2回
2017/10 訪問
良心的な昼の懐石
折角なので昼は京料理の神髄を感じられる店が良いなと思いあれこれ逡巡したが、老舗になりつつあるものの重厚過ぎない雰囲気が良さそうだったので、祇園川上へ行くことにした。
明るい時間に祇園をぶらついたのは初めてだが、打ち水をした路地にぴしりと直線の決まった町家が立ち並ぶ姿はなかなか清々しく、これもまた悪くないなと思っている内に目当ての「川上」に到着。席料もなしで入口右の個室に入れてもらえたのはありがたい。
冷酒を頼んで昼の懐石が始まった。あしらいの黄葉が秋を告げる先付は先日旨さを知った茹で落花生も良かったが、茄子の葛寄せに胡麻クリームをかけたものがいかにも京料理らしくて美味。造りでは南蛮海老の甘みに瞠目。椀替わりの鯛の小鍋立ては出汁とポン酢の具合がたまらず、ここで熱燗を注文。
続く揚物の鰆茸餡もわずかに甘みを強くした出汁の風味がよく合っていい。焼物替わりは牛ロースしゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶと言われたものの、葱が敷かれて餡が割り下風味だったので上品なすき焼のようでもある。美しい塗椀で供されたのは海老とオクラの揚げ出汁。
海老の旨味は感じられたがちょっと甘めの出汁系が続いて変化が欲しいと思ったところに、酢の物に紅白なますと蛸の旨酢ジュレが来て口をさっぱりと洗ってくれた。御飯と赤出汁に漬物、ごく軽く炙ったたらこが添えられているのが心憎い。水菓子としてトマトのコンポートが出たが、きちんとデザートとして機能していたし、へたに見立てたミントの爽味が良かった。
出汁系の献立が鯛・鰆・牛・揚げ出汁と続いたのが少し単調にも感じたので、鰆を幽庵焼もしくは牛を朴葉焼として出してもらえたら申し分なかっただろうと思う。それでも5,000円で卓越した技量の片鱗を味わえたから、全体にとても満足のいくものだった。また是非伺いたい。
記事URL:http://aamnos.cocolog-nifty.com/all_about_mrnoone_special/2017/11/post-d68b.html
2018/11/21 更新
行きの昼食は美味しい弁当をどこかで調達して・・・と考えたが、内幸町の「あと村」は既になく、他にこれといったものが見当たらずなかなか難航した。が、日本橋高島屋で「京都展」をやっていてそこに祇園川上が出店して御弁当を販売するというのでこれを途中下車して買い込み、上野東京ラインに乗り込む。
催事の弁当だけに中身はどうかな・・・と思ったが、それは杞憂に終わった。季節を感じさせる品々がとりどり盛り込まれて、いずれもさすがの味わい。家人と一品ずつドラフトしては食べ、グランスタで調達した「作」と「雨後の月」を呑んでは移りゆく車窓を楽しみ、列車旅の醍醐味を存分に堪能した。
この弁当には松茸ご飯がついていて、想像以上に松茸の量があったので秋の気配も濃密に感じることが出来て、それもあって満足度は高かった。お陰で幸先の良い旅路となり、出店してくれたことを大いに感謝する次第。