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夜の点数:4.0
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¥3,000~¥3,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 3.5
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[ 料理・味4.0
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| サービス4.0
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| 雰囲気4.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク3.5 ]
誠にありがたく、たまらない店
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さらしくじら
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小芋煮
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看板と暖簾
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2015/06/23 更新
祇園は街灯が制限されているからなのか、夜の闇が深く感ぜられる。特に山ふくは細い路地を入ったところにあるので尚の事だが、そのお陰で入口の灯りを見つけた時の安堵感と高揚感は一入である。
ガイドブックでランチのおばんざいセットが勧められているからか、夜は随分空いていた。女将さんものんびりとした雰囲気で、一緒にTVを見ながら甲子園のことや相撲のこと等、あれこれ楽しく話すことが出来た。往時のイラチな感じはすっかり抜けていて、北島亭の北島シェフもそうだが、ある程度の年齢になると人は柔和になるようだ。
春らしい鯛の子煮と定番の小芋煮、菜っ葉煮に焼穴子を注文。突き出しの漬物の盛り合わせは相変わらずたっぷりで嬉しくなる。鯛の子も小芋も出汁の風味が極力抑制されて素材に寄り添う程度だから、それぞれの味わいが際立ってしみじみ旨い。自宅で贋作おばんざいを作る際にはどうしても出汁の味に頼り切っていることが再確認され、少し反省した。
菜っ葉煮は淡い出汁とかすかにコクを添える揚げ玉のバランスが良く、焼穴子はいい具合に枯れていて滋味を感じた。開高健が「なぜ関東には焼穴子が売っていないのか」と嘆いていたが、これは私も同感である。以上に酒2本で一人2千円と少し。立地と料理の質を考えれば破格とも言える。
さっと入れて京都らしいしみじみとした惣菜をつまみに飲める。しかも祇園のど真ん中で、である。大えび天丼に行列する人にはわからないかもしれないが、この点、私にとっては誠にありがたい店である。
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2015年6月追記
今回も季節のはしり・旬・名残を存分に楽しんだ。鱧の子煮は鯛の子に比べて幾分濃い味付けだったが、汗をかく季節になっていて塩を欲していたからか殊の外旨い。
この日の白眉は小鮎煮。ワタの高貴な苦味が味わいに程よい陰翳を与えていて、この日訪れた永観堂の木陰を渡る涼風を思わせた。ほの淡い脂が心憎いさらしくじらも、ほっくりしていて滑らかな豆ごはんも堪能し、しみじみと悦びが寄せてくる幸福な夜を過ごすことが出来た。
数十年に渡って店を営み続けてきた女将さんの肥沃な経験は今や豊穣の時を迎えていて、いずれの献立もざっかけないように見えて隙がなく、味わってみれば適切な調理が施されているのがありありとわかる。実にたまらない店だ。