3回
2016/05 訪問
職人さんとの会話が楽めるお店
【2016.6.1記】職人さんとの会話が楽めるお店(2回目)
ぜひ、もう一度、来訪したいと思っていたお店です。
初めての時はランチ利用だったので、2度目は夕食で利用しました。
■予約のタイミング
予約を2日前に入れるつもりだったのですがすっかり忘れて夜の10時すぎになってしまいました。
お店の閉店が22:30です。閉店間際のこの時間に予約の電話を入れることは、
はたしてよいものやら・・・・
京都、祇園のお店ということもあり、しばし考えてしまったのですが、
予約専用回線があったこと。
そしてもし、ここで、予約を入れなかったために、予約ができなくなってしまったら・・・
来訪するのが日曜日。予約でいっぱいになる可能性が高い日です。
翌日、忙しいお昼の時間を避けて連絡をした場合。
万が一、予約がいっぱいということも考えられます。
今を逃してはいけない・・・・とお電話をすることにしました。
「ちょっとお待ち下さい」と、しばし待ちます。
こんな時間に電話してくるなんて・・・・と思われてしまったのでしょうか。
夜の1人予約は、やはり好ましくなかったのかしら・・・・
と思っていたのですが、大丈夫のようでした。
「初めてですか?」と聞かれたので、2度目であることと、
利用したあと、ご丁寧なお葉書をいただいたことをちょっと、アピール(笑)
■メニュー選び
10000円と、13000円のコースがあるとのこと。
内容を伺うと、使う材料が違うそう。品数は同じ。
品数が増えるなら、10000円でいいと思ったのですが、
材料が違うと言われると、材料のいい方がいいかなと思ってしまったのと、
ちょっと見栄もあって、13000円のコースをお願いしました。
時間は、18:00からのつもりだったのですが、その前の京博が17:00に閉館して移動して、
夕暮れの祇園の町並みをちょっと散策したり、建仁寺一周したりもできることを考えたら
余裕を持って18:30に。これが大正解でした。
京都国立博物館の閉館が17:00だと思っていたら、18:00。
閉館まではいませんでしたが、17:30頃に引き上げて移動して
ちょうどよい感じでした。
■帰ってきた気分
季節もよくなったせいか、入り口はオープンで、入りやすい状態です。
勝手知りたるで、時間調整をしてから入店。
座席は、前と同じ場所でした。
見おぼえのある顔ぶれがそろっています。
なんだか帰ってきた気分・・・・
おしぼりタオルの置き場が石のプレートで、回りとは違っていました。
13000円のコースだから?(笑)
■コースの始まり
○先付から・・・・
茄子の素麺 蒸し鮑 鱚風干し
梅肉 浅月 針茗荷 穂紫蘇
茄子のそうめんというのは始めて。
細くそうめんのようにカットをしたら、ぐにゃぐにゃになってしまいそうなのですが、
しっかり歯ごたえが残っています。
丸茄子に片栗粉をまぶしているからみたいです。
鱚風干し・・・・鱚風に干すってどうやって干すんだろう
鱚を使ったわけではなく、鱚に似た味になるように干すってどういうこと?
と考えていて、「鱚風に干した」ではなく「鱚の風干し」だと気づいて、
吹きそうになりました。
○椀物・・・伊勢海老このわた黄身焼き 玉子豆腐
海ぶどう 蔓菜 蓮芋 柚子
すましですが、このわたの油分のせいか、洋風なイメージ
椀物蓋には、茶筅水・・・・
丁度、暑くなりだした日でした。
涼を感じさせる演出です。
ところが、夏でもないのに、水滴が振られていたことがありました。
どういうことなんだろうとずっと疑問だったのですが、
聞くことができませんでした。
新たに調べてみると、
「戦国時代、忍者が活躍しだした頃、椀物には毒が盛りやすく、それを防ぐために水滴を付け、
だれも触ってない証を付けるため。そこから、お客様に、作り手から、
あなたに作った料理は誰も触ってないですよ」
というメッセージを伝えるためという説があるようです。
6年前に調べた時には、上記の理由は、みかけませんでした。
誰もさわっていない・・・・ことを意味する。ということだと
季節問わず、茶筅水を打つ理由がわかるのですが・・・・
未だ、謎のまま・・・
⇒【参考】
○赤沢迎賓館で懐石料理の奥深さを知る
○向付・・・初鰹たたき(串本) 甘鯛(長崎) 雲丹(北海道)
◆煎り酒ジュレ・・・酸味を感じたので何かと思ったら梅干しの酸味(お米)
煎り酒って最近のトレンドなのでしょうか? 茅乃舎だしで調味料として出し始めたら
いろいろなところで、扱い始めた感じがします・・・
でも、かなり昔からある調味料だそう。
何で、急に注目されるようになるのかが謎。
茅乃舎だしで聞いてみたら、醤油が浸透し、
次なる調味料として探していてみつけたとのこと。
◆煎り酒(wiki pedhiaより)
室町時代末期に考案されたといわれており、
江戸時代中期までは垂味噌と伴に広く用いられた液体調味料である。
江戸時代中期から醤油が普及するにしたがい利用が減った。
醤油のような強い個性を持たず素材の風味を生かすので、白身魚や貝類の刺身に相性がよい。
◆ゴマポン酢・・・・とっても風味のよいゴマです
どこのゴマか伺ったら、特にこだわりがない・・・とのこと。
聞けば、20分、ゆっくり時間をかけて煎っているのだそう。
やはりそのひと手間が、味を大きく変えるわけですね。
ほうろくのゴマ煎り、持ってるんだけどなぁ・・・
引っ張りだそうかな・・・と一瞬だけ思いました。
○凌ぎ・・・煮穴子蓮蒸し 新海苔餡
席に着いたときから、なにやらずっと、目の前で、白いものを
むきながら花びらのような飾り切りをされていました。
なにを剥いているんだろう。ゆで卵の白身? 何に使うんだろう・・・・
と思いながら見ていたのですが、この一品を食べて判明。
ゆで卵の白身かと思ったものは、ユリの根でした。
目の前で剥いていた、薄い花びらのようなものが器から出てきて、
食べてみるとほっこりとした百合の根でした。
ここのカウンターでは、こうして目の前で調理されているものが、
なんだろう・・・・と思っていると、あとになって登場する楽しみがあります。
この海苔餡の中に「ばくだいかい」が入っていると教えていただきました。
「ばくだいかい」・・・・ いったい何でしょう。聞いたことがありません。
すると、その実を持ってきていただき
水につけると非常に大きくなると伺いました。「漠大海」と書きます。
どんなものか調べてみると・・・・
◆漠大海(ばくだいかい)
中国四川省産アオギリ科の植物の果実。
乾燥している実の状態では表面は焦茶色の薄い膜に包まれている
水に1時間程浸けると水分を含むにつれ外皮が壊れ薄い赤茶色の細長い半透明のゼリー状の果肉が現れ
其の大きさは数倍のに膨らみ「莫大の海の大きさになることから由来する」。
料理に利用するゼリー状の部分を水気を取りそのまま使う無味無香で食感と珍味として
刺身のつま、酢の物、寒天寄せ等、夏の食材。
前回は季節先取りの時期的にめずらしい「うるい」
今回はめずらしい珍味の「漠大海」
この実をラップに包んだものをいただいてきたので、⇒○木の実
試しに水につけみたら、こんな感じになりました・・・⇒○漠大状態の実
とても稀少なものらしいです。
築地で偶然みつけたと書かれています。 ⇒ 漠大海??
○焼物・・・奉書焼き 伊佐木 本占地 柚子
鱒粽(ちまき)寿司
奉書の水引、これをほどくの大変そう・・・・と思ったところで、
はたと、輪からはずせばよいことに気づきました。(汗)
水引ほどくのに格闘せずにすみました(笑)
伊佐木が杉の板にのっていて、良い香りがうつっていました。
乗せて焼くだけでこんなにも香りがうつるものなのですね。
○八寸・・・
・丸十レモン煮・・・酸味がありますがほどよい酸味
・南瓜すり流し・・・
前回に引き続き、おいしい
白ネギをバターで炒めて鰹出汁、生クリーム、牛乳で
前回、なんだったかな・・・と思い出せないでいたら、
ジャガイモでした。
・新じゅん菜・・・水トマト トマトの味がする透明な水
裏ごし(?)したトマトを、ろ過(?)して水分だけに
トマト嫌いの人でも、食べることができそうな、すっきりした味
・白ダツ毛蟹梅肉餡かけ
白ダツはズイキのこと
かつらむきにして立てたのかと思ったのですが、スカスカのズイキをかつらむきにできるのでしょうか?
と思っていたら、立てかけてあったとのこと。
・桜海老真丈フライ
・ホワイトアスパラ豆腐
・山蕗伽羅煮
・白海老 紋甲烏賊酒盗和え
◆ズイキ
名古屋の和久傳の料理人さんが、この世界に入るまで
ズイキというものを知らなかったと言っていたので、
こちらの料理人さんにも、伺ってみたら、やはりご存じなかったそう。
そういうものなんですね。
私が子供の頃、田舎から送られてきたものを両親が料理していたので、
なじみのある食材でしたが、たしかに市販されているのを
見たことがないので、知らないかもしれないですね。
私が見ていたのは、黒っぽかったので、白いズイキとの違いをうかったら、
すぐに調べていただいて、品種が違うことが判明。
コショウのように、熟成が違うとかそういうことではないもよう。
○油物・・・・油目(アイナメ)揚げ出し 飛龍頭
浅月 大根おろし 露生姜 黒七味
油目が油揚げのことだと思って、こんな油揚げがあるのか・・・
京都の油揚げは違うのかなと思っていたら、アイナメ、魚でした。
京都の黒七味 どんなものなのかな・・・と思っていたのですが、
比較的マイルド もっとスパイシーかと思っていました。
○強肴 ローストビーフ (牛イチボ) 一寸豆 アメーラトマト
スナップエンドウ 新玉ねぎソース
新玉ねぎのドレッシングが美味
白太ごま 塩 こぶだし 砂糖
玉ねぎのドレッシングもいろいろありますが、
乳化した状態の白いソース状
○おくどさん うすい豆 桜海老
最近、桜海老がブームらしく、いろいろな情報番組で取り上げられています。
エビといっても小ぶりだし食べた気がしなさそうで、どうなんだろうと
思っていましたが、ブームで騒がれるわけが分かった気が・・・
小粒だけど、ぴりりとはしませんが、しっかり主張しています。
前回、おいしいと思ったお新香。今回はその感動がなく
あれれ・・・・ 味に慣れてしまったのか。
○デザート・・・抹茶ぜんざい
ういろう
メニューをいただき、いろいろお聞きしたことをメモしていました。
でも時間がたつと、うろ覚え状態です・・・・
■かつおが強いという意味は?
前回、伺いそびれていたこと。
京都の方、関西の方の、出汁の味の感じ方。
関東の出汁を、カツオが強いという表現をされるというのを聞いています。
それはどういうことなのでしょうか・・・・・
大阪で創業したなだ万は、本社を東京に移したのですが、
それに伴い味も関東よりに変化しているのでしょうか・・・・
なだ万の出汁は、京都の方などには不評で、カツオが強いという表現をされているようです。
鰹の香りが香るとおいしい。と感じていたのですが、
京都でお料理を何度か食べ、さらに先日、こちらでいただいて、
その感覚がわかるような気がしました。
強い鰹節の香りがあるわけではないけども、おいしい・・・・
■好みに違うお客さんにどう対応するのか
人の好みは、本当に千差万別・・・・
以前、全国から出張で集まってくるターミナル駅にあるホテルの料理人さんに聞いてみた話をしたら、
担当された方も、以前はホテルにいらしたそう。
やはり、その地元の味を守ると言われていました。
「若い時は、すべての人がおいしいと思う料理を作りたい」
なんてことを先輩に話したことがあって、
「そんなことは、無理だ・・・」と言われたという若き日のお話しをされていました。
(今も若そうですが・・・・)
今度、機会があったら伺ってみたいこと。
茅乃舎だしの秘密・・・・・
料理人さんが、若い頃に目指したという、「誰もがおいしいと感じる出汁」
今ブームの「茅乃舎だし」は、ほとんどの人が、おいしいという不思議・・・
自分なりに解明したことが、下記のコメント内にあるのですが・・・
⇒○茅乃舎:横浜高島屋 → 手軽においしい出汁は、どこまで手軽になるのか?
だれもがおいしく感じる秘密・・・・
この出汁の中に隠れている気がするのです。
京都界隈の若い人たちがやる気があって、集まっていろいろ情報交換をされたり、
関東の味を食べたりされているそうです。
いづうの若旦那が、テレビに出てきてびっくりした話などしていたら、
集まりでお目にかかっていらっしゃるようでした。
■「だし場」で聞いた話
東京のにんべんが提供している出汁のテイスティングができる
「だし場」で伺ったお話し。
京都の方は、関東の出汁に対して「かつおが強い」と感じているらしいのです。
だし場を利用する関西弁で話している方は、
確かにここで、出汁を飲んでいる方の反応を見ていると、
首をかしげていたり、どうも納得できないという表情をしている ことが多い気がする
と言われていました。
決して、まずいと言われたりするわけではなく、
何かが違うといった印象を受ける…と。
⇒○「うまみ」を呼び覚ます より
実際に、調理をしていてそんなことを感じたことがあるか。
関東の出汁を飲むと、かつおが強いと感じるか・・・伺ってみました。
出汁の取り方も、本当に様々で、素材を入れて沸騰してからも
火をかけたりするところもあり、いろいろ。
元が関西でも、関東に本店を置いたら、そちらに合わせている可能性もあるかも・・・
「実際に、こちらで食べてみて、いかがでしたか?
最初に食べた時と、今日、食べてみた印象は?・・・・」
と聞かれて、ずっとひっかかっていたことが、
やっとはっきりわかった気がしました。
■1回目と2回目
実を言うと、最初に食べた時の感動が、なくなっていて、あれ? どうしたんだろう・・・
と思っていたのでした。
お料理のランクも、素材のいいものを選ばれている上のランクにしているのに・・・
その意味があったかな・・・と、ちょっと消化不良ぎみだったのです。
多分、10000円のお料理でも、変わらなかったのでは・・・・と思っていたのでした。
それは、素材の違いがわかるに至っていないから・・・・・
というより、素材が違うと言われても、どの素材が、どのように違うのか、
そこが明確でなかったので、よくわからなかったというのがあります。
それを認識するには、2人できて、10000円と、13000円の両方を頼んで、
比べてみないと・・・・と心の中で思っていたのでした。
「初めて食べた時は、確かに鰹の風味を強くは感じませんでしたが、
でも、これが京都の味つけなんだと思っておいしくいただいていました」
と話した時に、心の中に浮かんでいたことがわかったのか
「たぶん、初めて祇園と言う場所で食べる感覚と、
2度目の今日食べた感覚は、違ったと思うんです。」
と言われて、見えた気がしました。
■味は慣れるもの?
確かに、一見さんお断りの町と思っていた、祇園という場所で
お食事をするということは考えられないと思っていました。
そんな場所に初めて訪れ、ある意味、緊張感も伴うお食事でした。
観るもの聞くものが初めてで、印象は、数倍増しになっていたかもしれません。
そして2回目は、勝手知りたる・・・・です。
となると、味覚の感じ方も変わるのかもしれません。
というより、これまでどんなにおいしいと思ったものでも、
2回目、3回目になると、最初と同じ感動はなくなる。
ということは何度となく経験していて、
これは人の味覚の特質なのかなと思うようになっていました。
ところが、迦陵は、それを超えられる場所・・・
2度目だろうが、3度目だろうが、いつも「おいしい」が待っている場所と
なにか別格扱いの位置づけになっていたかもしれません(笑)
■なぜ、2度目は最初の感動がなくなるのか・・・・
それは、見知らぬ場所に行く時、行きは遠く感じるのに、
帰りはとても近く感じるのと同じ原理なのでは?
というのが私の推察です。
始めての体験というのは、さまざまな情報が飛び込み、
それを一つ一つ処理しているので、時間がかかるため遠く感じる。
一方、帰りは、一度、処理済みとなって認知された情報が多くなり、
新しい情報が少なくなる。そのため早く感じる。
それと同様で、初めて食べる時というのは、さまざまな情報を一度に取り込み、
それを一つ一つ判断しているのですが、好印象な部分がクローズアップされる。
よい印象は強くインプットされる。
2度目は、最初、未知だったものは既知となり、新たな情報が少なくなる。
最初に見えていないものが見えたりする・・・・
と思っていたのですが、
「最初と、今日とは、印象が変わると思う」と言われたことが、
それを裏付ける言葉に思えました。
最初の感動を、エンドレスに提供するということは、難しいことなのだと思います。
人は、慣れというものが生じますし、同じではサプライズもなくなります。
でも、心地よい空間は変わらずでした・・・・
そして、調理中でも、質問したことで気になることは、すぐに調べる習慣のあるところです。
前回、伺った「うるい」のことも覚えていらして、
「わかりましたか?」と聞かれました。
調べたら、ハウス栽培だったこと。
近くのスーパーでも時期になったら売られていたことなどお伝えしました。
漠大海という木の実の話をしていたら、それを取り出して包んで持たせていただいたり。
ちょっとしたプラスアルファの情報をいただけて、
食べる楽しみを膨らませていただけました。
献立にちょこちょこメモをしていたのですが、
大したことを書いているわけではないのですが、
「もっと、ちゃんと勉強しなくちゃって思います」と言われていて、
こちらの方が恐縮してしまいます。
食べログのトップページのこだわりのところに、
「職人との会話なども楽しんで頂ければ幸いです」とあります。
そのこだわりが発揮されています。
■翌日また、目の前をバスで
翌日は、龍めぐりのバスツアーで、建仁寺におとずれました。
バスの駐車場は、迦陵の目の前「祇園歌舞練場」でした。
バスは、「迦陵」の真ん前で、方向転換をして駐車場に入ります。
思わす、「昨日、ここでお食事をしたんです」と言いたくなるのを抑えていました(笑)
、
「迦陵」の前に掲げられた看板を見たお隣の方が、
「あら、祇園なのに5000円ですって、随分、お安いのねぇ・・・」
とつぶやいたので、すかさず、
「昨日、ここでお食事したんです。2度目なんですけどおすすめですよ。
5000円というのはランチ価格なんですけど、とってもリーズナブルでおいしくて、
祇園ですけど、堅苦しくなくて、居心地がいいです。
夜は、10000円ですけど、祇園でこの価格は、お得ですよね・・・」
とお話ししたら、
「今度、利用してみようかしら・・・・
こういうのって、メモしておかないと忘れてしまうから・・・」
と言って、メモ帳を取り出し、控えていらっしゃいました。
袖すり合うも多生の縁・・・・
「ここいいですよ・・・」の一言が、本当に伝わったのを感じた瞬間でした。
食べログの口コミもいいですが、本来の口コミって、
こういうものだったんですよね(笑)
特別拝観、龍巡りのバスツアーでご一緒になった方とのご縁。
行程の途中で、言葉を交わし、一部、一緒に回ったりしました。
自信を持ってお勧めできるお店があったことをうれしく思いました。
自宅に戻ると、入れ違いに、お葉書が届いていました。
来店の際に、はがきを持参するとプレゼントが・・・・・
ああ、残念! 一足、訪れるのが早かったようです。
2016.3.15 投稿 日記に移動
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○祇園でこの価格でこのクォリティーに驚愕! 価値ある5000円の使い方
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先付
清涼感の演出
椀物
向付
凌ぎ 煮穴子蓮蒸し 新海苔餡(漠大海入り)
漠大海(ばくだいかい)木の実
水で浸すとこんなに膨張するから漠大海
蓋裏 フラットな蓋の裏に文字
焼物
奉書焼
伊佐木 本占地 杉板が良い香り
鱚粽寿司
鱚のちまき寿司
八寸 丸十レモン煮 ホワイトアスパラ豆腐 山蕗伽羅煮 海老真丈フライ
八寸 南瓜すり流し 白海老紋甲烏賊酒盗和え新じゅん菜
油物 油目揚げ出し 飛龍頭
強肴 ローストビーフ アメーラトマト スナップエンドウ 一寸豆 新玉ねぎソース
おくどさん 桜エビとうすい豆
味噌汁
香の物
抹茶ぜんざい
おにぎりのお土産
①八寸
②おくどさん
③一文字盛り
④一文字盛り 少量のごはんも美しく
⑤先付け
⑥桜のあしらい
⑦椀物
⑧蓋物
⓽デザート 桜餅
⑽デザートに使われているお皿
2017/06/08 更新
2016/03 訪問
祇園でこの価格でこのクォリティーに驚愕! 価値ある5000円の使い方
1回目の投稿(2016.3.15)を日記に移動していたので移動。
掲載日の指定はできないのでしょうか?
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祇園でこの価格でこのクォリティーに驚愕! 価値ある5000円の使い方
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建仁寺に訪れ、周辺でランチのできるところを探していてみつけたところ。
最近、お店探をしていなかったので、初めて訪れる場所でどうやってお店を探すか・・・・
食べログのランキングは、あてにならないから(失礼)別の方法でみつけました。
それについては、こちらの日記で・・・
⇒○京都:お店探し 大正解! 祇園「迦陵」いかにしてたどりついたか(2016/03/15)
⇒○京都:飲食店選び (2016/03/15)
■問い合わせ
ランチ利用をすることを考えていたのですが、予約をした方がいいのかどうか・・・・
お店を利用する時は、目の前にいても、電話を入れて予約をするべし。
という話を聞きますが、一人の場合は、ちょっと勝手が違います。
一人客のために席を確保というのは、お店にとってちょっと迷惑な部分もあると言います。
特のここは、京都、祇園。
一人で予約をするななんて・・・・ とお腹の中で思われてしまいそうということもあり、
当日に、営業の確認をしつつ、予約がなくても大丈夫かどうかを伺いました。
「予約された方が確実です」
とのことだったので、安心してお願いしました。
ランチの予約は14:00まで。営業は15:30まで。
「ゆっくりお召し上がりいただくには、余裕を持って来ていただいた方がよろしかと思います」
のお返事に、13:45に予約をお願いしました。
建仁寺が思いの他、見応えがあり、再入場も可能ということだったので、
その日は一日、建仁寺で過ごすことにしました。
中途半端できりあげず、見たいところはなるべく見てから、移動しようと
ぎりぎりの時間に設定しました。
そして、「苦手なものや、アレルギーなどは?」と確認が・・・・・
これを聞いて下さるところは、ほぼ間違いのないお店であるということが、これまでの経験から想像されました。
⇒○シェフのお料理をより引き立てるスタッフのサービス
それよりなにより、電話を受けられた対応で、ここのお店は、ピンポン! と確信していました。
■目の前なのに・・・・
携帯のナビでは、建仁寺から1分。目と鼻の先です。
時間調整をするため、建仁寺の入り口で上映されているビデオを見ていたのですが、
ビデオに見入ってしまい、数分すぎてしまいました。
慌てて入り口の警備員さんに、「迦陵」を確認したのですが、
「祇園もお店がいっぱいだから・・・・
古いお店もあるけども、新しいお店もどんどんできているからねぇ・・・」
と言われ、(あら、あまり認知されていないお店だったの?) と思いながら、
携帯の地図をお見せしました。
すると「ああ、豆寅さんのところね・・・ そこを行けばすぐだから」
と言われて、豆寅さんは、すぐに見つかりました。しかし「迦陵」はみつかりません。
お店探しの時に。ざっと見た口コミの中に、路地のようなことが書かれていた気がしたので、
どこの路地を入るのだろう・・・と探してみたのですが、やはりわかりません。
(時間も過ぎているし、まずいなぁ・・・・)と思いながら電話で確認します。
「そこから北に向かって・・・・」
と言われたのですが、どちらが北かわからないのです。
これ、道案内をする時の男女差なんですよね。
男性は、方角で説明するけども、女性は方角がわからない。
目印となる目標物で認識する。
そんなわけで、丁寧に、右手には何が見えるかを確認され、
そこから2件目ですとご案内いただきました。
灯台元暗しでした。
■お出迎え
町屋? お茶屋さん? 風の長いエントランスを通って奥へ・・・・
こういう誘導路(?)って期待感が増します。
なんだかいい雰囲気です。まだ、新しそう・・・
名前を告げると、「ご丁寧にご連絡いただきまして、ありがとうございました」とご挨拶。
そして、調理場が見え、そこをコの字型に囲むカウンターに案内されました。
全席、カウンターのようです。それほど多くない人数のお客さんを、
見える範囲の中でおもてなしをしようとされているのが、伝わってきます。
■メニューは一つ
こちらのランチは、5000円のみの一種類。
これ、とってもいいなと思いました。
メニューにいくつか種類があると、一番下はちょっと避けたいし、上は高い。
中間かな・・・と、妙な格差心理(笑)が働くのです。
ところが、みんな一緒の5000円。
選ぶのに迷ったり、見栄をはったり、
お隣は高い方を食べる・・・ あっちの方がおいしそうだったな。
なんてことも思わずにすみます。
そこにいる人が、みんな同じものを食べるというスタイルはなかなかいいなと思いました。
ちなみに、以前は3000円台もあったようです。
たしかにリーズナブルでありがたい価格ですが、
もし、こちらを選んで、ちょっとかな・・・と思った時に、
ああ、やっぱり5000円の方にしておけばよかった・・・と思うこともありません。
やっぱり、お金を出さないと、おいしいものは食べられない。と思わずにすみます。
■カウンターから見える厨房
案内された座席は、厨房を一望できる席でした。
何人かの料理人さんたちが、それぞれの持ち場で、作業をしているのが
手にとるように眺めることができます。
そして足元には床暖房。これがありがたかったです。
建仁寺、風通しがよすぎて、暖房もありません。足が冷えて、冷えて・・・
暖かいぬくもりに包まれました。
担当される方の、丁寧なご挨拶からスタート。
電話の対応に始まり、お出迎え、ご案内・・・・
その一つ一つが、心地よい空気に包まれていき、ここは間違い
という確信に近くなっていきます。
席に座って、しばし、料理人さんたちの動きを見たり、
建仁寺のパンフレット見たりして、待つことに。
テーブルにナプキンが敷かれていますが、このナプキンをとるタイミングというのがいつも悩みます。
ところがこちらでは「○番さん、準備に入ります」という声かけがありました。
その声かけで、これから、提供されるのね・・・・ とわかり、ナプキンをとったり、
そのあとも、(これから来るのね・・・・)という心の準備ができるのでいいなと思いました。
しかし「ああ、ここは、何番の席なのね・・・」とわかってしまうし、
裏方でするべきことが、全て見えてしまうのは、いかがなものか。
という声もあるようですが、私は、これでよかったです。
人の感じ方って、いろいろですね。
■目の前の松花堂弁当の行方は?
ずっと、目の前で、松花堂弁当のような四角い器に、丁寧に盛り付けをされていました。
あれは、何のメニューなんだろう。1種類しかないはずなのに・・・
2階もあるというので、2階のお客さんの特別メニューなのかな?
なんだか、念入りに器にセッティングしているようです・・・
こういうお店は常連客もいて、そういうお客さんへの特別メニューなのかなぁ・・・
と思いながら、ずっと見ていました。
すると、なんと、最後の方で、八寸として、その器が、私の目の前に来たのです! ⇒【①】 八寸
もう、びっくり、びっくり。私のお料理が作られていたのでした。
提供されるお料理の、一部始終を、目の前で見ることができるポジションだったことにラッキー!!
目の前で見ていたものが、そのまま提供されたことに感慨もひとしおでした。
そして、この八寸が、これまたおいしい。
ジャガイモの冷製スープ・・・ ってビシソワーズのことですよね。
ここは、京都祇園の懐石料理・・・・
そこでビシソワーズを出しちゃうの?!
和と洋の融合を狙っているのかと思ったら、
スープはカツオなどの和の出汁を使い、生クリーム、牛乳で味付け。それで納得。
■いろんなサプライズが詰まってます
「鶏肉のささみも入っています」と言われたので、てっきりペースト状にして出汁にしているのかと思ったら、
中から、ごろんとした身が出てきました。
ペーストでなく、身を入れるサプライズ! と思ったら、それはなんと生ウニだったのです。
一度、驚かされて、さらに驚く、二段落ちのサプライズです。
■ごはんの盛り付け方
こちらのごはんは、その都度、お釜で炊く「おくどさん」です。 ⇒【②】おくどさん
「おくどさん」といえば、以前、旅館「ふふ」で
お釜で炊いたご飯をということで、「おくど」=お釜 を作家に作ってもらったという話で
大きな釜があったのですが、その後、それぞれに炊いて提供されるようになりました。
それで、聞いたことがあった言葉だったのですが、改めて調べてみると、京都の言葉だったことが判明。
京都などでは、竈(かまど)そのものを意味し、「おくどさん」と呼ぶのだそう。
そのお釜から盛られたご飯になるほど~と思わず感心してしまいました。
こういう盛り付け方あるのね。
ふんわり盛るのではなく、横に一文字のように盛られていてとっても食べやすい状態です。
しかも少量です。私の食べる量にぴったり。 ⇒【③】 一文字盛り
「少なめにお願いします」と言わない限り、この量で盛られることはなかったような・・・
これこそが、京都の文化なんだと、妙に納得していました。
茶碗には少しずつ、品よくたくさんは盛らない。
最初から、山盛り飯にしない。
これが、京都のおもてなしスタイル?
でも、同じ京都でも、他のお店でこのような体験をしたことがありません。
「釈陵」のオリジナルの盛り付け方なのかしら? と思って伺ってみると、
茶懐石の一文字盛りなのだそうです。
ちょっとのご飯を盛る時の盛り方なのだそう・・・・
これまで懐石料理は何度か食べましたが、初めての盛り方でした。
「お店によっていろいろ、スタイルがあると思いますが、こちらではこの盛り方」なのだそうです。
いつもなら、お茶碗一杯で、十分・・・・
なのですが、こちらのオリジナルのじゃこを使ったご飯がおいしかったのと、
おつけものがおいしかったので、少しだけおかわり・・・
さらに量が少ないご飯の盛り方は、こんな感じ ⇒【④】 一文字盛り
美しいです。
そこで、ふっと頭をよぎりました。
「ふふ」なら、食べきれなかったご飯は、おにぎりにしてくれるんだけどな。
しかし、「ふふ」は旅館ですし、あのお値段ですし、そのサービスは料金に含まれているともいえます。
祇園の5000円のランチで、そんなことを考えてしまう方が、失礼な話。
こちらのお店で、そんなことをしてもらえるわけがない・・・・と、
頭の中を一瞬、よぎったことを、打ち消していました。
ところがなんと「残りはおにぎりにしますが、いかがですか?」って・・・・
それ、とんでもない過剰サービスじゃないですか?
そんなことまでされたら、他のお店、こまっちゃうでしょ・・・
と突っ込みたくなるくらいに・・・・(笑)
■日本の文化を知る 一文字盛り
以前も、懐石料理を出されて、その提供のされ方から、日本の文化のすごさを感じたことがありました。
お盆に水を打って涼を演出したり、濡れ箸を出したり・・・・・・
こちらでは、茶懐石の「一文字盛り」というのを知ることができました。
【参考】
⇒○赤沢迎賓館: 赤沢迎賓館で懐石料理の奥深さを知る
「食べきれる量」の盛りつけ方・・・・
一文字になって盛られたのを見て、瞬間的に、とても食べやすそう。と思いました。
少ない量のご飯でも、底にへばりついた状態にならず、美しく見えます。
◆一文字盛りについて ⇒懐石料理の流れより
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会席とは逆に懐石では最初に出る
盛り方は「一文字」や「山形」「丸型」など流儀で異なる
いずれにしても「食べきれる量」しか入っていない
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「家で盛る時は、いちいちしていられないかもしれませんけどね」と言われ、確かに(笑)
でも、家でしないかもしれませんが、知っていると役に立つこともあるかも、来客時とか・・・
こういう知らなかった日本の文化に触れる機会が持てるのは、
満足感を高めてくれます。
■薄味のおつけもの
こちらのお漬物、本当に薄味でおいしくて私の好みでした。
おつけもの、あまり好んで食べないので作らないし、買いません。
でも、こういうお漬物なら、いいかも。
これが、ここのお店の塩加減、味なんだ・・・と思ったら、
近くの漬物屋さんのものを使っているのだそう。
ということは、数あるお漬物屋さんの中から、迦陵が選び抜いたものということになります。
そのセレクト、私のツボでした。
⇒○東山八百伊(やおい)
祇園にもあったようですが、今は、食べログでは保留に
ただ、そんな薄味のお漬物に、お醤油が添えられていました。
ここに人の好みの差というものが伺え、それに対応するためなのだと察せられます。
お隣でも、このお漬物、薄味でおいしい・・・・と会話が交わされていました。
「お醤油があるけど、お漬物に、お醤油かけるってこと?」とも・・・・
「うちの兄は、お漬物にお醤油、かけてるよ・・・」って。
塩気の好みもこんなに違うわけですから、お醤油で調整できるお漬物はいいけど、
自分の味覚は絶対! と思っているお客さんも中にはいるでしょうから、
いろいろに言われて大変なんだろうな・・・と思います。
なんだか強く印象に残ったことが先に来てしまいましたが、
懐石では本来、ご飯は先に提供されるようです。
ところで、「茶懐石の作法に準じて・・・」と伺ったのですが、
食べログのこのお店のトップページには「京の会席料理」
お店のHPでは「日本料理」でした。 はて????
ちょっと脱線してしまいましたが、
改めて最初のお料理から振りつつ、絶妙なサービスについても・・・
■先付け:木の芽和え⇒【⑤】 先付け
筍 独活 烏賊 飯蛸旨煮 うるい菜 蕨 花びら大根 人参
春爛漫の先取りをした盛り付けで目を楽しませてくれます。
筍の皮が敷かれた上に細かいさいの目切りにされた和え物
このサイズで筍を食べたのはたぶん、初めてだと思うのですが、
触感がまた変わって楽しめました。
食べるごとにそれぞれの味に工夫があって、この先のお料理への期待が膨らみました。
◎桜は桜?
このお皿で気になったのが、「桜の花」と「小枝」の添え物。 ⇒【⑥】 桜のあしらい
これ、どう見ても桜です。 でも、もう桜って咲いているもの?
「桜ですか?」って聞いて、もし、違っていたらちょっと恥ずかしい。
でも、「これ、何ですか?」って聞いて、「桜」だと、「桜の花もわからないのか・・・」
ってなってしまうしと、あれこれ考えていて、なんて聞いたのか忘れましたが、
やっぱり桜でした。
何が言いたいかというと、さも、自分はわかってる・・・とでも言いたげに、
「これは、○○でしょ」と聞いて、「違っている」という光景を目にすることがあるので、
それは避けようかと・・・(笑)
早く咲く品種があるって言われたんでしたっけ?
◎「うるい」が今時、あるの?
そして、気になったのが「うるい」 うるいは、ギボウシの新芽のことです。
ところが、今はまだギボウシの芽も出ていない時期のはず。
もしかして、ギボウシの新芽って、土の中にある芽を使っているっていうことなのでしょうか?
一度、聞いてみたのですが、いまいちわからず、再度、確認。
そしたら、調べてみますと奥の方へ行かれました。
わからない時に、すぐに調べますと言わて対応されたのが、これで2度目です。
一度目はこちら
⇒○塩講座:⑤手持ちの塩を持って相談
そして、スタッフの方は、料理の素材辞典のようなものを持ってこられて、
「うるい」というのはこういうものだと、その内容を見せていただきました。
これ以上のことは、私たちもわからない・・・・と。
こちらの料理人の方たちは、何か疑問があったら、こうして、すぐに調べる習慣を持っているところなんだ・・・
そういうところに、感心してしまいます。
よく友人とも話をするのですが、すべてに答えられなくてもいいから、
そのあとのフォローがちゃんとできるかどうかって、ポイント高くなるわよね・・・って。
もう、この対応だけで、私は大満足でした。
市場では葉っぱがついた状態で束になって、売られているとのこと。
以前、うるいを食べたことがあるのですが、それは4月か5月ぐらいでした。
今の時期、葉のついた状態のギボウシはないはず。
そこで、自分でも考えていました。
桜のことで想像されたのが、季節先取りで演出をしていく、
お料理の「素材」や「あしらいもの」は、自然のものではなく
「食用の栽培」がされているのだろうということ。
あるいは、今頃、うるいの新芽があるとしたら、地中に埋まった部分を掘り起こしているとか?
調べてみたら・・・
⇒○うるい
露地栽培は4月~5月
ハウス栽培1月~3月上旬
季節をいち早く先取りして、春爛漫・・・
そんな食材が選ばれていたのでした。
■椀物:紅白真丈 潮汁仕立て 蕗 神馬藻 ⇒【⑦】 椀物
■向付:お造り
○お造りの中の鯛は松皮作り
皮の部分が開いたようになっていました。
お湯をかけてから、切り身にするそうです。
身の部分に熱が入らないようにするのがコツ・・・・
○剣先いか
○桜マス 燻製 だから桜のチップで?
と思ったのですが、桜マスの桜は、マスの色によるもの?
と思ったら、桜の咲くころに遡上しとれるためとのこと。
ほとんど生の状態。燻製臭もなく、とろりとした触感。
サクラマスの「とれ始める(沿岸により、川を上る)時期」、
「その地域の人たちがサクラマスがとれるようになったのだ、と思う時期」とが
サクラの開花前線が重なる。
各地での呼び名を調べると、「桜鱒」という地域は生息域全域にわたるのは、
この桜の開花前線に重なるためだろう。
⇒○サクラマス(Masu salmon、Cherry salmon)
■凌ぎ:雛ちらし寿司
■焼八寸
桜鱒の木の芽焼き 白魚の天ぷら 蛍烏賊辛子酢味噌がけ
いささぎ甘露煮 花山葵おひたし つぶ貝柚子みぞれ
・新じゃがの摺流し:
和風のビシソワーズは、和食では「新じゃがの摺流し」。
小ぶりのカットグラスに入れられて上品に提供。
おいしいので、もっと欲しいところですが、そのあたりでやめておくのがいいのかもしれません。
・うすい豆腐:
蓋物の器は、開けると「福」の文字が・・・・
このあたりも和食のちょっとしたサプライズです。
中には鮮やかなグリーンのうすい豆腐が・・・・
うすい豆は、グリンピースの仲間らしいです。
グリーンピースのような青くささなどは感じられませんでした。
生クリームなどが入っているそうで、緩和されているのでしょうか?
■蓋物: ⇒【⑧】蓋物
筍饅頭 若布餡かけ 海老そぼろ 百合根 銀杏 菜種 金時人参
筍饅頭は、なかからいろいろなものが出てきて楽しめます。
若布の餡は、スープになってもよさそうなくらいおいしいかったです。
メニューを見てわかったのですが、赤い千切りは、金時人参?
私、紅ショウガの千切りかと思って食べていました。
さすが京都の懐石は、ショウガもこんなに繊細に切るのね。
そして、ちょっとショウガをからめると、味変して楽しめる。
なんとなく、たこ焼きみたい・・・って思いながら。
人参の細切りも、紅ショウガと思えば、紅ショウガの味がする(笑)
味覚とは、こういうものなり~
■デザート ⇒【⑨】デザート 草餅
カウンターの前に、長方形の長いお皿が積まれていて、⇒【⑩】デザート 皿
素敵な食器を使っているんだな・・・・と思いながら眺めていました。
でも、この長方形の形は、どんなお料理に使うのかしら?
と思っていたら、デザートのアンダープレート替わりでした。
桜餅の中は、うすい豆の餡です。
ピンクと薄いグリーンでスプリングカラー
桜餅の中は、小豆の餡と思ってので、ここでもちょっとしたサプライズに。
ゆでたり、裏ごししたりすると、柔らかくなるようです。
グリーンピースって、最近、好まれなくなったとテレビで見ていましたが、
和食にはよく使われるそうです。
デザートにコーヒー。
食後のコーヒーを欠かせない者にとってはうれしいです。
以上、大満足のお食事でした。
お料理の提供は、食器を下げると同時に、新しいお料理が届きます。
最終の時間だったので、人が少なかったこともあるかもしれませんが、
食事のペースに合わせて提供され、手持ち無沙汰になることもなく、
お食事をすることができました。
お料理はそれぞれ担当があるようで、担当の方が運んで下さり、
いろいろな方とお話しができます。
また、一人がつきっきりでない距離感も心地がよいものです。
それぞれの担当の持ち場を、引き立てあっている感じもして、
チームワークがよさそうな気がしました。
いろいろ伺ったことをメモしていたら、
「自宅でも作ってみられるのですか?」と言われ、滅相もございません状態。
でも、そう見えるってこと? といいように捉えて・・・・(笑)
「もう、おいしすぎて、自然に笑みが出てきてしまいますね。
このお料理で、この接客で、5000円というのは、お得すぎです。
建仁寺に行きたいって言っている友人もいるので、絶対紹介しておきます!」
というお話しをしていたら、
「うちは、月1回、メニューも変わるので、よろしければ、ご案内、お送りします」
と言っていただきました。
お知らせをいただいても、行けるかどうかはわからないのですが、
お願いしました。
お会計は、テーブルチェックです。
そのあと、お手洗いへ寄ってみたら・・・ (うわ~ こんなところまで・・・)
そして丁寧なお見送りで送られます。
これまで、いろいろなお見送りのスタイルがありましたが、
迦陵は、これまでになかったお見送りだと思いました。
よく料理長さんや、支配人、マネージャクラスの方にお見送りされることを、
一種のステータスと感じていらっしゃる方を、お見受けすることがあるのですが、
心のこもったお見送りって、そういうことではないと思うのです。
ちょっと忘れていた、思い出深いお見送り。
遠い昔に、暖かい気持ちにさせられた心のこもったお見送りを思い出しました。
それは、礼文島 桃岩荘YHのフェリー出港のお見送りです。
スタイルは全く違いますが、底にあるものは同じだと思いました。
岸から離れてしまったフェリー・・・ 人影も見えなくなって、ああ、これでお別れ・・・
と思った瞬間に、沖の海に突き出した防波堤の先端に、もう一人、スタッフが待機していました。
そして、YHの旗を振って声をふりしぼってお見送りをしてくれました。
フェーリー上で、一同、歓声・・・・ みんなでジ~ンとしてしまったこと。
そんなサプライズを、ふと思い出してしまった迦陵のお見送りでした。
⇒○桃岩荘 閉所日のお見送り
ところで、「迦陵」ってなんだ? と思ったら、
極楽浄土にすむ想像上の鳥で,妙声をもって法を説くといわれ,人頭鳥身の姿。
この鳥が住む、極楽浄土のような空間、そしてこの鳥が美しい声で歌うような、
楽しく優雅な空間で過ごしていただく。
そんな願いがこめられているとのこと。
お料理がおいしいのはもちろんでしたが、接客の一つ一つの何から何までが、満足の連続。
これまで、使った5000円という金額の中で最高の価値ある5000円だと思いました。
そして、基本的に、「お店が選ぶピックアップ」機能使っているお店というのは、
個人的には、あまりいい印象を持っていませんでした。
でも、それは使い方であって、利用するなら定期的にピックアップを変更するなどの
工夫をすればいいのに・・・と思っていました。
しかし、こちらのお店は、すでにそれを実践されているお店でした。
⇒○食べログ主催オフ:⑥食べログへの要望 返信機能でお店とコミュニケーション (2014/05/02)
個人のトップページのランキング、久々に調整しました。
食べログに、コスパ感覚を持ち込むのは、そぐわないという意見もありますが、
この価格で、このお料理、サービスというのは、最強ではないかと思っています。
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【追記】2016.4.5
京都の人が、関東の出汁を、かつおが強いと表現することがある。
これはどういうことなのか?
聞こうと思っていて聞き忘れ。
どうやら、関東はやたらカツオ節を入れて、
カツオの風味でごまかさそうとすると感じられているらしいことがわかったのですが、
そうなのか・・・・
2017/06/08 更新
3回目の訪問となりました。お昼に利用。
案内されたのは、これまでと違って、おくどさん側。
今まで見えなかった調理の様子がうかがえます。
その日はとても熱い日で、夏日。冷たいお茶がのどにしみわたりました。
〇先付け
長芋羹です。上に載っているのは車エビ、生ウニ、ミニオクラ。
長芋の刷流し(?)で羊羹状に。寒天で固めているって言ってたかな?
柏の葉っぱに包まれているのは、鰻とエンドウ豆のご飯。
〇椀物
鱸(すずき)焼目 玉子豆腐に青ずいき 柚子 梅肉
柚子は花柚子で独特のからみ。知らずに食べるとイメージと違うかもしれません。
〇向付
カツオのお刺身 新鮮なのか焼き入れはしていません。
この上にかかったおろしポン酢が絶品。
私好みの酸味。お出汁で割ってほどよい状態になっています。
市販のポン酢がどうも酸味が強く感じてしまい、ミツカンのマイルドが好みという話をしてました。
市販のポン酢で強すぎて失敗と思ったら、出汁で割ればいいというヒントをいだきました。
〇凌ぎ
蓮蒸し トロリとした触感に イサキ 桜海老あんかけ
このあんがまた絶品でした。
〇焼八寸
これが出てきた時のビジュアルにノックダウン。
涼や水でなく、宇宙そのものを感じさせられました。
鯛味噌幽庵焼き 芋蛸 南京 ばい貝旨煮
白エビ・牛蒡・ミツバかき揚げ
白ダツと炙り貝柱の梅肉あんかけ
山蕗伽羅煮 ホタルイカ燻製
白ダツは、白ズイキのこと。
白ズイキと黒ズイキの違い。品種が違うと聞き納得・・・
晒し方、下処理の違いかと思っていたのですが・・
ところが、前回、同じ話をしていました。調べてもらったこと身になってません。
でも、こうして書いておくと思い出せるから・・・・
◆ズイキ
私が見ていたのは、黒っぽかったので、白いズイキとの違いをうかったら、
すぐに調べていただいて、品種が違うことが判明。
コショウのように、熟成が違うとかそういうことではないもよう。
ホタルイカは燻製と言っても生に近い状態。
本当にかる~く、いぶした程度とのことでした。
〇炊き合わせ
鰊(ニシン) 茄子 小芋 三度豆
鰊の字が読めなくて、食べてみたら、ニシンの味。
でも、乾物くささが全くなく、しかも柔らか。
これ、ニシンですか? と聞きたいところだけど、もし違っていたら・・・
と思い、何ですか? と聞いたら、やっぱりニシン。
生なのかと聞いたら、これもまた、かる~く乾燥させた状態のものらしく、
一般的なみがき鰊とは違います。ホタルイカの燻製にしろ鰊にしろ、
本来の状態よりも軽く仕上げて、別の触感になっていたりするので、
いろいろ頼むことができます。
〇おくどさん
鯛めしにしました。鯛って本来は蛋白であまり特徴がない魚というのが私の認識です。
でも、こちらの鯛めしはきっと、何か違うはず・・・・という期待があります。
思ったとおり濃厚・・・・ その秘密は、一度、燻製にしたものを
入れているそうです。それによって臭みもとれるでしょうし、味わいが深くなります。
いろいろな楽しみを提供してくれます。
〇水物
お誕生日の話をしていたら、こんなプレートに。
イチゴのシャーベットがとってもおいしく、イチゴがたっぷり使われています。
■好みのお出汁との出会い
久しぶりにこちらのお出汁に触れて、自分の体が欲する味はこれなんだと思いました。
体の細胞、一つ一つにしみ込んでいくようです。
塩分濃度や、出汁の成分の割合というのは、個人個人に至適濃度というのがあって、
それにドンピシャあうと、細胞が喜んで、ごっくん、ごっくんと吸収している様子が、
浮かぶような気がしました。
最近、いろいろな出汁を試したりして、最初はよかったのですが、
だんだん濃いなぁ・・・と思うようになっていて、京都に行って、こちらのお出汁に触れて、
自分の故郷はもしかしてここ? と思ってしまうくらい、体が喜んでいる気がしました。
前よりも軽くなった気がしたのは、気のせいかな?
濃い味に慣れてしまったからかな?
と思っていたのですが、カツオの部位やブレンドなども変わったとのこと。
またまた、満足のお食事をさせていただきました。
食と直接関係のない周辺情報はこちら
⇒■祇園-迦陵-花見小路で会席料理