命なホテルだなという感じです。

また、暖かい頃に。

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7位

てんぷら 深町 (京橋、宝町、銀座一丁目 / 天ぷら)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥8,000~¥9,999

2013/07訪問 2012/07/09

季節ごとに

天ぷらなんてどこにでもあるじゃない。・・・そう思います。

ここより美味しいところだって、ほかにあるじゃない。・・・そうなのかもしれません。

でも、天ぷらを食べたい時って、「油ものカモ~ン」な日であって、
「でも、よい油でお願い」って感じの日が多いのもたしか。

何軒かうかがう天ぷら屋さんはあるものの、当日急に天ぷらデートをしたくなると
真っ先に電話するのはやっぱり深町さん。

程よく放っておいてくださる距離感と、野菜のみずみずしさに私たちはメロメロ。
今月は、とうもろこし、新レンコン、稚鮎が始まっていました。

〆はやっぱり天バラ。初めて聞く方も多いのか、避けられる方がよく見られますが
ぜひ試してほしい。

夏前のこの時期の桃のコンポートのデザートも外さずに。


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なんだかんだ言って、時間の余裕があるときに訪れることがおおいこちら。

夜デートを久しぶりにしようとなり、「なんかおいしいもの(当然直前予約)食べよ」と
考え、真っ先に思い付いつきました。

「春の野菜がいただけそうだね~」なんて感じです。

ぶっきらぼうなご主人と、優しい息子さん。息がぴったり合っています。
食べる気満々なので、お任せを。プラス瓶ビール1本にシャブリという構成。

お隣さん運には恵まれませんでしたが、たけのこ、めごち、口子、
やっぱり来てよかったと思える香と味です。

それに直前に連絡してうかがえるのが何ともうれしい。

最後にチョイスする天バラに大根おろしをまぶしていただいていたら、
「最近、『食べログ見て』とおっしゃられて、同じような召し上がり方をする方が
増えたんですよ」と言われてしまいました。

無類の大根おろし好きな方にはおすすめな食べ方ですが、
ビシャビシャなご飯を食べたくないかたにはおすすめできませんのでご注意を。

春先のこの時期だけいただける、伊予柑ゼリーはしばらくするとなくなりますので
この時期にどうぞ。


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ちょっと考え事をしながらの外出先で、帰ったらご飯を買い物がてら
銀座でしようとなった日に再訪。

ものすごくラフな格好をしていたのですが、それでも事前確認でOKだったため
着替えもせずに伺いました。

仕上げはリラックスしながらと決まっていたから、刺身付きの1万2千のコースで。
熱燗にできるお酒は菊正宗のみ。

今回のお刺身は結構良かったです。雲丹と平目、それにカラスミ。
キンと冷えたビールと共に。

最初はもちろん車海老から。
栗、墨烏賊、加賀蓮根、キスや椎茸、銀杏など
秋らしい食材と、深町さんらしい食材がバランスよく出されます。

仕上げはやっぱり残しておいたキメの細かい大根おろしを合えた
天バラで。天丼好きさんも大根おろしをつまみながら。

ふとした喜びと、膨らんだお腹。今ある悩みも吹き飛びそうでした。

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天ぷらって無性に食べたくなる時があります。
ほんと、発作級。

ぐったりしすぎて、何にも出来なくなってしまって
何か食べなきゃ、食べなきゃと、動く気配もない頭を抱え
オートマチックに食べれるおいしいもの・・・・

うぉ~、天ぷらじゃい。ということで。

「すぐに伺うから」と夜の6時頃に駆け込みました。

おなかと背中がくっついていたので、お任せで。
ビールの小瓶をちびりとやりながら、湯葉をはみ、天ぷらを待ちます。

ばちこ
ふぐの白子
たけのこ
雲丹
車エビ
赤れんこん
しいたけ

などなど。

こちらのばちこの天ぷら、私だいすきです。
お酒を飲める日は、ここで約2合進みます。
今回は、ぐぐっと我慢。

たけのこは、鹿児島産だったかしら?ほんと、早春ですという
良い香りがふわ~んと。かむと染み出る水分も素敵。

初めて頂いた赤れんこんはとっても甘い。
本当に深町さんってお野菜が得意分野なんだとわかります。

車エビなどは、私の好みの範疇から少し外れます。
もう少しレア感が残ったもののほうが唸っちゃう。

おまかせの中を少し変更していただいて、
ソラマメを入れていただきました。
お豆自体の甘さと良い香りが良い揚げ加減で茹でたものとは
違うほっこり感があります。

お魚の天ぷらが食べたいときは「はやし」さんに迷わず電話。
お野菜と天バラが食べたいときは深町。

私の中の使分けはこんな感じ。

最後の天バラは、残しておいた大根おろしを迷わずドサッと
のせて、口の中をサッパリさせながらおなかの総仕上げをします。

意外に侮れないのは、デザートのシャーベット。
林檎の皮がプチプチと、可愛らしい模様で出てまいります。

今回はちょっと食べすぎたかも。

でも、数日間ロクに食事もせず頑張ってきた身体を
再度鞭打たせる為には、必要な食事量でした。

通常は多分、お好みで揚げていただいて、サッと帰るのが
一番かも。
宝町という立地ですから、軽く仕上げて二軒目に。

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