2回
2023/07 訪問
あぁ┅┅蓴菜(じゅんさい)
三田のぬなわやさんに行ってきました。
ぬなわや┅┅言いにくいです。ぬなわは蓴菜の古い言い方で、沼縄とも書くとか。なるほどです。
田畑と住宅の間を行くと、ぬなわやの看板があり、そこを曲がると、竹林を切り開いた静かな場所。
二階が入り口、季節の花が品よく活けてあります。よく見ると、蓴菜の葉も。
古いお道具類が心地好く配置され、座敷の窓の向こうは先程の竹林。
ゆったりテーブル席で、食前酒用の塗りの杯からして話が弾みます。
女性お二人でなさっているので、ゆったりとご馳走が出てきます。
前菜は始めから素敵な蓴菜の白和えに不思議な三田牛のアキレスのレモン風味、ズッキーニのフリットにオクラ、新生姜の炊いたのにクルミの飴煮、季節の青梅。
日本酒を頼んだら、可愛い花を添えて出してくれました。
蓴菜を練り込んだ蓴菜豆腐のお吸い物には蓴菜の小さな芽が。なんて素敵な食感。
お造りの中トロ、鯛、カンパチともに新しくて、蓴菜を混ぜたタレでいただきます。
三田牛の焼き物はアスパラと田楽味噌をのせた茗荷と。お肉は柔らかく、お味もいいです。
続いて、メインとも言える生蓴菜!
お庭の色とりどりの紫陽花を従えて、ガラスに氷とともにあるその姿は涼しげとしか言いようがない。新鮮でしっかりしているので、ヌルがあってもお箸でちゃんと摘まめます。
更に、蓴菜の天ぷら!
どうなるのかと思ったら、薄い衣で回りはカリッ、噛むと中からヌルが!
なんて不思議な食感でしょう。抹茶塩をちょっとつけて。
茄子や生麩、山芋の炊き合わせて少し心を落ち着かせて。
珍味として、蓴菜そうめん。
練り込んであるのかと、ガラスの器に蓋として置いてあるサンキライの葉をのけると、まあ!
さすが、蓴菜を和食店に卸している会社の奥さんがなさっていると聞いてましたが、他所では手に入りませんよね。蓴菜の茎なんて!
ヌルを纏った蓴菜の茎を手間暇かけてそうめんに見立ててあるのです。
まさに珍味でした。
最後に土鍋で炊いた三田牛の炊き込みご飯、生姜風味。これがまた美味しくて。
蓴菜の赤だしと自家製お漬物。更にフルーツ。
場所を茶室に移して、お薄をいただきます。
お菓子は藻刈るまんじゅう(もうかるまんじゅう)、もちろん蓴菜を練り込んだとろんとろんの柔らかい生地で三田らしく栗餡を包んで。
贅沢に三時間以上かけていただいた蓴菜のフルコースは、他では出来ない心ゆたかな体験でした。
2023/07/28 更新
あの夢のような蓴菜を食べたくて再訪。
相変わらずの静かなたたずまい。スッと活けられた花。
ゆったり出してくれるお料理の数々。メニューラインは変わりませんが、それもまた嬉しい。
今年の蓴菜の出来は良いそうで、たっぷりのヌルの中にシャキッとした歯ごたえ。
楽しみは蓴菜のさしみ、天ぷら、そうめん。
次のお料理を待つ間にも厨房から聞こえてくる音が期待を膨らませてくれます。
そして最後にお薄といただくとろんとした藻刈りまんじゅうの心地好い甘さ。
美味しくいただきました。
ごちそうさまでした。