レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2015/09訪問 2020/02/28
【再訪 2015.09】
ちょっと前ですが、名古屋から上京してきたマイレビュアーさんと、昼間酒やりましょうかとこちらにやってきました。
この店は初めてというマイレビュアーさんは、約束の時間の前から店の前でスタンバイ。
運良く行列もなかったので、早速向かって右側の扉から入店すると、「いらっしゃい~」といつもの声。
2人を告げると帳場の前の一番奥の席に案内してくれました。
もちろん相席です。
先に座っていらした方は、一目でご常連さんと分かる方。
軽く会釈をして座らせていただき、ビールと「鳥わさ」と注文すると、「申し訳ありません鳥わさはちょっと」と申し訳なさそうな反応。
鳥わさは都の指導で出せなくなったのだそうです。 残念。
それでもこの店の定番の肴は、他にもいつも魅力的なものばかり。
親子煮、焼鳥(タレ)、にしん棒煮、いたわさと注文して、酒も日本酒の冷やに変更。
高い天井、きびきび動く店員さん、様々に蕎麦を楽しむお客さんを眺めながら、こちらものんびり蕎麦屋酒を楽しみます。
その間お客さんは順次入れ替わるものの、席には常に誰かが座って酒を飲み、つまみに箸をつけ、蕎麦を手繰り、それぞれの会話を楽しんでいます。
この賑わいが心地よいとこはいつ来ても変わりません。
2人で銚子を5本空けたところで、マイレビュアーさんに食べていただきたかった「天ぬき」を注文。
さらに銚子を2本。
丼に2本入った海老天の海老が甘い。
つゆを吸い込んだ衣がまた酒のいい肴。
そろそろこの辺りでいったん〆にしましょうということで、マイレビュアーさんはもり、自分はおかめ。
ここのおかめは、具材の位置がいつも決まっている美人タイプのおかめ。
そういえば、蕎麦はもりかおかめしか食べたことがないかも。
マイレビュアーさんは、つまみにも蕎麦にもご満足いただけたようでした。
ここに来るとたいていの人はよかったと言ってくれる、味はもちろんですが多分懐の深さがそう言っていただける要因ではないかと勝手に思っています。
多分今日はてんてこ舞いの忙しさでしょう。
それでもいつも雰囲気を崩さずにきっと営業されていることかと思います。
細く長くこの雰囲気を残していただきたいものです。
この年越しそばレビューで2015年の締めくくりとさせていただきます。
お読みいただいた皆さん、今年もお世話になりました。
2016年もまたよろしくお願いいたします。
【再訪 2012.09】
神田まつやの本店に連れてってくださいと、ずっと前からお願いされていた約束を先日どうにか果たしてきました。
リクエストをいただいたBさん、神田まつやには子どものころから来ていたという蕎麦通のTさん、北千住ツアー以来久しぶり?にお会いするRさんとご一緒。
4人だと、いろいろつまみも食べられるな、などと風情ある店の前に順番待ちのために並びながら考えていたところ、一仕事思い出しました。
玉子焼きを予約せねば!
今はメニューには載っていない玉子焼きは、手間がかかるからということで、事前予約しないと食べられないのです。
並んでいる間に電話。
「これから伺いたいんですが玉子焼きを予約しておきたいのです」
「かしこまりました。何時ごろお越しになりますか?」
「今、店の前でメンバーが揃うのを待ってます」
なんていうやりとりで予約も完了。
ではメンバーが揃ったところで、向かって右側の入り口から入りましょう。
人数を告げると、いつものオペレーション通り、その人数の合わせた席を指示されます。
いつもながら天井が高く、風情があっていいですねえ。
お客さんも若い方から後期高齢者だろうなという方まで幅広く、みなさんそれぞれにワイワイ楽しそうにお話ししながら、酒を飲み、つまみに箸をつけ、蕎麦を手繰っています。
お客さんは次々訪れるので、常時ほぼ満席状態。
それでも不思議に不快な五月蠅さにならないのが、この店のいつも通りの不思議な光景です。
まずはビールで乾杯。
いつもの蕎麦味噌を舐めてのどを潤した後、酒も追加しながらこの日いただいたのは次のもの。
○鳥わさ
○棒にしん
○そばがき
○玉子焼き
○親子煮
○やきとり(タレ)
○焼き海苔
ほぼ、神田まつや「つまみ一座」の顔見世興行的ラインナップ。
初めて食べたそばがきは、木の葉の形に成形されて樽に入って登場、4つに切り分け、薬味を好みで入れてそばつゆで食べます。ねっとりもっちりとした歯ごたえで、蕎麦粉の味が口の中にふわっと広がります。またこの蕎麦つゆがいいですね。ネギを入れてチビチビ含めば、そのまま酒のアテになってしまいます。
お隣の方が、一生懸命メニューを探しても見当たらないので怪訝な顔をされていた玉子焼きは、きっちりした小判型。
Tさんによればこの形にするのに手間がかかるのだそう。
表面に三つ葉がうっすら見えます。
出汁の風味が効いた甘めの玉子焼きは蕎麦屋ならではの味。
みなさんに喜んでいただけたので、やっぱり予約しておいてよかったです。
親子煮は、この店は出汁がうまいということを実証する一品。
出汁とタレのうまさは、やきとりでも実感することができます。
蕎麦はめいめい好きなものを注文。
おかめそばにしてみました。
温かいつゆの張られた丼には、蕎麦の上にもみ海苔が敷かれ、玉子焼き、たけのこ、かまぼこ、甘辛く煮た椎茸、ほうれん草、なると、湯葉が乗ってます。
蕎麦つゆよりも濃い味に煮た椎茸、甘味のある玉子焼き、シャクッとした歯ごたえのたけのこ、風味いっぱいの海苔など、一つ一つに手がかかったなかなか豪華で贅沢な蕎麦。
でも値段は950円と、にしん蕎麦より安価。
実は、昔からおかめそばって好きなんです。
温かい蕎麦は、出汁の旨味がお腹の中に染み渡りました。
この日は大相撲秋場所の初日の前日ということで、呼出さんによる触れ太鼓がちょうど回ってきました。
一層の江戸風情を味わってこの日は打ち止め。
1人4,000円ほどで、味も雰囲気も楽しめて得した気分の一日でした。
ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
【最初のレビュー2011.09】
マイレビュアーのM氏から神田か新橋辺りで飲みたいとメール。
蕎麦屋飲みもしてみたいということなので、そんじゃあ神田まつやでしょう、ということで、久しぶりに夕方やってきました。
この辺りは戦争でも焼けなかった貴重なエリア。
戦前からのものというお店の構えは老舗の風格そのもの。
店内にかけてある昔のこね鉢や柱時計、高い天井、柱や梁からも歴史を感じることができます。
それから、入口は店の正面に立って向かって右側、出口が左側ですから出口から入らないようにね。
食べログを始めてから訪問したのは初めてですね。
その前は何度か訪問させていただいていて、ある時は午後一の仕事が終わった2時過ぎから酒を飲み始め、メニューに乗っていた肴を全部食べてもり蕎麦で〆たこともありました。
この店は通し営業ですから、昼間っから飲んでいる方もけっこういますよね。
さて、まずはビールでのどの渇きを潤します。
サッポロの赤星があるんですよね~。
酒を頼むと蕎麦味噌がちょこっと付いてくるのも蕎麦屋らしいサービスです。
蕎麦屋ですからもちろん蕎麦がメインなんですが、蕎麦に使う種ものが蕎麦前の肴になっているところが老舗の蕎麦屋さんらしいところ。
焼鳥の鶏は鶏南蛮、かまぼこはおかめ、焼き海苔は花巻、にしんの棒煮はにしんそば、天種はもちろん天ぷら蕎麦に使うもの。
それがおつまみとして出されてくるところは、昔からの蕎麦屋さんのやり方を受け継いでいるものですね。
今回は鶏わさに焼鳥、焼き海苔といったところからつまみにいただきました。
鶏わさの上には、わさびとともにたっぷりの白髪ネギが乗っています。
鶏はキレイな色をした新鮮そのもの。
ちょっと湯引きしてあります。
焼鳥は塩でいただきましたが、脂の乗ったいい鶏です。
その脂を吸った葱もまた美味しです。
焼き海苔は厚みがあってパリパリ。
適当にちぎって山葵を乗せて醤油をちょっとつけてもよし、蕎麦味噌を乗せて食べても良しです。
こういうつまみがでてくるとやっぱり酒ですね。
日本酒は菊正宗だけなので、それをぬる燗でいただきます。
追加したつまみは、にしんの棒煮。
しっかり甘辛の醤油味に煮込まれたにしんは、もちろん蕎麦に乗せたら絶対美味いと思わせてくれますが、酒のアテにも最高です。
山椒をちょっとかければ、香りもアップ。
ついお銚子をもう一本追加してしまいます。
こちらで嬉しいのは、メニューには書いていませんが、天ぬき、鴨ぬきもやってもらえること。
他の席のお客さんの中には、かき揚げ蕎麦の上だけをまず持ってきてくれと注文して、お銚子を空けている方もいらっしゃいます。
我々は今回は天ぬき。
丼に張られた温かい汁に、海老の天ぷらが2本と三つ葉、結んだかまぼこが入っています。
温かいものが食べたいなと思う時はこれがいいおつまみになりますね。
プリンとした海老ももちろん美味しいですが、汁を吸った衣もまたいい味を出しています。
温かい汁物でお銚子を空けたら、もり蕎麦で〆にいたしましょう。
相変わらず風味のあるふくよかな旨味の蕎麦です。
喉越しのいい二八。
汁はかなり濃い味の江戸の辛汁。
このくらい濃いから、そばをつけるのは半分未満で十分です。
店内は6人掛けと8人掛けのテーブルなので、相席は当然。
みなさん賑やかに酒を飲みつまみを食べ、そばを手繰っています。
奥様がちゃんと両手でご主人にお酌をしてあげている老夫婦、背筋をきちんと伸ばして蒲鉾と焼き海苔でお銚子を重ねる紳士、子どもにこの店のうんちくを語って酒を酌み交わしているお父さん、職場の話題で盛り上がるサラリーマン、蕎麦屋デートらしいカップル、今度は○○にも行ってみようよと語り合っている蕎麦屋巡りの方、いろんな方々が、それぞれの話題で話しています。
でもそれが騒がしくも五月蠅くもないのがこの店の不思議。
お客さんの賑やかさがこの店の+の活気になっているのを感じます。
誰でも気軽に入って一杯やっていける蕎麦屋さんの気取らない雰囲気が、店の中に染み込んでいるんでしょうね。
店内の女性スタッフの目配りや連携もお見事。
荷物のあるお客さんには、「お荷物をお持ちしましょうか」と声をかけたり、席の埋まり具合を把握して、次に来る客が何人かによって案内する席をみなさんで目配せ確認していたり、てきぱきと動かれています。
料理だけでにとどまらない老舗の力を感じさせてくれる総合力の高い店だなと、こちらに伺うたびに感じさせてくれます。
帳場に座るのは大旦那。
うちの職場の大先輩と昔の同級生だったそうで、勘定の際に昔の話を懐かしそうに語っていただいたときは、物腰の柔らかい一方で気骨もある方だと感じました。
いつまでもお元気でいていただきたいものだと思っています。
2位
1回
2014/12訪問 2016/05/05
【再訪2014.12】
「この前いらしたお客さんが鶏の料理を食べて、美味しいですねぇこの鶏はどこの地鶏なのですか? と聞かれたんです」とシェフ。
「奥様、この鶏は地鶏でもなんでもなく、普通に肉屋さんに売っている鶏ですよ。皮目からきちんと焼いて、基本をちゃんと踏まえて焼けばそういう鶏でもちゃんと美味しくなるんです」と解説されたとか。
このやりとりにこの店の基本姿勢が表れています。
客席6つの小さな個人営業の店。
ハンバーグ900円、ビーフカツ1,530円、ポークソテーきのこソース1,150円、本日の魚料理は1,250円で出すこの店は、素材に高級なものなど使えるわけがありません。
「高級な素材を使って美味しく作るのは当たり前で、普通のものを使っていかに美味しく作るかがプロですから」というのがシェフの考え。
基本を守って丁寧に作る姿勢が表れています。
昨年も、ハンバーグ、ビーフカツ、ポークソテーきのこソース、ずわい蟹とホタテのパイ包み、牡蠣のベーコン巻、牡蠣のグラタンなどをいただいてきました。
どれもシェフの腕前が発揮されてます。
「年のせいかちょっと疲れるようになったんで、営業時間を少し短くしたんです」と、夜は9時閉店になり、休みも月曜日と火曜日になりました。
そんなことを言っても厨房でのシェフの動きは、相変わらずの見事なパフォーマンスを見せてくれます。
今年も時々食べに行かせていただくつもりです。
【再訪2011.10】
西武線沿線ということでなんとなく集まったメンバーの第3回オフ会。
今回はコロタンさんが幹事となって企画をしていただきました。
会場は、西武線沿線の名店の一つ、三浦亭。
カウンター6席だけの店を90分間独占して、みんなで美味しいものをシェアして食べてしまおうという企画です。
この日、参加者6人でシェアして食べたのは次のもの。
カキのベーコン巻 2皿
メンチカツ 2皿
グリエールチーズハンバーグ 3皿
牛ヒレのカツレツ 2皿
オムライス 2皿
ズワイガニのトマトクリームスパッゲッティー 2皿
クリームブリュレ 2人前
昔ながらのカスタードプリン 2人前
アプリコットタルト 2人前
ガトーショコラ 2人前
都合6種類13皿の料理と4種8人前のデザート。
よく食べました。
通常の2人分の料理を食べてしまえるところがこの店の実力です。
最初は、「料理はどれも1人前ですからそれをどれだけ注文されるかは、お客様がお決めになることです」と、相変わらず素っ気なかったシェフ。料理が進むにつれて、この日はどんどん饒舌になって、みなさんがビックリするほど語ってくれました。
一番最初に食べたのは、カキのエキスが口の中に広がるカキのベーコン巻き。
写真で、この日のカキのベーコン巻きと以前のカキのベーコン巻きの盛りつけが違うのがお分かりいただけますでしょうか?
今日は盛りつけがいつもと違うねというと、「普段は一人の方が食べるのであの盛りつけです。今日はみなさんでシェアされるので、取り分けしやすいようにこういう盛りつけにしています。これを分かってほしいなあ」とシェフ。
なかなか細かいご配慮痛み入ります。
さて、この発言の後、シェフは次々に料理を作り、そして語り、質問に答えます。
メンチカツとハンバーグの、ナイフを入れた瞬間に相変わらず溢れかえる肉汁には、「これがうちのやり方なんです」。
今回もすごい肉汁。
ライスをもらって肉汁ライスにしたいという声もあったんですが、今回は種類を食べることに力点を置いたので、ライスはなし。
メンチカツとハンバーグのソースが同じであることについて、「料理は調理法や素材の組み合わせによって何通りにも変わります。だからソースが同じでも味が違うように感じられるのです」。
確かに、チーズハンバーグとメンチカツではソースの感覚がちょっと異なるんですが、それもシェフの計算なわけですね。
オムライスの中のご飯がトマトソースのリゾット風になっていることについて、「うちのはべちゃべちゃにしちゃうのがやり方なんです」。
しっかり焼いた薄焼き卵の中にはリゾットという食感の違いがシェフのこだわりなのかもしれません。
牛ヒレのカツレツが柔らかいのは国産牛なのか、叩いたりしているのかとの質問に、「いえ、輸入ですよ。コスト的に和牛はこの値段では使えませんよ。それになにもしてませんよ。みなさんご覧になってたでしょ。塩コショウして調理するだけです」。
限られた食材を美味しく料理に仕上げるシェフの自負ですね。
残り時間が迫っている中でデザートをどうするか迷っていると、「4種類を全部お出ししますからみなさんでシェアされたらいかがですか」。
ただちにクリームブリュレの表面をバーナーで炙るシェフ。
短時間に全4種類のデザートを用意するスピードはさすがです。
昔ながらのカスタードプリンが大きな器から取りだされるのをみんなが見とれていると、「全部くれとか、丼持ってくるからそれに作ってくれとか言うお客さんもいますよ。でもそんなこという人に限って絶対丼なんか持ってきませんけどね」。
お客さん観察も相変わらず鋭いシェフです。
我々に対しても、「いきなり写真をバシャっは、ちょっと待ってくれと言いたくなりますよね。気持ちの通じ合いですから」、 「隣で奥さんがずっと写真を撮っていてちっとも旦那さんが食べられないという人もいるんですけど、いつ食べるんだと思っちゃいますよ」、 「料理人としては料理は温かいうちに食べてほしいですよね」、 「みなさんも(レビューを)書く人なら、どう作っているかもよく見てほしいですよね」 などなど、 いろんなお話をしていただきました。
今回はシェフの鮮やかな料理製作の手さばきとパフォーマンス、そしてどれもみんなが納得する美味さの料理、さらに珍しく饒舌なおしゃべりと、90分間のシェフのショータイムを満喫でしたオフ会でした。
ショータイムのお代は、ビールやソフトドリンクの飲み物を入れて、6人分で23,000円せず。
これまたCP高し。
それにしても90分できっちりショーを演じきるシェフの仕事の段取りは、いつも爽快です。
ご本人は、「私は手が遅くて」とか謙遜してますが、そんなの今回見ていた6人は誰も信じませんよ。
【再訪2010.05】
4月からはまた春・夏メニューに、メニューが変わっています。
写真にある、カキ、子羊、ポークヒレソテーはベンチに下がりました。
ある意味ここは、自分にとって基準点として考えているお店。
同等のCPでここよりも感動するような美味しい店なら、★5でもいいかなと。
牛ヒレのカツレツ、かきのベーコン巻、ハンバーグは、それくらいの感動を与えてくれました。
ビーフシチューもポークヒレのソテーも、シェフのこだわりを感じる一品でした。
今回食べに行って、気がついた点を一つ。
シェフはオーブンをよく活用しますね。
ハンバーグも子羊もポークソテーも真鯛のソテーもカキのベーコン巻きも、みんな表面をフライパンで焼いてからオーブンに入れて、じっくり火を通します。
ビーフカツの場合も少なめの油でオイル焼きのようにしてから、オーブンに投入します。
このオーブンが料理の旨みを増幅させる、シェフの魔法のオーブン。
シェフの手際とともに、このオーブンが強力な武器になっている気がします。
ビーフカツは美味しかったですよ。
中はレア。でもオーブンの力できちんと火が通って、中の旨みが活性化したレア。
真鯛のソテーは、まず皮目をしっかり焼いてからひっくりかえしてちょっとしたらオーブンへ。
トマトソースは、塩を加えたらバターでコクを出しバジルを加えて味を確認したら真鯛の上へ。
相変わらず、そんなシェフの見事な料理ショーは、食べる前の期待値を確実にアップさせてくれます。
またときどき行きますね。
この間に食べたものの写真をアップしてなかったので、まとめて公開しました。
【11月2日再訪】
カキのベーコン巻(900円)と子羊のソテーマスタードソース(1300円)を食べて来たので、写真をアップしました。どちらも秋からのメニューです。
カキは程よく熱が通って、少し厚めに巻かれたベーコンと一緒に食べると、カキのジュースが口の中いっぱいに。カキの下に敷かれたフランスパンにはソースがしっかりしみ込んで、これまたカキの余韻が楽しめました。
子羊は、一口食べると「私間違いなく羊でしょ?」と、ちゃんと羊であることを自己主張します。でも香草のいい香り。脂もけしてくどくなく、美味しくいただきました。最後は骨についている肉までしゃぶってしまうほどです。
「香草は肉料理の基本ですからね、羊には羊のための基本の処理があるので、それをきちんとやるかどうかですよ。でも脂が嫌いという方には、脂を取るんですけどね。」というシェフ。基本をきちんと守るお仕事ぶりが味に出てますよね。
この日は、急に寒くなったせいか、8時半頃から貸し切り状態。料理をいただきながら、マスターの修業時代の話もいろいろ聞かせてもらいました。ポケットにマイスプーンを忍ばせて、先輩の目を盗んで味見をしまくっていたという話。皿洗い時代は必ず残ったものを口に入れて、いつか自分もちゃんとしたものを食べるようになってやると思っていたという話。昔のレストラン厨房と今のレストラン厨房の人間関係の違いの話。「自分でも美味しいものが食べたいし、お客さんにも美味しいものが出したいんですよね」というシェフ、ちゃんと基本を守って手抜きをしない姿勢がにじみ出てます。
そんなシェフも、お話に熱が入って、今回は「パンの焼き忘れ」が。お皿のソースの御掃用に注文したパンを子羊焼くのとお話するのに集中しすぎて飛んでいたご様子。「ついうっかりパンはよく忘れちゃうんです。すいません」。
いやいや大丈夫です。前回同様これもシェフの味。今日もとても美味しかったです。
【最初のレビュー2009.10】
武蔵関でこの店を見つけた時はホントに掘り出し物だと思いました。住んでいるところは一つ隣の駅の方ですが、一駅分歩いても食べに行きたくなる店です。10月からは秋メニューになっているので、前菜にカキが出てきましたね。カキのベーコン巻(900円)がまた美味しいんです。カキの火の通しかたがぴったりで、うま味が凝縮されたタイミングで焼きあがって目の前に出てきます。ビーフカツレツ(1380円)もちょうど肉のうま味が活性化された揚げ上がりで、かけられたデミグラスソースも美味しいです。
テレビに出たのはハンバーグの時でしたが、シェフ曰く、「切った瞬間の肉汁が湧き出てくる感じを大事にしている」通り、ナイフを入れると肉汁が飛び出してきます。肉は合びきですがその配合比率があの肉汁のポイントの一つとか。テレビで紹介されたほかのお店は、「うん美味しい」「ああ美味しい」という感想でしたが、三浦亭のハンバーグ(880円)は「うわっ、美味しい!」という感じでした。
そんな巨匠のシェフでもたまにはミスをする時があります。この前行ったとき、ハンバーグにナイフを入れると、肉汁がいつもより少ないなと思ったのですが、切ると中がまだ若かったんですね。そのことを指摘するとシェフは、すぐさま「申し訳ありません、作り直しますね」と言って、即座に若いハンバーグをゴミ箱へ。ちょっとデミグラスソースで煮込めば美味しいかなとも思ったのですが、「お客さんが時間がないから煮込めばいいと言っていただいた時はお言葉に甘えるときもありますが、やっぱり納得できないので作り直します」と言って、新しいのを作り直してくれました。もちろんいつも通りに肉汁が飛び出すものをね。「たまにやっちゃうんですよ」というシェフ。いえいえそんなことぐらいでこの店嫌いにならないから大丈夫ですよ。いつも美味しいもの御馳走になっているんですから。そんなシェフの人柄もこの店の味ですしね。
夜はシェフ一人で切り盛りしてます。カウンターだけなので、目の前で素材に下味をつけ、ソテーし、グリルし、ソースをかけて盛り付ける姿が見られます。その手際も見ていて颯爽としています。また行きますね。
そうそう、ハンバーグ頼んだらパンも一緒に頼んで残ったソースでお皿を御掃除するのも好きです。オムライス(850円)もみなさんおっしゃる通り美味しかったです。
3位
1回
2013/07訪問 2016/05/05
大家との交渉がまだまだ予断を許さない状況のベルクさん。
営業継続を求める署名活動は、まだ続けられています。
そんな状況にあっても、いつもお店はお客さんでいっぱい。
店の前まで行って、席がないので断念したことも何回もありました。
それでも、何度か行ってみればたまには席が空いている日もあるものです。
新宿駅の東口改札から1分もかからない場所で、20年以上営業を続けてきたこの店。
価格は大衆料金でも、出される料理の素材は一流レストラン並み。
こんな便利な場所にあって、生ビールは一杯315円で飲めて、ソーセージやハムやパンの美味いつまみや料理が400円ぐらいから食べられるわけですから、いつもお客さんで一杯なのはごく自然な現象でしょう。
ホントに庶民の味方、都会のオアシスと多くの皆さんが感じるのは全く無理のないことだと思います。
すでにこの店の口コミを書かれた200名以上の方々も、多くはこの店で舌鼓を打ち、喉を潤し、一服し、くつろぎ、癒され、リフレッシュし、勢いもつけ、さまざまに楽しむ場として、この店が大好きで、ずっと営業してほしいと願っていらっしゃるだろうと思います。
そんなお店だから、これからも継続していただくことを願って、この店で過ごした時間と今まで食べたものを簡単にご紹介させていただきたいと思います。
仕事が終わってサク飲みがしたいとき、スペースさえあればこの店ほどその役割にピッタリな店はそう多くはありません。
生ビールのグラスは315円、黒ビールとハーフ&ハーフは346円、エーデルピルスは409円、ギネスの1パイントだって892円です。
それに300円台からあるつまみを合わせれば、ギネス1パイント以外なら1000円でお釣りがくる訳ですからね。
ある日は、黒生ビールとソーセージ&クラウト。
合計855円。
ソーセージがけっこう本格派ですね。
クラウトはキャベツと一緒に入っているのは高菜?
さっぱりとした味です。
またある日は、ハーフ&ハーフの生ビールにポーク・アスピック。
ポーク・アスピックは、天然酵母を使った黒パンの上に乗ってきます。
コンビーフのポーク版みたいなもんでしょうね。
パンがしっかりしていて美味しいです。
この日は一杯では足りずにギネスを1パイント追加。
会計は1,631円。
なんとお手軽なサク飲みでしょう。
ある日は新宿で12時からの仕事の前。
軽く腹ごしらえにちょうどいいのは、11時からやっているブランチメニュー。
ジャーマンブランチはホットコーヒーが付いて609円。
2種類のハムに、カップに半々に入ったレバー・ハーブ・パテとポーク・アスピック、フランスパンにドイツパンが一切れずつが乗った一皿です。
この店の人気商品の盛り合わせですね。
塩味の効いたハムはビールが欲しくなる美味さですが、まだ午前中なので我慢我慢。
レバー・ハーブ・パテは、レバーの臭みがほとんどない食べやすいパテ。
ドイツパンとの相性がいいですね。
手軽な腹ごしらえにもう一つちょうどいいのが、五穀米と十種野菜のカレーライス。
ホットコーヒーとセットで630円
量はありませんから、あくまで軽い腹ごしらえ。
足りないという人は、大盛りにしてもらうか、ホットドッグでも追加しましょう。
香りのいい五穀米にひき肉と野菜のカレーがかかっています。
野菜はカリフラワーなどが形が残ってますが、ほとんどはルーに溶け込んでいる感じです。
このカレーがなかなかにスパイシー。
3口も食べると汗が噴き出し、体が熱くなってくるのが分かります。
けっして、節電のために冷房が弱いせいではないと思いますよ。
やはり手軽な腹ごしらえには、ホットドッグとともに便利なのがマイスター・ベーコンドッグ(304円)。
ベーコンとオニオンが挟まれたドッグです。
燻製の効いたベーコンはこれまた美味です。
モーニングセットは、セット(399円)、ミール(472円)、プレート(472円)の3種をそれぞれいただきました(1回でじゃないですよ)。
セットは自然卵の茹で卵か半熟卵が選べます。
私は半熟卵派ですねえ。
ミールにはマイスターベーコンとチーズ、プレートはマイスターポークハムと卵がつきます。
どっちもいい味出してますが、自分の好みはベーコンかな。
ホットコーヒーが付いてこの値段ですから、充実した朝ご飯になってしまいます。
さらにまたある日は、夜の10時。
ちょっと気を遣う飲み会の後、飲み足りない分をサクッと補充。
この時間でも店内はほぼ満席。
ギネス1パイントにマイスターミックス(504円)を受け取って、かろうじて空いているカウンターの隙間にちょいと失礼。
ちょうどお隣で飲んでいた若いお二人が、「マイスターミックスってどんなのかなあ」とか話していたので、これだよ、と見せてあげます。
この店ご自慢のハムが3種類にクラウトが付いた盛り合わせ。
「美味しそうだから買ってきます」とお隣さんは注文カウンターへ。
知らない同士でも、こんな気軽にこんな会話になるのもこの店の良さかもしれないですね。
これからも営業が継続されることを心から願っております。
4位
2回
2019/11訪問 2023/06/19
今年はCOVID-19のおかげで、毎年恒例の宇都宮出張が中止になってしまいました。
ということはこの店に行くチャンスも今年はなくなってしまいました。
なので、昨年行った時のレビューです。
2010年に初めて伺って以来、何度か伺っていたのに、今年は行くことがかなわず残念です。
18時前に入るなら電話で予約を受け付けてくれるのですが、それ以降の時間になると予約ができないのです。
出張するといつも仕事が18時30分ぐらいまでかかるので、その前2年間はその時間に電話をしても満席で入れませんでした。
もうすっかり人気店なのです。
そのため、昨年は昼前に店に直接行って、18時30分過ぎになるけどいい?と聞くと、いつも笑顔の女将さんが顔を覚えていてくれて、快く「よろしゅうございますよ」と仰っていただいたのでした。
時間に間に合うように仕事を切り上げ暖簾をくぐると、「お久しぶりですね」とカウンターの向こうからご主人が声をかけてくれました。
3年ぶりですからね。それでも覚えていてくれるところがありがたい。
カウンター席の端に座らせていただき、まずはビール。
いつも通りのヱビスです。
お通しには、干しシイタケと大根のすり流しが出てきました。
刻んだベーコンが乗り、干しシイタケの旨味とともに、ちょっと洋風の味付け。
若旦那の作品だそうです。
東日本大震災の後に、東京の修行先から戻ってきた若旦那も今やお店の中心的存在。
食べログのこの店のトップページにも、「料理人」として紹介されてますね。
いつも通り、刺身盛り合わせをお任せでいただきます。
今回は、かんぱち、ひげたら、さより、さわらの4種。
皮目を炙ってあったり、隠し包丁が入ったりという一仕事がされているところは、いつもながらさすがです。
日本酒に切り替えて飲み始めたところに、「ちょっとだけですけど」といただいたのは、蕎麦の実、鴨、桜海老を合わせた小鉢。
蕎麦の風味、鴨の旨味、桜海老の甘さが混然一体となった味。
この日はうなぎの肝串もいただいてみました。
ほろ苦さとしっかりしたコク、弾力もあってミディアムレアぐらいの焼き上がりなので、トロリとした味わい。
もちろん酒がホイホイ進んでしまいます。
3年ぶりなのでもう一品欲しいなと思ったら、タラの白子と湯波のみぞれ煮を出してくれました。
この料理、初めてこの店に伺った時に出していただいたもの。
実は得意料理なのだそうです。
みぞれは大根ではなく、聖護院蕪を使うところがこの店の流儀。
湯波には厚みがあり、蕪には独特の風味と甘みがあるところが特長で、それぞれの素材の味を邪魔しない出汁がしっかりまとめています。
すっかり料理を堪能したところで、いよいよメインの鰻。
さすがにうな重の値段は上がりましたね。
それでもせっかくなので「松」をいただきます。
注文を受けてから鰻を裂いて作り始めるので、いつも帰りの新幹線の時間を目安に出してもらう時間を先に伝えておきます。
お重の蓋を取ると、ご飯をほぼ覆う感じで一尾分のかば焼きが乗っていました。
つやつやした照り具合。
箸を入れるとふわっとした感覚が伝わってきます。
もちろん食べてもふんわりした柔らかな食感。
口の中でほとびれていきまきました。
蒸しの工程を経ているので、脂も適度に落ちて食べやすく仕上がっています。
品のいいさっぱりした甘みのあるタレも変わらぬ味。
プリッとした肝の入った肝吸いや、味のしっかりした奈良漬けを挟みながらしっかり味合わせていただきました。
地元の方にとってはこの店は「日常」の店なのでしょう。
昔は、旦那衆の集まりなどでよく賑わったそうです。
「今はそういうのはなくなりましたねぇ」とご主人。
その頃の名残を今に残す店。
「私らは変わりようがないんですよ」と最初に訪問した時に仰っていたご主人の仕事ぶりは、その丁寧さがいささかも変わっていませんでした。
ご主人や若旦那の料理も、女将さんの気持ちのいい接客もまだまだ伝えていってほしいと思います。
【再訪 2014.06】
またまた今年もこの時期に恒例の宇都宮出張にやってきました。
宇都宮といえば、私にとってはこの店。
連絡を入れるといつも電話に出てくれる女将さんではなく、若旦那が出て席を確保してくれました。
はたして、この日は女将さんは、「喉が痛いと言って休んでいるんです」とのこと。
今頃はもう回復されたでしょうか、いつもお元気にでいていただきたいと思います。
ちゃきちゃきっとしたおもてなしの女将さんがいらっしゃらなかったのは残念でしたが、ご主人と弟さんのご兄弟による料理の方は、今回もとても充実していました。
ビールの後の白隠正宗純米吟醸と花垣純米吟醸に合わせた刺身はすずき。
さっぱりした白身、でも噛むとジワリとした旨味があります。
とこぶしの酒蒸しには煮切り酒のタレをつけていただきます、
この辺りが、この店の仕事の丁寧なところ。
貝の旨味をこの煮切り酒のタレがさらにふくらませてくれました。
鯛のすりながしは、鯛の風味と旨味がしっかり汁の中に溶け込んでいます。
白焼きは前回同様、脂分を落としてさっぱりふっくら。
〆のうな重も、固めに炊かれたご飯と相性のいいふっくら感のある鰻。
今回もしっかり堪能させていただきました。
毎度ごちそうさまでございます。
【再訪 2013.06】
宇都宮出張があれば必ずと言っていいくらい訪問する川蝉さん。
女将さんもご主人もお元気そうで、いつも通りの温かいおもてなしで迎えていただきました。
ふっくらした柔らかな鰻のうな重もいつも通り。
刺身の盛り合わせは、たいら貝、鯛、いさき、ひらまさ。
そして今回は初めて白焼きもいただきました。
いつも頼もうと思って忘れてたんです。
だいぶ脂を落としたふっくらとした仕上がり。
仙禽や山形正宗、賀茂金秀といった日本酒が進んでしまいます。
年に一度の宇都宮でのお楽しみ。
女将さんとご主人には、また来年も元気な姿でお会いしたいと思います。
【再訪 2012.03】
前回訪問したのは、震災の一週間前のこと。
久しぶりに訪問すると、女将さんもご主人もお元気そうで一安心しました。
地震の時はかなり揺れたそうですが、幸い店に大きな被害はなく、今は通常通り営業しているとのことでした。
女将さんやご主人の、温かみのあるもてなしぶりはいささかも変わりません。
ふっくらとした鰻の美味しさも前回同様。
盛り合わせにしてもらったお造りは、鯛・金目鯛・さより・鯵。
この時期に来るといつもさよりが入りますね。
今回いただいたお酒は、全国16の蔵が協力して製造し、売り上げの一部を被災地にカンパして愛も届けるという「KANPA+I」という名前の酒。
製造は天狗舞の車多酒造でした。
今年からは、東京の料亭で修業していた息子さんが戻ってきて店を手伝っていらっしゃるとか。
女将さんもなんとなく、安心した表情をしています。
「あと何年やれるかと思ってるんですよ」という女将さんですが、跡取りも戻ってきたことだし、まだまだお元気で心和む接客を続けていただきたいものだと思います。
【再訪 2011.03】
宇都宮に出張となると、もうこの店で一杯やってから帰るのが楽しみになってしまいました。
これまで、3回訪問させていただきましたが、女将さんやご主人のホスピタリティに溢れた客あしらい、季節のものを活かした丁寧な肴、そしてもちろん柔らかくふんわりと焼きあげられた鰻、ここにくるといつも心がくつろいだ気分になって帰ることができます。
刺身にしても季節感豊か。
6月に訪問した時はあいなめや金目鯛などを出していただきました。
今年の3月には、あら、アンコウの肝などが入っています。
3月の時は2人で行ったので種類も多めに出してくれました。
こちらの都合に合わせて、その時の旬のものを中心に見つくろってくれるので、いつもすっかりご主人にお任せです。
その他の肴も季節によって変わります。
6月はとこぶしの煮貝や青柳でした。
貝類は産卵前のこの時期が一番身が太ってますからね。
とこぶしの煮貝は海のない地方独特の保存食でもあります。
コリっとした歯ごたえがあり、貝の旨味は凝縮され、薄味の醤油で煮込まれていて言うことなし。
この時は思わず、地元の日本酒の惣誉という、さっぱりした飲み口の酒を頼んでしまいました。
もちろん青柳もぷりぷりで、日本酒との相性は抜群です。
今年の3月に訪問した時はせりの胡麻和えや蕗味噌が出てきました。
ホントに季節感のあるその時々のものが楽しめます。
こちらの鰻は背開きして蒸しあげてから焼く関東風の仕事。
注文を受けてから鰻をさばくので、出来上がりには30分以上かかります。
「関西から来たお客さんから、蒸さずに焼いてくれと注文されたこともあるんですが、それはできませんとお断りしたんですよ」、とご主人。
「私はこのやり方しか修行してきてないんで、他のやり方はできないんです」と語ります。
この店の流儀をきちんと守られた、丁寧なお仕事。
それがふっくらと柔らかくっ仕上がった鰻だけでなく、いつも楽しませていただく料理全体に表れていると思います。
それに、女将さんの接客はいつも心のコリがほぐれます。
いつもにこやかで、客の要望をよく聞いていただいて、いいものを勧めていただいて、料理や地元のこともいろいろ教えていただいて、一見も馴染みも関係ない、ホントに気持ちのいい接客にはいつも感謝です。
また宇都宮行った時は寄りますので、美味しい鰻と季節の肴でゆったりとした時間を過ごさせていただきたいと思っています。
そういえば、まだ初回に食べそびれた白焼きも食べてないし^^;
【最初のレビュー 2010.03】
「うなぎにもその店その店のやり方がありましてね」と語るのはご主人。
「35年やってます。周りはいろいろ変わるんですが、私たちは変わりようがないんです」とのこと。
いやいや、ずっと変わらずこちらのやり方を通してこられたというのは、とっても大事なことだと思いますよ。
こちらは、うなぎだけでなく、そのほかの酒の肴も豊富。
「栃木は海のない県ですから、少し珍しい魚も扱おうと思って出してるんですよ」と、おかみさん。
ではまず、適当にみつくろっていただきましょう。
まず、「すこしずつ3種ほどお持ちしました」という刺身の盛り合わせを出していただきました。
あら、ほうぼう、さよりの3種盛り合わせです。
この3種、さよりははまだ東京でもたまに出ますけど、あらやほうぼうは、そうは見ません。
「少し珍しい」ではなく、かなり珍しい魚が出ていると思います。
ほうぼうは、歯ごたえがこりこり、淡白であっさりしていますが、噛むと旨みが染み出てくるような刺身です。
あらは、ほんのり脂が乗って少し濃厚感があります。でも軽い脂でしつこさは全然ありません。
さよりは、この時期だけの春を告げる魚。透き通る白身で淡白、あっさりしています。
あらは、九州では鍋にすると取り合いになる高級魚。
今回刺身で出していただいたあらは、10キロの目方のものだそうです。
「あらとクエ似てますが違うんですよ。あらはスズキの仲間です。クエは養殖できますがあらは天然ものしかありません」とご主人。勉強になります。
次に出てきたのは、タラの白子と湯波のみぞれ煮。
湯葉ではありません、ここは栃木、だから湯波です。
しっかりとした厚みのある湯波。食べ応えがあります。
白子はちょうどよい炊き具合。旨みがしっかり閉じ込められています。
それにこのみぞれ煮のみぞれ、大根ではなく、聖護院かぶらなんです。
だからカブの甘みがいっぱい。出汁もよく効いてやさしい味になっています。
さらに春の息吹を感じる蕗味噌などで一杯やって、ちょうど4杯目の焼酎のグラスが空く頃、いよいよ真打のうな重が登場です。
普通は注文して30分ぐらいで出されるそうです。ちゃんと作っていただいている訳ですね。
頃合いを見計らうように、ちょうどグラスとつまみが空になった頃に出していただきました。
お重に一匹分、うなぎが横たわっています。
早速一口。
こちらのうなぎは、あっさり仕立てですね。
ふっくら柔らか、口の中でやさしく身がほとびれていきます。
脂っぽさが抑えられて、軽い焼きあがりです。
真ん中の身の厚いところはホクホク、尻尾の方はややカリッとして、食感の違いも楽しめます。
たれは、品のいい甘さをもったあっさり味。
ご飯と相性いいですね。
静岡は吉田のうなぎだそうです。今の時期は養殖ものしかでません。
夏場になると天然ものも出せるそうですが、値段は3倍違うそうです。
こちらの接客も、とても素晴らしいものでした。
飲んでいる途中で上着を脱ごうとすると、さっと後ろで手伝っていただいたり、一見の客なのに、とても丁寧に説明をしていただいたり、でもけっしておせっかいや押しつけがましさもなく、おかみさんもご主人も、とても気持ちのいい方でした。
「私たちはこのやり方なので、この味がよいと思う方に来ていただければいいと思ってます」というご主人。
これからも、長くここでお店を続けていただきたいて、また寄らせていただきたいと思います。
今度来るときは、今回食べるのを忘れた白焼きをいただかなくては。
5位
1回
2013/05訪問 2016/05/05
ポークソテーとポークチャップは私たちも大好きなんです、と女将さんは語る
【再々々訪2013.05】
5月に昼と夜に再訪したので写真を追加しました。
ここのポークソテーはやっぱり美味しいです。
夜に伺ったときは、ビールのあてにまずはオムレツ。
葱がちょっと入ったプレーンのオムレツで、中はトロリと半熟です。
生クリームもちょっと入ってるのかな?
ふんわりとして甘味のある、基本に忠実な誰もが好きな味のオムレツでした。
もう一品はエビフライ。
カラリと揚がっています。
悪くない味だと思いますが、でも正直なところ、レストランサカキや七條の方が上かな。
この日は、ウィスキーの水割りも始めていただいたのですが、ウィスキーはジョニ黒でした。
今はジョニ黒なんて珍しくなくなりましたけど、こういう銘柄を出してくるところが老舗らしいところです。
【再々訪 2011.04】
またまたここのポークソテーが食べたくなってランチに寄ってしまいました。
やっぱり200gはデカイ!
脂身も甘い!
にんにくの香りが効いたデミグラスソースが美味い!
今回はライスと味噌椀もいただきました。
女将さんの接客は相変わらず、気配りがきいてます^^
【再訪2010.11】
横浜の上大岡で再びお仕事。
3時半に仕事を終わって、近所の喫茶店でノートパソコンで報告書作成等々の作業。
なんですぐ帰らないかって?
それは、この店の洋食メニューでビール一杯飲みたいからです。
5時の夕方からの営業時間を待って再訪です。
先回の訪問時にポークソテーをいただいたので、今回はもう一つの看板メニューであるポークチャップ。
息子さんであるシェフの作業を眺めながら、ビールをちびちびやって出来上がりを待ちます。
厚く切った豚肉を丁寧に筋切りし、10数回叩いて軽く伸ばしたら両面にたっぷり塩コショウ。
粉をつけて、熱したフライパンに投入です。
じっくりと焼きあげたら、ブランデーを投入してフランべショー!炎がボンと上がります。
炎が収まったら、ケチャップを投入し、続いてデミグラスソースを投入して味を絡めたら出来上がり。
お皿に乗せられ出てきたのが写真にあるポークチャップです。
「少々甘いですか?」と女将さん。
ポークソテーに比べれば甘いですが、甘ったるさは全然ありません。さっぱりした甘味でコクがあります。
肉も柔らか。幸せな気分になる一皿です。
それにしてもソースが美味しい。少しお皿に残ったのがもったいなくてもったいなくて^^;
さてこの日はもう一皿。
他の方からの評判もいいハンバーグも追加してしまいました。
やはりフランべで仕上げて出されるハンバーグは、味がしっとり滑らか。
肉はかなり丁寧に挽かれて、とても柔らかく食べやすいハンバーグです。
「もっと肉の味が強くするハンバーグもあるようですけど、うちはずっとこのやり方なんです」と女将さん。
このハンバーグなら子どもでもお年寄りでも食べやすいだろうと思います。
街の洋食屋さんならではの安定感のある、広く支持者を集めそうな昔ながらのハンバーグです。
ビールにこういう洋食って合いますね~。
上大岡来たらまた食べたいメニューです。
【最初のレビュー2010.04】
横浜は上大岡で昼から仕事。
その前に腹ごしらえ、と訪問したのが、この界隈で評価の高いこの店でした。
カウンターに案内され、この店はポークソテーとポークチャップが美味しいとお聞きして来ました、と言うと、女将さんが丁寧にいろいろと教えてくれました。
そのお話を伺って、今回はポークソテー(1050円)とライス(250円)をお願いしてみました。
ポークソテーとポークチャップは、もうこの地で48年も営業しているこのお店の看板メニュー。
それが食べたいと言って、3代も4代も通ってくれるお客さんもいるそうです。
使う肉はリブロース。1枚が200グラムだそうです。
「家族経営なのでこの値段でなんとかやっています。どこかのビルに入ったらやっていけないでしょうね」とのこと。
厨房の中で料理の腕をふるうのは、息子さんでしょうか。そしてホールを手伝いうのはお嫁さんかな、お嬢さんかな?
塩コショウし、粉をはたいた豚肉が、フライパンの中でじっくりソテーされるのをカウンターから見ることができます。
丁寧なお仕事ぶり。時間をかけてじっくりと火を通しています。
さて、待つこと10分ほど。
カーリックの香ばしくてよい香りを放って、湯気を上げるポークソテーが登場しました。
さすがに200グラムはなかなかの迫力です。
丁寧に筋切りを目立たないようにしてあるのでしょう、肉が反り返ることもなく、きれいにお皿の上に乗っています。
ナイフを入れると柔らかな感触。断面を見ると厚さは1.5センチくらいでしょうか。
その肉は口に入れてもやはり柔らか。肉にも旨みがあり、脂が甘いです。
あっさり系のデミグラスソースも、肉の旨味を引き立てます。
粉をつけて焼いてあるので、ソースがうまくからんでいい味をだしています。
ポークチャップとポークソテーの違いは、このソース。
ポークソテーは自家製デミグラスソースですが、ポークチャップはデミグラスソースにケチャップを加えて、少し甘めに仕上げるのだそうです。
「私たちもポークソテーとポークチャップが大好きでよく食べるのですが、冬場の寒い時はポークチャップが食べたくなって、夏場の暑い時はポークソテーが食べたくなるんです」とママさん。
なるほど、そういう味の違いなわけですね。
このポークソテー、ビールにも絶対合いますね。
「夕方は5時からやってますから、よろしかったらまたどうぞ」とママさん。
次回は夕方来てみたいです。
ご常連さんも多いようで、ママさんは気さくに顔なじみの方と言葉を交わしていらっしゃいます。
この日は4月なのに朝雪が降った寒い日。
カウンターの下に暖房が入っているので、足元が温かくて助かりました。
そんな配慮もある優しい店ですね。
6位
1回
2011/11訪問 2016/05/05
マイレビュアーの美味B級さんに誘っていただき、一見さんお断りのこの店に足を踏み入れることができました。
日本酒好きならこの店は憧れですね。
ホントにお声をかけていただきありがとうございます。
日頃の行いの悪いせいか大雨の日に店の前に到着。
階段を下りていくと、意外に店内は広いですね。
お集まりの皆さんとごあいさつの後、幹事さんがまずは生牡蠣3種類をオーダーしてくれました。
広島西部産、三重県鳥羽浦村産、北海道仙鳳址産の3種。
北海道産をいただきましたが、磯の香りのしっかりする旨味のある牡蠣でした。
この牡蠣に合わせて日本酒も3種類。
神奈川の隆、長野の登水、石川県は奥能登の白菊からスタートです。
隆はさっぱり系、登水は吟醸香がほんのり香るやや甘口、白菊は木の香りがしっかりする力強い味。
3様の味をまずは楽しんで、この日さらに飲んだのは、自分の覚えている限りは次のもの。
日高味(宮城県):これはすっきり味。飲みやすいあっさり系です。
宗玄(石川県):石川県は珠洲市の酒。生原酒なんですが、「開けてから日がたっているので味が変わっていると思います」というご主人の言葉通りか、とろみがなくなりすっきりとした飲み口になっています。
秋鹿(大阪府):これまた飲み口のいい酒。抵抗なく喉に爽やかな旨味が沁みわたります。
辰泉(福島県会津):これはもう美味かったとしか記憶がありません。
遊穂(石川県):これはバランスのいいお酒です。
来福X(茨城県):一口飲んだ方がみなさんこれは美味いとお褒めの言葉が出る酒。やや甘味がありふくよかでバランスのいい完成品。
最後にflight of wharf活性にごり発砲純米酒。
もっと種類を飲んだと思うのですが、どれも美味しすぎて思い出せません^^;
以上のような酒に合うようなアテもこの店には数々あります。
山うに豆腐は、酒飲み用のチーズのようなまったり濃厚な味。一口舐めると酒が欲しくなる極めて危険な肴です。
塩辛系のばくらい(ほやとこのわたの和えもの)、濃厚な味のえび味噌とこの山うに豆腐は、参加者全員一致で酒のアテ3兄弟に認定されました。
鯖のぬか漬けであるへしこを加えれば、酒のアテ四天王の完成です。
干物・魚系からは、灰干しのカマス、灰干しのさんまとキビナゴ焼きをチョイス。
日本酒と干物ってなんでこんなに合うんでしょうね。
日本酒でアミノ酸が元気になっちゃうんでしょうか。
バジルのポテトサラダとか牡蠣グラタンのような洋風のものにも日本酒って合うんですね。
日本酒の守備範囲の広さを感じさせてくれるアテです。
牡蠣フライは牡蠣の旨味が熱が加わることで強くなってこれまた美味し。
最後に牡蠣とあおさのチーズリゾットをいただいてこの日は終了。
途中何度か保冷庫の前で収蔵の日本酒のボトルを眺めていたのですが、保冷庫の前のカウンター席に座ったら、そのままそこから動かなくなってしまいそうなくらい魅力的なお酒がいっぱい。
滞在時間を決めて時間制限で終わらないと、いつまでも飲んでいたくなるような日本酒と肴の店でした。
それにしても今回はお酒とともに、皆さんとの楽しい会話を楽しませていただきました。
幹事役の美味B級さん、初めてお会いしたk846さん、hopkinsさん、ゲスト参加のつっちーさんたち、ホントに楽しい時間をご一緒させていただきありがとうございました。
7位
2回
2020/05訪問 2020/06/27
「先代が亡くなって3年ですね」。
跡を継いだ2代目のご主人が話してくれました。
おしゃべり好きな先代はよく、「息子がなかなかセンスが良くてね、お菓子系が得意なんだよ」と話していたのを思い出します。
この地域では早くから天然酵母パンに取り組んできた先代の跡を、以前からこの店でパン作りをしていた2代目がしっかり引き継いでいます。
4月5月はCOVID-19の影響で休んでいたようですが、5月の後半から再び店を開けていました。
近所に所用があった際に久しぶりに寄った日が、ちょうど店の再開日だったようです。
まだ店に出ている先代の奥さんはフェイスガードをして接客されていました。
自分にとって、転居する前はこの店がいつもパンを買う店だったのです。
この日はまだ作る量がいつもより少なかったのか、午後2時頃に行くと残っているパンはかなり少な目。
ともかく食パンの確保が大事だったのですが、いつも買っていた通常の食パンはもう売り切れで、残っていた胚芽の食パンとぶどうパンを確保しました。
さらに、以前もよく買っていたチーズプチパン、お菓子系のミックスサンドケーキ、そしてシナモンロールも購入しました。
食パンは6枚切りで、次の日の昼に自家製ピザトーストを作って食べました。
GW期間中に今住んでいるところの近くにあった天然酵母パンの店が閉店してしまったので、しばらく別の店でパンを買ってピザトーストを作っていたのですが、久しぶりにこの店のパンでピザトーストを作ってみると、家人の反応は「やっぱりこの店のパンは美味しいね」。
パンの旨味というか小麦感というかがやっぱり違う感じがするんですよね。
胚芽のパンだったからなおさらだったのかもしれません。
ぶどうパンも柔らかな美味さが口の中に広がっていきました。
実に喜ばしい味わい。
個人的にはぶどうパンもトーストにして軽くパターを塗って食べるのが好きなんですが、熱を加えた方がこのパンの旨味が活性化するような気がします。
ミックスサンドケーキはお茶うけにいただきます。
洋酒の風味があるしっとりした生地の中には林檎、レーズン、胡桃などが混ざっていました。
胡桃のカリッとした食感が柔らかな生地と好対照。
シナモンの香りもするこの生地を、サクっとした食感を持つ薄い生地で挟んだもの。
「お菓子が得意」と先代が評していた2代目の腕前が発揮されるケーキパン。
先代は、「息子はお菓子系が得意なんだけど、シナモンロールだけはまだ任せらんないなぁ」と言って、先代が亡くなった直後はしばらく姿をみなかったシナモンロール。
先代が作っていた形とちょっと違った仕上がりになっている気がするのですが、シナモンの風味はしっかり効いていいて、甘さが少しすっきりした印象になって登場しています。
もうこれは2代目のオリジナルの味なのでしょうね。
フランスパン生地にチーズを練り込んだ一口サイズのチーズプチパンは、香ばしさと旨味のパン。
これ、意外にビールのお供にいいのです。
久しぶりに食べたパンの味はやっぱり美味しい。
2代目もしっかり先代の味を引き継いで、さらに自分のオリジナリティを発揮していました。
また近くに用事ができたときは、パン買って行こうと思います。
*なお、店内写真のパンは3年ぐらい前に写したものですから、値段が現在とは違うものもありますのでご注意。
【再訪2010.12】
この日は休日出勤。
朝8時には店が開いているので、お昼ご飯用に総菜パンを買って行きます。
この日は、ハムカツパン、魚フライパン、ヒレカツパン、ピザパンの4種。
総菜パンは、コッペパンにそれぞれの総菜を挟んだもの。
昔ながらの手作り感にいっぱいの総菜パンです。
ピザパンは、ズッキーニ、玉ねぎ、パプリカ、ナス、ベーコン、コーンなどが乗った野菜たっぷりのパン。
休みの日は職場の近くの店も休みが多いので、そんなときにも重宝します。
【再訪2010.05】
我が家でパンを買うのは、いつもここです。
食パンにフランスパン、あればクロワッサンとエピパンがいつもの定番。
食べると口の中が喜ばしくなるような、自然のパンの味がします。
1週間に1回買いに行くのですが、3日もするともうなくなってしまいます。
今回は、店内に並ぶパンの写真を許可をもらって写したのでいくつかご紹介します。
【最初の投稿2009.10.24】
田無、保谷、小平あたりでは、一番初めに天然酵母を使ったパン屋さんは花小金井の丸十製パンさんと言われますが、ここハタダベーカリーも比較的早い時期から天然酵母を使ったパンを作っています。
大将の納得がいくパンができるまで、ずいぶん天然酵母を育てる苦労されたようですが、今ではしっかり納得のいく出来栄えだそうな。
クロワッサンが秀逸。焼きたての時間を狙っていくと、熱々で外はカリっと中はしっとりして、バターのすごくいい香りのクロワッサンに出会えます。買って帰る途中につい、歩きながら口の中に放り込んでしまうくらいです。
フランスパン、バターロール、食パンといった基本系のパンにこの店の真価が出ます。
ソーセージパンやコロッケパン、メンチカツパン、ハムカツパン、カレーパン、バラエティナン、ピザパン、サンドイッチなどの総菜パン系も出しています。
コルネ、シナモンロール、よもぎパン、アンドーナツ、ケーキドーナツ、甘食、クリームパン、ブドーパン、クロワッサンの原型というクレッセントバターパン、ベーコンエピパンなどなど、どれを食べてもしっかりパンの味がします。
クリスマスが近くなるとシュートレンが出てきたり、紅茶ケーキやロールケーキ、かぼちゃケーキやチョコレートケーキにレーズンサンドなどなどの焼き菓子もよく新作が出てきます。こうした焼き菓子系は大将の息子さんが得意なのだとか。アップルパイとかブルーベリーパイとかもありましたね。
家族経営の小さな店ですがパンの種類は40以上はあるでしょうか。でも時間によって売り切れになるパンも結構ありますので、欲しいものがあれば焼き上がり時間を狙って行くといいですね。
それから、この店はよく新作のパンが出ます。それを試してみるのも楽しいです。この前は栗入りのフランスパンが出てましたね。
店番によく出ているこの店の大将はお話し好き。放っておくといつまででもおしゃべりしてくれます。パンに対するうんちくもすごいですので、興味がある人は面白いでしょうね。(そうでないときは買ったら早々に退散しましょう^^;)
この店のパンを食べると、巷にあふれる「焼き立てパン」などと言っている店の多くが、パン本来の味ではなく、いかに香料や何らかの味付けでパンの力のなさを補っているかが分かります。
先の丸十製パンとか、武蔵野市の欅パンの家とか、千駄ヶ谷のトゥルナージュとかとともに、これからも美味しいパンを送り出してほしい店です。でも人気が出ると売り切れちゃうからちょっと困るんだけどね^^;
8位
1回
2011/07訪問 2016/05/05
マイレビュアーのともひろたんさんのレビューを拝見して、行きたいと思っていた店。
ちょうど新橋方面に仕事があった日の午後6時に、外堀通りの一本南側にある店の前に到着しました。
すでに7割ほどの入りです。
お一人さまをスタッフに告げると、「申し訳ないのですが7時から予約が入っているので6時50分までしか席がご用意できませんが」とのこと。
そりゃかえって、サク飲みで終われるので好都合です。
カウンター席に座らせてもらうと目の前に壁にはサーバーがずらり。
壁の向こう側には、まさにビールが売るほど待機しているわけですねえ。
メニューには30種類の全国各地の地ビールの名前が載っています。
では、まずは東北地方の復興を祈って、いわて蔵 IPA(岩手県)からいきましょう。
通常の4倍のホップを使ったビール。
きっちりとした苦味が効きます。
爽やか系の苦味で後味がとてもいい一杯です。
この店のビールは1パイントどれでも780円。
1パイントとはいっても、アメリカンサイズですから、473ミリリットルです。
レディーボーデンのアイスクリームカップにビールが入っていると思えばいいわけですね。
ではつづいて、780円で飲めるということに惹かれてサンクトガーレンXPA(神奈川県)です。
サンクトガーレンが、アメリカンサイズとはいえ1パイント780円というのは破格の値段じゃないかと思います。
あるビアバーのマスターも、この値段はちょっと信じられないくらいお得だと言うくらい、プロも認める価格設定。
XPAはこれまた通常の4倍のホップを使ったビール。
苦味がかなり強いのですが、やはり爽やかな苦みです。
こちらのビールはフルーティーな柑橘系の味も混じってコクがありますね。
ここでつきだしに出たのは、紫キャベツと鶏肉のフライのマリネ。
マリネの酢加減が甘めでいいですね。
つまみとしてオーダーしたのは、ラタトゥイユとチーズ風味の目玉焼き(650円)。
ラタトゥイユは、ビールの味を邪魔しないように薄味の仕上げ。
野菜の味を前面に出しています。
半熟の目玉焼きにかかっているのはバルサミコ酢。
これでさっぱりと食べられますね。
さてこの日は時間がありませんから、次を急ぎましょう。
ここで大好きな黒ビール。
プレストンエールのスタウト(栃木県)です。
これはかなりローストの香りがいいですねえ。
ドシッと落ち着いた味でコクがかなりあります。
苦味よりも甘味を感じるようなビール。
やっぱり黒は美味いですねえ。
さて、時間的にはもう一杯でラスト。
最後はやはり東北復興支援で、アウグスビール(福島県)のスノウ・ブロンシュ。
ベルギータイプのビールですね。
柑橘系の味でフルーティ、酸味がちょっとします。
コクはあるんですが重さはあまり感じないビール。
さあ、4杯目を飲みほして6時47分。
美味しいビールは水のように飲めてしまいます。
サクッとのつもりがけっこうガブッといってしまいました。
次回は、何人かともう少しゆっくりいろんな種類を飲めるといいなと思います。
そうこうするうちに、2回目の訪問も一人でフラリと入ることになってしまいました。
この日も、東北・北関東のビールを中心に、勝手に復興支援のつもりで一杯。
まずは、アウグスビールのToshi's IPA(福島)
フルーティーでやや酸味があるのはこのビールの特長でしょう。
でもIPAなので苦味もしっかり。
苦味と酸味のバランスのいいビールです。
この他にこの日飲んだのは、
オゼノユキドケIPA(群馬)
箕面ビールスタウト(大阪)
ノースアイランドIPA(北海道)
ビアバディ・バイツェンボック(静岡)
来るたびに違う種類のビールが楽しめます。
つまみは、ミラノ風カツレツ。
薄いカツで軽い揚げ上がり。
カミカツみたいですね。
名古屋本社から出張に来た同僚と合流したときは、「地ビールってこんなに種類があるんですか~」と一同大喜び。
この日飲んだのは、
アウグスビールToshi's IPA(福島)
麦雑穀工房山椒ポーター(埼玉)
カナディアンブルワリー ノースアイランドIPA(北海道)
サンクトガーレンゴールデンエール(神奈川)
などなど。
麦雑穀工房山椒ポーターは、ほんのり山椒の香りがするコクのある黒ビールでした。
この店はつまみもなかなか充実していることが、3回目に行って分かりました。
パテドカンパーニュは、トーストしたフランスパンの上に、レバーの味がしっかりするパテがこんもり盛られています。
通常2個なんですが、3人なので3個入りにしてもらいました。
ラム肉のつくねケバブ風も、通常は2個なんですが、これも人数分で3個にしてもらいました。
羊の脂分と香草の香りにスパイスの味が合体してこれはビールに合います。
肉系のつまみが、お客さんからは好評なのだそうです。
暑い暑いこの時期は、店頭をフルオープンにして外の空気を入れています。
そしてこの店は全面禁煙といううれしい配慮もあります。
そうそう、ここはトイレが一つしかないですから、あまり我慢せずに早めに行くことですね。
なんせビールですからね。
9位
2回
2017/01訪問 2017/03/25
再開発のために一時閉店をしていた京すしさんが、京橋エドグランのオープンと共にその1階で店を再開しました。
L字型のカウンター8席と奥の個室席だけと、店の規模は以前に比べて少し小さくなりました。
店を仕切るのはかつてのご主人、ではなく、以前の店の時から板場に立たれていた息子さんが跡を継がれたそうです。
先代は多趣味な方でしたので、今頃悠々自適のご様子。
後継者難で閉店する個人店も多い中、しっかり息子さんが跡を継がれたので、先代はひと安心でしょう。
以前はランチタイムにも握り鮨があったのですが、今は丼だけの営業。
鉄火丼、イナダ丼というメニューの中に、以前からの人気メニュー、はーふ&ハーフ丼がありました。
いなだ、あじ、さばの組み合わせなら980円、鉄火との組み合わせなら1,120円というのは、以前と同じ価格なのがうれいいです。
ある日は、鉄火とあじのハーフ丼。
新しいご主人は、注文を受けて一つずつ作業を進めます。
「お椀お願い」の声が出ると、注文の品がいよいよ出てくるタイミング。
丼の酢飯の上に赤身の鮪と、ちょっと軽く酢で〆た鯵がご飯を覆うように並んでいます。
切り身の数は8枚ずつ。
ちょうどセンターでスクラムを組むように並んでいます。
では鯵チームの左プロップの位置からいただきましょう。
脂がのっているのが分かる鯵。
浅く酢で〆られているので、さっぱりと食べられます。
続いて鉄火チームの右プロップから。
しっとりした鮪の赤身、噛むとジワッと脂が出てきます。
魚の旨さは前と変わらないかな。
次の時には、かんぱちとあじのハーフ丼。
かんぱちが7切れにあじが9切れ乗っていました。
あじチームはスクラムハーフまで入って、かんぱちチームはシンビンで一人退場でしょうか(笑)
かんぱちにはほんのり脂がのり、あじは前回同様さっぱりしています。
それにこの時は玉子焼き(200円)も追加。
甘味のある玉子焼きは、夜なら酒の肴としても十分役割を発揮しそうです。
ハーフ丼はがっぷりとスクラムを組み合うような2種類の美味い魚が楽しめるところがやはり魅力。
酢飯には、以前と同じく、刻み海苔と刻んだガリが乗っています。
こういう一仕事がちゃんと受け継がれているところがいいですね。
難を言えば、ご主人お一人で調理しているので、提供までの時間がちょっとかかること。
以前の店は、若い衆がいましたからね。
今度は一人ですべてをこなすから、この時間は致し方なし。
まあ、丁寧な仕事の反映と解釈しておきましょう。
夜はお任せでやってくれるそうです。
以前の店は夜もかなりお得にいいものがでてきたので、新しいお店はどうなるのか、機会があれば夜に来てみたいものだと思っています。
【再訪2012.12】
すでに半年も前に閉店してしまった店のことを書くのはどうかと思うのですが、この店の夜を書かれている方が少なかったので、こんな店だったということを残すためにちょっとご紹介だけ。
夜に伺ったのは閉店の一か月ほど前のこと。
その時は全然そんな雰囲気もない、普通の営業の様子でした。
お通しは鮑の肝です。
ねっとり旨味が凝縮した肝、スタートからハイレベルです。
まずはちょっとつまみを切ってもらいたいとお願いすると、目の前につまが置かれました。
今日のお勧めを伺うと「カンパチがいいですよ」とご主人。
脂がのっているのにさっぱりして、身にピンと張りと弾力があります。
続いては、「今日はタコですね」。
身に甘味があります。歯でサクッと切れる柔らかで適度な弾力の歯ごたえ。
モノもいいと思いますが、茹で加減もこの店の技でしょうね。
一緒に注文した玉子焼きは、ほんのりした甘味でさっぱりとした後味のだし巻。
もうちょっとつまみをと言うと、「鯵のたたきなんかいかがでしょう」。
鯵を細く切って刻んだ小口ネギと合わせて出していただきました。スダチをかけて食べます。
ちゃんとひと手間かけていただけるところがこの店の技。
この店オリジナルの「きょうはし」という冷の純米酒は、こうしたつまみの味をじゃましない、ちょっと甘味のある飲み口のいい酒です。
さて、それでは握りへと変更。
すると、「もう握ってよろしいですか」と確認したご主人は、つまを片付け、小さな手桶に入った温かい手拭を出してくれました。
寿司をつまんだ指先を拭くためのご配慮です。
こういう気遣いは心憎いばかり。
まず、「今日はこれで終わりです」という北寄貝を一貫。
柔らかで甘味と貝の旨味がしっかりします。
赤酢を使ったしゃりは小さ目、手に持っているときはきちんと整っているのに、口に入れるとほろほろと自然に潤びれていきます。
こういうきちんとした握り方は、回る寿司屋の機械では絶対できない技ですね。
こはだは締め加減の塩梅が優しさを感じます。でしゃばらずそれでも存在をちゃんと出しているほんのり甘味を感じる酢の加減。
鮪の赤身はしっとりとした旨さ、対してヅケになった赤身は旨味が凝縮されたねっとりした旨さ。
穴子は、ふわふわでトロリ。濃口のツメがいい味を出してます。同行の知人は穴子は好きじゃないと言ってたのですが、これならもっと食べたいと穴子嫌いを解消したようです。
海老は、「茹でただけで別に何の味もつけてませんよ」というのに、なんでこんなに甘いの?と聞きたくなる味。
巻物になったトロは、文句なしに蕩け、海苔はパリパリです。
かんぴょう巻は、しっかりした味付けで最後にしっかり満足感を残します。
「やっぱり江戸前の寿司っていうのは、こはだと穴子と後は煮ハマが勝負だと思います」と「私で四代目なんですよ」というご主人。
こはだと穴子はそんなご主人の気持ちがこもってました。
「今日は蛤がいいものがなかったので仕入れができなくて申し訳ありません」とのこと。確かにネタの種類が豊富ではないのですが、きちんといいものを売切れる分だけ仕入れて提供しようという姿勢が感じられます。
やっぱり夜も来てよかったなあと思いました。
一人10,000円しなかったし。
閉店する前にこの店の真価が分かってよかったです。
どこかで再開してくれないかなあ。
【再訪2011.11】
京橋でお仕事だったので、久しぶりに京すしさんでランチ。
今回は鉄火いなだ丼(1,120円)。
鉄火6切れ、いなだ6切れの計12切れが乗った丼です。
酢飯の上に刻んだガリと刻み海苔が散らされているのはどの丼も共通。
鮪の赤身は上品な脂加減ですねえ。
しっとりしてじわっと鮪の脂が沁み出す赤身。
いなだに甘味があるのは相変わらずです。
いなだは、腹身、背、胴の真ん中の部分からそれぞれ切り身を切ってバランスよくどんぶりの上に乗せる仕事の細やかさ。
職人の顔をしたご主人が、帰り際にごちそうさまと言うと、最後ににっこり微笑んで「ありがとうございました」と言ってくれるのが印象的です。
【最初のレビュー 2010.03】
丸の内方面で午後から仕事。
で、その前に腹ごしらえで八重洲へ。
みなさんの評価の高いこの店に初めておじゃましてみました。
あじ丼、さば丼、いなだ丼は980円、鉄火丼は1260円。
今回はいなだです。
モジャコ、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと、関東では順番に呼ぶ出世魚。
関西ではハマチにあたるサイズの頃だったと思います。
つけばに立つご主人の仕事は早いです。
サッと注文の魚を引いて、酢飯の盛られた丼に乗せ、素早く提供してくれます。
店は満席ではありませんでしたが、それでもカウンターに10人、テーブルに4人座っていたのに、注文から丼が出てくるまで5分待ちませんでした。
どんぶりのご飯が見えないくらい、たくさんの枚数が敷き詰められた、いなだ丼です。
14枚の切り身が乗っています。
醤油にちょっとつけて、まずはいなだを1枚。
あま~い^^
脂がとっても甘い、いなだです。
美味しいですねえ。
脂がのっているのに、ブリほど脂がきつくなくて食べやすいほどほどの脂です。
酢飯もいいですねえ。
やや甘みがあって、魚の味が膨らむような酢飯。
酢飯だけで食べても美味しいですが、魚と一緒に食べると相性がいいです。
いなだをめくると、酢飯の上には刻み海苔がかかっています。
その下にはガリ。
ガリは控えめの味ですが、アクセントとしてはいい役目をしています。
みそ汁はしじみ汁。
しじみの味が汁にしっかり出ている美味しいしじみ汁。
昼間から充実した食事でした。
夜も、資金があったら来てみたいですね。
別の日、夜に来れないのでランチに再び。
次は、あじといなだの丼です。
なんと、いなだの切り身が9枚、あじが11枚乗っています。
今回は大盛りだったので、100円増しの1080円。
切り身がこんなに乗ってこの値段は、素晴らしいの一言です。
いなだは脂がのって美味しいのは変わらず、鯵は軽く酢でしめて仕事がしてあります。
甘みは抑えたあっさりめの〆方。いい味だと思います。
こちらの丼は、酢飯を丼にドンと入れたら、その上に大きめに刻んだガリを全面に散らします。
その上に刻み海苔をまた全面に散らし、そこに切り身を乗せてわさびを真ん中に盛ったら出来上がり。
ご主人や職人さんの仕事ぶりを見ているのが、楽しくなるような作り方です。
酢飯はやや赤味を帯びていますから、赤酢を使っていらっしゃるのかもしれませんね。
夜もぜひ来たいと思いました。
10位
1回
2011/09訪問 2016/05/05
三陸漁業の復興を祈りつつ、この美味い寿司が再び食べられることに感謝
震災から半年。
仙台に出張の機会ができました。
相手先の方は「わざわざ遠いところを」と恐縮されていましたが、自分の自己満足かもしれませんが、一度は行かなくてはという気持ちがありました。
仙台駅に13時に到着。
まずは腹ごしらえからです。
新幹線の改札を出て左へ。
行列ができている牛タン通りを通過して、寿司屋が並ぶコーナーへ。
気軽に立ち食いで地元のネタが楽しめるこちらに訪問しました。
10人が入れるカウンターだけの店内は6人の先客。
3人の職人さんが注文をさばいています。
すでにビールを飲んでいらっしゃる方も見えますが、こちらはこれから仕事なので大人しくお茶で我慢。
この日握ってもらったのは次のもの。
ほや ×2
いわし
まぐろ味噌漬け
まぐろ皮炙り
まぐろすじ炙り
皮炙り
金目鯛
時さけ
さわら
時さけは北海道、いわしは茨城からのもののようですが、後は地元で採れたもののようです。
皮の炙りものというのが珍しいですね。
この時の皮の炙りはしまあじとのこと。
皮目の脂分がしっかり乗って、それが炙ることで旨味が締まったようになり、口の中でとろけます。
いわしはこの日のお勧めだったようで、臭味のない軽い脂の乗りの上品な味。
金目はあっさりとしたなかにほんのりとした脂分。
時さけとさわらはこれも表面をさっと炙って塩をして出てきましたが、炙ることで旨味がふっくらしています。
ほやは漬けになっていて、口に入れると磯の風味がしっかり。
なかなか東京じゃネタに入ってこない、地元ならではのものが揃っています。
今回は10貫で1,470円。
珍しいものが食べられてこの値段ですから納得のできるCPです。
まだ本来の地のものは十分そろってはいないようですが、三陸漁業の復活とともに、また豊富な地元の魚が食べられる店として営業を続けていただきたいと願って、午後の仕事のエネルギーをいただきました。
3月の東日本大震災で被害を受けられた方、また今年の集中豪雨で被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
震災の被害が、食にまで大きな影響を与えることも経験した一年でした。
改めて安心なものが食べられる世の中に、早く復興をしていくことを祈りたいと思います。
そんなことを考えつつ、今年行った店を眺めて10軒選んでみました。