2回
2016/09 訪問
ワキサカ カエル劇場!!
「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ」
脇坂シェフにお願いしておフランスのカエルを2ダース用意してもらい盛大にリヨン風カエル祭りを敢行いたしました。
リヨンのビストロらしくカエルに薄く粉打ってニンニクバターでソテーしていただきます。
よくカエルは鶏肉とウサギ肉の中間くらいな感じと表現なさる方がいらっしゃいますが 私的には全く異質でありまして
「カエルはカエル」であります。
そのテクスチャーは繊細でお味はダイナミック且つ深い 他の食べ物に例えようがないのでとにかく食べてみて
9月22日にはこの店で「カエル祭り」があります。お一人¥6500でカエル食べ放題なんて なんて素晴らしいイベントなんざましょ。
詳しくはサラマンジェのHPを参照してね。
'Don't Stop Me Now'
6年間の虎ノ門での営業ですでに名声を確立していたお店をあっさり畳み
50歳にして銀座で大勝負!
ワキサカシェフの飽くなき挑戦は止まらない、誰も止める事ができない。 それはまるでフレディーが歌うこの曲のよう。(笑)
オーギュスト・エスコフィエ って伝統的なフランス料理の大衆化・革新に貢献した事でフランス料理の料理人なら誰でも知る人物でその著書も有名だがワキサカシェフはエスコフィエの著書から過去の偉大なレシピを抜き出し その百年も前に考えられたレシピを一字一句忠実に皿の上に再現する。
史実にも正確にひとつひとつの材料を集め 過去の手法を手がかりにその料理を現代に再現する。
それも楽しみながら!
現在のフランス料理人たちが忘れつつある偉大なる料理人の歴史的レシピを再現することはそれだけでも意味があり 意義ある試みだと感じる。
そしてエスコフィエの著書の新たな翻訳に料理人として参加して(1969年版では少々不明瞭な面があった)調理面の微細な表現や手順の違いを正していく。 これからまだまだ時間がかかるだろうし今後の作業が膨大で気が遠くなる思いがしますが頑張って完成させてほしいです。
古典を極めるのも大切なことなんだけど その反面彼の場合 『古典回帰』 に収まらず 『故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る』 というか古典的な手法に忠実に再現された料理に新しい彼なりの解釈を加え 「新たな息吹を加えたスタイル」に昇華させたメニューも面白い。
それが顕著に表れている皿がこの店のスペシャリテの一つとも言っていい 「ブーダンノワール」 ではないだろうか?
ブーダンノワール・・・特に珍しい料理では無い、レストランというよりも気軽なビストロで供される機会が多いこの料理 豚の血を使ったソーセージに合わせるのは通常リンゴ又はポテトだろうか?彼はここで敢えて『バナナ」を合わせる。バナナとリンゴとレンズ豆を生クリームでとじたラグーソースを合わせてくるのだ。 過去虎ノ門でこの料理と対面した時 私は正直ビックリしました。「こんな合わせ方ってアリなんだ!これって誰でもやってるの?」 答えは 「彼しかやってない」だった。
フランスの先人がブーダンとリンゴの相性の良さを発見した、それが広まり日本にも伝わり皆が模倣し疑いもせず作り続けた。・・・彼はそれにアクセントを足した。
それだけのことなんだけど コレがなかなかできないことなんだよね。
「古典を突き詰める でも新たな創造も忘れない。」 この姿勢に心を打たれます。
今回は銀座へ移転後初めての訪問でした。
予約したのはシェフの動きが「かぶりつき」で見学できる「特等カウンター席」 (まめぞうさん情報ありがとうございます)
全面に特注の「錫」を張った立派なカウンター席です。
シェフや調理場や「アクション」に興味の無い方からは皿出し場の隅っこで「ふらっと入った流れの一見客」が座る席かのように見えるかも知れません。(笑)
しかし、あの席は私にとっては「シェフズテーブル」そのものなのです。
カウンターからはシェフの一挙手一投足が拝めます。 正確な火入れ、食材に対する愛情、「おい、なんだこれ?これでいいのか?」って助手に呟く(笑)シェフのぼやきまで聞こえます。ww
厨房内の助手くん二人にもいろいろな確執や攻防があるみたいで 先輩格の彼は新米くんが自分の持ち場を領海侵犯するのを警戒してたり でも新米くんはなんとかしてポジションを確保したい(笑)・・・見ているこちら側の想像力を掻き立てます。
シェフの動きに合わせて「気の利く」助手がシェフの手足のようになって動く、シェフの次の行動を予測して先回りする コンダクターがオーケストラを操るような場面を楽しみながら食事も楽しむ席 それがこのカウンター席なのです。
そんな店の裏側見たくねーやって方にはお勧めしませんけど。(笑)
カトラリーも変わりました。
ラギオールの最高ランクの「ちょいと重い」のに変わってます。 錫の塊りみたいなナイフスタンドもオシャレです。
シェフが夜なべしてミシンで縫い上げたというチェックのテーブルクロスは可愛かった。
まだ発展途中のレストランですが面白くなっていく「匂い」がぷんぷんします。
ウナギのマトロート これもウマいねん。
カエルの残骸 骨っす。
ね、ウマそうでしょ?
カエルっす!
牛テールのアッシ・パルマンティエのテリーヌ 中はフォアグラ(写真はハーフ)
定番 ブーダンノワール
エスカルゴとザリガニ ロックフォールチーズのココット
本日のポワゾン 的鯛(写真はハーフ)
乳飲み仔豚のポシェ タプナードソース(写真はハーフサイズ)
クレメダンジェ
圧巻のチーズが揃ってます
チーズまだあります。マジびっくり!
クレマン
ブル
2016/09/21 更新
脇坂シェフはブレないね、
虎ノ門の頃からずっとスタイル変わらず 銀座へ移転されて少しは料理に色気が出てファンシーな路線に傾くのか?なんて心配したが要らぬ心配だったみたい。
王道のリヨン料理を真っ直ぐ作ってます。
常にフランスを考えあっちではこれはこうやるよな、この食材はこう使うよな、こんなもんフランスでは使わないよな、って塾考しながら料理作ってんのがこちらにビシバシ伝わるの。
彼のリヨンの伝統を忠実に守って料理を作るその姿勢は時に神々しく感じるほど頑なな印象で力強く心に残る料理はフランスそのものです。
昨今のメディアが持ち上げる若手ミシュラン料理人たちが自分流に解釈したフランス料理を提供することでもてはやされるこの東京で彼のような男の存在に私は逆にロマンを感じます。
このままずっと行って下さい、
どうぞ このまま。