3回
2017/02 訪問
やわらかな熟成感
再訪。3回目。
日曜訪問。10:30到着で一番乗り。
日曜なのでお客さんが多いことを予想していたがこの日は少なめ。
開店時間が少し早まったこともあって、並んでいた人は全員テーブルへ。
並んだ順に配膳されるので、先頭に並ぶことは無駄にならない。
オーダーは、
「せいろそば」
「葱天ぷらそば」
「なっとうぶっかけ」
「そばがき」
「こんにゃく」
この日の「せいろそば」は、これまでのものよりも若干柔らかめな仕上がり。
水分量がほんの少し多めのように感じた。
その分、食感はしなやかで、口の中で穏やかに馴染む。
その後やってくるのは、円やかな熟成感。
くしゅくしゅっと縮れた麺と麺との隙間から、
蕎麦の円やかな旨味と香りが湧き上がる。
それをアシストするような辛汁も、また円やか。
この味わいは、やはりここ慈久庵ならでは。
こんな味わいの蕎麦を出すお店が、他にあるだろうか。
「葱天ぷらそば」は、この日の蕎麦が若干弱めの主張であったためか、
葱天とのバランスという観点では若干負けていた印象。
相変わらず旨いけどね。
「なっとうぶっかけ」は、蕎麦と納豆の個性がぶつかり合う。
もちろん、いい意味で。
蕎麦の味と香りが、納豆によってグイっと方向を曲げられて、
また違った側面を覗かせる印象。
「そばがき」は、とても柔らかで粘りのある仕上がり。
せいろそばでも感じた、円やかで円熟感のある旨味。
「こんにゃく」は、こんにゃく芋の個性を感じる味わい。かなり旨い。
総じて。
やはり、蕎麦の味を極めた、最高峰のひとつ。
ここでしか頂くことができない味がある。
2017/11/03 更新
2016/02 訪問
突き抜ける粗挽きの十割
再訪。
2月は蕎麦が熟成されて一番美味しくなると言われている季節。
そんな最高の季節の「慈久庵」の蕎麦を頂いてみたくて、
前日に近くの常陸太田市街に宿を取って万全の状態で訪問です。
ちなみに、開店1時間前の10時半に訪れて、この日は一番乗りでした。
頂いたのは、
「せいろそば」(1,100円)
「葱天ぷらそば」(1,700円)
結論から言うと、いや~素晴らしかった。マジで素晴らしかった。
前回約2年前の11月訪問時も美味しかったけれど(ちなみに、★4.8)、
今回はそれを遥かに凌駕するほどの出来栄えだった(もちろん、★5.0)。
まず、極細の粗挽き十割蕎麦「せいろそば」の旨さがすごい。
最高の玄蕎麦をきちんと熟成させ、そしてそれを粗挽きにすると、こんなにすごい味が出てくるのか。
他店の熟成粗挽き蕎麦でも最近は美味しいものが増えてきたけれど、
ここ「慈久庵」の熟成粗挽き蕎麦と比べたら子どもみたいなものだと思った。
そのくらい、この旨みが素晴らしい。
軽く噛んでもブワッと旨みが出てくるし、咀嚼すると更に旨みが増してくる。
これまで頂いてきた数多くの蕎麦と比べて、他に類を見ない性質の旨みなの。
この旨みを言葉で上手く表現できないのが口惜しい。
次に、「葱天ぷらそば」もすごい。頂きながら何度も何度も唸った。
旨みたっぷりの極細の粗挽き十割蕎麦が温かいつゆの中でほんのり緩んで、味が開花。
食感がゆるゆるであることで、口の中で簡単に潰れてくれるので旨みが一気に花開く感じ。
そしてそれを邪魔しない綺麗なお出汁のつゆとの相乗効果も抜群にいい。
更に、別添にされる葱の天ぷらを塩で頂いて、
葱の苦味をほんのりと口に含ませた状態で蕎麦を啜ると、もう最高の幸せが訪れる。
この葱の天ぷらは、かけそばの上に乗せてももちろん美味しいのだけれども、
そうすると葱の苦味が消えてしまうので、僕としては別添のまま別々に頂くのがよいと思う。
この組み合わせは衝撃的に旨いです。
ちなみに、ここ「慈久庵」のお弟子さんが常陸太田で開いた「塩町館」で、
先日「葱天ぷらそば」を頂いて大変美味しいと思ったのだが、
いやはや、さすがその師匠です、「慈久庵」の方が段違いに美味しいです。
いや~、「慈久庵」の最高の味を堪能。
「せいろそば」、「葱天ぷらそば」という組み合わせでの頼み方はおススメです。
■2013年11月-----
言わずと知れた「慈久庵」。
僕はかつて茨城北部に住んでいたことがあり、その当時からこちらのお店のことは存じ上げていた。
そのときは僕自身正直そこまで蕎麦に凝っていなかったので、訪れるモチベーションも上がらず、
結局行かずじまいになってしまった。今思えば非常に勿体無いことをしたなぁと思う。
思い立てば、いつでも気軽に行けたのだから。
で、その後、引っ越して、蕎麦に凝り始めて、やっとこさの訪問と相成った。
ところが、並んだよ、並んだ。2時間くらい?
開店時間に少し遅れただけで、2時間。やっぱり、当時勿体無いことをしたなと思ったよ。(苦笑)
それはともかく。
やはり、すごいね。慈久庵の蕎麦は。
粗挽きの十割。そば粉は、金砂郷産の常陸秋そば。
同じ粗挽きの十割でも、他店のものとはその香りや味わいが異なっている。
突き抜ける香り、突き抜ける甘みと熟成感。そして辛汁との一体感。
同じ常陸秋そばでも、他店のものとは全然違っているし、
同じ金砂郷産の常陸秋そばでも、他店のものとは全然違っている。
もっと言うなら、慈久庵と同じ蕎麦粉を使用ししている「塩町館」の蕎麦とも全然違う。
やはり、慈久庵の蕎麦は、慈久庵でしか食べられないと思う。
訪問時にいただいたものとその印象は下記の通り。
「せいろ」★4.8
「そばがき」★4.8
「野草の天ぷら」★3.7
「こんにゃく」★4.0
「蕎麦粉とトリュフのポタージュ」★3.5
「デザート」★3.2
折角訪れたのだからついいろいろ頼んでしまいがちになるけれど、
サクッと、せいろとそばがきだけで腹八分目で済ませた方が心地いいような気がする。
2016/02/08 更新
再訪。4回目。
日曜訪問。10:30到着で3組め。
11:30開店だが、この日は11:05に開けて頂いた。
ただ、店内に入ってからが長い長い。
真冬は暖かい格好が必須。特に足元が冷えるので膝掛けがあるといいだろう。
さて。
今回は4人で訪問。
僕の裁量で、冷たい蕎麦と温かい蕎麦を各自1つづつ、の注文にした。
これで僕たちのテーブルには都合8食分の蕎麦が提供されることになった。
これが、配膳を後回しにされた直接的な原因かもしれない。汗
<冷たい蕎麦>
・「せいろそば」(1,100円)×2
・「鴨せいろ」(1,800円)×2
<温かい蕎麦>
・「葱天ぷらそば」(1,700円)×2
・「鴨なん」(1,800円)
・「山菜そば」(1,600円)
<その他>
・「そばがき」(1,500円)
・「超珍味・おひしょ 岩魚の卵添」(600円)
・梅のデザート(名前と価格失念)
僕は、いつものように、「せいろそば」と「葱天ぷらそば」。
今年の蕎麦は、これまでと比べるとちょっと弱くなっている。味わいも香りも。
蕎麦自体の方向性は、柔らかな円熟感があるもので変わっていないのだけれど、力強さが影を潜めた印象。
どことなく自信なさげで弱々しくて、張りもなくてくしゅくしゅという感じ。
時折感じる蕎麦殻の粉のジャリっという食感が、
不均一な大きさの蕎麦の実を挽かなければならなかったことを想像させる。
いや、もちろん蕎麦自体は美味しいのだけれど。
その蕎麦の弱さは、「葱天ぷらそば」で如実に表れる。
葱天の油分や味わいを蕎麦が受け止めきれず、お互いに個性を埋没させてしまう印象。
ここで蕎麦つゆが若干強めなことに気付かされる。
過去これまでは、蕎麦と葱天とつゆが三位一体となって絶妙なバランスを保っていたのが、
今回の蕎麦ではそのバランスが崩れてしまったような印象を受けた。
いや、もちろん美味しいのだけれど。
最高の状態を知っているからこそ感じてしまうことなのかもしれないが。
とはいえ、常陸秋そばを焼き畑で自ら育て、更に天日干しして熟成させ、独特の打ち方をされて提供される蕎麦は、
他のどこにもない唯一無二の蕎麦だし、
ひとつの頂点に達している蕎麦だと思うので、
これからも通わせて頂きたいと思っている。