レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2013/09訪問 2013/09/26
<はじめに>
最近本当に忙しく、書き溜めたレビューも数百レベルになり、とりあえず、最近頂いた中で、特に美味しいと思った評価点5シリーズを続けたいと思います。最近、蕎麦を結構頂くのですが、なかなか「これは!」と思える店に出会えなかったのであるが、こちら 膳は、兼ねてより行きたいと思いつつ、実は2度もフラれている因縁のお店でありました。
いずれも、週末にお伺いしたのだが、売り切れ御免で、悲しく去ることに。あと、10分早ければ蕎麦にありつけたものを・・・と、悔し涙が出そうなくらい悔しい思いを致しました。特に、こちらのお店の前の道は、大変細く、電信柱に車を擦ってしまうという悲劇もございました。
そして、ようやく、開店時間にお伺いして、念願の蕎麦をいただけることに!
店内は、とても清潔で、仕事ぶりの一環を垣間見るような気が致します。こちらのご主人、本当に綺麗好きで、暇さえあれば、厨房を拭いておられる印象が強いのですが、この潔癖さが、如何に蕎麦に反映されているかが楽しみであります。
また、こちらはマイレビュアーさんで、全国の蕎麦を食べ歩き、好みも比較的近いと思える、Kotarolさんも大絶賛のお店ということもあり、胸がときめきます(笑)。
<2種類の蕎麦がデフォルトで楽しめます>
京都では、一度に複数の産地の蕎麦が楽しめるお店が結構ありますが、こちらは、デフォルトで2種類の蕎麦を楽しむことができます。
例えば、この日800円のもりそばを注文すると、最初は細かい蕎麦が出てまいり、食べ終えると同時に次の荒い蕎麦が出て参ります。
日によって、産地も、出てくる順番も違うようなのであるが、一度に複数の蕎麦を楽しみたい私にとっては、何とも嬉しい話であります。
この日のもりそばは、特に何も言わなければ、最初に長野県塩尻産の細かい蕎麦が出て参り、次に同じく長野県産の荒い蕎麦が出て参ります。そして、更に嬉しいのは、「そばのお替り(600円)」をすることができ、追加600円で、更に2種類の蕎麦を頂くことができるのである。といっても、この日は、長野県産の細かい蕎麦と荒い蕎麦、それに栃木県産の荒い蕎麦の3種類だったので、お替りは、再度最初の長野県産の細かい蕎麦と、栃木県産の荒い蕎麦を頂くことに。
<もりそば 一もり目 長野県塩尻産 細かい蕎麦>5.3
さて、最初に出て参りましたのが、こちら長野県塩尻産の細かいお蕎麦であります。
おおお!見た目も何とも美味しそうでります。食感が視覚からも、かなり伝わってきそうであります。
最初は、何も付けずに、蕎麦のみを口の中に運びます。
・・・・・・・・これは、これは、素晴らしい!!
何なんだろう!この食感は!同じ蕎麦粉を使っても、ここまで違うものかと思わんばかりの見事な食感であります。水加減、弾力性、喉越し、蕎麦の香り・・・・そのどれをとっても、私のストライクゾーンど真ん中であります。
もちろん、似た蕎麦は全国で色々と頂いて参りましたが、何と表現したらいいのか分かりませんが、京都らしいというか、とてもきめ細かで、上品でいてかつ、試行錯誤を繰り返した跡が分かるほどに、洗練されています。
まぁ、理屈はともあれ、これは本当に美味しいですね~。また、つけ汁も、京都らしいというか、結構かつお節が効いているのですが、とんがった所はなく、何ともまろやかで、節の旨み成分だけが、これまた上品に口の中に広がっていきます。
この蕎麦汁、この蕎麦のために生み出されたような、最高のマッチングなんです。
このプルンとした、瑞々しい、適度な弾力のある蕎麦が、喉を通る時に、何とも、やさしく、脳の天辺に、ため息が出るほどの美味しさを運んできてくれるようです。お見事です。
<もりそば 二もり目 長野県塩尻産 荒い蕎麦>4.5
細かい蕎麦に感激をしておりますと、早々と次なる荒い蕎麦の登場であります。蕎麦粉は、同じ長野産でありますが、これまた、全く違った食感と、風味が出てきますね。当たり前ですが、蕎麦そのものの香りは、断然荒い方が強く、蕎麦通な方には、こちらの方がお勧めかもしれません。
ただ、荒いといっても、全くの粉っぽさが無く、喉通りも素晴らしい。
本当ににくいほどに、良く考え抜かれ、蕎麦を堪能させてくれるものです。
<もりそば お替り 一もり目 栃木県益子産 荒い蕎麦>5.0
デフォルトのもりそばを2種頂いた後、予定通り、お替りモードに突入であります。お替りの一もり目は、栃木県益子産の粗い蕎麦であります。
直前に長野県の荒い蕎麦を頂いたばかりでありましたが、こちらの栃木県産の荒い蕎麦は、個人的には長野県産の荒い蕎麦より、かなり自分好みであります。もちろん、長野産の荒い蕎麦でも、粉っぽさは全く無かったのですが、こちらの栃木県産は、更に喉越しが素晴らしい。
本当に荒い蕎麦かと思う程に、しなやかで、なめらかで、かつ、必要十分な荒い蕎麦ならではの食感も楽しめます。
また、こちらの栃木県産の蕎麦は、蕎麦の香りが素晴らしく、正直、荒い蕎麦より細かい蕎麦を好む私にとっては、かなり意外でかつ、感動的な出会いでありました。
<総括>
もりそばのお替りの二もり目は、一番最初に頂いた、長野県産の細かい蕎麦でありますが、やはり、これはたまりませんね。こちらの蕎麦を頂いて、少し時間が経ちますが、鮮明にこの食感、香りが蘇りますね。
最後に、長野産と栃木産の蕎麦の実をそれぞれ食べさせてくれるのですが、栃木県産の方が少し粒が大きく、より甘く、香りが強いですね。
もう、3度目の正直というか、本当に今回は頂けてよかったです。京都は生まれ故郷でもあり、結構蕎麦も食べてきましたが、今のところ、京都でダントツで一番好きな蕎麦屋となりました。また、再訪して、違った産地の蕎麦も色々と試してみたいものですね。
しばらくは、評価点5シリーズをマイペースで書いていく予定であります。本当にスローペースですが、ご容赦下さい。
3位
1回
2013/09訪問 2013/09/30
愛知で一番好きなラーメン屋です(最強の「武富たまりらぁ麺」)
<はじめに>
100軒以上レビューをスキップ致しますが、評価点5シリーズを続けます。
2012年から仕事の関係から名古屋に参ることが多く、総滞在日数も、トータルで1ヶ月近くとなり、頂いたラーメンも30軒近くとなります(レビューはほとんど書いていないのですが)。
愛知県で色々頂いたラーメンの中で、一番好みに合っていたのが、こちらの一八さんの「たまり醤油ラーメン(しょうゆ新味(武豊たまりらぁ麺))であります。
この日もセントレアに降り立ち、ト●タレンタリースでVitsをレンタして、仕事先に行くまでの道すがら、美味しそうなラーメン屋を検索します。iPhoneの食べロアプリの付近のお店の地図モードにして、道すがらのルートで10軒ほど候補があがり、悩んでおりますと、一軒、信頼するマイレビュアーであられるPLEYELさまが、珍しくラーメン部門で好評価のお店があります。PLEYELさんは、どちらかというと、A級グルメを中心に、ラーメンの好評価のお店は数少ないのですが、そのPLEYELさんが、かなり絶賛されておられるではないか!
今年6月に名古屋に海外からのVIPをお連れした際も、PLEYELさまからアドバイスがドンピシャだったことから、かなりの期待感を持って車を飛ばします。
<梅しそ鶏冷しらぁ麺 860円> 4.2
食べログでも、かなりの人気店とお伺いしていたので、並ぶことも覚悟していたのですが、正午前にお伺いしたにもかかわらず、意外に空いていました。メニューについて、悩むも、実は、こちらのお店に入る約2時間前に千歳空港で弁当を頂いており、正直、全くお腹が空いておりません。
空腹でないことと、とても暑かったので、PLEYELさまも評価をされていた、食べやすそうな、こちらの季節限定の「梅しそ鶏冷しらぁ麺」をお願いすることに。
程無く、梅しそ鶏冷しらぁ麺の登場です。なかなか美味しそうなルックスの冷しラーメンですね。私、もともとあまり冷しラーメンが好きでなく、久方ぶりの冷しラーメンでありました。
なるほど、スープは、あっさりですが、適度なコクがあり、様々な旨み成分が溶け合い、とても食べやすいものになっております。
麺も細麺なのですが、結構コシがあり、スープとかなりマッチしておりますね。とてもいい感じです。
空腹だったら、結構すぐに完食できたかもしれませんが、こちらの麺の量が結構ありまして、食べても食べても、なかなか無くならない・・。
普通は2杯目もいく私でありますが、今回ばかりは、この冷しだけで終わりそうであります。
<しょうゆ新味(武豊たまりらぁ麺)780円>5.3
ただ、個人的に私は醤油ラーメンというか、淡麗な中華そば派であり、やはり、どうしても冷しラーメンだけで店を去るのが、心残りであります。お勘定の準備もして、千円札を握りしめていたのですが、ついつい「2杯目頂くのなら、何がいいでしょうかね~」なんていう言葉を発してしまいます。
「おいおい、満腹なのに、何を言い出すんだ私は・・」と心でつぶやきつつも、すっかり、二杯目モードであります。
女性の店員さんが、一番人気の燻しおを紹介くださるも、どうしても醤油にこだわりのある私は、お店の壁に貼ってありました雑誌の切り抜きに掲載されていた、たまり醤油ラーメンの写真が美味しそうだったので、こちらをオーダーいたします(だったら最初から聴くなよ!って言われそうですが・笑)。
2杯目となると、既に店主さんと、結構会話が弾みます。このお店の経緯や、ラーメンに対するこだわりなど、味の背景にあるバックグラウンドを情報として得ます。
そして、いよいよ本日2杯目のたまり醤油ラーメンが登場であります。正直、一杯目で満腹であった私は、半分くらい残してしまうことを、前もって宣言。まず、スープを一口。
「ああああああ!これは!!」
これは、久方ぶりの衝撃であります。正直言って、かなり美味しいです。愛知県は、全体的にラーメンの塩分濃度が少し高いイメージがあり、食文化の違いで仕方がないかな~と思っていたのですが、このたまり醤油ラーメン、塩加減も絶妙であり、旨み成分満載のかなりハイレベルなラーメンであります!!
たまり醤油そのものも、かなり高級な地元の厳選醤油を使用されており、これがコクがあって、深い味わいがじわ~っと口の中で上品に広がるんですね。そして、隠し味に使われいるアサリが、旨み成分を最高のレベルにまで引き上げ、特に貝類ならではの、喉越しというか、スープが喉を通る際に、独特な旨みを伴って、胃袋の中に優しく消えていく感じなんです。
喉で旨味を感じるタイプの絶品スープでありますね。最近頂いたスープの中でもトップクラスのレベルでありますね。ラオタさんに特にお勧めであります。
いや~、正直、半分以上残すことを覚悟していたのですが、一定以上美味しいものを頂くと、脳の満腹中枢が一時的に解除され、いくらでも入ってしまうんですね。いわゆる、別腹状態であります。それて、これこそが、究極の「グルメハイ」な状態なんですね。
理屈ではなく、愛知県ではじめて、このグルメハイ状態となりました。
<燻しお 790円> 4.3
結局、初日は冷しラーメンとたまり醤油ラーメンの2杯をいただき、大満足で仕事に望むことができました。それにしても、他のお客さんを観ておりますと、3人に2人が、看板メニューと言われる、こちらの燻しおをオーダーされておられます。
ということで、仕事を終え、セントレアから北海道に戻る直前に、再度こちらのお店にお伺いして、燻しおを頂くことに。
ただ、またしても、私の方は体調不良で、食欲がほとんどありません。北海道と名古屋の温度差で、夏バテしてしまっているところもありましたが、どうも風邪をひいてしまったようで、微熱もあります。
またもや、かなりコンディションが悪い状態での一杯だったのですが、なるほど、こちらも、レベルの高い一杯であります。
結構、「塩」が前に出てくるスープであるのですが、不思議と塩辛くないのです。いい塩を使っておられるのもあると思いますが、こちらのスープにも、たまり醤油ラーメンと同じ、アサリがふんだんに使われており、しょっぱさをかき消すように、深く、まろやかな旨み成分が口の中全体に広がります。
愛知県ではぎりぎりな塩分濃度のようで、これ以上塩分を下げると、地元の方には食べていただけないという。やはり、結構、はっきりした、塩が前に出るスープが受け入れられるようですね。
<病みつき中華そば 680円> 4.2
体調不良と食欲不振の中、少しハンディのなる状況でありましたが、さらにもう一杯頂きたいということで、お店の向かいにあるコンビにで買い物をして、駐車場で持ち込んだパソコンで2時間くらい仕事をして、再度入店であります。
そして、店主のお勧めでもある、病みつき中華そばを頂くことに。
お勧めといっても、たまり醤油をいただき、燻しおも頂いていたこともあり、これら2つのは系統が違う、少しパンチのあるラーメンとして、最後の一杯をこちらでしめることに。
正直、この時点で熱も37・5くらいに上がってきており、座っていても、かなり辛い状況でありましたので、この状況下でパンチ力のあるスープは、少し厳しいものがありましたが、これ、空腹時だったら、かなり楽しめるスープであると思います。
<総括>
2日間に渡り、4杯のラーメンを頂くことができ、そのクオリティーの高さに感銘を受けました。
体調不良に伴う、食欲不振が無ければ、もっと美味しくいただけたと思いますが、それにしても、全く食欲が無い状況下で、スープまで完食してしまった、しょうゆ新味(武豊たまりらぁ麺)は、全国的に見ても、かなりのレベルで、マイ全国トップ10の中にも十分入っているかと思います。
また、こちらのオーナーさんのパーソナリティーも素晴らしく、話していて、とても楽しく、人柄といったものが、スープや料理に現れていると強く実感致しました。
当初は総合評価を4.8くらいにしようと思っていたのですが、たまり醤油で、完全にグルメハイになったこともあり、最高評価を付けさせて頂きました。ある意味、地元の方のお口に合うかどうか分かりませんが、こちらのたまり醤油ラーメンは、間違いなく、ラオタさんをはじめ、ラーメン通の方に、かなり評価される一杯であると確信しております。
もちろん、ラーメンは好みでありますので、もしたまり醤油で物足りない方は、パンチ力のある病みつき中華そばを頂いてみられればどうでしょうか。正直、こんなにメニューも必要無いのではと思うほど、広いバリエーションを持っておられるのですが、どのフィールドも極めておられて、流石と言いたいですね。ただ、私的には、たまり醤油と、燻しおの2つだけで十分やっていけるお店であると思いました。
愛知県で、はじめて5の評価となりましたが、こちらのたまり醤油がお好きな方、その他の愛知県のお勧めのラーメン店を是非ご紹介してもらいたいものです。
4位
1回
2013/09訪問 2013/09/27
(再訪)
京都で一番好きな蕎麦屋を紹介したので、今度は京都で一番好きなラーメン屋を紹介します。あまり、「一番好き」なんという言葉は使わない方がいいのかもしれませんが、これも私の個性としてお許し下さい。
京都で生まれ育った私にとっては、京都のラーメンは本当に親しみがあるのですが、ある意味、こちらのラーメンは、新しく、京風ラーメンという部類にも入らないかと思います。
初訪の欄にも書きましたが、こちらの店主はもともと蕎麦屋で修行を積んでおられ、基本、淡麗であっさりなのですが、かえしというか、出汁がかなり出ており、淡麗だが、深みがあり、何とも味わい深い。まさしく、私のストライクゾーンど真ん中であります。
<ラーメン チャーシュー増し>
久しぶりにこちらのラーメン(醤油)をチャーシュー増し(200円プラス)で頂きます。
いや~、初訪で頂いた際よりも、更に美味しく感じますね。全国で色々と淡麗なラーメンを食べ歩いて参りましたが、こちらは好みはあるかと思いますが、淡麗で深みのあるラーメンという意味では、全国でもTOP10の中に入るかと思います。
濃い味付けを好まれる方だったら、「あっさり過ぎる」「水くさい」なんていう評価も出てくるかもしれませんが、こちらのスープは必要十分な出汁が出ており、決して水くさくはありません。私は淡麗なスープが好みといっても、味が薄すぎるものや、水くさく感じるスープは全くダメなんです。
その意味では、何ともバランスの取れたスープで、いくら食べても飽きが来ないタイプのスープであることを、あらためて認識できました。
チャーシューも美味しいですね~。あまり、脂っこいチャーシューが苦手な私にとっては、理想的なチャーシューと言えます。かといって、パサパサタイプのものでもなく、1つ1つの仕事がとても丁寧であることが分かります。
<かえ麺(100円)>
いわゆる替え玉は100円でいただけるのですが、何と私の隣のご夫婦は、こちらのかえ麺を、スープに投入することなく、麺だけで食べておられるではないか!!お話をお伺いすると、こちらの麺は、とても美味しいので、麺だけを楽しむのも、常連の食べ方の1つだそうです(笑)。
私も、早速、かえ麺を注文して、頂くことに。もちろん、スープは既に飲み干してしまっており、麺だけで食べざるを得ない訳ですが・・。
かえ麺だけで食べる場合は、少し多めに醤油ダレを上にかけてくださるようなのですが、なるほど、これは美味しいです。
結構、はまる人は、はまるかもしれませんね。
私の場合、最初に醤油ラーメンを頂いたばかりでしたので、もう少し醤油ダレが欲しいところでありましたが、これはこれで、麺の美味しさを堪能できました。
今まで、蕎麦でしたら、たまに水そばなんかを頂きますが、ラーメンをこのような形で頂くのははじめてでありますね!
いい経験をさせて頂きました。
<総括>
蕎麦屋のかえしのとり方などが、ラーメンスープに見事に表現されており、上品で、強すぎず、自然な出汁の旨み成分が、ゆっくりと口の中に広がるタイプのスープで、淡麗派の方や、こってりが苦手な方は、是非いただいてもらいたいです。あらためて、評価点5という自己評価を再確認いたしました。美味しかったです!ちなみに、京都で二番目に好きなラーメンは、拳ラーメンの醤油でしょうか。
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(初訪)
~蕎麦屋で鍛えた出汁の取り方はうなるものがあります!~
評価点5シリーズの5つ目が、こちら山崎麺二郎さんであります。実は、こちらのお店は、過日アップ致しました金久右衛門 本店に初訪をした翌日にお伺いいたしました。
正直、金久右衛門 本店に久方ぶりの大満足を覚えた私は、ラーメンに対する欲求が満たされ、正直それほどラーメンが食べたいという衝動にはかられなかったのでありますが、私の中でのジンクスでは、グルメハイになるような超お気に入りのお店に出会えたあとは、結構同じようなお店に出会いやすいというたまたま偶然の法則があり、この日もラーメン店を食べログiPhoneアプリで検索することに。
丁度仕事で、二条中学付近におりまして、そこから10km圏内(5km圏内だったかな)を検索すると、こちらの山崎麺二郎さんがラーメン部門でトップにあり、レビューを拝見すると、私が尊敬するレビュアーさんが大変高い評価をしておられます。私よりも辛目の評価をされることが多いのですが、4.5以上の評価をされるお店で外れたことがないこともあり、お伺いすることに決定する。
こちらのお店、駐車場が無いことから、円町の交差点にあるコインパーキングに車を入れ、お伺いします。「アレっ」このお店って、以前に来たことがあるラーメン屋さんではないか!そう、こちらのお店の前にあったラーメン店は、そこそこ人気のあるラーメン屋さんで、以前タクシーの運ちゃんに勧められてお伺いしていたお店だったのだが、山崎麺二郎さんが新たに入られたようですね。
ただ、居抜きという訳ではなく、内装は完全に改装されており、落ち着いた寿司屋っぽい雰囲気が漂っておりました。
丁度、営業時間終了のぎりぎりを狙ってお伺いしましたので、待ち時間は15分ほどで、それほど待たなくて済んだのですが、客層は、女性客や、年配のお客さんも目立ちます。どちらかというと、ラーメン屋の客層というよりも、蕎麦屋やうどん屋の客層に近いものを感じます。
メニューは、シンプルに、醤油、塩、つけ麺の3種類で、お勧めをお伺いすると、最近はつけ麺が人気があるようでつけ麺をオーダーするも、やはり、基本の醤油から頂こうと思い、醤油に訂正して、オーダーします。昨日、1度に3杯頂いた後ではありましたが、美味しいお店だったら、連食しようと考えておりました。
<醤油ラーメン>
程なく、醤油ラーメンが参ります。おおお!何とも美しいルックスで、私好みのルックスではないか。上品さが見た目から判断でき、どこか、以前に頂いた、天理の一徳さん思い起こします。
さて、お味の方は・・・・。おおおおこれは・・・。これまた、私好みの深みのある、あっさりラーメンである。最初、少し淡泊かな~と思いましたが、しっかりと出汁も効いており、旨み成分も口の中に広がります。
この味は、いわゆる短期の修業で演出できるものではなく、長期間和食の修業をされた方が出せる味と言える。そこで、店主の方にお伺いすると、「いえ、特に・・・」という、意外にクールな反応が返って参ります。このリアクションは!!まさに、天理の麺屋 一徳さんのリアクションに似ている!味の方向性も似ているが、店主さんの雰囲気もどこかとても似ている感じである。
そうか、このタイプの店主さんは、あまり話しかけない方がいいのかな~と思いつつ、ついつい色々と話してしまう私・・・。そして、更に色々とお伺いしてみると、和食職人ではないが、蕎麦屋で修業を積まれたようで、蕎麦屋の出汁の取り方を熟知されておられるのである。
なるほど、これで、全ての謎が解ける。蕎麦の汁のような、かえしを上手に使ったスープで、魚介の風味がするものの、まろやかでやさしいスープと言え、毎日でも頂けそうな純和風ラーメンと言えます。どこか、美味しい蕎麦の延長線上にあるような、かえしの効いたあっさりラーメンは、まさしく私のストライクゾーンに入りました。
また、麺も美味しい。大変洗練されていて、一徳さんのような細麺ではないが、実にむっちりしていて、適度な弾力性があり、スープとの絡みも良い。
<つけ麺>
ラーメンに心を奪われた私は、もちろんつけ麺もオーダーします。結局、つけ麺をオーダーする頃に閉店時間となり、私が1人最後の客として残り、色々とお話しが弾みます。
結構、寡黙な店主さんかと思いましたら、色々とラーメン談義に花が咲きます。
意外に気さくで、親しみやすい方であります。天理の一徳さんも、もっとお話しできる機会があれば、もっと仲良くなれたかもしれませんが(笑)。
別にラーメン屋に行って、店主と仲良くなる必要はないのかもしれませんが、結構店主の人柄やポリシーが味に出ることが多く、私はできれば、店主の方と色々とお話しができればと思っております。
そうこうしている内に、つけ麺ができあがります。一見、スープはオーソドックスなものに見えますが、これは、かなりあっさりだが、美味しい。あっさりスープのつけ麺の場合、パンチを効かせるために、背油やラードを入れられるお店も結構ありますが、こちらは、それらのものは一切投入せず、出汁の濃度を調整して、若干醤油ラーメンよりも甘みが増した感じで、食べやすい。
そして、つけ麺にしてみて、麺の全体像を観ると、とても美しい麺である。蕎麦屋で培われた、様々な知識やノウハウが生かされているように感じる。
そして、麺を頂いた後、割スープで割って頂いたのだが、これがまた美味しい。より、魚介の風味が増し加わり、スープを飲み干してしまうほどでした。
<塩ラーメン>
醤油ラーメンと、つけ麺で、かなりのお気に入りとなってしまった私は、日を改めて、再訪し、残る塩とチャーシューごはんを制覇することに。
この日は、いわゆる台風並みの低気圧が京都を直撃している日で、とんでも無い雨が降り注いでいる。この日も、営業時間終了直前ということもあったが、いつになく、客が少なく、待ち時間ゼロで座ることができました。
店主さんも、私の顔を覚えて下さっていて、また、色々とお話しをします。
そして、オーダーした塩ラーメンをいただくと、予想通り、かなり美味しい。正直、醤油ラーメンに限定すると、過日頂いた、、金久右衛門さんや、中華そば専門 神楽さんの方が好みに違いが、塩に限定すると、なかなか美味しいお店が少ない。それほどまでに、塩ラーメンというのは、難しいラーメンなのかもしれないが、蕎麦のかえしのようなものが絶妙に効いていて、あっさりで、優しい味なのだが、やはり適度な旨み成分があり、一気に食べられる感じである。
塩ラーメンの場合、あっさり過ぎると、薄味になってしまったり、逆に味にインパクトを与えようとすると、塩辛くなってしまったり、または、余計なものを入れ過ぎると、「これのどこが塩ラーメンやねん!」ということにもなってしまいます。
その意味では、あっさりで優しく、適度な旨み成分が入ったこちらの塩は、あっさり派の方には、是非一度食べて頂きたいと思います。
また、チャーシューが何とも美味しい。脂身の多い部分と少ない部分の肩ロースが2つ入っているのであるが、これまた塩辛くないが、しっかりとした味付けで旨み成分が凝縮されており、あっさりのスープに程よいアクセントを与えてくれている。
これは、好みにもよりますが、私は、どちらかと言えば、赤身の多い部分の方が美味しく感じられるであろうか。
<チャーシューごはん>
塩ラーメンをスープまで完食した私は、最後のチャーシューごはんを頂きます。もともとここのチャーシューそのものが美味しいので、それを使ったこちらのメニューは当然ながらとても美味しいです。200円で食べられるということで、ラーメンとセットで注文されてみてはどうでしょうか。
<総括>
いや~まさかまさかの2店連続の5の評価が出ました。好みで言えば、前日に頂いた、金久右衛門さんの方が若干好みに近いのですが、蕎麦の出汁に近い、品のある、あっさりという意味では、京都という場所に似合うお店だと思います。
京都のラーメンというと、意外に学生さんが多い街ということもあり、最近は、ボリュームがあり、濃厚なラーメンが受け入れられる傾向がありましたが、こちらは私のように40代半ばを過ぎたような、そろそろコッテリは・・・という年代層には、かなり受け入れられるのではないだろうか。ただ、神楽もそうなのであるが、このラーメンを食べて水臭い、結構普通のラーメンと思われる方もおられるかもしれませんが、これは、やはり年代や好みによるところだと思います。ただ、ラーメンとしての完成度は、かなり高いものだと私は確信しております。
ということで、今、東京から名古屋方面に向かう新幹線の中で書いています。信州蕎麦の5評価のお店を次に書こうと思っていたのですが、千葉で美味しいラーメンと出会いましたので、次は千葉のラーメンを書かせて頂こうと思います。名古屋でも、美味しいラーメンに出会いたいものである。
5位
1回
2013/04訪問 2013/04/04
<まえがき>
これまで、何度も訪問を試みつつ、営業時間に間に合わず、指をくわえてその訪問の日を待ちわびたこちら清乃さん。マイレビュアーであられるschuさまをはじめ、多くの大物レビュアーさんが高評価を下し、かつレビューの内容からも、かなり自分好みな期待感にあふれるお店・・・。
北海道から行くにはかなりのハードルがあり、午前の便で関空に到着しても、どうしても昼の営業時間には間に合わず、また、夜に仕事が入っていることが多く、夜の営業時間にもお伺いできない。
この日は、関空に到着後、すぐにレンタカーをして、一気にお店に向かいます。以前、和歌山方面にJRを使うも、途方も無い時間を要してしまい、失敗した経験もあり、高速で和歌山県は有田を目指します。すると、あろうことか、降りるインターを1つ通り越してしまい、広川ICで降りることに。そして、ナビが何故か、紀伊水道沿いの海岸を走るルートに設定してしまい、ありえないほどの細い道をグネグネと回っていく。景観はいいものの、昼の営業時間のリミットがどんどん近づいて参ります。
とりあえず、お店の方にお電話をして、何とか営業時間が過ぎても一杯頂けないかどうか、嘆願致します。すると、お電話に出られた女将さんのご対応は何とも素晴らしく、とても丁寧にやさしく、「お待ちしておりますので、お気をつけてお越し下さい」とのこと。このお電話の対応だけでも、かなり印象が良くなります。結局、営業時間を5分オーバーで到着し、お店の前に車を置き、いざ店内に。
店内に入ると、先ほどの愛想のいい女将さんがきびきびと動いておられ、手際は良いが、どこか落ち着ける雰囲気のある、ラーメン店の女将さんとしては、100点満点な方であります。お奨めをお伺いすると、醤油系ならば角長醤油、塩系ならば鶏そば塩を薦められ、とりあえず、念願の清乃さんということもあり、両方をそれぞれ頂くことに。
<角長醤油「匠」(780円)>4.5
お昼の営業時間が過ぎたこともあり、お店は少しずつ人が少なくなり、色々と店主の方ともお話いたします。こちらの店主さん、ご存知の通り、和食職人さんであられ、料理で鶏の骨が結構出るので、それがもったいないということで、その鶏ガラを使用してラーメンを作られることに。スープと麺には、職人として、かなりのこだわりを持っておられるようで、醤油も老舗の角長さんの生醤油に、様々な魚介類がブレンドされたスープは、一口頂いて、かなりのこだわりを感じさせてくれる。
京都から取り寄せておられる麺も、かなりのこだわりの特注麺であり、このスープに見事にマッチしている。これだけ、スープによくからむ、ストレート細麺も珍しいと思うほどである。小麦の香りさえ楽しめる、納得の麺でありましたね。
後味も良く、結構、塩気がありそうで、喉の乾かない不思議なスープであります。中には、少ししょっぱいと思われる方も思われるかもしれませんが、このくらいアクセントが有った方が、いいのではと思いました。
<鶏そば塩(780円)>5.5
間髪入れず、角長醤油を食べきらない内に、次の鶏そば塩をオーダーします。丁度、麺と具の両方を食べ終わった絶妙なタイミングで、鶏そば塩が登場して参ります。おおお!これも、何とも美しいルックス。写真を撮っている間に麺が伸びないか心配でありましたが、こちらのストレート細麺、意外に伸びにくいのです!結構、伸びやすそうなイメージだったのですが、本当に良くできた麺でありますね。
そして、こちらのスープが何とも素晴らしい!お店のメニューにも、「おすすめ」と表記されておりますが、私もイチオシのメニューであります。とにかく、私は、もともと塩よりも醤油派なのですが、ここの塩の完成度は素晴らしい!!これでもか!という程に、鶏の旨味を引き出しており、久しぶり、グルメハイ状態に!
正直、どのように美味しいかは、口で表現しずらいですが、私の中では、全国TOP3に入るくらいの美味しさでありました。そして、極めつけは、こちらの味付け卵であります。私、あまり味付け卵を好まないのですが、こちらの卵は、卵白が柔らかく、こんなに美味しい卵があったんだと感激するほどでありました。
----(同日の夜 再訪)----
あまりに美味しく、3杯目も行けたのですが、流石に、営業時間を大幅に超えていることから、2杯で止めることに。
ただ、これだけ美味しい塩を頂いてしまうと、他のメニューも一気に試したくなる。。。
丁度、この日の夜にアメリカからのお客さんがあり、美味しいラーメンを食べられたいとおっしゃられていたのを思い出し、店主さんに、夜もう一度6名くらいでお伺いしても構わないかどうかお伺いすると、快諾を頂きます。
<超レアメニュー:清乃風 車庫前中華そば>5.2
夜の時間帯、再度関空までアメリカからのお客さんを車に乗せ、再度40km前後の道のりを和歌山まで車で向かいます。この日、清乃さんに行くためだけに、関空-有田間を2往復、約200km弱近く走行したことになる。
流石に、夜は6名でお伺いしたこともあり、私は3人分近く頂いたことになるが、一通り、メニューを試すことができました。どのメニューも美味しかったのだが、流石に、お昼に頂いた、鶏そば塩と、こちらの超レアメニューである、清乃風 車庫前中華そばのインパクトが強すぎて、今回はその他のメニューのレビューを割愛させていただきます。
その位にこちらの車庫前中華そばは美味しい。実は、こちらは、かなりラッキーだったようで、たまたま、偶然この日1杯だけ作ることができたようで、材料が揃わない場合、絶対に出せないらしいです。これまでに、こちらのラーメンを頂かれたのは、私を含めて3人のみとのこと(すみません、あれから食べておられる方がおられれば、増えているかもしれませんが)、本当に光栄に存じます。
これだけ、深みのある醤油で、後味が良く、旨み成分たっぷりのスープも珍しいです。他のレビューも書きたかったのですが、結局どれがお奨めと言われれば、やはり、鶏そば塩であり、運が良ければ、こちらの車庫前中華そばを頂いてもらいたい。
結構、それぞれのラーメンに個性があり、どれを選ばれるかで、評価も変わってくると思いますが、久しぶりに美味しい塩と醤油を頂き、大満足の5の評価であります。
<あとがき>
この日は、何と超大物レビュアーのかんみさんご夫妻と、よくお食事をご一緒されるというどぎゃんさんご夫妻も見えてられました。顔バレはダメということで、写真はアップできませんが、お互い記念撮影をパシャリ(笑)。
アメリカからのお客さんの娘さんがとてもラーメンを気に入られ、ボードにサインを残していかれました。きっと知らない人は何なんだろうな~と思うことでしょうね(説明が長くなりそうです)。
看板娘のまゆちゃんの接客も良かったですよ!女将さんがとてもいい教育をされていることもあるのでしょうが、味だけでなく、接客も満点ありました!店主さんも、一見寡黙な感じでありますが、話すと気さくで、人柄が優しく、本当にいい感じの方です。
完全にこちらのお店のフアンになってしまい、是非、色々な裏メニューも試して行きたいですね。
今回は簡易レビューとして、時間のある時に、もう少し詳しく書きたいです。とりあえず、海外出張から帰ってきて、真っ先に書きたいお店としてご紹介させていただきます。
6位
1回
2013/04訪問 2013/04/20
(再訪)お見事な完成度!全国屈指の中華そば(醤油)であります。さすがに料理人の作るラーメンは一味違います。
再訪(翌日) 2013年4月19日(昼)
<はじめに>
約14時間のインターバルを置いて再訪致します。今度は、ホテルより、最短距離で参ることができました。昼の営業時間の5分前到着で3名待っておられました。
前日に頂いた、中華そば(醤油)のあっさりがとても美味しかったので、今回は同じく中華そば(あっさり)の塩を頂いてみることに。また、白湯系で、もう少しパンチがあるタイプのものを頂きたかったので鶏パイタン魚介ラーメン(680円)を頂くことに。
本当は魚介ラーメンの代わりに限定ラーメンの「海スープ」を頂きたかったのですが、夜限定ということをすっかり忘れておりました。
<中華そば(塩)あっさり>4.5
さて、程なく、中華そば(塩)のあっさりが出て参ります。昨日の醤油と同じく、とても美しいルックスであります。透明感はあるのですが、少し金色がかっており、出汁が結構効いている感じであります。
スープの方は、とても品があり、飲みやすいスープであります。醤油と同様、奥が深く、飽きない味で、最後まで美味しく頂けました。鶏の脂がこちらも結構浮いているのですが、しつこくなく、スープ全体に香りと旨みを与えております。
麺は、中華そばの醤油と同じで、素晴らしい出来の細麺であり、スープとの相性も良かったです。
かなり美味しいのですが、やはり中華そばは、醤油の方がお勧めでしょうか?生醤油が効いているのもあるのですが、全体の旨み成分では、醤油に軍配があがりました。
<鶏パイタン魚介ラーメン>4.5
こちらを頂く前に既に満腹状態に。アメリカとの時差ボケで、私の胃袋はまだ深夜早朝のお休みタイムにありまして、寝起きでラーメン2杯を食べているような感じであります。
出てきたラーメンを観て、これはかなり手ごわそうだと感じます。超濃厚そうで、こってりそう・・・。やばい、これはやばい。。。空腹時だったらOKなのだが、今の状態ではほとんど食べれないのではと心配になります。
麺は、前日に頂いた、鶏塩ラーメンの太麺と同じものだったのですが、スープともマッチしていて美味しいですね。個人的には、やはり、こちらも一度細麺で頂いてみたかったですが。
スープは、超濃厚で食べにくいかと思いきや、これが見た目だけで、かなり飲みやすい。満腹にも関わらず、スープはガブガブと行けてしまう。何でも鮮魚は生きたまま、かなり新鮮な状態で市場から送られてくるようで、そのまま調理されるという。少し残酷にも思えるが、料理の場合仕方がないですね。こちらの店主さん、元はフレンチシェフのようで、魚のスープの取り方を熟知されておられますね。この辺は、出雲のフレンチラーメン屋?である、遊食 空海の魚介系スープを彷彿させますね。
魚介系と言われると、これまで食べたラーメンの中でいくつかのタイプに分類されますが、こちらは、かなり新しい味でありますね。適度なパンチや旨み成分は十分感じられるものの、砂糖を入れたような甘ったるさや、クドさはなく、不思議とぐびぐびと入ってしまう魔法のスープでしょうか・・・。空腹でしたら、スープも完食できたと思いますが、さすがに今回は、少し残してしまう・・・。
ただ、更に不思議なのだが、こちらのスープ、後からその良さがじわじわ分かってきます。独特の旨み成分が、麻薬的な効果を及ぼし、食後10時間くらいして、無性に同じスープが欲しくなってくるんです。
<総括>
時差ボケに伴う食欲不振から、決して全うなレビューが書けたように思わないが、こちらのお店、料理のベースがしっかりしていますので、基本的に何を食べても美味しいですね。やはり、料理人の作るラーメンというのは、安心して頂けます。
2日に渡って、連食しましたが、いずれも最初に頂いたというアドバンテージはあるかと思いますが、やはりこちらは細麺が美味しかったです。また、スープは、それぞれ違う良さがありましたが、淡麗醤油派の私にとっては、中華そばの醤油(あっさり)が、かなり気に入りました。同じ醤油でも、こってりタイプのものは、相当背油が入るようで、女将さんは「これは若い人向けや」とおっしゃっておられました。はい、おじさんはこちらで満足でありました(笑)。
こちらのお店、今後も、何回かお伺いして、全メニュー制覇したいお店でありますね。
醤油が店頭販売されていたので、4本ほどお土産に買って帰りました。ただし、こちらは同じメーカーでも、ラーメンの醤油としては使っていないとのこと・・。スープに使っている醤油は、複数のかなりグレードの高い生醤油を使っておられるようですね。
本当に美味しかったです!
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(初訪)2013年4月18日
<はじめに>
約10日間の北米での仕事を終え、成田に帰国。飛行機の時間もあり、そのまま北海道には帰れず、成田で一泊することに。
空港周辺のホテルに泊まっても良かったのですが、JR&京成成田駅周辺には、千葉県のトップクラスのラーメン屋さんが立ち並ぶ結構な激戦区。
せっかくなので、京成成田駅前にあるAP◎に滞在することに決め、リムジンバスで30分ほど揺られ、ホテル到着。
時差ボケもあり、あまり食欲も無かったのであるが、スーツケースを部屋に入れ、カメラと財布だけを持って、こちら福一さんを目指します。
もともとは、食べログでも、このエリアNo1の鶏の骨にお伺いしたかったのであるが、こちらの営業時間が土曜日の夜のみということと、鶏の骨と、こちら福一さんのお店の場所も店主も同一ということもあり、福一さんにお伺いすることに決定する。
食べログのスマートフォン用の地図を観ながらルートを考えたのだが、2倍以上遠回りしてしまったようです。京成成田の地下道を抜ければ、すぐだったんですね・・・。以前もお伺いしたことのある、クローバーさん方面から回り込んでしまいました(笑)。
丁度、夜の営業時間の5分前に到着したので、私が一番乗りだったようだ。ただ、海外から戻ったばかりで万札しかなかったので、カウンターで両替してもらっていたら、そのわずか30秒間の間に8人の列が・・・・。さすがに一番乗りだっただけに、4人目くらいにようやく入らせていただき、食券を買うことに。
成功する。
ただし、メニューについては、かなり悩みます。限定メニューも存在し、かつ、どちらかというと白湯系を絶賛する声が大きいようでしたので、限定と白湯系の2杯を頂こうと考えましたが、マイレビュアーさんのお一人が中華そば(醤油)のあっさりを絶賛されており、かつ、多くのお店の場合、中華そば(醤油)を観れば、そのお店の力量が分かることが多く、今回も中華そばと、看板メニュー的存在である鶏塩ラーメン(白湯)を順に頂くことに。
<中華そば(醤油)あっさり>5.0
程なく、中華そば(醤油)のあっさりが登場致します。
おおお!!これは、実際写真で観ているよりも、美味しそうでありますね~。かなり、私好みのルックスであります。
まずは、スープを1口頂きます。
これは、何て広がりのある、奥深いスープであろうか!!1口飲んで、相当いい生醤油を使っておられるのが分かります。また、返しも相当長いのか、何というか、あっさりなのですが、スープに厚みがあるというか、旨み成分が何層にもなって、喉奥まで広がっていくイメージであります。
ついつい女将さんに、「こちらのスープって、お酒結構入ってます?」と聴いてしまうほどに、大豆の発酵を良く感じさせる、「く~っ!!!」とくるタイプです。いいですね~、まさしく私好みであります!最近頂いた中華そばでいうと、和歌山の清乃さんの車庫前ラーメンや、大阪の麺や而今さんの中華そば(醤油)を思い起します。而今さんで言えば、今の中華そばより1つ前の中華そばの味に似ております。
そして、この細麺!!
これがまた、憎たらしいほどに、スープと合うではないか。そうめんのような香りがするも、程よい弾力性があり、この食感がなんとも言えません!!食欲が無かったものの、一気にスルスルと行けてしましました。
また、レアチャーシューも分厚くまた美味しく、スープ、麺、チャーシューとも三拍子そろった素晴らしい一杯でありました!
<鶏塩ラーメン(720円)>4.3
一杯目の中華そば(醤油)を頂いて、程なくこちらの鶏塩ラーメンが参ります。こちらも、また何とも美しいルックスであります。
まずは、スープを頂きます。
なるほど、こちらは、多くのレビューにありますように、クリーミーで、濃厚なのですが、くどくなく、まろやかで優しいですね。店主の方も、こってり系は苦手と言っておられましたので、その意味が良く分かりますね。塩加減も控えめで、中華そばを頂いてから頂くと、若干味が控えめに映ってしまいますが、完成度の高いスープであります。ただ、近頃頂いた白湯系のスープでありますと、徳島県は麺屋 藤の白湯スープが素晴らし過ぎて、どうしてもそちらと比較をしてしまいます。ただ、鶏醤油や鶏魚介醤油の白湯系だったら、より私好みだったかもしれません。
麺は、意外に太目のストレートであり、結構弾力性のあるもの。美味しいですが、先ほどの細麺がかなり気に入ってしまい、先程の細麺でも、結構美味しいのではないかと思ってしまします。
チャーシューの代わりに入っていた鶏肉も美味しかったですね~。
<総括>
一杯目の中華そば(醤油)のあっさりが、あまりにも自分好みで、2杯目の鶏塩の方が、若干控えめに映ってしまいました。もちろん、好みの世界でありますが、やはり、こちらのお店は、2杯だけでは力量が計り切れず、明日北海道に戻る前に、もう2杯頂いてみることに。明日は、中華そばの塩と限定ラーメンの「海ラーメン」を頂いてみようと思います。
久しぶりに食べた後すぐにレビューできました。明日(金)は昼の開店と同時に参りますので、どなたかご一緒できたら嬉しいですね!(2013年4月18日)。
7位
1回
2013/04訪問 2013/04/11
麺・スープ・CP共にトップクラス。淡麗系にはたまらない一杯でありました。
<はじめに>
木更津の白河ラーメン みちのくで、白河ラーメンを堪能した私は、再び松戸に戻り、仕事を1つ終え、ラーメン屋を3軒回ることに。最初は、松戸に、とら食堂の支店があることを思い出し、昼間食べた白河ラーメンと味比べをしようと思いたち、早速とら食堂 松戸分店にお伺いしてみることに。
すると、何と臨時休業・・。渋滞の中、時間をかけてお伺いしたにもかかわらず、日・月の連休を取られておられる。
かなりのショックを受けましたが、あまり白河ラーメン比較など、しない方がいいのかとも思い、気を取り直し、もう1店、どうしてもお伺いしたかった、こちら13湯麺(かずさんとんみん)にお伺いすることに。
車で20分程走り、到着ですが、シャッターが閉まっており、看板の電気も消えている・・・。またもや、臨時休業か・・・・。
店内を覗き込むと、人影があり、お客さんらしき方が、ラーメンを食べている。もしかすると、貸切でラーメンパーティー?などしているのだろうか・・。とずっと覗き込んでいると、女将さんが出てきて、「どうぞ」って、店内に入れてくれました。やってたんですね・・・。閉まっていたシャッターは、隣のお店のもので、看板の電気は単に付けるのを忘れておられただけだったという。
それにしても、有名店にも関わらず、カウンターに5名程度しか座れない位の、とてもこじんまりしたお店でありましたが、何となく、とても美味しいラーメンにありつけるような予感が・・・。
<元祖とんみん(400円)>5.0
メニュー表は、何とお米の袋の裏側に書かれたもので、何とも味がある。予想以上にメニューが多く、お勧めをお伺いすると、まずは、元祖とんみんを食べてみればと大将さん。確かに、食べログのレビューでも、こちらの元祖とんみんのレビューが圧倒的に多く、評価も高い。それではということで、こちらの元祖とんみんをお願いします。
それにしても、いまどき、ラーメン一杯400円とは、何とも安い。20年前から価格改定を行っていないということらしいのだが、自家製麺であることと、チャーシューなどを入れていない素ラーメンということで、この価格が実現しているそうです。
程なく、元祖とんみんが参ります。
おおお、何ともシンプルなルックスでいて、何とも美味しそうではないか!
早速スープを頂きます。
これは、何ともマイルドでかつ、必要十分な旨み成分とパンチ力を備えるハイレベルなスープであります。
普通、ここまでマイルドに仕上げていると、1口目は味気なく感じることが多いのですが、旨みを感じながらも、塩辛くなく、最後まで飽きずに頂けます。
そして、麺をすすりますが、これがまた美味しい!
スープだけで観ると、全国には同レベルのクラスのスープにたまに遭遇することもあるが、麺だけでいうと、かなり突出したものを感じます。
いや、この麺とスープのコンビネーションが絶妙なのである。
この麺の為に作られたスープというか、このスープのために作られた麺というか、とにかく、これだけ麺とスープが完全にマッチしているラーメンも珍しい。
麺自体は、とてもムッチリしていて、柔らか目なのですが、程良いコシがあり、口の中でスープと絡んで、何とも言えぬ噛み応えと喉越し・・・。
この麺は、なかなか自家製麺で表現するのは、難しいと言っても良いレベルである。
実際にお伺いすると、こちらの大将さんは、もともとチャルメラシリーズで有名な明星食品の、「生麺」の開発部におられ、長年にわたって、麺の研究をしてこられた方なのだ。小麦粉の配合、ブランド選定も含め、麺の太さに従って、使う小麦粉を使い分け、「この麺には、〇〇製粉のこれが一番いい」と、色々と教えて下さいました。
なるほど、麺開発のプロ中のプロが、独立して更に試行錯誤を繰り返し、生まれたのがこの麺だったのですね。これは美味しいはずです(笑)。
<光麺(200円)>4.8
速攻で、1打者目の元祖とんみんを平らげた私は、「次に頂くのでしたら、何がいいでしょうか?」と2杯目についてお伺いする。すると、とんみんと同じ細麺でかつ、汁なし麺である、こちらの光麺(こうめん)を勧められます。
それにしても、今度は200円であります!いくらスープが無いからと言って、200円というのは、私は初めての領域かもしれません(笑)。
そして、程なく、光麺が登場します。観るからに美味しそうであります。
麺は、元祖とんみんと同じ麺だと言われたのですが、スープが無い分、全く伸びていないというのもあるのでしょうが、より麺が細く感じられます。また、コシも加わり、何とも美味しいではないか!それに、辛み香辛料も、全く塩辛くなく、程よい旨み成分が、麺と絡み、絶妙な美味しさに早変わり。好きな人は、これを5杯くらい頼まれる方もおられるという。
<ねぎラーメン(600円)>4.3
光麺を頂いた段階で、この店は、何を食べても美味しいのだということを悟り、この日は、他の店に行くのは、諦め、力尽きるまで食べ続けることを決意する。そして、光麺の次は、何がお勧めかとお伺いすると、隣に座っていた常連さん数名が、「ねぎラーメン」「ねぎラーメン」とお二人が連呼され、常連さん達は、このネギラーメンが一番お好きだと言われる。それではということで、ねぎラーメンをいただくことに。
実際出て参りますと、かなりの量のネギ・ネギ・ネギ!!
私は、実はあまりネギが好きでなく、ネギラーメンはご法度だったのであるが、このネギはかなり食べやすい。辛すぎず、ネギの良い香りは十分に残しながらも、私のようなネギ嫌いであっても、美味しく頂けました。逆にネギの甘みが良く出ており、とても食べやすかったです。
ただ、ネギ油も結構入っているようで、3杯目にしては、少し胃袋に応えて参ります。
<焼そば(550円)>4.1
ねぎラーメンを平らげた私は、まるで大食い大会でもやっているような雰囲気になり、周囲の常連のギャラリーの皆さんに次なるおすすめをお伺いします。ここでカレーラーメンも実はかなり美味しいらしく、それを勧められるも、それはさすがに4杯目にはヘビーだろうということになり、締めにやきそばをいただくことに。
締めに焼きそばって、全然締めとちゃうやんか!と思いつつも、こちらの焼きそば、程よく御酢が効いており、意外に満腹でも食べやすい。ただ、お隣の常連さんに、少し手伝ってもらいながら、何とか完食する。
<ホルモン>
焼きそばを少し分けてもらったということで、お隣の常連さんに出てきたホルモンを少しおっそ分けしてもらいます。一口、二口食べただけですので、評価は控えますが、とても良く味が浸みていて、柔らかく食べやすかったです!
<餃子(1個80円)>
焼きそばが締めだったはずなのだが、焼きそばを頂いて、お腹が少し落ち着いてきます。そこで、こちらもお勧めといわれるTHE餃子を3個お願いすることに。3個だけ注文するのも申し訳ないということで、お隣の常連さんも追加で3個注文されます。もう、ここまでくると、常連さん達と、かなりの御友達状態であります(笑)。
こちらの餃子、野菜も肉も程よく入っており、ジューシーでとても美味しかったです。超満腹だったので、味の評価が難しくなってきておりましたが、こちらも是非お勧めしたいと思います。
<総括>
いや~、1人で本当に良く食べたものである。私の理論でいうと、ある一定以上美味しいものを頂くと、脳から快楽物質が放出され、それが食欲中枢を刺激し、消化も助けるようである。実際、最近は、食欲そのものは減退気味で、普通はラーメン1杯が限界であったのだが、その満腹中枢を麻痺させてしまうくらいに美味しかったのだと思います。
どれも美味しかったですが、やはり、400円でいただく、元祖とんみんは、一歩上を行く至高の一杯だと言えると思います。淡麗好きな方には、是非お勧めしたいと思います。
これだけ食べても、食後の胸やけもなく、お腹を壊すこともありませんでした。本当に美味しかったです!
<まえがき>
膨大な書き溜めレビューを抱えつつも、最近お伺いしたお店でどうしても、印象が残っている内に先に書きたいお店として、こちらの玄のレビューをアップさせて頂きます。
玄は、奈良県の食べログ評価でもダントツのトップを行く蕎麦屋であるが、総合評価のみでなく、信頼を置く多くのレビュアーさんが高評価を付けておられる。
これだけでも、かなりお伺いしたいお店であったのですが、それに加えて、私の音楽関係の仕事でお世話になっているY氏が、こちらの玄の主と親しく、是非夜の蕎麦懐石に行こうと誘いを受けていたのでありました。
実は、こちらの玄のご主人も音楽家で、オーボエ奏者でもあり、奈良県トップを行く高校吹奏楽部でオーボエの指導をしている程であります。以前からオーボエのリード(金管楽器でいうマウスピースの部分)を自作されるのだが、そのこだわり方も半端ないもので有名な方であるが、そのこだわりが蕎麦にどのように表れているのが、それがとても楽しみであります。
この日は、北海道からスカイマークで神戸空港に降り立ち、そこから京都で仕事の準備をして車をピックアップして、奈良に入るという強行軍であったのであるが、ここで、大いなる勘違いでお店での集合時間が午後6時30分であるにも関わらず、午後7時と思い込み、更に交通渋滞にも遭い、最終的に45分近い大遅刻をしてお伺いすることに。こちらのお店、本当に住宅街の中に佇む、何とも分かりにくい場所にあり、駐車場も無いことから、車で行くことはおすすめできません。
今回、ご一緒に同席したのは、Y氏の他、サクソフォン奏者の西田歩美さん(名前公表承諾済)、同じくサクスフォン奏者で、ギター工房を持たれ、ギター制作を手掛ける丸山利仁さん(名前公表承諾済)の3人である。私以外の3人の共通点はお酒に強いということ。特に西田さんと丸山さんは、大のお酒好きということで、今回の蕎麦懐石は、日本酒を堪能できるということで、かなり楽しみにされてこられたようである。
残念ながら、こちらのお店を紹介して下さった、Y氏は、前日に胃腸炎になられたようで、2日間何も口にしておられないという。もちろんお酒もダメ(笑)。何とも残念なのですが、Y氏は、こちらの玄の蕎麦懐石は3度ほど頂いておられるようであり、今回は全ての料理は半分ずついただければいいとのこと。
<こだわり抜かれた日本酒のストック>
お料理の前に、ご主人から料理とお酒の説明がございます。私はお酒がダメなので、うまく説明ができないのだが、こちらのお店は蕎麦と同等に、お酒のこだわりがすごい。日本酒のストックは100種類以上であり、それぞれのお酒のもつ特性を完全に理解されており、懐石コースで出て参ります、お料理1つ1つの相性を絶妙に使い分けておられ、お酒好きのお二人からは、「これは凄い」「この相性は絶妙」と感嘆する言葉が次々と出て参ります。お酒が飲めない人が可哀想と憐れんで頂くほどであります(笑)。
<蕎麦豆腐>
主のご説明が終わり、ほどなく最初に出て参りましたのが、蕎麦豆腐であります。蕎麦がきはよく頂きますが、蕎麦豆腐というのは、結構めずらしいです。見た目はとても美しく、果たしてお味の方は。
真っ白なのは、更科粉を使っておられるということで、更科らしい優しく、クセのない、優しい優しい風味が楽しめます。一緒に添えられているウニと茄子にも絶妙にマッチしており、ウニの自然な甘みが、更科の風味に彩りと、奥深さを与えます。
最初のお料理から、ヒットでありますね。
<蕎麦がき>
次に出て参りましたのは、定番の蕎麦がきであります。蕎麦がきと共に、お酒の種類も変わります。ご主人のいわれるようにお酒を味わうお二人でありましたが、またまた感嘆の声が。
こちらのお店は、お酒が飲めない人は、少しもったいないと思うくらいに、酒と蕎麦料理の相性が研究されておりますね。市場では入手困難な美酒ばかりをそろえられているようであり、お酒の飲めるお二人の表情は、幸せそのものであります。
さて、肝心の蕎麦がきの方でありますが、全体的な色調は少し緑がかっており、お味の方が気になりますが・・・。
これは、本当においしいです。蕎麦がきがおいしいお店は、蕎麦そのものもおいしいことが多く、これまで、米子の大吉さんや、北海道のなかむらなど、名店中の名店のそばがきというのは、実においしいものだ。
粒子感は全く無いですが、かといって柔らか過ぎず、硬すぎず。。。蕎麦の何とも美味しい風味が口の中一杯に広がります。塩と刺身醤油の両方で味わえますが、私は半分以上何も付けずに味わい、最後は刺身醤油でしめます。
<蕎麦スープ>
もう、既に最初の2つのお料理で、私はグルメハイ状態となっており、お酒で気持ちよく和われているお二人以上に料理に酔っている感じであります。テンションもかなり高くなって参りましたが、そのテンションを、良い意味で沈め、次に出てくる本命のせいろに繋ぐために、とっても優しい蕎麦スープの登場であります。
塩気のものはほとんど入っておらず、蕎麦そのものの、風味が、お腹の奥底までじわじわと伝わっていくのが理解できます。こちらの蕎麦スープ、胃腸炎で2日間何も食べられなかったY氏には、特に好評だったようで、静かに、優しく、おおらかに、私たちの胃袋を癒すように、包み込んでくれました。
<せいろ蕎麦>
お腹と舌を整えた後は、本命のせいろ蕎麦が参ります。
今回は、なんと水蕎麦で頂くことに。水蕎麦は、関西では珍しく、私自身、水蕎麦が盛んな福島県は会津で頂いた「桐屋夢見亭」さんの水蕎麦以来であります。何でも、会津の方には、水蕎麦の協会のようなものがあり、そちらの協会の皆さんも、こちらの水蕎麦を食べにこられたそうであります。
ただ、いくら蕎麦そのもののおいしさを堪能するといっても、やはり水だけで最初から最後まで楽しむというのは、少々無理があるもの。ということで、こちらは、自家製の梅肉ソースで、水そばが飽きたら、梅でアクセントを楽しむことができるのですが、こちらの梅肉ソースが何とも美味しい。ご主人さんが、あまり酸っぱい梅肉は苦手ということで、結構甘味のある梅肉なのですが、その甘さが、くどい甘さでなく、何ともさわやかで自然な甘みなんです。それが、蕎麦と絡んで、どこか心が洗われるような、新鮮で優しい味。
最高です。
もちろん、蕎麦そのものも素晴らしい!つなぎを一切入れておられないにもかかわらず、このつなぎを入れた以上のなめらかな食感。のど越しも素晴らしい。十割で、この細さというのも凄いですが、同じ食感を維持して、これよりも、はるかに細く切ることができるといわれる。ただ、細さに関しては、細ければいいというものでなく、その日のそば粉の状態を観て、最も適度な細さに調整されると言われる。
全くもってすごいです。良く考えれば、今は蕎麦的には、あまりいいシーズンでなく、新蕎麦が出てくるまでの6~8月は最も蕎麦にとって過酷な時期だと言われるが、新蕎麦か、それ以上に、蕎麦の香りを楽しむことができます。
この点、ご主人にお伺いすると、新蕎麦だから美味しいということではなく、古い蕎麦でも、保存の仕方次第では、新そばより、程よく熟成し、おいしくなるという。温度、湿度を完全に把握し、蕎麦の熟成度合を見事に制御されておられますね。本当にあっぱれであります。
<田舎蕎麦>
もはや、ここまでのお料理で、自身の満足度合のメーターを振り切ってしまい、グルメハイ状態も通り越してしまう。次に来るのは、深い深いため息であります。普段はため息というのは、残念の時や、落ち込んだ際に出るものだが、ある一定以上の満足な状態が継続すると、もはや、笑顔やハイな状態は通り過ぎ、感心と、未知なるものに遭遇した人間の心理的な自然なレスポンスなのかもしれませんが、言葉が出ず、ただただ、深いため息が出てくるのであります。
田舎蕎麦という言葉のイメージは、粒子感があり、粗挽きされた蕎麦殻の猛々しいインパクトさがあり、蕎麦自体も、少し太めという先入観があります。
ところが、こちらの田舎蕎麦は、確かに蕎麦殻を彷彿させる黒々とした色彩があるものの、粒子感はなく、蕎麦の何とも香しい風味を堪能することができます。また、こちらもつなぎは一切入れておらず、立派な十割であります。そして、この細さ・・・・。
ほよど、石臼で、これでもかという程に丁寧に挽いておられるのだろうが、この食感、この香り、細さといい、全てが私にとっては新鮮でありました。
つけ汁も、私のストライクゾーンど真ん中の味でありました。江戸前がお好きな方には、少しソフトに感じられるかもしれませんが、私はこのくらいが丁度良いですね。
これまた私の大好きな千歳の「手打そば 梅乃家」の塩うどんのごとく、節や魚の出汁を煮詰めることなく、お吸い物の延長として、ソフトに一番出汁だけを使用する。このクラスの蕎麦屋だと、当たり前かもしれないが、本当に見事なお出汁でありますね。
また、この汁に辛み大根が何ともマッチする。このつけ汁のために生まれてきたのではないかと思う程のそのマッチングの良さに、またまた深いため息が出ます。
<蕎麦の実入り鰻の蓮むし>
既にメインのせいろと田舎蕎麦で、クライマックスを迎えていた私は、そのままお勘定をしてもいいくらいに満足をしていたのであるが、ここからはオーケストラでいうと、全く別のピアノ協奏曲が始まるというイメージだろうか。イメージ的には、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲といったところだろうか。もちろん、オーケストラはお料理、お酒はピアノといったところだろうか。
二幕のトップが、こちらの蕎麦の実入り鰻の蓮むし。既に満腹中枢は満たされているものの、おいしいものは、別腹でいくらでも入る。鰻もおいしいが、全体の優しくも、主張のある、完成度の高い味付けが、またまた私のストライクゾーンど真ん中をとらえた。
この味付け、私の大好きな京都の「旬菜食房栖玄」さんの味の方向性と、とても似ている。いわゆる、雅な味のベクトルでなく、あくまでも「わびさび」を見事に表現している。蕎麦をこんな風にアレンジできるものなんですね。
<鯛とホタテの粗挽き蕎麦粉焼き>
もう、ここまで来ると、次も美味しいものが出てくるに違いないという予想が簡単にできます。これらの予想と期待に応えるべく、主は、好みを超えた、普遍的においしい一品を、「これでもか!」と出してきます。
「何なんだ、この甘味のある絶妙なホタテは・・・」
粗挽きされた蕎麦粉が、小麦粉の代わりに使われ、軽く揚げられているのか、いや、これはソテーのような気もする・・。もはや、料理のジャンルさえ分からないくらいに、創意工夫がなされている。鯛も身がしっかりつまっていて、これまた何ともうまい。思い出しただけでも、唾液の分泌が盛んになります。
いやはや、まさに狂詩曲でありますね(笑)。
<蕎麦米入りじゃこご飯>
もはや、ホタテと鯛で、第2曲も終演し、ここからはアンコールであります。これも、珍しい蕎麦入りのじゃこご飯。もう、メインの蕎麦で十分満足していた私たちは、アンコールである、このじゃこご飯を、ただただ、楽しみました。イメージ的には、ラデツキーマーチでしょうか(笑)。
<蕎麦団子他>
アンコール2曲目は、こちらの蕎麦団子とメロン、それに蕎麦煎餅であります。もともと、これまでの料理で十分後味も良く、口の中も、胃袋の中も、とても心地よい状態になっているのだが、これまた、スイーツまで、ここまでこだわるのかという程に、こだわりを見せる。
今回の料理で、唯一蕎麦が使われていないと言われるメロンのデザートでありますが、これが、最近頂いたどのスイーツよりも美味しいかもしれません。片栗粉や、その他、様々な隠し技が投入されているであろう、メロンのスイーツ。ここまで、蕎麦にこだわってきて、あえて蕎麦抜きの一品を出してまで満足感を上げるこのにくにくしい心配りが、もうたまりませんね。
もちろん、蕎麦団子も超一級品であります。更科粉を使用したこの食感。同じ更科粉であっても、一番最初に頂いた、蕎麦豆腐とは、全くことなる食感であり、プルンとした、独特でさっぱりした食感は、最後をしめるのに、まさしくふさわしい存在感でありますね。
<総括>
いや~最後まで読んで下さった方、本当に有り難うございます。ここまで長いレビューは久しぶりでありましたが、それ程までに今回の料理の数々には、感銘を受け、レビューを書かずにはおれませんでした。
こちらのご主人は、蕎麦屋で修業を積まれた訳ではなく、独学で30年近く蕎麦を挽いてこられました。蕎麦に関しては、異業種からの転業者が多く、ある意味、料理人の持つ、人格や個性、人柄、人生哲学的なものまでが、蕎麦に表れてくるように感じます。
そして、何より大切なのは、作り手のセンスなんでしょうね。いくら修行を積まれても、このセンスの部分だけは、克服し得ない天性の壁のようなものがあり、それが、物事にこだわり抜くというアーティスト的な要素が磨きをかけ、このようなため息のつくような、素晴らしい作品に仕上がるのでしょうね。
音楽も蕎麦も同じなんだな~と実感した晩餐でありました。食材と食材のハーモニー、それに、それぞれの食材の個性や特性を熟知したからこそ出せるアンサンブルの素晴らしさ。食の名指揮者であり、名演出家といったところでしょうか。
店舗は小さく、お部屋は2つのみであり、夜は、2組しか接待できない。本来、時間差で、上手に回していくはずが、私の大遅刻。大変ご迷惑をお掛け致しましたが、愚痴1つ言われず、1つ1つの料理を真剣勝負で挑んで頂きました。
「プレッシャーは感じるが、ストレスは感じたことがない」という主の言葉、こちらが全てを物語っているように思います。究極な道楽の延長線に全ての料理があるのでしょうね。本当に圧巻でありました。有り難うございました。
(余談1)
こちらのお店、国内の芸能人はもとより、海外からも多くの食通の方が参られます。最近では、プライベートジェットで、この蕎麦を食べるためだけに来日したという、映画監督のシャラマン監督。映画シックスセンスなどで有名な方だが、私は個人的にこちらのシャラマン監督の出身であるフィラデルフィアの大学に勤務していたこともあり、とても尊敬している映画監督のお一人であります。次回来日される際には、是非ご一緒させて頂きたいものであります。
(余談2)
今回は、音楽にかかわるメンバーとご一緒しましたが、ご主人いわく、蕎麦を作ることと、オーボエのリードを作ることと、どちらが難しいかと言えば、圧倒的にオーボエのリードを作ることだそうです。一度、店主のオーボエを聴いてみたいものです。
そして、宣伝になりますが、今回ご一緒致しました、サクソフォン奏者の西田歩美さんのコンサートが滋賀県でございます。まだまだ先でありますが、サクソフォンがお好きな方、音楽がお好きな方は、是非いらしてみて下さい(アップした写真をご参照ください)。玄の話で盛り上がることでしょう(笑)。