takaboさんのマイ★ベストレストラン 2016

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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マイ★ベストレストランを選ぶ作業は楽しいが難しい。レストランなのでもちろん「美味しいこと」が重要だが、最重要ではない。最重要なのは「楽しいこと」だ。美味しくても楽しくない場合もあるし、それほど美味しくなくても楽しい場合もある。楽しいかどうかは、たまたま行ったその日の体調や、食材の状態などいろいろな要素が絡み合う。何度も行っている店は、美味しいから何度も通うのだけれど、印象深さという点では初めての店に劣る。「今年印象的で楽しかった店」そういう基準で選んだので、どうしたって★の数とは一致しない順位となってしまうし、お勧めレストランの順位とも異なるものとなっている。

マイ★ベストレストラン

1位

レフェルヴェソンス (表参道、乃木坂、広尾 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥30,000~¥39,999 -

2016/04訪問 2019/01/25

ここに来るために名古屋から来ましたと彼女は言った

彼女とは私の妻のことだけど。表向きはこう。学会に出席するために東京に来て、シャングリ・ラに宿泊し、夕食をレフェルヴェソンスで取った。しかし事実はこうだ。レフェルヴェソンスで食事をするためにシャングリ・ラに宿泊しついでに学会に出た。そしてその行動は正解。こういう店で食事をすると、「愛する人」と「高級レストラン」で「美味しい食事」をすることが素晴らしいエンタテイメントであることをあらためて実感させられる。

東京駅に至近のホテル、シャングリ・ラからタクシーで20分。行き先を告げると、おそらく何人ものお客を運んだであろう運転手は慣れたもので迷うことなく閑静な住宅街へ。店の前の細い路地は何台ものタクシーで混雑していた。そのヘッドライトの中、石の壁に浮かび上がるL'Effervescenceの文字が、まだ見ぬ出会いの予感を醸し出す。ミニマルな装飾のアプローチを入り予約の旨を告げると、今夜のドラマが幕を開ける。照明を落とした落ち着いた店内は、広く、そしてお客で一杯だ。楽しく食事をする人々の会話が柔らかい波のように空間を満たしている。その波の中を沢山の給仕さんたちが優雅に泳ぐ。そんな雰囲気。

リコンファームの電話の際に、妻がアルコールがだめなことを伝えてある。金色のお猪口に、日本酒と白ワインをブレンドしたウェルカムドリンクが注がれる。妻は一口含んで残りは私が頂く。つまりここは少し減点。塩とオイルのオリーブ2種がおつまみ。ドリンクの注文では私がワインペアリングを、妻はノンアルコールのペアリングをオーダー。ここでは予約係から妻の事情を聞いているスタッフが対応したので、了解しているもよう。アミューズの品にアルコールが使われているものがあるので、それも対処する旨の説明がなされた。この先、料理の合間の会話でも、スタッフに話した内容が、他のスタッフにもその情報が伝えられており、感心させられたことがあった。情報の伝達が常に機能しているとは言えないまでも、スタッフ数が多いからこそ、そういった細かい気配りの重要性が認識されているのだろうと感じた。また、自分たちの務めている店は一流なのだという矜持が、この先の会話でも感じられることがあり、それは客にとっても気持ちの良いことである。

別オーダーの最初のシャンパンを除いて、ワインのペアリングはワインが4種、そして何と日本酒が4種であった。如何に和を取り入れたフレンチであるかが分かるというものだが、個人的には、ワインを増やして、驚きの日本酒はもう少し少なくても良いと思う。ノンアルコールのペアリングも驚きのラインナップで、料理に使用した食材の出汁を使用したカクテルなどオリジナリティ溢れるものが多かった。だが必ずしもそれが美味しいとは限らず、シンプルなジュースの中に、たまに驚きのドリンクを出す程度で良いのではないかと個人的には思った。

さて、今宵のメニューは(この店のメニューはお任せの1コースしかない。もちろん苦手な食材には対処してくれる)「おもいがけない美しい出逢い」と題されたコース。

鮑、からすみ、紅芯大根、アーモンド、ポンカン、お酒 泡の中にひそむ鮑とからすみが美味な一品。見た目もエレガント。

アップルパイのように#23〜イノシシ、桜、セロリラブ 「わたしたちのアップルパイ」と題された生江シェフによる解説文とともに供される。イノシシの肉も臭みがなく滋味深いものであった。

パンとペーストが出される。ペーストは豆腐とサワークリームとオリーブオイルで作られたもの。ユニークだ。

上昇〜上り鰹の昆布締め、栄螺と黒にんにくのエミュルション、紫蘇の葉と花、コンブチャで発酵させたセロリと発酵乳 大変美味しい一品であった。とても和風。

定点〜蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ 有名なスペシャリテ。季節毎にもとの蕪の味は変わる。その蕪に合わせて味付けを替えるのではなく、あえて同じ味付けにすることによって、季節毎にこの料理の味が変わるのだと言う。4時間ほどの丁寧な火入れがなされる。

陽だまり〜甘鯛のポワレ、たけのこ、縮緬キャベツ、木の芽 この日の1−2を争う美味さだ。

山風〜蛍烏賊と山菜たち、はまぐりと長葱のジュ、発酵クリームとマイクロトマト 目の前でソースが注がれる。

安らぎと〜ちいさな茶碗蒸しと雉のコンソメ、しじみのジュ、桜の花 フレンチで茶碗蒸しとは! それにしても美味しい。

メイン料理の前にお好みの柄のナイフを選ぶ。

南から始まる〜今帰仁アグー豚を薪で、沖縄ヨモギのジュとシャンピニオンのピュレ、菜花とアミガサ茸 アグー豚の原種を使ったステーキ。原種は珍しいらしい。脂まで臭みのない美味しいものであった。

西と東と〜チーズたちあるいはお野菜たち チーズは4種。妻が選んだサラダの方は、一つずつの生産者の名前が記された解説文が添えられた。

緑の山〜空豆のクレームと桑の実のコンフィチュール、トンカ豆のアイスクリーム 素材の味が生きているデザートだ。

情熱のちいさな赤〜ビーツのソルベ、ブルーチーズのムース、テリーヌショコラ これも素材の味が感じられる美味しいデザート。

アルコールとノンアルコールのペアリングをオーダーしたため、その沢山のドリンクを運び、解説をしてくれたのはソムリエの竹内さん。名札にはTAKEと書かれている。この店では名札は愛称で記されているのだという。

ミニャルディーズ&お薄 小菓子と共に供される抹茶はテーブルサイドで外国人のZACさんが点ててくれる。これもまた楽しい余興である。

コース料理 ¥19,440x2、グラスシャンパン ¥3,600、ノンアルコールカクテル ¥1,200、アルコールペアリング ¥14,000、ノンアルコールペアリング ¥3,500、サービス料10%合わせて約68,000円のディナーであった。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • アミューズ

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2位

レ セゾン (日比谷、内幸町、有楽町 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2016/10訪問 2016/10/10

パーフェクトに近い接遇

帝国ホテルに宿泊しました。今回まずはディナーの店を考え、次にホテルを考えました。レストランはグランメゾン(和製仏語らしいですが)っぽい店にしぼって検討した結果、レ・セゾンに予約を入れました。ということで宿泊は迷わず帝国ホテル。

外資系などの高級ホテルが次々と東京進出を果たしている昨今、帝国ホテルも昔のように名前だけでやっていける時代ではないから、きっといろいろと努力をしているに違いないと期待して訪れました。その期待が裏切られることはありませんでした。一言で言うと、接遇がとてもよいですね。パーフェクトとは言えないですが、それに近いものがあります。大きなホテルなのでスタッフの数も多い。全員が優秀というのは不可能でしょうから、それぞれの能力に応じて良くやっていると私は思います。値段を考えれば当然なのかもしれませんが、気持ちの良い滞在ができました。そもそもの目的でもあるレ・セゾンも、その気持ちよさの一翼を担っていることは言うまでもありません。

あらかじめ電話で伝えてあった情報がテーブルに来るスタッフすべてに行き渡っています。また、宿泊することを伝えてなかったにも関わらず、会計の時には宿泊者のための10%割引が適用されていました。そのことを質問するとあらかじめ調べてあったとのこと。そういったことは当然かもしれませんが、ちゃんとできない店もありますので。その他、笑顔やスマートな会話など、お客を楽しい気持ちにさせる対応がきちんとなされています。ソムリエさんは当然ながらワインの知識が豊富で、見た目や滑舌も良いです。

店の雰囲気は帝国ホテル自体の延長線上にあり、ややクラシックで重厚感のあるものです。帝国ホテルのイメージ・フラワーとでも言うべき薔薇(エレベーター内の一輪挿しの薔薇は一日に3回取り替えられます)の花束が見事。各テーブルの上にも水に浮かべた薔薇の花があります。連休中でもあり広い店内は多くの客で賑わっていました。BGMはありませんし必要もないでしょう。座り心地と高さの丁度良い椅子。ドレスコードがありますのでお客の服装も良いのですが、ただ一つだけ困ったことがあり(それは店の責任ではないのですが)お客さんで香水の強い人がいまして、その香りが料理の香りに影響してしまいました。数メートル離れているのに香ってくるというのは相当なものです。

はじめに食前酒を選びます。グラスシャンパンは5品ほどの中から、店の看板シャンパンだという(でも一番安価な)「ドゥーツ」2,000円にしました。近年ルイ・ロデレール出身の人が社長になったようですが、それが関係あるのかどうか私の好きなルイ・ロデレールに似ています。妻はアルコールがだめなのでノンアルコールの「1688グランロゼ」1,300円。料理の途中で私はグラスワインの中から「ミディアムボディで香りの良いブルゴーニュ」とリクエストすると、これも店の定番だという「モンテリー」2,000円を勧められました。リクエスト通りの美味しいワインでした。その他水は「Fuji」800円。

料理を注文する前にアミューズブーシュが来ます。しばしばアミューズが最も楽しかったりしますよね。これも楽しい3品でした。ムール貝をクリームで包んだものとかセロリのムースやサーモンのタルタルをガレットで包んだものです。続いてメニューが来て、料理を注文します。

料理はコースだけでなくアラカルトもあります。コースはアラカルトの一皿が少なめの量で組み合わされたものです。基本が31,000円で、一品少ない21,600円、二品少ない17,500円があります。3番目のものにして、肉料理の選択で和牛のサーロインを選び3,000円追加しました。サービス料は10%。すべて税込みです。料理の名前は写真に追記した通りです。どれもこれも美味しいものでした。フレンチやイタリアンでは私は、しばしば肉料理がイマイチと感じることが多いのですがそのようなこともありませんでした。チーズもいろいろ選びましたが私は特に「ペライユ(珍しい羊の生乳製のフレッシュチーズ)」が気に入りました。デザートはメニューに無いもう一皿が追加されました。ただ家内はアルコールが入った方のメインのデザートが食べきれなかったようです。

グランメゾンと言っても決して敷居が高く感じさせられない。誰もが気分良くなることでしょう。尤も、私も若い頃は高級レストランに行くと少々緊張したものですが、近頃はどこへ行ってもそういうドキドキ感がなくなってしまって、それはそれで残念なことです。

  • アミューズ
  • 「ドゥーズ」のグラス・シャンパンに続き「モンテリー」のグラス・ワイン
  • 鴨のコンソメジュレ ウナギの燻製 フォワグラと柚子

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3位

SALONE 2007 (元町・中華街、日本大通り、石川町 / イタリアン、パスタ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2016/11訪問 2016/11/05

お客を楽しませる工夫

横浜に所用があり早々に「サローネ」のディナーを予約。宿泊先の「ホテルニューグランド」からは徒歩数分。入居しているビルのB1にある。反対側に行ってしまって迷ったがビルの山下公園側にSALONEの看板がある。エントランスから店内を眺めるとゴージャスな雰囲気。でも客層も店員さん達も若い人が多く、カジュアルな雰囲気。ディナーは12,000円のコースのみで、名声から推し量れば値段もリーズナブル。2日前にリコンファームの電話があり、苦手な食材(妻だけアルコール不可)を伝えてある。エントランスで上着を預ける。

ワインのペアリングはフルで30,175円、ハーフで23,997円と値が張る。私はそこまで飲めないので、グラスシャンパン(ジャン・ヴェッセル・エクストラ・ブリット)2,200円とグラス赤(ロッソ・ディ・モンタルチーノ[2011]カンピ・ディ・フォンテレンツァ)2,000円、妻はノンアルコールワイン800円。

食前に細田シェフが挨拶に来てくれる。食後にも挨拶に来てくれてどの料理が美味しかったかと質問される。シェフは他に二人いるそうで、他のシェフも他のテーブルに出てきていたし、テーブル毎に食事の開始と終了時間が違うのでシェフもなかなかに忙しい。シェフの挨拶はもちろん嬉しいし感じの良いことだが、あちらこちらに出現すると、目立つ反面やや目障りとも言える。その辺のサービス精神の強度の設定は難しいものがある。

メニューは妻と私で色違いの封筒に入って渡される。内容は写真の通り(「手掴みで食べるチーズ」別料金1650円は注文していない)。また食後にスペシャリテ以外の当日の料理が食材の説明と共に描かれたイラストを渡される。これも嬉しいサービスである。

料理には今流行の副題が添えられている。
まずは「序章」アミューズである。A5サーロインで白トリュフ味のポテトを巻いた一品。細田シェフによるとこれは定番の一つだそうだ。トリュフオイルをポテトに練り込んである。大変美味しい一品で、客の舌へのつかみはこれでOK。

次は「再構築」前菜。軍鶏・トレビスという野菜・根セロリのソース・竹炭ソース。とにかく軍鶏が美味しい。そして根セロリのソースも。

「哲学」前菜。イトヨリとタコと蛤と蛤の出汁。蛤の出汁が抜群に美味しい。細田シェフによるとこれも定番料理だそうだ。なるほどスペシャリテだけある。

「郷土」リゾットだ。ピスタチオのリゾットにドライトマトの酸味、スペックという生ハム。ピスタチオパウダーに被われた硬めのリゾットの食感が見事。妻はこれがナンバーワンだと言っていた。私もナンバー2か3だと思った。

「調和」フォアグラと海老とポルチーニと黒ビールソース。これもまた非常に美味しい。軍鶏とこれが私は一番だ。

「提案」ジビエ。猪ホホ肉とアニュロッティ(イタリア北部のピエモンテ州の詰め物入りパスタ)にカボチャのペーストを入れたもの。イノシシの臭みはなく濃厚な味わい。

「味覚の濃縮」マグロ・カラスミ・オレンジ・マルサラ酒のゼリー(妻の方はアルコールをとばしてある)。スプーンに載っており一口でいただく。

「組み合わせ」和牛ランプ・牡蠣ソース・カーボロネロという野菜・ケッパー。表面香ばしいレアの和牛の味が良い。

「巡り合わせ」デザート。ボネ(ピエモンテのチョコレート菓子)・ゴルゴンゾーラのジェラート・洋梨のソース。

「プラットホーム」6種類の小菓子。

「カッフェ」エスプレッソ・紅茶。

以上10種類の料理は、いずれもモダンな創作洋食で、バラエティに富んでいる。シェフ曰くイタリア料理の食材は豊富にあるので様々な工夫ができるようだ。かといって奇をてらいすぎることもなく、どれもが美味しいものであり、量的にも無理がない。「これぞ高級イタリアン」というオーラはまだ無いが、お客を楽しませる工夫を惜しまない店だ。

  • A5サーロイン・ポテト・トリュフ
  • リゾット・ピスタチオ・パキーノ
  • 牛・牡蠣・カーヴォネロ

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4位

太平寿し (馬替、額住宅前、野々市工大前 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2016/12訪問 2016/12/29

大将の人柄が素晴らしい

その日はホテル日航金沢に宿泊して観光タクシーで白川郷に行った。「夜は太平寿司を予約してあるんですよ」と言うと運転手さんは「あそこは10kg以下のブリは出さないと思いますよ。ブリは重さで全然味が違いますからお楽しみに。それにお泊まりのホテルの有名な寿司店「弁慶」も太平寿司の支店ですよ」などと説明してくれた。やはり金沢では知られたお店なのだな。

金沢市は戦災に遭っていないため細く入り組んだ道が多く、信号もまた多い。ホテルのある金沢駅前から太平寿司のある野々市市まではそれほど遠くない。太平寺という交差点まではほとんど真っ直ぐだ。でも先の理由によって30分近くかかった。車は店の敷地に数台停める事ができる。まあ普通は飲むので自家用車で来る人は少ないだろうけど。うちは飲めない妻という専属運転手がいるので。

カウンターは9人で、奥に個室があるようで、その日も予約で一杯のようだ。ちなみに私は3ヶ月も前に予約してある。PLEYELさんの記事を読んでいたので大将の人柄が楽しみだったが、その通りのお人であった。最初から最後まで、大将の気遣いと会話が途切れることはなかった。お弟子さんたちも皆さん楽しげなのは普段からそういう大将だからだろう。はじめての店なのに、気がついたら私たちもまるで常連客であるかのように会話を楽しんでいるのだった。

突き出しのナマコと自家製の赤造り塩辛で、すでに掴みはOK。そこから始まった摩訶不思議な寿司の数々。その多くは初めてみるような作り方であった。また丁寧に仕事がされた香箱ガニも見事であった。タクシーの運転手が言った通り、12kgほどのブリから切り出した造りも見事なものであった。鮟肝や白子、イクラも珍しい食べ方を楽しませてもらった。最後には十八番のノドグロ寿司。その後2貫ほど追加して終了とした。お酒は瓶ビールから初めて、勧められた濁り酒と、「可憐な大吟醸を」というリクエストに応えて出された「天狗舞」を頂いた。お酒を飲まない妻には、最後の方はやや味が濃く感じられたとのことだが、そのように、確かにどの料理もはっきりした味だったと思う。2時間半ぐらいの楽しいディナー。料金は二人で36,000円であった。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • ブリ

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5位

あま木 (久屋大通、栄町、丸の内 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2016/08訪問 2016/08/02

楽しく美味しくお値打ちな高級寿司店

マイレビュアーさんからのお誘いで、評判の良いあま木さんに夫婦で訪れることができました。テーブルもありますがカウンターは10席。その夜は10人で貸し切りです。5時半からという早いスタート。天木さんのお見送りで店を後にしたのが9時半。つまり4時間経っていたことになります。食べログのレビューで目にした4時間という時間が私たちの食事会でも経過したのですね。でもそんなに長い時間という実感はありません。楽しい時間だったからでしょう。楽しい時間は早く過ぎます。清潔感のある明るい店内はとても落ち着けます。初対面のレビュアーさんともすっかり親しくなりましたし、気さくで明るい店主との食にまつわる語らい。そしてもちろん一品一品の料理の美味しさ。添付した写真や、他の方のレビューにもあります通り、30品目はあろうかという種類の多さです。しかし一つずつが小さいものですので女性の方でも心配ありません。尤も、最後は満腹でしたので追加注文は私はしませんでしたが(妻は追加してましたし他の方も追加されていました)。アルコールは私はビールと冷酒を2種類頂きました。会計は一人17,500円ほどで、このクオリティを考えると噂通りの良心的な値段だと思いました。カードはVISA,MASTER系だけが使えます。アクセスは普通はタクシーだと思いますが、自家用車の場合は付近にコインパーキングが何ヶ所もあります。再訪したくなること請け合いです。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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6位

あらや滔々庵 (加賀温泉 / 料理旅館、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥60,000~¥79,999 -

2016/12訪問 2019/01/25

魯山人ゆかりの宿で絶品蟹会席

金沢から車で約1時間、名古屋からなら約2時間半で来ることのできる山代温泉。あらや滔々庵は北大路魯山人ゆかりの宿として知られている。玄関を入るとまず飛び込んでくるのが「烏(カラス)」の衝立。見れば見るほど味があり魯山人がただ者ではないことがよく分かる。この烏の絵はあらやのトレードマークにもなっている。これ以外にも、屋号が彫られた板や、器や書など数多くの魯山人作品と、上野憲男などの現代美術作家の作品が展示されていてちょっとした美術館の様である。宿泊したのは源泉露天風呂付き客室。あらやの湯量は1日10万リットルで山代随一を誇るそうだ。全18室のうち露天風呂付きは9室。他に大浴場が3つと、有栖川山荘がある。有栖川山荘は明治初期に天皇来館のため建てられた別邸で、現在はバーラウンジとして利用されている。

チェックインは14時、チェックアウトは11時。部屋で記帳し、ウェルカムの抹茶と和菓子を頂く。食事は、部屋食の部屋もあるようだが、我々の部屋(兼六)は食事処の個室で頂くことになっている。食事の内容によって料金が異なる。今回は「ずわい蟹コース」を予約してある。これは上から2番目のコースで、この上にはさらに大きい蟹を使用した「特選ずわい蟹コース」があるが、その違いは量であるとの説明で今回のコースを予約した。一泊二食で一人67,000円(税抜)である。

部屋食も良いのだろうが食事処の個室も悪くない。朝食も同じ個室で。約2時間半の蟹づくしディナー。お酒は地元の酒「農口」の大吟醸1合2,500円で。
1)先付:香箱蟹
 香箱蟹はずわい蟹の雌。内子と呼ばれる卵が美味。この地方の名産だ。今年はずわい蟹は雄雌ともに収穫量が少なく、特に香箱は資源保護のため収穫する時期が12月29日までと定められており、貴重なものである。なおかつ今年は28日が時化のため漁がなく27日までに水揚げされたものが最終となっており更に貴重品だったと言えよう。
2)椀:蟹真丈
3)造り:ずわい蟹、能登ブリ
4)焼き物:活ずわい蟹炭火焼
 加賀橋立港で水揚げされた蟹にはブルータグでそのように書かれている。近い漁港で採れた蟹ほど鮮度が良いのでこちらでは橋立が最高なものとなっている。テーブルサイドで担当女中さんが焼いてくれる。
5)八寸:鮟肝、ナマコ、イクラ、イカ、穴子、鯛など
6)温物:茹でずわい蟹
 同じく加賀橋立港で水揚げされたずわい蟹を次は茹でで頂く。鮮度の良さが分かるすっきりした味わいである。
7)焚き合わせ:蕪
8)御食事:蟹炊き込み、赤味噌
9)水菓子:梨、苺、柿、抹茶アイス

その後、渡り廊下を行き有栖川山荘へ。百年以上の歴史を持つ建物で、往事を偲ばせる。暗く落ち着いたバーで貴腐ワイン(ヴァッヘンハイマー・リースリング・アウスレーゼ1988、1,600円)を頂いた。色は飴色だがドイツワインは30年も経つと甘味が飛んでしまって、まるで紹興酒のようになっている。フランスソーテルヌのシャトー・イケムのようにはいかない。

  • (説明なし)
  • 香箱ガニ
  • 橋立港で揚がったブルータグ付きズワイガニを焼きで。

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7位

柳生の庄 (修善寺、大仁、牧之郷 / 料理旅館、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.9
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥100,000~ ¥100,000~

2016/05訪問 2019/01/25

数寄屋造りの最高級旅館で

強羅花壇」のある箱根から国道1号と有料道路をつかって約1時間半ですんなりと修善寺までやってきた。次の宿は「柳生の庄」。修善寺には5年前に「あさば」に来て以来となる。チェックインの14時まではまだ1時間ある。しかし女将はまだ部屋の準備ができていないことを非常に恐縮していた。超絶左官技巧で作られたラウンジの土壁「蛍壁」を眺め、しばし休息してから修善寺の町へ散策にでかけた。もどってくると部屋の準備ができている。

15室ある中で最も高価な離れの「松の生」。一泊2食付き一人129,600円の二人利用。日本でも最も高価な部類に入るのではないだろうか。部屋だけで122㎡。それに広い庭と滝のある池が付いている。広い、広すぎる… 池には優雅に鯉が泳ぎ、生い茂る緑によって外界と隔絶された空間が演出されている。床暖房の檜の内風呂とシャワールームを抜けると、圧巻の露天風呂。超絶技巧で滑らかに作られた石の浴槽に満ちた湯に、まぶしい新緑が映り込む。ウェルカムの抹茶と柏餅を頂く。

さて一風呂浴び、夕食の前にテーブルに足を付けて高くしてもらった。朝食もこのままでよい。本間、次の間の他に中庭をはさんで8畳の和室があるのでそちらを寝室につかうことができるので。担当の仲居さんの世話で部屋食がはじまる。ドリンクメニューは比較的充実しており、ローランペリエのハーフを注文(5,800円)。調理長 柴山崇志による重五(端午の節句のこと)の献立は、約10品の懐石料理。熱した石に自分で和牛を焼いて頂く名物、温石料理や、伊勢海老の造り(この海老は翌朝のお椀の出汁になる)、子鮎塩焼きなどなかなか美味しいものであった。

翌朝も晴天。広縁を通して緑溢れる庭を眺めながら朝食を頂く。豆乳鍋や鰹土佐造り、煮麺など盛りだくさん。葡萄の自家製シャーベットも滑らかで美味しい。

数寄屋造りはわび・さびの精神で伝統的な職人芸で作られた高級和風建築であり、柳生の庄でも素人目には分かりづらいが蛍壁や網代天井など随所に超絶技巧の仕事がなされている。この外界と隔絶した緑溢れる空間で頂く至福の懐石料理であった。

  • 柳生の庄 玄関
  • 広縁を通して広がる新緑
  • 庭の池には鯉が5-6匹

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8位

強羅 花壇 (彫刻の森、強羅、小涌谷 / 料理旅館、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 昼の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥60,000~¥79,999 ¥60,000~¥79,999

2016/04訪問 2019/01/25

宮家別邸の伝統と格式で一線を画す。

昔読んだ海外の旅行本で、日本で行くべき3つの宿が紹介されていた。「あさば」と「ベネッセハウス」とそして「強羅花壇」だ。私はこの3つの宿には必ず行くと決めていた。ベネッセハウスには何度も宿泊して最高にお気に入りの宿になっている。あさばには5年前に行ったがここも最高だ。一方2013年に刊行された「FOODIE TOP 100 Restaurants」には日本から29軒が選ばれており、強羅花壇も入っている。そういうことで強羅花壇には格別の期待があった。

昨年の大涌谷火山活動の影響も完全になくなったとは言えない箱根。しかしさすがにGWの強羅花壇は良い部屋から早々に埋まっていった。昨今の高級旅館の先駆けとも言える強羅花壇。肩を並べる宿が続々と誕生している昨今でも、宮家の別邸であった伝統と格式で他とは一線を画していると言えよう。番頭や仲居さんの対応が優れており、さすが一流と感心させられるものであった。また有名な回廊など、建物の美しさにも特筆すべきものがある。宿泊したのは離れの部屋で、二人で一泊2食付きで14万円ほどであった。これでも中ぐらいのランクの部屋である。2013年に新築されたこの離れは、野趣あふれた庭を本館から40mほど下ったところに一軒家として建っており、こぢんまりした露天風呂も居心地の良いものでとても気に入った。仄かに硫黄臭が感じられる程度のほぼ無色無臭に近い源泉は、気持ちの良い湯だ。

そろそろ食事の感想へ移ろう。まずウェルカムの抹茶と蓮根餅が美味しい。夕食と朝食は部屋食の部屋もあるが、今回の部屋は本館レストランでの食事となる。それはそれで嬉しいことだ。なぜならこの本館こそが昭和5年、閑院宮載仁親王が夏の避暑用に岩崎康弥氏所有の土地を譲り受け建設した別邸なのだから。当時はこの前に壮大な花壇が広がっており宿の名称はそこから来ていると聞いた。1階に個室が1つ、2階に大部屋と3つほどの個室がある。1階の個室で頂く。昭和初期の意匠がそのまま残されている落ち着いた雰囲気の部屋だ。部屋担当の仲居さんが給仕をしてくれる。

ドリンクメニューは非常に充実している。Kenzo Estateのラインナップも多く、ほとんど手に入らない森伊蔵750mLが何と1万円で提供されてもいる。これは蔵元と直接取引しているから可能となったもので、土産店でも購入できるので私が焼酎好きなら迷わず購入していたところだ。充実のラインナップから私が選んだのは大好きなのクリュッグのハーフ(¥20,000)である。これが美味しかったことは言うまでもない。

総料理長、小林誠の卯月の夕食献立は約10品の京都懐石。即ち、先付、八寸、椀、造里、焼物、焚合、進肴、御飯、止椀、香の物、水菓子、甘味。写真をアップした通り、正統的な和食である。どれも美味しいのだが、感動的な美味しさや、驚きといったものはない。蒸し鮑の肝酢や、うすい豆すり流しなど美味しい記憶が残っているものもあるにはあるが、お造りがイマイチなのは残念。また肉料理は和牛のローストだったが、ここで冷たい料理ではなく熱い和牛ステーキが欲しかった。新生姜の御飯は味も堅めの炊き方も好みでとても良かった。多すぎず少なすぎず、女性でも安心できる量である。ただ全体的に印象に残るものも少なく、どれもが日本人に馴染みのあるものであり、何を食べたのかはっきり記憶できないぐらいだ。

朝食も同じ個室で、昨日と同じ仲居さんが担当してくれる。和食と洋食が選べるが和食を選択。メインの魚が選択制で私は銀鱈西京焼き、妻は焼き鯵。梅抹茶からスタートし、フレッシュオレンジジュース、昆布・塩・鰹節で頂く豆乳豆腐、その場で焼かれる海苔、出汁巻き玉子、焚き合わせ、椀、土鍋御飯、ピンクグレープフルーツに蜂蜜ゼリーをかけた物と盛りだくさん。朝食も丁度良い味と量なのだがやはり印象は薄い。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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9位

草菴 (荘原 / 料理旅館、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 昼の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥40,000~¥49,999 ¥40,000~¥49,999

2016/08訪問 2019/01/25

古民家を移築したラグジュアリーな宿

草菴は出雲空港から車で10分ほどの場所にある湯の川温泉の宿です。湯の川温泉は和歌山県龍神温泉、群馬県川中温泉とともに日本三美人の湯とされています。この温泉は日本神話に登場する女神、八上姫が見つけたとされています。草菴の歴史は古く昔は魚屋だったのが50年ほど前から湯宿となり、2004年にリニューアルして現在の形になったとのことです。リニューアルの際には日本全国から古民家を移築し、家具には英国のアンティークを使用し、同じ時代の西洋と東洋の融合がテーマになりました。半露天風呂付き5部屋と風呂無しの12部屋合わせて17室、貸し切り6種類の風呂があります。部屋食ではなく、朝夕食とも食事処「すゞ奈」の個室で供されます。夕食は6時か6時半、朝食は8時か8時半からと決まっており、私たちにとっては夜も朝ももっと遅い時間設定があればよかったのにと思いました。

私たちが利用した部屋は、100㎡で半露天風呂が付いた「仙」です。移築された建物は120年前のものだそうです。家具は同時代の英国アンティーク。リビングには「星のや」と違ってテレビがあるので今回は特にオリンピック観戦で大変助かりました。冷蔵庫にはミネラルウォーター、ビール、野菜ジュースがあり無料で、ルームキーピングの度にどんどんと追加されていきます。寝室はセミダブルのツインベッド。4畳半の畳の書斎もあります。洗面とトイレは人感センサーでの照明が便利。極めつけは21㎡の半露天風呂です。直径160cmの円形のヒバ浴槽、床はヒノキ。洗い場にはもちろんシャワーがあり、休憩用のベッドや庭付きのテラスもあります。湯は源泉掛け流し、透明でほぼ無臭の柔らかい湯です。6種類の貸し切り風呂も利用してみましたがやはり部屋付きの風呂が一番リラックスできました。

さすがに3日とも同じ宿の夕食、朝食は… とも思いましたが、宿を替えるのも面倒なので。旅館はホテルと違って食事付きですし。3日とももちろん全てメニューは異なる和懐石です。山崎要一郎は2004年リニューアル時からの調理長。草菴の前身が魚屋なのが関係あるかどうかは知りませんが総じて魚が美味い。野菜も美味い。御飯も美味い。お造りの醤油は甘口で好みではなかったので、塩などで頂きました。肉は島根和牛でミートローフ、モモ肉ステーキ、ロースたたき漬けがありましたがイマイチ。全般的に器にも凝った創作和食で今風のベクトルです。味は薄めで素材の味がよく分かります。夕食、朝食ともに種類が多く、量は、私たちにはギリギリ食べきれるぐらいといったところで毎回お腹いっぱいです。ドリンク類は多種あり、島根の日本酒も豊富に取りそろえられています。

何を質問しても的確に答えられる優秀な一人のスタッフさんがしばしば私たちの対応してくれましたが、料理を持ってくる人が毎回変わるなど、従業員の数が多いことが逆に高級感を損ねる結果にもなっています。その他やや気になる対応もありましたが、概ね従業員の対応が良い宿だと思います。

  • (説明なし)
  • 宿泊棟の一つ、紫雲閣は100年前の建物を移築したもの
  • 21㎡の半露天リビング、直径160cmのヒバ浴槽に源泉掛け流し

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10位

はづ木 (湯谷温泉 / 料理旅館、中華料理、薬膳)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2016/09訪問 2016/09/25

渓流脇の個室で頂く絶品薬膳中華コース

土曜の夜に突然思い立ち、調べてみると翌日の「日帰り入浴昼食プラン」に空きがあったのでネット予約をしました。秋の空が清々しい雨上がりの日曜日。名古屋インターを入り新東名で新城インターまで、あまり飛ばさずに(?)約50分。そこから国道151号で10分弱、つまりたった1時間ほどで鳳来寺山麓の湯谷温泉に到着です(新東名ぐっじょぶ)。ちっちゃな湯谷温泉街に「はづグルーブ」の旅館が4軒もあり、はづ木はその一つですが、中華薬膳コースがあるのはここだけです。宿泊客は朝夕食ですが、日帰り客には入浴昼食プランが用意されています。6000円と8000円のコースがあり、8000円は6000円にさらに前菜が付くようです。6000円の方にしました。11時チェックインで14時半までの3時間半の滞在。昼食にかかる時間が1時間半で、それ以外の2時間は温泉に入るなどして寛げます。宿泊の部屋を使う場合は別料金のようですが、そうでなくても昼食場所が個室なのでそこで過ごすことができるので、快適なプランです。

宿の前の駐車スペースに停めて、藍染めの暖簾をくぐると清潔感のある和風エントランス。窓の向こうには緑を通して眼下の清流を臨めます。不思議な雰囲気の番頭さんから、良い香りの蓮茶とお菓子でもてなしを受けた後、12時からのランチのための個室に案内されます。苔むした庭と清流を望む部屋で、とても居心地が良い。

バスタオルとフェイスタオルが用意されており、食事まで1時間あるのでまずは入浴タイムとします。露天風呂と内風呂が時間で男女入れ替え。この時間は男性が露天でした。誰も居ない時に素早く写真撮影。アメニティやドライヤーも揃ってます。その後ゆっくり入ってますと他の客も入ってきました。その方と気が合い、温泉やグルメ談義をして楽しく過ごしました。お湯は源泉で、少し濁りがあり無臭のとても良い湯です。ぎりぎり4人入れる大きさの小さめの浴槽。シャワーのある洗い場は3つ。お風呂上がりには冷やした柚子みつと温泉で暖めた五穀茶を飲むこともできます。食後には男女入れ替えとなった内湯にも入ってみました。

お風呂をあがると食事の時間。まずは私に紹興酒、妻は飲めないのでプーアール茶が出されますが、薬膳なのでそれだけでは済みません。4種類の漢方が解説され茶器に入れられ、その上に紹興酒やお茶が注がれます。これら漢方材も食することができます。そしてこれから先、コース料理が1つずつ運ばれてきて、それぞれに入っている漢方と薬効が解説される(品書きにも書かれています)という、まさに薬膳コースならではの展開になっていきます。料理は全部で12種類。それぞれに器も凝っていて楽しめます。味はどれも薄味で、量は多くないので安心して完食できます。

2)鳥の胸肉のスープ:金華ハムを細かくした粒が乗っていてかきまぜて頂きます。大変上品な味で美味しい。
3)小籠包
4)野菜と餡の春巻き(品書きにない料理長からのサービス)
5)赤魚の蒸しもの:魚の形の器で
6)紅花入り海老の炒めもの:海老の形の器で。これはオイルまで美味しくて飲み干しました。
7)ダチョウ肉の醤油炒め:細かくされたダチョウの肉。甘辛で和風のような味付け。食用菊をちぎってふりかけて食べます。かなり美味しい。
8)卵白と貝柱の炒めもの:だから白いんです。貝柱の旨みが効いてます。カイワレ大根が良く合う。
9)チンゲン菜の炒めもの:(写真撮り忘れ!)高台の器も素敵です。これも上品なとろみ餡掛けで大変美味しい。チンゲン菜の他、ユリのつぼみが特に美味しく、これには鉄分がほうれん草の十倍も入っているそうです。
10)烏骨鶏のスープ:これも器が面白い。熱々のスープです。
11)漢方トシシ入り炊き込み御飯:餅米が使われていて中華風おこわのようです。
12)羅漢果のお茶:甘いお茶です。肺を綺麗にするそうです。
13)白キクラゲのデザート
14)タンポポ珈琲:タンポポの根と大豆と小豆で作られています。ストレートでもほのかな甘味があります。

私が特に美味しかったのは2,6,7,8,9でしたが、美味しくないものは一つもありませんでした。見事です。会計はVISA系カードにしました。お土産に、最初の蓮茶を頂きました。私たちの車が見えなくなるまでずっと番頭さんがお見送りしてくれました。どなたにもお勧めできるお店です。

  • ラウンジ
  • (説明なし)
  • 鳥胸肉のスープ

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