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閉店ラ・シャンス麹町、半蔵門、永田町/フレンチ、ワインバー、ステーキ
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夜の点数:4.5
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¥15,000~¥19,999 / 1人
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料理・味 4.5
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|サービス 3.5
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 4.5
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昼の点数:4.5
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¥10,000~¥14,999 / 1人
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料理・味 4.5
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|サービス 3.5
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 4.5
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[ 料理・味4.5
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| サービス3.5
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| 雰囲気4.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク4.5 ]
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[ 料理・味4.5
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| サービス3.5
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| 雰囲気4.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク4.5 ]
充溢する情意に感涙
2010/02/05 更新
土地柄、議員さんや関連施設の方々が食事会を開いている事があります。
彼と伺う前は友人のコッカイ議員さんと連立って訪れた事がある位でした。
政治家さんって、どこに行っても声が大きいのですぐに分かります。
こんな所に、と思うような立地に好きな店ってあるわねと最近話しておりましたら
なんだか、あの時の想いが込上げてきて来たのでレビューすることに。
ここに二人で伺ったのは軽く数えられるくらい。
最初は何と無くぶらりと伺い、(彼が)常連なんだと認識した覚えがあります。
二度目は、悲しい記念日と誕生日を兼ねて。二人にとって大切なものを失った記念日と
私の誕生日を祝う為に予約もせずに伺ったものですから、他の方に提供した後の4分の3だけの
微妙に欠けたガトーショコラを飾ってサーヴしていただきました。その欠け具合がなんともその時の気持ちに
マッチしていて「俺ららしいじゃん」なんて言われ、少し悲しくて涙ぐんでしまったこともあります。
さて、それから。
それから暫く経ったのち。
誕生日を少し過ぎたある日の昼下がり。ランチの誘いを頂いた際に水谷さんを指定したところ満席でout。
なので、洋食気分にswitchせよの司令の元、頭と心を切り替えてやっぱり当日直前予約でこちらへ。
「こんにちは」と入店すると吉原シェフが「あれ?ご一緒では?」と。
あれ?何年も経っているのに覚えて下さっているのねとビックリ。
私の顔は分かりやすい顔をしているので驚いているのが分かったらしく、シェフが続けて
「種明かしはのちほど」とウインク。
いつものテーブルで合流した彼とバースデイランチをシャンパーニュでスタート。
この日は牡蠣が始まった時期でしたので、牡蠣をいただきそれと5千円のコースをチョイス。
聞けば、5千円と7千円のランチの違いは前菜だけとのこと。
カレンダーを読むなれば、季節は晩秋へと向かう時期なのに外は初秋のような軽やかな陽気。
店内はたった2組だけ。
初老を迎えた奥様とその御子息。
高い山深い谷重い闇を幾度となく超えたふたり。
広がる静寂。
穏やかで軽やかな雰囲気。
せっせと預けに来ている彼のワインの中から、適当にといいつつペルドリのエシェゾー’02を
開けて頂く事に。
軽やかだけどたおやかな香り、まだ少し若いアプリコットのような香りと微かなベリーとローズ、
舌離れの良いタンニンで最後にグラマラスに変化するワインに「あふっ」と共に喘ぎ、
「悪くない(←いいってこと)ワイン」で食事がスタートできたことに感謝。
まだ早いとどこかの雑誌に書いてあったけれど、そんなことないような気がしました。
「(お店の為に)残さなくちゃ」なんて言いながら「味わってるのかい!」と
ツッコミが飛ばないのがおかしいくらいにピッチの早い二人。
あやうく本当に無くなってしまいそうでした。
それくらい、液体でも固形でも美味しいものに目がない私達。
柔らかな雰囲気の中で頂くお料理は期待に添う以上の安心できるポテンシャルの高いクラシックフレンチ。
この味がグランメゾンじゃなくても頂けるという、カッチリし過ぎていないところが素晴らしい。
薫り・食感・視覚。「わぁっ」と驚くのではなくて、微笑みが溢れる懐かしさに包まれた
優しい悦び。後日までたなびく余韻。
メインにとチョイスしたビーフシチューがこれまた秀逸。一口頂きましたが、彼が言っていた通り
本当に小さい頃にこれを頂いていたら人生が変わっていたかも。(ちょっと大げさかな 笑)
お家では出せない味というのがさりげなく、しっかりと表現されていて驚きました。
途中でワインが足りなくなってしまってお店のハーフをお願いするか我慢するかを
悩んでいたところ、「お誕生日だから(もう一本)いいよ」と珍しく私の遠慮を
遮るように何度も促してくださり、吉原さんが持ってきて下さったのは
シュヴァルブラン ‘95。なんてこと…。
「これのあとはこれしかないでしょう」「僕もそうだと思ってました」って笑って言うけれど、
(頼む前にオウンリストを見せて頂いていたからこそ)もう一本を躊躇していたのに。
何をなさるのって感じ(笑)。
急遽開けて頂く事になり、もちろんこれからデキャンタージュして頂くにはあまりにも
時間が無さすぎるので、グラス2つを使用し橋渡しで空気に触れさせることで
対応して頂き…。
もう、なんてこと。
こんなランチってありなの?と香って口に含んだ途端に体内だけに留まっていた感動が大洪水。
堰をも軽く乗り越えてしまい、唇がグラスから離れた瞬間に涙が零れてしまいました。
ワインの感想もうまく伝えられないくらい涙が溢れてしまって、ハンカチで拭っても拭っても
ビー玉を転がしたようにコロコロ・ポロポロ止まらない涙。
あぁ私。ワインの知識が少しあって良かった。
余り飲んだことも無いような浅知恵と経験だけなら、あの感動は生まれなかったかも。
ペルドリのエシェゾーからシュヴァルブランへのつながりがとてもすばらしかった。
微笑みながら会話して、止まらない涙をハンカチで拭って。薫りを身体に移すが如く
ワインを口に含む私。そんな私を「誕生日やから」と優しく見守って下っているごてぼんはん。
何だか色々忙しい私と、私を見守る彼、そして二人の空気を奥で見守る吉原シェフ。
デザートのワゴンが来る頃には一頻りの涙も収まって、大吟醸のソルベとガトーショコラなどを頂き。
お誕生日だからとマジパンのお花で飾って頂き。そんなもんで私は充分。
プレートを飾っていただかなくても、ケーキを別で用意して頂かなくても、私そんなのいらない。
ただただ空いた手を繋いでくれて、楽しいお食事を過ごせればそれで満足。
こちらのデザート、本当に侮れません。とても美味しいの。
私、こちらのガトーショコラが大好きなんです。
小麦粉を一切使っていないのに、ちゃんと立ちあがってるの。
お家でも良く作りますが、私が作る場合はどうしても小麦粉10gの安定感が必要。
前菜からデザートまで、力の配分が良いお店ってそうないなと思います。
最初から最後まで、とても楽しみなお店です。
ふと一人になった時に吉原さんが、
「先ほど、何故分かったのか驚かれていらしたでしょう?」と。
「ええとても。だって、前回は多分3・4年前…?かしら」と私。
くすっと笑われて、その理由を教えて下さいました。
「えぇええっ!それはないですよ~(笑)」
「言われませんか?」と。
へぇ、そうなんだ~。
ふと思い返すと、確かに水谷さんでも年末に伺った際の鮨さいとうさんでも言われたな~、と。
「でも、言ったらきっと怒られちゃいます」
「きっと、怒られませんよ(笑)」
そうかしら。「それはない」と後日言いきられましたが、お友達にも同じ事を言われました。
帰りに今日の記念にと頂いたエチケットの裏書に吉原シェフから素敵なメッセージが書かれておりました。
その内容は?と聞かれたけれど、それは私だけの秘密です。