2回
2013/10 訪問
赤坂天丼劇場@赤坂三丁目「天茂」編♪
1980年代後半、世間は「第一次グルメブーム」が起きていた。
TVでは「料理の鉄人」が人気で、バブル時代の頃である。
その頃、TVの特番で「日本の10人」というSP番組があった!
不定期で放送されていたその番組は、日本を代表する料理人
にスポットを当てた、今で言う「情熱大陸」のようなドキュメントだ。
寿司では「すきやばし次郎」「きよ田」等の名店の主人等が
「寿司における日本の10人」として脚光を浴びていた。。。
そして、「天ぷらの日本の10人」としては、、、
今をときめく「みかわ」「天國」「てん茂」「天亭」等の主人と
此方「天茂」のご主人も特集されていたのである!
当時若かった自分も、貯金してそれらのお店に頑張って通った。
まさに若気の至りも甚だしいミーハー加減を今は恥じているが、
おかげで色々勉強もさせてもらった。今では良い思い出である。
あの当時、特に自分は此方を気に入ってしまい、
勤め先も同じ港区だったという事もあり、足繁く通わせてもらった。
昼間のランチはもとより、外国から友人が来日すれば必ず此方へ
連れて行ったり、仕事の接待で使ったりと、良い時間を過ごせた。
一見強面だった此方の先代のご主人。名前は倉茂富夫さん。
脚と上半身で独特のリズムを刻みながら、そしてぶつぶつと
独り言を口ずさみながら揚げる「天ぷら」は絶品であった・・・!
その特異な名人芸も、もう今は見られない。。。
今から10年程前に病で倒れられ、急遽今の店主である娘さんが
此方の二代目を継ぐことになった訳である。
急に他界してしまった先代の後を引き継いだ今の女主人。
先代の奥方である大女将は今でもご健在だが、
二人で名人と謳われた亡き店主の後を守るのは大変だった筈。
今はもうすっかりと味も技術も安定し、先代からの常連さんの他、
新たな若い客層等も取り込み、頑張っておられる。。。
前説が長くなってしまったが、、、
自分にとって凄く懐かしい此方に、本当に久々にお邪魔してきた。
■ 天丼 ■ \1300 ★★★★
此方のお店は「かき揚げ丼」の方が有名である。
しかし自分は、どうもこの「かき揚げ丼」ってのは飽きてしまう。
此方の「天丼」は、毎日の仕入れにより微妙にネタが変わる。
今日はたまたま「穴子」がメインであった。。。
正直「海老」が全然食べられなかったのは残念だが、
むしろ此方で「穴子天丼」がこの価格で頂けるのラッキーである!
天ぷらは、穴子1本・キス・ブロッコリーの若茎という構成。
小振りで薄めの穴子であったが、味の濃さと新鮮さは天下一品!
ふっくらと揚がった穴子とキスの身が本当に美味しくて絶品だった。
此方は、揚げた天ぷらをすぐさま隣で煮詰めた丼つゆに浸ける。
いわゆる「タレ風呂」に入れる訳だが、穴子とキスはサッと軽く浸す。
「かき揚げ」はザブンとたっぷりと風呂に入れてタレの味を入れる。
ほんのりと甘く、そして辛い丼つゆは本当に旨い!
風味も濃いがクドくなく素晴らしいバランスは相変わらずだが、
二代目になってからの方が、幾分ライトで食べ易くなった気がする。
白飯は若干硬めに炊き上げられ、タレとの相性が抜群である。
天ぷらの食感と丼つゆの風味、白飯の加減がもう最高である。。。
丼の中央に乗せられた一片の柚子皮。此方の特徴である!
しかしこの柚子の香りが今回は非常に貧弱であった。。。
昔は香ばしい胡麻油臭の前に、先ず柚子の爽香がしたものだ。
■ 赤だし ■ \100 ★★★★
別売りのシジミの赤だし。風味は申し分無し!
「天丼」との相性も言うことないし、上品で本当に美味しい。
名店の付属料理は、こういうふうに絶対にハズさないのである。
この価格は信じられない。。。
衣の厚さ : ◆◆◇ 薄めで華の咲いた見事な衣。
タレの濃さ : ◆◆◆ 下品なならないギリギリの濃さ!
タレの粘度 : ◆◆◇ サラッと煮詰められた絶妙の粘度。
タレの甘さ : ◆◆ 気にならない甘さ。辛さも同居!
タレの浸り具合 : ◆◆◆ 具には全て浸せ、白飯には少なめ。
先代よりも、いくらかマイルド&ライトに仕上がった印象の「天丼」。
二代目になってからは味が落ちたと嘆く常連客も居ると聞く。。。
しかし、先代が残した継ぎ足しの「丼つゆ」は健在だし、
現主人が七転八倒して体得した技術は間違いのないものである。
個人的にも味と品質は今でも日本を代表する「天丼」だと言える!
お昼時は行列も出来るが、「天丼」は昼しかやっていない。
また次回「かき揚げ丼」の方も味わいたくなってしまった。。。
もし赤坂でランチの時は、絶対にお勧め出来るお店である!!
昔、亡き先代に、「天つゆ」と「丼つゆ」との違いや、
素人でも出来る旨い「丼つゆ」の配合等を教えて頂いた事がある。
それをメモった当時のメモ帳と、
「日本の10人」を録画したベータマックスのビデオテープが、
今でも捨てられない自分の宝物のひとつである。。。
天丼\1300
キス
穴子
入口は2階
若いブロッコリー
柔らかいキス天
穴子の上に柚子皮
白飯のタレ浸み具合
名物の「かき揚げ丼」よりも丼つゆは薄めに掛かっている。
完食!
シジミの赤だし\100
香の物
2代目の女性店主
大女将はまだ健在!
店内
外看板
2013/11/21 更新
30年近く通っている赤坂の老舗『天茂』。
今日は久方ぶりにランチでお邪魔した。
初代店主が亡くなってから、すっかり
天ぷら職人が板についた2代目店主の娘
さんだが、料理の腕も一層上がっている。
ランチの値段も暫くずっと値上げしない
のも御立派である!だからいつも激混み。
少し変わったのは店内の雰囲気…。
初代は根っからの頑固職人だったので、
調理場内はいつも張り詰めた空気が流れ
女将さんと店主は無駄口等一切しない!
でも今は、女将さんと娘(2代目)とで
終始お話ししながら和やかムードで
やっている。これも働き方改革か。。。
ともあれ、
此方名物の「かき揚げ丼」は旨い!!
1度だけザブンとタレ風呂に浸かる
大判かき揚げ。油が弾いた丼つゆで
かき揚げの中はふんわり外側サクサクだ。
しつこくも重たくもない絶妙なかき揚げ、
中の小海老も小柱も新鮮で美味しい。。。
最後に一片乗せられる柚子皮が本当に
良い仕事をしている。香ばしいタレに
寄り添うかのように柑橘系の香りをハモ
っているのだ。あ~コレを香水にしたい!
抜群の丼つゆの味!!
旨い自家製お新香!!
上品なシジミの赤だし味噌汁!!
至福のランチタイムは直ぐに終了…!
又次に来るのが楽しみである。。。