わたしは「チキンライス」が好きだ。
しかも、昔から「オムライス」よりも「チキンライス」が好きだった。
とはいえ、オムライスの玉子の中はチキンライスなのだが、私にとっては、あくまでチキンライスが主役であり、玉子やケチャップは必要のない存在なのだ。
だから、チキンライスの部分にケチャップが掛かるなどありえないのである。
まあそれでも、
デミグラスソースの「オムライス」はそれなりに好きなのだが、やはりどちらが好きかと聞かれると、断然「チキンライス」と答えるだろう。
大人になったある日、ふと美味しい「チキンライス」が食べたくなった。
それからしばらくの間、食堂や喫茶店で食べまわってみるようになったが、なんかしっくりこない。
しかし、なんでだろう?チキンライスって「ご飯」「玉ねぎ」「鶏肉」をケチャップで炒めるくらい簡単な料理だろう。なんでうまくできないの?と不思議に思った。
そんなある時、近所の食堂「
三潴屋」で、私の理想のチキンライスを見つけたのだった。
しかし、そのチキンライスは私が知っている家庭のチキンライスとは、なんとなくどこかが少し違っていた。
ただ、その時はどこがどう違うのかまでわからなかった。(つづく)