7回
2018/11 訪問
鶏肉が汗をかいたよう
再訪。6回目。
この日、同行して下さった方が呟いた。
「美味しい〜。やっぱりここ、冬の方が美味しいね」
僕も、鳥しきは冬が最も美味しいと思う。
続けて、彼女は表現する。
「鶏肉が汗をかいたような感じ」
意味を尋ねると、こう解説する。
「汗って、身体から染み出して微かにしょっぱいの」
最初何を言っているのかサッパリ分からなかったのだが、
よくよく考えてみると、これ、正に言い得て妙で、
冬の鳥しきの焼き鳥の美味しさを的確に表している。
これを僕なりに詳しく解説してみると、恐らくこんな感じだ:
強くない、仄かな塩分。
刷毛で塗られた塩水は、肉から染み出してくる肉汁と上手く融け合う。
そして、肉の中にも塩分が浸透していく。
その結果、塩分濃度は、肉の外側が濃く、中は薄く、
まるでグラデーションのように徐々に薄くなっていく。
この、塩分濃度のグラデーションと、
火の通り具合のグラデーションと、
水分の抜け加減のグラデーションが、
見事に交錯するのが鳥しきの焼き鳥の旨さの本質ではないかと思う。
そして、3つめの要素の水分の抜け加減がバッチリと嵌るのが
恐らく冬ではないかと推察される。
この日は、これまで6回の訪問の中でダントツに美味しかった。
なぜ冬がおいしいかの謎は解けぬままだが、
前回立てた仮説は恐らく正しいのではないかと思われるので、
次回訪問時に確かめてみたいと思う。
という訳で、また電話予約頑張ります。
2018/12/27 更新
2018/06 訪問
仮説としての湿度理論
再訪。5回目。
もはや書くことがなくなってきているので、今回は少し脱線して別の話を。
この日、同行して下さった方がポツリと呟いた。
「美味しい〜。でもここ、冬の方がもっと美味しいと思うの」
彼女は、鳥しきは今回初めてだ。
もちろん、僕のレビューは読んでいない。
続けて、彼女は言う。
「焼き台の煙が吸い込まれて行ってるでしょ?
そうしたら、お肉に風が当たると思うの。
炭火は年中同じでも、空気は夏と冬とで違うと思うの。
あんなに煙が吸い込まれていたら、すごく風が当たるわ。」
僕は最初、彼女が何を言っているのかよく分からなかった。
多分感覚で話しただけなんだろうけど。
でも確かに、鳥しきは冬の方が美味しい。
僕はその理由を常々考えていた。
そこで彼女の呟きがヒントとなり、僕はひとつの仮説に辿り着いた。
鶏肉に当たる空気の湿度は、特にその風量が大きい場合、焼き鳥の味に影響を与える。
特に鳥しきにおいては。
現時点で、真偽は定かではない。
確かめるために、また行かなくては。
というわけで電話予約頑張ります。
2018/07/24 更新
2018/06 訪問
余計なものが何もない、足りないものが何もない
再訪。4回目。
今回初めて、自力での電話予約に成功。
やる気になれば繋がるものだね。かなり気合いを入れたけど。
さて。
今回は、18時スタート。20時半まで、と言われていたけれど、
別の組のお客さんが早く帰られたので21時までとなった。
次から次へとテンポ良く出てくるのだが、それでも3時間かかった。
最後の方は、焼き鳥とご飯ものとが交錯して慌しくなった。
今回の鳥しきは全体的に、焼き弱め、塩弱め。
グイグイくる感じの仕上がりではなく、いつのまにか優しく攻めてくる感じ。
焼きが弱めなので、表面の焦げは弱め。
コゲ感による味の複雑性や、硬い食感による弾力の妙味には乏しくなっている。
しかしその反面、鶏肉自体の旨味が、肉汁とともに満遍なく楽しめる印象。
食感的にもソフトで、軽い咀嚼で肉汁ドパッ。
いつも時折感じる焦げ目感は今回は一切なし。
全包囲網的に旨みがやってくるイメージ。余計なものが何もない。
ここ数回の訪問は、冬→春→初夏。
今回、今までで最もソフトな仕上がり。
季節により焼き方を変えているのだろうか。
例えば、ササミは今回は超レアな焼き加減。表面だけ軽く炙る感じ。
なのに中まで温かいのは炭火の遠赤外線効果か。
また、スタートの砂肝は、今までになくソフトな仕上がり。
ちなみに、いつも焼き過ぎでは?と思っていた手羽先が、
今回は表面の焦げ目はなくて、丁度いい焼き加減。w
しかしながら、当初2時間半という制約の中で次々と焼き鳥を
焼いていかなければならなので、それもあって焼きが弱めだったのかも。
まぁ、どちらでもいいや。
美味しかったから。
相変わらず、焼きおにぎりは美味しいね。最高傑作。
2018/06/23 更新
2018/04 訪問
豪快に焼き鳥を頬張る快感も
再訪。3回目。
18時30分入店、終わったのは22時頃。3時間半の長丁場。
なんかすごく長居させて頂いた。
今回は、前回ほどの感動はなかったものの、他店と比べるとやはり別格。
季節柄か、鶏肉の水分量が多いのか身が柔らかめで、
ギュッと引き締まった凝縮感には乏しく、また違った印象。
表面にはしっかりと焦げ目がつけられ、
中の方はレア感を感じさせるもので、全体的にホワホワした食感。
コースの流れとしては、前半はおとなしめで、
後半から徐々に串のボリュームや焼き加減が豪快になって盛り上がる。
最後の数串は、豪快に焼き鳥を頬張る快感あり。
今回も、おまかせコースにて。
また、親子丼、そぼろ丼、玉子かけご飯も追加して2人でシェア。
今回、生ビールを7~8杯、ハイボールも7~8杯頂いたのだけれど、
それでも会計は12,500円で、思っていたよりも安かった印象。
また行きます。
2018/05/01 更新
2018/01 訪問
良質の鶏肉とそれを活かし切る職人技
再訪。2回目。
素晴らしかった。ただただ素晴らしかった。
鳥しきご出身のお店も美味しいけれど、そのあとに鳥しきに行くと歴然とした差があることに気付く。
鶏肉は同じ伊達鶏。串の打ち方もほぼ同じ。
なのに焼き技術で味はこうも違ってくるものなのか。
鳥しきご出身のお店のあとに鳥しきの焼き鳥を頂くと、
数ある鶏の品種の中からご主人池川氏がなぜ伊達鶏を選ばれたのかがよく理解できる。
この伊達鶏の特徴を最大限に引き出すのが池川氏の職人技だし、
池川氏の職人技を最大限に活かせるのが伊達鶏なのだろう。
伊達鶏は、キメが細かく、しっとりとして、綺麗な旨みがある。
火を通すと水分だけが綺麗に抜けて旨みがギュッと凝縮する。
だからこそ、表面はしっかり焼いて旨みを凝縮させ、
中はしっとりした食感としっとりとした旨みを保持させ、
この対比を見事な比率で実現してみせる池川氏の職人技は素晴らしいとしか言いようがない。
今回は、前回頂いたときよりも更に技がキレキレで、更にレベルアップした感じ。
しかもコースを通してどの部位も全く外れがなく大変素晴らしかった。
鶏肉の串は当然のことながら、野菜や厚揚げまでも最高に美味しい。ここが他の焼き鳥店と大きく違う。
特に厚揚げは、ちょっと普通では考えられない味が引き出されていて、これには驚愕した。
更には、親子丼や焼きおにぎりまでも最高に美味しい。
最後の最後まで最高。
一体どうなっているのだ。
焼き鳥店の最高峰。
また行きたい。
2018/02/03 更新
2013/04 訪問
焦げ目のあるレア感
多くの方が書かれていらっしゃるので、私ごときが今更、という気がしなくもないが。
鳥しきの焼き鳥の方向性は、私の印象では、
・焦げ目をつける
・しかし、レアな味わいを大切にする
・塩は気持ち少なめ
鶏肉自体が美味しいので、こういった火入れならではの旨みを発揮する。
普通の鶏肉なら、旨みがスカスカの焼き鳥になっているはずだ。
表面に一気に焦げ目をつけるので、表面を一気にコーティングし、
中の水分や肉汁が逃げるのを避け、中に閉じ込める。
鶏肉の中の方への火の入り具合は少ないので、固まる寸前の臨界状態ならではの旨みがある。
この臨界状態は非常に危うい状態なので(すぐに状態が変わってしまうので)、
恐らく焼き手の店主は焼き加減に相当気を配って焼かれていらっしゃるのではないかと思う。
こうした焼き鳥が、全ての焼き鳥の目指す方向であるとは決して思えないが、
この方向を目指す焼き鳥としては、あるひとつの高みに達しているとは思う。
他ではなかなか味わうことができない味であることは確か。
しかしながら、この手法が全ての部位で良いかと言われるとそれは少々疑問で、
ちょうちんは正直生臭かったし、ささみも敢えてこの火入れにする必然性を感じなかった。
とはいえ、こういうタイプの焼き鳥を食べたくなったら、このお店を思い浮かべるんだろうな、とは思う。
何故なら、他にないから。ここでしか頂けないから。
2017/10/25 更新
再訪。7回目。
真夏の訪問。
鳥しきは夏より冬の方が美味しい、というのが僕の中での定説だったのだが、
今回訪れてみて、焼き方が更に良くなっていて悶絶した。
夏の鳥しきも美味しい。素晴らしく。
以前は、少し温度が高めで表面の水分を飛ばし過ぎではないかと思うようなことがあったが、
今回は、表面にしっとり感があり、全体のバランスが素晴らしく良くなっていた。
これからは季節を問わず行かなくては。