2回
2025/03 訪問
若返り
2025/04/01 更新
2010/03 訪問
素直においしく最高のコストパフォーマンス
最近,博多に出張に行くと必ず寄りたいと思う店です.
料理の内容は多くの方が既に投稿されているとおりです.
あえて書くような内容であるのかどうか疑問なのですが,ご自分では説明されないと思いますので僕が感じていることを書いてみます.
吉富さんとお話をしていると,職人としての真剣な姿が浮かんできます.
「うまいものをできるだけ安くしてたくさんの人に食べさせたい.」
色々と試行錯誤して,ここにたどり着いたようです.最高のものを最高に提供するというスタイルではありません.ゆえに決まったものを人数分まとめて握られたとしても,食前のおつまみが数少なくてもやむを得ません.5000円を超える絶対値は安いとはいえないかもしれません(人次第なので).しかし,これだけの材料と手間を考えれば,驚くべきコストパフォーマンスです.あぶった赤ムツ(北陸の咽黒は焼くと実に美味い)と蕪のすしを食べれば誰もが驚くはずですし,季節ごとの野菜の寿司も良い.
また,無用にうまい酒は繊細な料理の邪魔になるので,あえてビールと素直な日本酒(冷,燗)のみなのでしょう. 人それぞれですが,僕の怪しい感覚では,熟成した大吟醸(例えば菊姫)が合うねたは少なく,逆に,熟成したブルゴーニュの偉大なワインたち(例えば?ワインは1本ごとに美味かったり不味かったリスので・・・なんとも)が合うねたもあります.そういえば,そういう赤ワインにチーズはまず合いません.もっとも,自分の口に入れるまで相性はよく分からないのが面白いといつも思うのですが.
仕事に妥協はありません.仕込みに差し障るのが怖くて平日はお酒もあまり飲む気になられないようです.案外,慎重派で負けず嫌い?別のよく行くすし屋の若いご主人はたくさん飲んでもがんばって営業するみたいですが・・・いずれにしても日々の努力の姿に職人を感じるものでしょう.僕はそういう人が大好きです.そして,新しい工夫も常に心がけられています.
もしこの口コミをご覧になられて,どうしようかと思案しておられる方へのメッセージです.
・絶対値として5000~1万円/人を想定.料理以前に高いと思う方には向かないかも.
・すごく空いていれば別ですが,長居をすると居心地が悪くなるように感じます.大将は,「ゆっくりしていってくださいよ」と優しいですが.
・人数分をまとめて握られます.あえて仰いませんが「良いものをできるだけ安くたくさんの人に」を胸に,「お客さんが納得してくれると良いな」と黙って仕事をされてるはずです.最高のものを最高の状態で食べたい方には,別の素晴らしいお店があると思います.気のせいではなく,僕にその違いが分かるか?さあ?(笑) 札幌の某すし屋の親父さんは,「出したものを高いと思えば二度とこないし安いと思えばまた来てくれるんだよね.お金を払ってくれる客がたくさん来てくれたら良いねたも使えるようになるんだ.」と仰っておりました.これで良いんでしょうか?
・素直な感想は喜ばれるかも?うまければなぜうまいと思うのか,おかしいと思えばなぜなのか,たまに質問して勉強してます.作っているほうも気になるもの,のようです.「これどう思う?」と聞かれてしばしば緊張します.煮きり醤油に漬けたモッツァレラチーズなんて分かりません.素直なのが一番.通ぶると失敗します(笑).
僕は食に関しては浮気性でないので,他の博多のすし屋さんはほとんど知りませんが,ここは実に居心地が良い場所です.また大将に会いにいきたいなぁ.寿司というより寿司を含めた吉富ワールドが好きなのでしょう.
2010/05/07 更新
前回投稿したのが15年前!
それから何度も楽しませてもらいました。最後の記憶では、なぜか怒らせちゃったみたいですが・・・
懐かしさを感じつつ、若返った吉富寿司の感想を再投稿します。かつての吉富さんをご存じの方向けです。
15年たてば、値段も上がりますよねぇ・・・定年再雇用後もまだ大丈夫ですが。
と言いつつ一人で飲み食いして4万円近いことをやっているのですから、まだ気楽な人生。
40周年パーティもあり、コロナ期を挟み、代替わりした話は聞いていましたが、ようやく足を運ぶ気になりました。
メンバー3人(女性板前、サービスのソムリエール、経営者兼サービスの若者男性)、経緯はあれこれ伺いましたが、ここで書くようなことでもないかと。
今更ですが、若返った吉富寿司は2回転制ではなくなっていました。なのでゆっくり楽しめます。一斉スタートの全員同じ中身のコースですが、一通り終わった後にもう1本ワインを開けて追加で楽しんだってかまわないかも?迷惑??
小柄の感じよい女性の板前(何と呼べばよいのかよく分からない、と皆さんに言われるとか。僕はお名前を伺ったので次回からは楽)が一つ一つ丁寧に作っていきます。
豪快にガンガンやるおじいちゃんとは代替わり。ご飯粒がこぼれたりしない、です。
懐かしいです。9個並べてさっさと作り、バババッと並べて行っていたものですが(記憶によればです)、今は最適化すべく2,3個ずつ提供されます。ゆえにスマホとかでよそ見してちゃいけません。
かつて、おじいちゃんもかわいらしく愛嬌があってよかったのですが、今は何しろお美しい方なので、ゆっくり見ていれば飽きません。美女は徳?です。
何しろ手が小さいですので、握りも小さめになるのは当然かと。
基本レシピは同じだそうです。
が、多くの方が感じておられると同じことを僕も感じたようです。酢飯のトーンが少し甘く優しくいくらかグッと握っている感じがします。男性によると大体同じ意見の人が多いとか。
お料理の過剰な説明はありません。が、まあ、どこでも同じですが、このフグの感触、5日目?とか聞けば教えてくれます。
モズクにホタルイカを載せ、千切りショウガをあしらった一品。少しばかりの酢が入っただしのバランスが魅力的でした。少し甘さを感じるので聞いたらみりんだそうです。
そんな感じで、あれこれ工夫のてんこ盛り。
まだ違和感もあるお料理もありましたが、だんだんと自分のお料理の世界となっていくことでしょう。
特に印象深かったのは、こはだとよこわでした。まあ、好みですが、イワシは酢が入りすぎでしたが、こはだは脂のうまみがきちんと出ていて楽しかった。もう少し寝かすとまた違ううまさになるでしょう。あ、頼んだらあったかもしれません。翌日、柳橋市場のなじみの魚屋でこはだを5匹仕入れてしまいました。うまくできるでしょうか?
男性、経歴もあってかワインのことも詳しいです。
が、吉富流でお高くはしない方針で、ワインセラーも無茶なものはないようです。ほとんどは若いヴィンテージばかり。吉富さんの好みで自然派のみだそうです。自然派ワインというジャンルがどういうものかは、いくらか体験されれるしかないですが、今回開けた2017のアルザスはちょうど飲み頃で上から下まで楽しめました。要するに最後はへたって来てたということです。僕は自然派と言われるとげんなりしますが、今回は大丈夫な範囲でした。ビオという宗教にとらわれし者たち、宗派の中では楽しいのでしょうが、異教徒には優しくないです。
お酒もこの男性が気に入ったものを何種類かそろえておられます。吉富ブランドは、酸も優しく全体的に丸い感じです。かつてはこれしかなかったんでしょう。確か、冷燗、以上でした。その後、僕にもお酒をガイドしてくれる酒屋の支援もあり、自分の好みが明確化されたがゆえに、その軸をもってそこからの偏差をあれこれと感じることができるようになりました。吉富さんや和食のご主人たちには、「ワインや酒がうますぎると料理が分からなくなるので、そういうことを理解したうえで合わせてくれる人はほぼいないので、あれこれ出したくない」、という方もおいででです。吉富ブランドの酒はそういうものです。
でもまあ、おいしいお料理をいただいていると、あれこれワインやお酒を合わせたくなりますよね。なじみの寿司屋には一人なのに何本も持って行ってやっちゃってますが、普通は顰蹙でしょう。何軒かは貸し切りなら良いよ、ということもありました。当然、分かったうえで、なかなかすごいものたちをそろえるわけですが。ここでも知り合いを呼んで、貸し切りをやってみたいものです。
かつての吉富寿司、5.0を付けましたが、若返った吉富寿司はさすがにまだ落ち着いてない感じがして、4.4(かなり甘いかなぁ)です。この先、伸びしろがあると思います。
博多に旅する楽しみがまたできました。