レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2014/04訪問 2014/11/30
【再レビュー】 漸く店の名前は何度かに一回は噛まずにいえるようになりましたが、料理哲学の理解にはまだまだ時間がかかります。
去年ほどお伺いすることができなかった小林シェフのお店ですが、やはり、その質の高さは訪れるとその外的環境を含め満足度がたかいです。
以下は2013年11月にアップした2013年9月のレビュー
昨年ベストレストラン投稿ギリギリでアップしてから一年間に小林さんの料理を5度、(中目黒での機会を併せて)味わうことのできた幸せモノです。テレビでもその鬼才ぶりが取り上げられていましたが、やはり、ヘンタイですな。(くすっ)
テレビの映像では、ちょっと、「らしからぬ」ヌーベルキュジーヌのような見た目も華やかでメルヘンチックな色合いが画面を占めていて、意外な感じ、というか、やっぱり、テレビ向け?と思わざるを得ない部分もありましたが、お子さんの「美味しい」という言葉は演出のない、素直な言葉だなぁ・・・、やっぱり、素直にいただくとホントウに美味しい料理なのよねぇー、と共感したりもしました。
ヘンタイですが、テレビで見たように、お客に合わせ、メニューを考えられる工程や、自ら店のお掃除から一日を始められる姿をみたら、サービスの点数低かったな・・・と反省、変更させていただきましたが、そもそもワタクシごときが評点つけるのもおこがましいかも・・・
以前のレビューでも書きましたが、必然性を考えられて、五感に訴えかける味わいを追求されている、というのは、毎回ご説明を伺う度に私でもぼんやりわかるのです。
食の神様に試されない日が来るかどうかはわかりませんが、小林夫妻の料理をいただける、このご縁を大切にしたいと思います。
【前回のレビュー】 2012・11・30 (2012年10月訪問) 夜 総合☆4.5 料理4.7 サービス4.2 雰囲気4.5 CP 4.0 酒・ドリンク4.0→総合、料理、サービス、CPを改訂しました。昼は変えていません。
[b:あー、いつになっても名前は覚えられないのだ。。ソンナテイドジャ、マダマダリカイスルニハヒヨッコデダメダンダケド。。]
舌を噛みそうな店名をすらすらと言えるようになった暁には小林さんのぼそぼそ声でのご説明もちっちゃく並んだメニューのイタリア語の意味も完璧なんですけどねぇー。。
かつて、グルマンを自称する先輩が、それほどでもなかった。。。という感想を述べられていたのを聞いて、ふーん、一日一組ともいわれる限定された人数しか伺えないので、過去との連続性なく初めて伺うような私には敷居が高いし、お値段もそれなり(往復の値段考えれば、もっと。。)だし。。。。
・・と、まぁ、行けない理由を並べ立てていたわけですね。
ま、単純にツテがなかった・・・ということでもありまして・・
そのツテ筋からお誘いを受けることができて、今年は夏のトラットリアを含んで4度ほど、お邪魔することになったわけです。
一言でいえば、「小林さんの料理哲学を一瞬にして感じ取れる舌になりたいものだ!」であります。
でも、凡人的にも「ここまで考えて作られるこのディナーを一度味わってしまうと、他のイタリアンが凡庸に見えてくると感じる人が多くなるのはわかる。」であります。
美味しさは勿論です。
言葉にしてうまく表現することすら難しいけれど、とにかく食へのイメージの膨らませ方や、そのイメージを膨らませるにあたっての食材の選び方は繊細でかつ大胆(意外な組み合わせにびっくりさせられるわけなんです。
その思いはその日に選ばれる食前酒から、いや小林夫妻にとっては、今日の仕込みを始めた時、いや、お客様の予約を受けた時から始まっているのかもしれません。
なぜなら、たまに「何この小さいパンしか出さないなんて・・・!」なーんていう批判(以前そんなレビューを見たことがあります。。)だって、食事とのバランスを入念に考えられ、ベストと考えられた上での結果でしかないのですから。。それを理解しないと、わざわざ軽井沢まで食べに行く意味がないですよね。
職住隣接の贅沢な空間、だがしかし、決して広くはない、そのダイニングの中に、小林さんの世界、その日一日の一瞬を閉じ込めるために、喧騒を離れたこの場所を選ばれているのだということがしみじみと伝わってきます。
料理については、一皿一皿の説明をしていただくのですが、その言葉に気を取られてしまうと全体感を見失ってしまうくらい、まぁーいろいろな食材と調理法のコトバのごった煮状態(失礼)・・・にもかかわらず、口の中に広がったその味の妙味というのか、うまく表現できずすみません。書くのがいっつも追いつかないので、説明も書ききれないというところが問題なのですが、せいぜい書き留めることができるのが食前酒くらいかなぁ。。
例えば、シェリー酒につけたサルディニア産のねずの実のスプマンテ。
でも、じゃ、ねずの実の味がどうなのか、って普通わからないし、サルディニア産であることと他の場所産とどう違うのか。。。(・・というか、皆、よくシェフに産地を聞くけど、丹波の松茸と岩手産の松茸・・・の違いくらいはわかっても、外国産の食材の比較をできるほど経験が富んでいる人がどれくらいいるのかしら。。。って逆に思っちゃうくらい、日本のグルマンの方たちは皆熱心ですよねぇ。。
コチラのお話に戻りますと、浅い知識では丁寧に説明を聞き書きしたところで、更にどういう調理法でといわれて本当にわかるのか?といった料理人からの上から目線ではなく、何か淡々とご自身の今日の工程を復習するような感じで説明されているような気がします。
だから、こちらの知識と舌を試しておられるようには見えません。でも試されているよなぁ。。。食の神様には。
いずれにせよ、ひとつのお皿の説明を伺うと目が廻りそうなくらい多様な食材(地産地消・・と書かれている媒体を見たことがありますが、夏のトラットリアは確かに積極的に軽井沢の食材を取り入れられているようです。が、秋~初夏までのフォリオリーナの空間ではむしろ、イタリアの食材が中心のようです。)を遣い、オーブンで焼いたものを蒸したり、炒めた後にローストしたり、いや、その間にナンチャラカンチャラの用法を遣い。。。。まぁ、聞いてもわからない複雑な工程・・・それをする必然性をどう捉えておられているのか、理解するほどまでに頂きつくしていないので、まだまだ未熟ものです。
ですけど、おそらくは必然性がある、と判断されてやっておられるということと、それがその図面ないしシナリオ通り、香りや食感の妙や美味しさを引き出していること、更には、常に、美味しさの裏側に極微量の苦味(たとえば、よく使われるチリメンキャベツをわざわざ焦がして、その焦がした苦味を他の食材とあわせたときの効果を引き出すとか。。)や渋みなど、一般的なレストランんではなかなか好んで出すことのない、味わいというものを引き出していること・・・・これが小林夫妻の作り上げているフォリオリーナデッラポルタフォルトーナという空間であり、料理であるのだろうなぁ。。。ということがぼんやり判ったこの一年でした。
まだまだ、理解の度合いは低い今のレビューを後で振り返って、何言っちゃってるんだろう・・と後で振り返ることができるよう、今年のレビューをあげておきます。従って、他と同様、まだ満点をつけることは(私の舌と表現の技量からいって)できませんが、レベルの一段違うところにおられる料理人という判断だけはしております。
また年が明けたら伺うことになっています。どんな料理に出会えるのか今から楽しみにしています。
夏のトラットリア編は『アルベリーニ』(こっちは名前も覚えやすい♪)として一日何組かをお庭部分で受け入れておられ、この雰囲気も格別です。ただし、「トラットリア」といわれているように、食材の求道というよりは、アノ夏の軽井沢の陽光を愉しむにふさわしいメニューになっています。よってパンの大きさも違うし、これはこれで楽しい感じです。(昼の採点はトラットリアの方のみの採点です。)
ただ、舌に自信がある方は是非この舌をかみそうな名前の小林ワールドに一度浸ってみてはいかがかと思います。
2位
1回
2014/10訪問 2014/11/30
今年もベストレストラン駆け込みです。いつも一番書きたいのは12月に戴くベギャスなんですが、どうして、対象月ではないんだろう。。。とはいえ、今年は3月、10月もお伺いできたので、堂々と書けますがね。(12月にさかのぼって書くんじゃないから)なお、震災復興ランチは今年で、いったん区切りをつけるそうです。よって、昼を参考にしたい方、たぶん、もう、しばらくないと思いますのでお店にご確認くださいネ
以下は2013年11月に記載のコメント
すみません、もはや、昨年いったん区切りをつけるそうですので、究極についてのお話を書いてしまったから、再々再再レビューなんて書くのも、ベストレストランに載せたいが一心。
でも、やっぱり好きです、谷シェフのお料理。鹿のスープとハムは私の中では鉄板。勿論「生き物」なので、同じ産地といっても状態も違うでしょうに、水を使わないで仕立て上げるあの味は絶品ですし、やはり、素材を一番よいタイミングで調理する技術と情熱(もお味に反映していると思います。)、そのベストな瞬間を常に、クールに、が、しかし、楽しくてしょうがないというオーラをもって提供し続けられるこの空間は、いつまでも通い続けたい、と思わせる何か、を持っておられると思います。
以下2012年11月のレビュー 評点は変更していません
【再再々レビュー】 究極とは足すものがないのではなく、取り去るものがない状態。
タイトルの言葉を伺ったのは、昨年の終わりに、すっかり有名になった(イエ、私的に。。)チャロの鹿のコンソメを頂きつつ、レアな食材ベギャス(ヤマシギ)を戴きに伺った時。
益々色気のあるプレートを出される谷シェフが目指されているのはその極みなのですね。水の料理である和食に対し、西洋料理は「火」の料理であるということ、こういった違いを強く意識して、お店に泊まられる日も多いほど研究をされているとか。
でも、以前のレビューにも書いた通り、いつ料理をされているのか?と思うほどスタイリッシュなんですけどねぇー。その片鱗はお料理の話をされている時のきらきらした光が目に輝く時のみわかるみたいで。。
それはさておき、ベギャス。
胸、腿、脳みそ、くちばしの部分・など全ての部位をニガミを残しながら内臓のソースでまとめ、旨みを引き出す、その技量というのかお味に色気を感じるような素晴らしい一皿でした。
今年もまた頂きに行こうと思います。
今回点数刻みが増えたので総合と料理・味をUPしました♪ 総合4.5⇒4.7 料理・味4.8
【再々レビュー】 震災支援復興ランチも戴きに行きました。'11/11/29 ('11/11 訪問)
夜の点数☆ 4.5(料理・味 4.5 | サービス 4.0 | 雰囲気 4.0 | CP 4.0 | 酒・ドリンク 4.0)
昼の点数:☆4.5(料理・味 4.0 | サービス 4.0 | 雰囲気 4.0 | CP 4.5 | 酒・ドリンク 4.0)
【前説】
ベストレストラン2011の集計が迫っているので、慌てて追補。(写真後でアップします。すみません)
やっぱりこのお店が好きなもので。
夜はいつもの通り、日々研鑽を怠らない谷シェフの素晴らしいディナーに接すると幸せになります。
でも・・・・・・アチコチでコラボイベント等やられていたりして遠征もされているようなので、必ずしも遭遇できないかもしれないし、その時にどんな感じになるか・・・なんていうのもよくわからないのです。でも震災があってから、人づてに、どうやら月に2回程度土曜の昼のランチをしているらしい・・と聞いて・・HPを見たら、なるほどやっている・・・お昼だから、谷シェフ自らが厨房に立っておられるかどうかはわからないな・・・と思いつつ、やってきたわけです。初めてのお昼に!今回はその後にお伺いした夜ではなく、震災復興支援ランチのレビューを書き加えます。
【ここから追加レビュー】
そう、そういうわけで、お昼の「震災復興支援ランチ」(売り上げの二割とした寄付金も含め5800円)にいっぱいお酒が呑めるお友達たちとやってきました。真夏の頃で、昼の日差しがまぶしい時間の神楽坂エリア・・というのも、なんとも雰囲気が異なるものですね。夜とは違う、ガラスの美しい壁の反対側に小さな黒板案内板に震災復興支援ランチと書いてあります。
厨房には、谷シェフの姿が見えません。今日こそ・・・はおられないのかしら?
階段を上がって席につきます。
スタイリッシュな店のたたずまいは、中に入ると実に気持ちのよい明るい空間になりますね、昼間は陽光が差し、いい感じです。
さて、先ずはシャンパーニュをお願いし、震災復興支援ランチの構成は前菜にオマールが登場、サラダ仕立てということですが、サラダというにはまったりと濃い感じで、串揚げエスカルゴのほうがタレがサッパリしている様な気がしました。食事とは関係ないのですが、このオマールのサラダ仕立てが入っていた器を取り囲む、薄緑色の器が、プラスチックであるのには驚かされました。なかなかスタイリッシュで涼しげで、いかにもル・マンジュトゥー好みです。
相変わらず、シニフィアンシニフィエの特製パンが美味しいですね。白を注文して前菜2が登場しました。豚の三枚肉のテリーヌはケッパーエシャロットピクルスの薬味の上に更にセルバチコの泡がトッピングされた非常に薄く切られたおいしい逸品です、ラビゴットソースがベースですが、爽やかな夏にふさわしい味でした。やっぱりこちらは肉がいいですねぇ。
それを更に感じさせられたのは次に来た真鯛のソテー、フュメドポワソンをベースにしたサフランソースとパプリカにかかったニンニクソースなのですが、何故か中華の五香粉のようなものを感じました。入ってなかったそうですが・・・焼加減が素晴らしい真鯛の皮目を愉しむには少し濃い感じになってケンカしそうでした。この時点でもしかしてシェフいないのかしら?と思ったことは事実ですが、実際はいらっしゃいました。何か方向転換をされる気配なのかしら???
でも、やっぱり肉料理として鳩のグリルがだされたら、安心しました、鳩のささみ 腿肉 胸肉を夫々違う調理法でじっくり焼き上げておられていて、素晴らしい味わい♪これを食べたら、さっきのちょっと不安定な味を忘れ去るほどのインパクト。ビーツとカシスで作られたソースが実に良くマッチしていました。
最後に中にアイスの入った桃のコンポートを戴いている頃には他のお客様もお帰りになってしまい、更に出てきたミニメロンソーダやらお茶を愉しんであっという間に15時過ぎ。。。追い立てられるようなことはなく、にこやかに谷シェフ以下お見送り戴き、恐縮して帰る道はまだぎらぎらの太陽が出ている・・・ってなんか変ですけど、良いランチでした。肉のメニューは素晴らしく、お魚系が口に合いにくかったのは残念でしたが、鳩で全て吹き飛ぶほどの内容。二割を義援金に回されてしまうと、この手間のかかった料理をお試しで戴けるのは本当に素晴らしくありがたいことです。(悩みましたが評点は夜より食事を下げたもののCPを上げたので結果同じになっています。)
以下は2010年2月のレビュー
【再レビュー】 進化していっても・・・・恋する気持ちはかわらない
念仏のようにル・マンジュ・トゥー♪と唱えて、漸く行ったときの感動は頭の中から消えることはなくとも、時間のほうはなかなか、なくってご無沙汰してしまっており、誘ってくれる方に導かれ、漸く再訪を果たしました。今回はしっかり市ケ谷から牛込中央通りを登っていきましたから、ばっちり到着。
前回来た時には白い服装で「かっちょえー」感じで1階の入り口でにこやかに迎え入れてくれたと記憶する谷シェフは今日は黒いラフな服装。「1階はオープンキッチンで、谷シェフが料理する姿を見ることができる」とか書いてあるレビューなんかを見たりするんですが、若い衆はいわゆるコック服とネッカチーフとか帽子とかお召しになっているのに、前回も、全然「現在料理中」的な状態ではなく、スタイリッシュで余裕たっぷり、この方、いつ料理を作ってらっしゃるんでしょう??っていつもフシギに思ってるんですよねぇ。。。いつも遅い時間スタートだから?
つっこみはさておき、間が開いているうちに、あの特徴的な男性サービスの方は他に移ってしまわれて、女性お二人に。シェフも随分何度もお皿を運びに上がってきておられました。
先ずは坂上がり、もとい、坂登りの喉の乾きを癒すべく、エルダーフラワー(*)のシャンパン割りを。少し甘いこの泡はぐいぐいいけちゃいます。
(*)セイヨウニワトコ ヨーロッパでは万能薬とされるハーブだそうで本来苦いらしいんですが、甘く煮出してあるのでしょうか??
さて、今回は4名での会食。全員揃ったところで、前回も戴いたエスカルゴの串揚げ。前回はカップの中に入っていたけれど、今回は小ぶりの白い皿の上にフツーに横たわっていました。
初回と違って、見た目のインパクトは下がったけれど、口の中に入れたときの美味しい衝撃は変わらないですね。酸味のあるソースは、バルサミコを使っているそうで、それがスパイスとなって、串揚げにありがちな油っぽさが抜け、エスカルゴ好きには勿論、見た目や土くささを含めて嫌いだという人にもオススメの逸品。
パンは大好きな『シニフィアン・シニフィエ』の。パンだけでおなかふくれちゃう。
メインまでに6品あります、ということで、次の3品は白子のムニエル、チャロの鹿のコンソメポアプラード、ひよどり(網捕りではないそうで、それが故に処理がいいらしいんですね)のココット蒸し
まずは白子のムニエル。これがまた香ばしくて、そしてロックフォールチーズとハーブのソースが、白子とその土台の苦味の残った菜の花にふんだんにかけられて、目にも鮮やか。これが、口の中に広がると、その食感の妙と香りが鼻に抜けて、なんとも言えず美味しいのです。いやいや、コック服がどうの、ってもう、そんなこといいです、どうでも。。ごめんなさいって言いたくなるわけです。シェフ、確実に進化してますね。
そして蝦夷鹿を赤ワインで漬け込んで、水を一切使わずにコトコト煮込んだコンソメスープ。一滴たらしたトリュフオイルが、清涼剤のようになっているのでしょうかね。このスープは旨みと風味がぎゅっと詰まった命のスープですね。あわせられた鹿の生ハムと一緒にいただくとハムに詰まった滋味が溶け出して、単品でいただくコンソメとはまた違う深い味わいを感じることができます。シェフがこの工程を説明してくださったのですが、表情豊かに語られるときの目の輝きが、私たちが喜ぶような逸品を作り出す喜びを語っています。どうやって、美味しさと同時に、驚きをお客に与えることができるかを考えることが本当に楽しそう。シェフの生き生きと楽しそうな笑顔は単に素敵なだけでなく、テーブルの私たちに幸せ気分を運んでくれるんですね。
そして、次はヒヨドリが頭から入ったココット蒸しです。蒸しであるのにパリパリとした食感や、しっとりした肉部分など、お上品にフォークを使っているときちんと食べきれないので、最後はむしゃぶりついて、フィンガーボールのお世話になるしかないですね。
そして、真鯛のポアレとロワール産ホワイトアスパラです。卵白がベースのソースにここでもトリュフとトリュフオイルが使われているのですが、強い主張はなく、シーズン初物のホワイトアスパラにまとわせたソースが本当に美味しいです。
そして肉は霞ヶ浦の尾長鴨のロースト、トランペット茸が鴨の下に置かれていますが、赤ワインとコニャックで煮込んだソースの味がしみこんで、それだけでも美味しいのです。脇には同じ鴨の心臓と砂肝で作ったソーセージ。再びシェフのお話によれば、このソーセージは塩分が相当高い状態で熟成させているらしく、確かに単品では普段なら到底いただくことのできないしょっからさのハズなのに、強い塩気はあっても、本体の鴨の脂やソースと一緒にいただくとそれほど感じないのが不思議なくらいです。
いや、この味わいも、先ほどの鹿やひよどりとは全く違うアプローチでシェフの力量、ここにありという感じ。
最後は濃厚なバニラアイスクリームつきの、これまた濃厚なタルトタタンとハーブティーで〆た。おっと、こちらはカヌレやアーモンドフロランタンなどのプチガトーも美味しい。甘いもの好きとはいえない私が美味しいと思って食べられるのだから、たいしたものだ。
いやいや、またまた、やられました。ソースなどのベースは同じなのでしょうか、素人の私がこんなことを申し上げるのはおこがましいとはいえ、
総合力はどんどん進化しているように思います。ますます虜になってしまいます。
前回のレビュー:ひと目ぼれ。。。。恋は盲目だからねぇ。。(08/10/26 08/9訪問 総合☆4.5 料理・味4.5 サービス4 雰囲気4)
呪文のように頭の中で繰り返しながら、行くかどうかを逡巡されていたという
maffinさんのレビューを読んで以来、私も頭の中で念仏のように唱えることになりました。
ル・マンジュ・トゥー ル・マンジュ・トゥー ル・マンジュ・トゥーに行きたい・・・・・
ですから、飯田橋の駅から乗ったタクシーがなかなか辿り着けなかったり
(いや、結構難しいですね、慣れないと。。。一度通りすぎちゃいました)、
連れがなかなか来なかったり(同じく迷ったらしいです)の困難を乗り越えて (大袈裟?)、
ようやく食前酒、そして少し薬草っぽいグレープフルーツジュースとシャルトリューズを使った
アミューズ(?コースにおける食前酒という位置づけでしょうか)を口にしたときには、
まだまだ緊張が解けなかったのです。
でも、二品目のエスカルゴの串揚げで、一気に、ボルテージがあがりました。
文句なしに美味しい。
更に甘草を使ったコンソメジュレとフォアグラのムース。。。ジュレは結構濃いのに
このお味に恋してしまいそうな勢いです。
そして畳み掛けるようにドライトマトのソースの上に頭にパルミジャーノの傘をかぶったホタテ
がやってきました。ソースの一口ひとくちが大変においしい。ドライトマトはうまみとコクがあるのは
わかっていましたが、こんな味が出るのか?!というような、意外感のあるお味でした。
もう、この時点で完璧に深い恋に陥ったことを、認めざるを得ない私たちでした。
脇を固めるパンも大変美味しい。サービスの方に伺ったらシニフィアン・シニフィエのものだ
そうで、さすがです。
お次に出てきたのは小っちゃなココットに入ったポルチーニ茸とリードボーのグリエ。
実を言うと、私、以前 胸に詰まらせて以来 リードボーを戴くのは、ちょっと怖かったのですが。。
そのトラウマを充分吹き飛ばすだけの迫力と美味しさがありました。難を言えば少々油っぽい
感じだったかな。
そしてお次は「ハタ」 ロックフォールチーズとディルのソースがかかっています。
北海道のセルバチコ(ロケットみたいですね)に縁取りされてます。シェリー酒を使った
ビネグレットで味つけられてます。
そして、ご不満の向きの多い角煮でしょうか、サービスの方のご説明では塩漬けした
マネッシュ豚の皮付きだそうで、上にサマートリュフ、赤ワインソースがかけられています。
ラットという品種のじゃがいものグラタン状のものが付け合せとして出されており、
コンビネーションもよろしく、私には、これも美味しくいただけるお品に感じました。
デザートとして バイナップルのコンポートとフレッシュマンゴー
そしてチョコレートケーキのシフォンが登場。チョコレート濃い!
小菓子もいずれも美味しい。
。。。と、いうわけで、
テーブル間隔の狭いこの店で、隣の席のことが気になる人が多い事は
理解できなくもないですが、そもそも、それはあまりお行儀のよいことでも
ないですし、そんな他人のテーブルの中身に目をくれる時間もないほど、
料理の美味しさに引き込まれてしまった私たちにとっては、料理は大変に満足でした。
サービスも、確かにお二人だけなので、二人ともがフロアから居なくなってしまったり
してスムーズにいかないこともあったかもしれませんが、それをあまり気にしないで
いられたのもおそらくは料理の質の高さだったと思えます。
「大当たりー♪」
もし、アタリかハズレか2本しかないおみくじを引く運命だったのだったら、
オオゲサにそんなコトバを発することになったのでしょうが、
まぐれで引いたおみくじではない、と信じています。
また念仏唱えながら伺う日があると思います。
ゼヒ次回も美味しい料理をよろしくお願いします。
注:コースは皆さんが書かれているように12,600円なのですが、お酒を沢山戴いたので
2万円/人超えしてしまいました。
3位
1回
2012/06訪問 2012/11/28
テロワールを大切にしている・・・全てが好印象なフレンチです。。
東京には☆ひとつのレストランの数が多くて、なかなか全てに行くチャンスもないのですが、ある日お友達に誘われてやってきました。
プラダとカルティエのある角のプラダ側のビルの地下ですね。そういうお店には全く縁がないので、こんなところにあるなんて知りませんでした。(汗
さて、エントランスのフォイヤーは狭いのですが、開けたダイニングに案内されると大きな窓を通じて地上からの光が入ってくるようなレイアウト。
夜なので勿論、自然光ではないけど、夜は夜で奥行を感じられる採光になっています。ダイニング全体は白でコーディネートしたスタイリッシュな空間です。天井も高く、きちんとした「レストラン」という感じが伝わってきます。
サービスしてくださる方はとてもフレンドリー。ワインは食事にあうように出していただくことになり、最初に泡を戴いて、パッションと名づけられたランベリー劇場の始まりです。
アミューズブッシュは千代幻豚のコンフィ。ごまソース、ローストしたくるみが載っているこの逸品が私たちの心をまずは掴んでくれました。
そして次に興奮させられたのは季節にふさわしい前菜。
桃をローストして、サマートリュフと五香粉をかけたもの。間に紅白ビーツの薄切りが仕切りのような役目を果たしています。素材だけみるとえぇー?っていう感じなのですが、口の中でまとまるのですね。
そしてその次の金箔が載せられたキュウリのゼリーは、シェリービネガーを配したアンチョビソースを注ぎ込んで一緒に頂きます。ソースを後から注ぎ込む方式は目新しくはありませんが、色合いの妙もあるし、楽しくこれからのお皿を戴くプロローグでもあるので、楽しいですよね。キュウリのゼリーの中には二戸の短角牛が仕込まれていてこれも美味しい。
なんというのかなぁ。。きれいな味。
そしてこのきれいな味の印象はずっと続きました。
最初の一品はホワイトアスパラのグリル。
一本ドーンとおいて周りに佐島のアオリイカの細切りを配してありました。
これまた最近はやりの泡仕立ての焦しバターソースと一緒に頂きます。
アクセントにピンクペッパーとバルサミコソースが配されていて単調な白の画面を引き締めているような感じです。
感動したのは、その太いアスパラガスが実は細かく刻まれていて、一本になるようにまとめてあったこと。
ふつうホワイトアスパラって太いせいでちょっと筋を感じるわけで、やはりホワイトアスパラは美味しいわよね、とか言いながらもちょっと硬かったなぁ、等と内心つぶやくわけでよね。
ところが、これは食べやすくしてあるわけですから(長いけど)、その配慮と、そして美しい断面が重なり合う姿に感動を覚えるというわけです。
そして、北海道のウニの殻の中に入ったトウモロコシ(フルーツコーン)の冷たいスープが運ばれてきました。
トウモロコシの新芽が載っているのはタイトルが「山梨から朝露と共に収穫した」という言葉が使われているからですかね。そしてコーンスープの中にはこのウニの身も入っているというわけです。
『シェ・トモ』さんのウニの貴婦人風がウニの殻に入らなくなって以来、さびしかったのですが、ここで、殻つきのウニに出会えるとは。。。個人的にはとても嬉しい。。(スミマセン) 中央部分にはゼリー仕立ての万願寺唐辛子が載っているのですが、全てが一緒になっても、やはりきれいな味なんですね。
お次は穴子。炭火焼された穴子は香ばしくもあり、やわらかさもあり。火入れもよろしい感じです。穴子のベッドとしてマッシュルームとトリュフを詰めたシイタケのコンフィが敷かれていて花ズッキーニが添えられています。穴子と穴子の間には温泉卵が。これだけの素材が合せられているのに、喧嘩せずにきれいな(何度も書きますが)味になっているのが、とても好印象です。
次なるお品はスッポン(のえんぺらのスープ)と飯田の合鴨米のリゾット。日本のテロワールに合わせた料理ですね。蕗や新ショウガ、そして長ネギ、芽葱、シブレット、葱の花と葱の四段活用(・・・とおっしゃってました)というリゾットですが、サマートリュフが上にたっぷりのっかって、豪華でステキな逸品でした。
最後はお肉。これも日本が誇る赤身牛=短角牛を炭火焼きにしたもの山葵菜の傘の下に山葵菜を刻んだものが乗った短角牛がしまわれていました。ハーブやソースや野菜を美しく散らして(お花の格好に見えますよね)、美しいお皿でしたね。
ここまで頂いたのに、それほど重い感じもなかったので、デセールの前にチーズを頂いて、アヴァンデセール、デセールへと突入。
アヴァンデセールはゆずで固められていて、デセールは白い丸いドーム状のメレンゲを割るとシチリア産のピスタチオのアイスとハイビスカスのゼリーが登場するというもの、楽しいですね。更にこちらのデセールのシグニチャーであるクグロフと生チョコで包んだマシュマロまでぜーんぶ頂いちゃいました。
私的にはどれも美味しく美しい料理に感じられたし、とてもきれい(しつこい)な料理をいただけて満足な夜でした。
ぐだぐだと居たものですから最後はシェフともお話させていただいて楽しい時間でした。なかなか伺うことはできないけれど、また必ずうかがわさせていただきたいと思っています。
4位
1回
2014/10訪問 2014/11/30
相変わらず膨大な味覚のデータベースと実際に手に入れたレア且つ旨いワインを武器に、素晴らしいマリアージュを提供してくださる坂田さんのソフトなトーンのご説明に魅了されておりまする。勿論、伊藤シェフも素晴らしい料理を提供してくださっているので、、若干お値段は張りますが、価値有る機会を今後とも逃さないでいきたいですね。
以下は2013年11月にアップした再レビューです。
おかげ様で、今年もワインとお食事のマリアージュを楽しむ会で何度かお邪魔させていただきました。
ますます感動する事は、オーナーソムリエの坂田さんの、イタリアワインへの情熱と知見、そして、その人脈の深さでしょうか。
あの大きな身体(失礼)に見合わないソフトで静かなお声で説明される、例えばシチリアでシャンパーニュ製法で作られる数量僅少のスプマンテ、それが、季節向きの香りと酸だからと、今日のこんな料理に併せて是非召し上げっていただきたい。
いやいや、そんな希少なスプマンテを惜しげもなくお出しいただくことは勿論、常にシェフの作られる料理に、数多くのワインの中からぴったりあったものを出してこられる、その想像力が素晴らしい。だって、お料理はメニューだけで、試食されないで、合わせてこられるというのですから、余程シェフの味への理解とワインの状態の見極めができないと外してしまいそうですよね。
ついつい、ワインの御見立についてばかり力がはいってしまいますが、お料理も十分以上に美味しいと思います。毎回色々なメニューを出して戴いて、美味しい(たまに、おちゃめな)お皿ばかりですが、今年頂いた中で、素晴らしかったのは鮎のパスタ。
こちらはお酒をいただいたほうがより楽しいお店ではありますが、それほど飲めないという人にも濃すぎない味だと思いますので、楽しめると思います。
以下2012年11月(12年10月訪問)のレビュー 評点は変えていません
オーナーソムリエの素晴らしいチョイスに感動します。
実はワタクシ、こちらには自分で予約して行った事がなかったのです、過去もね。
誰かの会で伺ったことがあったきり。
勿論美味しかったし、ワインのチョイスが素晴らしかった。。。のですが、レビューもあげず。。。
で、しばーらくお伺いすることもないまま過ぎていたのですが、再び別の方からワインの種類を食事にあわせていただけるような会を
企画しているから、とお誘いを受けて、今年は3度ほどお邪魔することができました。
どんな店もそうですが、少し多めの人数(6人とか8人とか)で伺うと一本750ミリリットルのボトルをお願いしても
1杯とれるか、とれないか・・となるので、沢山の種類をお食事にあわせることが容易になりますものね。
こちらのオーナーソムリエ 坂田さん(「坂田ビル」!の裏手の日本家屋のお店ですものね。)のイタリアワインに対する造詣の深さ、勿論プロですから当然といえば、当然だけど、イタリアワインのようにぶどうの種類も多く、生産量の少ないゆえに日本には輸入業者を通じて入ってきていないワインも含め、どんなお味の料理に合うのか、ということを実によく研究されていて、しかもお持ちで、毎度その解説に圧倒されてしまいます。
でも、全然厭味なんかないの。大きな体躯からささやきのようなソフトなお声で説明されるので、癒される感じです。
シェフのメニューを聞いて、きっとこのワインが合うだとうと想像してあわせてくださるの。
それがピッタリ!
勿論こちらには他にもソムリエバッジをつけられているような方がおられるのですが、坂田さんのチョイスがこのお店の凄みだと思います。
プチシューの中にシュー(キャベツ)が入ったアミューズ(キャベツの中にキャベツ・・・って、絶対○や○ギャグ狙ってますよね♪)から始まる
お料理も、色々な工夫があって、どれもとても美味しいと思います。
特別なシグニチャー料理が何かあるのかもしれないけれど、毎回どんな素材でも、素直に美味しかったなーと思わされるお料理が出てくるのです。
地方的にも例えば特にトスカーナということでもベネトということでもない感じ。
このレベルになってくると、油がオリーブなのかバターなのかの違いくらいだけでフレンチなのかイタリアンなのか境界線がなくなるような料理ですね。(とはいえ、写真並べてみるとパスタやリゾットが出てくるし、これでもかとトリュフ。。。最近、いろんなところで使いすぎ!・・な感じは否めないですね。やっぱりイタリアンだ。。)
三和土をそのまま靴を脱がずに赤じゅうたんの敷かれた居間に案内していただく、このフシギな感じだけは、なかなかなれませんけれど、いつも幸せな空間に入ったような、暖か味を感じることができるのは、この空間が、ひとつの樽(ラ・バリック)の中にいるような心地良い空間になるようにお店にかかわる全ての方の醸し出す雰囲気なのかもしれませんねぇ。
5位
1回
2012/06訪問 2012/11/26
突然『鳥しき』いく~?とお誘いがあって、ビックリ。
「アノ」有名店じゃないっすか。食べログさまで、一番人気、、いや、評点が高い。
なんでもご常連の方がお友達という人の会で空きが出たんですって。
ラッキー♪
でも、予約がとれないって聞いていたので、全く予習する時間なく、駅で常連さまにご挨拶して、即お店へ。
駅から近いけど、知らないと、そんな場所曲がるなんて思いもよらなかったですよ。(駅のロータリーをぬけて白金台方向最初の道を曲がる)
なんか、このあたりって昔からちょっとアレですからねぇ。。
でも、その周りの雰囲気からは様相の違う黒板の民家に暖簾・・・そう、ここが『鳥しき』かぁ。。
カウンター角に座って、まずはお酒・・・と思ったら、「赤星」あるんですね~。普段は、とりビーをしない私ですが、今日は「赤星」=サッポロを頂戴します。手際よく、糠漬けと大根おろしの小鉢がおかれます。
糠漬けファンとしては嬉しい。
この日は、有名なちょうちんは終わっていたので、
ささみ、レバー、うずらの卵、膝、コーン、はつもと、かしわ、まるハツ、
(箸休めの)ペコロス、つくね、厚揚げ、食道、そり(ももの付け根ですね)・・・
というところで、焼きおにぎりとスープで〆ということに致しました。
とても印象に残ったのは
☆とろっとろの「うずらの卵」
見た目以上に外側と内側の違いがあって、この食感に焼き上げるのは難しいのではないかと思います。技量を感じる逸品です。
☆軟骨がめちゃうまの「膝」
☆レア感たっぷりの「まるハツ」 初めての感触
といったところ。勿論全て焼き加減が素晴らしく、なるほど人気店としてその名をとどろかせている、という意味がよくわかりました。
うまく表現できないけど。。
ただ、ご主人は(見た目ほどは怖くはないそうなんですけど)「焼き」に集中されていることもあり、初心者の私は勿論、
お話なんぞするっていう感じではないですよね。(人はつかっているけど、焼きはご主人だけのようですしね。。)
その点は工程も客のあしらいも全て自分ペースの『鳥重』のママさまのようには行かない、いや、第一、広いし、お弟子さんもいらっしゃるわけなんで比較の対象にすべきではないんですが、アソコを知ってしまった今となると、技量はなかなかのもの、独自の香ばしいタレも素晴らしいし「、店の清潔さも勿論なのだけど、一見比較でいうと、インパクト的に勝てない。。。いや、点数的にはこちらのほうがどうしても平均点が高くなるわけですが。
とはいえ、上述の通り、美味しさという意味では甲乙つけがたい。こちらはやはりレアな部位とかで勝負できちゃうし。大きさは負けるか。
もう一度伺って是非今回いただけなかった部位も頂いてみたいものです。
6位
1回
2012/10訪問 2012/11/29
独学者のシェフ・・・これからどんな進化を続けていくのでしょう?
ガストロミーとはこうありたいという非常に強い意志とコンセプトをお持ちhttp://la-fins.com/about/の杉本シェフのお料理に触れる機会を作って戴くことになりました。
新橋の居酒屋街を超えた先の新しいビルの地下に、その周りの喧騒とは全く異なる別世界が広がっています。
席数が少ないのに、その直線と曲線とのコンセプトに基づいた内装とテーブルセッティング。贅沢です。お財布の心配をしている場合ではないのでしょうが、美食家になれない私としてはちょっと心配にはなってしまいますよね、店的にも自分のお財布的にも。
お皿やカトラリーにも当然気を配っておられるようで、カトラリーは繊細なカーブを持つのに重量があります。少々使いにくいですけどね。
そして、美しく並べられたワイングラスや、デキャンタの種類の多いことにも目を奪われてしまいます。広くはないけれど温かみのある空間・・・作りはサービスの方々の熟練と目配りもあるかもしれません。
そして、料理。
最初のボンボンが串刺しされたようなアミューズだとか、バター(トリュフ等が混ぜ合わせてある)とかは、最近のはやりのお店では、それと見ただけで、ドコとわかるような特徴のあるプレゼンテーションを用意されているところが多いわけですから、当然、こちらも、そういったイメージを焼き付けることのできる内容。毎回、異なる組み合わせを持ってこられているようです。この小さな世界に引き込まれるか否かで、お店の印象が変わってくるだけに、力の入れようが窺えます。串が2種出てくるので、どれが一番というのは難しいけれど、特に美味しかったのはウサギのリエット・・めちゃめちゃ美味しい。。ワインに合せるとか合せないとかの以前として美味しい。こういう「つかみ」のあるアミューズを戴くと、これからのコースに対する期待は広がりますものね。
そこから先のコースは15千円のプリフィックスか、20千円のお任せかによって異なってくるのでしょうが、二度ほどお邪魔した印象では、自信をお持ちのもの、トライ&エラーなのかな?と思うものに分かれるように感じます。トライ&エラーのものも、味のまとまりがばらついてしまうというような細かいところでの(ご本人的な)失敗なのかもしれませんが、それもお若いだけに微笑ましい(いや、お値段的にそれでは困るという方もおられるでしょうから、それでよいとは申しませんが)部分でもあろうかと思います。きっと、この方は「努力を重ねる」ことにより究極を目指すタイプ・・天才肌とは違うのではないかな、とも感じました。
でも勿論、ご本人的にトライ&エラー系だったとしても全体のレベルはとても高く美味しい料理です。「美味しい」と感じてもらえるように努力されている結果なのだと思います。そして忘れてはいけないのは、ソムリエの方の存在。
お料理に華を添えてくれるワインを選んでいただけるお店は更に印象があがりますよね。
因みに現代的な店のひとつとして、こちらもタブレットでワインリストを見せてくださいます。
最後に、シェフに今日一番美味しかったのか何かと聞かれます。それぞれの印象というのが異なるわけですけれど、そうやって日々の研鑽を重ねられている。。これからどんな進化を遂げられていくのか楽しみなお店です。(伸び代分料理の点数は4.3にしておきます。)
あっ、前後逆になってしまいましたが、ウェイティングスペースはバーとなっています。
このバーで、アルザスのビオワイン生産者マルク・テンペさんのピノノワール サンスフル敬が実は杉本敬三シェフの名前から取られた(・・・って以前他のところで聞いていたのに、すっかり忘れていました)という事を思い出させられました。コネタですが。。
7位
1回
2014/10訪問 2014/11/30
【再レビュー】 鱧の骨切りのスピードと美しさは半端ないですねぇ
今年も季節ごとに四回お伺いできましたが、なんと、来年はもう、かなり大変らしいです。席数の理由もあるでしょうが、やはり、その端正なと言っていいほど、きれいでスッキリしたお味の魅力ではないかしら。
今年は、松茸の前半に行けたのでたっぷり戴くことができましたけど、フライは星野さんのが一番好きかな。鮎の風干しもなんか、星野さんのが美味しいのです。あと、最近はごはんの御供にも若干の変化ー食べさせ方ーが出てきたりして、地味ーーな感じではありますが、進化しています。
以下は、2013年11月にアップした再レビューです。
定期的に通い始めて1年半以上たちました。毎月ではないけれど一応春夏秋冬のお料理をいただきました。
最近はお弟子さん(というのかな?)も入るようになりましたね。
相変わらず飄々としておられますが、美味しいですね。早春に頂いた鱚のてんぷらはめちゃめちゃ美味しかったなぁ、夏に頂いた、風干しした鮎もおいしかったし、きれいな料理の基本は変わっていません。(お酒いただくと2万円越えになったのが変化かな。でも、この手のお店としてはリーズナブルであることには変わりありませんが。)
合鴨農法の山形米の白ごはんの炊き具合も、(水の具合かな?)ずいぶんと向上しました。
ますます、〆の時雨煮がおいしくてたまりません。
以下 2012年11月(最終訪問 2012年9月)のレビュー 評点変更なし
反則(笑)の〆のオトモ・・・松坂牛の時雨煮
『新ばし 笹田』さんが移転された後の、あのウナギの寝床カウンターの中に、同じく『京味』のお弟子さんの星野さんが居ぬきで入られて、店を開かれたから来ない?というお誘いを頂き伺ったのは、ちょうど開店して間もない3月の終わり。
以来季節が変わる度、お伺いする事ができました。
まだ30そこそこ(31歳だったかしら?)のお若い星野さんは、まだ体躯も細身だし、笹田さんのような狭い場所(当時)を凌駕するような大きさまでは感じられないけれど、笹田さんとある意味似た印象があります。つまり、派手さはないのだけれど、美味しさの安定感が魅力です。勿論、日々の研鑽の賜物でしょうが、安定って結構大変なのではないかと、思います。
先行レビューでも書かれていたけれど、ぱっと見、ぎこちなさというのか、まだ手慣れた感じを受けないのは、バックヤードでのご家族(ご両親・妹さん・・・時に替わる)の支えを受けていることを知っているからでもあるのですが、そのイメージのおかげか、逆に出されたものを頂くと「おーっ」となる。修行した年数からいえば中堅の域に入るわけなので、当たり前といえば当たり前なのですけどね。でも、どのお店のご主人もそうだと思いますけれど、『京味』出身の看板は誇らしい部分もあると思うけれど、常にいろいろ比較の対象となって大変ですよね。
だから、そこは忘れて。。。。
いや、すぐに忘れることができました。
一番最初に行った時は、他のお客様を待つ間にチリメンじゃこを出していただいたのですが、そう、その時から、その味わいに心をわしづかみにされたのです。そこからは何が出てくるのかという期待と、そして、出てくるひと品ひと品の多少線の細い、でも「美味しい」の言葉が出てくる喜びの交差に打ち震えるという仕組み。勿論素材についても、良い料理人さんであれば当然とはいえ、種々研究をされている感が出される品から感じられます。
先行レビューで皆さんが書かれている、藁科の鮎が出てきた日には、御造りにはコチの洗を出してくれて、その際コチの食べ方としては最も美味しいと思いますと言い添えられていましたし、確かに美味しい。同じ皿にあった鯛の刺身については「こぶがついている鯛は美味しいけれど、そう簡単に見分けはつかないんです」とおっしゃっておられました。そういう説明をされる時には目を輝かせておられるので、こちらにも伝わってくるというわけです。
ごはんのたき具合は、笹田さんの域には達していないかもしれないけれど、いつもごはんのお供に出してくださる贅沢な「松坂牛の時雨煮」が絶品♪もうー、ほんとこれを食べたくて来てるような。。いえいぇ、一皿一皿の美味しさを味わう為に来ているわけですが、やっぱりこの〆を出されるなんて、反則ですって。ごはんは、一番最初の時は新潟のこしひかりとおっしゃっていたと思うのですが、その後は合鴨農法で育てた無農薬の山形のこしひかりを選んでおられるようです。研究を重ねられている姿勢も感じられて、その研鑽ぶりに立ち会いができることを喜ばしく思う今日この頃です。
8位
1回
2012/01訪問 2012/11/29
今年もベストレストラン締め切り間近になってきたので、今年もはずせないこちらを少々写真と内容を足して更新。
個別の評点はCPだけ他とのバランスで☆3.5⇒4.0に上げさせていただきましたが、基本は変わりません。
相変わらず、落ち着いて美しい手仕事で美味しい和食を仕上げられるご主人は本当に淡々としていてそれも魅力です。
秋にもなりますと、自家製のからすみを出されるお店も他にもありますが、こちらで頂いたお餅にはさんだカラスミの美味しさは、そのプレゼンテーション(普通大根をはさんだりしますけど、お餅にはさんで出していただいたのが初めての経験だっただけに)の印象が強く(スミマセン、その日に限ってカメラ忘れる事件が。。)、強く記憶に残っています。
あまりにも美味しいので、家でも『与志福』さんで買い求めた自家製カラスミを同じようにして作ってみたのですが、やはり、お店のように美しく仕立てられないのですよね。美味しさは変わらなかったように思われますが。。。
そして、美しさといえば、こちらで頂く香箱蟹は本当に美しく詰められていて、これもいつも感動ものです。冬は特に楽しい『与志福』さんです。昨年に比べて、春以降うかがえていないのですが、また年が明けたら是非うかがわさせていただくつもりです。
【前回11/04/05 ('11/04 訪問)のレビュー】
やさしいお出汁の味にほっこりします'
総合 ☆4.5 料理・味 4.5 サービス 3.5 雰囲気 3 CP 3.5(今回⇒4に) 酒・ドリンク3.5
東北沢って下北沢より代々木上原寄りの駅だったのかー、とこちらに伺って初めて理解してわかったつもりだったんですよねー、でもまた忘れて危うく反対方向の電車に乗りそうになってしまいました。
はい、こちら、『与志福』さんに行こうとしてのことです。
駅の改札を左に行くと北口という事ですが、、改札を出るときには周囲に乗降客が少なく工事中の通路を歩いているときは本当に駅前ですぐわかるのかしら?と、ちょっぴり心配でした。
でも、ホント目の前のビルなんですね。(信ジナサイッテバ・・・)
その次もまたもや北口だということを忘れ、きっとこっちだと信じた方の階段脇の窓から看板を認め、安心。(イイ加減覚エナサイヨ)
一階部分に行灯型の看板とご案内があるし、ビル全体にもテナントを知らせる看板がありますので、後は階段を昇るだけ。
数段上がれば緑の暖簾が目に入ります。
普通のお宅のように、タタキで靴を脱いでスリッパに履き替えます。右の角に四人掛けのテーブル席、目の前にカウンター、柱の奥にもご主人が調理をされているのが正面から見えるカウンターが続いています。(つまりは逆Lの字カウンターですね。)
初めて秋に伺った時は長芋羹にたっぷり雲丹を載せた先付からスタート。実は席についたときから、ご主人が四角く固められた長芋羹を丁寧に串を定規にしながら切り分けておられていたので興味を引かれていたのです。和食でも洋食でもプロが丁寧に拵える姿は美しく興味深いし、初めて伺う店で最初に口にする料理を拵えている最中に見られる機会に出会えたことはなかったので、ちょっと嬉しくなっていたのです。そしてご主人自らカウンター越しに 先付と食前酒(山古志特別純米)のサーブをしてくださいました。
フレンチのアミューズにしても、和食の先付にしても、店の矜持がかかっているだけ(オオゲサ?)に、素人の私でも緊張する瞬間です。
ゼラチンで固められているせいか非常に切り分けにくく、載せられた雲丹(大間産だそうで)が崩れ落ちないかヒヤヒヤ。そうして切り分けた 最初の一口・・・・練り伸ばしてふわっとした食感と刻み込まれた長芋のしゃりしゃり感が「しゃりふわ」とでもいうのでしょうか、なんとも言えず、これに雲丹のとろっとした食感と滋味が加われば、もうこの瞬間からご主人の料理の虜になる予感・・というわけです。
お次は蕪の白味噌仕立て・・比較的関西味な私ですが、白味噌って甘いので普段はあまり得意ではないのです。でも、こちらのは甘さ控えめだし味わい深く、ほっこりできます。蕪は別に炊いてあるので少し味が薄いようにも感じましたが、次のお皿の前に舌が塩でやられないように気遣われているのかな。
お刺身は青森のヒラメと熊本のあおりいか。ねっとりしたあおりいかは美しく鹿の子に切られているけれど、一口で戴くにはポーションが大きかった。(汗) お刺身だけは凡庸という感じかなぁ。
メニューにはなかった雪の茅舎のひやおろしがピッタリ合いましたね。
更にポーション大目の飯蒸 柚子の香りがたつもち米の上には たっぷりのいくらがのっていて、大満足。 ここらで大七生元純米に変えて、杯もまた変えて・・
焼き物は鰆。とろみのないタレを数回かけながら焼く幽餡焼き。 ふにょっとした身が口の中で崩れる鰆の皮が美味しかったなぁ。
炊き合わせは 磐田の海老芋 鱈の白子(雲子)、壬生奈、揚げ、椎茸
ぷるぷるの白子を中心にそれぞれの材料が見事なコンビネーションプレイです。
これだけでも満足なんだけど、これからこの季節の華が登場します。美しい香箱蟹です。香住産。
不肖ワタクシ香箱蟹を買って自分で蒸したことあるんですけど、こういう風にきれいに並べるのがとっても難しいことがわかっているだけに、この美しさに見入るばかり。もちろん、こちらばかりでなく、きれいに並べられるところは他にもあるので、料理人の方にとっては基本中の基本なのかもしれませんがね。
そしてこの日の〆ごはんは 自家製からすみのお茶漬け。もう満足で、幸せで、絶対次も来たい・・予約困難かもしれなくても。。と心に決めておりまして・・・
漸く春になり、筍を食しにやってまいりましたよ。
やはり、ここのやさしいお味好きだなぁ・・・
暫くこちらにも通える限り来たいなぁ・・・
詳しいレビューはまた夏にでも書けるといいなぁ。。(筍は写真だけにして手抜きシマス)
9位
1回
2015/03訪問 2015/03/10
【再々々レビュー】くろぎさんの持つ華やかさは群を抜いていますね。(移転まで点数見直しなし)
【2015年3月【再々々レビュー】くろぎさんの持つ華やかさは群を抜いていますね。(移転まで点数見直しなし) 】
移転が遅れている(工事が3月に始まり、6月には移転されるそうです)間に、もう一度 今度こそ最後の湯島での『くろぎ』さんにお伺いできたので、簡単ながらいわば総括レビューを♪
前回伺った時に、途中まで取材でいらっしゃらなかった黒木さんが、カウンターの中に入った瞬間から店の空気ががらりと変わって華やかになったのに、瞠目させられたのですが、今回も、相変わらず、黒木さんの人あしらいの良さが、(たとえ安定した味でなくとも)また、伺いたいな、という気持ちにさせることを改めて感じました。同行された方が、連れてきたい人がいるので、今度は自分でも予約がとりたい、味はよいけど地味なところよりも、絶対にここがいい!と言うのを聞いて、なるほど、そういう事か。。とも。
素材にしても、選ぶ楽しさを語られる黒木さんは、やはり料理が好きなんだろうと思うし、実際、他のお店で(雨や時化で)手に入れるのを苦労されている筈のモノをどこから取り寄せてるのかしら?と思うほど良い素材を手に入れられていて、その点は人気店の凄みだけではない、影でのご苦労があるのかな。。。なーんても感じるようになってきています。
お味ですが、不安定感や塩濃すぎとは以前よりは感じません。普通に考えれば美味しい和食。ただ、まぁ。特別これが!という秀逸感がないのがねぇ。
次回(6月以降)こそはおそらく移転先。席数が少なくなる(18席に)中、どう変化されるのか、されないのかが、楽しみです。
【以下2014年12月追記 お値段のアップに伴い、若干修正 2014年6月 最終訪問】
2015年には移転の可能性ありという事で予約をストップされていましたが、しばらくは湯島で営業を続けられるそうです。
考えてみたら昨年はレビューを更新していなかったので、お値段のアップに伴いCPを修正させていただきました。
予約が至難なのが、一番のネックですね。2014・12
【以下は2012年11月24日の再々レビューです。 「安定してきているかな。」(2012年12月最終訪問)使った金額15000~19999円 CP 4.0→3.8に修正させていただきました。】
さて、昨年は安定化が課題ということで点数の見直しを図ることになってしまったとはいえ、121時代から、私的には最も多くお伺いする機会のあった『くろぎ』さん。最近は予約がますます取れなくなってきて、且つ自分自身の忙しさもあり、今年お伺いできたのはたったの3回! 12月にもお伺いする予定なので四季を味わうという意味で年4回ペースは守れることにはなりますけど、テレビの影響もあるでしょうから、ますます敷居が高くなっていますねぇ。来年は何回行けるかしら・・・・と、いうことで、レビューのほうも年に一回更新ペースです。
くろぎさんの「ミエミエ」ともいえるほど(苦笑)のお客様への気の遣いようと、お話の上手さ、そしてルックス♪は、テレビ向きですよね、ほんと。でもご本人もおっしゃっていましたが、お店でお出しするものはテレビでお出しするものとは全く違います。
そう、お店で出される味のほうは昨年に比べると安定感が増しています。相変わらずの華やかさ―――は、ともすると、「雑味」につながる部分・・というか、その雑味感がくろぎさんの特徴でもあるかもしれないかも。例えばおんなじ香箱蟹の詰め方だったら絶対に『与志福』さんのその美しいプレゼンテーションにはかなわない。というような感じにね。その意味では今回の再修正加点が限界かなぁ。
夜の点数☆4⇒4.5 (料理・味 4⇒4.5| サービス 4.5⇒4.6| 雰囲気 4.0| CP 4.0| 酒・ドリンク 3.5)にそれぞれ変更しました。昼は不変です。
以下は昨年の7月にあげた再レビューです。
【再レビュー】 一期一会と安定化への課題 '11/07/06 ('11/06 訪問)
夜の点数☆4 (料理・味 4.0| サービス 4.5| 雰囲気 4.0| CP 4.0| 酒・ドリンク 3.5).
昼の点数:☆4(料理・味 3.5| サービス 3.5| 雰囲気 3.5| CP 4.5| 酒・ドリンクーー)
『121』時代に初めて伺って以来まだ日は浅いですが、最初に出会った時が大変好印象だった為、私にとってはこの一年間最もよく伺った和食の店となりました。名前が変わり、ミシュランの星もとり、HPもできて、見ればお値段も1万円お任せから時価お任せに変わって、レビューも絶賛系となんだ、こんな程度か系が混ざり合って、その数を伸ばしていますよね。
私自身もベストレストラン2010で3位として「食べログさんの編集上、二位に上がっている『くろぎ』さんは、最近のお気に入り。評価点は昼も入っているので4.5になっていませんが、夜の評価点をベースに選びました。他レビューアーさんの指摘にあるように若干塩気がキツイ時もあることなど、まだまだ色々進化して欲しいという気持ちもありますが、毎回感動させていただけるのがありがたいです」と書いて以来、悩ましいと感じる時とすばらしいと感じる時と混ざり合った半年強でした。
他レビューのように、「だれている」と感じて、次の予約を取るべきか悩んだ昨年の晩秋、そのダレを一気に変えるほどの煌きと味を取り戻した新年、でもそれが再びの荒波の向こう側に行き、そしてこちらに戻っていく・・との繰り返しを経ているように思います。アタリ ハズレ。。。という言葉は失礼でしょうが、ムラがあるように感じているのです。大体隔月でメインの素材が変わっていくようなメニューですが、連続して伺うと、どうしても同じような内容のお食事を戴くことになるから驚きがない・・せいではなく、純粋にムラを感じるのです。
見ているとお客様との会話をされていても、偏らないように目配りしたり、料理に集中しきれない時もあるのではないかしら、とか、やはり、この一年間は黒木さんご自身にとっても変化の年だったこととか、毎日同じことを繰り返すことの大変さというのもあったのかしらん。。。と勝手に思いながら、多少気安く向かい合うことのできるカウンターなり、テーブルで味わってきました。時々レビューで書かれてしまうように、台所事情を交えながらサービスさせていただきますというような会話は確かに少々お品が良いものではないとも思います。でも、逆にそれがおもてなししたい彼の気持ちのあらわれ・・というのか、フレンドリーな雰囲気が初めての人をも緊張させずに楽しく「美味しかった」記憶を留めさせる理由なのでしょう。フレンドリーといえば、一緒に調理場におられる方(岡部さん)にしても、弟弟子さんたちに対する接し方が優しいのも好印象です。怒鳴っているのを見聞きするとこちらも気分悪くなってしまいますものね。
前回は、その周期でいうと(もてなしも、味も)波のトップに近づいている印象の良い夜でした。でも今回は、その好印象をかなり落とす塩加減。うーーん、大事な席だっただけに、がっくしでした。久々に残念賞を差し上げたくなるほど。
一度塩が入りすぎたものは、どんなに変えようとしても、全体に濃くなるだけですよねー。
評価の低かったレビューが、こういった料理に出会ってしまった場合なのであれば、本当にその方たちが気の毒に思うくらいです。『121』の時よりはお値段も高くなっているのですから、その点をもう少し安定させてくれればいいのになー、と心より思います。
(安定するまで、総合点と料理・味の評価を修正させていただきます。)
【以下は2010年9月の『湯島121』時代の最後にアップしたレビューです。 総合/料理・味を4.5⇒4に変更しました。
9月末で『湯島121』の名前がなくなってしまう~お気に入りの和食店はこれから変身♪
夜:総合4.5 料理・味 4.5 サービス 4.5 雰囲気4 CP 4 酒・ドリンク3.5
昼:総合4 料理・味3.5 サービス3.5 雰囲気3.5 CP4.5 酒・ドリンク - 】
【プロローグ レビューに直接関係ないので読み飛ばしていただいて結構です。】
はい、先行レビューアーさんの情報通り10月から、満を持して(?)
その名を店主のお名前「黒木(くろぎ)」に変えられるということですが、
同じ月のメニューでも毎日少しずつ変化をつけさせて提供してこられた
『湯島121』さんがどう変化したかは「黒木」に代わってからのレビューを上げることにして、
先ずは重い腰を上げて『湯島121』の名前のうちに一度レビューをば!
【ここからレビューです。】
ふるふるさんの鯛茶漬けのランチのレビューにブックマークをしてからなかなか行く
きっかけがみつけられなかった私。もとより、私自身の和食の名店の経験度が低い
ので、美味しさの断定はできないにしても、ある方が開かれる会をきっかけに
湯島121デビューを果たした日から私の数少ない
和食レパートリーの中では大きな存在になっています。
皆さんも書かれているように、ご主人の黒木さんは『京味』ご出身。
(まっつ、未踏なので、そのお味との比較はできませんから、書いてみただけ。。
に終わってしまいますが。汗)
湯島の地に移られる前からお客様に一対一で接するとの精神で121(one to one)と名づけられ
ていたと聞いたように思います。
湯島という土地、昔は御茶屋さんなどがあった場所で、その御茶屋さんの日本家屋が
店そのものになっています。
ガラスの引き戸を開けると、玄関口の壁にくりぬかれた窓の向こうで調理をされる
イケメンのお二人の料理人の姿がよく見えるので、ちょっとドキドキしちゃいますよね。
先ずはそこでご挨拶。
御香の香りも玄関口から香ってきます。
更に引き戸を開けると右手は白木のカウンター、左手はテーブル席、奥や2階席もあるのですが、
まだ、そちらに通されたことはありません。
夜のお食事はお任せのコース。2ヶ月毎に季節の素材に合わせて変えるそうですが、
もちろん日々少しずつ変えているそうですし、素材にこだわったコースをお願いすることができます。
先付から始まってお造り、お椀、焼き物、凌ぎ、煮物、強肴(和牛のタンシチューが有名ですが、
9月にはこれに加えしゃぶしゃぶとすき焼きが加わっていました。少し変えたいそうです。)、
そしてお食事と何を戴いても、美味しい。
7-8月は鱧・鮎・早松茸と季節の旬と先取り
9月は脂ののってきた秋鱧、松茸、子持ち鮎と華やかな素材はもちろんのこと、
甘味に至るまで、食材に対する愛情を込めて丁寧に作られている感じが素人の私にも
しっかり伝わってきます。お味は少し味が濃いとされているけれど、幹事さまのご手配のおかげか、
さして感じることもなく、むしろふんわりした出汁味は私にはとても好みです。
ランチは1000円の「あまりもの」の鯛茶漬けが先行レビューでもあまりにも有名ですね。
ごはんは勿論 鯛のお代わりができちゃうし、小鉢やデザートのアイスクリームまでついて
1000円なんて余りものだといわれても有り得ない値段です。
でも、やはり華は夜。
そんな夜ですら食材によって異なるとはいえ、お任せで10千円から12千円、と極めてリーズナブルなところが
人気の一端ですね。お酒を戴いても2万円以内で収まるから、次の予約を取って帰ろうという気になります。
黒木に変ったらお値段も変るのかしらん、とは思うけれど、少しあがっても価値が高いので通いたいと思います。
そして黒木になってから、もう一度レビューをあげたいですね。
注:お食事の解説は写真に添えてあります。
10位
2回
2016/02訪問 2017/01/11
大好きな寛松さんに二年ぶりに出かけて、悲しいお知らせが。。。。
今までは秘伝のもつ鍋のみ撮影不可だったのに、なんと不届きなお客様のせいで見かねた大将ご夫妻がジンギスカンも含め全面撮影不可宣言をされていました。
ううううううう。。残念至極です。
でも、相変わらずジンギスカンは勿論の事、もつ鍋最高です。
以下は2012年11月のレビューです。
2012/02訪問2012/11/27
4.5 [ 料理・味4.5 | サービス4.5 | 雰囲気3.0 | CP5.0 | 酒・ドリンク3.0 ]
使った金額(1人) ¥3,000~¥3,999
最高のジンギスカンと秘伝のもつ鍋♪
いやー、北海道といえばジンギスカンですよね。
でも、今まで食べた中で最高ーに美味しいジンギスカンを味わったのは、倶知安のココ 『寛松』さんです。
なんで知ったかって?
そりゃ、ニセコあたりにスキーに行くからですよ。
ハイシーズンにもなると最近は、倶知安駅から「くっちゃんナイト号」なるバスがあるんで、ニセコに泊まっていても、倶知安の繁華街に行けるし、途中の比較的大きなスーパーにもよれるわけですから、なかなか良いシステムです。
勿論、倶知安の繁華街にも食べにきてよね、っという目論見なのでしょうが、見事その目論見に引き寄せられて最初に伺って以来、絶対にはずせない行程となりました。
だってぇ。。いかにも町の居酒屋風---ジモティ御用達で安い♪、おやじさん―怖い風(でもホントウはやさしい)、お母さんーーにっこにこでやさしーぃ♪
だけではなく。
めちゃめちゃ美味しいの、ジンギスカン。
そして、某映画監督以外は写真NGという「もつ鍋」--もつ鍋の常識を変えるもつ「鍋」ですが、めっちゃ美味しい、そして汁はたっぷり残して、頂くおじやが最高!!
そして、お母さんのおにぎりもふわっとしていて美味しい♪
だからなんですわ。
先行レビューにも作り方が解説されていますが、ジンギスカンにしてももつ鍋にしても、フツーとは違う工程で、基本セルフサービスですが(作り方は行く度、毎回教えてくれますーー行ったときには一回だけですが。。)
ジンジスカン⇒最初に小鉢にうどんほどの太さのコンニャクが入ったものが肉と一緒に運ばれるので、ん?となりますが、特製ジンギスカン鍋のフチの部分にコンニャクと野菜(もやしとピーマン)をセットして、上の帽子状の部分に油を塗って、羊を置いてあげます。肉汁吸収剤としての役割があるんですね、コンニャクに。で、これがまた絶品なの。やめられなくなっちゃう。いや羊は勿論ですけどね。肉の処理が良いのとタレが美味しいのですよ、リンゴだとかたまねぎとかのみぞれに漬けてあると聞いたような。
おなかに余裕があったら、ハツやらタンやら、注文して、焼いて。。ここにもコンニャク登場しますが、なんかやめられないんですよね。。
そして、もつ鍋。(写真NGなので、うまく表現できるといいのですけど。。)
鍋といっても浅いデザイン性の高い銀色の円形のお皿のような鍋をセットするんです。この鍋はご主人が考案したとのことで、手作りと聞いたような。。
そして油をひいて、ホルモンを入れます。野菜はにら、白菜、たまねぎ、こんにゃく。。
そしてね、ここからが大事。
大きな木綿豆腐を半分に切って、切ったほうの断面を下にして、それぞれの上に特製のみそを乗せるんですよ。
そのうちに野菜とかの水分が出てくるの、そうすると豆腐に乗せた味噌が溶け出して。。。イイ感じに出来上がるというわけ。
そしてその味噌の味のついたお汁は大事に残しておいて。。。ごはん投入です。これもぐつぐつ、とろっとろになるまでおいておくと
絶品のおじやの完成です!(堺マチャアキ風に)
でも、そこでやめてはいけません。
お母さんの握ってくれるおにぎりがまた美味しいの。握り具合最高♪
こうやって、沢山いただけるのもスキーという運動の後だから、、、、とかいう言い訳を毎年して肥える私でした。。
ニセコに行かれる際は是非!
昨年、1000軒目のレビューに向けてのラストスパートとベストレストランを書くのに精力を使い果たしてしまったせい(?)や、もともと2012年は少し控えめにしよう宣言を行ったこともあり・・・、いや、現実としては食事にいく時間がなくはなかったけれど、やたら忙しくなってしまった為に、2012年は私のレビューアーとしての活動が随分と制限されてしまいました。
時間的な制限の中、日に日に新たな行きたいレストランが増える一方で、もう一度お伺いしたいのに、行くことが適わなかったお店の数も多くなってしまったわけですので、ベストレストランを選ぶにはふさわしいとは言えないかもしれませんが、新たに行き、感動を得られたお店を選ばないわけにいかない、ということで、最後の5日間でラストスパートをかけた結果、今回のような結果となりました。残念ながら昨年1位にさせていただいた『京味』さんにはお伺いするチャンスがありながら、多忙で行けず、選から漏れさせる結果となりました。一期一会というコトバをかみ締める必要がありそうですねー
今年の1位は今年になってから初めて伺うことができた軽井沢の「フォリオリーナ・・・」さん。まだまだ、ご本人の目指されているものを理解しきれる舌ではない事は重々承知の上であえていうなら、昨年の京味さんのご主人(西さん)にせよ、こちらの小林さん、大好きなル・マンジュトゥー(CP面などから総合点はこちらが上になっています)の谷さん・・・に共通して感じるのは、西さんの言われるところの「味を迎えに行く」べく日々食材と向き合い、一段(以上)レベルの違う高みを目指しているような凄みを感じる料理だなぁ、という事でしょうか。単に「美味しい」「幸せ」というだけではない、ある意味「変態」(失礼!)料理人との勝負をしているような感覚になる・・というのが私なりの感想であり賞賛です。逆に他の数多くの「美味しい」レストランでは「フツーかも・・」というような感想を持ってしまうある種の「毒」でもあるように思います。
3位に上げた『ラ・バリック』さんもしばらくぶりに、且つ、今年は一度ならずお邪魔し、わかったことは食事に合せるワイン選びというジャンルでは同じく「変態」(失礼!)ともいえるほどの向き合い方であり、その魅力が輝いているという意味では図抜けています。ただ、普通でも勿論良いグラスを勧めてくださいますが、今年伺った際はワインを中心とした食事会としてお願いしているという事情もあり、より煌きがあったように思います。。
同じく今まで行くことができなかった店として『鳥しき』さんを5位に挙げさせて戴きましたが、焼きの凄みという意味では昨年9位(雰囲気とか酒とかそういった分野での点数を稼げないので、得点的には高くならず9位としています)で挙げさせていただいた鳥重さんも決して負けない・・というか、個人的印象では高いですが、こちらの焼きも素晴らしかった。また伺いたいものです。レア感たっぷりの『鳥しき』さんを5位に選ばせて頂きましたが、4位以下10位迄は私の中では順位ほぼ変わりはありません。7位と9位は昨年1位とさせていただいた同じ店ご出身、同じ師匠を押し戴くという看板が常に重い、でも全く印象の違う日本料理店ですが、やはりほぼ同じ位置づけです。『星野』さんは今年の新顔です。予想通り☆も輝きましたね。9位に上げたおなじみアイアンシェフで兄弟子の『くろぎ』さんの「華やかさ」に比べると、ムラのない分若干地味ではありますが、素直に美味しいと言える和食を頂ける上、その爽やかな対応ぶりが好印象です。これからも伺って、その一年の足跡や変化を味わうことができるといいなぁと思っています。最後に10位に選ばせて頂いたのは、今回ようやくレビューを挙げた北海道は倶知安駅近くにあるジンギスカンやさん『寛松』さんです。ジンギスカンともつ鍋に対するイメージが変わり、毎年ニセコにスキーに行く時の必須定番となった私にとっての「凄い店」です。今年こそ『寛松』さんを世の中に出したい!という個人的な思いから10位以内に入れたかった他店を押しのけることにしました。(すみません。素敵なお店が多く、どれも圏内に入れたいだけに内心忸怩たるものがあります。)
そういうわけで、ベスト10に入れたけれど上記でご紹介していない他のお店、或いは、今回は残念ながら、ランクインできなかった他のお店も「好き」であったり「美味しい」であることには変わりないので、あくまでもご参考ということで・・
2013年も忙しさが続くと思うので、どこまでレビューをアップできるのか、そしてベスト10を選ぶことができるのか、若干不安ではありますし、最近食べる量を減らそうとしているので、グランメゾン系にどれだけ伺えるかもわかりませんが、レビューア―歴もかれこれ6年目に入る私としては今後とも細々ながらも、誰かにとって、何某、参考になれるようなレビュー活動を続けて参りたいと思います。