2回
2017/03 訪問
桝田
平成29年3月25日訪問
この間,何度か訪問しており。いつも美味しいものを頂いている。今回は,子供の高校合格祝いで訪れた。
先付けは,雲丹,鮑,蟹と岩海苔盛り込み。鮑や蟹も旨いが雲丹の甘さは特筆すべきもの。
煮物椀は,胡麻豆腐,各種貝とうるみ。いつもの淡い椀とは違い,非常に貝の旨みが凝縮されている。でもやはり旨い。
向付けは二皿。一皿は間八と鮃の造り。もう一皿は赤貝,鳥貝。馬刀貝。貝は酢味噌で頂く。個性の異なる貝はどれも新鮮で旨い。また,あしらいの菜花もほろ苦くて爽やか。貝の旨みに負けない。
次は八寸。やはり息を飲む大きさと美しさ。桝田卵,蜜豆,空豆,芋のこごみ味噌,飯蛸旨煮,春菜,蒟蒻,海老チーズ,蒲鉾,トマトコンポート,ゼリー,丸十などがかわいく盛り込まれている。
油物は。まず鱚とアスパラ。続いてタラの芽とこごみ。次が白魚,最後に蕗の薹。どれも旨いが,やはり山菜が春を感じさせてくれる。
炊き合わせは目張筍。蕨と蕗が添えられている。この目張筍がとにかく旨い。甘く優しく炊きあげられ,目張は身離れよく甘みにより旨みがものすごく引き出されている。また筍もほんの少しあくが残してしあげられており,甘い煮汁によく合う。蕨や蕗もその苦みが目張や筍の甘みを引き立てている。秀逸の一品。
最後は3月ということでばら寿司と赤出汁,香の物。水菓子は,苺のゼリー寄せ,キウイやグレープフルーツ,マンゴーとそのソース。最後を締めくくるのに相応しい。
少し貝がたくさん出過ぎたかな,という感じもあったが,子供は無類の貝好きなので非常に喜んでいた。
先付けや炊き合わせなども,みんな絶賛していた。さすがに何を食べても旨い。仕事の関係で暫く訪れることができなかったが,今後はまた度々訪れたい。
平成22年10月19日訪問
最初に訪問してから,季節毎か半年毎に再訪して料理を堪能しているが,この日も再訪。今回は一番安い6300円のコースを頂いた。先付は山芋羹とパプリカ,各種茸の煮浸し。椀物は,栗真蒸,卵豆腐,松茸。向付は烏賊,鰹。箸休めに蕎麦餅餡かけ。桝田名物八寸(サーモン焼き,鬼胡桃甘露煮,トンブリ,空豆蜜煮,卵焼,栗等)。ハモとひろうすの炊き合わせが止め椀。ご飯と赤だし,香の物。水菓子に季節の果物盛り合わせ。
家に帰ってから知ったことだが,この日,ミシュラン2011の発表があり,ここ桝田が一つ星から二つ星に昇格した,とのことであった。大将は何も言われてなかったが,確かに笑顔いっぱいで接客されていた。
いつも思うが,何れの料理も出汁の美味さが秀逸で香り高く,驚きも多い。一番お気に入りの店である。
(最初の訪問)
食前酒に菊姫にごり酒をかわらけで戴く。
先付は生湯葉と海鼠腸大徳寺納豆の餡かけ蒸し。湯葉の滑らかさに海鼠腸の風味と塩加減が絶妙。大徳寺納豆の塩辛さもちょうどよい。次に帆立貝と九条葱の酢味噌和え。葱の風味が爽やか。
向付はヨコワのトロと甘海老。醤油とポン酢で戴く。ヨコワの油の乗り加減が上品。
椀物は蟹しんじょう,大根と卵そうめん添え。出汁加減が丁度よく,柚子の風味と卵そうめんの食感よし。蟹しんじょうもう少し蟹の味が生きてればなおよし。
箸休めは蕎麦。辛味大根を薬味に塩とつゆで頂く。塩が非常に美味。辛子大根の香りも良かった。
甘海老の頭の素揚げが酒肴で出される。
八寸は,半熟卵,桝田の名前入り厚焼き玉子,空豆蜜煮,干し柿バター鋳込み,紋甲烏賊の胡麻衣揚げ,海鼠の柚子加減酢,プチトマトの洋酒漬け,牛蒡蒲鉾,数の子,合鴨ロース,唐辛子蒟蒻煮付け。見た目にも非常に美しく,またいずれも美味。特に干し柿バター鋳込みとプチトマトは変わっていて美味。
止椀が,はりはり鍋(鯨及びサエズリ,水菜,薄揚,ゆず等)。非常にボリュームがあり,出汁も美味く,また鯨生肉やサエズリ独特の香りや味が良く出ていて美味。
ホタテ貝と青海苔の炊き込みご飯,香の物(胡瓜糠漬,沢庵,赤蕪千枚漬,奈良漬,昆布)及び赤だし。炊き込みご飯と香の物も美味。
日本酒の種類は少ないが厳選されたものを揃えている。
基本となる出汁加減が秀逸であり,度々訪れて料理と日本酒を楽しみたい。
(2007年4月16日 友人と再訪)
6000円のコースを選択
本日はいきなり鯛の薄作りと鯛白子。塩昆布があしらい。椀物は白身魚と筍のしんじょう,えんどう豆豆腐,あしらいにこごみと木の芽。八寸が桝田の名前入り厚焼き玉子,空豆蜜煮,空豆塩茹で,鳥田楽,海老チーズ寿司,紋甲烏賊の胡麻衣揚げ,こごみの胡麻和え,トリ貝と分葱の酢味噌和え,蒲鉾,数の子,唐辛子蒟蒻煮付け,百合根,後もう一品。次に白木耳と菜の花の煮浸し。煮物が大振りの茶碗蒸し餡かけ。焼き物に蓬麩の田楽。ご飯,香の物(胡瓜糠漬,沢庵,赤蕪千枚漬,海苔佃煮及びちりめん山椒)及び味噌汁。水菓子がイチゴのゼリー寄せ。
酒は,最初にビール,醸し人九平次純米吟醸,勝駒純米及び黒龍純米吟醸。いずれも1合半程の量あり。友人はその後ビール2杯。
造りは,塩昆布を挟んで紅葉おろしを添えたポン酢で頂く。昆布締めのようで鯛のうまみがさらに引き立ってくる。白子は軽く火が通してあり,まったりとした食感と濃厚なうまみが口いっぱいに広がってくる。椀物は,あっさりとしつつも白身魚のうまみを残したしんじょうに筍の歯ごたえが非常によくマッチし,またえんどう豆豆腐も豆のさわやかな香りが素晴らしく,こごみの歯ざわりも楽しい。これら淡白な椀種をまとめる吸い口は,かつおと昆布のうまみが凝縮された出汁であり,これぞ桝田の真骨頂といえる。まさに椀物は懐石の花形であることを感じさせられた一品であった。八寸は八重桜があしらわれており,見た目に非常に美しい。いずれも美味であるが,中でもこごみの胡麻和え,トリ貝と分葱の酢味噌和えは特に美味であった。白木耳と菜の花の煮浸しはさわやかな一品。茶碗蒸しは,餡の出汁加減が秀逸。種の筍が軽やかで大徳寺納豆がアクセントになり,豊かなハーモニーが口の中で奏でられた。焼き物の蓬麩の田楽は,蓬のほろ苦さと香りが味噌にマッチしており,ねっとりとした食感も味わい深い。土鍋で炊き上げられた米はちりめん山椒や香の物や味噌汁と非常によく合い,文句なく美味い。最後の水菓子もイチゴが甘くやさしく,完成度の高い一品であった。
二人で2万320円。全般的に完成度は非常に高く,特に向付と椀物等の出汁加減が本当に秀逸である。また季節ごとに再訪したい。
5つ星に変更する。
2017/10/29 更新
祝い事があり、こちらの店に久々に家族で訪れた。心斎橋にある懐石料理のお店。18,000円のコースを予約して訪れた。店の前には、メンターシェフを祝う大きな花束がいくつも飾られている。久しぶりに入店すると、個室に案内される。
おしぼりが用意される。ドリンクを銘々選んでいく。2名がハートランドビール、1名がオレンジジュース、私は磯自慢純米吟醸をそれぞれ注文する。
ドリンクが運ばれてくる。磯自慢は、未開封のものが用意され、その場で片口に注がれる。
まずは乾杯。おめでとう、良かったと皆が互いに口にする。私も本当に嬉しく思う。
まず最初に、珍しく先付八寸が、名物の大皿ではなく、銘々の皿に盛られて運ばれてくる。小鉢には筍の木の芽和え。別の小鉢には山葵菜と蛍烏賊の和物。夫婦雛の器には、あん肝。早咲きの角皿には、紫花豆、蛸旨煮、プチトマトのコンポートジュレ掛け、そら豆塩茹でが盛り込まれている。早咲きの桜が添えられ、季節感溢れている。ただ桝田玉子がないのは少し淋しい。
山葵菜と蛍烏賊は、山葵菜の爽やかな辛味とむっちりした蛍烏賊の身の旨味が素晴らしい。また、あん肝は日本酒によく合う。蛸旨煮は、辛子が添えられてあり、柔らかく滋味深い味わい。そら豆はほっくりした食感がいい。紫花豆やプチトマトのコンポートは、優しい甘さで箸休めにちょうどいい。そして、筍の木の芽和えは、これまで食べたことがないほどの美味。筍の旨さが十全に引き出されている。どの料理も美味しく頂けた。
続いて、椀物が用意される。椀は蓋に桃か桜花に鳥の蒔絵を入れたもの。椀種は、蛤と胡麻豆腐、うるい菜に山椒が添えられている。椀の蓋を空けると、蛤の旨味が出た出汁と山椒の香りが素晴らしい。まずは一口。蛤の濃厚な旨味が口一杯に広がる。濃厚だけどくどさは全くなく、上品な味わい。続いて、胡麻豆腐を頂く。ねっとりとした食感に胡麻の香りがふうわりと広がる。蛤は、3つあり、丁度いい火入れ加減。出汁に旨味が移っているはずなのに、強い旨味をたたえている。出汁、蛤、胡麻豆腐と濃厚な旨味をうるい菜と山椒が軽やかに昇華させる。本当に旨い椀物である。やはり椀は和食の花形だと感じさせられた。
次は、向付。青磁の皿に、鯛、鮪、槍烏賊、雲丹が盛られ、海苔と白板昆布が添えられている。醤油と青海苔塩が用意される。
鯛は白板昆布に乗せて、少しの山葵と塩で頂く。とても味が甘くて素直に旨い。槍烏賊は、細かく包丁が入れられており、同じく塩で頂くと、蕩けるような食感で旨味だけが残る。鮪は、赤身とトロの部分が用意されており、赤身は、爽やかで軽やかな酸味を感じ、トロは、脂の乗った芳醇な味わい。雲丹は抜群に甘くて口の中で蕩け、旨味だけが残る。海苔で巻いて頂くと、海苔のパリッとした食感と雲丹の蕩けるような柔らかな食感のハーモニーが楽しい。秀逸な向付であった。
続いて焼物が用意される。河豚白子の唐墨掛け。軽く塩をして香ばしく焼いた河豚白子に、たっぷり唐墨をおろしたものがかけられている。焼きたての熱々を頂く。口に運ぶとまったりとしたクリーミーな味わいがいっぱいに広がり、そこに唐墨の塩味が乗り、これまた本当に旨い。日本酒は進んで仕方がない。ここで勝駒の特別純米を注文する。日本酒と合わせると、豊かな味わいが感じられ、日本料理の素晴らしさを改めて感じる。
炊き合わせは、筍とメバル。蕗や薇、茗荷なとがあしらわれている。煮汁は澄んだ少し甘めで塩味も抑えてある。にも関わらず、メバルや筍に煮汁がちょうど良い塩梅に染み込み、素材それぞれの旨味が十全に引き出されている。メバルの身は淡白な中に少し脂が乗り、抜群に旨い。筍はほんの少しだけアクを残してあり、そこに出汁が優しくて染み渡り、これまた素晴らしい。季節感溢れる素材を活かして丁寧な仕事をした驚きの一品だと感じた。
飯物は、蟹と筍とえんどうの炊き込みご飯。香の物、小吸物の味噌汁が付く。出汁と蟹そして山椒の香りが立ち昇り食欲がそそられる。蟹の旨味、筍の楽しい食感、豆の甘さ、そして蟹や筍と出汁の旨味を吸い込んだ米の豊かな味わいが、口の中いっぱいに広がる。とても旨い。皆あっと言う間に食べてしまい、お代わりをして頂く。お焦げの部分も香ばしく、最後まで美味しく頂いた。
小吸物は、花蓮の文字が椀蓋裏に書かれたもので、中身は、豆腐の味噌汁。優しい味わいで、品よく仕上がっている。炊き込みご飯ともよく合う。香の物も旨い。
水菓子とお茶が用意される。シャインマスカット、苺二種、オレンジ、レインボーキウイ、せとかの盛り合わせと、抹茶アイスと粒餡の最中。
最中の方は、抹茶アイスには、抹茶の清らかな味わうだけで甘味がほんの少ししかなく、粒餡と一緒に頂くと、丁度いい柔らかな甘さになる。最中に挟んで急いで頂く。サクッとした最中の食感に続いて、柔らかな甘味と爽やかな抹茶の香りが広がる。果物の盛り合わせも、どれも爽やかで丁度いい甘味、酸味があり、美味しく頂いた。今夜の料理の最後を〆るのに、ぴったりのお菓子であった。
こちらのお料理は、いつ伺っても正統派の和食の飛び切り旨いものが頂ける。私も家人らもこちらの店での食事を楽しみにしている。大将を始め、店員の所作を素晴らしい。また、機会を作って訪れて、旨い料理を楽しみたい。