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2025/09 訪問
秋の蟹劇場 – 主演タラバ、助演八寸、銀シャリで幕が下りる
2025/09/18 更新
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2024年にオープンした完全予約制の本格蟹料亭。
活けタラバ蟹を、さまざまな表情に仕立ててくれるという。
粋な暖簾の前で足を止め、呼び鈴を押す。
カチリと音がしてロックが外れ、ゆっくりと扉が開く。
案内された個室はすでにセッティングが整い、
舞台の幕が上がる直前のような空気が漂う。
やがて氷を敷いた桶が運ばれ、堂々と横たわる3kgの活タラバが登場。
……もう主役オーラがすごい。思わず「今日はよろしくお願いします」と心の中で挨拶。
コースは40,000円の活けタラバ蟹コース
【先付】
・さんま香梅煮
【八寸】
・栗渋皮煮
・洛陽きのこ
・牡丹海老塩麹
・青つぶ貝うま煮
・蝦夷鹿ロースト
・茄子オランダ煮
【タラバ蟹】
・お刺身三種
・爪ボイル
・炭焼き
・揚げ物
・しゃぶしゃぶ
・お口直し
・ふんどしと心臓
・蒸し蟹
・食事：ゆめぴりか、香の物、赤出汁、おかずあれこれ
【甘味】赤肉メロン
——さあ、ここから蟹劇場の幕が上がる。
◻︎さんま香梅煮
骨までほろほろ、梅の酸味がピリッと秋の到来を告げる。
一皿目から酒が欲しくなるやつ。
◻︎八寸
籠盛りが美しい、まるで北海道の縮図。
栗の渋皮煮に秋の甘み、牡丹海老に海の香り、鹿に大地の力。季節と風土を味わう一皿。
◻︎タラバ蟹刺身三種
氷のステージに置かれたタラバ足。まずはそのまま、甘み直撃。
スポイトで酢橘と醤油をちょい垂らし……あ、これは優勝。
「久しぶりに食べたな……」と独り言が漏れる瞬間。
続いてレア、ミディアムと火入れが進むたび、旨味が前に出てくる。
蟹って、こうやって味が“開く”んだなと再確認。
◻︎爪ボイル＆炭火焼き
爪のプリプリ、やっぱり爪が好き。
炭火焼きは香りでご飯が食べられるレベル。
できれば徳島人みたいに酢橘を一個丸ごとドバッとかけたい。
◻︎揚げ物
蟹クリームコロッケが濃厚すぎて、
「ここで日本酒もう一合いっとく？」と脳内会議が始まる。
◻︎しゃぶしゃぶ
レア感がたまらない。
三つ葉がいい仕事してて、ここで一旦リセット＆深呼吸。
◻︎お口直し・ふんどしと心臓・蒸し蟹
もずく酢で整えたあとに出てくる「ふんどしと心臓」。
え、心臓？と思ったけど、食べたら意外に優しい。
ちょっと鼓動を感じた気がする（気のせい）。
蒸し蟹は真っ赤な甲羅でラスボス感満載。
◻︎食事
土鍋の蓋を開けると銀シャリが立ち上がる。
いくら紹興酒漬け、イカ三升漬け、鮭ほぐし、すりたて山わさび……
これ、米泥棒セット。
家で食べてる“ゆめぴりか”と同じ銘柄とは思えない。
◻︎甘味
赤肉メロンでしっとりとエンディング。
完全個室で二時間、蟹づくしの舞台は静かに幕を閉じた。
……いや〜、堪らなくいい時間だった。
次は道産牛とのダブル主演を観に来たい。