レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2015/09訪問 2020/02/28
【再訪 2015.09】
ちょっと前ですが、名古屋から上京してきたマイレビュアーさんと、昼間酒やりましょうかとこちらにやってきました。
この店は初めてというマイレビュアーさんは、約束の時間の前から店の前でスタンバイ。
運良く行列もなかったので、早速向かって右側の扉から入店すると、「いらっしゃい~」といつもの声。
2人を告げると帳場の前の一番奥の席に案内してくれました。
もちろん相席です。
先に座っていらした方は、一目でご常連さんと分かる方。
軽く会釈をして座らせていただき、ビールと「鳥わさ」と注文すると、「申し訳ありません鳥わさはちょっと」と申し訳なさそうな反応。
鳥わさは都の指導で出せなくなったのだそうです。 残念。
それでもこの店の定番の肴は、他にもいつも魅力的なものばかり。
親子煮、焼鳥(タレ)、にしん棒煮、いたわさと注文して、酒も日本酒の冷やに変更。
高い天井、きびきび動く店員さん、様々に蕎麦を楽しむお客さんを眺めながら、こちらものんびり蕎麦屋酒を楽しみます。
その間お客さんは順次入れ替わるものの、席には常に誰かが座って酒を飲み、つまみに箸をつけ、蕎麦を手繰り、それぞれの会話を楽しんでいます。
この賑わいが心地よいとこはいつ来ても変わりません。
2人で銚子を5本空けたところで、マイレビュアーさんに食べていただきたかった「天ぬき」を注文。
さらに銚子を2本。
丼に2本入った海老天の海老が甘い。
つゆを吸い込んだ衣がまた酒のいい肴。
そろそろこの辺りでいったん〆にしましょうということで、マイレビュアーさんはもり、自分はおかめ。
ここのおかめは、具材の位置がいつも決まっている美人タイプのおかめ。
そういえば、蕎麦はもりかおかめしか食べたことがないかも。
マイレビュアーさんは、つまみにも蕎麦にもご満足いただけたようでした。
ここに来るとたいていの人はよかったと言ってくれる、味はもちろんですが多分懐の深さがそう言っていただける要因ではないかと勝手に思っています。
多分今日はてんてこ舞いの忙しさでしょう。
それでもいつも雰囲気を崩さずにきっと営業されていることかと思います。
細く長くこの雰囲気を残していただきたいものです。
この年越しそばレビューで2015年の締めくくりとさせていただきます。
お読みいただいた皆さん、今年もお世話になりました。
2016年もまたよろしくお願いいたします。
【再訪 2012.09】
神田まつやの本店に連れてってくださいと、ずっと前からお願いされていた約束を先日どうにか果たしてきました。
リクエストをいただいたBさん、神田まつやには子どものころから来ていたという蕎麦通のTさん、北千住ツアー以来久しぶり?にお会いするRさんとご一緒。
4人だと、いろいろつまみも食べられるな、などと風情ある店の前に順番待ちのために並びながら考えていたところ、一仕事思い出しました。
玉子焼きを予約せねば!
今はメニューには載っていない玉子焼きは、手間がかかるからということで、事前予約しないと食べられないのです。
並んでいる間に電話。
「これから伺いたいんですが玉子焼きを予約しておきたいのです」
「かしこまりました。何時ごろお越しになりますか?」
「今、店の前でメンバーが揃うのを待ってます」
なんていうやりとりで予約も完了。
ではメンバーが揃ったところで、向かって右側の入り口から入りましょう。
人数を告げると、いつものオペレーション通り、その人数の合わせた席を指示されます。
いつもながら天井が高く、風情があっていいですねえ。
お客さんも若い方から後期高齢者だろうなという方まで幅広く、みなさんそれぞれにワイワイ楽しそうにお話ししながら、酒を飲み、つまみに箸をつけ、蕎麦を手繰っています。
お客さんは次々訪れるので、常時ほぼ満席状態。
それでも不思議に不快な五月蠅さにならないのが、この店のいつも通りの不思議な光景です。
まずはビールで乾杯。
いつもの蕎麦味噌を舐めてのどを潤した後、酒も追加しながらこの日いただいたのは次のもの。
○鳥わさ
○棒にしん
○そばがき
○玉子焼き
○親子煮
○やきとり(タレ)
○焼き海苔
ほぼ、神田まつや「つまみ一座」の顔見世興行的ラインナップ。
初めて食べたそばがきは、木の葉の形に成形されて樽に入って登場、4つに切り分け、薬味を好みで入れてそばつゆで食べます。ねっとりもっちりとした歯ごたえで、蕎麦粉の味が口の中にふわっと広がります。またこの蕎麦つゆがいいですね。ネギを入れてチビチビ含めば、そのまま酒のアテになってしまいます。
お隣の方が、一生懸命メニューを探しても見当たらないので怪訝な顔をされていた玉子焼きは、きっちりした小判型。
Tさんによればこの形にするのに手間がかかるのだそう。
表面に三つ葉がうっすら見えます。
出汁の風味が効いた甘めの玉子焼きは蕎麦屋ならではの味。
みなさんに喜んでいただけたので、やっぱり予約しておいてよかったです。
親子煮は、この店は出汁がうまいということを実証する一品。
出汁とタレのうまさは、やきとりでも実感することができます。
蕎麦はめいめい好きなものを注文。
おかめそばにしてみました。
温かいつゆの張られた丼には、蕎麦の上にもみ海苔が敷かれ、玉子焼き、たけのこ、かまぼこ、甘辛く煮た椎茸、ほうれん草、なると、湯葉が乗ってます。
蕎麦つゆよりも濃い味に煮た椎茸、甘味のある玉子焼き、シャクッとした歯ごたえのたけのこ、風味いっぱいの海苔など、一つ一つに手がかかったなかなか豪華で贅沢な蕎麦。
でも値段は950円と、にしん蕎麦より安価。
実は、昔からおかめそばって好きなんです。
温かい蕎麦は、出汁の旨味がお腹の中に染み渡りました。
この日は大相撲秋場所の初日の前日ということで、呼出さんによる触れ太鼓がちょうど回ってきました。
一層の江戸風情を味わってこの日は打ち止め。
1人4,000円ほどで、味も雰囲気も楽しめて得した気分の一日でした。
ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
【最初のレビュー2011.09】
マイレビュアーのM氏から神田か新橋辺りで飲みたいとメール。
蕎麦屋飲みもしてみたいということなので、そんじゃあ神田まつやでしょう、ということで、久しぶりに夕方やってきました。
この辺りは戦争でも焼けなかった貴重なエリア。
戦前からのものというお店の構えは老舗の風格そのもの。
店内にかけてある昔のこね鉢や柱時計、高い天井、柱や梁からも歴史を感じることができます。
それから、入口は店の正面に立って向かって右側、出口が左側ですから出口から入らないようにね。
食べログを始めてから訪問したのは初めてですね。
その前は何度か訪問させていただいていて、ある時は午後一の仕事が終わった2時過ぎから酒を飲み始め、メニューに乗っていた肴を全部食べてもり蕎麦で〆たこともありました。
この店は通し営業ですから、昼間っから飲んでいる方もけっこういますよね。
さて、まずはビールでのどの渇きを潤します。
サッポロの赤星があるんですよね~。
酒を頼むと蕎麦味噌がちょこっと付いてくるのも蕎麦屋らしいサービスです。
蕎麦屋ですからもちろん蕎麦がメインなんですが、蕎麦に使う種ものが蕎麦前の肴になっているところが老舗の蕎麦屋さんらしいところ。
焼鳥の鶏は鶏南蛮、かまぼこはおかめ、焼き海苔は花巻、にしんの棒煮はにしんそば、天種はもちろん天ぷら蕎麦に使うもの。
それがおつまみとして出されてくるところは、昔からの蕎麦屋さんのやり方を受け継いでいるものですね。
今回は鶏わさに焼鳥、焼き海苔といったところからつまみにいただきました。
鶏わさの上には、わさびとともにたっぷりの白髪ネギが乗っています。
鶏はキレイな色をした新鮮そのもの。
ちょっと湯引きしてあります。
焼鳥は塩でいただきましたが、脂の乗ったいい鶏です。
その脂を吸った葱もまた美味しです。
焼き海苔は厚みがあってパリパリ。
適当にちぎって山葵を乗せて醤油をちょっとつけてもよし、蕎麦味噌を乗せて食べても良しです。
こういうつまみがでてくるとやっぱり酒ですね。
日本酒は菊正宗だけなので、それをぬる燗でいただきます。
追加したつまみは、にしんの棒煮。
しっかり甘辛の醤油味に煮込まれたにしんは、もちろん蕎麦に乗せたら絶対美味いと思わせてくれますが、酒のアテにも最高です。
山椒をちょっとかければ、香りもアップ。
ついお銚子をもう一本追加してしまいます。
こちらで嬉しいのは、メニューには書いていませんが、天ぬき、鴨ぬきもやってもらえること。
他の席のお客さんの中には、かき揚げ蕎麦の上だけをまず持ってきてくれと注文して、お銚子を空けている方もいらっしゃいます。
我々は今回は天ぬき。
丼に張られた温かい汁に、海老の天ぷらが2本と三つ葉、結んだかまぼこが入っています。
温かいものが食べたいなと思う時はこれがいいおつまみになりますね。
プリンとした海老ももちろん美味しいですが、汁を吸った衣もまたいい味を出しています。
温かい汁物でお銚子を空けたら、もり蕎麦で〆にいたしましょう。
相変わらず風味のあるふくよかな旨味の蕎麦です。
喉越しのいい二八。
汁はかなり濃い味の江戸の辛汁。
このくらい濃いから、そばをつけるのは半分未満で十分です。
店内は6人掛けと8人掛けのテーブルなので、相席は当然。
みなさん賑やかに酒を飲みつまみを食べ、そばを手繰っています。
奥様がちゃんと両手でご主人にお酌をしてあげている老夫婦、背筋をきちんと伸ばして蒲鉾と焼き海苔でお銚子を重ねる紳士、子どもにこの店のうんちくを語って酒を酌み交わしているお父さん、職場の話題で盛り上がるサラリーマン、蕎麦屋デートらしいカップル、今度は○○にも行ってみようよと語り合っている蕎麦屋巡りの方、いろんな方々が、それぞれの話題で話しています。
でもそれが騒がしくも五月蠅くもないのがこの店の不思議。
お客さんの賑やかさがこの店の+の活気になっているのを感じます。
誰でも気軽に入って一杯やっていける蕎麦屋さんの気取らない雰囲気が、店の中に染み込んでいるんでしょうね。
店内の女性スタッフの目配りや連携もお見事。
荷物のあるお客さんには、「お荷物をお持ちしましょうか」と声をかけたり、席の埋まり具合を把握して、次に来る客が何人かによって案内する席をみなさんで目配せ確認していたり、てきぱきと動かれています。
料理だけでにとどまらない老舗の力を感じさせてくれる総合力の高い店だなと、こちらに伺うたびに感じさせてくれます。
帳場に座るのは大旦那。
うちの職場の大先輩と昔の同級生だったそうで、勘定の際に昔の話を懐かしそうに語っていただいたときは、物腰の柔らかい一方で気骨もある方だと感じました。
いつまでもお元気でいていただきたいものだと思っています。
2位
1回
2015/05訪問 2016/05/05
昼間から蕎麦屋酒やりませんかとマイレビュアーさんからお誘い。
場所は赤坂とのこと。
なかなか行くことのないエリア。
一も二もなく喜んで参加させていただくことにしました。
青山一丁目から外苑東通を南へ、山王病院の手前を左折し、アジア会館やカンボジア大使館の前を通って坂を下り、道なりに進んで行くと路地の入口に偶然この店の看板を発見。
この看板が見つからなかったら危うく通り過ぎるところでした。
路地を入ると住宅が並んでいます。
遊んでいる子どもたちにこんにちはとあいさつしながら進むと、ある住宅の入り口に木製のお店の看板。
やはり看板がなければ店とは気がつかないでしょう。
開店時間の11時30分に、気の合ったこの日の参加者4人が店の前に集合。
挨拶もそこそこに店頭の写真を写して店内へ。
玄関を入って階段を下り地下へ。
店主の趣味の品が数々並ぶ席の一番奥、3角形の6人掛けの席に4人で座らせていただきました。
この席は明り取りの天窓から木漏れ日が入ってくる席。
必ず晴れを呼び寄せるこの日の幹事さん実力発揮の設定です(^^)v
「晩酌セット」はお酒が限定されるとのことなので、「お通しセット」(1,000円)、「出汁巻き玉子」(800円)に「お豆腐」(600円)で蕎麦前を楽しむことにしました。
ビールで乾杯していると、まず登場したのが出汁巻き玉子。
甘めの味のしっかり焼かれた玉子焼きが、大根おろしを添えられて出汁に浸って出てきました。
このパターンは初めてです。
続いて登場した「お通しセット」には、山葵漬けを添えたかまぼこ、茄子の煮浸し、長芋の浅漬け・おかかの乗ったクリームチーズが乗っています。
マイレビュアーさん曰く、山口のものではないかというかまぼこは歯ごたえがあって味がしっかりしてます。
わさび漬けを乗せてもかまぼこの旨味がきっちり味わえました。
長芋はシャクシャク、茄子にはしっかり出汁の味が染み込んでいます。
こんな肴が出てくると日本酒を注文しないわけにはいきません。
この日は飲み口のいい金澤屋の純米吟醸に、ちょっと渋味が特長の天青純米吟醸を2合ずつ。
「お豆腐」には、上に小口ネギやおかかがかかっていて、冷奴のように小皿にとって醤油をかけて食べます。
大豆の甘みがしっかりとした感じられ、豆の風味が口の中に広がる水分少な目の豆腐。
日本酒をしっかり受け止めます。
蕎麦はそれぞれが好みの、冷たいそばを4種類注文。
食べロガーならではの選択です。
私は最もシンプルな「ざる蕎麦」。
海苔はかかっていないもり蕎麦タイプ。
甘みのある細打ちの蕎麦です。
つゆは、出汁の旨みがしっかりして、ちょっと甘味のあるバランスのいいもの。
冷かけも美味しそうだったな。
蕎麦湯はちょっと粉を足していましたが、ドロドロタイプではないので及第点でしょう。
お客さんは周囲の方が半分以上、評判を聞いて食べに来た人が半分弱程度でしょうか。
ピーク時も混み合うという感じではなく、昼間は蕎麦だけというお客さんも多いので落ち着いた雰囲気が保たれています。
厨房は1階にあるらしく、地下にあるフロアは女将さん一人の接客なので、注文はタイミングを見計らってというところがありますね。
まあゆったりした雰囲気なので、ガツガツしないで料理と酒を楽しみましょう。
3位
1回
2015/04訪問 2016/05/05
新橋で飲みましょうかとマイレビュアーさんにお話したところ、逆にこの店での会食をセットしていただいてしまいました。
お手数をおかけしてありがとうございました。
外堀通りから愛宕山寄りにちょっと入った一角。
ビルの一階にある店の引き戸を開けると、L字になったなったカウンター7席のみの小さな店。
寡黙な店主が一人で全てをこなしています。
注文していただいていた料理は3,600円の「お任せ」。
というか、20時まではこの「お任せ」のみとのこと。
追加注文はOKだそうです。
全員がそろったことろで、プレミアムモルツの小瓶で乾杯。
料理もスタートです。
まずは、「蛍烏賊の酢味噌和え・手羽のコンフィ入りポテトサラダ」
コンフィがポテサラに旨味を加えます。
「蚕豆饅頭」は饅頭の緑色と添えられた柚子の黄色が鮮やかな上品な椀物。
饅頭の中は鴨の挽肉だそうで、蚕豆の甘味と鴨の旨味のバランスがいい一品でした。
「鶏の焙り昆布〆」には、昆布でしっかり〆られた鶏のささみ肉が登場。
炭火で炙ってスライスされて提供されました。
余分な水分が抜けたささみ肉は自らの旨味も凝縮され、そこに昆布の旨みが加わり、食べ応えがあって日本酒が進みます。
「こめたまの出汁巻玉子」は、マイレビュアーさんによればこの店の名物とのこと。
出汁多めのしっとりとした色白の玉子焼き。
さっぱり感がいいですね。
「筍焼き」は出てきたとたんにこうばしい香りがたちこめます。
シャクシャクとした心地よい歯応えに、醤油の風味。
春らしい一品です。
「媛っこ地鶏と千住葱の塩焼き」もこの店の定番料理とのこと。
鶏の旨味、葱の甘味、添えられた鶏のつくねがこれまた濃厚ないい味です。
蕎麦の前に、一品ものの「鶏皮のざく」を追加。
脂を落として細切りにされてカリッと炙られた鶏皮と、胡瓜、長葱、茗荷(かな?)の細切りの土佐酢和え。
ざく切りだからさくなのか、胡瓜の緑でザクをイメージしたのか、さあどちらでしょう?
この店、「日本酒を飲まない方、少量(一合以下)しか飲まない方の入店はご遠慮願います」と店頭に書いてあります。
では飲まないわけにいきませんな(笑)
ビール後は、「風の森純米無濾過生原酒」。
ちょっと酸味があってシュワッとする酒で、この酒のみは冷や向き。
店主の好みもあるのか、これ以外の酒は燗がお勧めだそうです。
2種目は、「隆純米無濾過生原酒備前雄町」。
通常日本酒は600キロのタンクで仕込むそうですが、513キロ分しか原料となる雄町がなかったため、513キロで仕込んだという稀少品。
燗をしてもその濃厚さが伝わってきます。
〆は「秋鹿霙もよう純米吟醸にごり生原酒」。
締まった旨味の辛口の酒です。
蕎麦は、「せいろ」と「田舎」の両方を味わおうと全員が「二色盛り」。
十割ですから蕎麦の風味がしっかりしています。
せいろも田舎も喉ごしの良いところがご主人の腕前でしょうか。
つゆは旨味がたっぷりで蕎麦の味を見きたてます。
ナチュラルな蕎麦湯で割ると、つゆの旨味が一層引き立ちますね。
蕎麦屋は酒を楽しむところということを体現した店。
季節の素材と蕎麦でゆっくり酒を楽しみましょう。
4位
1回
2015/03訪問 2016/05/05
新橋に仕事場が移転してきて周囲のランチ店探し。
芝郵便局近くの路地を入ったところに蕎麦屋さんを発見。
入口には蕎麦粉を挽く電動臼があったので、ちょっと期待をしつつ初入店しました。
カウンター7席に奥にテーブル席が8席、手前にテーブル席が4席という小さな店。
午後1時過ぎは先客1名のみ。
カウンター席の一つに腰かけさせてもらって、メニューを眺めます。
昼は天ぷら系はやらない様子。
初回なのでもりそばかなとも思ったのですが、「茄子つけ蕎麦」(1,380円)という他の店ではあまり見ない蕎麦があったので、試しにと注文してみました。
茄子、ピーマン、三つ葉、長葱が入った温かいつゆにつけて食べる蕎麦。
茄子とピーマンは油で炒めてあるようです。
けっこう具だくさん。
茄子によく出汁が染み込んで、これで一杯飲めそう。
ピーマンもえぐみが抜けているので、ピーマン嫌いの人でもなんとか食べられるんじゃないでしょうか(笑)
「今日は山形産です」という十割の蕎麦は、口の中に入れると蕎麦の風味がふわりとしてほわんとした甘味が出てきます。
出汁はかつお節とこの蕎麦のつゆには若干の雑節。
もりそばには鰹節だけで出汁をとるそうです。
丸みがあって、蕎麦の甘味を引き立てるようなつゆでした。
蕎麦の甘さがよりふくよかになる感じです。
後で食べログを見ると、マイレビュアーさんもご訪問のなかなか評価の高い店。
夜はその日の仕入れでメニューにない肴や日本酒が味わえるとのこと。
ということで、裏を返しに夜にも訪問。
カウンター席に座らせてもらうと、ご主人から「夜も来ていただいてありがとうございます」とご挨拶がありました。
ビールを一本もらうと、お通しは小松菜のおひたし。
おひたしの出汁もいい味を醸し出しているので、料理にも期待感が高まります。
コクと華やかさのある甘味と旨味の陸奥八仙黒直汲みに飲み物を替えて、肴にしたのは油揚げのいしる香味焼(432円)。
これが目の前に置かれた瞬間、香ばしいいい香りが漂います。
魚醤なので旨味もしっかり。
日本酒のための肴です。
しっかりした旨味の鷹山初しぼり生純米原酒に合わせたのは、この店のお薦めという肉とうふ(594円)。
豆腐も上に乗った豚肉も見た目は真っ黒。
しかし豆腐に箸を入れると中は白い絹ごし豆腐なのです。
八丁味噌かな?と思ったら、「ワインなどを加えた好みの秘伝の味噌なんです」とのこと。
黒と白のコントラストが面白い豆腐、しっかり煮込まれた豚ばら肉、こってりした濃い味にお酒がすすみます。
本日のお薦めという天ぷら盛り合わせには、こごみ、うど、蕗の薹といった春の息吹を感じる種物に海老とししとうが乗ってました。
サクッとした歯応えのうどに、ほろ苦い蕗の薹がいい味を出しています。
まったりした甘味に追いかけてくる酸味で切れ味を感じる杉勇純米酒、シャープな味わいの男山国芳の名取り酒で流させていただきました。
〆は十割のせいろ。
ランチ同様、風味を感じる蕎麦です。
つゆはかつお節だけの出汁ということと冷たいせいか、旨味がグッと強い感じ。
蕎麦の風味をガツンと受け止める味わいです。
蕎麦湯はかき混ぜる棒が付いていますが、ドロリとするほどではなく自然体に近いものでした。
夜の方が真価を発揮しているように思います。
なので、3度目はマイレビュアーさんと蕎麦屋飲み。
お通しのキャベツの出汁煮をつまみながら、ビールで乾杯。
前回に続き杉勇純米しぼりたて生原酒、ガツンと飲み応えのある竹鶴生酛に素早く切替です。
序盤戦の肴は、新じゃがのつや煮、ホタルイカとうるいの酢味噌和え、根みつばおひたし。
春らしい肴。
中でも新じゃがのつや煮の照りがいいですね。
ホクッと熱々の新じゃがに絡めた甘辛のタレは、それだけでも酒の肴になりそうな味でした。
全員そろったところで次の日本酒を注文しようとすると、ご主人が「メニューにないものもあるんですよ」といって出してきたのが、
Sogga pere et fils Trois2014。
しかも3号酵母じゃないですか。
ご主人は偶然に2号酵母から5号酵母のものを仕入れてきたのだとか。
それではということで、3号酵母のトロワと5号酵母のサァンクを飲み比べ。
3号酵母の方がちょっと酸味がある感じ、やや古感のある一癖秘めた味わい、対して5号酵母の方が安定感のあるおおらかな味わい、貴重な飲み比べを体験させていただきました。
この他に大那超辛口特別純米無濾過生原酒、紀土純米吟醸にごりざけ生も追加。
きっと、どれだけ飲む客だと呆れられたことでしょう(笑)
合わせた肴は、前回もいただいた肉豆腐に油揚げのいしる香味焼き、さらにネギ入り出し巻き玉子、ピリ辛こんにゃく、天ぷら盛り合わせ。
ネギ入り出し巻き玉子は、出汁1.5倍のものなので、鰹出汁の旨味が存分に味わえました。
天ぷらには、海老、南瓜、行者にんにく、山菜。
行者にんにくがその存在を主張します。
これだけ飲み食いしてさらに〆の蕎麦。
よく食う客だと呆れられたことでしょう(笑)
自分が注文したのは剣客そば。
もみのり、かいわれ、ネギの乗った蕎麦。
太打ちなんですが、あまり太すぎるという蕎麦ではなく喉ごしがなかなかいいのです。
もちろん蕎麦の風味がしっかりありました。
2度目の時はご主人が店の前までお見送りをしてくれました。
なかなか丁寧な接客のお店だと思います。
BGMは落語。
演目はもちろん「時そば」です。
5位
1回
2015/08訪問 2016/05/05
【再訪2015.08】
ようやくこの店で蕎麦屋酒を楽しめる機会がやってきました。
前回訪問時からもう5年もたっています。
5年経っても店構えや店の内部は全然変わっていません。
相変わらず、町の普通の蕎麦屋の佇まい。
でも店内には豊富な日本酒の札が下がっています。
その中から、陸奥八仙をまずは発注。
相変わらずフルーティーな一杯。
この日は続けて、結人純米吟醸、萩の鶴純米吟醸、乾坤一といったところをいただきました。
後から入店されたご常連さんと思われる方のところには、最近仕入れたらしい珍しい酒が勧められていましたので、顔を覚えてもらうと面白い酒にありつけそうです。
合わせた肴は、たぬき豆腐、定義三角あぶらあげ、天ぬき。
たぬき豆腐は、蕎麦つゆで豆腐とねぎを煮込み、揚げ玉をたっぷり乗せたもの。
蕎麦つゆを吸い込んだ揚げ玉と豆腐を一緒に食べると、豆腐と蕎麦つゆの味が一体となってなかなか美味い。
蕎麦屋らしいアイデアの肴です。
定義三角あぶらあげは、三角定規の形をした厚みのあるふんわりしたあぶらあげ。
生姜醤油でさっぱりいただきます。
天ぬきには海老天とかぼちゃ天が入っていました。
たぬき豆腐もそうでしたが、蕎麦つゆが出汁がしっかり効いていて体に染み入るような旨さです。
それだけ美味い蕎麦つゆなら〆はせいろかと思いきや、メニューに面白いものを見つけたので方針変更。
それは「北極カレー南蛮」。
冷たい蕎麦のカレー南蛮と説明されています。
要は、せいろ蕎麦を豚肉とネギの入ったカレーのつけ汁で食べるもの。
ちなみに鶏肉の入ったカレー汁で食べると、「南極カレー南蛮」になります。
この店はメニューのつけ方がユニークですな。
でも蕎麦は粗挽きのかなり風味のしっかりした細打ち。
出汁とスパイスの効いたカレー汁で食べても、ちゃんと蕎麦の味を主張する力強さ。
このメニューには蕎麦の選択の説明がなかったので、カレー汁にはこの蕎麦なのでしょう。
ようやく美味い酒で蕎麦屋酒を楽しむことができました。
でも何度か通って、お店の方から「ちょうど仕入れたこの酒があるんですよ」と言われるようにならないといけませんな。
【最初のレビュー2010.02】
休みの日に家から吉祥寺まで歩く途中。昼ごはんを食べようかと思っていた店が休業だったので、急きょ方針変更。
成蹊大学の前から五日市街道を東に行くとこの店です。
一見街の普通の蕎麦屋さんですが、よく見ると日本酒の種類が豊富で、手打ちの蕎麦屋さんであるということが出ています。
鴨せいろを注文。
しばらくすると、粗びきの色の黒いそばと、鴨の入った温かいつけ汁が供されます。
粗びきのせいか、やや風味の強い蕎麦ですね。
つけ汁は鴨の脂が出てやや甘め。
風味の強い蕎麦はこのつけ汁と相性がいいのですね。
風味の強さをつけ汁ががっちり受け止めて、鴨の脂で深みを出します。
鴨肉もしっかりした味付けで美味しいです。
食べ終わってから、ナチュラルな蕎麦湯をつけ汁に注いで飲んでいるとそばは美味しかったのになぜか残念な思いが…
この日はこの後に用事があったので「そばだけ」で終わらなければならなかったからです。
メニューを見ると、いろいろな種類の日本酒があるではないですか。
それに肴も数々あるではないですか。
こちらに来る時は、昼間っからでも飲んでもいいような体制で来ないといけませんね。
今度は飲める設定で伺います。
6位
1回
2015/06訪問 2016/05/05
大きなから揚げで人気のタオの隣の蕎麦屋さん。
こちらのご主人も、新橋で多くの店を展開する本陣房のご出身だそうです。
店の雰囲気はご出身の店よりもずっと上品な感じ。
個室スペースもあります。
壁際に並ぶソファー席の奥に座らせてもらうと、なんとかく落ち着いた雰囲気。
蕎麦前でゆっくりしたくなってしまいます。
しかし、今はまだランチタイムなので蕎麦のみでいくことに。
店の前は何度か通っていたので、ランチタイムには通常メニューの他に「昼のお得メニュー」があることはリサーチ済み。
まずは、そのお得メニューから試してみることにします。
3種類ある「お得メニュー」の中から、本日は穴子と野菜の天もりの大盛り(1,200円+320円)。
13時を過ぎていたので、お客さんもまばらとなり蕎麦の提供もスムーズでした。
天ぷらには穴子が一尾きちんと使われています。
軽くホクホクに揚がっていて、油切りもきちんとしていました。
人参とししとうの天ぷらも添えられていますね。
蕎麦は二八の手打ち。
この日の蕎麦粉は北海道深川市産だそうです。
風味はさほど強くないですが、喉ごし良くいただけるタイプ。
蕎麦つゆは、天ぷらと兼用で出されます。
これが、天もり本来のやり方とはマイレビュアーさんから教えていただいた知識。
で、つゆの味は鰹出汁がしっかりしたバランスのいい甘味の濃い味。
ナチュラルタイプの蕎麦湯で割ってもかなり美味いです。
2度目は、もう一つの「お得メニュー」のキスと野菜の天盛り(1,200円)
キスが2尾に、人参、ピーマン、かぼちゃの天ぷら。
キスはホクホクに揚がっていて、これで一杯やりたいくらいです。
夜は肴と共にいい酒も用意してある様子なので、3度目にしてようやく夜に訪問してみました。
出張してきた後輩と、まずはヱビス生ビールで乾杯。
お通しには蕪に鴨味噌をかけたものが出てきました。
こりゃなかなか気の利いたものが出てきます。
二人とも蕎麦屋酒で飲む気満々なのですが、肴には蕎麦屋さんらしいものがいろいろ。
玉子焼き(850円)は一人前でも2人でシェアしてちょうどいいくらいの大きさ。
出汁をしっかり効かせて甘さを極力抑えた、酒飲みのための玉子焼き。
どんこしいたけ甘辛煮(750円)には、肉厚のどんこ椎茸が3個登場。
一個の椎茸を4つに切ってあるので、ちょこちょこつまむのに持って来い。
甘辛の煮汁をしっかり吸い込んだ肉厚のどんこ椎茸は、しっかり酒を進ませてくれます。
鴨の網焼き(950円)は、うまみのしっかりした鴨肉。
柚子胡椒をつけて食べるのは幸せです。
べったら(540円)は、甘味控えめで麹の味をしっかり効かせた漬物。
大根のパリパリ感がいい歯応えです。
合わせた日本酒は、くどき上手純米吟醸、満寿泉特大吟醸、景虎特別純米。
値付けは800円台900円台が主流で、種類は10種類ほど、桝の上のグラスに並々で注いでくれます。
〆の蕎麦はせいろ。
二八の細打ち。
夜の方が蕎麦の旨味があるような気がするのは、やっぱり飲んだせいかな(笑)
混んでくると賑やかにはなりますが、店の雰囲気は落ち着いているので、ゆっくり蕎麦前を楽しんでくつろげる店かと思います。
一人酒よりも気の合った3・4人ぐらいで蕎麦屋酒を楽しみたいですね。
7位
1回
2015/09訪問 2016/05/05
新橋に本拠を構える本陣房の系列の蕎麦屋さん。
外の表示と暖簾には「竹泉」と書いてあっても、地下におりる階段のところには「本陣房」の表示があります。
本陣房系列ということは、飲ませる蕎麦屋ということ。
最初から飲む気満々で階段を地下へと降りていきました。
暖簾をくぐると、店内は4人掛けの席が6つ。
お一人様でも、2人でも4人でもその4人掛けの席に案内されます。
混んでくれば相席もあるのかも知れませんが、今回は一人で4人掛席を独占。
ゆったり蕎麦屋酒を楽しませていただきました。
まずは、くどき上手純米吟醸(850円)からスタート。
爽やかな甘味とふくよかな旨味でフルーティな味わいの酒。
お通しは野菜と生魚の味噌和え(のようなもの)。
これ、酒に合います。
お通しだけではらちが明かないので、最初の肴に焼き椎茸(850円)を選択しました。
この焼き椎茸は干し椎茸を戻してから焼いたんでしょうか?
椎茸の旨味がギュッと凝縮された味がします。
椎茸好きにはたまらんという肴。
これには醤油じゃなくて塩をちょっとつけるくらいがちょうどいいです。
酒は2杯目からこの店の名物の桝酒(750円)に変更。
お皿の上に乗せた桝に器に入った酒を注ぎ入れてくれます。
もちろん桝から受け皿にお酒が溢れるくらいに。
その酒は木の香りのするドシッとした飲み応えのある酒でした。
合わせた肴は蕎麦屋の定番の玉子焼き。
「当店の玉子焼きは一人前が大きいのでハーフサイズにいたしましょうか?」とお店の方。
甘さを抑えた出汁をほんのり効かせた酒飲み向きの玉子焼きは、ハーフサイズでも一人なら十分な量でしたから、こうした心遣いはうれしいですね。
もう一つ合わせた肴は穴子素焼き(1,450円)。
贅沢価格ですが、これが美味い!
さらっとした脂がのり、身はホクホク。
これは間違えなく日本酒が進む危険な肴。
まんまと桝酒をお代わりさせられてしまいました(笑)
〆にはせいろもり(650円)。
小さなせいろの二段重ねで出てきます。
喉ごしのいい二八、蕎麦の風味もしっかりしてます。
つゆは出汁の利いた濃い味。
蕎麦前も蕎麦も出来はきちんとしているかと思います。
〆の蕎麦湯が自然体なのも好ましいところ。
この店の4人掛けの席は広めなので、ゆったり安定した味の蕎麦屋酒を楽しませていただきました。
ランチには、もちろん酒抜きで食事だけすることができます。
ある日は小海老天の二色盛り(1,550円)。
ホントは変わり蕎麦にしたかったのですが、この日はせいろと田舎しかできないとのこと。
残念ながらそれで我慢。
それでもせいろは前回同様喉ごしがよく、田舎はしっかりした蕎麦の風味が楽しめるもの。
CPでのお得感はありませんが、きちんとした仕事が窺えます。
やっぱり昼にそばを食べるだけではなんとなく物足りない(笑)
また夜に、たまにゆったり蕎麦屋酒を楽しみに来たいと思います。
8位
1回
2015/03訪問 2016/05/05
江戸蕎麦の老舗の店で作る木鉢会という会の会員の一店。
個人的に最も好みの神田まつやさんもこの会の会員。
三代目以上が会員というこの会にあって、今の店主は六代目だそうです。
江戸時代に創業した歴史のある蕎麦屋さんななんですね。
店内は総檜とのことで、壁には日本画も掛けられ、天井高も高いです。
とはいえ、店内も店構えもそんなに堅苦しい雰囲気はありません。
落ち着いた雰囲気と清潔感を保ちながらも、「蕎麦は庶民の食べ物だからね」とでも言いたげな気取りのない店内。
カウンター席はなく、4人掛け、2人掛けのテーブル席が並んでいます。
お一人さまは2人掛けの席に着席。
桜えびの天ぷらのかけそばと迷った結果、この店の名物でもあるらしい鴨つくねのせいろを大盛り(1,520円)でいただくことにしました。
座った席の横には漫画の本が置いてありました。
どうもこの店のことが掲載された漫画のようです。
待っている間に眺めていると、この店の鴨南蛮を食べた力士が勝ち星を重ねていくという話。
この店の鴨南蛮はそれくらい有名だということなのでしょう。
さてさて、7・8分で店主が自ら作りたての鴨つくねせいろを持ってきてくれました。
店主さんも全然気取ったところのない人柄のよさそうな方ですね。
写真撮影も気持ちよくOKをいただき、素早く写して早速蕎麦を手繰ります。
蕎麦な機械打ちかなぁと食べたときに思いましたが、よく蕎麦について教えていただいているマイレビュアーさんも機械打ちと書かれているので、間違えなく機械打ちでしょう。
でも風味はきちんとあるし、コシもちゃんとあります。
北海道産の蕎麦粉を使用しているとのことで、旨味のある蕎麦を出していますね。
鴨つくねも丁寧にたたかれた団子です。
素直に美味しいつくね。
そばつゆと一体になって、つゆに鴨の旨味を加えてくれます。
そのつゆを吸い込んだねぎもまた美味いこと。
鴨が葱背負ってとはこのことです。
全体に安定感のある蕎麦の味。
蕎麦湯がナチュラルであることも好感が持てます。
2度目は桜えびの天ぷらが入った、ぶっかけタイプの桜おろし(1,400円)。
この店の天ぷらは、グレープシードオイルという油で揚げてあるそうで、サクッととしてさっぱりした揚げあがりの天ぷらです。
桜えびも風味もしっかりする天ぷらでした。
辛味大根もしっかりその存在を示してます。
この日の蕎麦も風味とコシはしっかりしていました。
3度目はおかめそば(980円)。
蕎麦に安定感があるのは前回同様。
濃いめの温かいつゆが出汁の旨味たっぷりで美味いです。
湯葉をかんざしに見立ててあるようですが、ちょっとデフォルメされた配置の具は、海苔、筍、かまぼこ、椎茸、お麩、三つ葉、玉子焼きとおかめ八目の仕立て。
筍はしゃっくとして、椎茸にはつゆ以上の旨味が染み込んでおり、玉子焼きはほのかな甘み。
老舗の仕事を感じるおかめそばでした。
平日の昼間でもビールや蕎麦焼酎を飲まれている方もいらっしゃいますね。
確かに、ここの店はゆったり飲めそうです。
肴も充実しているようですから、夜一度は行ってみたいところです。
9位
1回
2015/10訪問 2016/05/05
仁行というミシュランにも載った蕎麦屋さんがあったということは、何人かのマイレビュアーさんのレビューで知ってはいました。
しかし、行ってみようと思っているうちに残念ながら閉店。
その仁行のご主人がプロデュースした店に行きませんか、というありがたいお誘いをいただきました。
しかも行く前に、前々から興味があった立ち飲み屋さんの0次会付き。
こんな2重のチャンスを放っておく手はありません(^^ゞ
ご手配感謝でございます(^^)v
0次会で準備運動をした後、マイレビュアーさんのご案内でこの店にやってきました。
新富町の路地に佇むビルの地下。
カウンター席もありますが、テーブル席が主体のお店のようです。
今回はメンバー3人なので4人掛けのテーブル席に案内されました。
お客さんの入りは7割程度というところ。
日によってはまだ予約なしでも入れそうですね。
すでにビールもホッピーも済ませているので、スタートから日本酒を選択。
わりとしっかりした旨味のある紀土からスタート。
美味い酒なんですが、注文の仕方が悪かったのか、1合の片口が同時に3つきてしまいました。
まあそのくらい楽に飲んでしまうメンバーなので問題はないんですけどね(笑)。
なので、次からは2合ずつの片口で注文。
食中酒向きのさっぱりした伯楽星、辛口でも旨味のある石鎚を楽しませていただきました。
こうした日本酒に合わせた肴は次のもの。
〇三点盛り合わせ(800円)。
蕎麦味噌、山葵海苔、板わさの三点。
板わさは本来2つのところ、3人なので一つ余分に出してくれました。
キュウリが挟んであって、かまぼこにしっかり旨味がありました。
○鳥レバーのパテはたり風(800円)
6切れのトーストの上にレバーのパテ。
わりとしっかりレバーだぜっ!て主張してますので、酒にもしっかり対抗します。
〇江戸前玉子焼き(800円)
タマゴスキーさんがいるのでこれは必須アイテム。
かえしを効かせ、甘みもしっかりある玉子焼き。
この美味さでこの値段はお得感があります。
○天ぷらの盛り合わせ(1,800円)
海老3本、なす、ピーマン、しいたけ、れんこんの盛り合わせ。
海老ラヴァーさんがいるので、これも必須アイテム(^_^)/
海老天はなかなか立派なサイズ。ちょっと火の通し過ぎの感はありましたが甘みはありました。
衣が厚めなので、天抜きにしたらよかったかもしれません。
○よせトウモロコシのいくら添え(900円)
何かの取材を受けたくらいの自慢メニューらしいです。
醤油漬けのいくらがのったものなんですが、醤油味がきつくていくらの皮が固いですねえ。
蕎麦前を楽しんだ後はいよいよ〆の蕎麦。
注文したのは、もりそば(800円)、はたりそば(900円)、胡麻酢そば(1,100円)の3種。
せっかくなので食べ比べてみましょうということにしました。
もりそばがこんもりと盛られていますね。
この盛り方がこの店のやり方なのは多くのレビュアーさんご指摘の通りです。
そして蕎麦が細い!
これだけ細い蕎麦は初めてかも。
こんな細い蕎麦をあんなにこんもり盛って、蕎麦がくっついていなかったりこんがらがったりしないところはきっとさすがの腕前なのでしょう。
もりそばのつゆはかなり辛いタイプ。
蕎麦はのど越しがよく、コシがちゃんとあります。
これだけの細さなのにちゃんと腰があるとは柳腰の美人タイプ(笑)。
蕎麦本体の風味はそれなりにあると思うのですが、細い分蕎麦の風味が口に広がるということでもなく、つゆの辛さにちょっとやや分の悪さを感じます。
仁行をよく知るマイレビュアーさんは、「会席の中での蕎麦」と仰っていましたが、蕎麦単独ではちょっと物足りなさが残るかもしれません。
はたりそば、胡麻酢そばはなかなか工夫の見られる一品でしたよ。
こういう蕎麦も新しい体験で面白いものだと思います。
その真髄を理解するためには、私のレベルではもうちょっと通ってみないと掴み切れない感じはしますが。
10位
1回
2015/10訪問 2016/05/05
蕎楽亭出身の方が水天宮近くに蕎麦屋の新店を出したことは、マイレビュアーさんのレビューで情報をいただいていました。
その店でオフ会をやりませんか?と別のマイレビュアーさんからうれしいお誘い。
都内の出張先から、なんとか開始時間に間に合って駆けつけることができました。
この日は4人で、清潔感のある1階カウンター席に並んでの会。
お久しぶりの方、はじめましての方、それぞれにご挨拶をしたら、何はともあれ乾杯しましょう。
ビールはアサヒの熟撰(650円)。
味のしないスーパードライは嫌いですが、熟撰は旨味があってけっこう好きです。
乾杯が済んだらメニューを眺めて注文の品を相談。
この日はまず、天ぷら盛り合わせ(2,000円)、牡蠣の天ぷら(840円)、生シラスのポン酢(480円)、こんにゃく田楽(680円)をオーダーしました。
最初にやってきたのは生シラスのポン酢。
生シラスに甘味がありますね。
ちょっと強めのポン酢と生シラスの甘味ががっぷり四つで攻めてきます。
ビールでは太刀打ちできそうにないので、早くも全員一致で日本酒に移行。
ちょっとフルーティーで旨味のある、天明特別純米亀の尾で対抗です。
日本酒はその後、山の井八反錦、珍しい酒がありますよというご主人の紹介につい反応して注文した、央純米吟醸煌、泉川純米吟醸、蒼天伝特別純米、開運特別純米を冷やで、雁木純米ひとつ火、白鷹本醸造を燗でいただきました。
中では、ご主人お勧めの央の旨味が印象的でした。
蕎麦の実が入った甘辛い味噌ダレで食べるこんにゃく田楽は、こうした日本酒と好相性。
この味噌ダレだけでも酒が飲めてしまいます。
天ぷらの出来栄えもなかなか上出来。
才巻き海老は、頭はカリッとして味噌の風味があり、身の方は甘味があります。
穴子はホクホク、野菜系も水分が十分閉じ込められてジューシーでした。
牡蠣の天ぷらは半分に切って出していただきましたが、薄めの衣で揚げられ、牡蠣の旨味がちょうど強くなるくらいの揚げ加減。
どれも素材の味を楽しめるものでした。
酒に合わせてもう一つ追加したのはだしまき玉子(1,000円)。
だしまき玉子は人気らしく、ご主人は何回も玉子焼き器を使って玉子を焼いていました。
出汁の効いたさっぱり系の玉子焼きは酒との相性を考えての味加減のように思います。
〆の蕎麦はむぎめおと(1,000円)。
細打ちの蕎麦と冷麦の組み合わせ。
つゆもそれぞれ別々に提供されます。
蕎麦用の方が濃い味でしょうか、いずれも出汁がよく効いて旨味のあるつゆ。
ツヤのいい蕎麦でしたが、ちょっと水切りが弱く蕎麦どうしがややくっつき気味なのが残念なところです。
蕎麦も冷麦も味は非常にいいですよ。
お一人だけ注文されたカレー汁も味見させていただくと、カレーとも相性のいいそばでした。
ご主人も「実は、カレーが一番出るんです」とのこと。
ややとろみのある蕎麦湯をいただいてこの日は散会となりました。
店は1階がカウンター席、2階が座敷席になっていました。
この日は2階も満員。
早くも人気店です。
ご主人は次々とくる注文に合わせて一人で料理をこなします。
蕎麦の水切り以外は満足感の高い料理たち。
幹事のKさん、ご一緒いただいたKさんにKさん、どうもありがとうございました。
4Kの会をしっかり堪能させていただきました(^^)v
2014年は洋食屋さんでまとめましたが、2015年は蕎麦屋でまとめてみました。
このうち何軒かは、マイレビュアーにお誘いいただいたもの。
昨年もいい蕎麦屋さんをご紹介いただきありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。