東京駅の八重洲北口のメトロポリタンホテル丸の内の27階。
抜群の展望を誇るレストランTENQOO(テンクウ)の一角に
バーコーナーがある。
ここのバーテンダー杉本氏は、現在改装中の東京ステーションホテル内の
小さなバー「カメリア」で四十年以上のキャリアを重ねてきた。
カメリアは、本物のレトロな内装と大人の時間が流れる隠れ家バーだった。
すっきりしたマティーニや特選スコッチのダブルグラス(本当に大盛り)を、
まだ陽が高い4時ごろにたしなむ。
嬉しいような、申し訳ないような時間を何度過ごしたことか。
新しい職場は、レストラン&バーとして、100席以上のキャパがあり、ここの
飲み物系を一人でしきっているのだから、ひっきりなしにオーダーが入る。
スタッフからは、尊敬の気持ちをこめて{キャプテン」と呼ばれている。
比較的早い時間帯だと、ビールやワインのオーダーが中心で、杉本氏のカクテル
の腕前が発揮される機会はほとんどない。
このクラスのシティホテルのバーでありながら、テーブルチャージはなし。
先日、久しぶりの訪問で、マティーニをオーダー(写真)。
成田一徹という切り絵作家による「東京シルエット」という本を見せてもらった。
懐かしい東京の人物風景を、切り絵と文章でつづったなかなか味わい深い本だ。
その冒頭のページに カクテル「東京駅」人生の味 というタイトルで、杉本氏の
シルエット(切り絵)が出てくる。(写真)
2年後にオープンする新生・東京ステーションホテルで、杉本氏の雄姿を再び見られる
ことを期待しているのは私だけではないだろう。