『777的「清原和博」問題考』asakusa777さんの日記

久しぶりに会う友人と酒を飲んだ。
飲んでいるうちの半分は、昨今世間を騒がせている元プロ野球選手の「清原和博」氏の話題。
プロ野球に殆ど興味の無い僕にとってはどーでも良い話なのだが、大の野球ファンで大の清原ファンだった彼にとっては大問題らしい。
「裏切られた」「もうファン辞める」と言って半ベソをかく友人。
知り合いでもない他人事によくもそんなに感情移入出来るもんだと感心したが、それでも僕にはなんでそんなに残念がるのかが判らない。

殊「違法薬物」問題で言えば、僕はプロ野球は知らないが、僕の好きなミュージシャンって考えてみればその殆どが周知のごとくジャンキーか元ジャンキーだ。
エリック・クラプトン、ローリング・ストーンズ、ビートルズ、レッド・ツェッペリン、レイ・チャールズ、サンタナ、ジミ・ヘンドリクス、エルビスなどなど。
他にも古いブルースミュージシャンなんてそうじゃない人を探す方が大変なんじゃないかな。
でも、だからと言って「じゃあ彼らのファンを辞めよう」とか「彼らの音楽は聴きたくない」なんて思った事ないし、特に好きなクラプトンなんかは、以前彼が常用していた「コカイン」を曲にして大ヒットさせ、今でもライヴの終盤によく演奏している。
だから友人が言う事が判らない。
薬物はもちろん良くない。海外でも日本でもそれが「犯罪」である事に変わりはないし。でも、それはあくまでも個人的な問題で「依存症」という治療が必要な病気なのだから、それを以ってそれまでその人が成し遂げてきた事が無になる訳ではないのだから、逮捕され罪を償ったのなら今度はその人が立ち直るために応援してあげるのがファンってもんじゃないかと思う。
日本の違法薬物使用者は白い眼で見るのに、ポールマッカートニーやストーンズが来日したらこぞってライヴに行くなんてダブルスタンダードはおかしいからね。

入れ墨にしてもそう。
メッシやネイマールも入れてるし僕の好きなNFLやNBAの選手の多くも入れているけど、その事と彼らのプレーとは何の関係も無いから、「入れ墨入れてるからネイマールは観たくない」なんて思わないもの。
これだってあくまでも個人の勝手、個人の問題で他人がとやかく言う事ではない。
もし、メッシが現役引退後にどこかのクラブのヘッドコーチになると言ったら「入れ墨入れてるからダメ」だなんて誰も言わないだろう。
なのにそれが日本人となると途端に白い眼で見始める。
「清原は入れ墨入れてるから指導者になってはいけない」って。
なんで？
「入れ墨＝No」という考えは、すなわち「入れ墨＝暴力団」って事でしょう？
ならば、彼が暴力団ではない事が証明されれば良いだけの事だと思うけど。
「タトゥーはまだ許せるけどモンモンはダメ」という人もいるけど、日本人が外人にカブれて訳のわからない外国の模様や言葉を入れるより、日本古来の模様や言葉を入れる方がよっぽど腑に落ちるけどね。

よく「芸能界はこーゆー問題に対して甘い」なんて言うけど、それも僕は全然違うと思う。
じゃあ、サラリーマンの違法薬物前科者はどうなの？
そりゃあそれまで勤めていた会社はクビになるかも知れないが、何か別の職に就いてる訳でしょ？食ってかなくちゃならないんだから。そーゆー人達の更生を支援する会社だってある訳だし。だから経営者や人事関係の人はその人が違法薬物の前科者だって知ってるけど、その他の人は言わなければ判らないし。
でも有名人は世間の人みんなが「あの人は前科者だ」って知ってる訳だから、そっちの方がよっぽど辛いし不便だと思うけどね。

まあ、プロ野球や清原に何の興味も無い僕が清原を擁護して、何十年来の清原ファンである友人が清原を批判するという逆転現象の中での酒だったけど、清原にしてみたら会った事もない僕らが彼の知らないところで好き勝手に彼の人生を語ってるんだから有名人って辛いよね。大きなお世話以外の何物にもなってない。
話は平行線だったけど、「裏切られたっていうのは、彼の別れた奥さんや子供達が清原に対して言う言葉で、知り合いでもないお前が言うこっちゃないよ」という僕の言葉だけは納得してくれたみたいだった。