レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2011/07訪問 2011/07/11
今なお進化を続ける「さわ田劇場」、素晴らしいお鮨屋さんです。
今日は相方と日本橋に扇子を新調しに出掛けた。
なので2人とも和装、相方は着物、ワタシは浴衣で出掛けました。
共に気に入った扇子を見つけて満悦したら、気分はすっかり鮨になってしまった。
「旨い冷酒を飲みながら鮨をつまみたい」、なのでこの「さわ田」を予約しました。
接待で以前来たことはあったが相方を連れてったコトはない、まさにこーゆー気分の時にモッテコイの店なので、日本橋から銀座へタクシーで向いました。
「さわ田劇場」の異名を持つこの店、まさしくご主人のさわだ氏が魅せる極上の舞台のようです。
つまみから握りへ、その一連の流れは淀むことなく、期待から満足へと移り変わる心境がなんとも心地良い、そんなお店です。
この店の鮨は、例えるなら「研ぎ澄まされたジャックナイフ」、とても鋭く、しかし滑らかです。
「写真撮影はご遠慮下さい」とのコトなので料理の写真を撮るコトは出来ませんでした。なので上手く伝えるコトは出来ませんが、しかし、この店の魅力は下手な写真で見るよりも実際に体験すべきもの、行った者のみが知り得る世界というコトでしょう。
つまみはどれも極上の味わい、デモ決して鮨屋の領分を出るコトはなく、極上のネタを活かしうる必要最低限の供し方です。
最初に『辛味大根のツマ』と『茗荷』が出され、『塩』『酢橘』『山葵』が用意されて「お好きにお使い下さい」と言われます。
『真子鰈、青利烏賊、とり貝、雲丹2種、蒸し鮑、タコ、炙りごま鯖、蝦蛄、蝦蛄ツメ、カツオ、マイクロトマト、炙りとろ、炙り蛇腹とろ、赤身、ばちこ、白身海苔巻き』
以上がこの日出されたツマミです。
全てに於いて拘ったツマミの数々、堪えられない旨さです。1品1品特筆したいのですが、ワタシの拙い文章力ではとても表現しきれない。ただ言えることはどれも想像を超えた味わいだというコトです。
酒は宮城の「伯楽星」、純米吟醸と特別吟醸を頂きました。とてもフルーティーで、それでいて数々のツマミの味を最大限に高める旨い酒です。
握りは『青利烏賊、みる貝、白身(失念)、小肌、カツオ、赤身、とろ2種、きす、車海老、塩水雲丹、烏賊印籠詰め、穴子』(順番は若干の違いありです)
この店の握りの特徴は、1にも2にもとにかく『シャリ』にアリです。
酢の合わせ具合はかなり強め、甘み、出汁も強めです。
こーゆーシャリは特に脂の強いまぐろとの相性がバツグン、まぐろの旨みを2倍にも3倍にも高めてくれるシャリです。
この店はまぐろを徹底的に熟成させることで有名、氷で冷やすクラシックな冷蔵庫を設えてるのもその証ですが、ホントーにこの店のまぐろの握りは日本でもトップなのではかいかと思います。
旨いまぐろ、極上のとろはシャリと一緒になることでその価値を何倍にも膨らむ、その意味はこの店のまぐろを食べれば瞬時に判ります。
最後のデザートは食用の『ほおずき』、コレがまたなんとも上品な味わいでした。
もうすっかり満腹、久しぶりに「鮨汗」をかくほどにお腹はパンパンで苦しいくらいでした。
特に着物の帯でキッチリ締めつけられている相方は店を一歩出たところで力尽きた様子で、「どこかのバーにでも行って最高の鮨の余韻を楽しもうか?」とのワタシの問いに、「もうムリ、早くこの帯解かないと息絶えるカモ知れない、、、、」とのコトなので、通りかかったタクシーに飛び乗って家路につきました。
銀座でもトップクラスの名店ですが、大将はとっても気さくで楽しい人柄、それでいて鮨に対する情熱と真剣さがヒシヒシと伝わる素晴らしい職人さんです。
鮨が好きな人ならゼヒここの鮨を一度は味わって欲しい、イヤ、味わうべき、そんな名店です。
3位
1回
2016/02訪問 2016/02/23
【新宿】 「トロワグロの素晴しき世界」は過去のものになってしまった。
この日はいつも確定申告の度に大変お世話になっている会計士の先生をご接待。
先生のご希望によりフレンチに行く事になった。
この時季のフレンチと言えば「黒トリュフ」、と来ればこの店を真っ先に思い付いた。
7年前に初めてこの店を訪れて、トリュフの美味しさと美しくファンタジーに溢れる多くの皿に感動させられた。
その後何度か利用したが、4年前に来た際にはなんだかおざなり感溢れる普通の料理にガッカリさせられて以来、この店には来ていない。
だが、「黒トリュフとなればまたトロワグロの素晴らしきファンタジーの世界を楽しめるんじゃないか?」との一縷の期待を胸に向かった。
先ずはグラスのシャンパーニュで乾杯、その後のワインは多くのワインを少しづつ楽しめる「デギュスタシオン」でもらった。
料理はフルコース。
7年前のような黒トリュフ専用のメニューは無くて、通常のフルコースに黒トリュフを追加するシステムだった。
メニューのフルコースの料理の幾つかに「T」マークが付いていて、それには各2000円でトリュフを追加出来る。
せっかくなので「T」マークの料理全てに黒トリュフ追加をオーダーしたが、やはりイヤな予感を禁じ得なかった。
「なんで黒トリュフをメインに組み立てられたメニューが無いんだ?」
で、実際出された料理には、やっぱし皿が進むに連れガッカリさせられた。
黒トリュフがホントにただの「追加トッピング」にしかなっていない。
もちろん、基本となる料理はトロワグロのフルコースなのだが、そもそもその料理に以前のようなファンタジーは感じられない。
凡庸な盛り付け、凡庸な味、凡庸な素材。
そこにスライスされるか刻まれるかした黒トリュフが添えられただけの連続。
これではトロワグロに来た意味が無い。
黒トリュフさえ使えば何処ででもお目に掛かれるようなつまらない皿の数々。
段々食べるのが苦痛になってきた僕だったが、先生は喜んでくれたみたいだったのが不幸中の幸いだ。
トロワグロもつまらない店になってしまった。
トロワグロ本人も本国フランスから遠く離れた日本の支店の事など、もう殆ど気にもしなくなっちゃったのかな。
僕達が最初に来た際に感動させてくれた料理人も他の店に移ってしまったと聞いた。
まばらな客入りやオープンキッチンの中で私語ばかりで遊び半分のような雰囲気で作業していたスタッフ達の姿にこの店の凋落ぶりが現れていた。
「もうこの店に来る事はないな」そう思いながら店を後にした僕だった。
(2013,12月)
2013年大晦日、相方の指示の元に大掃除を終わらせて、「サテ、夜は酒を飲みながらダウンタウン観ながらノタ〜っと年を越すぞ〜」と思っていたら友人から忘年会のお誘いの電話。
この友人とは今年なかなか会えなかった。「フレンチとワインで静かに最後の忘年会をしよう」との事、まあタマにはそーゆー年越しも良いかなと思い相方と出掛けました。
ミシュランスターホルダーのトロワグロ、その絵画のような美しい料理に魅了されて3年前に来て以来何度か利用したが、この日は大晦日という事もあってメニューはコース1種類のみ、選べるのはワインだけだ。
仕方ないとはいえイヤな予感、以前、やっぱしそれまで気に入って利用していた恵比寿のガストロノミー ジョエル・ロブションに12月に行ってクリスマス限定メニューにゲンナリさせられて以来、そのレストランには行く気がしなくなってしまった。
おざなりで手抜き感満載、普段は素晴らしいレストランなのにやっつけ仕事のオンパレード、「ロブションもとうとうこうなったか。これではロブション風の料理を出す普通のレストランだ」と思い、それ以来行ってない。
その代わりとなるのがトロワグロだったが、この日の限定メニューの料理の数々は、、、やっぱしダメだった。
気合が入っているかどうか、それは盛り付けに現れる。
ファンタジーが無い、ストーリーが無い、普段と比べて酷く雑だ。
市場が休み、だからこそ気合を入れて欲しかった。
トロワグロはほぼ全ての料理を真っ白な皿に盛り付ける。
トロワグロは色とりどりの食材を美しく用いる料理が多いので、皿に色や柄は邪魔になる。
しかし、この日の料理はどれも凡庸、なので皿の白さがとても寂しく感じる。
良かったのは子牛のカルパッチオだけだった。それ以外は出て来るたびにガッカリさせられる料理ばかり。
とうとう最後には男性スタッフに「なんだ、この手抜きは?」と文句を言ってしまった。
来る日が悪かったと言ってしまえばそれまでだが、そーゆー日こそウデの見せ所ではないのか?
おざなりなやっつけ料理を平気で出すようではロブションと変わらない。
2013年の締めくくりの食事はとてもガッカリしたものになってしまった。
(2011,1月)
何もすることがない正月休み、俺はカウチに根を生やし「のた~」っとFOXチャンネルの「24」一挙放送を観ていた。
すると、トツゼン携帯が鳴った。
かけて来たのは正月休みを海外で過ごしていた社長だった。
それまで、カウチにダラーっと座っていた俺はそれを見た瞬間「ぴょん」と飛び上がり着地と同時に正座して電話を取った。
「あ~~~、ワシじゃ、社長じゃよ、うおっほん。」
「ははーっ、これは社長様、新年おめでとうござりまする~。」
「ウム、おめでとう。」
「海外はいかがですか~?ゴルフの首尾は上々でございますか~?」
「ウム、ショットはいいのじゃがパットがイカン。なかなか穴に入ってくれんのじゃ。」
「それは悪い穴ですな~。今度埋めておきましょう。で、何用でござりましょうか?」
「ウム、実は今日の夕方帰国するのじゃが、出迎えがないとヒジョーにサビシイ。出迎えと自慢話をする為のレストランのリザベ~ションを頼みたいのじゃ。」
「ははーっ、かしこまってたてまつってそのように致しまする~。」
「ウム、良きにはからいたまえ、ウム~~~、ガチャン。」
電話を終えるやいなや、俺は携帯を床に叩きつけて「チキショー、このタコ社長ーっ!せっかくの休みだっちゅーのにそんなことで呼び出すんじゃねーよっ。しかもレストランだとーっ?三が日のレストランなんてそんな急に取れねーっつーのっ!」と、ひとしきり毒づいたが、なんとかこのレストランが予約出来たので一安心、空港まで社長を迎えに行き、誰にあげるのかサッパリわからん土産の山をトランクに押し込み、それでも入りきらないヤツを2~3個投げ捨てて新宿のハイアットリージェンシーに向かいました。
このレストランに行くのは初めて、モチロン評判は聞いていたのだがロブションやトゥールダルジャンと比べて些か軽いカンジがするトロワグロは、「せっかくのフレンチならヤッパシ重厚感がなくっちゃね~」と思って敬遠していた。
が、しかし、それが大きなカン違いであったと思い知らされる事となった。
「コレは料理であると同時に最高級の絵画だっ」というのが感想。
海外での自慢話をひたすらしゃべり続ける社長の言葉は俺の耳を右から左へとスルーして、この素晴しい料理の世界にカンペキに引き込まれてしまった。
特に、ウェイーターのフランス人がさも自慢げに持ってきたプレゼン用の黒トリュフ、この色、ツヤ、香りといったらそれはそれは素晴しく、「この最上級のトリュフをフンダンに使ったトロワグロのワールドを存分にお楽しみクダサ~イ」の言葉で、もう社長などどーでも良くなってしまった。
黒トリュフを使った料理はどれも筆舌に尽くしがたく、俺程度の文章力では表現しきれないので控えるが、特に「トリュフ 栗のかけらと共に」「アンディーブフラワー」「トリュフのディスクを乗せた帆立貝」などは感動で言葉も出ない。デザートにまでトリュフのアイスクリームである。「明日の体臭はきっとトリュフの香りがするんだろうな~。」なんて考えながら貪り食ってる俺を見て、「ワシも若い頃はそれぐらい食べれたモンじゃよ~。」とミョーにご満悦の社長もフランス人ウェイターのどこから見ても「ミエミエ」なお世辞に上機嫌である。
トリュフ以外の料理でも、やはりトロワグロは非凡であった。
「鮟鱇のロティー」は彼のスペシャリティーの1つだが、今まで和食として食べたどのアンコウよりも旨かった。グレープフルーツとサフランのソースとアンコウを合せるなんて和食の範疇ではムリだろうが、これが絶望的に合う。
「牡丹海老とイカ バニラの香りのトマトウォーター」、トマトから出る水にバニラの香りをつけて海老にかける、この発想って普通では有り得んだろうが、これが海老の甘さと相まって極上の味へと昇華していた。
食後、カプチーノを楽しみながら社長が「どうじゃ?ワシの海外での武勇伝は?」というので、社長がしゃべった内容など何一つ覚えちゃいなかったが、「イヤイヤ、さすがわ我らの社長様でごじゃりまする~。感服いたしました~。」というと、「ウムウム、そうであろう。ヨシっ、ではバーに移って続きを聞かせてしんぜよう。案内せいっ。」ときやがった。
「ゲゲーっ、まだ解放されないのか~。」と思ったが、すかさず「ははーっ、ありがたき幸せ」と即答してしまうサビシサをデザートに噛み締める俺がいた。
今度はゼッタイ相方と来よう。このレストランはそーゆー時のためにある、そー思いながら延々と続く社長の自慢話を深夜まで聞いていた俺なのでした~。
4位
1回
2014/11訪問 2015/09/01
【虎の門】ホテルオークラが誇る広東料理の王道を行く老舗中国料理レストラン
(2014,11月)
今年も桃花林の『上海蟹』の季節がやってきた。
取引先との千葉でのゴルフの帰り、一緒にラウンドした気の合う仲間と早速訪問。
注文したのは『蒸しあわびと蒸し鶏の冷菜、上海蟹のせいろ蒸し、かにの卵入りフカヒレ、北京家鴨』という俺の桃花林での定番メニュー。
誰といつ来ても注文するのは毎回同じ、タマには違うものも頼んでみようとも思うが、これらの俺的定番メニューはどれひとつとして外せないし、これらに加えてこれもいつも頼む『甕出し紹興酒』を何杯も飲むともうこれ以上は食べられない。
写真も毎回同じで代わり映えしないが、「美味いんだから仕方ない」のである。
(2013,11月)
先日この店に相方と行って、旨い旨い上海蟹に悶絶したことを友人に話したら、口からダラダラと大量のヨダレを放流しながら「ゼヒ食べたい。オゴるから連れてってくれ〜。」ときた。
どうせこの日はこの友人と飲みに行くつもりでいたし、ミソがタップリ入った上海蟹を食べられるのは恐らく今月いっぱい、しかもこのままヨダレを流し続けたらこの友人は脱水してしんでしまいそうだったので、早速ホテルオークラに向かいました。
先ずは『青島ビール』で乾杯、その後は『甕出し紹興酒』を延々と飲み続けます。
『上海蟹のセイロ蒸し』以外のメニュー、ワタシが選ぶといつも同じようなものになってしまうのですが、この友人から「この店は他に何が旨いの?」と聞かれると自分が旨いと信じるものを食べさせてあげたいのが人情というもの。なので『蒸し鶏の葱油ソース、北京ダック、かにの卵入りふかひれのスープ、豚の角煮、アワビのクリーム煮』を取りました。
豚の角煮はメニューにはありませんが、「八角が効いた旨いトンポーロウが食べたい!」と言ったら作ってくれました。
上海蟹、何度食べても旨いですね〜。
まだまだミソがタップリありました。
「旨い旨い」とカニをしゃぶり続ける友人、「コレもう一匹づつ頼まない?」と言うので、「他の料理も飛び切り旨いからやめとこう」と言うワタシ、いくら旨くっても食べられる量には限度がありますからね。
かにの卵入りふかひれのスープ、相変わらずの旨さです。
「コレ、泣けるほど旨い!もう一杯づつ頼まない?」と言う友人、結局この後北京ダックを食べた時にも同じセリフを言いました。
どうやら彼の絶賛の言葉は「もう一つ」みたいです。真に受けていちいち注文してたら胃が弾けるっちゅ〜の。
アワビのクリーム煮も絶品。やはりアワビを最も美味しくする調理法は「干し」ですね。干すことによってアワビの旨さが何倍にも膨らむ、鮨屋で出される「蒸しアワビ」よりも、「干し」が入る分コッチの方が上ですね。
何を食べても全くハズレが無い桃花林、友人も大満足のようで、この後はパンパンに膨らんだお腹を抱えて赤坂のネオン街に2人で消えました。
(2013,11月)
日曜の昼前のひと時、リビングのリクライナーにゆったりと座り優雅に淹れたてのコナコーヒーを楽しんでいると、隣でiPadでネットをポチポチ観ていた相方が出し抜けに「ああ〜っ、桃花林で上海ガニが始まった〜っ!食べに行かなくて良いのカニ〜っ!?」と、ノドも裂けよとばかりに叫んだ。
驚いた俺はリクライナーから転げ落ち、手に持っていたコーヒーを頭からかぶりあまりの熱さに「ふんぎゃ〜」と悲鳴を上げて床の上をのたうち回った。
「確か以前にもこんな事があった気が、、、そうだったカニ?上海ガニが始まったのカニ?じゃあさっそく食べに行くカニぃ〜?」と俺が言うと、「もちろん行くガニ、早く予約を入れるガニ、私は支度、どんな服を着て欲しいのカニぃ〜?」とカニ目で言った.
しかし、一旦支度を始めるとなかなか終わらないのがオンナと言う生き物、呼んだタクシーが家の前に来てもまだ化粧を続けてる。俺はブクブクと泡を吹きながら待ったていたが我慢も限界、「いつまで化粧をしているのカニっ?予約の時間に間に合わないガニっ!」と言うと右手の大きい方のハサミで相方を挟むと、カニ走りでタクシーに飛び乗った。
さて、この時期世の中に上海蟹を出す中国料理店は数あれど、桃花林の上海蟹は最高です。
兎に角質が良い。上海蟹の身上は何と言ってもその『味噌』ですが、それがこれほどタップリで旨い上海蟹を出す店を俺は他に知りません。
例年ならもう少し早く始まるのですが、今年はオークラでも良い上海蟹を一定数押さえる事に苦労したとの事で、スタートが遅れたとの事でした。
席に座るとさっそく『上海蟹のセイロ蒸し』を注文、もちろん1人一匹です。
カニがタブるので今回は大好物の『蟹の卵入りふかひれのスープ』はガマン、その代わりに北京ダックを2本づつ注文しました。
後は昼なので点心を3品と五目チャーハンと言う組み立てです。
そして甕出し紹興酒、夜ならストレートですが昼なのでロックが良いですね。
そして、そして、待ち焦がれた上海蟹、ホントにホントに旨かった〜。
上海蟹とは味噌が全てです。身は少ないしたいして旨く無い。味噌が如何に多くて旨いか、それが勝負です。
もうコレは店に託すしか無いので、信頼出来る店で食べないと味噌が少なくてガッカリする事になります。
しかしそこはオークラ、期待は裏切りません。旨い旨い上海蟹でした。
上海蟹を食べた事があって「あんなののどこがそんなに旨いの?」と思っている方、それはホントに旨い上海蟹を食べてないからです。
そーゆー方は是非オークラでお試し下さい。気に入る事請け合いますよ〜。
(2013,10月)
実はこの前の日にYUITO日本橋に入ってるホテルオークラ 中国料理「桃花林」 日本橋室町賓館に行ったんです。
そこで桃花林の絶対の一品『かにの卵入ふかひれスープ』を食べたのですが、見た目は一緒でも味は本店のソレとまるっきり違う。北京ダッグも違うし、文句を言って途中で出てきちゃったんです。シェフが出てきて丁寧に謝ってくれたし食事代も無しにしてくれたのですが、やはり心残りは大きい。なので店を出たら直ぐにホテルオークラの本店に予約を入れて、で翌日の夜にやって来たというスンポーです。
白ワインのソーダ割で喉を潤し甕出し紹興酒をヤリながら食べた料理は『蒸し鶏の冷し肉葱油ソース、かにの卵入ふかひれスープ、北京ダック、酔っぱらい海老、蝦夷鮑のXO醬蒸し、ライチジュビリー、フレッシュフルーツのアンニン豆腐』です。
旨い!圧倒的に旨い!!
ホテルオークラ至極の一品の一つである『かにの卵入ふかひれスープ』は、やはりその真髄はココでしか味わえないようだ。レシピは同じ、でも仕上がりは全然違う。ココ以外の桃花林で食べるのはもうやめよう。ワタシが思う世界一のスープである桃花林の『かにの卵入ふかひれスープ』は他の全ての桃花林で出されるが、あくまで虎ノ門のホテルオークラだけの逸品です。
もう一つ、『北京ダック』も全くの別物、ココの北京ダックはまさしく北京ダックのチャンピオンです。
とにかくパリパリ加減が違う、脂の旨味が違う。ココではワゴンにダックを乗せて目の前で切って巻いてくれるんです。兎に角旨い!
『酔っぱらい海老』もガラスの器に活きた海老を入れたのを席まで持って来てくれるプレゼンテーション、盛り上がりますよね。
器の中でピチピチ跳ねる海老、活きが良過ぎて器のフタを持ち上げる勢いです。紹興酒がタップリ入っているのでしばらくそのままにしておいて海老が酔っぱらうのを待ち、頃合いをみて今度はその海老を土鍋で蒸し焼きに。香りが良いですよ〜。この料理の真髄は海老の甘味です。凄く甘い。旨いですな〜。
『蝦夷鮑のXO醬蒸し』はメニューにはありませんでしたが給仕さんと「活き鮑を如何に料理するか」といろいろ話して決めたオリジナルメニューです。中国料理の鮑と言えば干し鮑、干す事によって何倍にも広がる鮑自身の旨味が大好きですが、タマには活きにもチャレンジしてみようと思って食べてみました。XO醬と鮑って合いますね。確かに旨いけどやっぱし干し鮑の方が上かな〜。
炎のデザート『ライチジュビリー』も目の前にワゴンを持って来てくれて作ってくれます。炎が勢いよく立ち上る。味は甘くてノーブル、そしてもう一つのデザートのアンニン豆腐はとてもソフトでサッパリした味わいで締めくくりもカンペキです。
このレストラン、やっぱしワタシ的に日本一の中国料理レストランです。
料理の味も最高ですが、そこへ持って来てオークラクオリティーのサービスでもてなされるので満足出来ないバスは無い。
次回は上海蟹を食べに来よう。
例年だと11月からスタートだそうですが今年はやや遅くなるかも知れないとのこと、とても楽しみです。
(2011,1月)
相方と同時にひいてしまった風邪もどうにか治まり、久しぶりの外食に出掛けました。
今話題のセンスや中国飯店 富麗華などの斬新なお店もありますが、ワタシ的に中国料理の1位はもう何十年もココ『桃花林』です。
以前は、内装ももっと単純で店内はガヤガヤガチャガチャした雰囲気だったのですが、今ではすっかりシックになり、中国王朝を思わせる重厚な雰囲気です。コレはコレで良いのですが、以前の中国レストランらしい雑然とした雰囲気も好きだったなぁ~。
病み上がりでそんなに沢山の量を食べられないとフンだ我々はコースを避けてアラカルトで注文しました。
『むし鶏の冷し肉』
『かにの卵入りふかひれのスープ』
『家鴨の皮巻き北京風』
『ふくろ茸とあわびの煮込み』
『フレッシュフルーツ入り杏仁豆腐』
『炎のデザート アンズジュビリー』
飲み物が
『1984年 甕出し紹興酒』
です。
元来小食な上に病み上がりな我々ではこれで精一杯、肉料理や海老料理、点心や炒飯も食べたいのですが、無理でした。
デモ、この店に行く何よりの目的は、この店の代名詞と言える『かにの卵入りふかひれのスープ』なので、コレが食べられればほぼ満足、そしてココの『家鴨の皮巻き北京風』いわゆる『ペキンダッグ』も、他のどの店よりも旨いので、コレで大満足です。
「やっぱりココの料理はサイコーだよね~」とご満悦な相方、ワタシには、具合が悪くて苦しんでいた相方が元気と笑顔を取り戻してくれたコトが何よりでした。
5位
1回
2012/09訪問 2012/09/06
(2012、9月再投稿です)
昨年の1月に友人と行って以来、すっかりワタシの鮨屋ローテーションの中核を担うようになったこの店、場所が六本木なだけに普段は取引先や友人と行く事が多いのですが、この日は虎ノ門で打ち合わせをしていた愛しの相方と合流して行きました。
この店、営業が12時近くまで、なのでスタートは9時を過ぎてもダイジョウブ、仕事で遅くなった時など使い勝手がとてもいいです。
この店のツマミや握りの特徴は、とにかく「丁寧」「繊細」という事です。
どれも日本料理の技法を用いて少~しひと捻りしてありますが、決して鮨屋の領分から出る事は無く、極上な鮨屋の料理として提供されるあたりこの大将の非凡さは大したモンですな。
ツマミは、
『鰹のタタキ』
戻り鰹が日増しに旨くなる季節ですね。脂の乗りもダイブ良くなってきました。しかもこの鰹、おそらく「ヅケ」になってます。焼く前に漬けたのか焼いた後に漬けたのかは判りませんが、とっても濃厚な味わいです。かなり旨い。
『若布の酢の物』
爽やかな若布、酢にひと捻りしてあるようで上品な味わいです。
『鮑の刺身』
肉厚で飴色の身を見て蒸し鮑かと思いましたが、刺身でした。とにかく柔らかい。身自体がとても柔らかい鮑に、とても細かく飾り包丁、隠し包丁が入れられているので、食べるのに歯が要らないくらいです。蒸し鮑の柔らかさと生の鮑の極上な香りが同時に楽しめるスゴい1品でした。
『浅蜊の潮汁』
この出汁もスゴいです。具は浅蜊の剝き身ですが、出汁には蛤も使っているそうです。浅蜊と蛤のコラボ、するとこんなに深い味わいになるんですね~。
『新秋刀魚の塩焼き』
秋刀魚は塩焼きが1番旨い。下手に手を加えてもロクなコトになりません。しかしそこは非凡な大将、旨かったです。骨とハラワタを外してあるので純粋に身の旨さのみ味わえます。ご飯のオカズならハラワタも欲しいところですが、鮨屋の肴としてはコレがベストでしょう。
『ばちこ』
ナマコの内臓の干物で、軽く炙ってあります。酒に圧倒的に合いますな~。
酒 『醸し人九平次 別誂』
通常の九平次の大吟醸よりも、さらに淡麗です。
鮨屋での酒の役割は重要です。肴や握りの旨さを何倍にも高めてくれるのと同時に、次のネタに移る際に口の中を完璧にリセットしてくれるのが旨い日本酒というものです。強いネタの後に繊細なネタを食べても一切影響させなくするのが日本酒という物で、それはビールやワインやシャンパンでは絶対に担えない大切な役割です。
なので、ワタシは鮨屋では必ず日本酒、しかも極力淡麗な物を選びますが、この酒はまさに鮨屋で飲むのに最適だと思いました。旨かった~。
握り 『鯵、平目、赤身づけ、才巻、小肌、新烏賊(墨烏賊)、赤貝、いくら、雲丹、穴子、玉子焼き』
ココの握り、とにかく姿がいいです。そして何よりシャリが旨い。まさしくワタシの好みドンピシャな塩梅です。さらに、この大将はシャリを少しずつ奥から持ってきます。人肌をキープする為でしょうな。握り10~15個分ずつを小さなお櫃に入れて、無くなったらまた奥へ取りに行って、コレを何度も繰り返す。仕事に対してホントに真摯な人なんでしょうね。素晴らしいのヒトコトです。
握りの大きさも丁度いいサイズです。すし匠系ほど小さくない、与志乃系までは大きくない、飲みながら食べる鮨としてはまさしく最適な大きさとバランスです。
ネタとして特筆すべきは、やはり全てですが、中でも「鯵」と「いくら」はこの店の大将らしいひと捻りが際立つ逸品でした。
「鯵」はとっても肉厚で深い味わいでしたが、上にほんの少し「あさつき」が乗せられていました。すると鯵の甘さと香りが一層増すんですな。
浅草の鮨松波の大将は鯵を握る前に手酢に「サッ」っと潜らせますが、すると鯵の甘みが増幅されます。しかし、あさつきを乗せるというのもかなりGOODです。
肉厚の身に、鮑同様キメ細かく隠し包丁、飾り包丁が入れられるので、口に入れるとシャリといっしょにネタまで潔くハラリと解けます。手をかけてより旨くするってまさにこの事ですな~。
「いくら」は軍艦ですが、シャリにいくらを盛る前に、何かをシャリの上に乗せてました。聞いたらソレは細かく刻んだ煮〆た舞茸でした。コレがいくらとの相性がバツグン、いくらの魚卵っぽさが消えて、濃厚な旨みだけが「グワ~っ!」って爆発します。スゴいワザですな~。
「まぐろ」は北海道産の香りのいいまぐろ、「新烏賊」はゲソ乗せ、「小肌」はサイズは大きいのですが味わいは新子に匹敵するくらいソフトで滑らかで鮮烈です。
イヤイヤ、相変わらず冴えた肴、冴えた鮨です。
「魚」を「旨くする」と書いて「鮨」、まさしくこの店のためにあるような文字ですな~。
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(2011、1月投稿分です)
友人と六本木で飲む際、ワタシに与えられた選択権はお食事処だけだった。
(つまり、その後のお店はゼンブ友人のお気に入りのお店ばっかし)
なので、食事は前から気になっていたこの鮨屋にしました。
六本木の鮨屋って、場所柄その多くが「飲める」店というカンジで、カンジンの「握り」に気合が入っている店ってワリと少ない。
デモ、前にこの店に行った知人から、「とにかくツマミも旨いが握りがサイコー」と聞いていたので、とても期待して行きました。
そして、その期待はマッタク裏切られなかった、ホントーに素晴しいお店でした。
この店のご主人、以前は和食の「吉兆」で働いていたんだそうです。
で、鮨は独学、それでコレはホントーに非凡な方ですな~。
お店は。六本木ヒルズ向かいの明治屋の裏手にあります。
中はカウンターだけで10人も入ればいっぱいってカンジの、完全予約制のお店です。
ツマミは「牡蠣の蒸し物」、「アンキモ豆腐」、「金目鯛の煮物」、「ばちこ」です。
まず「牡蠣の蒸し物」、コレがトンデモナク旨い。
酒蒸しって言い切れないようなとっても繊細な味付けです。コレが熱くも無く冷たくも無くちょうどいい具合です。
次に「アンキモ豆腐」、コレ、こうやって書いてしまうとなんだか安っぽく感じられますが、物凄く上品な味です。
フレンチっぽい盛り付けにセンスが出てます。
で、次に「金目鯛」の煮物、一口サイズが4切れ出されますが、コレは今まで食べたどのキンメの煮付けよりも旨かった。
丸ごと一匹貰って白いご飯をかっ喰らいたくなる衝動に駆られました。
そして、「ばちこ」。コレ普通は「くちこ」って言うものだと思います。
酒は「黒龍」、こーゆー繊細な料理やお鮨には、やっぱしこーゆー端麗な酒が合いますな~。
で、いよいよ握りです。
この日食べた握りは「平目昆布締め」「赤身ヅケ」「中トロ×2」「締め鯖」「さより」「雲丹」「穴子」、、、、あと忘れちゃいました、、、。
しっかし旨いっ!
なにより特筆すべきなのはこの店の「シャリ」です。
お米がちょっと小粒でしかもやたら丸っこいお米です。
で、食感はもの凄く「モッチリ」としています。
表面は硬めで中がモッチリ、それを赤酢で合わせてる。
持つと硬めなのですが口に入れると「ハラっ」っと解けるその感触がタマリマセン。
ネタはそのシャリを包むように握られているのですが、けっしてバランスが悪いワケではない。
温度もちょうどいい具合の「人肌」です。
旨い鮨というのは、味の好みは人それぞれですが、シャリはゼッタイ「人肌」でなければなりません。
いやいや、この店の最大の特徴はこの「シャリ」ではないでしょうか、それほど旨い「シャリ」でした。
モチロン、どのネタも味は極上、中トロは若干脂が薄めでしたが、これは好みの問題でしょう。
穴子が普通とは裏返しの、皮が表面を向いて握られますが、コレはよっぽどネタの良さ仕事の良さの自信の表れ、そしてその通り「フワ」っとした極上の穴子です。ツメがかなり控えめな味付けなのも穴子自体の味を楽しんで欲しいからなんでしょうな~。
そして、最後が「玉子焼き」です。
そして、この「玉子焼き」は今まで食べたどの店のソレより旨かった!
これは文句なく名店です。
ご主人はまだ若く職人さんも若いかたばかり、(はじめは誰がご主人なのか判りませんでした)
とても遠慮しながら料理を出します。デモ、これだけ旨いツマミや握りを出すのだからそんなに恐縮しなくてもって思いますが、場所が六本木だけにセルフディフェンスも必要なのかな~って思いました。
6位
1回
2015/12訪問 2015/12/17
【銀座】全てのネタのパワーが凄い!銀座の飛び切り粋なお鮨屋さん。
この店に行くのは久しぶり。
ダイエットを始めて以来、好物でもあり炭水化物爆弾でもある鮨を遠ざけてはいるが、それでも月に一度くらいは食べたくなる。
12月のこの時季は大間の本まぐろがとっても良いとくれば、もうこの店以外考えられなかった。
「随分お痩せになりましたね〜」と大将、ダイエットを始めて以来久しぶりに会う人の反応はだいたいこーゆー具合だが、やっぱり嬉しいもんだね。
この日、大将が出してくれた酒は黒龍の「龍」という大吟醸、黒龍らしくとても爽やかでスッキリしていて美味かったな〜。
肴は『平目、鯛、縞鰺、生いくら、小肌、蒸しあわび、みる貝、赤貝、まぐろをいろいろ、平目潮汁』、握りはそれらの幾つかに『うに、車海老、煮はまぐり、穴子』が加わった。デザートは『たまご焼き、干し柿』だ。
やはりどれも美味い。
本来は肴と握りでネタがダブルのは好きではないが、何と言ってもネタの持つパワーが凄いのとシャリがこの上なく美味いので全く問題ない、と言うかむしろ大歓迎だ。
どれも凄かったが、やはりまぐろが素晴らしかった。
とろだけでもじゃ腹やカマや背ビレ下などいろんな部位を食べさせてくれた。
脂具合も熟成具合も申し分無し、甘さといい香りといい素晴らしいまぐろだった。
う〜ん、やっぱしこの店の鮨は最高だ。
大間が終わる前に来て大正解だった。
(2014,8月)
今日は友人が地方から上京、彼と東京で会う時はこの店で鮨を食べてから銀座でクラブ活動が定番コース。
とくれば、今夜だけはダイエットは小休止、思いっきり食べて飲むことに致しましょう。
ダイエットを始めて以来マトモな鮨を食べるのは初めてです。もう味も忘れかけてたカモ。
しかし旨いっ!やっぱし旨いっ!
俺が大好きな鮨の最高峰はやっぱしコレですね〜。
流行りで人気の鮨屋のようにネタ数が多いワケじゃないしコジャレた肴があるワケじゃない。
あるのは最高な素材と必要最低限な仕事だけ。
それが大好きです。
噴火湾のまぐろは冬の大間に負けず劣らずの濃厚な味、赤身、中とろ、大とろをそれぞれ部位を変えての波状攻撃にノックアウト寸前。
季節のネタとしては新子と新烏賊。
3枚付けや4枚付けの小さ過ぎる新子は見た目は良いが味が浅い。これくらいの大きさが新子としてはベストではないかと思う。
仕込んだばかりの若い新子と少し熟れた新子の2種類、どちらも旨い。
新烏賊はその極上な食感が真骨頂、天使のホッペタのようだ。新烏賊の下足も出してくれた。
そして、まぐろと並ぶこの店の代名詞である穴子、染み渡るな〜。
この日の白身は星ガレイとマコガレイ、ワタシは白身の王者はマコガレイだと信じて疑わないが、極上の星ガレイは別格かも知れないな。ただ、関東では極上の星ガレイを安定的に仕入れるのは不可能、やはりこのネタは関西ならではなのだろう。この夜のように極上モノにお目にかかれればラッキーだ。
この日大将が出してくれた酒は黒龍のしずくと八海山の非売品の大吟醸。
この店の繊細この上ない素材の味を引き立てるのにこれ以上ない淡麗な美酒、これを2人で痛飲しました。
イヤ〜、旨かった、久しぶりのきよ田、久しぶりの本物の鮨、旨い酒、もう最高です。
すると、この店の御手洗いの扉などが少し新調されているのに気が付いた。
聞けば、この店の先代からの常連である向島の職人さんの作だそうだ。
どこまでも粋、御手洗いの扉に見惚れてしまうなんて初めてだった。
(2014,2月)
鮨好きの友人が上京、「旨いモン食べてガンガン飲もうぜ〜」と気合十分、「よっしゃ〜、なら銀座を制覇するか〜」とワタシ、とくれば先ずはこの店で下地作りです。
旨い酒、旨い肴、旨い握り、友人や大将との楽しい会話、銀座の夜はこうして始まるのが良いですね。
解禁になったばかりの白魚、この上なく甘く爽やかな香りのミル貝とミル貝の貝の子、極上の味わいの鯛と平目、春の風のような赤貝、こはだ、車海老、煮はまぐり、烏賊、雲丹、蒸し鮑、穴子、そして日本海のまぐろ、、、。
「最高」では無い物は無い。全てが最高。
圧巻は握りに入ってからのまぐろラッシュ。赤身、中とろ、大とろ、さらに部位を変えまぐろを味わい尽くしたというカンジ。
今までは「ソレは何処産?」とか「熟成して何日目?」なんて聞いていたが、最近は聞こうとも思わなくなった。
この上なく旨いのだからそれで良いじゃないか。
聞いてどうなる?
信頼する料理人が自信を持って出してくるのだから、ただ黙って食べれば良いだけだ。
「しかし旨いな〜」と唸りながら食べる我々、それをにこやかに見守る大将、「良い時間」が静かに流れる極上の空間だ。
大将が出してくれた酒は黒龍の3種類、この店の澄み切った味わいの鮨にはぴったりの酒。
食べ終わると大将が「今日はこれからどのクラブにご出陣ですか?」と聞くので、「イヤ〜、候補は2~3あるんだけど、どこから攻めるかまだ決めてないんだよね〜」というと、「それなら私が気に入ってるクラブに案内しますよ。お二人なら絶対に気に入りますから。」という大将、会計を済ませるとその店まで連れてってくれました。流石は大将、ストライクでしたよ〜。
(2013,9月 再投稿)
大間の本まぐろの季節がやって来ましたね〜。
まぐろは鮨ネタの王者、その理由はシャリに最も良く合いシャリと一つになる事でその旨さが何倍にも膨らむのがまぐろだからだとワタシは思ってます。
同じまぐろでも刺身で喰うのと握りで喰うのとでは旨さがゼンゼン違います。
まさしく鮨の為にあるような魚、そんなまぐろの中でもこれからの時期に大間で揚がる物は極上です。
まぐろとくればこの店、なのでさっそく友人と味わいに行きました。
『赤身、中とろ、大とろ』をそれぞれいろんな部位で楽しませてくれました。
旨い、旨すぎる。
ねっとり濃厚でありながらとても爽やか、甘くてホンの少し酸っぱくて、香りも極上です。
相変わらずクッキリと冴えたシャリとの相性はこれ以上ないくらいバッチリです。
その他の利尻の平目を始めとするネタの数々も素晴らしい。
九州のこはだも新しい物と仕込んでしばらく経った物を2種類、肴と握りで楽しませてくれました。
そして徐々に脂が乗ってきたアナゴも、まぐろと並んでこの店を代表するネタです。そして旨すぎる。
この日はお酒も二種類、黒龍の他に非売品の八海山もありました。
この酒がまた凄い。
綺麗で強くて、まさしくこの店の鮨とバッチリ合う旨い旨い酒でした。
ふぅ〜、もう満腹、大満足です。
次回はもう少し秋が深まった頃に来ようかな。
さらに脂が乗ったまぐろ、今から楽しみです。
(2013,4月 再投稿)
二ヶ月ぶりに友人と行きました。
頂いたのは『まぐろ、マコガレイ、白魚、鯵、縞鯵、生とり貝、赤貝、ハマグリ、蒸し鮑、雲丹、こはだ、車海老、穴子、玉子』を肴と握りでいろいろ頂きました。
やっぱしどれも旨かった〜。そしてサンザン飲んじゃいました。
普通、こーゆー鮨屋で肴と握りでネタがカブるのはあんまし好きでは無いのですが、この店だけは全く別で大歓迎です。
全てのネタのパワーが凄くって、例えば雲丹や赤貝などは普通は塩か煮切りが欲しいところですが、この日のそれらのネタは塩も煮切りもなんにも要りません。旬のネタが持つパワーの凄さに脱帽です。
この日のまぐろは高知産、いろんな部位を7~8箇所ツマミや握りで頂きました。春のまぐろ特有の素晴らしい香りです。
旬のマコガレイはワタシが白身で1番好きなネタ、特に縁側は絶品で、縁側としては平目よりよっぽど好きです。いつものようにアラから取った潮汁、絶品です。
ハマグリはなんと今や幻の江戸前です。なるほど、コレがホントのハマグリの味ならば、世間一般に出回ってるモノとは明らかに別物ですね。
縞鯵はアラを塩焼きにしてくれました。コレ、泣けるほど旨い。
名残りの白魚は雄雌2匹づつ、雌は卵をいっぱい持っていてまた独特の味わいです。
そして、この店では今期今日からスタートしたと言う生のとり貝、コレがまさにスペシャルな逸品でした。
物凄くデカいけどとても繊細な味と鮮烈な香り、全身が爽やかさで包まれます。
イヤ〜、旨かった〜!喰って飲んでサイコーです。
やっぱしお気に入りの鮨屋は良いですな〜。
これで勢いついて久しぶりに銀座のネオン街で明け方まで暴れちゃいました。
「俺もまだまだイケるな〜」と妙にご満悦なオッサン2人です。
(2013,2月再投稿)
四ヶ月ぶりに友人と訪問、極上の酒と肴を楽しみました。
この店に来ると何時も『まぐろ』の旨さに驚かされますが、今回特に『隠岐の本まぐろ』にはひっくり返りました。
中でも『とろの漬け』にはビックリしました。旨い!旨すぎる‼
極上の味わい、極上の香り、こんなに爽やかでこんなに味が濃いとろは食べた事がありません。最高のまぐろをギリギリまで熟成させた結果、こんなにも旨くなるんですね。改めてまぐろとこの店の凄みを思い知りました。
同じまぐろの『赤身』や『赤身の漬け』や『漬けてないとろ』も同じ、とにかく「旨い!」としか言葉が出ませんな。
その他『閖上の赤貝、蒸し鮑、蒸し鮑のヘソ、生とり貝』等をツマミで、『佐島の真鯛、白魚、アオリ烏賊、車海老、雲丹、コハダ、穴子』などをツマミと握りで味わいました。
色々なネタを出すような鮨屋では、普通ツマミと握りでネタがダブるのは好きでは無いのですが、この店に限っては大歓迎です。
この店はそんなに多くの種類のネタがあるわけではありません。しかし、それらのネタはどれも極上中の極上です。鮨ネタはシャリと一緒になる事でさらに旨くなるので、先ずはツマミで楽しんで、その後で同じネタをニギリとして楽しんで、そんな楽しみ方が出来る数少ない鮨屋ですな。
イヤ〜、旨かった旨かった、もうサイコーです。
この友人とは、何時も食事した後にはクラブにレッツゴーなんですが、この店で食事するとその後の戦意が大きく削がれるんです。あまりに満足しちゃうので他の欲求が萎えちゃうんですな〜。モチロン飲みには行きますが、2人ともまるで聖人君子みたいになっちゃいます。
我々のスケベ心まで削ぐとは、改めて「きよ田、恐るべし」ですな〜。
(2012,10月再投稿です)
青森のくろまぐろが旨い季節がやってきましたねぇ〜。
ヒカリモノもいいし白身もいい、貝や穴子もいいですが、やっぱし鮨ネタの王者は冬のクロですな〜。
まだ少し型は小さいのですが、待ち切れずに友人とこの店にやって来ました。
大将が出してくれた本まぐろのいろんな部位の赤身と中とろ、もう最高でした。
確かに旬真っ盛りの味わいと比べると「あと一歩」ってカンジですが、それでも香り、甘みは素晴らしい。
冬の青森産特有の深い味わいはタマリませんね。
あと1~2ヶ月経ったらどれだけ旨くなるのか、想像しただけで震えて来ます。
さらに、この日大将が自信満々で出してくれたのが『佐島の真鯛』です。
コレまたスゴい鯛でした。
背の身の刺身、塩で食べても良し、塩&山葵も良し、モチロン煮切りでも良しです。同じ身の握りは昆布締めで、もう泣けます。さらにこの鯛の砂ずり部分を刺身で、ワタシはこれほど旨い鯛の刺身を食べたコトが無い。脂が乗っているんですケド、兎に角ソレが爽やかで、熟成された香りと極上の甘みと合いまってもう気絶ものの旨さでした。鯛1匹から4~6切れしか取れないので、常連の特権ですな。
トドメはこの鯛の骨とアラから取った『潮汁』で、コレはもう即死ものの旨さです。
この他『鮑酒蒸し、いくら醤油漬け、締め鯖、小肌、雲丹、烏賊、大車海老、赤貝、穴子、かんぴょう巻き、たまご』などをツマミで握りでいろいろ食べました。モチロンどれも最高の味わいです。
酒もサンザン呑んだなぁ〜。『八海山 大吟醸』と『黒龍 大吟醸』を取っ替えひっかえどんだけ呑んだだろう。最後の方は記憶が定かではないのですが、何故かその後行ったクラブの記憶はバッチリなのが不思議です。
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(2012、8月再投稿です)
友人とエクストラコールドでノドを潤した後、食事は銀座で行きつけのこの店です。
先月行ったばっかしなので、ネタは殆ど同じです。
しかし、その中でも8月ならではの驚きの味わいと出会えました。
この店の代表選手の『まぐろ』、この日は入店直後から大将が「今日は最高のまぐろがありますよ~」とおっしゃっていたように、冬の極上の大間に匹敵するような最高のまぐろが楽しめました。
『北海道噴火湾産のまぐろ』、これをじっくり熟成させたまぐろはまさしく極上中の極上です。『赤身』はネットリ濃厚、『中とろ』は美しくて細かいサシがまんべんなく入っていて、『大とろ』に至っては白く輝いています。
味わいが最高なのは当然ですが、旬の大間が持つあの独特の崇高な香り、それが一層強くなって口の中に甦りました。
夏のまぐろと言えばどちらかというと爽やかさが身上ですが、この時期にこんなまぐろと出会えるなんて、さすがわ「きよ田」、全面降伏です。
もう1品は『大車海老』です。
コレ、なんと『秋田産』だそうです。
秋田の車海老、あまり有名ではありませんが、実はこの時期だけ最高の大車海老が数は少ないのですが揚がる事があるのだそうです。
大将が築地で目ざとく見つけて、その中でも最高の物を選り分けてきたのだそうで、それをサっと茹でて出してくれました。
何より、その色合いの美しさに圧倒されました。
燃えるような赤、透き通るような白、最高に美しいです。
その味わいは、、、上手い言葉が思いつきませんが、旨みが倍、甘みも倍、そして、これは良い鮨ネタに共通して言える事ですが、何より香りが素晴らしいの一言です。
ワタシの携帯のカメラでは、まぐろといい大車海老といい、その美しさを全く捉えられないのが残念です。
その他のネタもやはり秀逸、新子、〆鯖、とこぶし、紫雲丹、真子鰈、星鰈、縞鯵、穴子、、、、、。
さらにこの日は大将がまたしても旨い酒を出してくれました。
『黒龍』の杜氏の名前を冠した大吟醸、名前は忘れちゃいましたが、淡麗そのもののさけを友人と2人でメチャクチャ飲んじゃいました。
ワタシにとっては最高の鮨屋、そこで気心知れた友人と飲む酒は何より最高です。
大将、いつもありがとうございます。次は秋が深まった頃、極上の大間を味わいに伺います。
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(2012、7月再投稿です)
このお店、5点の昇格です。
友人と訪れ旨い肴と握りの数々を堪能し、もうコレ以上は望めないだろうと思い昇格させました。
この店のスペシャリティーは『まぐろ』『小肌』『穴子』です。
この時期のまぐろはもう終わりに近づいた「佐渡」産です。
最高の熟成具合、香りも味も絶品、特にまぐろはシャリ」と一緒になって何倍にも旨くなる。この日は握りで『赤身、中とろ、大とろ、大とろ(蛇腹)、中とろ海苔巻き』を堪能しました。旨すぎて悶絶です。
『穴子』はいつも通りフワトロの煮穴子を「ガッ!」っと炙って死ぬほど熱くなったヤツを決死の覚悟で握ります。ホントに旨いです。
『小肌』は『新子』はつまみと握りで爽やかで若い味わいを楽しんだ後に『小肌』も握られます。この小肌、一週間熟成させたというスゴい旨さ、シャリとの間にオボロが忍んでいました。親子両方楽しめるのは楽しいですが、やっぱし味は親の小肌に軍配ですね。
その他、つまみは『真子鰈、真子鰈えんがわ、真子鰈潮汁、生とり貝、大とろ炙り、蒸し鮑、玉子焼き』です。
この中で特筆すべきは『生とり貝』です。かなり大きいサイズですが、味も香りも最高でした。スイカのような清々しい香りが鼻に抜けます。『真子鰈の潮汁』も相変わらず極上の味わい、鰈の全ての旨みが凝縮されています。
握りはその他は『真子鰈、星鰈昆布〆、赤貝、車海老、雲丹、雲丹巻き』です。
真子鰈と星鰈を両方味わえたのは嬉しかった。ワタシとしては純そのものの真子鰈の方が好きです。
酒は『黒龍 大吟醸』、こーゆー鮨にはやっぱし個性的な酒より淡麗で爽やかな酒が合いますね。
デザートの『桃太郎』という種無しのマスカットも旨かった。皮ごと食べられるんですな。
やっぱりこの鮨屋は最高です。
大将や若い職人さんといろんな話をしながら、友人とゆっくり飲めて食べられる、出される料理は全て旨い。
まさしくワタシ的にトップクラスのお店です。
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(2011、12月再投稿です)
再びきよ田さんです。
友人とゆっくり飲みながら心から寛いで話しが出来る店としては、今やこの店がイチバンです。
そして何より大間のマグロが最高に旨い時期、またしても極上でじっくり熟成されたいろんな部位のマグロを堪能出来ました。
さらにこの日は大将が『黒龍 しずく』を出してくれました。
とても淡麗だけどしっかりと個性もある旨い旨い酒で、マグロにカンペキに合います。
直前なのに無理を聞いてくれた大将、ホントにありがとう御座いました。
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(2011、11月再投稿です)
地方に住む友人が上京したので、前回も一緒に行ったこの店に行きました。
前回彼をこの店に連れて行ったらとても喜んでくれたので、この店の代名詞でもある『黒マグロ』が、特にその近海物が旬を迎えたこの時期にこの店に再訪するコトはもう必然です。
前日の予約だったので初めは「明日は予約でいっぱいです」と言われたのですが、名前を告げると大将にかわってくれて「777さんですか、お久しぶりです。ご希望の時間より少し遅い時間なら席を用意しますよ。最高のマグロが入っているのでゼヒどうぞ」と言ってくれました。
今日では、時期によって多くの地域でマグロは獲れますし冷解凍の技術向上によって外洋産のマグロも通年美味しく食べられるようになりましたが、やはり旬の『大間の本マグロ』の味は格別です。
初夏の頃の軽く爽やかだったマグロが、晩秋になってネットリ濃厚な味わいに変わるこの時期は、まさに「マグロを喰わずして何を喰う」です。赤身の味も濃厚になりますし、タップリのった脂も極上な味わいですよね。
また、マグロは部位によって味わいはマッタク違います。
ひと口に『とろ』と言っても『大とろ』、『中とろ』があって、それも「腹かみ、腹なか、腹しも、背かみ、背なか、背しも、かまとろ、かま」と其々味わいが違います。
さらに「じゃ腹」や「砂ずり」でも筋を入れた方が好きな人、剝して筋が無い方が好きな人と好みも分かれます。
以前、すきやばし 次郎の店主の二郎さんに、「ウチは常連さんには、その常連さんが好みの場所をお出しするようにしているんです。この人は背ビレの下の部位、この人には砂ずりの剝しを、ってな具合です」と伺ったコトがあります。
良い鮨屋の常連になる意味とはこーゆーコトです。店主が最高に旨いと思った部位でも、その人の好みに合わないカモ知れない。お互いに理解し合い尊敬しあえるようになれば、最高の鮨を食べることができるというコトです。
有名店に1度行っただけで「高いだけ」とか、なかなか予約が取れない人気店にタマに行って店主の好みを押し付けられる、それでは「旨い鮨を喰った」とは言えませんからね。
有名店や人気店の鮨をある程度知ったら、あとはその中でも気に入った店を何軒かに絞りそこの常連になる、コレが一番旨い鮨を食べるコトが出来る方法だと思います。
この日はとても親交の深い友人との酒、そして旨い鮨、最高の夜でした。
ツマミは『利尻の平目』(コレ絶品)、『じゃ腹炙り』(泣ける)、『蒸し鮑』、『いくら醤油漬け』、『こはだ』
握りは『まぐろ』(赤身、中とろ、大とろのいろんな部位と巻きもの)、『こはだ』、『雲丹』、『穴子』(コレも絶品)です。
どれもホントに旨かった。
旬の大間って独特の香りがするんです。ちょっと酸っぱくて甘いような香り、これが良いマグロになるほど強くなる。良いマグロを1週間くらい熟成させた丁度食べ頃のマグロの香り、なんとも爽やかで色っぽいです。
そして、何より言えるコトは、「良いマグロはシャリと一緒になってその旨さが何倍にもなる」です。
刺身で食べるより、ゼッタイに握りで食べるべきです。
なのでシャリも重要です。
この店のシャリは、とにかく粒がしっかりクッキリしています。新潟の山奥の小さな田んぼで獲れる米だそうで、まさにこの店のマグロを受け止めるのにピッタシな米ですな。
友人との楽しい酒でかなりいいコンコロモチになってしまったので、写真はあんまし撮れてません。
いろんなマグロの艶やかな姿をお見せしたいのですが、ココの鮨は写真で見るより店で直に見て食べるべきなので、大間が終る前にゼヒお出かけクダサイませ。
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(2011、6月投稿分です)
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銀座に高級な鮨屋は数あれど、かつてここはその中でもトップクラスの店だった。
日本一値段が高い鮨屋、日本一敷居が高い鮨屋、日本一マグロが旨い鮨屋であった。
財界人や文豪たちのサロンのような店だった。
「新津武昭」氏、伝説の鮨職人でありこのきよ田の主だった氏の鮨は、当時まだ若造だった俺には有り難過ぎてよく判らなかった。
やっと自腹で食べられるようになった今、新津氏はもうこの店にはいない。2001年に引退してしまった。今では鮨 青木 西麻布店で不定期で握っていると聞いたが未だ訪問出来ていない。
新津氏は弟子を取らなかったので現在のこの店の主の鮨がどこまで「新津流」なのか、どこまで「オリジナル」なのかは判らない。
新津氏に薫陶を受けたあら輝の鮨の方が近いのかもしれない。
しかし、現在のきよ田の鮨も間違いなくトップクラスの鮨と言える。現在の主も本当に素晴らしい職人で、やはりマグロにかける情熱は誰にも負けないのではと思う。
もしかしたら、以前のきよ田の伝説は現在のきよ田にとって邪魔なのかも知れない。予備知識など持たずにまっさらな気持ちで現在のきよ田を堪能する方がよっぽど利口であり素晴らしい鮨を味わえる、そう痛感しました。
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という前置きはさておき、今日は友人と銀座で食事です。
地方に住む彼が急用で上京すると連絡が入り、慌てて予約しました。
といっても当日になって銀座で彼の希望である鮨屋は、旨い店ほど予約が取りずらい。
銀座で鮨といえばワタシはすきやばし 次郎だが、あそこは握りを食べるだけの店、酒を飲みながら語り合うというのには向かない。
なので、二郎さんのお弟子さんの青空に電話したが満席、あら輝、鮨 水谷、鮨かねさかも同じ、さわ田に至っては店休日ときた。
と、その時この店のことを思い出した。
若い頃連れてってもらって緊張しまくった店。
新きよ田になって1度行ったが、とても美味しかった店。
グルメガイド全盛のこの時代、よく取り上げられる店と比べて地味で目立たないが確実に旨い鮨屋であるこの店があったと思いさっそく予約を取った。
嬉しかったのは、前回この店に行ったのがもう3年くらい前なのに、ワタシの事を覚えていてくれたこと。「ずいぶんお久しぶりですね~」という主の言葉と笑顔がなんとも心地よかった。
この主、とてもソフトで優しい人です。
ツマミからスタート、ビールから冷酒に移り、頃合いを見て握りに移ります。
この日のツマミは『真子鰈、真子鰈縁側、縞鯵、蛸、蒸あわび、大とろ炙り、小肌、雲丹、みる貝、赤身、中とろ、真子鰈の潮汁、玉子焼き』
そして握りが『赤身、中とろ2種類、大とろ、小肌2種類、墨烏賊、生とり貝、穴子、かんぴょう巻き』
この店のカンバンメニューはやはりなんといっても『マグロ』です。
今はマグロがキツい時期だと思ったら、そんなコトは無く、日本海の佐渡付近で獲れる一本釣りの本マグロが最高に旨い時期だそうです。
秋から冬の大間の本マグロのネットリ濃厚なマグロとはちょっと違って、僅かに酸味がある爽やかだけど旨みが強いマグロです。
腹カミの筋の多い大とろを薄くスライスして炙ったツマミは最高の味わいです。
そして、やはりマグロは握りになることでより一層美味しくなる。同じマグロ、同じ部位なのに、握りで食べるとより一層美味しく感じる。
マグロとシャリの相乗効果、「魚を旨くする」と書いて「鮨」とは、まさにこの事を言うのでしょう。
そして主が胸をはるもう一つのカンバンが『小肌』です。
産地の違う2種類の小肌をツマミと握りでそれぞれ食べさせてくれました。
さらに特筆すべきが『真子鰈』の潮汁、具はなく真子鰈の骨から出た旨みだけの汁、最高の味わいです。
そして、『穴子』、炙る必要なんてない最高の穴子をあえて、しかもかなり強めに炙ります。良い鮨屋、旨い穴子を出す店は穴子は炙りません。「炙るのは質の悪い穴子を誤魔化すため」なんて言いますが、この店は違います。これはちょっと珍しい。そしてこれもトビキリ旨い握りです。「ヤケドとの闘いですが、その価値はあるでしょう?」と主、その通りです。
今や「隠れた名店」、ゼヒお試し下さい。
7位
1回
2015/04訪問 2015/04/23
【日本橋】 天もり発祥の店だが、極上のツユは温蕎麦でその真価を発揮する。
(2015,4月)
いつも拝読させて頂いている「kanzan」様の、この店のあられ蕎麦に関するあまりにも見事なレビューに感化され、久しぶりにこの店で昼蕎麦する事にした。
天もり発祥の店としてその名を知られるこの店、いつ来ても大繁盛だね。
でも、「行列」とまではいかない、いつも丁度いい混み具合だ。
席に着くとさっそく「あられ蕎麦頂戴〜」には、、、、、ならなかった。
平日の昼だし、この後協力会社と打ち合わせもあるのだが、隣の品のあるご老人が焼き海苔をパリっと言わせながら冷酒を飲んでいるのを目の当たりにし、蕎麦前に手を出さずにはいられなかった。
花番さんに眉間にシワを寄せながら「冷酒とお浸し」と努めて渋〜くオーダー、でも心の中では「あ〜あ、またやっちゃったよ〜。こりゃ午後の打ち合わせは相手の言いなりだな〜」と悶絶していた。
冷酒が出された。
先ず、この冷酒に付いてくる『昆布の佃煮』に唸らせられた。
普通甘い蕎麦味噌を出す店が多いが佃煮とはちょっと意外。
しかし、この佃煮はかなりキリっとした辛口、酒に滅法界合うね〜。
燗酒ならなお合うんじゃないかな〜。
お浸しは凄く上品な薄味、辛口の佃煮と薄味のお浸し、このギャップがたまらなくて、すると次にその中間の味が欲しくなる。
「玉子焼きちょうだい〜、あとお酒お代わりね〜」と言うまでさほど時間はかからなかったし、さっきまで無理に寄せてた眉間のシワもカンペキに消えてしまっていた。
そしてやっとあられ蕎麦をオーダー。
冬季限定のあられ蕎麦、値段は2500円だ。
小柱が乗っただけの蕎麦が2500円、これを「高い」だの「CPがどうの」と言う人はこの店にはお呼びじゃない。
メニューにしっかり値段が書いてあって、それを承知で頼んでおいて、食べた後で「高い」のなんのって言うヤツは、何故その内在する自己矛盾に気が付かないんだろう。本山葵の価値も知らんと粉ワサビを出す店と比べて高いのなんのと、野暮と愚かさとダサさの三位一体、なら初めから駄蕎麦屋へ行けばいい。
生の小柱が海苔の上に乗っている。
そのまま食べても旨いが、ツユに落として少し熱を入れるとより一層甘みと香りが増す。
蕎麦をひとすすり、蕎麦の香ばしい香りが鼻に抜けるのは温蕎麦ならではだね。
そこを冷酒で追いかける、もう「くゥ〜」ってカンジだ。
冷酒が進むのか温蕎麦の悪い点だ。
丁度良い塩梅の熱いツユの旨味が口いっぱいに広がる、それを冷酒で流してリセットすると、また次の一口は1から蕎麦の風味とツユの旨味を新鮮に楽しめるからね。
ここでさらに重要な存在が山葵だ。
僕は冷蕎麦であれ温蕎麦であれ山葵はツユに溶かない。また、蕎麦の上に乗せて食べるという事もしない。
山葵は合間にそのまま「舐める」物だと思ってる。ツユと酒で少しダレ気味の口と舌を綺麗にリセットしてくれる山葵は蕎麦には必要不可欠な脇役だ。
蕎麦をすすってツユを飲んで冷酒をキュッ、そこに山葵をひと舐めして完璧なローテーションの完成だ。
だからなおさら本山葵である事が重要なのだが、昨今本山葵は価格高騰中、「一人前数万円」の鮨屋ならその値上がり分も吸収出来るのだろうが、蕎麦ではなかなかそうはいかない。
僕が浅草で大好きな阿娑縛でも値上げに踏み切った。それまで900円だったごま汁蕎麦を1200円に最近上げた。ご主人が僕に「申し訳ありません、事情により値上げしました」と済まなそうに言っていたが、僕としては合間に舐める山葵は重要なので値上げしてでも質の良い本山葵を守ってくれる方がよっぽどありがたい。分からん客などお呼びじゃないしね。
結局お銚子4本飲んじゃったよ。
いやいや、満足、旨かった〜。
この店のあられ蕎麦と並木藪蕎麦のかもなんばんは冬のスペシャルメニューだが、この店のあられ蕎麦ももう次期終わってしまうのが残念だ。
(2011,11月)
今日は日本橋で商談。
まあ、商談といっても友達付き合いしている相手とマンダリンホテルのラウンジで午後から会うので、ちょっと早メに日本橋に行って以前より気になっているお店で1人昼蕎麦屋酒するコトにしました。
(こーゆーチャンス待ってたんだよな~)
向かったのはここ日本橋で言わずと知れた無く子も黙る蕎麦の名店「室町砂場」さんです。
普段蕎麦と言えば近所の並木藪、上野藪、池の端藪と、藪ばっかし。
「砂場」と名がつく蕎麦屋は、確かに近所の稲荷町に砂場が一軒あるのだが、ここではカツ丼がお気に入りなので注文するのはソレばっかし。
ましてやココ室町砂場は由緒正しき老舗、ワクワクしながら入りました。
12時少し過ぎだったのですが運よく入れました。
まずはお酒を1合頼んで、チビチビやりながらメニューに目を通しました。
そこで気が付いたのですが、ココではお酒のお供に藪でオキマリの「蕎麦味噌」ではなく「梅クラゲ」が出されます。
コレはコレでいいね。ほんのチョッピリの梅クラゲ、泣かせます。
ツマミで注文したのは『あさり』と『はしらわさび』です。
『あさり』はあさりの佃煮、コレが薄味の佃煮でとても美味しい。
『はしらわさび』は小柱のお造りです。
プリプリで風味豊かな小柱は鮨屋顔負けです。
こうなったらお酒もお替りです。
隣のテーブルではどこかのオッサンが(相手から見たら自分もどっかのオッサンか)『玉子焼き』を旨そうに食べていた。
あんまし旨そうだったので、今回は注文するのを止めました。恐らくそう間を開けずに再訪するであろう日のお楽しみにしときます。
さて、いくらキブンがいいとはいえお酒3本飲んだら酔っぱらうので、ここらで蕎麦に行きました。
この店が『天ざる』発祥の店であるコトは蕎麦のミリオンゴッドである「蓼喰人」様のレビューで勉強済み、しかも天麩羅が予め蕎麦ツユの中に入って出てくることも先刻承知、やっぱし初回はソレを注文しようと思ったが、メニューを見ると『天ざる』と『天もり』がある。
『天ざる』と『天もり』の違いは蕎麦が『更科粉』か『一番粉』かの違いだそうです。
最初は両方もらおうと思ったのですが、やっぱし今回は『もり』を食べて、『更科』は次回のお楽しみにすることにしました。
出てきた『天もり』、ツユがとても特徴的です。
かなり濃い色、味もかなり濃くて並木藪に近い濃さです。
入っている天麩羅もかなり硬派なかき揚げで、とても香ばしいです。具は芝海老。
そして、切り三つ葉。とても新鮮な香りがします。
蕎麦をちょっとつけて「ズズ」っとやるとそれぞれの個性的な味わいがクッキリと口の中に広がります。
「ナルホド、コレはかなり荒々しい味わいだな~」とちょっと意外でしたが、蕎麦を全部食べちゃって(量が少ないので3~4口で食べられちゃいます)、残ったツユと同量程度の蕎麦湯を入れて飲むと、これがビックリ。
さっきまでとても強い味わいだったツユ、天麩羅、三つ葉が見事に調和して極上の優しい味わいになるんです。
ツユの醤油(かえし)と出汁の風味が立ち上って、さっきまで荒っぽかった天麩羅がなんとも甘い油の風味が楽しめて、その2つを三つ葉の爽やかな風味がバッチリ取りまとめてる。(ああ、もっと上手に表現出来たらな~)
コレはスゴい!
コレは『天もり』(『天ざる』)でしか味わえない醍醐味ですな~。
最初から温かい蕎麦だったらこの見事な三位一体に気が付かなかったカモ知れない。
また、蕎麦湯を使わなかったら「荒々しい江戸前の蕎麦だな~」で終ってしまう。
また、今流行りのドロドロ系の蕎麦湯だったら、このツユの真価は味わえなかったでしょう。
蕎麦というのはホントに奥深い。
麺の出来も大事だがツユもソレ以上に大切なのカモ知れない。
今までサンザン食べてきた蕎麦だが、目が覚めました。
良い蕎麦屋の蕎麦は芸術です。
ワタシは鮨が好きですが、蕎麦だって日本が世界に誇れる食べ物であるとハッキリ認識できました。
名店には名店の理由があるのですね~。
今後はもっと旨い蕎麦を食べようと思います。
8位
1回
2011/06訪問 2011/06/16
(再訪問)
今日は相方と夜にゆっくり来ました。
目当ては『そばがき』です。
普通だと、そばがきってよく木の葉のカタチをしたヤツが出てきますが、ココのそばがきは違います。
注文を受けてから1から作ります。
「そば」って、熱を加えるとものスゴく粘りがでるんですが、冷めるとスグに固くなっちゃう。
なので、ホントーの「そばがき」の良さを味わえるのは出来たてのアツアツの時のほんの一瞬だけです。
そば粉にそば湯を加えて練っただけ、なのにこんなにも旨いモンなのかと感動しますよ~。
調理用の取手付きの土鍋でそのまんま出されます。
なので土鍋はアッツアツ、これが重要です。
中の「そばがき」は、とにかくフックラとソフトでフルフルです。
そして粘り気もバッチリ。
まるで、生麩とオモチの中間ってカンジです。
そしてアツアツ、少し冷めてから食べたいと思うのですが、「そばがき」は秒単位で固くなっていくので出来たてアツアツを「ハフハフ」いいながら食べるのが最高です。
醤油を少し垂らして食べるのも良し、キナコを振って食べるのも良し、モチロンそのまま食べてもサイコーです。
『普通そばがき』---とにかく滑らかフルフル、でまるで赤ちゃんのホッペタってカンジです。
『荒挽きそばがき』---こっちの方がソバの香りが強いかな~。
もう1品、『ダッタンそばがき』があったのですが、残念ながらこの日は欠品。コレは少しニガ味があってイケますよ~。
『そばがき』は作りたてのアツアツが命、ホントーのそばがきをゼヒお試し下さい。
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今日は地方から出てきた取引会社の社長と昼を一緒に食べました。
「旨い蕎麦が食べたい」というリクエスト、こーゆー場合ワタシはいつも観光も兼ねて雷門前の『並木藪』に連れて行くのだが、そこはただ今改装中。
なので、今回は内容重視としてこの店を選びました。
このお店、ヒジョーに地味ですがかなり旨い。
ワタシは蕎麦派かウドン派かと言われたら圧倒的に蕎麦派です。しょっちゅう食べます。昼飯の3回に1回は蕎麦です。
でも、これまで蕎麦に対してあまり拘りもなければ蘊蓄もタイシテありませんでした。(その辺りは現在蓼喰人様のレビューで勉強中です)
でも、この店の蕎麦が旨いことくらいはよく判ります。
ただ、ワタシがこの店に行く一番の目的は「天麩羅」です。
この店の天麩羅はそんじょそこらの天麩羅専門店なんかよりよっぽど旨い。
浅草にありがちな胡麻油タップリのデカくて香ばしい天麩羅じゃありません。
白くて小ぶりなとっても上品な天麩羅です。
塩で食べるというテもありますが、せっかく旨いソバつゆが天婦羅用として出てくるので、ココはソレで食べます。
中でも『舞茸の天麩羅』がヒジョーに旨い。
コレ、群馬県の舞茸です。
草津温泉でよく食べる六合舞茸の味です。
味も香りも素晴らしい舞茸の天麩羅、コレを逃すテはないですよ~。
さて、まだお昼なのですが社長が「酒が飲みたい」というので仕方なく、ヒジョーに仕方なく昼酒です。
(お得意様が飲みたいというのだから、正々堂々の昼酒です)
ココはお酒のメニューはありません。
「冷蔵庫から選んで下さい」と言われます。
そう言われた瞬間社長の目がキラリと光ったかと思うと、もう冷蔵庫の前に張り付いて女将さんと品定めを始めてる。
少しお燗してもらって、アテに『焼き海苔』を取りました。
木箱に入った焼き海苔、下には火が入っているので、フタを取るととてもいい海苔の香りが昇るし、最後の1枚までパリパリ食べられます。
焼き海苔で酒をチビチビやっていると『天せいろ』の天麩羅が出てきます。
(天麩羅についてはさっき述べたので省略しますね)
で、せいろです。
手打ちの蕎麦、色はけっこう濃い色です。
ノドを通過する際に仄かな蕎麦の香りがス~っとノドから鼻に抜けます。
ツユはケッコウ濃い目なので、蕎麦はちょこっと漬けるだけでジュウブンです。
そして、この『ツユ』が凄い。
それは最後の『蕎麦湯』の段階で判ります。
この店の蕎麦湯はかなり薄め。
よく白くドロっとした蕎麦湯を出す店もありますが、アレは頂けない。やっぱし蕎麦湯は薄めがいいですな。
そして、ツユを蕎麦湯で割って飲むと、なんとも爽やかなカツオ出汁の香りと旨みが広がります。
まるでお吸い物!
よく、築地で鰹節屋さんへ行くと欠いたばっかしの鰹節をお湯に入れてちょこっと醤油をたらしたヤツを飲ませてくれるでしょう?
鰹節の鮮烈で心地の良い旨みと香りが口いっぱいに広がりますが、まさにあの味です。
なので、この店で蕎麦湯を飲む時はツユは薄めで飲むのがいいですよ~。
お連れしたお得意さんもとっても満足してくれました。
日帰りの予定でしたが、近くに宿を取って夜にまた来ようかどうしようか真剣に悩んでました。
今度は冷酒で、『そばがき』を食べたいと言ってました。
連れてきたワタシの株も上がって上々の出来です。
9位
1回
2011/06訪問 2011/06/04
前夜にココの11階のバーアルマーニ プリヴェ銀座で飲んで、帰り際に欲しい服をディスプレイで見つけたのだが既にショップは閉店後、なので俺と相方は翌日出直しました。
欲しい服をそれぞれ入手して、担当に案内されてレストランに昇りました。
このレストランの利用は初めて、昼でも手軽なコースやアラカルトでイタリアンが食べられます。
内装や食器に至るまでバーと同様アルマーニの拘りが詰まったレストラン、広くゆったり出来て買い物途中のランチに最適です。
3800円のランチ、内容は、
前菜は『ノルウェーサーモンとウイキョウのサラダ 柑橘風味のマヨネーズ』
パスタが、ワタシは『テスタローリ パルミジャーノとクルミのソース リグーリアスタイル』
相方が『水牛のリコッタチーズとジャガイモを詰めたラヴィオリ ポルチーニの香る兎のラグー』
メインが、ワタシは『モッツァレラチーズを包んだミラノ風山伏ポークフィレのコトレッタ タルタル風ソース仕立て』
相方が『モルタデッラを詰めたホタテのソテー 季節野菜とピスタチオのスープ仕立て カルダモンの香るニンジンのピュレを添えて』
(あ~、料理の名前が長い)
イマイチ日本人受けがし難い味だが、これもアルマーニ氏の拘りなのか、本場の味そのままで出している。
ただ、向こうでは精製されていないオリーブオイルをそのまま使っていたりするのだが、その辺だけはちゃんと抑えている。アレは日本人にはキツ過ぎるから。
なので、食べると普段日本の有名イタリアンで食べた時に感じる、日本風イタリアンのハッキリとした味、「あ~美味しい」ってカンジではなく、「ちょっと変わってるな~」とか「んん?」なんて思うが、それで普通です。あえて日本風に合わせていないイタリアンとはそーゆーコトでしょう。
スパークリングは『ロッシーニ』で、グラスワインは白を何杯か飲むとすっかりイイ気分、頃合いを見てさっきの担当が買い物後半戦に連行しにくる。
今、『エンポリオ アルマーニ』ではキャンペーンをやっていて、好きな服やアクセサリーやバッグを選んで着て、写真に撮って雑誌『ELLE』のホームページからフェイスブックに登録して、万が一入賞するとスペシャルなサービスがアルマーニタワーで受けられるらしい。
乗せ上手な店員のいざないによりスッカリその気になった相方、とっかえひっかえ試着を始めた。こーなると時間がかかるよ~。
待ってる間に俺もメンズのフロアに昇って余計な買い物までしてしまった。
最高の服、美味しいイタリアンとワイン、そしてノリのいい店員、やっぱしこのタワーは「デビルスタワー」だったな。
また来よ~~~っと。
10位
1回
2013/09訪問 2013/09/19
(2013,9月)
久しぶりの鯛ふじ、ホントは夜にゆっくり来たいのですがワタシも相方も忙しくてナカナカ外食のタイミングが合わない。
この店の真価は夜です。鯛だけではない、ご主人が心を込めて作る和食の本道を行く料理を堪能せずして、ランチの焼魚や煮魚定食や丼だけ食べてこの店を語る事は出来ない。
場所が場所だけに夜に接待や仕事仲間で利用するにはチト厳しいが、友人や相方と静かに食事するにはカンペキな店です。
仕事が一段落したら相方と夜に来るとして、今日は1人でランチ利用ですが、せっかくなので『鯛かぶと煮定食』を注文しました。
旨い、やっぱし旨い。
エラ下の弾力ある身、ホホのプリっとした身、目玉の周りのフルフルな部分、人によって好きな場所は様々でしょうが、ワタシは皮と唇の部分が1番好きです。
丁度いい塩梅の甘辛のタレ、タマリマセ〜ン!
酒を煮切って、醤油や味醂も煮切って、ランチ時で忙しいのにキチっと作ってくれますから旨いのも当然です。
骨をチュパチュパしゃぶりながら綺麗に平らげました。
殆どの客が焼魚定食を食べている中、なんだか申し訳ない気持ちになりますが、旨いんだから仕方無い。
鯛をチュパチュパ、ビールをクビグビ、サイコ〜です。
(2011,9月)
「この店にハデさは一切ない。
高級な装飾もない。
タイヤ屋の星とか意味の判らないカリスマとか言われる料理人などと言ったミーハーが好む要素もない。
ただ、真実の料理があるだけだ。」
前回、昼食に行った時に飲んだ「鯛のお吸い物」の旨さに感動してこの店の全ての実力を知りたくて仕方無かった。
そして今回相方と夜に行ってみて出した結論が上記の通りです。
箱崎のシティーエアターミナルの近く、近代的なオフィスビルが立ち並ぶ一画にこの店はある。
場所柄、6時過ぎると辺りに人の気配は感じられなくなる。
「この辺り、夜はホントにサビシイんですよ」と温和な店主は言う。
前回、昼食で飲んだお吸い物があまりに旨かったので今回夜に来た旨を告げると、「ありがとうございます」とニッコリ笑った。
この日の昼に予約の電話を入れた。「夜はオマカセしかやってません」という店主に、「モチロンそれで結構です。デモ、鯛のかぶと煮だけは必ず入れて下さいネ」と言ったら、「かしこまりました」と彼は言った。
「オマカセ」と言っているのに「かぶと煮」をリクエストするのは無粋の極み、しかし、この料理だけはどうしても食べたかった。昼の定食でも食べられるのだが、やはりこの料理にはご飯ではなく酒だろう。そんなワタシの思いをこの店主は快く汲んでくれた。
相方を相方の会社の前で拾い、ワクワクしながらタクシーで向った。
料理を食べるのにワクワクするのは久しぶりだ。
6時半の予約だったが、店に着いたのは15分前。
お昼は混み合うこの店も、この日の夜に訪れた客はどうやら我々だけのようだった。
貸し切り状態で、相方と2人でこの店の料理をこころ行くまで静かに堪能出来たことはこの上ない幸運だった。
料理は『衣担ぎ』『煮とこぶし』『甘海老』といった軽い肴で始まった。
お造りは『鯛、鰹、縞鯵、車海老の踊り』。
鯛の旨さは案の定、この時期の鯛としてはとても上々で、身がダレたところなど一切ない。その他のネタも素晴らしかった。
椀モノは『○吸い』。
まさかすっぽんで来るとは思わなかった。しかし、旨い。
すっぽんの旨みがよく出た出汁、でもエグ味などは一切なく爽やかですらある。
こーゆートコロがこの店主の凄いところ。素材の持つ良さを最大限に引き出して、雑味などは一切消してしまう。
濃くてキツい味付けで消すのは簡単だが、サッパリ味で消すというのは凄いと思う。
煮モノは『子持ち鮎の煮浸し』。
子をタップリ持った名残の鮎、秋の訪れをしみじみ感じます。
揚げモノは『鯛の皮の磯辺揚げ』。
これが旨かった。
パリパリです。
鯛の旨みがタップリ詰まった皮、こーゆー食べさせ方が一番かも知れない。軽く振った塩がより一層鯛の風味を引き立てます。
お造りで出された車海老の頭も一緒に揚げられます。
そして、いよいよ『鯛のかぶと煮』の登場。
出汁と薄口醤油の薄味関西風なのか、濃口醤油の甘辛関東風なのか、どっちの流儀なのかがとても楽しみだったが、やっぱし東京の老舗らしく濃いめの甘辛風だった。
ヒレ付近の脂が乗った部分、ホッペタ付近の引き締った部分、目の周りのふるふるな部分、どこも極上の旨さです。
2キロくらいの鯛の頭は、半分に割られたモノでもけっこうな食べ応え。この時点でかなりお腹はいっぱいに近かったが、2人で一心不乱にチュパチュパと食べて吸いつくしました。
締めは『鯛茶漬け』で終了です。
やはり、思った通り、この店の料理は極上だった。
突飛な料理や技法は無いが、どれも恐ろしく基本に忠実。もの凄く丁寧に作られているのがよく判る。
作り手の誠意がストレートに伝わってくる料理、これが何より料理の真髄です。
なかなか予約の取れない人気の和食の店が湯島にある。料理は見た目も綺麗だし確かに旨いが何故か心に残らない。なにか、温泉旅館の会席風料理を食べてる気分だった。
反して、この店の料理はどれもクラシックな和食、とても素朴だが、しかししみじみ旨い。
この店の店主は恐らくとても非凡な人、なのでこんな言い方をしたら失礼かも知れないが、こんなに旨い料理を食べながら、ワタシは子供の頃の遠足の日にお母さんが作ってくれたお弁当を思い出していた。
「温かい料理」、それが一番ピッタリくる表現かなと思いながら、この上なく満足して相方と家路に着きました。
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(初回訪問時)
いつも拝読させて頂いている「大満足 御馳走様」さまのこの店のレビューを見て以来、とっても気になっていたお店。
今日は京橋で午後から会合だったので、ちょっと早めに出てココで昼食を摂ることにしました。
店に着いたのが12時半、並んでいることもあるという情報にやや不安だったが、行ってみたら店の前に人影は無し。
入ってみたらカウンターに先客が2人いただけでした。
昼食のお品書きの『鯛かぶと煮』がメチャクチャ気になったが、あんまし時間もなかったので『鯛丼』を注文しました。
待つこと5分、鯛丼が出されました。
ナルホド、なかなか旨いです。
ちょっと特徴的っていうか、硬派な味っていうか、江戸風な味付けです。
辛目のタレに漬け込んだと思われる鯛の切り身と、恐らくはそのタレがご飯にもかかっている。ワサビとシソがアクセントとなってとってもいいカンジです。
しかし、しかしです。
ワタシが驚いたのはこの『鯛丼』ではなく、共に出された『お吸い物』です。
このお吸い物、とてつもなく旨かったっ!!!
非常に薄味、具は鯛の身と薬味だけなのですが、鯛の淡い旨みがタップリ出ていて旨いのなんのって、ビックリしました。
恐らく鯛のアラを炊いて旨みを出しているのでしょう。これ以上出汁が出たらしつこくなるし、これ以下だったら物足りない、まさしくドンピシャな(古いか)カンペキな味の引き出し方です。
なので、鯛の旨みを損なわないように塩はギリギリ抑えてあります。
これも、これ以上少ないとお吸い物にならずにただの出汁、これ以上多いと鯛のアラから出た旨みを損なう、まさしくピッタシの塩梅ってヤツですな。
この『お吸い物』をお替りするためだけにもう1000円払ってもいい、このお吸い物を飲むためだけに来る価値がある、そんな味です。
これが和食の持つ「凄み」です。
素材の味を最大限に引き出して、それを経験と卓越した技術によって芸術に昇華させる、素朴だけどどんな豪華な料理よりも旨い、出汁を一口飲んだだけで海を勇壮に泳ぐ鯛の姿がハッキリと頭に浮かぶ、まさしく「よくぞ日本人に生まれけり」です。
その他、お昼の定食に『焼き魚』があります。
この日は『かます』か『銀鱈』でした。
注文を受けるとご主人が金串を通して、炭火で丁寧に焼きます。ウチワを巧みにつかってパタパタと焼いてました。
お昼の定食全てにヌカリ無しです。
脱帽です。帽子を脱ぐくらいでは足らないので、パンツも脱ぎたい気分です。
イヤイヤ、これは素晴らしいお店です。
次は絶対に夜に来て『鯛かぶと煮』で1杯やりたい。
こーゆー店と出会えたコトこそ「食べログやってよかった~」って思える瞬間です。
大満足 御馳走様 さま、ありがとうございました。
(2013,3月 再投稿)
一昨年この店に来た際に、この店が映画になる事を知った。
まだ若く無名のアメリカ人監督によるドキュメンタリー映画で、タイトルは【JIRO DREAMS OF SUSHI】(邦題 二郎は鮨の夢を見る)。それがいよいよ今年の2月に日本でも上映されたので先日相方と観に行った。二郎さんの鮨を深く掘り下げるといった内容というより、ミシュランガイドで5年連続三ツ星を取った恐るべき店とそこの主人や職人を、本当の鮨や職人というものを知らない外国人に軽妙に紹介するといった向きの映画だ。二郎さんがクラシックのBGMをバックに次々と鮨を握る光景は思わず引き込まれてしまう。聞けばとても気持ちのいい好青年だそうだ。ガンバレっ、未来のマーティン・スコセッシっ!
そんな映画を観たワタシ達はいても立ってもいられず、早速二郎さんの鮨を食べにやって来たってスンポーです。
予約の時間の少し前に店に着くと、入口付近にいた二郎さんがワタシ達に気づき「いらっしゃいませ、お久しぶりですね〜」と、満面の笑顔で迎えてくれました。ワタシが「オヤジさん、映画観ましたよ〜、今や映画スターですね〜」と言うと、更に顔を緩めて「もう、やめて下さいよ、さあお席にどうぞ!」とカウンターに案内してくれました。
こんな具合に普段はとてもフランクな二郎さんですが、いったんツケ場に入るとその表情は一変します。とても厳しくキリっとした職人の顔、それに合わせて店に緊張感が漂います。この心地よい緊張感がいいんですな。全員が「旨い鮨を出すために全身全霊を傾ける」という環境が瞬時に生まれます。
いつものように極めてアツアツのオシボリが出されお茶が運ばれると準備完了、いよいよ二郎ワールドの始まりです。
この日のオマカセは『真子鰈、墨烏賊、鰤、赤身、中とろ、大とろ、小肌、赤貝、赤貝ひも、たこ、鯵、大車海老、細魚、蛤、鯖、雲丹、小柱、いくら、穴子、玉子』の20カンでした。
やっぱし、やっぱし旨いっ!
鮨屋に関しては数多の高級店、有名店、老舗等々に行きましたが、コト「握り」に関してはやはりこの店が一番です。
一言で表すなら「ピュア」、「ピュアそのもの」の握りです。
小細工や余計な仕事は一切無し。築地で手に入る最高のネタを仕入れ、ネタが持つ味を最大限に引き出すために適切な仕事を施す、それだけです。だから例えば墨烏賊や鯵など、普段お馴染みのネタにさえこの店で食べるとビックリさせられるんですな。
そんな珠玉の鮨の数々ですが、その中でもこの日のNo,1は『たこ』です。
ロブションが「このたこは伊勢海老の味がするっ!』と腰を抜かしたたこ、極上の味と香りと食感です。特に、この食感を出すためにたこを1時間ずっと揉み続けるのだそうです。泣けるほど旨いですよ〜。
アッという間の20カン、更に『たこ』をおかわりして『かんぴょう巻』を追加して終了です。
テーブル席に移りデザートのメロンを食べてお会計を済ませると、二郎さんが外まで送ってくれました。
そこで映画の話や鮨ネタになる魚の話をいろいろ聞かせてくれました。『たこ』の季節の次の次郎のスペシャリティーは『あわび』と『かつお』ですが、昨今の様子はかなり悪いそうです。あわびは乱獲の影響で型が小さく使えるものがなかなか手に入らない。カツオはそろそろあちこちの鮨屋で出始めていますが、「確かに獲れる事は獲れるのですが、ウチでお出し出来るカツオはまだありません。今のカツオはただカツオってだけのものです」だそうです。
幾つになっても、どれだけ評価されても妥協や手抜きは一切無し、まだまだ進化しようとする姿勢、これが職人なんですね。
ワタシ以上に二郎さんのファンの相方は、映画を観てから二郎さんの夢を見たそうです。
仕事でミスをして二郎さんに説教される夢だそうで、ひとしきり説教された後で鮨を食べさせてくれて元気が出たという夢。
前回この店に連れて来た時に、女性には男性よりも握りのサイズを少し小さくしている事を見抜いた相方が、「よくわかったね〜」と二郎さんに褒められた事がよっぽど嬉しかったらしく、そんな夢を見るようになったのでしょう。
ワタシにとってはライバル出現ですが、二郎さんなら仕方ない。一つの道を極めた人の持つオーラは、ワタシには逆立ちしたって出せないですからね〜。
一緒に写真をとせがむ相方の願いを快く快諾してくれた二郎さん、3人で記念写真を撮って店を後にしました。
(2011、6月再投稿です)
さて、ワタシが世界で最も好きなレストラン『すきやばし次郎』へ再訪問です。今回は相方と行きました。
この店に関する話は前回書いたので、今回は省略しますね。
この日の『おまかせ』は18カン、『真子鰈、墨烏賊、縞鯵、赤身、中とろ、大とろ、小肌、蒸し鮑、味、赤貝、赤貝紐、車海老、生とり貝、鰹、蝦蛄、雲丹、小柱、いくら、穴子、たまご』です。
この時期だけのスペシャリティーは、なんと言っても『蒸し鮑』です。
二郎さんは房州・大原かその近辺の雌貝に拘ります。火を入れて最高に柔らかく格別の味わいになる鮑だからだそうです。
「蒸し」といっても実際には「酒煮」です。
とにかく柔らかく、最高に豊かな、それでいてとても儚い味わいです。これには「ツメ」は塗られません。せっかくの味わいを損ねてしまうからだそうです。
春~夏だけのネタ『蒸し鮑』、プリンのように柔らかく鮑の凄みを感じさせてくれる凄い握りです。
夏になると今度はロブションが絶賛したという『真蛸』の登場です。次回も楽しみです。
さて、この度アメリカ人監督によるすきやばし次郎のドキュメンタリー映画『ジロー・ドリームス・オブ・スシ(原題) / Jiro Dreams of Sushi』が完成したそうで、既にアメリカでの配給が決定したそうです。
ワタシが「アメリカでへんちくりんなスシを食べて、「アレがスシだ」と思っているアメリカ人に思い知らせてやって下さい」と言うと、「でもね、撮影の間ず~っと厨房にいてホントうっとーしかったんですよ~」とニガ笑いする二郎さん。「でも、外国人だけじゃなく、二郎さんの仕事を記録に残すのはとても重要なコトだと思いますよ」というと「まあ、そう言って頂けると、、、」なんて少しテレた様子がとても可愛かった。
帰りがけ、入口まで送ってくれた二郎さんに「少し太られました?」と言われてしまったワタシ、やっぱしそろそろダイエットに取り組まなければならないようです。
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(2011、11月投稿分)
ココは銀座の数寄屋橋交差点付近のビルの地下のお鮨屋さんです。
地下鉄通路の出入り口もあるし、1階は「スーツカンパニー」なんてお店も入ってます。
このお店のご主人の二郎さん(店名はすきやばし次郎ですがご主人のお名前は小野二郎さんです)のニギリを食べるようになってもう7~8年、イヤ10年くらいですかね~。それ以来ワタシ的に世界一のレストラン、世界一の職人さん、死ぬ前に食べたいモノNo,1がこの『すきやばし次郎』の二郎さんが握るお鮨です。
当時は、現在独立して同じ銀座にミシュランにも載った『青空』の店主の青空(ハルタカ)クンもココで小僧さんをやってました。そこへもタマに行きますがホントーに良いお店です。「教わったことだけやるのなら見習いとおんなじ」という二郎さんの言葉を胸に日々精進を積んでいる様子です。
初めてココ「すきやばし次郎」に常連さんに連れていってもらった時は、「なんだか硬っ苦しいお店だな~」って思いましたが、その握りのあまりの旨さに驚愕、それ以来定期的に通うようになりました。前もっての予約がニガテで、どの店だろうが当日に「今日空いてる?」的な予約しかしないワタシとしては、有名なガイドブックで紹介されてからはやたら混んでしまってフラれることもしばしば。「電話で名前言って下さればなんとかしますから」なんて言ってくれますが、常連ヅラして特別扱いされるのもキライなので、最近のペースは3カ月に1度くらいになっちゃいました。
ここで、まだこのお店に行ったことがなくて、イッペン行ってみようかなと思っている方にアドバイスです。
1、銀座の有名高級鮨店だからといって、「一見さんお断り」ではありません。電話で予約をすれば誰でもOKです。ただ、夜は予約が混み合っているのでオススメはお昼の、それも開店1発目です。11時半開店なのでその時間がベストですな。ワタシもタイテイ1発目です。それでも夜のいい時間に行きたい方は、なんといってもカウンターに10人も座ればいっぱいの小さなお店ですから、ガンバって予約してみて下さい。キャパの小さな名店なので、常連さんを大切にしてしまうのも仕方ない。そんなことでメゲてはイケませんよ。
2、このお店は旨い握りを楽しむためだけのお店です。ツマミを切ってもらって酒をヤリながら職人さんや仲間と楽しく談笑して最後に握りなんてお店ではありません。二郎さんの言葉ですが「そういう人は居酒屋に行けばいい。」とのことです。ワタシもその意見に大賛成。鮨屋でイチバン旨いのは間違いなく鮨だし、客としゃべる鮨職人って基本的にキライです。だって、しゃべるとツバが飛ぶ。マナ板も刺身も今握っている鮨もツバだらけです。そんな鮨、ワタシはゴメンですな。よく二郎さんのことを「ブッキラボウ」だの「無愛想」だのといった意見や、「客に対して誠意が無い」なんて評を聞きますが、鮨店の客に対する誠意は、客にヘラヘラ媚び諂うことではない。この店の隅々まで掃除が行き届いた点や厳選されたネタやそれに施された仕事、そして旨い握りを出すために全職人が緊張感をもって作業していることに誠意を見出すべきです。それができなければこの店に来るべきではない。そーゆー人は二郎さんが言う通り居酒屋に行けばいいし、鮨がよければ銀座にはおあつらえ向きの『久兵衛』なんていう媚び媚びのチェーン店もありますからね。
ガイドブックを見て、物見遊山で行って、握りをいちいち写真に撮って、で「無愛想」「食事は楽しくしたい」なんて言うのは愚の骨頂ですな。
3、握りは基本的に『おまかせ』です。すると、18~20カンの握りが次々出てきます。けっこうキツいですよ~。どれも圧倒的に旨い握りですが、高齢者の方や女性では苦しいカモしれません。その場合はモチロン『お好み』もアリです。デモ、やっぱり「おまかせ」にチャレンジしてもらいたい。全てにおいてビックリする洗練された完成度の握りを味わえますから。
さて、前置きがヒジョーに長くなりましたが、お鮨のハナシです。
この日出された『おまかせ』は、鰈、墨烏賊、縞鯵、赤身、中トロ、大トロ、小肌、赤貝、鯵、大車海老、鰹、煮蛤、鯖、しゃこ、細魚、雲丹、小柱、いくら、穴子、たまご、の20カンでした。
二郎さんがおっしゃる「すきやばし次郎」の看板メニューは「小肌」「鯖」「穴子」ですが、「小肌」と「穴子」は通年ですが「鯖」は冬だけです。若狭の鯖が最高とおしゃってましたが、鯖という魚はタチのバラツキが少ないので、築地に多く入る銚子や三浦産でも旨いのだそうです。そして、しっかり酢に浸けたものを一晩寝かせるので熟成された旨いサバです。
この3つを同時に食べられる冬が、「すきやばし次郎」の旬だとワタシは勝手に思ってます。
そして、本来秋で終わりのハズの「鰹」がまだありました。ワタシ、この店でイチバン好きなメニューが「鰹」です。まっさらの藁で燻された鰹は最高です。二郎さんは脂が軽い初鰹がお好きなようですが、ワタシは脂がタップリのった戻り鰹の方が好きですな。ワタシがこの鰹が大好きなので、鰹の順番が来ると「2つ3つ出しますか?」と聞いてくれます。後がキツくなるのでちょっとタジろぎますが、ここで「イエ、結構です」とは言えない性分、「来るなら来い」ってカンジで「もちろんチョーダイ」です。
大車海老もこの店を代表するメニューですな。これは横須賀沖のものがイチバンだそうです。普通鮨店では握りにちょうどいいサイズの小車海老を使いますが、ココでは天然の大車海老に拘ってます。旨み、甘みが段違いに上だからなんだそうです。「鮨屋のエビは彩はいいけどうまくない」という定説を覆したかったんだそうです。握る直前に茹でて、握ったら2つに切って出されます。
で、なんといってもこの時期旨いのが「マグロ」です。大間の黒マグロが一番旨いこの時期、ネットリ甘酸っぱくって鮮烈な香りが鼻を抜ける極上のマグロが食べられます。
大トロは腹カミの霜降りの部分や砂擦りの蛇腹の部分が使われます。カマ下の部分は脂が最も強いけど独特の生臭さがあるので人によって好き好きがある。なので好みがわかっている常連さんには「この人にはこの部分」という具合に使い分けてるんだそうですな。
中トロは背ビレ下の分かれ身が一番旨いんだそうです。ワタシはこの中トロが大トロより好きです。まさに芸術品という味わいです。
この時期は赤身もそのまま出されます。「ヅケ」はありません。よく、握り用に切って、1切れ2切れをちょっと漬けて出すお店がありますが、二郎さんに言わせれば「本当に旨いヅケはサクごと漬けなければ出来ないので30分はかかる。だから食べたければ予約の際に言って下さい」とのことでした。
「すきやばし次郎」は「シャリ」にもヌカリはありません。二郎さんいわく「よく冷たいシャリで握る鮨屋もありますが、アレは好きじゃない。シャリは人肌じゃなくっちゃ」で、しかもここでは一升づつ予約の時間に合わせて炊かれます。それ以上大量に炊くと下の方の米が重みで僅かにツブれてしまうからだそうです。
それに、大きさも重要。ココの握りは「与志乃」系の鮨らしく若干大きめ、これがいいんです。「久兵衛」や「すし匠」のような飲み系の鮨店ではよく小さいサイズの握りが出されますがアレはイケません。食べた時に口いっぱいに旨さが広がらなければ、それが握りのダイゴミですからね。それでも最近は若干小さくなったような気がします。その分カン数を増やしたんじゃないかな。
こんな具合に、全てにおいて拘って、それを当代きっての名人が握るのだから、マズいワケがない。
それに、二郎さんってコワイばっかしじゃなくってとっても楽しい人なんですよ。ツケ場にいる時はあまり話しませんが、帰る際に手が空いていると出口まで送ってくれます。その時にいろいろ話すチャンスです。ホントーに鮨がお好きな方で、ここに書いたネタの話をよくしてくれました。休日にはフラっと旅に出て飛び込みで鮨屋に入るんだそうです。相手は突然の二郎さんの訪問にビックリするんだそうですが、そんな様子を楽しんでおられるようでした。その他、兄弟弟子さんのハナシ、六本木でやってる二男さんのハナシ、戦時中の苦労話、修行中の話なんて聞かせてくれます。
とにかくカクシャクとした、それでいて笑顔がカワイイおじいちゃんです。大正14年生まれ、もう80代半ばなのに衰えることを知らない方です。
ワタシが最も尊敬し敬愛する職人さん、ゼヒゼヒお元気でこの先もずっと旨い鮨を喰わせてほしい、心からそう思います。