レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
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1位
2回
2025/03訪問 2025/04/07
祝い事があり、こちらの店に久々に家族で訪れた。心斎橋にある懐石料理のお店。18,000円のコースを予約して訪れた。店の前には、メンターシェフを祝う大きな花束がいくつも飾られている。久しぶりに入店すると、個室に案内される。
おしぼりが用意される。ドリンクを銘々選んでいく。2名がハートランドビール、1名がオレンジジュース、私は磯自慢純米吟醸をそれぞれ注文する。
ドリンクが運ばれてくる。磯自慢は、未開封のものが用意され、その場で片口に注がれる。
まずは乾杯。おめでとう、良かったと皆が互いに口にする。私も本当に嬉しく思う。
まず最初に、珍しく先付八寸が、名物の大皿ではなく、銘々の皿に盛られて運ばれてくる。小鉢には筍の木の芽和え。別の小鉢には山葵菜と蛍烏賊の和物。夫婦雛の器には、あん肝。早咲きの角皿には、紫花豆、蛸旨煮、プチトマトのコンポートジュレ掛け、そら豆塩茹でが盛り込まれている。早咲きの桜が添えられ、季節感溢れている。ただ桝田玉子がないのは少し淋しい。
山葵菜と蛍烏賊は、山葵菜の爽やかな辛味とむっちりした蛍烏賊の身の旨味が素晴らしい。また、あん肝は日本酒によく合う。蛸旨煮は、辛子が添えられてあり、柔らかく滋味深い味わい。そら豆はほっくりした食感がいい。紫花豆やプチトマトのコンポートは、優しい甘さで箸休めにちょうどいい。そして、筍の木の芽和えは、これまで食べたことがないほどの美味。筍の旨さが十全に引き出されている。どの料理も美味しく頂けた。
続いて、椀物が用意される。椀は蓋に桃か桜花に鳥の蒔絵を入れたもの。椀種は、蛤と胡麻豆腐、うるい菜に山椒が添えられている。椀の蓋を空けると、蛤の旨味が出た出汁と山椒の香りが素晴らしい。まずは一口。蛤の濃厚な旨味が口一杯に広がる。濃厚だけどくどさは全くなく、上品な味わい。続いて、胡麻豆腐を頂く。ねっとりとした食感に胡麻の香りがふうわりと広がる。蛤は、3つあり、丁度いい火入れ加減。出汁に旨味が移っているはずなのに、強い旨味をたたえている。出汁、蛤、胡麻豆腐と濃厚な旨味をうるい菜と山椒が軽やかに昇華させる。本当に旨い椀物である。やはり椀は和食の花形だと感じさせられた。
次は、向付。青磁の皿に、鯛、鮪、槍烏賊、雲丹が盛られ、海苔と白板昆布が添えられている。醤油と青海苔塩が用意される。
鯛は白板昆布に乗せて、少しの山葵と塩で頂く。とても味が甘くて素直に旨い。槍烏賊は、細かく包丁が入れられており、同じく塩で頂くと、蕩けるような食感で旨味だけが残る。鮪は、赤身とトロの部分が用意されており、赤身は、爽やかで軽やかな酸味を感じ、トロは、脂の乗った芳醇な味わい。雲丹は抜群に甘くて口の中で蕩け、旨味だけが残る。海苔で巻いて頂くと、海苔のパリッとした食感と雲丹の蕩けるような柔らかな食感のハーモニーが楽しい。秀逸な向付であった。
続いて焼物が用意される。河豚白子の唐墨掛け。軽く塩をして香ばしく焼いた河豚白子に、たっぷり唐墨をおろしたものがかけられている。焼きたての熱々を頂く。口に運ぶとまったりとしたクリーミーな味わいがいっぱいに広がり、そこに唐墨の塩味が乗り、これまた本当に旨い。日本酒は進んで仕方がない。ここで勝駒の特別純米を注文する。日本酒と合わせると、豊かな味わいが感じられ、日本料理の素晴らしさを改めて感じる。
炊き合わせは、筍とメバル。蕗や薇、茗荷なとがあしらわれている。煮汁は澄んだ少し甘めで塩味も抑えてある。にも関わらず、メバルや筍に煮汁がちょうど良い塩梅に染み込み、素材それぞれの旨味が十全に引き出されている。メバルの身は淡白な中に少し脂が乗り、抜群に旨い。筍はほんの少しだけアクを残してあり、そこに出汁が優しくて染み渡り、これまた素晴らしい。季節感溢れる素材を活かして丁寧な仕事をした驚きの一品だと感じた。
飯物は、蟹と筍とえんどうの炊き込みご飯。香の物、小吸物の味噌汁が付く。出汁と蟹そして山椒の香りが立ち昇り食欲がそそられる。蟹の旨味、筍の楽しい食感、豆の甘さ、そして蟹や筍と出汁の旨味を吸い込んだ米の豊かな味わいが、口の中いっぱいに広がる。とても旨い。皆あっと言う間に食べてしまい、お代わりをして頂く。お焦げの部分も香ばしく、最後まで美味しく頂いた。
小吸物は、花蓮の文字が椀蓋裏に書かれたもので、中身は、豆腐の味噌汁。優しい味わいで、品よく仕上がっている。炊き込みご飯ともよく合う。香の物も旨い。
水菓子とお茶が用意される。シャインマスカット、苺二種、オレンジ、レインボーキウイ、せとかの盛り合わせと、抹茶アイスと粒餡の最中。
最中の方は、抹茶アイスには、抹茶の清らかな味わうだけで甘味がほんの少ししかなく、粒餡と一緒に頂くと、丁度いい柔らかな甘さになる。最中に挟んで急いで頂く。サクッとした最中の食感に続いて、柔らかな甘味と爽やかな抹茶の香りが広がる。果物の盛り合わせも、どれも爽やかで丁度いい甘味、酸味があり、美味しく頂いた。今夜の料理の最後を〆るのに、ぴったりのお菓子であった。
こちらのお料理は、いつ伺っても正統派の和食の飛び切り旨いものが頂ける。私も家人らもこちらの店での食事を楽しみにしている。大将を始め、店員の所作を素晴らしい。また、機会を作って訪れて、旨い料理を楽しみたい。
平成29年3月25日訪問
この間,何度か訪問しており。いつも美味しいものを頂いている。今回は,子供の高校合格祝いで訪れた。
先付けは,雲丹,鮑,蟹と岩海苔盛り込み。鮑や蟹も旨いが雲丹の甘さは特筆すべきもの。
煮物椀は,胡麻豆腐,各種貝とうるみ。いつもの淡い椀とは違い,非常に貝の旨みが凝縮されている。でもやはり旨い。
向付けは二皿。一皿は間八と鮃の造り。もう一皿は赤貝,鳥貝。馬刀貝。貝は酢味噌で頂く。個性の異なる貝はどれも新鮮で旨い。また,あしらいの菜花もほろ苦くて爽やか。貝の旨みに負けない。
次は八寸。やはり息を飲む大きさと美しさ。桝田卵,蜜豆,空豆,芋のこごみ味噌,飯蛸旨煮,春菜,蒟蒻,海老チーズ,蒲鉾,トマトコンポート,ゼリー,丸十などがかわいく盛り込まれている。
油物は。まず鱚とアスパラ。続いてタラの芽とこごみ。次が白魚,最後に蕗の薹。どれも旨いが,やはり山菜が春を感じさせてくれる。
炊き合わせは目張筍。蕨と蕗が添えられている。この目張筍がとにかく旨い。甘く優しく炊きあげられ,目張は身離れよく甘みにより旨みがものすごく引き出されている。また筍もほんの少しあくが残してしあげられており,甘い煮汁によく合う。蕨や蕗もその苦みが目張や筍の甘みを引き立てている。秀逸の一品。
最後は3月ということでばら寿司と赤出汁,香の物。水菓子は,苺のゼリー寄せ,キウイやグレープフルーツ,マンゴーとそのソース。最後を締めくくるのに相応しい。
少し貝がたくさん出過ぎたかな,という感じもあったが,子供は無類の貝好きなので非常に喜んでいた。
先付けや炊き合わせなども,みんな絶賛していた。さすがに何を食べても旨い。仕事の関係で暫く訪れることができなかったが,今後はまた度々訪れたい。
平成22年10月19日訪問
最初に訪問してから,季節毎か半年毎に再訪して料理を堪能しているが,この日も再訪。今回は一番安い6300円のコースを頂いた。先付は山芋羹とパプリカ,各種茸の煮浸し。椀物は,栗真蒸,卵豆腐,松茸。向付は烏賊,鰹。箸休めに蕎麦餅餡かけ。桝田名物八寸(サーモン焼き,鬼胡桃甘露煮,トンブリ,空豆蜜煮,卵焼,栗等)。ハモとひろうすの炊き合わせが止め椀。ご飯と赤だし,香の物。水菓子に季節の果物盛り合わせ。
家に帰ってから知ったことだが,この日,ミシュラン2011の発表があり,ここ桝田が一つ星から二つ星に昇格した,とのことであった。大将は何も言われてなかったが,確かに笑顔いっぱいで接客されていた。
いつも思うが,何れの料理も出汁の美味さが秀逸で香り高く,驚きも多い。一番お気に入りの店である。
(最初の訪問)
食前酒に菊姫にごり酒をかわらけで戴く。
先付は生湯葉と海鼠腸大徳寺納豆の餡かけ蒸し。湯葉の滑らかさに海鼠腸の風味と塩加減が絶妙。大徳寺納豆の塩辛さもちょうどよい。次に帆立貝と九条葱の酢味噌和え。葱の風味が爽やか。
向付はヨコワのトロと甘海老。醤油とポン酢で戴く。ヨコワの油の乗り加減が上品。
椀物は蟹しんじょう,大根と卵そうめん添え。出汁加減が丁度よく,柚子の風味と卵そうめんの食感よし。蟹しんじょうもう少し蟹の味が生きてればなおよし。
箸休めは蕎麦。辛味大根を薬味に塩とつゆで頂く。塩が非常に美味。辛子大根の香りも良かった。
甘海老の頭の素揚げが酒肴で出される。
八寸は,半熟卵,桝田の名前入り厚焼き玉子,空豆蜜煮,干し柿バター鋳込み,紋甲烏賊の胡麻衣揚げ,海鼠の柚子加減酢,プチトマトの洋酒漬け,牛蒡蒲鉾,数の子,合鴨ロース,唐辛子蒟蒻煮付け。見た目にも非常に美しく,またいずれも美味。特に干し柿バター鋳込みとプチトマトは変わっていて美味。
止椀が,はりはり鍋(鯨及びサエズリ,水菜,薄揚,ゆず等)。非常にボリュームがあり,出汁も美味く,また鯨生肉やサエズリ独特の香りや味が良く出ていて美味。
ホタテ貝と青海苔の炊き込みご飯,香の物(胡瓜糠漬,沢庵,赤蕪千枚漬,奈良漬,昆布)及び赤だし。炊き込みご飯と香の物も美味。
日本酒の種類は少ないが厳選されたものを揃えている。
基本となる出汁加減が秀逸であり,度々訪れて料理と日本酒を楽しみたい。
(2007年4月16日 友人と再訪)
6000円のコースを選択
本日はいきなり鯛の薄作りと鯛白子。塩昆布があしらい。椀物は白身魚と筍のしんじょう,えんどう豆豆腐,あしらいにこごみと木の芽。八寸が桝田の名前入り厚焼き玉子,空豆蜜煮,空豆塩茹で,鳥田楽,海老チーズ寿司,紋甲烏賊の胡麻衣揚げ,こごみの胡麻和え,トリ貝と分葱の酢味噌和え,蒲鉾,数の子,唐辛子蒟蒻煮付け,百合根,後もう一品。次に白木耳と菜の花の煮浸し。煮物が大振りの茶碗蒸し餡かけ。焼き物に蓬麩の田楽。ご飯,香の物(胡瓜糠漬,沢庵,赤蕪千枚漬,海苔佃煮及びちりめん山椒)及び味噌汁。水菓子がイチゴのゼリー寄せ。
酒は,最初にビール,醸し人九平次純米吟醸,勝駒純米及び黒龍純米吟醸。いずれも1合半程の量あり。友人はその後ビール2杯。
造りは,塩昆布を挟んで紅葉おろしを添えたポン酢で頂く。昆布締めのようで鯛のうまみがさらに引き立ってくる。白子は軽く火が通してあり,まったりとした食感と濃厚なうまみが口いっぱいに広がってくる。椀物は,あっさりとしつつも白身魚のうまみを残したしんじょうに筍の歯ごたえが非常によくマッチし,またえんどう豆豆腐も豆のさわやかな香りが素晴らしく,こごみの歯ざわりも楽しい。これら淡白な椀種をまとめる吸い口は,かつおと昆布のうまみが凝縮された出汁であり,これぞ桝田の真骨頂といえる。まさに椀物は懐石の花形であることを感じさせられた一品であった。八寸は八重桜があしらわれており,見た目に非常に美しい。いずれも美味であるが,中でもこごみの胡麻和え,トリ貝と分葱の酢味噌和えは特に美味であった。白木耳と菜の花の煮浸しはさわやかな一品。茶碗蒸しは,餡の出汁加減が秀逸。種の筍が軽やかで大徳寺納豆がアクセントになり,豊かなハーモニーが口の中で奏でられた。焼き物の蓬麩の田楽は,蓬のほろ苦さと香りが味噌にマッチしており,ねっとりとした食感も味わい深い。土鍋で炊き上げられた米はちりめん山椒や香の物や味噌汁と非常によく合い,文句なく美味い。最後の水菓子もイチゴが甘くやさしく,完成度の高い一品であった。
二人で2万320円。全般的に完成度は非常に高く,特に向付と椀物等の出汁加減が本当に秀逸である。また季節ごとに再訪したい。
5つ星に変更する。
2位
1回
2010/05訪問 2010/05/17
月代わりで季節感溢れる料理が安く頂けるとの評判の高い創作懐石の店。完全予約制のためなかなか日が合わず,この度やっと訪問する事が出来た。メニューは月代わり。卯月懐石コース(3900円)をカウンターで頂いた。
まず,大将からご挨拶を兼ねて,店のシステムの説明があった。ドリンクはすべてセルフサービスでかつ自分で飲んだ分を伝票につけること,前菜や造りを食べた後はお皿を重ねることなど。これらはおいしいものを安く食べてもらうため,あるいは大将が一人で切り盛りしているため出来立ての料理をタイミング良く出すためにお願いしているとのこと。こちらも挨拶を兼ねて了解した旨伝え,料理を頂くこととした。
食前酒としてグァバ酒が供される。これで乾杯。さっぱりとして食欲が湧く。
前菜は,イカ ほや和え,生麩 しぐれ煮,踊りあまごの難波漬け,破竹の粕漬けの4種。イカほや和えは,細切りにしたイカのねっとりとした身にほやの爽やかな香りと風味が移り旨みたっぷり。生麩しぐれ煮は,しこしこした食感と程良い甘辛さがいい。あまご難波漬けは,焼いたあまごの香ばしさと,南蛮ダレの唐辛子やタマネギ等の野菜の風味が上手く調和している。破竹の粕漬けは,大将の出身地である河内長野市天野山で採れた破竹をこれまた天野酒の酒粕で漬けたもの。酒粕の香り高く塩加減も絶妙。いずれも日本酒によく合う逸品。
向付は,縞鯵の薄造り 野菜ごまポン掛け。うすくそぎ切りにした縞鰺で,千切りにした胡瓜,人参,大根,砕いたピーナツを巻き,野菜ごまポンをたっぷり付けて頂く。野菜ごまポンがこれまた絶妙。ごまの濃厚な旨みの中に,セロリの凛とした香りとほろ苦さが隠し味として生かされており,縞鰺と野菜の甘みを力強く引き立てている。
焼物は,たこ 貝割れ巻き。醤油・出汁・炭酸で柔らかく炊きあげたたこを,貝割れとわさびとともに,岸和田沖で採れた海苔で巻いて頂く。海苔の香ばしさに甘辛く柔らかなたこの旨み,わさびの爽やかな辛みが一体となって,日本酒に合う一品であった。
煮物は,鰻道明寺柏葉蒸し。餅米を蒸して乾かし粗めに砕いた道明寺粉を鰹の出汁で戻し,その上に、蒲焼した鰻を乗せて柏の葉で包み蒸し上げ,そこに鰹出汁を効かせた餡を掛けた一品。
ふっくらとして柔らかな鰻と道明寺のもちもち感,柏の葉のすがすがしい香りを,鰹の旨みたっぷりの餡でまとめ上げてあり,これも文句なく旨い。
揚物は,大海老,山芋,チーズの湯葉の揚げ餃子。アールグレイ塩を付けて熱々を頂く。かりっとした湯葉にチーズと山芋のトロッとした食感,そしてなによりエビのぷりぷりさが楽しい。アールグレー塩の香りも素晴らしい。
〆は,炭うどん冷製パスタ。河内長野の炭屋で入手した炭の粉を打ち込んでうどんを作り,それに醤油とべーコンオイルにトマト,バジルを加えたソースを絡めたもの。バジルの香りとトマトの甘み,ベーコンオイルの濃厚な旨みがコシのあるうどんに見事に絡んで,これも旨かった。お代わりしたくなる一品であった。
水菓子は,よもぎ豆腐の黒蜜餡掛け。これに桜桃等の果物が添えられていた。
この日は,冷酒「吟醸生貯蔵酒」(銘柄は失念),芋焼酎紅一刻,梅酒,コーヒー等を頂いたにも関わらず,二人で合計9600円。驚きのCPである。
料理はどれも素材の持ち味をうまく生かして調理されている。また,食味そのもののみならず,香りをとても大切にしていると感じた。高価な材料を使っているわけではないが,ご主人のセンスや腕前で,どの料理も素敵な出来映えであり,とても旨かった。
ただ,少し残念なのは,日本酒が一種類しかないことである。せめてもう一種類,そこそこの純米酒を置いてほしい,と感じた。料理が旨いだけに,その料理に見合う酒があればなあ,と感じた。
カウンターだったため,大将から料理に関する様々な話を聞かせて頂けた。料理に対する情熱が溢れており,円満なお人柄と相まって,非常に楽しく食事をする事が出来た。毎月は無理でもしばしば訪れて旨い料理と大将の話を楽しみたく思う。
3位
1回
2010/07訪問 2010/07/07
久しぶりにフレンチが食べたくなって,ここ,ル クロに来訪しました。なおちぇん様やよっこりん様も来訪されているミナミは韓国領事館裏にある町屋を改装したフレンチのお店です。隣は,「和洋遊膳中村」さんです。この日は,2階の個室に案内されました。町屋を改装しただけあって,2階はすごく落ち着いた和テーストいっぱいのレトロな雰囲気です。
幾つかのコースがありましたが,ルクロコース(5250円)を頂くことにしました。アラカルトメニューから冷製オードブル,温製オードブルから各一品,本日の魚料理,これまたアラカルトメニューから肉料理から一品,デザートかチーズ一品が頂ける,いわゆるプリフィックスのコースです。
まず,アミューズとして,ガラスの小さな器で,穴子と茄子ヴィネグレットソース合えが出されました。キャビアがトッピングされており,さっぱりとして,食欲を沸き立たせる一品でした。
冷製オードブルは,生ウニのムースを選びました。北海道産のウニを用いたムースだそうです。白いボールが乗せられ,ボールの底に焼き茄子を敷き,その上にムースが乗せられ,イクラがトッピングされ,そこに温泉玉子を混ぜたクリームバターソースがかけられてます。このムースを入れたボールを乗せた大きなお皿には,ベビーリーフなどのサラダが添えられ,バジルソースなどで彩りがなされています。
ムースは,食感こそ軽やかですが,口に入れると,濃厚な雲丹の旨みと,ソースに含まれる玉子とバターの風味が口いっぱいに広がります。品がいいのに暴力的な旨味がそこにありました。ソースは淡泊だけど香ばしい焼き茄子にもよく合い,まさに私には絶品の一品でした。サラダもおいしかったです。
温製オードブルは,フォアグラのソテーを選びました。こちらは,根セロリムースにカリッと焼かれたフォアグラが乗せられ,各種茸のソテーが添えられてました。ソースは,バルサミコとフランボワーズ主体の甘酸っぱいものです。
フォアグラのまったりこってりした旨さに根セロリのフワっとした軽やかさがうまく調和し,そこにソースの甘酸っぱさが加わって,とてもおいしく頂けました。
本日の魚料理は,真鯛のポワレです。対馬産の真鯛だそうです。皮目をパリッと焼いて,バターソースで頂きます。
皮の香ばしさ,白身のしっとりとして上品な甘みが濃厚なバターソースで纏められ,シンプルだけどおいしい一品でした。
肉料理は,黒毛和牛ランプ肉ステーキを頂きました。ミディアムレアに焼かれたランプ肉に,ベビーコーン,オクラ,キッシュ,ポテト等が添えられています。ソースはマディラ酒を用いたものだと思います。
肉は,少し強めに塩を効かせてありました。ソースを絡めず食べてもシンプルな旨さがありましたし,ソースを絡めると,効かせた塩味とソースの甘さが互いに肉の旨みを引き立て合って,これまたおいしく頂けました。付け合わせも,キュッシュを初めなかなかのものでした。
デザートは,バナナとカスタードのクレープ包みとフランボアーズのソルベです。ホッと落ち着くような程良い甘さで,食事の〆にはぴったりです。コーヒーを飲みながら,最後まで楽しい一時を過ごすことが出来ました。
この間,ワインは,シャルドネ白とブルゴーニュ産赤(いずれも銘柄は忘れました)のハーフボトルを頂きました。どちらもリーズナブルなお値段でしたが,料理によく合いました。
全般的に,どの料理も,シンプルだけと伝統に則ったしっかりとした味付けがされており,特にソースはバターを効かせて力強く仕上げているものが多く,これぞ真っ当なフレンチという感じでかえって感動しましたし,安心しておいしく頂くことが出来ました。若い人にも是非機会があればめしあがっていただきたいと思います。
サーブしてくれるスタッフの方々は,みんなとても細やかな気配りが出来てました。料理の説明も丁寧でしたし,個室であったにもかかわらず料理を出すタイミング等も絶妙でした。もてなしの心遣いのすばらしさを強く感じました。
おいしい料理とスタッフの方々の心遣いに落ち着いた内装,心地よい一時を過ごすことが出来ました。また度々訪れたい,と思います。
4位
1回
2010/10訪問 2016/03/06
やっとやっと300レビュー達成。割烹で好きなもんを好きなだけ頂きました。
最近,何軒かの馴染みの店に行く事が多く,新規開拓ができないでいた。でも行きたいなと思う店も沢山ある。ここ「島之内一陽」もそんな店の一つであった。以前から何回か予約の電話を入れるも,なかなか予約が取れなかったが,この度,念願叶って予約を取る事が出来た。
今回はお座敷での食事。まずはビールを注文し,じっくりとメニューを見る。こちらの店はコースは用意していないようで,アラカルトで注文する方式。程なくビールと付出しが運ばれてくる。付出しは水菜としめじの胡麻味噌合え。水菜のしゃっきりとした歯触りに,胡麻味噌のまったりさと香ばしさがうまく調和し,ビールが進む。
頼んだ料理は次のとおり。
まずは,造り盛り合わせが運ばれる。さっそく日本酒に切り替える。造りは,アオリイカ,鱧焼き霜,鮪かまの身,天然鯛,天然鰤,秋刀魚の六種類。アオリイカは身の部分と下足の二種。身の部分はまったり下足はコリッとした中にいずれも甘味あり。鱧は骨切りした身の表面をさっと炙ったもの。香ばしさに加え上品な脂が乗った身は,今まで食べた鱧の中でも1,2を争う旨さ。鮪は海苔に巻いて頂く。海苔の香りが鮪の爽やかさを引き立てる。鯛は新鮮で爽やかだけどこっくりとした旨さ,鰤もまったりとした脂が乗って,これまた旨い。秋刀魚もなかなか。いずれも食べ頃を考えるて供されており秀逸であった。
次に,鮑と雲丹の焼き物。大振りの鮑に生雲丹を乗せて軽く焼いたもの。鮑は柔らかで滋味あふれ,雲丹の甘さと一体になって口に広がる。本当に旨い。お代わりがしたくなる。
3品目は,雲丹と蓮根饅頭。蓮根生地に雲丹を混ぜて饅頭にし,葛あんをかけたもの。雲丹の風味の饅頭はむっちりし,あんの出汁加減も絶妙で,これまた旨い一品であった。
4品目は 穴子と牛蒡の卵とじ。柳川鍋のような風味。牛蒡の素朴な味わいが穴子のクセを押さえ,甘い割り下と卵の優しさで包み込まれたもの。
5品目は,ノドグロ塩焼き。30センチ近いノドグロが半身で供される。その身は滑らかな食感で,上品な塩加減が素晴らしく,白身でありながら脂の旨みが全面に主張してくる。身の部分だけでなく,ほほ肉,目玉の周り,かまなども食べ尽くし,骨までしゃぶった。食べ尽くした後,いわゆる「鯛の鯛」の部分を取り出して紙に包み,お守りとして財布に入れる。
6品目は,和牛一口串カツ。オーロラソースを付けて頂く。適度に霜降りのお肉で柔らかくかつコクがあって旨みたっぷり。串カツ屋のそれとはなぜか全く違う食べ物のように感じた。
7品目は,豚肉竜田揚げ。醤油の香ばしさと豚の甘みが絶妙。
8品目に,〆でドライカレーをお願いする。ご飯の上に挽肉たっぷりのドライカレーがかけられ,その上に温泉卵が乗せられている。辛みを押さえ,カレーの香りと挽肉の旨みを活かしてあり,温泉卵の優しさ,まろやかさがうまく調和して,〆にはぴったり。お腹いっぱいになった。
料理は,良い素材を選び,その素材の旨さを充分に生かして調理されており,どれも旨かった。大将その他の料理人の方の腕は確かであると感じた。
日本酒は,秋鹿,東北泉,ハ海山など6種類ほど。1合で700円。ただ,本醸造レベルのものもあり,もう少し旨い酒を揃えても良いのではないかな,と感じた。これに比してワインの品揃えは豊富だった。
メニューには料理のお値段は書いてないため,どの位の料金になるのか不安だったが,料理だけだと6000円から7000円の間だと思われる。料理の内容やボリュームを考えるとCPも高い。
若い大将を中心に,みなキビキビと働かれており,気持ちいい。店を出るときには大将が店外まで見送ってくれ,その心遣いもうれしかった。カウンターも座敷も清潔だったし,心地よい一時を過ごせた。また,季節毎に来訪し,できればカウンターに陣取って大将らと話をしながら,また好きなものを好きなだけ食べたいな,と思った。
5位
1回
2010/08訪問 2010/08/25
懐かしい人が美味しいフレンチが食べたい、とのことで、食べログでも評判の高い、ここル・ジャルダンに来訪しました。なおちぇん様やさくら☆様等のレビューを見て一度訪れたいと思っていたお店です。予約の上、いわゆるEntrée,Plat&Dessertの3courses(3800円)を頂きました。ワインは、白と赤のグラスワイン(銘柄は忘れましたが、フルボディタイプのものです、いずれも美味しいものでした。)を順次頼みました。
アミューズですが,蛸と胡瓜のトマトスープでした。トマトのジュレをボトムに,トマトの冷たいスープをかけ,具材に蛸と胡瓜をあしらえたものです。トマトの酸味と日なたくささがとても爽やかで,蛸の歯ごたえも楽しく,暑い侯,体のほてりを抑え,食欲をそそる一品でした。
アントレは,鱧のポアレでした。大振りの鱧が二切れ,付け合わせにメロン,水茄子,オクラ,赤蕪,豌豆,そして,緑鮮やかな大葉のソースをメインに、付け合せの野菜のそばにはビネグレットソース,これらがガラスのとてもきれいな皿に鮮やかに盛り付けられてきました。
香ばしく焼き上げられた鱧は、外側はカリッと中はフアッと仕上げられ、骨切りも丁寧にされていました。大葉のソースを絡めて口に入れると、まず鱧の淡白だけど豊かな旨味が広がり、続いて大葉の香りが広がりました。最後に両者が調和して、後味もよく、なんとも言えない美味しさです。冷たい白ワインによく合いました。付け合せの野菜も素材自体の美味しさだけでなく、鱧の旨味をうまく活かしてくれていました。
プラは、魚が2種,肉が4種の合計6種類から選ぶことができました。私が選んだのは、鴨胸肉のロティ蜂蜜と黒胡椒風味です。
蜂蜜を塗り粗引きした黒胡椒を皮にまぶして程よく焼き上げた鴨胸肉が、厚めにスライスして供されます。付け合わせはズッキーニ、ニンジン、ベビーコーン、ブロッコリー、豌豆などです。これを鴨のジュ(肉汁)と赤ワインのソースで頂きます。鴨肉は,皮目はカリッと焼かれ、中はロゼに仕上げられています。ソースに絡めて口に入れ噛み締めると、蜂蜜の甘み、黒胡椒の潔い辛味、少しだけ酸味の利いた旨味たっぷりのソース、そしてこれらに負けない鴨の濃厚な旨味が渾然一体となって、ジュワーと口の中に溢れてきました。こちらも文句なく旨いです。フルボディタイプの赤ワインにも非常によく合いました。ソースも美味しく、パンに絡めて残さず頂きました。思わずお代わりしたくなる逸品でした。
デザールですが、3品に分けて供されました。
まずアヴァン・デセールに、プリン黒糖ソースです。黒糖が甘くて切ない風味を醸し出し、いいものでした。
続くデゼールは、5品ほどから選ぶことができました。私はショコラムースとショコラアイスを選びました。濃厚なチョコの甘さが食後の満足感をさらに高めてくれます。
最後に、プティ・フールとしてアーモンドの焼き菓子がエスプレッソに添えられて出されました。パリッとした食感ですが、口の中でスーと溶けていき、香ばしいアーモンドの香りが後を引きます。エスプレッソも最近飲んだ中では一番といえるほど美味しかったです。
いずれの料理も、かなりいい素材を用い、その素材の旨味を十分に引き立てる絶妙の調理をされているな、という感じがしました。付け合せなどもセンスよく、主の料理を活かすよう心配りされていると思いました。美味しかったです。
お店の内装も綺麗でしたし、テーブルの間隔も広く取ってあり、明るくて開放的なのに落ち着いて過ごせる感じがして、とても居心地のいい空間でした。
また、ホールの方のサーブが丁寧でとても心地よかったです。料理やワインの説明、パンや水のお代わり、料理を出すタイミングなどどれをとっても素晴らしいものでした。店を出るときには、ホールの方とシェフの方が丁寧に店外まで見送りご挨拶してくれました。とても楽しいひと時を過ごすことができました。
このような上質の料理とサービスがお手軽なお値段で頂け、非常に満足しました。定番のお店として、季節ごとに来訪したいと思いました。
6位
1回
2010/07訪問 2010/08/01
今は夏,周りでも夏休みを取って旅行へ行く者も出てきました。仲のいい友人もパリへ旅行へ行き,帰ってきてから,パリの話ばかりしています。「ふらんすへ行きたしと思えども・・」今年はフランスにもハワイに行けず,この友人が羨ましくて,せめてビストロでフレンチでも食べたいと思い,こちらのお店を訪れることとにしました。心斎橋にある可愛い店構えのビストロ。予約した上でディナーで訪問しました。
ディナーですが,2800円でアミューズに前菜と主菜が選べるシステムになっています。前菜は5,6種類,主菜も6,7種類ありましたが,私は,前菜にフォアグラとほろほろ鶏のテリーヌ,主菜には鴨のロティ(追加料金600円)をいただくことしました。 ワインは,バロン・ド・パリ(白),ノストラーダ(赤)をグラスで頂きました。お料理は次のとおりです。
まず,アミューズですが,スモークサーモンとラタトゥイユです。アミューズといっても,大きくしかも分厚くスライスされたレアスモークのサーモン2切れの下にラタトゥイユが敷かれたたものです。前菜といっても不思議でないくらいポーションの大きな一皿です。ラタトゥイユには,隠し味にカイエンヌペッパーとクミンが用いてあり,淡い塩味に仕上げられたサーモンに香りと辛みを添える役割を果たしています。爽やかでおいしかったです。
前菜に選んだフォアグラとほろほろ鶏のテリーヌですが,直径10センチ位の正方形で厚みも1センチを越える大きなポーション。それにサニーレタスのサラダもたっぷりと添えられています。塩分を押さえ比較的あっさりと仕上げられており,口に入れると,ほろほろ鶏の肉の旨さがまず広がり,その後フォアグラの持つこってりとしたコクの旨みが広がってきます。フォアグラのまったりさとほろほろ鶏のほっこりとした身がうまく調和した食感も楽しめました。ポーションが大きいため,食べ飽きるかな,とも思いましたが,あっさりとしていたことに加え,粒マスタードが添えられており,それをつけて食べると,よりさっぱりとして最後までおいしく食べることができました。
主菜は,大好きな鴨のロティです。これもまたポーションの大きな一品でした。皮目はパッリと,中はレアでしっとりと焼き上げられ,大振りにスライスされた鴨が8枚,これにタマネギ,人参,蕪,ベビーコーン等のソテーの上に乗せて供されました。ソースは,マスタード風味のバターソースです。肉自体は少し固めでしたが,噛みしめていると,肉と脂肪の旨みがジワッとしみ出してきてきます。やはり鴨は旨いですね。
最後にデザート(ドリンク込みで500円)を頼みました。私はガトーショコラとコーヒーを頼みました。ガトーショコラは,どちらかというとあまり濃厚すぎないあっさりとしたものですが,生地はしっとりとして,ショコラの香りも豊かでした。
料理ですが,どれもシンプルな調理法と味付けで,ポーションも大きかったです。驚きやとびきりの美味しさではなく,フランスの家庭料理,あるいはフランスの町中のビストロで頂く料理のように,安心してお腹いっぱい食べることができる美味しさを追求されているなと感じました。
店内は,木のテーブルを中心にウッディで落ち着いた雰囲気でした。ご主人が調理を,奥様が接客を担当されていました。奥様の接客や笑顔がとても暖かく,食事中非常に心地よかったです。また,店を出るときには,ご主人と奥様二人で店外までご挨拶に出てくれ,これまた気持ちいいものでした。お値段も2人で9810円と,CPもよかったです。フランスにはなかなか行けませんが,こちらのお店はまた再訪したく思います。
7位
1回
2010/04訪問 2010/04/14
JR天満駅から天神橋筋商店街を南に5分程歩いて東に曲がって一筋目の交差点の角にある小さなビストロ。これまで二回程予約の電話を入れましたが,いずれもパーティーが入っていたのか,満員でした。この度三度目に予約が取れ,念願叶ってディナーで訪れる事が出来ました。
メニューですが,アラカルトで頼むこともできますが,2000円でAntree&Plats(前菜と主菜)のコースが頂けます。前菜,主菜ともに約10品ほど用意されており,それぞれ一つずつ選ぶことができます。これに今回はぐるなびを利用してデザートをサービスでつけてもらうことにしました。
まず前菜。私はフランス産チーズのキッシュを,連れは田舎風パテを選び,半分ずつシェアして頂きました。
パテは,豚の肉と内臓を用いて少し堅めに仕上げてあります。少しキツメの塩加減が濃厚な肉の旨味を充分に引き出し,パンにもワインにもよく合いました。何でもシェフ一押しの一品だということです。
キッシュは,チーズの風味を活かしつつ逆に軽目の塩加減で,チーズと卵の旨さが活かされているな,と感じました。
また付け合わせにはたっぷりのサラダ。ドレッシングの風味もよく,トマトも甘くておいしかったです。
主菜ですが,私は塩漬け豚バラ肉のアルザス風を,連れは鴨のコンフィを選びました。
塩漬け豚バラ肉のアルザス風ですが,塩漬けした豚のバラ肉を大きくカットしてローストされたものです。赤身部分はホッコり,脂身部分はしっとりジューシーな食感。口に入れ噛みしめると肉と脂の甘みが広がってきます。思ったより全然しつこくなくて,とても旨い。付け合わせのキャベツ酢漬けやポテトにもよく合ってました。
相方の鴨のコンフィも一口頂きましたが,ホロッとした食感で,これも旨かったです。
デザートですが,私は苺のタルトを,連れはプロフィトロールチョコレートソースを頂きました。
苺のタルトにはバニラアイスがトッピングされていました。,そのまま食べても,バニラアイスとともに食べても,さくっとした生地の歯ごたえが楽しく,かつ苺の香りも豊かで,甘さもちょうどよくておいしかったです。
また,プロフィトロールは,中がカスタードクリームではなく,アイスクリームでした。その分爽やかで,濃厚なチョコレートソースに合っておいしかったです。
今回の食事では,スパークリングワイン,ハウスワインの白,赤ワインを各1杯ずつ,コーヒーと紅茶を頂きました。ハウスワインもスパークリングワインもなかなかのものです。特に赤ワインは,ブラックベリーのブーケが豊かでおいしかったです。
以上の内容で,合計7300円。驚くほどのCPです。
今回頂いた料理は,どれも研ぎ澄まされたお味ではなく,でも本当に安心して食べることができ,かつ,素朴で素直においしい,と言えるものばかりで満足度の高いものでした。
お店の内装は,木のテーブルをはじめ素朴でウッディな造り。料理も内装もパリの住宅街にあるような小さいけど良心的なビストロです。日本でもこんなお店があったことを知って,うれしく思っています。また,たびたび訪れて,気軽においしいフレンチを食べたいな,と思いました。
8位
1回
2010/02訪問 2010/02/15
1月2月と食事や飲み会にお金を使いすぎてしまい、それでも飲みに行きたいので、友人との飲み会に、北新地永楽町通にあるここ海藤花を利用させて頂きました。以前からよく前を通っており、海鮮炭火焼きのコースが安く食べられるようですので、いつか食べに行きたいな、と思っていたお店です。この日は2500円のコースを注文した。このお値段で飲み放題だとの事。料理にはあんまり期待できないのではないかなあ,しこたま飲めればいいなあ、と思ってました。ところがそうではなかったのです。
まずは、ビールで乾杯。一品目は海鮮サラダです。キャベツ、レタス、大根やニンジンなどのサラダに、はまちと鰹タタキがトッピングされたものでした。仕事に疲れた身体にはとてもやさしく感じました。もちろんこの時点でビールをお代わりして、サラダをアテにグビグビ飲み干しまて行きます。
続いて、海鮮炭焼きです。まずテーブルに七輪が置かれます。そして大浅蜊,鯵味醂干し,ほっけ,鯖、カボチャ、ししとうの計6品が大皿に盛られて来ました。それを七輪で焼いて、煙がもうもうと立つ中、好みで醤油やぽん酢などをかけて頂きます。どれもおいしかったですし、何より自分で焼いて食べるの楽しかったです。海鮮焼きからは赤ワインを飲み始め、何度もお代わりしてしまいます。
途中で、揚げ物として、鶏の唐揚げが出されました。葱ソースが添えられており、それを付けて頂きます。アルコールに合うようにしっかりと下味を付けてこってりした唐揚げですが、葱ソースを付けると爽やかな風味が付け加えられ、おいしかったです。
メインは、鍋(モツ鍋、海鮮寄せ鍋、キムチチゲ鍋等)か陶板焼から一つが選べますが、店員さん(綺麗な女性でした)のお薦めに従って、陶板焼を選ぶことにしました。
陶板焼と言っても、平たい陶板ではなくボール型のものに、ハラミとテッチャンを入れて醤油ベースのタレを入れて煮込むように焼いていくものでした。店員さんの説明では、しっかりと焼いて、テッチャンから油が充分に出た段階で食べてください、とのことでした。そのとおり、しっかり焼いて頂きました。ハラミも、テッチャンから出た油の旨みが充分にしみ込んで、コクが出ておいしかったです。
〆に、ハラミやテッチャンから出た旨味を生かすように、陶板にご飯とキムチが入れられ、キムチビビンバが作られました。焼き加減等は店員さんが見てくれます。お焦げもたっぷり取れて香ばしくてなかなかのもの。お腹もいっぱいになりました。
最後に、みかんが出されました。こってりしたものを食べ、しこたま飲んだ後にはさっぱりしてよかったです。
一つ一つのお料理についてはそれほどボリュームがあるわけではありませんが、海鮮焼きの具も6品と多く、何より楽しくおいしく食べることが出来ました。飲み放題のお酒の種類も多かったです。これで2500円です。先週訪れた、たまに伺うカウンター割烹の5分の1のお値段です(でも、割烹メシも背筋がピンと張って、おいしいものが頂けるのでとても好きですが。)。北新地でこのお値段でこの内容と美味しさ、とてもCP高いと思います。同行した友人達も絶賛していました。
お店は外装はともかく、中は煙がもうもうと立ちこめ、綺麗でもおしゃれでもありません。でも活気に溢れており、とてもいい雰囲気です。店員さん(繰り返しますが綺麗なお姉さんでした)の応対も良かったです。この2500円のコースを始め、様々な飲み放題付きコースメニューが2人から利用できるのもありがたいです。これからも度々利用したいと思いました。
9位
1回
2009/12訪問 2009/12/13
都島区の毛馬にある小さなしゃぶしゃぶとすき焼きのお店。忘年会を兼ねて友人に連れて行ってもらいました。この日は、しゃぶしゃぶではなくすき焼き(3150円)を予約してくれていました。
まず、ビールで乾杯し、すき焼きの前に合鴨サラダ(735円)と牛肉タタキ(1575円)を頂きました。合鴨サラダは、レタスや玉葱、水菜等に、ミディアムレアに焼かれスライスしたものが8枚程乗っけられてました。合鴨は柔らかでコクがあり、また橙の香り高いドレッシングが爽やかでした。
また、タタキは今まで食べた中で一番柔らかで、口に入れるととろけてしまいます。とてもおいしかったです。
頃合いを見はからって大将がすき焼きの用意をしてくれました。ここのすき焼きは、大将がつきっきりで焼いてくれるようです。
まず、最初に、ヘッド(牛脂)で、ごぼう、玉葱、人参、えのき、糸こんにゃく等を炒め,そこに、霜降りの肉を入れ、さっと両面をあぶってまだ赤い部分が残っているところに、さっと塩をかけて各自のお皿に取り分けてくれました。すぐに口に入れると、これまた肉がとろけ旨みだけが口の中に広がりました。上質の霜降り肉の甘味がとてもよくわかり、本当においしかったです。思わず大将の顔を見てにんまりしてしまいました。大将は、本日のお肉は佐賀牛で、まず霜降り肉の脂の甘みを味わってほしいので塩だけで食べてもらいました、というような説明をしてくれました。
続いて、大将は、先に炒めた野菜に割り下を加えて少し炒め、各自の皿に取り分けてくれました。肉から出た脂の香ばしさと割り下の優しさを身にまとった野菜がまずいわけありません。一気に食べてしまいました。
次に大将は、肉を入れ火が通るぎりぎりのところで、今度は割り下をさっと回しかけ、すぐに各自の皿に取り分けてくました。大将曰く、「あっさりした割り下ですし、煮詰めず肉に絡めただけなんで、卵をつけずそのまま食べてください。」との事。そこで卵に絡ませずそのまま頂きました。割り下のやさしい甘さが肉の旨みを引き立ており、これまた顔がほころびます。
その後、白菜や菊菜、豆腐等が鍋に入れられ、割り下を多めに入れて焼き,しっかり味が付いた頃合いを見計らい、割り下を追加して肉が焼かれました。今度はタマゴに絡ませて食べてください、との事でした。割り下を多めにした分肉にしっかりと味が付き、肉の旨味が活性化されたようです。卵に絡めて食べると、優しいけどこってりコクのある味わい。これまた本当においしかったです。野菜や豆腐もおいしくて箸が進みます。
〆に、少し野菜が残っている段階で細うどんを入れて頂きました。甘くて懐かしいお味です。お腹いっぱいになりました。
最後、デザートに、いちごと林檎が出されました。さっぱりとして嬉しい気配りです。
この日はビールを一人3~4杯位飲んで3人で2万円弱でした。CPも高いですし、大将が付きっきりで焼いてくれて、色んな話を聞かせてくれたのが嬉しかったです。何より大将のおっしゃるように、霜降り肉の脂の旨みを堪能しました。また近々伺って今度はしゃぶしゃぶを食べてみたいな、と思いました。
10位
1回
2010/02訪問 2010/02/25
ミナミで安くて実利ある割烹を新規開拓したいと思い,南船場にある割烹美松を訪問した。メドッククーポンを利用して5000円のコースを3500円で予約した。カウンター8席と個室がある比較的小さな割烹。カウンターに案内される。
まず先付けは山菜(名前を聞いたけど忘れた)の胡桃和え。胡桃と山菜の甘さが心地よかった。
向付は、アオリ烏賊、間八、初鰹。当方には蓋付の陶器で、相方にはガラスの蓋付きグラスにて供される。斬新で見た目も美しい。大将から納豆醤油の説明を受け,普通の醤油と納豆醤油で交互に造りを頂いた。納豆醤油は風味もよく烏賊とよく合う。
次に油物として、ビフカツが供される。ヒレ肉をミディアムレアに揚げてドミグラスソースをかけた一品。ドミグラスソースは優しいが奥行きある味わい。肉は柔らかで噛み締めるとソースが肉の甘さを引き立てて旨味が口一杯に広がる。思わずお代わりしたくなる一品であった。
続いて出された焼物は、寒鰤カマの塩焼き。すだちを絞り少し醤油を垂らした大根おろしを添えて頂く。上品な油が乗って旨い。
蒸し物代わりに、新玉葱ホイル焼き。新玉葱に濃いめの出汁醤油をかけて鰹節をたっぷり乗せホイル焼きにしたもの。ホイルを開くと出汁が香しく漂い,玉葱はこっくり甘く仕上がり旨い。
箸休めの酢の物に、新キャベツとシラスの土佐酢和え。さっぱりした中にシラスの旨味が新キャベツに染み渡り日本酒によくあった。
最後に鍋が供される。豚バラと新キャベツ。コンソメと鰹と昆布の合わせ出汁を調合したものに豚バラと新キャベツを入れ、生姜と胡椒、ごま油等で味を調えたもの。豚もキャベツも旨いが、出汁がコクがあって旨い。最後まで飲み干した。
飯は山椒ちりめん飯、止め椀が赤出し、香の物がキュウリぬか漬けと柴漬け。水菓子はトマトコンポートゼリー寄せであった。
当たり前だが、とびきりの材料を使っているわけでなく、むしろ新キャベツや玉葱、豚バラ等身近なそして安価な素材をコースにふんだんに取り入れている。でもそれらの身近かつ安価な素材を用いて旨いものを食べさせる技術と工夫が随所で感じられた。実際にどの料理も実利のある旨いものであった。その上、ビールに梅酒、田酒特別純米と伯楽星純米吟醸を頼んで合計10890円というCPの高さにも驚かされた。
落ち着いた内装と活気がある板場。大将は、てきぱきと料理を造りながら料理の説明なども的確で最後には店外まで挨拶してくれるなど気持ちいい応対であった。又一ついい店を見つけることが出来た。季節毎に再訪したく思う。
2007年から食べログに参加させていただいています。色々レビューを書いてますが,基本的には何でもおいしく食べさせてもらうようにしています。背筋がピンと張るような雰囲気のお店で澄まされたお料理を頂くのも大好きですし,友人たちとわいわいがやがや飲むのも,これまた大好きです。普段使いのお店は5000円までで探すようにしていますが,2010年度のベストレストランも,おおよそこの範囲の中で印象に残ったお店を選びました。料理・味は勿論ですが,加えてコストパフォーマンスが高いお店を吟味して順位を決めました。今後も,,食べ物を粗末にすることなく,贅沢は戒めつつ,美味しい料理と酒そして友人らとの楽しい一時が過ごせるお店を探していきたいと思います。