2回
2002/01 訪問
楊初訪問
日本に炸醤麺を扱う店が増える気配が無いと思ったのは、私の調査不足のせいだった。
インターネットで検索していると、乾麺のうどんを使った炸醤麺を出す店が 十条にあるという。期待して出かけた。
この駅で下車するのは初めてだ。探している「楊」の電話番号は控えてあるが、 駅前の商店街にあることは確かなので、しばらく探してみる。
しかし、十条には商店街がいくつもあったのだ。意を決して携帯のボタンを押す。 私は北京語がわからない。日本語で大丈夫かな?
「今タクシー乗り場ですね?線路沿いに右に行って、最初の踏切を渡れば直ぐですよ」
完璧な日本語だ。早く聞けばよかった・・・
昼の営業時間である2時を過ぎていたが、楊さんは温かく迎えてくれた。 店内は豚の耳を煮る鍋からの、八角の香りが漂っている。 6席あるカウンターと4人がけのテーブルが1つというこじんまりした店だ。 メニューを見ると炸醤麺は昼のメニューであった。 「小龍包」「麻婆豆腐」「焼き肉まん」は次回のお楽しみに取っておき、 炸醤麺(スープ、ご飯、ザーサイ付き、750円)と、水餃子2人前(1人前6個、350円) を注文する。
まず水餃子が出来た。先ほどのばしたばかりのプリプリの皮。 醤油と酢と自家製唐辛子をベースにしたスパイスを混ぜて餃子につけて食べる。
炸醤麺は日本製の乾麺を使っている。小さい店なので、日保ちのしない生麺を 使えないのだそうだ。
「常連さんに頼まれて手打ちでやったこともあります。これはまた格別に旨いんですよ」
それは是非今度お願いしたい。
「よくかきまぜて。かきまぜたほうがおいしいですよ」
茹で汁が多く醤もあっさりしている。生の胡瓜、茹でたキャベツが載っている。 勧められた自家製唐辛子スパイスをかけて、箸でかき混ぜる。家の味に近いわけではないのだが、これはこれで私好みの味である。
「トマトとたまごのスープ」。 メニューには、私のお気に入り「トマトとたまご炒め」もある。
そういえば中国ではトマトも良く使うなあ。
楊さんの夫は日本人。料理がうまいから店をやってみないかと勧められ、5年前に始めたのだそうだ。 しかいはじめてみると、客の中には口に合わない人もいて悩んだそうだが、 この味が好きで来てくれるお客さんのために、今後も味を変えないことにしているそうだ。
小さな麺棒で餃子の皮をのばす。
手間は掛かるが、高級な食材を使っているわけでもないのだから、 そんなに高い価格にはできないだろう。水餃子はレストランより家庭料理向きのものなのかも。
しかし、この店は5年も前からあったのに、私が知ったのは去年のことだ。 きっとまだ、私の知らない所にも炸醤麺を出す店があるに違いない。さらに 調査を続けます。
2020/09/14 更新
2011年12月夜
3月の震災の直後、何人かの料理人が中国に帰ってしまった
四川料理店「楊」。
半年前にここ1号店を一人で任されたのはモンゴル人。
繁盛してるといいな。
ドアを開けたら火鍋がお出迎え。
店内の様子も変わった。
客はモンゴル人ばかり。
よし今夜はモンゴルの晩餐としよう。
まずは馬奶の酒。アルコール度38度。
羊の舌。
塩でゆでてあるだけなのに風味豊か。
小さい瓶だからすぐに無くなってしまった。
お次はこれ。
牛奶の酒だよ。
無色透明だけどほんのりと甘い。
実はシンセンでモンゴル人から聞いた面白い話を、
店長にしようと思ってたんだ。
「その社長がね、小さい時、学校まで10キロもあったんだって。
どうやって行ってたと思う?」
「バイクですか?」
「いやいや、毎朝家のそばにいる駱駝や羊を捕まえて、
それに乗って学校に行ったんだって!
驚いたよ」
「私も家の駱駝で通いましたよ。
30キロあったから、週の初めに駱駝で行って、
何日か泊まって週末に家に帰っていたんです」
と、奥から写真を出して見せてくれた。
「フタコブラクダは瘤の間に乗ると楽なんです」
小麦粉料理も充実してきた。
これはモンゴルの包子。
羊肉と長葱餡。
これは羊肉面。
幅3センチ、長さ4センチぐらいの薄い麺だ。
手で一つ一つ伸ばすんだって。
さぁ、松本とあと何人か誘って羊の会をやろうか。
2011年4月夜
一時休んでいた十条店が、新しいスタッフで再出発!
震災後は久しぶりに訪れた十条駅の周りは少し暗い。楊も節電営業だね。
電話をくれた楊さんと会うのは久しぶり。去年オープンさせた人形町店もやっと軌道に乗ってきた矢先だったのにね・・・。でも帰国していた従業員も一部は戻り、残ったスタッフの再配置で十条店もこの日21日にまた開けることが出来たというわけ。いつもの楊の味だ。
冷奴もね。
これが新十条店のオリジナルメニュー。
前からあった小籠包でしょって?
ほら。画像でも一緒か。
餡が羊肉なんだよ。
これも羊。しかし、この日は強い羊味。噛み応えもある。
そう、新十条店ではモンゴル料理も加えて行く作戦なんだって。
看板メニューの麻婆豆腐はもちろん楊の味そのまま。
他の食べ物も、
変わらない。
水餃子は、楊さんが自分よりも上手に出来たって。
新十条店、僕も蒼国来共々応援するつもりだよ。
店名:楊十条店
住所:東京都北区中十条2-22-4
この口コミは↓と同時公開です。
記事URL : http://blogs.yahoo.co.jp/jimmy_arakawa/44852093.html