http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110503-OYT1T00177.htm「ユッケが、人気商品だったので――」。焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」で発生した集団食中毒で、同チェーンを運営する「フーズ・フォーラス社」(金沢市)の勘坂康弘社長は2日、同社で記者会見し、生肉の提供が危険だと認識しながらも、販売をやめられなかった理由をこう説明した。
今回の問題の背景には、消費者のニーズが高い一方で、厚生労働省が定める「生食用」の牛肉が市場にはほぼ流通していないというギャップがあると指摘する声も出ている。
厚労省が定める生食用の食肉に関する基準では、決められた場所と手順に従って牛などを解体するほか、販売時には「生食用」と明記する必要がある。
しかし、同省監視安全課によると、生食用の食肉処理施設は全国に12か所あるが、出荷されているのはいずれも馬肉で、「2008、09年度は生食用の牛肉の出荷がなかったことが確認されている」とする。同省は、市場に流通している牛肉については、保健所などを通じて、加熱処理した上で客に提供するよう呼びかけているという。
ところが、全国焼肉協会(東京都)や県内の複数の焼き肉店は、加熱用の牛肉をユッケなど生肉のままで提供することは「業界の慣習だった」と証言する。同協会は「生食の危険性は認識しており、協会としては提供しないよう呼びかけていた。しかし、焼き肉店としては客のニーズがあるのでやめられない」と、業界全体で問題を把握しながら目をつぶってきたことを明かす。
勘坂社長は会見の中で「厚労省は加熱用の肉をユッケなどの生食に使用することを明確に禁止すべきだ。禁止されていたら客には出さなかった」と声を荒らげて“持論”を展開した。
一方で、業界関係者からは「安全な肉を使って良いものを提供しているなら、1皿294円という低価格はあり得ない」と、同社の激安路線を批判する声も聞かれた。金沢市内の食肉卸売業者は「焼き肉店は消費者のニーズに応えようとして、本来なら生食に適さない肉を提供してきた。それを今まで放置してきたことが最悪の結果につながった」と指摘した。
(2011年5月3日09時22分 読売新聞)
この業界に限ったことではないと思う。
安全に対して、それなりの対価を支払わなければいけない。
でなければ、その快楽を享受してはならない。
危険性を認知できるような社会にしなければいけない。
何か、フワフワした世の中になってしまった感じがする。