父の小さな畑。
野菜、果物。。。
畑仕事が好きで、子供である私と妹に「完成品」を送ってくるのが
生きがいだった。。
じっとしているのが大嫌いな性分。
アグレッシブで外交的な人。
鼻からチューブを入れられ、胃に直接栄養剤を送り生きながらえている父。
看護士さんは、栄養剤補給時、「ご飯の時間ですよ」
と言う。
(ごはんって・・・・・)
寝たきりとなって一か月。
食べることもできず、
歩くこともできず。
おむつを履かされ、排せつも自力でできない。
ただ生きているだけ。。。
呼吸するのもしんどそう。。
1時間ごとに痰を吸引しないと死んでしまう。
ただ、意識ははっきりしている。
私のことが大好きでたまらない父。
私を認識すると破顔一笑する。
手を握り、話しかけても耳が遠くなった父は
何度も聞き返す。
彼が言ってることは、ろれつが回らず意味不明。
かろうじで母が通訳となり、半分ほど理解できる。
体温は微熱のせいか、やたらと温かいのが悲しい。
9月1日で80歳となる。
もうすぐだ。
ピオーネが最後の彼の作品となるのは間違いないだろう。
完熟し、食べられるようになるのは恐らく盆明け。
それまで命の火は灯っているのだろうか。。。
5月の連休、
一緒にうどん屋へ行ったのが一緒に摂った最後の食事となってしまった。
父よ、
母よ。
見事なまでの老々介護。
ごめんね~~。。。。
なんにもできなくて。。
そばにいられなくて。。。
妹よ、
頼りにならない兄ですまぬ。。
ピオーネは、きっと美味しい実を結ぶはず。。
甘い実を結ぶよ。
一粒の、
一滴でも、乾いた口の中へ届けてあげたい。。
あと一か月。
また手を握るために帰るよ。