2回
2015/10 訪問
メニューに特化した強さ
ここにラーメン屋さんらしきお店があることは気づいていたものの、ラーメン屋特区ともいうべきエリアにあって、近所の「一撃」とパッと見似ている、かつもっと地味な(失礼!)外観で、すっかり見落としていました。日付が変わりそうな時間、かろうじて営業中の札が出ていたのを見つけて入りました。
券売機でゴマだれ鶏つけ蕎麦並を選択。実は夕食を食べていなかったのですが、さすがに満腹を目指すのは健康上の懸念があるため、大盛はパスしました。
やってきた麺は、コシのあるいわゆる蕎麦でした。粒は目立たないですが、田舎蕎麦風の黒味がかった麺、ただし麺だけで口に含むと、さほど蕎麦味はありません。正直な所、ここまでは凡庸な印象。
一方のつけ汁は見るからに濃厚なクリームスープっぽい黄白色に、鶏肉・ネギなどの具がぎっしり入って見るからに食欲をそそります。味わってみると、胡桃が香ばしいものの、かなりのピリピリが。やや黒胡椒がキツすぎるかな、という感じ。
麺をつけるとやはり蕎麦味は消えていました。
もっともノーマルの醤油だしの方ならばともかく、見た目も濃厚さもカルボナーラに近いこちらのつけ汁では、下手に蕎麦の食味が残ると味がぶつかってしまうかもと思っていましたので、それは杞憂だったようです。
考えようによっては、はっきりした蕎麦味が消えることは計算の上で、中華麺にはないざらっとした食感を狙っているのかもしれません。
この濃厚つけ汁には、普通に考えれば中華そば、中太麺ストレートとくるはずです。しかしゴマだれそのものは和食のつけダレとしてはごく一般的であり、そもそも蕎麦と合わないものでもなかったな、と思い直しました。
そんなことを考えながら、無事に蕎麦を食べ終え「でも飲み干すのは辛いなあ」とスープを平らげてから、カウンターの上にスープの入ったポットがあることに気づきました。そこはつけ麺と同じなんだなあ、などと感心しつつ、今日食べなかったゴマだれではない方は、果たしてただの盛り蕎麦とどのような差別化がなされているのか、気になりながら「営業中」看板の裏返されたお店を後にしました。
----
2015/11再訪。鶏つけ蕎麦、野菜、味玉をオーダー。
こちらは出汁の味も強く、ぐっと蕎麦っぽくなりますが、鶏(の脂)のよい香りとピリ辛感は、ゴマだれと同じ。鶏とくると鴨南蛮を思い出してしまいますが、それともまた違った食欲をそそる香りです。
野菜追加は茹でたものが来ましたが、ゆっくり入れれば冷たい麺汁でも問題ありません。
味玉はごく普通の印象でした。
前のゴマだれに較べると、つけ麺よりも蕎麦寄りになりますが、その分、バランスが面白く蕎麦の味も強く感じられます。
もともとかなりコシの強い黒目の蕎麦ですが、もっと殻を取った白目かつ細めの蕎麦を合わせてみると、夏には冷涼感が増して面白いかもしれないと思いました。
2015/12/25 更新
が、メニューは大きく変わらず、ただBONSAI特選御膳なる豪華なセットができてました(もしかしたら、昔からあったんでしょうか?)
いつも通り、温かい鶏ごまつけ蕎麦を頼み、懐かしい胡麻と香辛料の香りに昔を思い出していたのですが、今回は今までそのままのスープで満足していて、ほとんど使ったことのなかった揚げネギ、果実酢、特製スパイスを残り3分の2の味変タイミングで投入してみました。
特に意外だったのは果物酢でした。以前は酢の作用であっさりしてしまい、濃厚さが消えてしまうのでは?と思っていたのですが、今や一本調子の味付けでずっと食べ続けられる気力もなくなり、むしろあっさりして酸味が加わり、格段に食べやすくなりました。
いろいろ変わってはいますが、トッピングといい、鶏ごまつけ蕎麦といい、安定した人気のあるキラーメニューは強いなと実感しました。
ご馳走さまでした。