雪の花巻から、釜石経由で大船渡に入る。
港湾地区一帯は、ほとんど手つかず状態。
ところどころに廃墟と化したビルが残る。
その荒涼とした一角に大船渡復興屋台村がある。
軒数にして20軒、結構しゃれたデザインの店もある。
「えんがわ」という店で、昼食。
店には、86歳のおばあちゃんと娘さん、手伝いのおばさんの3名。
「ひっつみ」という郷土料理をいただく。いわゆる、すいとんです。
薄味で、かやくご飯によくあう。
食後、おばあちゃんの話をうかがう。
これまで3度の津波を経験したが、海水が逆流してきたのは今回が初めてで
、いそいで裏の高台に避難した。
その地区では200世帯で23人が亡くなったという。
3日ほどは避難場所にいたが、やがて娘さんと再会。
東京の息子さんも迎えにきてくれて、東京で団地暮らし。
近所の奥さんに野菜作りをおしえてあげていたが、ふるさとの仮設住宅に
もどる。
そのうち、復興屋台村の話があり、商売経験はないが、昼はお茶だすたまり場、
夜は居酒屋として昨年12月にオープン。
津波の時のことを思い出すと、いまでも動悸が高まるという。
「だけど、私は津波がきてよかったと思うよ。こんなお店もやれるし、顔を見せなかった
東京の息子とも会えるし」
普通はそんなこと言えません。
柔和な表情と86歳とは思えぬ目力、すごい前向きパワーをこちらがいただいた。