2回
2012/08 訪問
季節を越えて安定感のある蕎麦を頂けます
ほぼ1年振りの再訪。今回は遠方からの御客様に福島の蕎麦屋の実力を
知って頂くためにご案内しました。
時刻は11:30。駐車場は満車。とりあえず御客様に席取りを依頼し(笑)
暫し車で待機していれば5分程で1台出て行ったので車を停めてお店に入ります。
蕎麦屋は回転が命。少し待てば駐車場も空くものです。
お店に入って行けば、たった今出て行かれた御客様の席が空いたので
そちらに座らせて頂きます。
オーダーは当然「牡丹」を人数分と天ぷら1皿。厨房では御主人が孤軍奮闘中。
ホールでは奥さまが無駄な動き一つない見事な対応。
さて10分程で先ず1皿目が到着。気を使って我々の分が揃うまで待とうと
している御客様に「伸びるから即食べて!、蕎麦は配膳されたら速攻で食べるもの」
と、教えてあげます。
3分後位に我々の分もやってきました。こちら、どれ程忙しくても1度に釜に
入れる蕎麦の数を変えないらしいので、大人数で伺えばこういう事も起きますが、
逆にどれ程忙しくても蕎麦の茹で上がりは安定しているという事にもなります。
さて、頂きましょう???、気のせいか蕎麦が細くなったような・・・じゃ
なくって正確にはきしめん状気味に感じられます。
どうしたことでしょうか。忙し過ぎて打つ手に気合が入り過ぎ、思わず伸し
過ぎちゃったんでしょうか?、作風が変わったのでしょうか?。
味は変わりないのですが、以前の蕎麦を知っている私には、押し返してくる
食感が少々弱いような気もします。
今回は少々厳しいコメントをさせて頂きましたが、市内では依然こちらを超える
蕎麦屋に出会っていませんので☆はそのままにしておきます。
ちなみに同行者には大ウケだったようで、連れて来て正解だったと思いました。
また来ますね。
ごちそうさまでした。
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牡丹蕎麦の出荷は例年9月中旬頃から始まります。
ということは、この時期・・・、
昨年の蕎麦がかなりくたびれてきていることに加え、打ち場の温度は
最高温に達するという、手打ち蕎麦屋にとって最悪の時期となりますが
敢えてこの時期を狙っての訪問です。
しかし、期待(???)は見事に裏切られ、箸を持つ手を空中高く持ち
上げないと手繰りきれない程の長い蕎麦が提供されました。
こちらは、御主人自ら製粉されているそうですので、この辺りが季節を
越えた安定感をもたらす秘密の一つでしょうか。
さすがですねぇ・・・ プロはこうじゃないと。
こちらのお店は市内に7店舗を数える「そば どう楽の会」の中で師匠
の店を除けばトップの開店。やはり長男は実力が違いますね。
個人的にはこの会の中で一押しのお店です。というか、私にとって現
時点の福島市内では、自信を持ってご紹介できる№1の憧れのお店。
私も蕎麦は打つんですが、実は勝手にこちらの蕎麦をお手本にさせて
頂いており、時々訪問しては自分の蕎麦を矯正しています。
でも、現実はキビシイ・・・(涙)
前置きはこの位にして、さっそく頂きます。
牡丹蕎麦 ⇒ 細切りの部類ですが細すぎず、蕎麦の角がちょうど舌の
舌乳頭をくすぐりながら通過する事を計算されたような絶妙な細さです。
これは、もはやアート。恐らく、この食感、喉越しはここの蕎麦独特だと
思います。
断面が正方形なので舌の上で蕎麦が転がり、更に食感を高めます。
そして当然ながら、「噛めばふんわり押し返してくる」荒引き10割の特徴
もしっかり持ち合わせています。
こちらの粉は歩留まり50%程度と伺ったことが有ります。つまり1Kgの
玄蕎麦から500gの蕎麦粉しか採用していない、牡丹の良いとこ取りを
極めた粉いうことになります。
汁もこちらのこだわりが凝縮されています。牡丹蕎麦のほなかな甘み
を邪魔しないばかりか、蕎麦湯との相性もバッチリです。
天ぷら盛り合わせ ⇒ 価格の割に種類は多い方だと思います。揚げ方
は特に特徴は無いんですが衣の綻びは無く、素材の味が引き出される
揚げ方だと思います。
価格ですが、牡丹蕎麦の¥850は、「たかがザル蕎麦にしちゃ高すぎ
る」とおっしゃる御仁もいらっしゃるとは思いますが、その人が「蕎麦」に
何を期待するかでお店を選べばよい話だと思います。
私はこの素材、この仕事に喜んで¥850出しますよ。
ごちそうさまでした。これからも素晴らしい蕎麦を楽しませて下さいね。
2021/03/07 更新
残念なお知らせをしなければなりません。
偶然前を通りかかったので、何気なくお店の方へ目を遣れば、いつもと雰囲気が違う!。
近づいて行けばその違和感の正体が!。
看板が無い!。
そして店頭には一枚の<お知らせ>が貼られていました。
「当店、2月末日で業務を終了しました。
長い間、ご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。」
と。
即ち、暫くお休みするという訳ではなく、営業自体を終了されたと理解してよいと思いますので、特に遠方から食ベログを頼りに訪問予定されている方にお知らせするものです。
想えばオープンは震災の数年前だったかと。
開店当初味わった衝撃の食感が昨日のことのように思い出されます。
月日が経つのは早いものですね。
こちらこそ、目の覚めるような素晴らしい蕎麦に巡り合えて感謝しております。
ありがとうございました。