1回
2017/06 訪問
実直なレストラン
富岡においしいフレンチがある、ということはずっと前からお聞きしていました。同じ手稲区に住まう身として、「一度は行かねば」と思っていました。
ということで思い立って来訪です。先週予約していましたが運動会が雨で順延となり、予約と重なったため泣く泣くキャンセル。予約はお電話で、ということですのでお店に電話しますとシェフ自ら対応され、
「たいへんですね」などついつい話し込んでしまう感じ。すでにこの時点でお店とのコミュニケーションが始まった感じです。
で、やっと訪問がかないました。
山の中の一軒家レストラン、ということで「すごく遠いところ」と勝手に想像していましたが食べログから地図アプリで確認すると距離的にはさほど遠くありません。予約したお時間に数分遅れて到着。ワイン飲みたい!と思っていましたのでタクシーで乗り付けます。手稲駅からだと1,000円位でしょう。タクシーを降りると奥様が外まで出迎えてくれました。着席もそこそこに「運動会大変だったみたいですね」と話しかけていただき、この時点で一挙に距離感が縮まります。
ワイン選びのところからシェフ登場。シェフ自ら料理を作るわけですから「こんな感じで」というワインの希望と重ね、ボトルを選んでいただきます。この日の候補は3本。「この間飲んだらまずまずの熟成でしたので…」という評のワインに決定。カロンセギュールのセカンド「ラ・シャペル・ド・カロン LA CHAPELLE DE CALON」。
ここからがゆったりしたお食事の開始。
【パン】
全粒粉パンとクルミパン。両方ともオイシイ…専業のパン屋さんのものにひけを取りません。
【じゃがいもとアスパラの冷製スープ・毛ガニのジュレのせ】
それぞれの風味が引き出されています。このあとのお料理にも共通で言えるのですが量がたっぷり目です。普通なら3から4すくい位でなくなるものが「心ゆくまで」味わえる感じです。
【トマト水のラタトゥイユ、パプリカのムース、焼きホタテ、豚肉のリエット】
店名の、「野菜畑」のとおり、野菜の彩りと味が美味しい…トマトからトマト水をつくることで赤い色のついていないラタトゥイユ。その上に乗った鮮やかなオレンジ色のパプリカのムースは酸味甘味十分。ホタテには粒の大きい岩塩が振りかけてあります。これは鉄板のお味。豚肉のリエットは、「今日のワインがしっかりめの赤なのでちょっと味を濃くしてみました」と。その言葉通り、うま味十分。ワインともぴったり。
【ワイン】
抜栓後10分位から香りが立ち始め同時に果実味の濃い滑らかな味が姿を現します。胃に入るとしっかりじんわりワインの持っている力がしみ込んでくる感じです。旨し。
【オックステールとフォアグラのテリーヌ】
ここで勉強。「テリーヌ」「パテ」はどう違う?調べましたら、もともとは製法に違いがあり、別の料理だったが現在ではほとんど違いがなく、極端にいうと、シェフが「テリーヌ」と呼べば「テリーヌ」、という感じのようです。
さて、オックステールはほぐした身とぶつ切りにして歯ごたえをだす身の二種類で構成されています。それにフォアグラ。これも量的にたっぷりめ。赤ワインが進みます。
テリーヌの下には紫キャベツのムース、酢キャベツが敷いてあります。
【カニとホワイトアスパラの手打ちパスタ】
アツアツの器に入ってやってきます。カニの風味を凝縮してソースにしています。これも赤ワインとばっちり。
テーブルの上でチーズをかけていただきました。
【江別ポークと野菜のグリル】
これも温めた器の上に盛られています。グリルですので熱いうちに…という事でしばし話を止め、黙々と食べます。
江別ポークはこの日初めていただいたと思いますが身がみっちりした感じで甘味があります。一方でぱさぱさ感やキシキシ感がなく、上質のお肉であることがすぐわかります。脂身にはびっくり、で口に入れるとひとかみ、ふたかみ、でなくなりました。
ソースはマデイラソース。これがまた豚肉にぴったり。
野菜はグリーンアスパラ、ブロッコリ、カブ。ブロッコリ、単にオーブンでグリルしただけだとこんな感じにならないように思います。アツアツ、水分が抜けて野菜のうま味が凝縮した感じですがくたっとしていない…
その後ろのじゃがいものピュレはバターの風味豊か。これもオイシイ。
このお皿を食べ終わるころにはかなりの満腹感を感じます。
【デザート】
メレンゲ、ソルベ、ブルーベリーのタルト、生クリーム、レモンのブリュレ。
それぞれ美味しかったのですが特にレモンのブリュレは…今日いただいた野菜、果物を材料にしたものはすべてうま味が凝縮された感じがしておいしくいただきました。
エスプレッソと一緒にいただきます。
野菜類は素材を活かしつつ、肉類はうま味を引出ながら、コースが組み立てられています。
パン、デザートに至るまでシェフおひとりでこなされているのは本当にすごいと思います。
札幌郊外という立地、一軒家レストランという店構えとこれらの組み立てはマッチしているように思います。
街中の、技術とサービスの粋を競うようなフレンチとは一線を画します。
食事開始から終りまで2時間余り、ゆっくりと食事を楽しみました。
お出しいただいたワイン、帰ってからよく調べましたらすごくお値打ちだったと思います。お食事の方も食材とふんだんな量を考えると、コスパ抜群と思います。「二階から夜景が見えますよ」とのこと、次回は夜にぜひ訪問したいと思います。感謝!
パン二種。
じゃがいもとアスパラの冷製スープ。毛ガニのジュレ。
ラタトゥイユ、パプリカのムース、ホタテ、豚肉のリエット。
この日のワイン。甘くしっかりした味。
オックステールとフォアグラのテリーヌ。
カニとホワイトアスパラの手打ちパスタ。
江別ポークと野菜のグリル、じゃがいものピュレ。
レモンのブリュレ、タルト、ソルベ。
2019/03/03 更新
緑豊かな山沿いの一軒家レストラン。シェフに身を任せるゆったりした時間。
2017/06/04 更新