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フェリポナ
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アミューザ
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ムール貝
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アルザスのリースリング
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自家製パン
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セップ茸バター&ウニバター
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手長海老&鮎
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ロワールののシュナンブラン
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フォアグラの冷製
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アルザスのゲバルツトラミネール
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スッポン
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スッポン
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ロワールのプイィ・ヒュメ
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のどぐろ&鱸
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アルザスのP.N.
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ドミヌク・ラフォンのヴォルネイ
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小鹿
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ローヌのシラー
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モヒートとアールグレーのグラニテ
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メロン、生姜、ソーテルヌノエスプーマ
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ミニャルディーズ
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エスプレッソ
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こちら、ラ フィネスは、オープン当初から、気になっていたレストラン。
オーナーシェフの杉本敬三氏は、自らを、「AUTODIDUCT(独学者)」と呼んでいるように、12年間フランスで修行を積むも、特定の師匠に炊事する事なく、自分の感性と解釈でフランス料理を身に付け、帰国後、自らの店をオープンさせたと言う異色の経歴を持つ、今、注目の若手料理人。
この日、初めて、シェフの料理を体験させて戴き、その発想、手法、表現方法の全てに、既成の枠にとらわれない独自の世界感が強く感じられましたが、それは、こうした経歴が影響しているのかも知れません。
そして、此方、お店の所在地が、ちょっと渋いんです。
お店があるのは、杉本シェフが創り出す華麗な料理とは、イメージ的に全く結び付かない新橋駅烏森口のサラリーマンの聖地みたいな場所。
飲み屋街(新橋西口通り)の突き当たりの先に建つビルの地下です。
しかし、階段を降りて、ひとたび店に入ると、世界は一変します。
そこは、高級感溢れる一流レストランの雰囲気が漂い、直線と曲線を組み合わせたスタイリッシュでシックな空間がゲストを温かく迎えてくれます。
まずは、バーカウンターに案内され、ここで食事の流れやスタイルについての簡単な説明があり、マネージャーとワイン等、ドリンク類を相談して決めます。
ワインリストは、iPadに収められており、生産者、産地、ヴィンテージ、予算の4つの視点で検索出来るようになっていて、とてもスマート。
バーカウンターの正面には、スタイリッシュで巨大なワインカーブが備え付けられています。
続いて、シェフが現れ、食事のMENUが提示されますが、MENUには、食材の名前しか記載されておらず、調理方法は、その場でお客と相談しながら決めて行くスタイルです。
代官山のリストランテ八木も、こんなスタイルでした。
こうしたやり取りを、シャンパーニュとアミューズを戴きながら進めて行きます。
シャンパーニュは、フェリポナ ロイヤル レゼルバ ノン・ドゼ。
いきなり、贔屓の銘柄が出て来て、にんまり。
そして、まるで生花のようなフォトジェニックなアミューズの登場にテンションアップ。
内容は、串2本(マッシュルームのマリネ、ハーブをまぶしたサーモン)とスプーン3本(赤パプリカ、フォアグラマカロン、チョリソを乗せたポタージュ)
どれも、フェリポナによく合います。
このアミューズから、シェフの料理に対する哲学の一端を垣間見たような気がしました。
食事のMENUは、以下の2種類。
■ムニュ・セゾン(15,000円) ・・・季節の素材を取り入れたお任せコース
■ムニュ・フィネス(22,000円)・・・高級食材を使用したお任せコース
※両コース共に、税込・13%サ別。
ワインは、5種類のデギュスタシオンが用意されていました。
■ 5,000円・・・シャンパーニュ×1、白×2、赤×1
■ 7,000円・・・シャンパーニュ×1、白×3、赤×1
■10,000円・・・シャンパーニュ×1、セレクトワインを一皿毎に合わせたセット
■12,000円・・・シャンパーニュ×1、セレクトワインを一皿に合わせたセット(銘醸ワイン含む)
食事は、ムニュ・セゾン×2、ワインは、デギュスタシオン(12,000円)、デギュスタシオン(5,000円)をお願いしました。
この日の、「ムニュ・セゾン」の食材は此方です。
■ムール貝
■手長海老、鮎
■フォアグラ
■スッポン
■のどぐろ、鱸
■小鹿
■柑橘、茶
■メロン、生姜、ソーテルヌ
■ミニャルディーズ
アミューズを食べ終えたところで、ダイニングに移ります。
ダイニングには、赤い絨毯が敷かれ、丸いテーブルが5席(だったと思う?)、ゆったりとスペースを取って配されており、グランメゾンの落ち着いた雰囲気が醸し出されています。
BGMがないので、静か過ぎて、居心地が悪いかと思いましたが、シェフもソムリエの方も気さくで、色々と会話が弾む為、その点は、全く気になりませんでした。
自家製のパンには、2種類のバターが用意されましたが、このバターが何と、「セップ茸のバター」と「ウニのバター」。
普段、自宅でも、レストランでも、パンはバターを塗らずに食べる自分ですが、この日は、積極的にバターを塗ってしまいました。
特に、セップ茸のバターが、香り高く美味しかったです。
自家製のパンも小麦の香りが豊かで、とても美味しかったです。
此方では、全ての料理を、シェフ自らが、テーブルまで運び、素材や調理法の説明をされるのも特徴のようです。
料理を創りながら、サーブまで、1人でやるのは大変だと思うのですが、調理法がその場で変わる事が多く、正しい説明をする為に、こう言うスタイルになってしまったそうです。
我々、お客としては、大歓迎ですけどね・・・。
<食材①・・・ムール貝>
一皿目の食材は、ムール貝。
モンサンミッシェルのAOPのムール貝を白ワインで蒸し上げ、これに朝獲れの枝豆を添え、アワビのソースを掛けた一皿。
もっと複雑な工程を踏んだ料理なのですが、端折ると、そんな感じだと思います。
このお皿に合わせてくれたのは、シェフの修行先の1つでもあるアルザスのリースリング。
爽やかな中に、V.V.ならではの円やかさも感じられる軽やかなワインでした。
<手長海老、鮎>
2皿目の食材は、手長海老と鮎。
手長海老と言っても、ラングスティンとは違い、川に生息する手長海老だそうです。
産地は京都由良産、川の手長海老なるものがある事を初めて知りました。
冷製のビスクソースの上に、ウズラのポーチドレッグと手長海老を浮かべ、鮎のジュレを添えた一皿。
オレンジ色のビスクソースと、緑のバジルソースのコントラストが鮮やか。
器の下に敷かれたお皿の色合いとも調和が取れた美しい色彩感覚。
見た目も味わいも、涼やかながら、しっかりとしたコクのあるソースが印象的な一皿でした。
このお皿に合わせてくれたのは、シェフのフランスでのもう1つの修行先、ロワールのシュナンブラン。
ロワールを代表するビオディナミの1つ、サンソニエールのLa Lune。
リンゴのような香りがあり、先程のリースリングと違い、ボディもあるワインでした。
<フォアグラ>
3皿目は、フォアグラの冷製。
杉本シェフのスペシャリティで、初訪問のお客には、必ず、コースに加える一皿だそうです。
フォアグラを24h、特製のコンソメに漬け込んで作ると言う西京漬けのような?フォアグラ料理です。
フォアグラに掛けられているジュレはブレス産の鴨と但馬牛のジュレ。
フォアグラの周辺には、黒胡椒、香辛料、ハーブ等が散りばめられており、これらを付けて、味わいの変化を楽しみます。
黒のスクウェアのお皿で供されたフォアグラ、絵的にも映えますね。
美しい食器類は、全て、九州の「カマチ陶舗」に特注して作った有田焼きだそうです。
このお皿に合わせてくれたのは、アルザスのゲバルツトラミネール。
クチナシの香りが華やか! フォアグラとゲバルツトラミネールの相性はばっちりです。
ソーテルヌだと甘過ぎて、コースの流れが分断されるので、このワインのチョイスはさすがです。
<スッポン>
4皿目の食材は、スッポン。
和食以外で、スッポンを食べるのは初めてです。
タルタル・ステーキならぬ、タルタル・スッポンのような料理と言ったら叱られるでしょうか?
白ワインと香味野菜で煮たスッポンを小さく刻み、タルタルソースの上に敷き、、エシャロット、卵黄、ピクルス、パセリ等のラビゴットソースで和えた一皿。
まずは、そのまま戴き、後半は、スッポンのコンソメをひたひたと掛けて戴きます。
さっぱりした味わいで、フレンチと言うより、和食のよう・・・。
食べるプロセスも、ひつまぶしに似ていますしね。
スッポンのコンソメの滋味深い味わいが、いつまでも口の中に残ります。
このお皿に合わせてくれたのは、ロワールの若き作り手、アレクサンドル・バンのプイィ・ヒュメ。
しっかりしたミネラル感と切れ味の良い酸味、S.B.らしい爽やかな芳香と苦味も感じられる素晴らしいワインでした。
そして、プイィ・ヒュメならではのスモーキーさが、滋味深いスッポンの味わいとも相性が良かったです。
<のどぐろ、鱸>
5皿目の食材は、のどぐろ&鱸と言う豪華な組み合わせ。
のどぐろは1週間熟成させ、鱸も1週間塩漬けにして、水分を抜いて干物のように旨みを凝縮しているそうです。
これをソテーし、京都の小蕪を添え、のどぐろの骨で取ったスープと、東京軍鶏のスープが注がれた一皿。
杉本シェフの料理は、極上の食材を、バリエーション豊かなコンソメやジュレと組み合わせ、独自の世界を創り上げるのが特徴なのかも知れません。
途中で柚子を絞ると、爽やかさが加わり、また違った世界が広がりました。
酸味、塩み、脂の旨みが凝縮された、これも和食に近い一皿でした。
ただ、鱸は水分がやや抜け過ぎの感じがしました。
そして、この料理に合わせて来られたのがピノ・ノワールだったので、ちょっと驚きましたが、のどぐろ&鱸の香ばしい焼き目と、よく合っていました。
しかも、この料理には、ワインが2種類用意されており、ピノの飲み比べも意図されていました。
1つは、シェフの在仏時代からの友人が作るアルザスの無濾過のピノ。
そして、もう1つが、何と、ドミニク・ラフォンのヴォルネイ2011!
コント・ラフォンのムルソーは過去数回飲んだ事があり、自宅にもストックがありますが、自らの名を冠したドミニク・ラフォンのワインを体験するのは初めてです。
しかも、赤なんで、興味津々でした。
味わってみると、香りは上品で華やか、タンニンは柔らかくソフト、味わいは優しくまろやかでふくよか・・・。
上手く表現出来ませんが、上質で洗練された、さすが、貫録の味わいでした。
偉大な造り手は、白でも赤でも何でも来い!と言う感じなんですかね?
アルザスの伝統を守って来た造り手と、ブルゴーニュを代表する偉大な造り手の希少なワインの飲み比べ。
この楽しくも贅沢な演出にやや興奮、鼻血が出そう!
<小鹿>
6皿目の食材は、小鹿。
蝦夷小鹿のメスのステーキです。
ここで、ナイフが、ライニョールに変えられます。
このとき、コンディションは既に満腹状態だったのですが、この美しいロゼ色を見ると、また食欲がかきたてられるのが不思議です。
小鹿って初めて戴きましたが、大人の鹿より好きかもです。
と言うより、シェフの火入れの腕の違いで、そう感じたのかも知れませんが・・・。
肉の食感はサクサクした感じで、胃にもたれる重さがなく、サッパリとしたソースと相まって、自然の旨さと言うか、とてもピュアな美味しさを感じました。
ガルニは、トリュフの泡を纏ったジロール茸と、北海道の大黒シメジ。
この茸たちが、また美味しいんですよ。
このお皿に合わされたのは、コート・デュ・ローヌ、ドメーヌ・デュ・クレのNo Wine’s Land 2011。
「ワインのない土地」と言う変わった名前のシラー100%のワインです。
最後に出されたワインなので、きっと素晴らしいワインなんでしょうけど、その前のドミニク・ラフォンの余韻が残っていて、殆ど、記憶がないのが残念です。
<柑橘、茶>
7皿目のお題は、柑橘&茶。
何が出て来るかと思いきや、モヒートとアールグレー(ダナン)のグラニテでした。
と言う事は、お題の柑橘はミントと言う事ですな。
モヒートを煮沸してから、かき氷状にして、アールグレーを加える?と言われたような気がします。
このグラニテ、メチャ清涼感があって、メチャ旨で、これで胃がすっきりリセットされました。
使用されたラムは、Mount Gayの30年もの、その香りは、”モテル男の香り”なんだそうです。笑
<メロン、生姜、ソーテルヌ>
8皿目の食材は、メロン、生姜、ソーテルヌ。
何のこっちゃ?この組み合わせは!って感じですが・・・。
液体窒素を使ってエスプーマを作る装置がテーブル近くに運ばれ、お皿に盛られたヨーグルトのシャーベット、生姜のコンフィ、メロン、ピスタチオに目掛けて、ソーテルヌのエスプーマが炸裂すると言う派手な演出が用意されていました。
その瞬間を写真に収めようとカメラを構えたのですが、間に合いませんでした。(汗)
一見、ばらばらな感じがする食材の組み合わせに思いましたが、見事に一体化した一皿になっていました。
<ミニャルディーズ>
ミニャルディーズのお題はヘーゼルナッツとカカオマス
ドリンクはエスプレッソを戴きました。
食材、調理法、ワインだけでなく、器、内装、サービスに至る迄、”ラ フィネス”と言う世界に関わるもの全てに対し、妥協を許さず、「杉本ワールド」を究極まで貫き通しているお店である事を実感しました。
しかし、そう言うと癖が強く、面倒臭い店のように感じるかも知れませんが、シェフの陽気で気さくなキャラクターが手伝ってか、非常にフレンドリーで、暖かさを感じるレストランです。
それは、シェフの発想や行動の原点が、お客さんに喜んで貰いたい、お客さんを驚かせたいと言う、茶目っ気とおもてなしの心で、この店を営んでいるからだと思います。
これからも、目が離せないレストランです。
P.S. 土曜のみ、ランチ(8,000円)があるそうです。