8回
2025/09 訪問
木曽の唯一無二の日本料理店
再訪。11回目。
長野県木曽町。開田高原。
日本料理店。
自宅の埼玉からはかなり遠いけど、通いも通った11回。
僕のこれまでの長野遠征の多くは、わらび野の訪問が主目的だった。
そのくらい、わらび野は、唯一無二の魅力で溢れている。
今回、とある話を伺って、急いで訪問。
僕1人だけでは行けないので、付き合ってくれた友人に感謝。
1日1組。
完全ワンオペ。
事前予約のおまかせコース。
地産地消。お店周辺、木曽周辺の食材を使用。
料理や食材の希望は聞いてもらえるが、
季節や天候により採れる野菜や茸が違うので、出てくるものは行ったその日次第。
ただ、岩魚の生簀があり、岩魚料理は安定。
事前にリクエストしたものは、
・できれば天然きのこ。できれば松茸。
・できれば、それを雑炊で。
・とうもろこしのスープ、岩魚のお造り、岩魚の塩焼き、岩魚のてこね寿司を。
その結果は、
・松茸1本あり。ただし小さめで傘が開いている。その他の天然きのこは採れず。
・そのため、松茸は焼きとかにせず、すべて雑炊にしていただいた。
・とうもろこしのスープ、岩魚のお造り、岩魚の塩焼き、岩魚のてこね寿司は、リクエスト通り。
そんなこんなで、この日のコース内容はこんな感じに着地。
(1)とうもろこしのスープ
(2)すだち煮
(3)松茸しんじょうの椀
(4)岩魚のお造り
(5)岩魚の塩焼き
(6)天ぷら(岩魚、茄子、南瓜、ゴーヤ、ブロッコリー、獅子唐)
(7)松茸の雑炊
(8)岩魚のてこね寿司、味噌汁
やっぱ、わらび野サイコー。
わらび野の美味しいものが全部揃った集大成という感じ。
特に、(1)とうもろこしのスープ、(3)松茸しんじょうの椀、(7)松茸の雑炊、は相変わらずの素晴らしさ。
以下、料理の寸評です。
(1)とうもろこしのスープ
冷製のスープ。
開田高原産のとうもろこし使用。
いろいろなお店でとうもろこしの冷製スープをいただくのだけれど、
ここわらび野のスープは他店とは明らかに違う独特の味わい。
それは開田高原のとうもろこしが他の地域産のものとは明らかに違う独特の味わいだから。
本当に美味しいです。最高です。
(2)すだち煮
冷たくスッキリしたお出汁。仄かなスダチ風味。ヒンヤリとして爽やか。
他の季節だと山菜やきのこを素材にして出てくるが、この日は夏野菜がたっぷり出てきた。
トマト、最高です。
(3)松茸しんじょうの椀
わらび野の定番、しんじょうの椀。いつも最高の出来栄えです。
毎回毎回、違う食材でしんじょうを作ってくださり、この日は松茸。
しんじょうが、今回は特にふわふわな食感に作られていて、
箸で簡単に崩すことができて、その欠片(?)がお出汁に溶け込んでお出汁が更に美味しくなる。
そのお出汁。味付けは必要最低限で超薄味。軟水だからこそ出せる味。
(4)岩魚のお造り
さっきまで生きていた岩魚のお造り。
鮮烈な甘みと旨み。唯一無二の味わい。
この日の岩魚には筋子が入っていたとのことで、筋子も出していただきました。
(5)岩魚の塩焼き
さっきまで生きていた岩魚の塩焼き。
焼き加減、完璧。
焦げの味は皆無で、そのため岩魚の身の美味しさが口いっぱいに広がる。
頭も背骨も、すべて容易にいただけます。
(6)天ぷら(岩魚、茄子、南瓜、ゴーヤ、ブロッコリー、獅子唐)
わらび野で天ぷらって初めてかも。
衣のつけ方が独特で、薄衣も薄衣。衣が透けてます。
岩魚の天ぷらは、ほっくりとした味わいで素晴らしく美味しいです。
また、野菜天ぷらは、天ぷら専門店の味を遥かに凌駕。
特にブロッコリーの天ぷらは記憶に残る味わいでした。
(7)松茸の雑炊
生の松茸を1本使用。傘が開いていたとのことだったが、
雑炊にすることでそれが逆に香り高い雑炊になる効果。
また贅沢に1本使用したのでご主人曰く「これまでで最も贅沢な松茸の雑炊」と。
過去、わらび野で松茸の雑炊をいただいたことがあるが、
確かに今回の雑炊は松茸の旨みと香りが最も強かった。
(8)岩魚のてこね寿司、味噌汁
わらび野定番のてこね寿司。
岩魚の黄金のいくらがたっぷり。贅沢に、ぼろぼろとこぼれる。
その上に、岩魚の刺身。
醤油でいただくのではなく、寿司めしと一緒にいただくと、また味わいが異なり美味。
この日の会計は、11,770円。
コース:11,000円
ウーロン茶:2杯770円
この内容でこの価格設定は奇跡もの。
訪問して良かったです。
ご主人とのお話も楽しく、あっという間の2時間でした。
一生の思い出になりました。
2025/09/13 更新
2020/10 訪問
何といってもお出汁
再訪。10回目。
木曽にある日本料理のお店。
1年のうちどの季節に行きたいかというと、迷わず秋だ。
なぜなら、松茸を存分に楽しめるから。
特に松茸しんじょうと、松茸の土瓶蒸しは、いつもながら絶品で、
綺麗なお出汁と、香り高い松茸の相性がとても良い。
松茸採りの名人から直接仕入れ、鮮度の良さは抜群。
他の地方のものと比べて繊維質がしっかりしており硬め。
華々しい香りではなく、どちらかというと青々しい旨みと香り。
そのため、綺麗なお出汁を松茸味に染めるのではなく、
お出汁と松茸がお互いに寄り添うイメージ。
今回、焼き椎茸、大鹿村の鹿のタタキ、の2品は味が強めで、
猪の串焼きも若干平凡だった。
お出汁が活きる料理を中心にコースを組み立てて下さるといいのになぁ。
また行きます。
2020/12/28 更新
2019/09 訪問
地産地消だからこその究極的な味わい
再訪。9回目。
木曽御嶽山の近く。木曽町にある日本料理のお店。
自宅から遠いので頻繁には行くことができないが、
出来ることなら何度でも訪問したいお店。
約1年ぶり。
今回も松茸シーズンに訪問。
松茸を期待して。
ところが今年は松茸が全く採れないとのこと。
しかも松茸だけでなく他の天然の茸も採れないということで、
この日の献立はご主人はかなり苦労された模様。
しかしながら、松茸などの天然茸がない他の季節でも
素晴らしい料理を出してくれるので、全然心配もなく訪問。
そして、実際、とても素晴らしい料理がでてきた。
しかも、過去8回の訪問で頂いたことがないレベルのものまで。
いやはや、すごい。
「トウモロコシの冷製スープ」
素晴らしいとしか言いようがない。
他店のトウモロコシの冷製スープとは次元が違う。
トウモロコシ畑でもぎたてのトウモロコシを生のまま
ガブリとやったことがある方ならお分かりいただけると思うが、
生のトウモロコシの粒から溢れてくる甘みや香りがそのまま、
いやそれがそのまま更に凝縮されているイメージ。
地産地消って凄い、って思える逸品。
良い素材に対して優れた調理技術が施されるとこんな素晴らしい料理になる。
東京などの都会では絶対に頂くことができない料理だ。
そして、この日のもうひとつのハイライトは、
「岩魚のしゃぶしゃぶ」
1kg級の大岩魚を使用したしゃぶしゃぶ。
お出汁は、大岩魚を捌いたアラでとったもの。
ついさっきまでお店の生簀で泳いでいた大岩魚の捌き立てのアラ。
当然のことながら劣化感は全くなく、綺麗に澄み渡ったお出汁。
これまた次元が全く異なる味わい。
これまた地産地消って凄い、って思える逸品。
岩魚の刺身を、岩魚のアラでとった出汁でしゃぶしゃぶ。
同じ素材、同じ個体だもの、相性は抜群。
ちなみに、残ったお出汁で作っていただいた雑炊も出色の出来栄え。
いや~、素晴らしい。
また行きたい。何度でも行きたい。
きのこのお浸し
トウモロコシのスープ
岩魚の塩焼き
熊肉の旨煮
天然花びら茸の真薯椀
岩魚のしゃぶしゃぶ
岩魚のしゃぶしゃぶ
岩魚のしゃぶしゃぶ
岩魚のしゃぶしゃぶ
岩魚のしゃぶしゃぶ
岩魚の手捏ねちらし
岩魚の手捏ねちらし
岩魚のしゃぶしゃぶのお出汁でつくった雑炊
2019/12/30 更新
2018/09 訪問
わらび野のお出汁でしゃぶしゃぶを
再訪。8回目。
木曽御嶽山の近く。木曽町にある日本料理のお店。
自宅から遠いので頻繁には行くことができないが、何度でも訪問したいお店。
今回も松茸シーズンに訪問。
きのこ尽くしのお浸しや、まつたけの土瓶蒸しは、相変わらずの美味しさ。
ここのまつたけの土瓶蒸しは、気品が漂う美味しさで、
するすると綺麗に喉を通って胃に入り、
その後自分の体が松茸に染まっていくかのような感覚になる。最高傑作。
松茸はやっぱり、収穫してその日のうちに頂くのが最も美味しいんだと思う。
そして、今回のメインイベントは、しゃぶしゃぶ。
わらび野のお出汁で、牛肉と豚肉(ブランド名は失念)、そして白菜とネギを頂く。
どの食材も、地元産のものだ。
わらび野のお出汁は元々すっきり柔らかい味わいで、
食材から抽出された出汁が綺麗に乗っかってくれるという特徴があるが、
しゃぶしゃぶにするとその特徴がよく活かされる。
ご主人が、鍋奉行となり、ちょうど良いタイミングで碗に取り分けてくれる。
毎回毎回、微妙に味が異なるので、まったく飽きが来ない。
そして、最後に、様々なお出汁から作られた雑炊が絶品。
これを超える雑炊が他にあるだろうか。
もう完全に、ご主人の趣味の領域。
経営がどうとか全然気にしてないよね。
かといって独善的にやっている訳ではなく、
ちゃんと王道の味を追求されていらっしゃる。
これからも通いたいお店です。
きのこ尽くしのお浸し
まつたけの土瓶蒸し
まつたけの土瓶蒸し
まつたけの土瓶蒸し
(料理名失念)
焼きまつたけ(焼く前)
まつたけしんじょ
白菜
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶ
おかわり
おかわり
おかわり
おかわり
おかわり
おかわり
おかわり
雑炊
秘密のスペシャリテ
秘密のスペシャリテ
2019/01/05 更新
2017/09 訪問
怒涛の松茸尽くし
再訪。7回目。
松茸のシーズンを狙っての訪問。
予約する際に、お店のご主人に料理の希望をお伝えし、いろいろ相談。
希望は以下。
・松茸を多く組み込んで欲しい。
・コース料金は10,000〜15,000円で。松茸の採れ具合に応じて変動可。
・肉は不要。あっても少量で。
・できれば他のキノコも組み入れて欲しい。
あとはご主人にお任せした。
さて、当日。
めでたく松茸が採れたとのことで、コース内容は、以下。●を付けたのが、松茸の料理。
まさに怒涛の松茸尽くし。
松茸は地元産の採れたて。
これで13,000円。ありえない。
(1)●お浸し、松茸添え
(2)●松茸の土瓶蒸し
(3)●松茸の握り鮨、岩魚の握り鮨
(4)●焼き松茸
(5)とうもろこし真薯
(6)●松茸の天ぷら、野菜の天ぷら
(7)●松茸と肉のロールキャベツ
(8)●いろいろキノコの雑炊
わらび野で使用される松茸は市場から仕入れるのではなく、
ご主人の友人が地元の山から採ってきたものを使用される。
もちろん採れたて。だから、香りが強く、しっとりしており、味もしっかりある。
ご主人は、料理に合わせてどのような松茸が必要かを事前に友人に伝え、
それに合ったものを探してもらう。だから、料理との相性がバッチリだ。
各料理の寸評は、以下。
(1)●お浸し、松茸添え
綺麗なお出汁でひたひた。青菜のお浸し。
青菜には菊の花びらが散りばめられ、仄かな苦味で味が引き締まる。
更に、貴重な天然本シメジの旨みが加わりお出汁が深い味に。
更にそこに、香り高い松茸が加わり、お浸しが華やかに。
素晴らしい一品。
(2)●松茸の土瓶蒸し
待ってましたの土瓶蒸し。
綺麗なお出汁に、たっぷりの松茸の味と香り。
わらび野の松茸の土瓶蒸しは、天下一品。
これ以上の松茸の土瓶蒸しが他にあるだろうか。
もう、ずっと飲んでいたい。
コースはこの後、松茸の土瓶蒸ししか出て来なくてもいい。笑
(3)●松茸の握り鮨、岩魚の握り鮨
松茸の握り鮨がとても素晴らしい。
最初一瞬、ちょっと安易なんじゃない?と思ったりしたのだが、実際に頂いてみて衝撃。
酢飯と松茸が絶妙にマッチしている。
酢飯のご飯粒の間の隙間に松茸の味と香りが入り込み、咀嚼する度に綺麗に抜けていく。
松茸の量的にもちょうどいい。
お話を伺うと、握り鮨にするのにちょうどいい大きさでちょうどいい形状の松茸をご友人に探して頂いたそうだ。
こんなことをできるのが、わらび野のいいところだ。
岩魚の握り鮨も良かった。
酢飯が若干多めに感じたし、酢の具合が岩魚に合っていない気もしたが、
岩魚の質の良さが光り、それをカバー。
これ、松茸がない時期は、酢飯を松茸に合わせるのではなく岩魚に合わせて作り、
4貫くらいまとめて出してくれると嬉しいな。
(4)●焼き松茸
シンプル。シンプルであるが故に松茸の性格が如実にそのまま表れる。
笠は小さく軸は太くてしっかりとした食感。
香りもあるけれど、それよりも旨みが凝縮。
ギュンギュンと音を立てながら咀嚼して頂いて、とても贅沢。
(5)とうもろこし真薯
開田高原特産のとうもろこしを使用した真薯。
とうもろこしのシーズンも終盤ということで、しっかりとした味わいのとうもろこし。
この味を受け止める真薯も比較的味が強め。
また、餡かけ出汁の塩分も強め。
もう少し優しい味の方が個人的には好きだけど。
(6)●松茸の天ぷら、野菜の天ぷら
天ぷらにすることで、松茸から適度に水分が抜けて香り高くなる。これも美味しい。
ただ、若干硬めな衣は、松茸には合ってない気がする。
しかし、この衣は逆に、野菜にはマッチ。
特に賀茂茄子の天ぷらは、ほっくりした食感の賀茂茄子とカリッとした食感の衣がいいバランス。
(7)●松茸と牛肉のロールキャベツ
松茸の軸を信州牛とキャベツで巻いた料理。
牛肉の旨みとコクを柔らかなキャベツが受け止める。味わい的にはこれがメイン。
松茸は、そこに軽いアクセントを加える脇役。
もっと松茸がグワッと来て欲しいと思うのは、わがままか。
これまで松茸が主役となる料理が続いたため、ついそう思ってしまったが、
松茸は脇役としても十分に存在感を発揮できる食材なので、こうした味わいもまた格別。
(8)●いろいろキノコの雑炊
最後にすごいのが出て来た。
いろいろな天然のキノコがたっぷりと入った雑炊。
希少なキノコも入り、もう凄い味わい。
ベースのお出汁は、わらび野が誇る綺麗なお出汁。そこにキノコから出る出汁がグワッと加わる。
元々、わらび野のお出汁には若干の椎茸が使用されているためか、
他のキノコの出汁も綺麗に馴染む。
この時期でしか味わうことができない味。
採れるキノコにより味が変わるので、この日でしか味わうことができない味。
ベースのお出汁はわらび野でしか作れないものなので、わらび野でしか味わうことができない味。
至福の雑炊。
松茸よりももっと旨いキノコがあるんだよ、というメッセージも感じられる雑炊。
これはすごいです。
食材も素晴らしく、更に調理技術も素晴らしい。
食材を集めるのも調理されるのもご主人お一人なので、料理にブレがなくビシッと決まる。
職人技が冴え渡る。
2017/10/02 更新
2017/04 訪問
ふきのとう真薯(しんじょ)の椀に春の訪れを感じる
再訪。6回目。
季節的には、開田高原は春のまだ走り。
夜はかなりの氷点下になることもあり、せっかく生えてきた山菜が凍ってしまうこともあるとか。
このため、まだ料理に使える山菜は限られているとのこと。
しかしながら、そんな事情を全く感じさせないくらいに今回も素晴らしい料理の数々。
開田高原の新鮮な食材を使い、この季節ならではの食材の味を楽しませて頂いた。
4名で訪問。
料理の内容は、幹事様がお店と相談して決定。
今回は、1万円のコースで。
今回のハイライトは、山菜と熊肉(下記◎の料理)。
・前菜
◎フキノトウの真薯(しんじょ)と蓬(よもぎ)麩の椀
・岩魚の塩焼き
・岩魚のお造り
・鹿肉のユッケ
◎熊のハツ(心臓)の串焼き
◎熊と猪のすき焼き
・岩魚のイクラかけご飯
・すき焼きの汁で作った卵かけご飯
・アサリの味噌汁
「フキノトウの真薯(しんじょ)と蓬(よもぎ)麩の椀」は、本日の最高傑作。
真薯に採り立てのふきのとうを使われ、鮮烈な春の味わい。
ふきのとうの味と香りが見事にふわっと広がる。仄かな苦味さえも鮮烈だ。
椀のお出汁は、いつもながらのスッキリ薄味。
とても綺麗でサラサラした味わい。
スッと身体に染み渡る。
東京の出汁でもない、京都の出汁でもない、ここわらび野だけの出汁。
ふきのとうの真薯を割って、この出汁にふきのとうの味と香りを移しながら、
お出汁の味と香りの変化を楽しめるのも、この椀の魅力だ。
素晴らしい逸品。
「熊のハツ(心臓)の串焼き」は、今回の超目玉料理。
熊のハツなんて、これまで考えたことがなかった。
でも確かにあるよね、熊だって動物だもの。
そのハツが、とてもいい状態。臭み等は一切なし。
獣的な味わいが存在しながらも、全体的には味わいがとても綺麗。
誰もが美味しいと感じる味ではないのだろうけれど、酒飲みならばこの滋味の奥深さは容易に分かるだろう。
「熊と猪のすき焼き」は、本日の山場。
熊肉は、脂身がない赤身部分がたっぷり。スライスではなく、乱切りで!
熊肉に脂身がないため、脂分の補填は猪肉にて。それも、バラ肉とロース肉にて!
そして、野菜は、野カンゾウ、クレソン、アサツキ、行者ニンニクの4種。本日朝にご主人自ら収穫!
いや〜、すごい。ただただ感嘆。
熊肉の獣的な味わいがグワンとくる。そこに猪肉の円やかで甘みのある脂身の旨さが覆い被さる。
そしてこの猪肉がまた旨いのだ。脂身が硬くならずに柔らかく、かと言って油でギトギトになる訳でもなく、
美味しいところだけがふわっと形になっているようなイメージ。
熊肉だけでなく猪肉もブレンドすることで、肉の旨みが多重層になり美味しさに厚みが出ている。
また、これに対抗する野菜は、力強く生命力が溢れる味わい。
春の山菜だから弱々しい、ということは全くなく、
開田高原のこの寒さに耐えて芽を出して育っており非常に力強い。
肉の味、野菜の味、ベースの割り下の味、そして加熱加減。全てが綺麗にベストに絡み合っている。
その他、鹿肉のユッケも印象的な味。熊と猪のすき焼きの汁で作った卵かけご飯も美味。
いや〜、これで10,800円(税込)という値付けはすごいよ。
今回久々の訪問だったが、改めてわらび野の素晴らしさを再認識。
東京都内から十分日帰り圏内なので、今年は、
春の山菜の季節、松茸の季節、きのこの季節にそれぞれ訪問させて頂きたいなと思っている。
2017/04/18 更新
2015/10 訪問
何と言っても御出汁
再訪。
今回は、夜、10,000円のコース。
天然きのこのオンパレード。もちろん、松茸も組み込まれて。
天然きのこは裏山で採れたもの。もちろん、松茸も裏山で採れたもの。
まさに地産地消。
採れたての木曽開田高原の山の幸を、その魅力が存分に活きてくる調理方法で頂く。
今回、松茸のしんじょうが過去最高の味わい。
松茸の風味がふわっと広がるように、しんじょうはいつもと違いふわふわ感のある仕上がり。
優しいお出汁に香りが乗り、お出汁の味わいも広がります。
松茸の雑炊も、松茸の香りがギュンギュンに、でも上品にやってきて、素晴らしい。
今回、お店から徒歩3分程の場所にあるログハウスを予約して頂き宿泊。
いつも僕はドライバーなのでお酒を飲めなかったのだが、
今回初めてお店で日本酒も存分に楽しんで、今まで以上にわらび野を満喫。
わらび野がますます好きになった。
■2015年7月-----
再訪。
前回4~5月の再訪を誓ったものの諸般の事情により叶わず、7月下旬の訪問。
狙いは夏の松茸。予約時にお願いしておいた。(採れなかった場合には致し方なし、という前提で)
で、訪れてみるとやはり松茸は採れなかったようで、今年は採れるのが時期的に少し遅めのようだ。
しかしながら、松茸がなければなかったで、そのリカバリーは十分過ぎるほど。
今回頂いた中では、「香箱蟹のしんじょう」が過去最高傑作と思えるほどの出来栄え。
わらび野では、いつものことながら「しんじょう」に感嘆する。
今回、松茸なしになったので、コースで6,500円くらい。
内容から考えて、かなり安いです。
■2014年11月-----
あまり間を空けず、再訪。
前回は11月上旬で地の茸がまだ穫れたが、
今回は11月下旬で殆ど地のものは穫れず食材が限られてしまうので
料理に使う食材がどうしても似通ってしまう。
それでも、あの手この手でいろいろ変化をつけて頂いたおかげで今回もかなり楽しめた。
今回特に素晴らしかったのは、「毛ガニしんじょう」、「へしこソースの茶わん蒸し」。
・毛ガニしんじょう
これは前回も頂いた料理だったが、今回更に素晴らしくなっていた。
何と言っても、御出汁。いろいろな御出汁が淡く淡く混じり合い、思わず吸い込まれるような味わい。
そこに、ふわっという感じで毛ガニのしんじょうが合わさると、
御出汁と毛ガニとすり身の味と香りがふわっと広がる。
・へしこソースの茶わん蒸し
やはり御出汁が秀逸で、そこにへしこソースの塩分とコクと独特の臭さが絶妙に絡み合う。
また、こちらのお店では近くの人気蕎麦屋「時香忘」の蕎麦を頂くことができる。
使うのは「時香忘」の蕎麦だけで、つゆなどは「わらび野」で独自にお作りになられる。
つまり「時香忘」の蕎麦をまた違った形で味わうことができる。
今回は冷たいせいろと温かい鴨南蛮蕎麦をご用意いただいた。鴨南蛮蕎麦が断然美味しかった。
今回も1万円コース約10品。かなりお腹いっぱいになった。
普通の方なら予約時にお願いしてもう少し安いコースで品数を減らしてもらった方がいいかもしれない。
あ、というか、安いコースの設定があるので、そちらを普通に頼めばよい。
僕も次回はそうしてみようかな。
■2014年11月-----
再訪。お店は御嶽山近くの開田高原にあり御嶽山噴火の影響が心配されたが、
実際には結構距離が離れており、問題なく営業されていらっしゃった。
訪れた11月初旬は開田高原は既にかなり寒く地元で穫れる食材は徐々に減ってきている模様。
そんな中、いろいろな食材を集めて頂いて、あれもこれもという感じで
1万円コース約10品の料理を出していただいた。クオリティと言い、ボリュームと言い、凄いです。
美味しかったので更に追加で注文しちゃって・・・。お腹パンパン。
この日特に良かったのは、「岩魚の親子手ごね寿司」、「毛ガニしんじょう」、「猪の炙り&燻」。
・岩魚の親子手ごね寿司
岩魚のイクラと岩魚の身のヅケが乗る。きらきら光って見た目にも美しい。
岩魚のイクラのさわやかな旨みと、岩魚のヅケのコクのある旨みが見事にマッチ。
・毛ガニしんじょう
毛ガニの味が上品に仕上げられ、わらび野の素晴らしい出汁とのバランスがとてもいい。
この御出汁は、ほんとすごいよ。
・猪の炙り&燻
猪肉を桜の木で炙り、その煙も燻製のように閉じ込めることで、見事な香りに。
猪肉がこんな味と香りに化けるんだ。脂身が特に美味。こんな味は初めて。
ただ、今回胡椒等が少々強めでバランスを崩している料理もあり。
品数が多いのでアクセントを出して頂いたのかもしれないが。
でも、また行きます。
■2014年9月-----
御嶽山の近く、開田高原にある和食店。
ひとことで言えば、すごい、です。
良い食材を裏打ちされた技術できちんと料理して素材の良さをそのまま活かせば、
ここまで美味しくなるということを実感した。
良い食材ならば、下手にこねくり回す必要は全くないのだ。
飾りつけもシンプルでよく、見た目を豪華にする必要もなし。
そんなの味には全く関係がないからだ。
自然のそのまんまが美しい。その形、その色、その艶やかさ、そのまんまでいいのだ。
決してストイックなお店ではない。
ピリピリした雰囲気もない。
柔和で優しいご主人が、極々自然体で調理をされる。
接客は、少したどたどしさもある奥様がされる。
この二人三脚のご夫婦が作り出す空気感はとても柔らかで、お客側はとてもリラックスできる。
今回、秋の松茸シーズンということで、
地元産の松茸をふんだんに使ったコースを8,000円でご用意頂いた。
構成は、こんな感じ。
・いぐち茸の大根おろし和え
・松茸の土瓶蒸し
・岩魚の刺身
・岩魚の塩焼き
・焼き松茸
・冬瓜の名古屋コーチンのつみれの炊き合わせ
・松茸雑炊
ええ、7品ですよ7品。8,000円で7品。極太のマツタケが組み込まれて7品。
松茸は数人でシェアとは言え、普通ありえない。
料理の印象はこんな感じ:
・いぐち茸の大根おろし和え
しっとりとした「いじく茸」が非常に味わい深い。大根おろしとのバランスも見事。
大根おろしで味覚がリセットされ、いじく茸のぬめりで舌の感覚が呼び起こされ、
いじく茸の旨味と大根おろしと合わさったときの旨味の微妙な変化で味覚がフル加速。
コースの最初に相応しい料理だ。
・松茸の土瓶蒸し
シンプルな松茸の土瓶蒸し。具は、松茸だけ。しかし、松茸がたっぷり入っている。
これだけ沢山入っていると香りが凄いが、一切れ一切れの香りもすごい。
それに噛み締めれば噛み締めるほど香りが溢れ出てくる。
そして、それ以上に良かったのが、ダシ。澄み渡るような綺麗なダシ。
この土瓶蒸しは、ほんとものすごいです。
・岩魚の刺身
仄かにピンク色に染まった岩魚の刺身。ピンとした食感で、まだ生気を感じさせる。
さっきまで生きていた岩魚だそうだ。そうした岩魚の刺身は他店でも出てくるが、
味わいが明らかに違う。次元が違う。
仄かな甘み。文字ではそうとしか表現が出来ない。他に例えるものがない味わい。
・岩魚の塩焼き
一転して今度はその岩魚の塩焼き。熱を加えることで、
岩魚の生気が味と香りとなって湧き上がってくる感じ。
身はほくほく。噛み締めるたびに味と香りが湧き上がってくる。身の水分の抜け加減も塩分もちょうど良い。
また、頭から背骨まですべてがぶっと齧れるので、岩魚の美味しさを余すところなく堪能。
・焼き松茸
本日の最高の盛り上がりは、この焼き松茸。繊維質がギュッと凝縮した感じ。カチンコチンだ。
しかしながら、だからこそ味わいもギュッと凝縮し、香りもギュッと凝縮。
「香りまつたけ、味しめじ」という言葉があるが、あれは嘘だね、と思った。
この松茸は、噛み締めれば噛み締めるほど味も香りが幾らでも出てきて、その味も香りも最高にいい。
・冬瓜の名古屋コーチンのつみれの炊き合わせ
焼き松茸の後ではどんな料理も陰が薄くなってしまうのではないかと思ったが、
いやはや、そんな心配は不要だった。
この日唯一の陸上動物のタンパク質となる名古屋コーチンの旨みが、これまでの旨味の更に覆いかぶさる。
つみれ自体も美味しかったが、ベースとなるあのダシがまたここでも登場し、全体をピンと纏める。
・松茸雑炊
最後は、松茸雑炊。土瓶蒸しでも使われたこのダシと松茸の組み合わせに、更にお米の炭水化物が加わり、
本能的に美味しいと思う鉄板の組み合わせに。これも凄いです。
いや~、最初から最後まで息をつく暇もないくらいに駆け抜けた。
一品一品の完成度も凄いけれど、それ以上にきちんとした流れがある構成。
次にこういう味が欲しいな、とか、そうそうこういう味が欲しかったんだよ、と思うような期待通りの構成。
最高です。
ただ、御嶽山の近くということでお店に影響が出ていないか、とても心配です。
いろいろな天然きのこのお浸し
松茸の土瓶蒸し
松茸の土瓶蒸し
岩魚の刺身
岩魚の塩焼き
松茸のしんじょう
牛
猪
茸とアンチョビとチーズのグラタン(サービス)
松茸の雑炊
はなびら茸
虚無僧茸(こむそうたけ)
香箱蟹のしんじょう
岩魚の刺身
岩魚
鹿肉
岩魚ご飯 朴葉巻き
岩魚ご飯 朴葉巻き
はなびら茸の味噌汁
カニ身の湯葉巻き
へしこソースの茶わん蒸し
岩魚の卵と刺身のカクテル
毛ガニしんじょう
岩魚
大根と牡蠣
大根と牡蠣
猪の炙り
「時香忘」の蕎麦
「時香忘」の蕎麦
「時香忘」の蕎麦
「時香忘」の蕎麦
猪のすき焼き
ごはん
味噌汁
デザート
岩魚の親子手ごね寿司
毛ガニしんじょう
鹿肉のたたき
猪の炙り&燻
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松茸の土瓶蒸し
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2015/10/12 更新
再訪。12回目。
長野県木曽町。開田高原。
日本料理店。
前回の訪問で、これで最後かなと思っていたのだが、
もう一度訪れるチャンスが。
遠路、往復10時間の日帰りドライブにお付き合い下さった食べ友に感謝。
10月末で閉店。
僕たち3人が最後から2組目の客となりました。
現在予約は受け付けておらず最後のお客様は10/31とのこと。
事前にお電話でお話し、
10月下旬は開田高原で採れる食材は限られ、
また仕入れる食材も必要最低限ということで、
やれる範囲で、とリクエスト。
この日のコースの内容。
(1)イグチダケの茶碗蒸し
(2)松茸しんじょうの椀
(3)岩魚の塩焼き
(4)岩魚のしゃぶしゃぶ
(おまけ)採れたて無農薬白菜の胡麻油和え
(5)岩魚の手捏ね寿司
(6)岩魚出汁の吸い物
会計は、ウーロン茶と合わせて10,000円。
(1)イグチダケの茶碗蒸し
唯一採れたという天然きのこ。
開田高原では今年のきのこシーズンは短く、始まりが遅く終わりが早かったとのこと。
そうした貴重なイグチダケを、わらび野の綺麗なお出汁がきいた茶碗蒸しで頂きます。
イグチダケは予め茹でられてお出汁を含ませた状態で、茶碗蒸しの上に乗って提供。
きのこをこうしてお出汁を含ませる調理法はこちらのお店の定番で、ほんと美味しいです。
スッキリした味わいの綺麗なお出汁が、きのこ全体に染み渡り、きのこがイキイキ。
通常はお浸しの形で出てくることが多いけど、この日は茶碗蒸しの上に乗り、
そのため温かさがプラスされ、きのこの味わいが広がります。
また、茶碗蒸しの本体(?)の方も美味。具なしのシンプルな味わい。
個人的に、茶碗蒸しの中に具を入れるのは好きではないので、僕の好みにドンピシャ。
わらび野の綺麗なお出汁をストレートに味わえます。
(2)松茸しんじょうの椀
ふわふわのしんじょうの中に松茸。その量は少なめだけれど存在感抜群。
開田高原の松茸ならではの、少し硬めの食感、濃厚なのにクリアな旨み、若々しい香り。
これまで、松茸は全国何処で採れても同じ松茸の味だと思っていたのを、
開田高原の松茸は他の松茸と明確に味わいが異なり必ずしも全国同じではなく、
地域性があるのだと気付かせてくれたのは、ここわらび野でした。
なおこの日のお椀の汁はいつもよりも若干味が濃い目の仕上がりでした。
(3)岩魚の塩焼き
定番。さっきまで泳いでいた岩魚を炭火焼き。
この日の岩魚は若干身が細り気味だったけど、個体個性の範囲内。
頭から尻尾まで、すべて美味しく頂きます。
(4)岩魚のしゃぶしゃぶ
ビッグサイズの岩魚の刺身を使用したしゃぶしゃぶ。
ご主人が示してくださった手振りから、50cm超の大物かと。
しゃぶしゃぶの出汁は、この岩魚の頭と骨から抽出したもの。
川魚の綺麗なお出汁。
脂がたっぷりと乗った岩魚の刺身がトロトロで、
お出汁にサッと潜らせると旨みが更に活性化。
具の野菜は、採れたての無農薬白菜と長葱。半端なく新鮮。
1/3は虫に食われており残り2/3を提供とのこと。これ絶対美味しいやつじゃん。
生でいただくとシャキシャキ食感で、瑞々しい。ほんのりと辛みもあり、美味。
とても美味しかったので、胡麻油で和えただけの即席サラダを作っていただきました。
(5)岩魚の手捏ね寿司
わらび野といえば、やはりこの手捏ね寿司。
今回は、先ほどのビッグサイズの岩魚の刺身がたっぷり。
また、岩魚のイクラも、惜しげもなくたっぷり。
そしていまだかつてないほどの大ボリュームで出してくださり、大満足。
(6)岩魚出汁の吸い物
しゃぶしゃぶで残ったお出汁を使用したお吸い物。
蕪の茎入り。
これほどまでにクリアな味わいの、岩魚の出汁のお吸い物は貴重。
限られた食材の中でいろいろ工夫してくださり、
また、「わらび野の味」を最後に楽しめて最高でした。
いつかまたご主人の料理を楽しめることを祈っています。