2回
2022/09 訪問
味蕾と知的好奇心を激しく刺激する、旨味がギュッと詰まったカレー
「渋谷カレー巡り」の3店目のお店。もうお腹いっぱいなので止めておこうかと思っていたのでありましたが、とても上等なカレーを提供してくれそうな感じがしたカントナは、勢いで訪問してみる事にするのであります。
地図を頼りに向かいますと、東急百貨店の近辺に該当するであろう雑居ビルを発見いたします。
外看板の掲示が無いビルは、お目当てのお店の存在が確認出来ないのであります。加えて、どこから入るのか分からぬ不思議なビルの前で途方に暮れるカントナなのであります。
食い意地だけで頑張ってビルの周囲をウロウロしておりますと、ビルの奥まった薄暗いところにエレベーターを発見いたします。
とりあえず乗ってみる事にしたエレベーターの案内板の5階に、お店の存在を確認して安心するカントナなのでありました。
到着した5階。右手が目指すお店の様なのでありますが、飲食店では無さそうな雰囲気に怖じ気づくカントナなのであります。
改めて食い意地を発揮して入店を試みますと、そこはヒッピーとロックとインド(スリランカ?)が融合したような雰囲気の店内。
すぐにカウンターから顔を出してくれたヒッピースタイル(?)の店員さんはとても優しそうなお顔で歓迎してくれて、ひとまず安心するカントナなのであります。
カウンターと少しのテーブル席の小さなお店。お昼時を少し過ぎた時間帯だからか、お客さんは1組。そんなカップルは強面で、身構えるカントナなのでありました。
店内はボブ・ディラン関連のグッズが多くて、かかっている音楽はThe White Stripes。
ソファ席に小さくなって座っておりますと、先ほどの店員さんがメニューを持ってきてくれるのであります。
そんなメニューを拝見いたします。予習ではポークが良い感じでありましたので、ポークをライス少な目でお願いする事にいたします。
エンドレスでかかっているのか、Seven Nation Armyを何度か耳にしながら待つ事5分程度。
カレーの注がれた洋風な平皿と、ライスの盛られた白い平皿の2枚で到着であります。「ライスの盛りはこれくらいで良かったですか?」と、とても丁寧に確認してくれた店員さんに「ありがとうございます」とお礼を告げてから、カレーと向き合う事にいたします。
まず目に入るのが、豚肉の塊が鎮座するいわゆる「エアーズロック」なカレー。赤茶色のカレーソースの真ん中にエアーズロックの如きポークの塊が鎮座している姿は神々しく、素敵な写真を撮ろうと努力したカントナなのでありましたが、逆光により満足なものは撮影出来なかったのでありました。
そんな撮影会は諦めて、早速冷めぬうちにいただく事にいたします。スプーンを入れますとビーフシチューのような深い色合いのカレーは、トロミを感じるのであります。
一口運んでみますと、たっぷりのタマネギのお陰なのか味の密度が濃くて旨味が厚いカレーなのであります。そしてスパイスの種類は判別不能なのでありますが多種のスパイスが交わった風味は多層的で鮮烈で、ハーブらしき存在感によって南アジアだけでなくて欧風的なそよ風も感じさせる気のするカレーなのであります。
今まで食した事の無い、美味しさの秘密がギュッと詰まったカレー。濃厚な旨味と切れ味鋭い辛味、静かなる苦味と言ったバランスの良いコンビネーションによって、カントナの味蕾と脳を激しく刺激するのでありました。
そして、「こんなに美味いカレーであるならばルーの大盛りにしておけば良かったな」と、激しく後悔するカントナなのでありました。
そして、カレーの大海原に佇むエアーズロックは、スプーンを当てますと従順にスッとカットされるトロトロ具合が気持ち良いのであります。そんな塊は、中心にまで絶品のカレーが侵食しているようなジューシーさで、カレーと豚が一体化しているのも美味しいのであります。
「カレーって奥深いものなのであるな」と心の底から感激したカントナは、「スリランカ人はこんな美味いカレーを食べているのかな」と思うと同時に「そうだとしたらケシカランな」とも思うのでありました。
2023/01/11 更新
渋谷方面への用事が出来た土曜日の夜。「前回の感激を再び!」と本来の予定よりも真剣に計画して、勇ましく向かうカントナなのであります。
惜しくも閉店となった東急百貨店の近く。案の定、迷いに迷ってようやくたどり着いたのは、特徴が無くて看板も無い雑居ビル。
怪しげなビルの怪しげなエレベーターに乗って到着したのは、怪しげな雰囲気のお店。二度目の訪問であっても美味いカレーを提供してくれそうには思わせない外観は、そもそも何のお店なのかも分からせないのであります。
カラリンと入店いたします。前回と同様に優しそうな店主さんが迎えてくれるのであります。
20時過ぎの訪問で2組のお客さんは両端のテーブル席。カントナは真ん中のテーブル席に座って早速メニューの検討であります。
しかしながら、「検討」とは言いながらもオーダー内容は半年以上前の訪問時から決めているカントナは、店主さんが水と紙おしぼりを持って来てくれると同時に「ポークカレーのルー大盛り」と伝えてオーダー完了であります。
念願の「ルー大盛り」の達成を目前にして感極まったカントナは、BGMに耳を傾けて心を整えるのであります。多分グラミー賞を受賞した事のある某有名ギタリストのサウンドを耳にしながら待つこと6分くらい。
「ポークカレー」が「ソース大盛り」で登場であります。前回は、お皿の真ん中にデーンと鎮座するエアーズロックの5分の1くらいまで浸水していたソースが、大盛りは普通盛りよりも大きなお皿なのに、5分の3強まで浸水していると言う太っ腹具合なのであります。
「大盛りにしておいて良かった」と誠実な大盛り具合に喜びを激しくしているカントナは、早速ソースから再会してみる事にいたします。
トロリとしたソースは「じっくり炒めた系」の玉ねぎが醸し出す深くて密度のある甘みをベースに、スリランカよりも欧風さを感じる粗挽きスパイスの構成であります。それらが混ざり合いますと、甘さだけで無く苦味と香ばしさと程よい辛さと清涼感が共存した厚みのあるソースとなり、カントナのスプーンを止めないのであります。
今まで食べてきたどのカレーとも違う一口は、「これはカレーなのか、ソースなのか」とカントナを楽しく悩ませるのでありました。
そして、エアーズロックの豚肉は当然の如くフルフルで、抵抗しない柔らかさなのであります。スプーンだけでもスルッと割ける煮込まれ系の柔らかい塊は、脂の甘さが印象的なのでありました。
期待通りの「ソース大盛り」のお陰で、たっぷりと残ったソースだけをただひたすらに贅沢に味わう極上なひと時を過ごすカントナは、本来の予定を忘れかけているのでありました。