2回
2011/07 訪問
【再訪】金沢駅前で奥能登宇出津港の地魚と能登の地酒が堪能できる新進気鋭の板前料理
2011年9月
羽田発小松行きの最終便が30分遅れで到着したので、2回目訪問はラストオーダーぎりぎりの22時30分になってしまいました。
丁度カウンター席が全員引き上げられたばかりのようで、奥の座敷の宴席が1グループ残っているというだけでしたので、若いご主人と差しで話しながら宇出津の魚を堪能できました。
お決まりの刺身盛合せは前回とほぼ同じでしたが、盛夏を過ぎてやや脂が乗りかけた〆鯖が旨い。
〆ると言うよりは酢洗い程度の浅〆が丁度良かった。
お酒は飲み比べセットでこの季節ならではのひやおろしの3種類を頂きます。
能登、金沢、加賀の酒の特徴が良く分かるセットでした。
〆のご飯代わりにレンコングラタンを試して見ました。
どんなものかと思ったら、お姉さんが小坂レンコンを摩り下ろし始めました。
要するに蓮蒸しのベースにベーコンとチーズとレンコンの薄切りを載せて、オーブンじゃなくて魚を焼くグリルで焼いたものです。
ねっとりとしたおろしレンコンのまったりした味とベーコン、チーズが良く合います。
テレビ番組でやっていたジャガイモグラタンにヒントを得て考案したそうですが、こういうチャレンジも面白いです。
2011年7月初回訪問
能登町の宇出津港は、往時は奥能登第一の港として漁船は勿論、山村から運ばれてきた木材や木炭の積出港としても栄えた歴史があり、現在でも魚市場には近隣の漁船が地元で獲った新鮮な魚が集まってきて威勢の良いセリが行われています。
そんな宇出津の新鮮な魚を金沢の駅前で食べられる店が出来たという情報を得て、早速出かけてみました。
場所はリファーレという18階建ての三角形のオフィスビルの裏手で、派手な外装の焼肉屋の隣でひっそりと粋な暖簾を下げています。
お店は大きなカウンター8席にテーブル席が3つが有ります。他に宴会用の座敷もあるようでしたが、とてもきれいでセンスを感じさせる内装ですから、女性だけのグループやお一人様でも全然大丈夫な雰囲気でした。
まずはお目当ての刺身の盛り合わせから。
炙り柳さわら、太刀魚たたき、鯵、平目、さざえ、赤西貝がどっさり盛られて、これで一人前とは思えないボリュームです。
時期的にはあまりいい魚の無い夏場で、これだけの種類を揃えるだけでも大変でしょう。
特に炙り柳さわらと太刀魚のたたきは、ちょっと火を通すことで臭みを消して旨味を引き出す技に参りました。
江戸前寿司とは違って、新鮮な魚を売り物にした海鮮料理の店ではなかなか出来ないものなんですが大したものです。
能登産もずくとじゅん菜の酢の物のもずくは黒くてコリコリしていますから、おそらくは輪島のモズクと思われます。
富山湾に面した内浦のもずくは絹糸のように細くて柔らかいので、そっちのほうが好みだったのでちょっとがっかりです。
関東のスーパーで販売されている沖縄産に比べたら、大分細いですが。
じゅん菜は、個性の強いもずくに負けてほとんんど存在感が無かったのも残念でした。
続いて、宇出津港の天然岩牡蠣を注文すると「小さいのが2個と、そこそこの大きさの1個のどっちが良いですか?」と板前さんに聞かれたので、小ぶりのものをお願いしました。
ポン酢とレモンを添えてありましたが、まずは何も付けずに一口食べてみると、全く臭みが無く濃厚な旨味が口一杯に広がってきます。
大粒の岩牡蠣は重すぎる感がありますが、このくらいの大きさだと味も軽めで食べやすいくていいですね。
そろそろお腹にたまるものということで、加賀太胡瓜と鶏肉の揚げびたしをお願いします。
いわゆる鶏天と野菜の硬い衣の天麩羅にタレをかけたものですが、加賀太胡瓜だけじゃなくて南瓜、茄子も揚げてあり、小粒のコーンが散らして
ありました。
鶏天は普通でしたが、加賀太胡瓜は何ともいえない不思議な食感です。
そもそも、、胡瓜を揚げ物にするという発想から面白い。
ここらで焼き物も一品と思って、お薦めを聞いてみたら、板前さんが冷蔵庫から色々取り出して見せてくれましたが、やはりノドグロが美味しそうだったので、それでお願いしました。
一匹丸まるではなく片身でしたが、一人で食べるには十分なサイズです。
ねっとりとした脂が染み出してくるよな濃厚な旨味でした。
チャレンジャブルな料理を作り出す板前さんは、なんと若干31歳で店主だそうです。
柿木畠のいたるで修行した能登町出身の方とのことで、魚は勿論宇出津の魚屋さんから毎朝取り寄せているとのこと。
涼しげな和服姿の美人女将さんと、粋でいなせな白衣姿のお姉さんの家族ぐるみで始めた新たな挑戦に拍手です。
日本酒は能登の地酒が豊富に揃っていて、順番に飲み比べしていくのが楽しみです。
羽田発の最終便で行ったので入店したのは22時近くという遅い時間でしたからすんなり入れましたが、それでも先客が2組は居られて、その後も一組入られてカウンターはほぼ満席になりましたから、なるべく電話してから行くほうが安全なようです。
小坂レンコンのグラタン
あおりいかのゲソ(小木港の海洋深層水の塩で)
あら汁
飲み比べセット(季節限定のひやおろし尽くしで)
宇出津産岩牡蠣
刺身盛合せ(一人前)
能登産もずくとじゅん菜の酢の物
加賀太胡瓜と鶏の揚げびたし
のどぐろ焼き
お通し(衣かつぎ、蛸のピリ辛)
テーブルセッティング。お絞りは香りをつけた手拭いです。
2012/08/13 更新
この店に初めて訪れたのは2011年7月でした。
故郷の能登町宇出津港の新鮮な魚を売り物にした居酒屋ができたというので行ってみたら、若い店主は能登町出身で家族で店をやっていて良い雰囲気で居心地が良かった。
あっという間に人気店になり食べログ評価も3.7と師匠の「いたる本店」に次いで金沢の居酒屋ランキング3位になって、ふらりと行っても入れなくなり足が遠のいてしまい、なんと7年ぶりの訪問になってしまいました。
今回の金沢行の日取りが決まってすぐに電話したら禁煙のカウンター席が空いていたのでラッキーでした。
まずはお目当ての刺身の盛り合わせから。
岩だこブツ切り、ガス海老、中トロ、鯖浅〆、塩あら、鰤、ばい貝、鯵、赤いか。
鮮度抜群で実に旨い。特に塩でいただく「あら」は少し寝かせて熟成感を出しているようで絶品でした。
能登牡蠣の昆布焼きはアルミホイールを折ってバット状にしたものに昆布を敷いて、その上に牡蠣を載せて醤油ベースのたれをかけてグリルでさっと焼いたもので、牡蠣そのものの旨味に昆布の旨味が加わった相乗効果で反則技的な美味しさです。
こうなると宇出津の地酒、竹葉の純米酒をゆめりのオリジナルラベルにした1合ボトルでいただきます。
柔らかい口当たりで優しいお酒です。
のどぐろの塩焼きは背開きにして一夜干しにした干物でした。サイズ的には中くらいでしたが脂が乗って美味い。
定番の小坂蓮根の蓮蒸しはほっこりとした優しい味で、すりおろした蓮根饅頭で結構おなかが膨れてきます。
とはいえ肉も食べてみたかったので能登牛炭火焼きを追加。
推定200g超ほどの塊肉を炭火で全面に焼きを入れてスライスして完成です。
中心部はピンク色ですがちゃんと火が通っていてミディアムレアの焼き加減。
おろしたての山葵と能登揚げ浜塩田の塩でいただくと至福の境地です。
こうなると日本酒のお替りで竹葉特選大吟醸古酒は1合1800円と値が張りますが、斗瓶を一本買いしてオリジナルボトルに詰めたというレア物なので高くはありません。まったりとした濃厚な味わいで牛肉にぴったりでした。
19時半くらいになると注文のピークも収まってきたので、店主がご挨拶に来ました。
今回は姉と2人で行ったので能登町出身者3人で能登のローカル話題で盛り上がり楽しさ倍増です。
姉もすっかりご満足で面目躍如でした。