レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2017/05訪問 2017/05/26
三田のミシュラン2つ星の「桃の木」出身シェフが、和食の要素を取り入れた中華料理店を2014年にオープンさせた。
日本人が作る日本人のための中華料理がコンセプトで、テーブル席とカウンター4席のコンパクトなつくりの店内からは、中華というよりも和の雰囲気が感じられる。
多くのお店が軒を連ねる杉大門通りの外苑東通り出口のロケーションにあるが、6/8からは同じ荒木町内に移転することに。
夜のメニューはおまかせで、9000円、12000円、15000円の3コースとなっており、9000円で。
雰囲気の良いお店では、なぜかエビスビールを飲みたくなり、量の丁度いい小瓶で喉を潤す。
スタートは三段前菜からで、鮮やかな見た目もさることながら、まるで白子のような焼き胡麻豆腐を始め、出汁巻玉子、よだれ鶏など、いずれもクオリティが高い。
たっぷりの唐辛子に包まれた稚鮎の素揚げ、コクのある海老味噌がアクセントの帆立と海老炒め、味噌が濃厚なボタン海老の老酒漬け。どれも前菜からの期待を裏切らない美味しさで、紹興酒のペースも上がる。
箸休み的に出されるミントティーのレベルも高く、細部に至るまで手抜きがない丁寧な仕事ぶりが光る。
土鍋ご飯とともに頂く、鯛のふっくら煮もメインに相応しく、さすが「桃の木」出身と唸らせる出来栄えで、盛られている和食器の美しさも花を添えている。
既に現在の場所での営業は終えているが、移転後にすぐにでも再訪したくなる気持ちになったのが、このお店の評価の全て。
2位
1回
2017/04訪問 2017/04/24
ミシュランガイドのビブグルマンにも掲載された関内の人気焼鳥店。
横浜スタジアムでの野球観戦中に電話予約して訪れたのだが、電話対応も気持ちがよく、この時点で既に良店の兆しが。
白い暖簾が映える外観で、6坪の店内はカウンターとテーブル席2卓のコンパクトなつくりになっている。
メニューは焼鳥中心に串物25種類のバリエーションがあるが、まずはおまかせ7本セットをオーダーするのがマストらしい。一品料理は7種類のみで、焼鳥に注力しているのが、メニュー構成からもよく分かる。
お通しの後に、焼鳥はすきみから。その後の串いずれのボリュームとクオリティともに申し分なく、とても7本で1500円とは思えない驚愕のハイコスパ。しかも野菜串なしで。
すきみの後は、もも肉にささみ、つくね、手羽先、はつ、炙りレバーで。一品料理から唯一オーダーしたあつあつグラタンもなかなか。
食べるリズムに合った串の提供テンポも良く、この日はおまかせ7本のみにしたこともあり、早くも他の串を食べに行きたくなっている。
3位
1回
2017/11訪問 2018/01/01
神保町にあるビストロで、ユニークな店名の由来は、茨城にある店主の実家のお米屋さんから。
「ロックフィッシュ」の間口さんから毎月送られてくるハガキで、おすすめされておりブックマークしていた。
神保町での飲み会の3次会で訪れてから、日も浅いうちに予約して再訪問。
カウンターメインのコンパクトな店内を仕切るのは店主1人で、新富町の人気ビストロ「ポンデュガール」出身とのこと。
30種類弱ある料理メニューはどれも美味しそうで、上から下まで制覇したくなるほど魅了的なラインナップ。
自然派ワイン中心のラインナップのワインは、グラスやボトルを良心的な価格で楽しむことができ、さすがはポンデュガール出身。
ワインに合わせる料理からは丁寧な仕事ぶりが伝わる味わいで、いずれもクオリティが高い。
イタリア産オリーブ
パーラー江古田のパン
ブラータチーズとフルーツトマト
パテドカンパーニュ
しゅうまい
自家製ソーセージのグリル
黒トリュフのオムレツ
カキとホウレン草のクリームグラタン
ルーローハン
ミーハーグルメで新店開拓派の自分にとっては珍しい、短期間でのリピート訪問こそが関山米穀店の良さを何よりも表している。
4位
1回
2017/11訪問 2018/01/03
2017年4月に神楽坂にオープンした、担々麺が人気の「希須林」のチャイニーズバルで、中野の四川フェスに出店していて気になっていた。
店名はBARという意味の中国語をもじっているらしく、豚中華がコンセプト。
雑居ビル3階のロケーションにあり、看板が出ていないので通り過ぎてしまうこと必至だが、ポストにある小さな赤い豚が目印。
「クラフトジンあります」としかない扉は入りにくさがあるが、一度扉を開ければ、デートユースにも向くスタイリッシュな空間がそこにはある。
ドリンクもフードともメニュー数はすごく多い訳ではないが、いずれもセンス感じるラインナップ。
まずはシグネチャーメニューの、ジュウバーの肉団子からで、魚香と青山椒がアクセントとなっており、店名がつくのも納得のクオリティ。
3人で訪れたが、料理は分けやすいように量を調整してくれる気遣いが嬉しく、どれを頼んでも当たりで、調味料使いに妙を感じる。
お酒もバルらしくバリエーションに富んでおり、ハイボールから、レモンサワー、紹興酒と楽しみ、締めにはイギリスのクラフトジンのサイレントプールをソーダ割りで。
今回のように1軒めとしてしっかり飲んだり食べたりすることもできるし、2軒めとして軽く使ったり、1人でバー的な使い方もでき、その利用シーンは幅広く、分かりにくい場所を忘れないでおきたい。
3人で飲んで食べて、1人およそ4500円。
5位
1回
2017/04訪問 2017/05/07
店名のアルドアックはバスク地方の言葉でワインを意味し、カウンターにてスペインの郷土料理をコースで楽しめるスタイルのスペイン料理店。
オーナーシェフの酒井さんは、渋谷の「サン・イシドロ」で8年間シェフを務めた経歴の持ち主。
センスの良いお店が点在する代々木八幡エリアのロケーションで、カウンターのみ8席のコンパクトなつくりながら、このお店もその例に漏れず、センスあり。
メニューは2種類のおまかせコースのみで、ワインは300種類以上の豊富なラインナップを誇る。せっかくなので、スペシャリテが入っている7500円のデグタシオンコースを。
オリーブとサラミをつまみつつ、マオウビールを飲みながらウォーミングアップし、スナップえんどうのスープからスタート。すでにこの時点で、シェフの確かな腕を料理から感じることができる。
その後のホタルイカ、ヒラメの海の幸も素材の良さを活かしており、白ワインとも良く合う。
スペシャリテのピキージョは、このコースにして良かったと思うと同時に、もう少し欲しくなるほどの美味しさ。
肉料理のイチボのステーキはアーモンドソースがアクセントになっていて、米料理のイカスミのパエージャまで、コース全体のボリュームも申し分ない。
全て1人でまかなっていることを感じさせないほどオペレーションも完璧で、皿の出るタイミングもちょうど良く、心地よい時間を美味しく過ごせること間違いない。
6位
1回
2017/10訪問 2017/11/20
知る人ぞ知る板橋にある四川料理店で、以前から人づてに良さを聞いていて、一度訪れてみたいと思っていた。
勝手知ったる友人が予約を試みるも、なかなか電話に出ないうえに、女性が良いらしく、なかなかハードルが高い(笑)
ようやく取れた予約で降り立った板橋駅は、両面焼きそばの「あぺたいと」以来かもしれない。
ワイン持込可(1本1000円)なので、近くにあるスペインワイン専門店の「ワイナリー和泉屋」でカヴァと白ワインを購入してから、お店へ。
持込ワインがここ限定ということではないようだが、「蜃気楼さんで」と伝えれば、合うワインを選んでくれるのが良い。
住宅街の路地沿いにある渋いロケーションで、カウンターと小上がりのみのコンパクトなつくりになっており、小上がり席にてカヴァで乾杯。
メニューはあるのだが、基本おまかせらしく、パクチー湯葉からで、意外に思える組合せのバランスに腕を感じる。
カヴァから白ワインへ。
クラゲアラモードはクラゲに柿、パイン、バナナのまさにアラモードな一品。
豚耳の煮こごり。
小籠包はアイデア溢れる料理の中で普通に思えるが、しっかりとしたクオリティ。
焼豚小籠包。
もち米焼売は上に乗せられた紅葱醬がアクセント。
この日のハイライトメニューの一つのスパイシー茄子は、クミンが揚げたて茄子と絡んで、ビールを激しく欲する旨さ。
締めはもう一つのハイライトの燃面。汁なし担々麺のように見えるが、四川では燃面の方がトレンドらしく、実際にクオリティは上を行く。
料理に合わせる紹興酒は、店主オリジナルのブレンドバランスが絶妙で、ロックではなくストレートで。
メニューオーダーもできることもあるらしいが、店主におまかせで自由にやってもらった方が結果的に美味しい時間を過ごせるだろう。
色々な意味で予約のハードルは高めだが、そのハードルを乗り越えて訪れる価値は蜃気楼ではなく、確実にある。
7位
1回
2017/09訪問 2017/11/03
神田にある中国東北地方料理の人気店「味坊」の姉妹店で、湯島の「味坊鉄鍋荘」に次いでオープンした最新店。
新御徒町駅近くのロケーションにあり、神田味坊の雑多な雰囲気とは異なり、外観と店内ともに新しさを感じさせる、綺麗系味坊。
漢字で店名が書かれた看板が目印で、戸がガラス張りになっているため、外からでも中の活気が伝わってくるよう。
味坊名物でもある自然派ワインの冷蔵庫も健在で、セルフで選べるスタイルは、やっぱり楽しい。
「祥瑞」の勝山さんすすめで始めた味坊のワインは、中国料理店とは思えないラインナップで、この日はロゼから。
名物の羊肉料理を中心としたメニューも豊富で、朱色の札の品書きに趣きを感じる。
よだれラムから、味坊でいつも感じる香辛料使いの巧みさ。
羊の旨味がたっぷりとスープに溶け込んだ、ラム肉小籠包。
個人的には味坊では欠かさないマストメニューの干し豆腐の冷菜。
ハイライトとも言えるラム肉炒めは山椒とクミンそれぞれの味つけとも、抜群の旨さ。
ラムは串焼きでもあり、ショルダーやネック、レバーなど様々な部位を楽しむことができる。
ジャケ買いの赤ワイン。
味坊名物の一つであるパクチーサラダ。
白ワインを2本。コップでワインを気軽に飲むのが味坊スタイル。
白身魚とラム肉の出汁でとったスープの魚羊麺は、あっさりとしていて締めにぴったり。
店名に偽りなしの羊肉料理のクオリティの高さは味坊ならではであり、今後は神田と新御徒町での味坊2択に悩むことになりそうだ。
8位
1回
2017/09訪問 2017/10/05
2014年10月にオープンした沖縄恩納村にある自然派ワインビストロ。
前夜に「An Di」でのワインイベントでワインを飲みまくったばかりだが、初沖縄の初ディナーはここで。
宿泊先の「カフーリゾートフチャク」からは歩いて15分ほどのアクセスで、ホテル「ムーンビーチ」入口のロケーション。
沖縄の綺麗な海を思い浮かべる真っ青な壁が印象的な外観とは、打って変わって店内はウッディなつくりで落ち着きがある寛げる雰囲気になっている。
黒板に書かれたメニューのバリエーションは、どれも食べてみたくなる魅力的なラインナップ。
自然派ワインがウリではあるが、やはり沖縄なので、まずはオリオンの樽生から。
1番人気のシャルキュトリー盛合せについてくる読谷村の「おとなりや」のパンがワインと良く合う。
シャルキュトリーには尾島さんの生ハムをはじめサラミ、リエット、パテが盛られ、いずれもクオリティが高い。
ボリュームたっぷりのブッラータとフルーツトマト。
ワインのラインナップは沖縄とは思えないほどで、まずはシチリアのラ・カラブレッタを。
自家製の島豚ロースハム
フレンチフライ
ブロッコリーのペペロンチーノ
金城アグー豚のロースト
やんばる椎茸のパスタ
沖縄に来ていることを忘れてしまうほど、沖縄らしさはあまりないが(笑)、美味しいことに違いはない。
2本目のワインは、レスカルポレットのエチケットなしで、これを飲むのは初めてで、まさか沖縄で飲むとは。
シェフの田邊さんは、那覇の「ビストロ モンマルトル」出身で、自然派ワインへの造詣も深く、美味しいワインの提案をしてくれる。
ご夫婦で営んでいるアットホームな雰囲気には沖縄らしいスローさがあり、一緒に沖縄クラフトビールを飲んで、楽しい一夜を過ごせた。
沖縄で自然派ワインがどれだけ受け入れられているか分からないが、東京でも十分勝負できるポテンシャルがある実力店。
9位
1回
2017/06訪問 2017/07/16
2015年にオープンしたビストロで、オーナーシェフの菊地さんは鉄人石鍋裕シェフのもとで修行した経歴を持つ。
その後、フランスで経験を積み、30ユーロで食べられる最先端のビストロノミーを知り、取り入れたという。
銀座1丁目の京橋寄りのロケーションで、近くには「ラベットラダオチアイ」があり、以前は「ラベットラビス」があった場所。
目の前が公園の開放感があって気持ちがいい店内には、オレンジ色の壁が映えており、食欲をそそる。
メニューはアラカルトもあるけれど、初訪なので、本日のおすすめコース(6000円)に。
アミューズの釧路の鰯からスタート。
鹿児島の初鰹と水茄子。
堂ヶ島さざえは、さざえ自体が料理の器になっていて、その場で盛りつけをしてくれる演出が粋。
ロワール産のホワイトアスパラ。
かますとアイナメの海老スープ。テーブルでストウブから海老スープが注がれ、このスープが海老エキスがたっぷり濃厚で抜群に旨い。
肉料理は栃木の浅野豚のロースト。クオリティの高さもさることながら、ボリュームが凄く、これでも開店当初よりは抑え気味というから恐れ入る(笑)
ワインをグラスで泡1、白2、赤1の計4杯ずつ飲んで、21027円(2人)の会計には、費用対満足度が高いという言葉しか見つからない。
「ソットラルコ」や最近オープンした注目の「ペタンク」のショップカードがトイレにあり、美味しい三銃士は料理学校の同期繋がりだった。
10位
1回
2017/11訪問 2018/01/03
10月29日に日本橋に新たにオープンした滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」の2階にあるレストラン。
滋賀の味、滋味(うまい味わい)が由来の店名は「じのみ」と読む。
目黒の「ホテルクラスカ」などをプロデュースするUDSが企画運営しているだけあって、他のアンテナショップとは一線を画す店舗デザインになっている。
天井からぶら下がっている印象的な金色のオブジェは、滋賀を代表する琵琶湖のほとりに多く育つ葦(ヨシ)をイメージしたものだという。
すしのルーツとも言われる鮒ずしに代表される滋賀県で脈々と受け継がれる発酵食を楽しめることがレストランコンセプト。
料理とドリンクともにバリエーションがなかなか豊富で、当然だが、ともに滋賀の味が楽しめるようになっている。
ドリンクには最近ウイスキーづくりで話題の長浜浪漫ビールなどがあり、琵琶湖ウイスキーのハイボール(600円)を。
料理は発酵の醍醐味が味わえるものを中心に、滋乃味のサラダ(1000円)から。
パクチーとトマトのカプレーゼ(600円)は、鮒ずしと一緒に漬ける飯(いい)がトマトの酸味と合う。
本日の鮒ずしの3種盛合せは1200円という一見高めに思える価格も、使っているニゴロブナの原価を思えば良心的。
食わず嫌いだった鮒ずしのイメージを覆す美味しさで、まるでチーズのよう。
自分と同じく「鮒ずしなんて・・・」と思っている人に是非食べてもらいたい。
発酵出汁の旨酸っぱい豚しゃぶ(2500円)は飯と発酵させたトマトが溶けたスープが絶品で、メニュー通りの旨酸っぱい感覚は他の鍋ではなかなか体験できない。
滋賀といえば、「徳山鮓」という郷土料理店が有名だが、そこまで行かずとも近くの日本橋で、日本が誇る発酵文化に美味しく触れることができる。
例年通りにマイベストは2017年に初めて訪れたお店の中から、印象的だった10軒をセレクトしました。
最近増えつつある食べログアレルギーにより掲載不可のお店が候補として2軒あり、除かざるをえなかったのは残念ですが。
それでも、どのお店も美味しい思い出を残してくれた10軒には間違いありません。
今年もどんなお店と初めての出会いがあるのか、楽しみです。