11回
2018/02 訪問
かに、ふぐ、鯛、クエ・・・冬の極上食材を最高の技術でいただきました
2月に伺いました。今回は蟹の時期ということで、蟹を中心とした4万円のコースをいただきました。蟹はもちろん、ふぐ、鯛、目抜け、クエ、海老芋など冬のスター食材の揃い踏みです。
食材の良さにこだわる豪流久保さん。今回も、冬の最上級の食材の数々を、それぞれの持ち味を最大限に引き出す繊細な味付けや火入れ、包丁の技など最高の技術で仕上げられていて、素晴らしかったです。
器にもこただっていて、食器も酒器も、年代物から現代の作家物まで素敵な器が料理を盛り上げてくれます。
幸せなひと時を過ごせました。
【4万円のコース】
・蕪の焚き物
・焼き松葉蟹
・ふぐの唐揚げと海老芋:唐揚げは、カラッとして淡白な身の部分と、ねっとり濃厚なくちばしの部分。味わいも食感も全く異なる2つの部位を楽しめるのが良いですね。
・ふぐの白子焼:表面はカリッとして中はとろり、絶妙な火入れ。私が今まで食べた中でいちばん美味しい白子焼でした。
・松葉蟹の椀物
・鯛のお造りとふぐの煮こごり
・目抜けと聖護院大根:主役の目抜けが美味しいのはもちろん、上にあしらわれたねぎの細さはどうでしょう。なんでも、わざわざ1枚ずつ向いた白ねぎを、包丁でさらに半分の薄さにスライスした上で千切りにしているそうです。これだけ細くすることで、ねぎの余計な食感や刺激が素材の味を邪魔することなしに淡い爽やかさだけが加わっています。素材の良さを生かすために、ここまで気を使うのですね。
・甘鯛と筍
・クエの蒸物:素材の良さを生かす薄味なだけに、目抜け、甘鯛、クエと白身の魚が続くあたりは単調になりそうですが、そうならないのは、やはり素材それぞれに力強さがあるからでしょう。
・和牛フィレ肉と本しめじ
・ぶり大根ご飯
・鴨南蛮せいろ蕎麦:こちらは〆にお蕎麦が出ます。今回の鴨南蛮も美味しかったです。
・水菓子(苺)
2018/03/27 更新
2017/04 訪問
佳味は細部に宿る…食材の力を引き出す細心の技術
初めての訪問。
食べログのレビューを見て、食材を重視した店であることは知っていた。また、「豪龍久保」という店名から、あまり手を加えすぎず食材そのものの力強さで勝負する店とのイメージがあった。
実際に食べてみての印象は、そうしたイメージは正しくもあり、しかし正確でもないというものだった。食材の持つ力を引き出すために、繊細な技術と心配りがほどこされている。
例えば、同じ大きさの賽の目に揃えられた筍と椎茸と生麩の3種類の食感の組み合わせ。
蛤の薄味の吸物には、桜の花弁を象った薄切り新葉生姜が散らされ、ほのかな香りを加える。
赤貝にほどこされた見事な鹿の子包丁は、見た目の美しさだけでなく食感の変化と味の含みをもたらす。
煮筍は、強すぎない繊細な出汁で筍のかすかな甘さを引き立てる。
喉黒は香ばしさと焦げの境を見切った絶妙の焼き加減。
筍御飯には、米の食感との釣合いを考えて、姫皮と薄くスライスした穂先の柔らかい部分のみを使う。一緒に炊かれた実山椒の香りと刺激と筍の風味との調和も絶妙。
私の舌で感じたのはこの程度だが、もっと鋭い舌の持主ならば、さらに細やかな心配りに気づくだろう。
確かに、上で挙げたものは、いずれも日本料理の技術としては基本的なものであるとも言える。しかし、それを細部まで心を配って使いこなしているからこそ、食材の力を最高に引き出しているのだろう。「神は細部に宿る」という職人や芸術家の間に伝わる言葉を思い出した。
(2017年4月 3.5万円のコース)
朝堀筍と原木椎茸の木の芽和え
たらの芽とさよりの揚げ物
みる貝と生ばちこの炙り
蛤とうすい豆豆腐の吸物
赤貝の造り、肝焼
子持ちもろこの塩焼
京都塚原の朝堀筍と山菜の煮物
喉黒の焼物
和牛とアスパラと原木椎茸
筍御飯、なめこ汁、香物
鴨汁蕎麦
やよいひめ苺と丹波黒豆の白ワインゼリーがけ
実は、2.5万円と3.5万円のコースのいずれにするか、最後まで迷った。今回は「食材の力で勝負する店」との事前のイメージから、食材の差で後悔しないよう3.5万円のコースにしたが、いずれを選んでもそれぞれの食材の味を最大限に引き出して満足させてくれると思う。
2017/05/07 更新
選び抜いた食材の良さは都内でも有数だと思います。そしていじり過ぎずにその食材の良さを最大限に活かす技術も見事。変化球に頼らない直球勝負だからこそ、包丁や出汁、火入れなどの基本的な技術の良さが際立ちます。食材そのものを味わう日本料理のひとつの真髄を示していると思います。
器も良いものを使っていて、盛りつけも美しく、「日本料理は目でも味わう」を実感します。
年々価格が上昇しているのが難ですが、食材の良さを考えれば、その価値は十分あると思います。
春の筍と花山椒を満喫しました。
(5.5万円のコース)